カテゴリ: ボクシング界はいつだって魑魅魍魎

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シャクール・スティーブンソンがサインしてからわずか3ヶ月、1度も試合を行わないでズッファ・ボクシングとの契約を解除しました。

デビン・ヘイニーとのビッグファイト、マニー・パッキャオとのメガファイトが企画されたといいますが、交渉成立に至らなかった最大の理由はファイトマネーです。

「トップランクもマッチルームも私のことを過小評価した」と不満をぶち上げたシャクールが、サウジアラビア・総合娯楽庁のトゥルキ・アルラシク長官が全面的に支援するズッファに期待したのは高額の報酬でした。

その長官は「特別な選手(アンソニー・ジョシュアやタイソン・フューリー、マニー・パッキャオら)以外には1000万ドル以上の報酬は出せない」と明言。シャクールが特別な選手でないのは明らか。

スティーブンソンの対戦相手にはゲイリー・アントゥアン・ラッセルも候補に上がりましたが、元WBCフェザー級王者のラッセル兄は「ズッファの報酬は100万ドルちょっと。到底受け入れることはできなかった」。

大手プロモーターはもちろん、WBCをはじめ認定団体との関係も冷え切っているスティーブンソンは、1月のテオフィモ・ロペス戦からリングを離れています。

「ボクシングファンの需要」という視線で見ると軽量級、米国の黒人で貧相、試合がつまらないスティーブンソンの報酬は10万ドルレベルが相場か、それでも高いかもしれません。

もし、メキシカンだったとしても、メキシカンスタイルとは真逆のチキンスタイルでは誰からも注目されません。

スティーブンソンが日本人なら「井上尚弥よりも強い」と億の報酬もありえましたが、彼は日本人ではありません。

彼の「人気がないのはプロモーターのせい」という理屈が大間違いだったことは、ズッファからも「商品価値」を突きつけられて、自分でも思い知らされたでしょう。




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シャクール・スティーブンソンが7月9日にサインしたばかりのズッファ・ボクシングとの契約を解消、わずか3ヶ月、1試合もしないという異例の形でサウジアラビア系プロモーションえなうを離脱することになりました。

デビン・ヘイニーとの対戦交渉がキャッチウエイトなどをめぐって不調に終わったことが表向きの原因ですが、マニー・パッキャオの名前もあがって噂されていた12月11日のタイソン・フューリーvsアンソニー・ジョシュアのアンダーカードでの登場も消滅。

シャクールはリオデジャネイロ2016五輪のバンタム級決勝でロベイシ・ラミレスに敗北、トップランクと契約してプロデビューしたエリートアマ。しかし、ラミレス戦でケチのついた消極的な安全運転スタイルは、プロでも相変わらず。

人気のない軽量級という以前に見ていて面白くないシャクールでしたが「(自身の不人気は)トップランクのプロモートに問題がある」と、契約満期の2024年に更新せず、マッチルームと複数試合契約を結びます。

米国市場に触手を伸ばしていたマッチルームにはトップランクから引き抜いたという意識もあったでしょうが、ボブ・アラムは「あいつは自分をパッキャオとでも思ってるのか?貧乏神を放出できて良かった」。

テレンス・クロフォードの弟分のようなポジションで、サウジアラビアの寵愛も受けるようになり、WBCや既存のプロモーターに攻撃的な発言を繰り返し、今年7月に念願のズッファと契約。

ファンが喜ばないスタイルに貧相、いつも言い訳ばかりのシャクールは当たり前に不人気で、アラムが言うまでもなくプロモーターにとってはクロフォードと同じ「貧乏神」。

サウジアラビアとしてはリングの中では強豪を攻略し、リングの外では認定団体や既存のプロモーターを攻撃しズッファを礼賛する代弁者という一石二鳥の手駒でしたが、商売度外視の体制から緊縮に転換、ボクシング市場からの撤退まで視野に入れている現状では〝自分の商品価値を勘違いしている貧乏神〟はまさに〝燃えないゴミ〟です。

ズッファ側がスティーブンソンを契約不履行で訴える立場ですが「1試合も契約をこなさないスティーブンソンの主張が認められた」ことになっています。

内実は、期待していたような報酬が提示されないことに不満を見せたスティーブンソンをズッファ側が「現状ではあなたの商品価値に見合った金額しか用意できない」と納得させたのでしょう。

アラムにもエディ・ハーンにも指摘され続けた「あなたの商品価値」。

2年前には「私の価値をわからないクズどもばかりだ」と引退宣言もしています。

Not mad at anyone.understands this is the business of boxing.

スティーブンソンの「誰も恨んじゃいない。俺でもわかることさ。これがボクシングビジネスってことだ」という言葉が全てです。

既存のプロモーターとの関係がギクシャクしているシャクールは「自分でプロモート会社を立ち上げ、配信会社も見つける。1、2年あれば人気階級のウェルター級にも届くはずだ」とし、多くのメディアでNo.1に評価される井上尚弥を抜いてPFPキングになって「自分の商品価値を上げる」としていますが…。

「面白くないやつ」。その烙印を最初に捺したロベイシもトップランクの不採算選手整理(井上尚弥や中谷潤人もリストラされています)にあっています。

「不人気階級の軽量級は要らない」というよりも「米国市場で商品価値のない選手は要らない」ということでしょう。身の程をわきまえた軽量級のタイトルホルダーなら、これまで通りにビッグイベントの前座の需要があります。

人気階級の中でも頭抜けた人気を誇るカネロ・アルバレスもゲンナジー・ゴロフキン戦をめぐって、かつてWBCを辛辣に非難しましたが、あのときは身勝手な物言いのカネロにWBCが謝罪しました。

しかし、いまや身の置き場の少ない黒人ボクサーで軽量級、しかも試合が面白くないシャクールはサウジの後ろ盾がなくなれば、既存勢力にとっては小物中の小物です。

カネロに勝って身に余る大金を手にして引退したクロフォードのような未来を描いていたかもしれませんが、サウジの時代は足早に去ってしまいました。

「私の才能を認めてくれている人たち、期待は裏切らないぜ」。

For the people that trust and believe in my talent, I will not let y’all down

そもそもファンが少ないシャクール。戦い方を変えない限り、彼が望む未来は永遠に訪れません。

今更それが出来るなら、生涯最高の舞台、星条旗を胸にした五輪決勝であんなヘタレっぷりは見せていないでしょう。



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【BBC】イランの支援を受けるイエメンの反政府勢力フーシ派が、サウジアラビアの空港や石油・ガス関連施設を相次いで攻撃、死傷者が出ている事態に対し、サウジアラビアのアブドルアジズ・ビン・サルマン・エネルギー相は12日、フーシ派に「厳しい」対応を取ると表明した。

アブドルアジズ氏は、首都リヤドで開かれたWPCエネルギー会議で「我々も同様に厳しく対応する必要がある」と表明した。

リヤドにあるキング・ハーリド国際空港の旅客ターミナルは11日に攻撃を受け、パキスタン人男性1人が死亡した。この空港は前日10日にも攻撃され、11日とは別のターミナルにミサイルが着弾、13人が死亡していた。

現在、被害を受けたターミナルは閉鎖中。




Saturday, 31 October 2026

event title:Mexico Vs. The World

Kingdom Arena, Riyadh, Saudi Arabia

promoter:Camille Estephan (Eye of the Tiger),
Eddy Reynoso (Clase y Talento - no boxing no life management)

 view on DAZN PPV 


31日に予定されているビッグイベントの開催が危ぶまれています。

メインイベントはWBCスーパーミドル級王者クリスチャン・エムビリが、米国市場で傑出した人気を誇るカネロ・アルバレスを迎える一戦。

アンダーカードには堤麗斗のジュニアライト級10or8回戦も組まれていましたが、イラン戦争の影響がサウジアラビアでも深刻化しています。

開催日まで、あと15日しかありません。明日から事態が劇的に改善するとは考えられず、11月7日に予定していたWWEのイベントなど、ボクシング以外の「リヤド・シーズン」の延期を早々に決定しています。

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ところが、サウジアラビア総合娯楽庁のトゥルキ・アルラシク長官は、日本時間14日午後23時現在でも「カネロは何があってもリヤドに行くと約束してくれた」と、開催の意向を変えていません。

ボクシング・シーンなど複数のメディアは「カネロはプライベートジェットに乗って特別な空港を使えるかもしれないが、我々は民間機。そもそもあの空港に入れるとは思えない」「会場は公表されている。フーシ派が標的にしない保証があるのか?」など、出場選手の関係者の悲観的な談話を紹介しています。

一方で、キャリア最高の報酬を約束されているほぼ全ての出場選手は、サウジがボクシングへの投資を縮小している背景からこのチャンスを逃したくないという思いが強いのも事実。


 It’s their last fight of the year, and likely the last fight in Saudi Arabia for a long, long time


しかも、今回のイベントが「今年最後のリヤド開催の大興行ではなく、おそらく今後長い未来まで見据えても最後になるだろう」と噂されているから尚更です。

ある程度のリターンが見込めるWWEやUFCの成長市場と違い、ボクシングは低迷が続いてるだけでなく市場規模も小さいのが悲しい現実です。

この状況は国難とはいえ、体調不良を理由などボクシング市場からの撤退理由に四苦八苦していた長官と総合娯楽庁にとって、渡りに船かもしれません。




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多くの関係者が「具体的には何も聞いていない」と自分の口から〝それ〟を言うのを躊躇っています。

〝それ〟とは「サウジのボクシング史上撤退」です。

そんな中で、12月11日に行われるボクシング史上最大のメガファイト「タイソン・フューリーvsアンソニー・ジョシュア」の当事者たちがメディアで〝それ〟について語り始めました。

「サウジの恩恵を受ける最後の人々」といわれる彼らの言葉は多分にサウジ寄りですが、そこを削ぎ落とすと、真実が見えてきそうです。

フューリーのマネージャー、スペンサー・ブラウンは「(トゥルキ・アルラシク長官の)ボクシングから撤退しないという約束を信じたい」としながらも「12月11日は別枠だが、彼らが主催するイベントは減少しており、報酬も下がっている」とし、「これまでのように採算度外視で資金を投入することは控えるだろう」「大きな興行はフューリーやジョシュアがからむヘビー級や、カネロ・アルバレスが出場する場合に限定され、単体で人気のない選手にはそれなりの報酬しか用意しなくなっている」と、すでに冬の時代に入っていると話しました。

サウジ抜きのイベントは、当たり前ですがビジネスです。ゲート収入やTV放映権、広告収入、人気があればPPV収入からファイトマネーを捻出あするしかありません。

「そんなの常識」というかもしれませんが、サウジの支援は採算度外視で高額ファイトマネーを支払ってきました。

リヤドの会場を見れば、狂気の沙汰が理解できるでしょう。ガラガラで全く盛り上がっていない会場にもかかわらず、高額の報酬と贅沢な報酬・滞在が与えられるのです。

〝最後の晩餐〟フューリーvsジョシュアのアンダーカードはまだ正式発表されていませんが、売り込みが殺到しているそうです。

その列には、ジョシュアを擁するマッチルーム傘下で、キャリア最高の報酬を窺うバム・ロドリゲスも並んでいます。〝最後の晩餐〟に参加できるかどうかは、報酬が低い軽量級選手にとって特に切実です。

選手としての栄光・名誉も賭けられる井上尚弥との決戦は逃したくないものの、まだ未来に対戦の可能性はあります。しかし、サウジの恩恵は12月11日が〝最後の晩餐〟。

カネロじゃあるまいし、アルファベット団体の王者クラスが試合数を抑えて、長官の声がかかるのを待つ姿勢は、サウジが興行数を減らし、報酬も削る方針を思い知らされるまでしばらく続くでしょうが、彼らは60〜75%もの減収を受け入れるしかありません。

サウジの興業が狂気の沙汰だと理解していないボクサーの中には、身の程知らずの消費習慣に馴染んでしまったことで破滅するかもしれません。

全く人気のなかったテレンス・クロフォードは幸運なサウジ長者でしたが、同じく不人気のシャクール・スティーブンソンの将来は微妙です。

ブラウンらは「何を持って撤退というのかわからないが、サウジは12月11日にメガファイトを事実上主催する。今年で撤退はない」と言いますが、今後も興行数と報酬の縮小が続くことは認めています。

すでに、リング誌のDAZNへの買収交渉が進んでいるといいますが、リング誌の累積負債もまる抱えしてくれるのが条件でしょう。それがないなら、売る意味がありません。DAZNとしても不良債権を引き取るからには、なるべく負担を減らしたいのは当然。

リング誌は「権威がある」と思ってる人もいるブランドですが、そういう人たちに限って定期購読していません。

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リング誌11月号⬆︎。記事がどんどん面白く無くなっているのは、読めばはっきりわかります。書いているのは米国や英国などの記者ですが内容はサウジアラビア・総合娯楽庁の提灯雑誌、オーナーは長官、本部と振込先はUAE。

この雑誌を、いまだに「アメリカの老舗専門誌」と紹介している日本メディアの感性を疑ってしまいます。「アメリカのリング誌」は2022年に、完全に死んでいます。










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認定団体と階級のガン細胞の如き増殖。

カジュアルなスポーツファンで、ボクシングのアルファベット団体のタイトルホルダーを「世界チャンピオン」と認める人は少数派でしょう。というか、もはや、米国ではもちろん日本でもボクシングの世界王者の名前を知っている人はいません。

日本では「井上は知ってる」という人はいるでしょうから、まだマシかもしれません。

そして、米国では常識的なメディアは「ワールドチャンピオン」から「WBAチャンピオン」「WBCのタイトルホルダー」という表現に移行しています。

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日本でも、すでに約40年前に渡辺二郎が「世界チャンピオンが2人おるって、どう考えてもおかしいでしょう」と真実を吐露していましたが、メディアもファンも注目することはありませんでした。

「主要」と呼ばれるだけで認定団体が4つ、階級は17。そして、各団体は、認定料の支払い実績がある傘下の地域タイトルホルダーや、高額の認定料を見込める人気選手を優遇、見るも無惨なデタラメランキングが出来上がっています。

米国などではマイナースポーツというだけではなく、スポーツとしての地位も危うくなっているプロボクシング。


米国では1960年頃、日本でも1970年頃まで、ボクシングはメジャー競技。米国ではヘビー級チャンピオン、日本では軽量級でも世界チャンピオンの名前を知らないスポーツファンは1人もいませんでした。

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TIME誌は創刊した1923年に、2人のアスリートを表紙に起用しました。サラブレッドのオーナーでポロ競技選手のステファン・サンフォードと、プロボクサーのジャック・デンプシーです。

ジョン・L・サリバン、ジェームス・J・ジェブリーズ、マービン・ハート、トミー・バーンズ、ジャック・ジョンソン、ジェス・ウィラード、デンプシー…1960年代のモハメド・アリまで世界ヘビー級チャンピオンの名前と系譜はカジュアルなスポーツファンは誦じることが出来るほどメジャーな存在でした。

それが、いまでは「オレクサンデル・ウシクがニューヨークの街を歩いてて、何人の人が彼に気づくだろうか?」(ESPN)という存在になってしまいました。


そして、いま。ボクシングはあらゆるスポーツで神聖な殿堂までその門戸を大きく広げ、殿堂入りの価値まで堕落させているのです。




ボクシングの殿堂が最初に形を成したのは1980年、World Boxing Hall of Fame(世界ボクシング殿堂)でした。

世界ボクシング殿堂はロスアンゼルスで活動していましたが、団体と階級の増殖、米国でのボクシングのステイタス低下の影響もあって有力スポンサーを集めることができず、2010年に解体。

サクラメントに拠点を移して再開していますが、1990年に創設されたInternational Boxing Hall of Fame (国際ボクシング名誉の殿堂 IBHOF)が規模、認知度で大きく上回り、存在感はほとんどありません。

殿堂ではトレーナーやマネージャー、レフェリー、ジャッジ、プロモーター、メディア関係者など非ボクサーも表彰されますが、やはり最も注目されるのはボクサー。

そのボクサー部門はパイオニア部門とモダン部門に大別され、モダン部門から漏れたグレートを〝救済〟する目的などを担うオールドタイマー部門の3つがあります。

この3つの中で最も価値があるのは、もちろんモダン部門。日本人で選出されたのはファイティング原田、ただ1人だけです。原田よりも時代が新しい大場政夫と具志堅用高がオールドタイマー部門で選ばれているのは、モダン部門の選考期間が過ぎたため。

ウィキペディアで、大場と具志堅がモダン部門のように扱われているのは間違いです。

モダン部門は「引退後5年」で資格発生、その後10年で殿堂入りの得票に達しなければオールドタイマーに回る仕組みで、毎年最大3名が選出されていました。

しかし、現在では引退後3年に短縮、今年から毎年4名選出とハードルが大きく下げられました。

1990年の初年度には、モハメド・アリ、ヘンリー・アームストロングら文句なしの20人が殿堂入り、1995年にはファイティング原田とウィルフレド・ゴメス、パスカル・ペレスらが選出。

この時期と比較するのは無理があるかもしれませんが、ダニエル・サラゴサやアーツロ・ガッティの一発殿堂には違和感しかありません。

原田以来のモダン部門は井上尚弥がほぼ確実と見られていますが、これは文句なし。ただ、現状の殿堂のバーゲンセールが続くなら、井岡一翔らの殿堂入りも十分あり得ます。

そして今年は、リストアップされているオマール・ナルバエスはさすがに考えられませんが、今年は史上最悪の事態になりそうな気配なんです…。





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まず、最初に確認しておきたいことはBoxRecなどの「パンチスタッツは試合の実態を正確に映し出す数字ではない」ということです。

1985年に行われたレイ・マンシーニとリビングストン・ブランブルの再戦からCompuBoxが登場してから41年もの歳月が流れましたが、そのスペックはほとんど進化していません。サッカーや野球とは雲泥の差ですが、これもまた没落スポーツの悲哀です。

Landed(着弾)はクリーンヒットでなくても、ブロックされても体に当たればカウント。Thrown(手数)はそんなLanded はもちろん、空振りさせられたスイングも含めた数字になります。

さらに、Power Punches(パワーパンチ)は利き手、Jab(ジャブ)は利き手ではない前の手と明確に分けています。

オースドックスにチェンジしても、ハグラーの必殺の右フックは、あろうことかジャブにカウントされるのです。

フロイド・メイウェザーが手数では劣るもののクリーンヒットを許さず、左ジャブの煙幕を張りながらカネロ・アルバレスを空転させた3分1ラウンド。スタッツでは手数も着弾もカネロが上回っても、ゲームのコントローラーを誰が握っているのか、どちらを支持した採点にすべきかは明らかです。

また「ストレートのような強烈な左ジャブ」と表現されることのある、井上尚弥のリードも拳を返さない〝悪意〟を込めた強打は「ストレートのような」ではなく、まさしくストレートです。


ーーーシャカセツでしたが、それを踏まえて…


Sunday, 27 September 2026 - Toyota Arena Tokyo
Koto-Ku, Tokyo, Japan

commission:Japan Boxing Commission
promoter:Akihiko Honda (Teiken Promotions)
メディア:PRIME VIDEO BOXING 16

◾️WBCバンタム級12回戦◾️


まずは12ラウンド36分間トータルのパンチスタッツです。

拓真が420発中、121発着弾(そのうちボディショット25)で的中率28.8%。天心は498発中、99発着弾(ボディショット36)で的中率19.9%。

この数字からは精度の拓真、手数の天心という構図が思い浮かびますが、実際の試合にそこまでの差は認められません。

ボクシングは「各ラウンドを独立した単位で採点する」のが絶対条件ですから、トータルの数字を実際の判定と結びつけるのは無理があります。

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各ラウンドで見ても、スタッツ上で大きな差が認められるのは、拓真の第5ラウンド(手数44:着弾15=着弾率34.1%/天心 手数39発:着弾5発=12.8%)と、天心の第7ラウンド(手数65:着弾18=27.7%/拓真 手数27:着弾5=18.5%)。しかし、この数字も現実の印象から大きく乖離しているように見えます。

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各ラウンドのスタッツを見ても、オフィシャルとの妥協点を見失ってしまうような数字が並んでいます。

何度も繰り返してしまいますが、ジャッジには恐ろしく幅の広い10−9ではなく、どちらにも振れないラウンドに「10−10」を付ける勇気が求められています。

「〝基準〟となる初回を10−9とスコアするのは(その後に同じレベルかそれ以上に接近したラウンドがあると10−9を何度も付けなくてはならなくなるから)とんでもない覚悟が必要になる」と反論したジャッジもいましたが、プロのジャッジでしょう?

そんな覚悟を裏付ける審査眼を持たないでどうするのですか?


https://fushiananome.superknova.org/archives/4855436.html



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THE RING MAGAZINE、リング誌。

極度の販売不振から1989年に廃刊に追い込まれたマイナースポーツの零細専門誌ですが、日本ではメディアのミスリードによって「権威がある」と枕詞を添えられることも多く、それを真に受けている「(自称)長年のボクシングファン」もいる摩訶不思議な媒体です。

「リング誌のPFPは価値がある」なんて、「どっちも価値なんてないわッ!」という戯言です。

1970年代には、現代のアルファベット団体もびっくりのリング誌ランキングの不正操作スキャンダルによって、信頼は崩壊。もともと誰からも信頼されていなかったので「信頼崩壊」という表現は間違いで「不信感が限界点を突破した」とするのが正しいかもしれません。

奇妙な専門誌です。

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1989年5月号⬆︎を最後に売場から退場を余儀なくされたリング誌でしたが、1990年1月号から復刊。

「日本やアジアのボクシングファンにも読んで欲しい」と、8階級を貫いてきたランキングを15階級まで拡大しましたが、軽量級の中でも日本人が最も好き勝手できるストロー級とジュニアフライ級をカット。「わかってないなぁ」は今にも繋がる、リング誌の伝統です。

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1990年1月号からスタートした「リング誌PFP」。年間表彰に組み入れられた「BEST FIGHTER POLL(年間PFP)」(2017年に廃止)とは異なるランキングです。

第1回のPFPからライト(軽量)級未満の軽量級贔屓は一貫していました。5位にフェザー級のアントニオ・エスパラゴサ、6位にジュニアライト級のアズマー・ネルソン、8位にバンタム級のラウル・ペレス、10位にジュニアバンタム級のヒルベルト・ローマンと4人がランクイン。

さんざん悪口を書き連ねましたが、私はサウジアラビアのトゥルキ・アルラシク長官に買収されてから、かつてほどの興味を失ってはいるとはいえ、長年の愛読者です。



リング誌とは何だったのか?

崩壊するリング誌(サウジに買収された時点で死んでましたが)に公私混同の思いをぶつけながら、哀悼してゆきます。



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年間アウォード表彰式ではカネロもウシクも、あのデュランですら脇にやって長官がセンター…世界中のボクシングファンから唾棄されました。


トゥルキ・アラルシク。このブログではさんざん指摘してきましたが、彼はその登場からして怪しさ満点でした。

2019年に「幼い頃からのボクシングファン。その頃のボクシングは輝いていた。ボクシングの社会的ステイタスが下落する一方の現実をストップさせ、タイトルの価値を引き上げ、ボクシングを再興したい」と意気込んで、ボクシング界に参入。

1981年にサウジアラビアで生まれたアラルシクが「輝いていたボクシング」というのは、いつのことでしょうか?1981年なら、私が米国ボクシングに惹き込まれたのと同じ時期、史上最高の試合と評価されることもあるシュガー・レイ・レナードvsトミー・ハーンズの第1戦が行われる年です。

もちろん、彼はまだ生まれたばかりの0歳ですから、4KINGSのラウンドロビンに熱狂したとは思えません。マイク・タイソンが東京ドームに沈んだ1990年、彼はまだ9歳。

90年代から以降は、ボクシングが輝いていたとは到底言い難く、彼が夢中になったというのはいつの時代なのでしょうか?

そして、現在繰り広げられているリヤド・シーズンを見れば一目瞭然、サウジアラビアにはボクシング熱はありません。歴史上、著名なファイターも存在しません。

そして「長年のボクシングファン」。その言葉に納得できるような言動を、私はついに一度も耳にすることはありませんでした。ある意味、嘘が下手くそな正直者ともいえるかもしれません、いや「正直者」はないか。

「ファンが見たいカードをPPVではなく課金など無しで提供する」という言葉については、既存のプロモーターでは不可能だったオレクサンデル・ウシクがそれぞれ2試合を戦ったアンソニー・ジョシュア、タイソン・フューリーとの激突をあっさりと実現させました。

また、ライトヘビー級のドミトリー・ビボルvsアルツール・ベテルビエフというマニア垂涎の大勝負もサウジで2試合も開催しました。

著名なファイターが存在しないがゆえにアウエーもホームもないサウジで行われたビッグファイトが、公正な採点だったことも、もっと注目して、評価しても良かったかもしれません。

もし、サウジの参入があと15年早ければ、フロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオは鮮度抜群のタイミングで実現していた可能性もあります。

さらに、認定団体によるタイトルの価値をいたずらに暴落させるだけの階級の細分化や、デタラメランキングにもとづいたデタラメタイトルマッチに対してNOを突きつけました。

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2022年の廃刊の際には「100年前の創刊号をテックス・リカードとロンズデール卿にしたのがそもそもの間違い。当時人気絶大だったジャック・デンプシーこそがふさわしかった」と100年の反省の弁を述べたリング誌でしたが…長官はたびたび表紙や記事中の写真に登場。「リング誌を愛読していた」というのも、おそらく嘘だったのでしょう。



「長年のボクシングファン」というのは眉唾ですが「認定団体がボクシングをダメにした」「ファンが望むカードを実現させないプロモーターは悪」「無駄なクラスが多すぎるフェザー級以下の7階級は1つか2つに集約すべき」…その主張の多くは正論でした。

「腐りきったボクシング界を改革する」なんてかっこいいこと言いながら、現状の秩序をかき回すだけ掻き回して退場した…それが事実かもしれませんが、ボクシング界に貴重な問題提起をしたのは間違いありません(その真の目的がスポーツウォッシングという問題は一旦外して)。

また、サウジの後ろ盾がなければここまで強烈な〝侵略〟は出来なかったであろうダナ・ホワイトの挑戦はまだ続くでしょう。




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サウジアラビア総合娯楽庁のトゥルキ・アルラシク長官は自身の体調不良を理由に、ボクシング界からの撤退を示唆しています。

もし、本当に体調不良が原因なら責任者の交代で済む話ですが、赤字を膨らませる一方だけでなく、マイナースポーツゆえに訴求効果も低いボクシング事業に、王室の堪忍袋の緒が切れたというのが実態でしょう。

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リング誌の名物リポーター、シンシア・コンテもサウジ礼賛雑誌になった〝沈没船〟から早々に脱出。


まず、長官がオーナーをつとめるリング誌の経営権をDAZNに売却、徐々にこのマイナースポーツから撤退を進めていく構えです。

今週水曜日にロンドンで行われたアンソニー・ジョシュア対タイソン・フューリー戦の記者会見でも長官は「私は長くはここ(ボクシング界)にいることはないだろう」「2年後にこのことを覚えているかどうかも分からない。ここ4ヶ月、体調が優れない」と発言していました。

2023年以降、サウジアラビア、イギリス、アメリカで数々のビッグファイトを主催してきた長官は、2024年11月にオスカー・デ・ラ・ホーヤからリング誌を約1000万ドル(実際はもっと少額と見られています)で買収。

「ボクシング界の復活」を目指し「ファンが見たいファイトをPPVではなく無料で提供する」と、かつてのDAZNと同じ理想を掲げましたが、DAZNと同様にすぐにPPVを導入。

さらに、リング誌も「編集の独立性を守る」と誓約していたにもかかわらず、サウジ寄りの提灯記事を垂れ流し、年間表彰の記念撮影でもスター選手を差し置いて自らがセンターに立つなど、サウジの広報誌に成り下がっていました。

昨年はBoxingSceneがサウジが資金提供するZuffa Boxingの報酬体系を記事にすると、リング誌がネガティブキャンペーンを展開。サウジが運営する興業でBoxingSceneの記者にパスを発行しないなど、締め出しを図りました。

The Ring Magazine has become a “Dead asset”

デラホーヤはリング誌について「私が保有していたときはゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)の選手寄りにならないよう自由な編集を認めていたが、今は完全にサウジの宣伝雑誌。The Ring Magazine has become a “Dead asset(リング誌の資産価値は死んでいる=リング誌に買収する価値はない)」と、買い戻しを否定。

DAZNの広報担当者は「当社の方針で合併・買収、提携、契約に関する噂や憶測について、逐一コメントを残すことはありません」と、リング誌買収について明言を避けています。

2022年に長年にわたる極度の販売不振から廃刊に追い込まれたリング誌は、2023年にサウジの援助で復刊しましたが、販売が上向くはずもなく、ボクシングのプロモート活動ほどではないにせよ、デラホーヤ時代よりもさらに深刻な赤字が続いていたのは疑いようもありません。

DAZNはマッチルームとクイーンズベリーの世界2大プロモーターにGBP、トップランク、プレミア・ボクシング・チャンピオンズといった主要プロモーターと配信契約を締結、ボクシング界への影響力を強めています。

しかし、DAZNがリング誌のオーナーになって編集方針を正常化させるとは考えられません。また、伝統のあるリング誌チャンピオン・ベルトや年間表彰、歴史は浅く価値は低いもののマニアの興味をくすぐるPFPランキングなどをどう扱っていくのかも悪い方向にしか転ばない気がします。

長官の健康問題の真偽は不明ですが、サウジ皇太子との関係が悪化しているのは想像に難くありません。

10月31日に首都リヤドでカネロ・アルバレスとWBCスーパーミドル級王者クリスチャン・エムビリのタイトルマッチが予定されていますが、いつものように当たり前ですが現地の熱狂は冷めきっていて、アンダーカード出場予定のファイターはいまだに契約書が送られてこないことに不安を募らせています。

この興行でドーピング検査の依頼を受けているVADAもいまだに正式の申し込み・入金がないことから「検査は実施していない」状況です。

アンソニー・ジョシュアが7月にリヤドで戦ったファイトマネーが期日を過ぎても入金されないことを、エディ・ハーンが会見を開いて訴え、先月になってようやく最低保証額が振り込まれたと発表しています。

ボクシング界の主要プロモーターを合わせた以上に巨大な資産価値を持つUFCがズッファ・ボクシングを引っ込めることはないでしょうが、周囲は敵だらけ。サウジの後ろ盾を失うとなると屋台骨も揺らぎかねません。


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◾️WBCバンタム級12回戦◾️

©︎井上拓真 vs 那須川天心

116−111*2/114−113


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昨夜の「PRIME VIDEO BOXING 16」。海外での報道はけして大きな扱いではありませんでした。

坪井智也とリカルド・マラジカのWBCジュニアバンタム級王者決定戦については「地元選手に厳しい判定」という記事もありました。

一方で、帝拳と大橋陣営で判定についての見方が大きく分かれたのが、井上拓真vs那須川天心2。

12ラウンドを通して、決定的な場面は第7ラウンドに天心が奪ったダウンシーンだけ。どちらも主導権を握ったとは言い切れない展開のまま、36分間が終わってしまいました。

前半4ラウンドを40−36で拓真のフルマークとした採点は、初戦と同じように天心にとって過酷なスコアでした。しかし「どうしても10-9に振り分けなければならない」としたら、ありえないスコアではありません。

そして、最終回終了ゴングと同時に両者が勝利をアピールして手を挙げた姿には、どうしてそこまでの確信があるのか違和感しか覚えませんでした。

拓真は「全くダメージを受けてない、(第7ラウンドを除くと)明白に取られたラウンドはないから負けはない」と確信していたでしょう。天心も「まともにパンチをもらってない。ダウンも取ったし9ラウンド以降でポイントを取り返したはず」と手応えがあったのかもしれません。

しかし、どこからどう見てもどちらかがペースを掌握した流れではありませんでした。

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【公開採点:1〜4ラウンド=40−36/39−37/38−38】
※スコアは順番にネイサン・パーマー/ファン・カルロス・ペレイヨ/デビッド・サザランド

浜田剛史の「4ラウンドの採点を聞いて、取られているのかと」に、葛西裕一の「びっくりしましたね。3ポイントは取っているのかな、同点でもしょうがないかな、と思っていた」という戸惑い、大橋秀行の「ダウン以外は、今日は完璧だった」という見方は、どちらも賛同できません。「両者ともペースを掴みきれていない」と見るのが正解です。

ただ、2人が拓真を支持した事実に対して、Bプランを発動しなければならなかったのは、挑戦者。

天心は第7ラウンドにダウンを奪ったことで、この回は3者ともに10−8。しかし、天心が明白なラウンドを求めて攻撃を加速させたのは、ダウンを奪ったこのラウンドだけ。


【公開採点:1〜8ラウンド=77−74*2/75−76】

劣勢と判断された前半4ラウンド。逆襲が求められた中盤(5〜8ラウンド)だけを切り取ると37-38/38−37/37−38で、天心を支持したのはサザランドの一人だけ。

第7ラウンドを10−10にすると、サザランドのスコアも39−38で拓真を支持。天心はダウンを奪ったものの、この4つのラウンドでも明白に主導権を奪うことはできませんでした。

残り4ラウンドを全て取れば勝利を手繰り寄せることができますが、それは決定力のない天心に対して無理な注文。


第9ラウンド〜最終12ラウンドを切り取ると39−37*3。天心はスコア上だけでなく、見た目にも終盤で求められた意を決した逆襲を見せることができませんでした。

非常に凡庸な12ラウンド、36分間に映りました。

「僕の場合は、ポイントをとってボクシングをやるプランはない。倒して勝ちたかった。プロボクシングなんで決着をつけたい。そこにいきすぎた部分があったのかなと」という天心のコメントも意味がわかりません。「いきすぎた部分があった」なんてことはなく「しっかりいけなかった」ようにしか感じられませんでした。



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