さて、日本におけるボクシングは「(一般の)ニュースが取り上げてくれる」(那須川天心)」社会的に認知されたスポーツで、演芸扱いのキックボクシングや総合格闘技とは一線を画しています。
ただし、米国に目を移すとボクシングとMMAの立場は、後者が上。
ESPNの予算編成を見れば、その差はもはや挽回できるレベルを超えています。
トップランクの創始者が亡くなった時点で、ESPNはボクシング予算をゼロまで削減する政策を進めるという噂もあります。
一方で、米国の人口構成で成長著しいヒスパニック、特にメキシコ系の勢力はMMAよりもボクシングを好む傾向があり「米国人がボクシングから離れる穴をメキシカンが埋めてくれてる」(ボブ・アラム)のです。
実際には、穴は埋められず、ボクシングの没落に歯止めはかかっていませんが。
慢性経営難のリング誌は、2010年代後半には完全に破綻危機を迎え、ロンダ・ラウジーや井上尚弥という従来の読者が関心を示さない女性MMAファイターや超軽量級のアジア人を表紙に起用、MMAコーナーを誌面に加えるなど新規読者の獲得を狙いますが全くの不発。
それどころか、米国ボクシングファンが興味のないMMAや軽量級を表紙にしたことは、リング誌への幻滅を招き、既存読者をますます減らしてしまいます。
実際に、井上が表紙になったのはWBSS優勝前。優勝してからの約3年間は一度も表紙を飾ることなく、リング誌は100年の歴史に幕を下ろしました。

ボクシングに対して、その歴史、アーカイブの奥深さでは全く歯が立たないUFCが米国で大きな成功を収めた原因は、ボクシングに欠落している「スポーツであること」への徹底追求です。
UFCは「世界王者は1人だけ」「階級は8つだけ」というボクシングの古き良き時代を再現、さらにボクシングではザルのドーピング問題にも正面から斬り込みました。
ちなみに、ボクシングは各国(米国では各州)のコミッションが検査を実施、大きな試合になるとVoluntary Anti-Doping Association (VADA) の検査も課せられることがありますが、所詮はVADA。
このVADAは、ボクシング界に蔓延るドーピングに危機感を覚えたネバダ州アスレティック・コミッションのリングドクター、マーガレット・グッドマンらが創設した零細団体。
ノニト・ドネアらが師事するドーピング・グル、ビクター・コンテが「VADAの検査を潜れと言われたら、今の私でも簡単に出来る。ただ、五輪などでドーピング検査をリードするWorld Anti-Doping Agency(WADA)については「あれはプロフェッショナルでかけてる資金も桁違い。ドーピングから長らく離れている私が、WADAの検査を抜けるのは無理。もちろん、そんなことはしないけど」というように、WADAは最も厳格な検査機関。
WADAの地域担当が日本のJADAであり、米国のUSADA。
井岡問題で揺れるJBCは「WADAの検査基準に従っている」としていますが、WADA検査を導入しているわけではありません。おそらくVADAと契約する資金すらないでしょう。JBCはどこの機関に依頼して調べているのでしょうか?
そして、UFCです。なんと!USADAと契約「365日ランダムテスト」を導入しているのです。相当な金額になるはずですが、五輪選手並みのドーピングテストを実施できる背景には、ESPNの全面支援があるのでしょう。
世界王者は1人だけ、8階級の価値あるタイトル、厳格なドーピング検査…いずれもボクシングを殺すために最強の武器です。
ボクシングは世界王者が何人いるかわからない、計量で放擲されるほどタイトルの価値は暴落、ザルのドーピング検査…マイナースポーツの座に転がり落ちているどころか、スポーツとしての裏付けすら怪しくなっています。
前置きが長くなりました。
UFCの8階級と、ボクシングのオリジナル8の体重比較です。
上半身正面のみの攻撃に限定される(下半身は防御的な意味で鍛える必要は無し)ボクシングと、〝なんでもあり〟UFCとの単純比較は格闘技の種類が違うので慎重にならなければいけませんが、UFCのオリジナル8は体格の向上した現代に即した、理にかなったリミットに映ります。
UFCの呼称はボクシングにならって同じですが、そのリミットは大きく上回っています。
※(カッコ)がボクシングのリミット。
◾️ヘビー級:265 lbs: -120.2 kg(200lbs〜)
◾️ライトヘビー級:205 lbs: -93.0 kg(175lbs -79.4kg)
◾️ミドル級 :185 lbs: -83.9 kg(160lbs -72.6kg)
◾️ウェルター級:170 lbs: -77.1 kg (147lbs -66.7kg)
◾️ライト級 :155 lbs: -70.3 kg(135lbs -61.2kg)
◾️フェザー級:145 lbs: -65.8 kg(126lbs -57.2kg)
◾️バンタム級:135 lbs: -61.2 kg(118lbs -53.5kg)
◾️フライ級 :125 lbs: -56.7 kg(112lbs -50.8kg)
UFCの女子最軽量は115 lbs-52.2 kgのストロー級で、それでもボクシングのジュニアバンタム級と同じウエイトです。UFCでは女子ですら115 lbs: -52.2 kg未満の階級は不要という考えです。
リング誌でも「OLD SCHOOL 8(古き良き8階級)」という連載で、毎月もし8団体なら誰が世界王者か?をリストアップしていました。
UFCの女子にならって、米国ではランキングが存在しない州も少なくない超軽量級のジュニアクラスは全て廃止するべきなのでしょうか?
もちろん、そうなるとタイトルの価値は跳ね上がります。井岡は4階級制覇ではなく、まだフライ級の一冠だけ。井上も完全統一のバンタム級の一冠だけで、複数階級制覇には成功していないことになりますが、人気階級の複数階級制覇の価値に近づくことができるでしょう。
しかし、悲しい哉。現実は17階級、ジュニアフェザー級以下だけで4つも水増し階級がお茶を濁している状況です。
そして…悲しい哉、私たちボクシングファンは認定団体が捏ち上げた欺瞞のクラスを、何の躊躇いもなく「廃止するのがベスト」とは言い切れないのも、もう一つの現実です…。
ここで、4年前にスタートした別のお話「水増し階級の怪物たちは本物だったのか?〜階級制の光と闇〜❶ゴメスの名はゴメス」へとループします。
https://fushiananome.superknova.org/archives/19521529.html
ただし、米国に目を移すとボクシングとMMAの立場は、後者が上。
ESPNの予算編成を見れば、その差はもはや挽回できるレベルを超えています。
トップランクの創始者が亡くなった時点で、ESPNはボクシング予算をゼロまで削減する政策を進めるという噂もあります。
一方で、米国の人口構成で成長著しいヒスパニック、特にメキシコ系の勢力はMMAよりもボクシングを好む傾向があり「米国人がボクシングから離れる穴をメキシカンが埋めてくれてる」(ボブ・アラム)のです。
実際には、穴は埋められず、ボクシングの没落に歯止めはかかっていませんが。
慢性経営難のリング誌は、2010年代後半には完全に破綻危機を迎え、ロンダ・ラウジーや井上尚弥という従来の読者が関心を示さない女性MMAファイターや超軽量級のアジア人を表紙に起用、MMAコーナーを誌面に加えるなど新規読者の獲得を狙いますが全くの不発。
それどころか、米国ボクシングファンが興味のないMMAや軽量級を表紙にしたことは、リング誌への幻滅を招き、既存読者をますます減らしてしまいます。
実際に、井上が表紙になったのはWBSS優勝前。優勝してからの約3年間は一度も表紙を飾ることなく、リング誌は100年の歴史に幕を下ろしました。

ボクシングに対して、その歴史、アーカイブの奥深さでは全く歯が立たないUFCが米国で大きな成功を収めた原因は、ボクシングに欠落している「スポーツであること」への徹底追求です。
UFCは「世界王者は1人だけ」「階級は8つだけ」というボクシングの古き良き時代を再現、さらにボクシングではザルのドーピング問題にも正面から斬り込みました。
ちなみに、ボクシングは各国(米国では各州)のコミッションが検査を実施、大きな試合になるとVoluntary Anti-Doping Association (VADA) の検査も課せられることがありますが、所詮はVADA。
このVADAは、ボクシング界に蔓延るドーピングに危機感を覚えたネバダ州アスレティック・コミッションのリングドクター、マーガレット・グッドマンらが創設した零細団体。
ノニト・ドネアらが師事するドーピング・グル、ビクター・コンテが「VADAの検査を潜れと言われたら、今の私でも簡単に出来る。ただ、五輪などでドーピング検査をリードするWorld Anti-Doping Agency(WADA)については「あれはプロフェッショナルでかけてる資金も桁違い。ドーピングから長らく離れている私が、WADAの検査を抜けるのは無理。もちろん、そんなことはしないけど」というように、WADAは最も厳格な検査機関。
WADAの地域担当が日本のJADAであり、米国のUSADA。
井岡問題で揺れるJBCは「WADAの検査基準に従っている」としていますが、WADA検査を導入しているわけではありません。おそらくVADAと契約する資金すらないでしょう。JBCはどこの機関に依頼して調べているのでしょうか?
そして、UFCです。なんと!USADAと契約「365日ランダムテスト」を導入しているのです。相当な金額になるはずですが、五輪選手並みのドーピングテストを実施できる背景には、ESPNの全面支援があるのでしょう。
世界王者は1人だけ、8階級の価値あるタイトル、厳格なドーピング検査…いずれもボクシングを殺すために最強の武器です。
ボクシングは世界王者が何人いるかわからない、計量で放擲されるほどタイトルの価値は暴落、ザルのドーピング検査…マイナースポーツの座に転がり落ちているどころか、スポーツとしての裏付けすら怪しくなっています。
前置きが長くなりました。
UFCの8階級と、ボクシングのオリジナル8の体重比較です。
上半身正面のみの攻撃に限定される(下半身は防御的な意味で鍛える必要は無し)ボクシングと、〝なんでもあり〟UFCとの単純比較は格闘技の種類が違うので慎重にならなければいけませんが、UFCのオリジナル8は体格の向上した現代に即した、理にかなったリミットに映ります。
UFCの呼称はボクシングにならって同じですが、そのリミットは大きく上回っています。
※(カッコ)がボクシングのリミット。
◾️ヘビー級:265 lbs: -120.2 kg(200lbs〜)
◾️ライトヘビー級:205 lbs: -93.0 kg(175lbs -79.4kg)
◾️ミドル級 :185 lbs: -83.9 kg(160lbs -72.6kg)
◾️ウェルター級:170 lbs: -77.1 kg (147lbs -66.7kg)
◾️ライト級 :155 lbs: -70.3 kg(135lbs -61.2kg)
◾️フェザー級:145 lbs: -65.8 kg(126lbs -57.2kg)
◾️バンタム級:135 lbs: -61.2 kg(118lbs -53.5kg)
◾️フライ級 :125 lbs: -56.7 kg(112lbs -50.8kg)
UFCの女子最軽量は115 lbs-52.2 kgのストロー級で、それでもボクシングのジュニアバンタム級と同じウエイトです。UFCでは女子ですら115 lbs: -52.2 kg未満の階級は不要という考えです。
リング誌でも「OLD SCHOOL 8(古き良き8階級)」という連載で、毎月もし8団体なら誰が世界王者か?をリストアップしていました。
UFCの女子にならって、米国ではランキングが存在しない州も少なくない超軽量級のジュニアクラスは全て廃止するべきなのでしょうか?
もちろん、そうなるとタイトルの価値は跳ね上がります。井岡は4階級制覇ではなく、まだフライ級の一冠だけ。井上も完全統一のバンタム級の一冠だけで、複数階級制覇には成功していないことになりますが、人気階級の複数階級制覇の価値に近づくことができるでしょう。
しかし、悲しい哉。現実は17階級、ジュニアフェザー級以下だけで4つも水増し階級がお茶を濁している状況です。
そして…悲しい哉、私たちボクシングファンは認定団体が捏ち上げた欺瞞のクラスを、何の躊躇いもなく「廃止するのがベスト」とは言い切れないのも、もう一つの現実です…。
ここで、4年前にスタートした別のお話「水増し階級の怪物たちは本物だったのか?〜階級制の光と闇〜❶ゴメスの名はゴメス」へとループします。
https://fushiananome.superknova.org/archives/19521529.html






