カテゴリ: 世界のボクシング:階級/キャッチウエイト

井上尚弥とマーロン・タパレスのジュニアフェザー級完全統一戦、その第1ラウンド開始のゴングが打ち鳴らされるまで、あと2ヶ月を切りました。

勝者は、このクラスで史上初のUndisputed championになります。

…というよりも、ジュニアフェザー級はWBAからWBCが分裂したあとに出来たストロー級やジュニアフライ級、ジュニアバンタム級と同じ新設階級なので、まだ誰も「Undisputed champion=議論する余地のない王者」になっていないということです。

オリジナル8の他でも、分裂前から設定されていたジュニアライト級、ジュニアウエルター級、ジュニアミドル級は当然ながらUndisputed championが存在しました。

ちなみに、クルーザー級とスーパーミドル級もジュニアフェザー級などと同じように分裂後に新設されたクラスですが、クルーザー級はイベンダー・ホリフィールドとオレクサンデル・ウシク、スーパーミドル級はカネロ・アルバレスが完全統一して、Undisputed championの座に就いています。

今回のジュニアフェザー級Undisputed championshipの勝者は、4つのアルファベットタイトルを束ねるだけでなく、ギレルモ・リゴンドーが昨年手放したLineal championと、リング誌タイトルも手に入れることになります。



さて、井上のキャリアで今回のタパレスはドネアの2戦もカウントすると、のべ7人目のフィリピン人。

対戦相手の4人に1人以上がフィリピンからの刺客ということになります。

というわけで(どういうわけだかこの時間でしっかり酔っ払ってるワシにもようわからんが)現在の東アジアのボクシングをリードする日本とフィリピンのプロボクサー、その競技人口を今日のBoxRecから階級別に拾ってみましょう。
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両国ともスーパーミドル級からヘビー級の重量級は一気に層が薄くなり、フィリピンでは綺麗にゼロが並んでいます。

日本とフィリピン、よく似た競技人口の構成です。

日本がライトヘビー級とクルーザー級の選手を1人も抱えていないにもかかわらず、ヘビー級に5人もの選手を送り込んでいるのは、この競技に募らせ続けている大きなロマン、夢の発露です。

そして、フィリピンがスーパーミドル級からの4階級でたった1人のファイターもリストアップしていない潔さを見せているのは、ボクシングに甘い夢など必要ないという姿勢の証左なのかもしれません。

日比両国は総人口でも似通っています。

そこに両国のボクシング人気というフィルターを通すと、東シナ海の貧しい島嶼国家のボクシング人口があまりにも少なすぎるように映ってきます。

あくまで推測ですが、フィリピンではプロテストを受けたり、ジムに通うお金がなく、草拳闘・賭け拳闘で戦う、BoxRecがカウント出来ないプロ予備軍が少なからず存在するのではないでしょうか?

いずれにしてもタパレスは、ボクシングファンの度肝を抜く大番狂せを何度も歴史に刻んできたハングリーなフィリピン人の血脈を継ぐ職業拳闘士です。

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パンチョ・ビラがニューヨーク・ポログラウンズで伝説のチャンピオン、ジミー・ワイルドを破壊するなんて、スタジアムに詰めかけた2万人の誰1人として予想していなかったでしょう。

世界ミドル級王者セフェリノ・ガルシアが、ヘンリー・アームストロングの4階級制覇の野望を摘み取り、引き分け防衛に持ち込むなんて、誰が考えたでしょうか?

パワーしか取り柄のないローランド・パスクワがウンベルト・ゴンザレスを撃沈したとき、何が起きたのかを、すぐに理解できた人はいませんでした。

絶望的に不利と見られたノニト・ドネアが、ビック・ダルチニアンの意識を吹っ飛ばした〝後の先〟の左フックに、軽量級マニアは至福の鳥肌を立てました。

そして、私たちはマニー・パッキャオの実力を何度疑い、自分たちが間違っていたことを何度思い知らされたことでしょうか。

もちろん、マーロン・タパレスはパンチョ・ビラやパッキャオ、ガルシア、ドネアであるわけもなく、パワーも世界レベルでは物足りない、パスクワ以下の穴王者です。

しかし、彼もまた、敵地で恐るべき番狂せを演じてきた外弁慶のフィリピン人の系譜を引くファイターです。

これまで井上の拳に倒されてきたのべ7人のフィリピン人と同じ運命を辿るのか?

それとも、ボクシングがメジャースポーツのフィリピンにとって歓喜の〝七度目の正直〟を演出するのか?

多くのブックメーカー、専門家、ファンは31歳のフィリピン人サウスポーが12ラウンド終了のゴングを聞くことは出来ないと決めつけていますが…。
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ボクシングやMLBを見てて、日本人が戸惑うのことの一つがポンドやヤードの単位、Imperial units(帝国の度量衡)です。

1ポンドは0.45359237…kg。147ポンド(ウエルター)級は66.6780…kg。16オンスが1ポンド、なので1オンスは28.349523125…g、8オンスのグローブは226.79625…g

ストーン(14ポンド)もImperial units。テン・ストーンは140ポンド、ジュニアウエルター級です。

1フィートは0.304800609601219…m。現在、ワールドシリーズが繰り広げられているグローブライフ・フィールドのホームベースからライトポールまでは 326フィート。99.3649987296…m。

メートル法( metric system)とは全く違う度量衡なので、正確に換算できません。

陸上競技では4×400m(1600m)リレーをマイルリレーと呼ぶのが一般的ですが、マイルは正確には1609.344…mになります。

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イングリッシュパブで飲む生ビールや、ハーゲンダッツは1パイント(473.176473…ml)。

飲むたびに、舐めるたびに、貧乏性の私の脳裏には「帝国は0.176473…mlを切り捨てて、騙している」という思いがよぎるのでした。

まあ、ややこしい…。

「プロもアマチュアボクシングのように国際基準=メートル法( metric system)、kg表示にするとわかりやすいのに」という意見は、いつも耳にしますが、スポーツの世界は夢の国、Imperial units(帝国の度量衡)のままで良いのです。絶対に変えちゃいけません。

「ライトまで326…メートル?ほんとに?すげえ!」と、Imperial units(帝国の度量衡)を知らずに混乱しているバカ中学生たちに「メジャーはスケールが違うんじゃ」と、本当のことを教えてあげないのも一興ですし。
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減量苦が代名詞のビッグネームがリングに上がりました。

10月7日 英国シェフィールド
WBAフェザー級12回戦
©️リー・ウッドvsジョシュ・ウォリントン


10月7日 米国ネバダ州ラスベガス
クルーザー級12回戦
ヒルベルト・ラミレスvsジョー・スミスJr.



劇的な7ラウンドTKOを飾ったウッドは戦前から「この試合が最後のフェザー級」と減量苦を訴え、タイトルを返上する予定で、次戦はジュニアライト級で行う意向です。

元WBOスーパーミドル(168ポンド)級王者スルド・ラミレスは、ライトヘビー(175)、クルーザー(200)と体重を上げてきました(今回の試合は192ポンド契約)。身長189㎝というフレームはあるものの、減量苦はクルーザーで落ち着くでしょうか?

減量苦で階級を上げること、体重超過の失態を侵してしまうことは、最近のファイターで特に顕著です。

加齢による新陳代謝の鈍化はあるにせよ、その想定を遥かに超えています。成長が一段落した成人男性にも関わらず、どうしてそんなことが起きるのでしょうか?

まず、試合数の減少が考えられます。年3回で多いという世界王者の試合数は、オフの大きな体重増を招いています。

試合数が多かった時代でも、過酷な減量を経た試合が終わると〝暴飲暴食〟で、体重の増減幅が大きかったファイティング原田は常に減量苦に付き纏われていました。

渡辺二郎が「減量苦を自慢したらあかん。リングに上がってからの戦いの厳しさを語るならまだしも、減量はリングに上がる前の大前提」と原田をたしなめていました。

当たり前です。パイロットや運転手が前日に「酒、飲みたくてたまらなかってけど我慢した」と自慢するのと同じです。

試合のない時期も節制し、過酷な減量から縁遠かった内山高志は「普段から体重を増やさないようにしていたら良いだけ」と語ります。

一方で、前日計量と当日のリバウンドという現代ボクシング特有のテクニカルな問題も横たわっています。

IBFは10ポンド制限ルールを設定してますが、軽量級でも井上尚弥や井岡一翔のように10ポンドを超えて増量してくる天才リバウンダーも珍しくありません。

ボクシングは体重制のスポーツです。しっかり動ける健康な状態なら重ければ重いほど有利となります。

人間の生理に大きく反した体重変動を繰り返せば、肉体が変動するのも当然です。

そこに、世界タイトルの価値暴落が覆い被さってくるのです。体重超過、タイトル剥奪、上の階級に…そんなことが安易に繰り返されているのは、ある意味で当然です。



1960年代なら、井上や井岡はどの階級で戦っていたのでしょうか?

あるいは、当日計量でフライ級を作っていた原田が現代リングで戦っていたら何階級制覇していたでしょうか?
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「ジュニアかスーパーか?」などなど、何度か取り上げているテーマです。

今夜、重岡優大・銀次朗の2人が揃ってアルファベットタイトルを獲得した105ポンド級。

日本では「ミニマム級」で統一されていますが、リング誌やESPN、TBRBなど国際的にはストロー級が主流。

認定団体ではWBAがミニマム、WBCがストロー、IBFとWBOがミニフライと呼んでいます。

JBCではミニフライ→ストロー→ミニマムと変遷してきました。

当初「ミニフライ」としていたWBAが「これ以上したの階級は作らない、これが最軽量」という自戒的意味で105ポンド級を呼んだのが「ミニマム」の始まりですが、誰も歓迎していないでしょう。

重岡兄弟をはじめ、当事者の方々もそうでしょう。

「ライト」(軽い)がすでに存在していた後に作られた〝超軽量級〟の呼び方「モスキート」や「フライ」「バンタム」「フェザー」も小さい、軽いを強調した表現です。

「フェザーパンチ」は、羽のように軽いパンチを揶揄するときに使われます。欧米のファンにとって「フェザー」に強いイメージはありません。

まあ、それでも「ライト級よりもさらに軽い」ことを意味するためには許容範囲かも知れません。

ただ、ミニマムは頂けません。

フェザー(羽)、バンタム(チャボ)、フライ(ハエ)、そして105ポンド級はストロー(麦わら)で良いんじゃないでしょうか。
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カネロ・アルバレスがジャーメル・チャーロを撃退して、スーパーミドル級のUndisputed Titleを3度防衛。

Undisputed Titleの3度防衛は、4–Belt Eraでの最多記録(2位はデビン・ヘイニーの2回)だそうです。

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試合前は「2」でヘイニーと並んでいましたが…。3度防衛で最多防衛記録で頭ひとつ抜け出したカネロ。

「この価値はをどう表現したら良いのか?」(ティム・ブラッドリー)…戸惑っているのはあなただけじゃありません。

どうでもいいですよ。
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  WHO SHOULD HE FIGHT?
BigShotSKさん↑安心してください「L」入れましたよ。



誰と戦うべきだったのか?

このテーマで最も盛り上がるファイターは内山高志でしょう。2010年1月から2016年4月までの6年以上もジュニアライト級のWBAストラップをキープ。

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ジュニアライト級は人気階級か?と問われると微妙です。そう、微妙なのです。どちらとも言えないのです。

オスカー・デラホーヤやフロイド・メイウェザーがこのクラスを橋頭堡にウエルター級で、スーパースターに登り詰め、マニー・パッキャオが最も大きなレガシーを築いたのも130ポンドでした。

スターにテイクオフする滑走路、それがジュニアライト級です。


内山のカウンターパートだったファイターはフェザー級から上がってきたエイドリアン・ブローナーやマイキー・ガルシア。一つ上のライト級にはファン・マヌエル・マルケスやロバート・ゲレーロも。

タラレバですが、内山がビッグネームと戦い、勝ち抜けていたら…パッキャオやメイウェザーとのメガファイトに繋がっていた…そう考えるのは突拍子もない妄想とは言い切れません。


ジュニアライト級がスタート地点ではなくゴールになりそうな井上尚弥のキャリアで、パッキャオやメイウェザー、デラホーヤ級のスーパースターと巡り合う幸運は妄想すらできませんが、内山の場合はいつでも〝離陸〟できる体勢にあったのです。

世界的なスーパースターになれないのなら、専門家評価を高めるしかないーーーそう考えた訳ではないでしょうが、減量苦でジュニアフライ級を飛び出したモンスターはジャーメル・チャーロのように跳び級で階級最強王者に挑戦します。

フジテレビがでっち上げた〝伝説の名王者〟オマール・ナルバエスです。
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年内に実現が期待されるWBC/WBOジュニアフェザー級王者・井上尚弥のUndisputed Championship(完全統一戦)。

対戦相手はWBA/IBF王者マーロン・タパレス。

31歳のフィリピン人はNightmareの異名を持つサウスポー。バンタム級時代にWBOタイトルをピックアップしている2階級制覇王者ですが、今の時代どこにでも転がっているa champion(数多くの王者の一人)です。

「ベルトを持っていなければ井上が戦う価値はない」とまで言われるほどで、敗色濃厚の井上と戦わなかったとしても、タパレスが強豪王者、安定王者になると考えている人はまずいません。

誰と戦ってきたのか?そして誰と戦うべきだったのか?…モハメド・アリやマニー・パッキャオが語られることはまずないテーマですが、フロイド・メイウェザーやカネロ・アルバレスは常にその矢面に立ってきました。

WHO SHOUD HE FIGHT?アリやパッキャオが超弩級の変態なだけで、こなせる試合数が少なくプロモーターやテレビ局の対立などファンが望むカードにはいくつもの障害があるのがボクシングです。

それでもあえてWHO SHOUD HE FIGHT?

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▪️WBCジュニアフライ級(2014年4月6日〜9月5日)▪️

【タイトル奪取】アドリアン・エルナンデス…WBC王座を4連続防衛して日本に乗り込んできた当時28歳のメキシカン。

弱くはないが強くもない、いわゆる並みの王者。


▼▼▼画像左▼▼▼
当時のジュニアフライ級シーンはドニー・ニエテスと井岡一翔のストロー級から進出した2階級制覇王者が高く評価されていました。

エルナンデスはリング誌評価で4位。4団体時代なら、辛うじて王者と認められる順位。

まだ世界王者ではない井上が、すでに9位にランキングされています。


▼▼▼画像右▼▼▼
WBCのストラップを獲得した井上は5位にジャンプアップ。4位のジョンリール・カシメロの直下です。こんな時代もありました。

そして、10位にまだプロで2戦しかこなしていない井上拓真の名前が唐突に。リング誌や海外メディアの軽量級ランキングが杜撰なのはわかっていますが、それにしても、です。 


 【防衛戦】サマートレック・ゴーキャットジムは、日本で知念勇樹にも敗れている、世界基準ではいわゆるクリームパフ、雑魚挑戦者でした。

ジュニアフライ級では減量が過酷を極め、防衛戦はこの1試合だけ。

リング誌の中途半端な評価からも伺えるように、井上尚弥が何者なのかはまだ誰もよくわかっていませんでした。

それは、おそらく大橋秀行はもちろん、井上真吾ですらも。

もし、それをわかっていたなら骨肉を削るような無理やりの減量でジュニアフライ級で世界を狙うことはしなかったでしょう。

狙うとしてもニエテス、間違いなくアンダードッグでリングに上がることになりますが、それはパッキャオの流儀。日本のスター候補が危険な橋を渡るのはまだ早すぎます。

また、すぐ上のフライ級には、軽量級で破格の評価を集める褐色のニカラグア人が躍動していました。PFPではギレルモ・リゴンドーやドニー・ニエテスよりも下でしたが、彼らを抜き去るのは時間の問題と考えられていたローマン・ゴンサレスです。 

もちろん、PFP圏内に突入して間もないチョコラティトは危険なだけでリターンの少ない相手。この段階で「WHO SHOUD HE FIGHT?」の対象に挙げるべきではないでしょう。
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同じ体重のボクサーから繰り出されたパンチの重量が、大きく変わるわけがありません。

もちろん全身を使って打ち抜くか、手打ちのパンチかでは大きく異なります。

モーションの大きなパンチは、パンチングマシンで数字を上げるのには向いていますが、実践では使えません。相手に避けられるのはもちろん、見えてるパンチは本能的に防御姿勢を構えるので大きなダメージを与えることができないのです。

とはいえ、クロスレンジの死角から飛んでくるマニー・パッキャオやセルヒオ・マルチネス、中谷潤人の左フックには鋼鉄の顎の持ち主でも耐えることは出来ません。

タイミングと急所を的確に打つ抜くこと、それが動きの中でカウンターになれば、小さなパンチでも衝撃的なKOシーンが生み出されるのです。

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その最もわかりやすいテキストが、史上最強のKOパンチャー、ウィルフレド・ゴメスでしょう。

現代では、井上尚弥やアルツール・ベテルビエフの拳も相当に凶悪ですが、スペシャルな存在はデオンティ・ワイルダーで間違いありません。

ヘビー級は「無差別級」ではあっても、そこに横たわる体重差はとんでもないことが日常的な理不尽極まる階級です。

ワイルダーはタイソン・フューリーやドミニク・ブルージールら、40ポンド以上重い巨漢を薙ぎ倒すパンチを持っているのですから、尋常ではありません。

体格の分母が違うとはいえ、122ポンドの井上尚弥が168ポンドのカネロ・アルバレスをバタバタ倒すようなものです。



さて、那須川天心は綺麗なダウンを奪えるのに、どうして効かせるパンチが打てないのか?スピードと技術で圧倒しながらも、対戦相手が怖がってくれないのは与那覇勇気とルイス・グスマンが頭抜けて勇敢だったわけではありません。怖くないから最後まで立ち向かってきたのです。

天心にもトーマス・ハーンズのように、何かのきっかけで強打者に変身する可能性があるのか?


一方的になるはずの井上尚弥と拓真のスパーリングが白熱するのはなぜなのか?尚弥が兄弟ということで、手加減してあげてるのか…?そんなわけ、ありません。

筋骨隆々のティモシー・ブラッドリーが振り回すパンチが枕のように軽くて柔らかいのに、だぶついた肉体のルスラン・プロボドニコフやマルコス・マイダナの拳が強烈なのはグローブに毒でも塗ってあるのか?



Puncher's  Mystery 。そのメカニスクはほとんど解明されています。

リング誌2022年6月号「THE100GREATEST PUNCHER(OF THE LAST100YEARS)〜100年最強パンチャーを100位までランキングする」を参考書に、魅惑のハードパンチャーたちに酔いながら、天心が目指すべきスタイルもおせっかい満点で考えてゆきます。
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4団体時代初のUndisputed title 2階級制覇を実現したテレンス・クロフォードが「(来月30日に行われる)カネロ・アルバレスとジャーメル・チャーロの勝者と対戦したい」とブチあげています。

ライト級、ジュニアウェルター級、ウェルター級で世界王者になっているクロフォードが2階級飛ばしてスーパーミドル級に挑戦するとなると、異例の4階級制覇、Undisputed title 3階級制覇の達成です。


 

ボクシング界を代表するスーパースター、カネロはクロフォード陣営からの「158ポンド・キャッチウェイトでの対戦」をすでに拒絶しており、人気面で大きく劣るクロフォードがカネロと戦う道は完全に絶たれたと思われました。

気になる体重について、クロフォードは「147(ウエルター級)を作るのは、少しだけ厳しくなっている。 前回もサウナスーツを着て水分を絞り出した」と言いますが、スーパーミドルは168ポンド、21ポンド(9.53kg)も上です。

マニー・パッキャオが135ポンド(ライト級)王者として、オスカー・デラホーヤとのウエルター級戦に挑んだときでも、そのギャップは〝わずか〟12ポンドでした。

どこまで本気なのかわかりませんが、カネロは〝刈り入れどき〟を迎えたスーパースター。誰が狩るか?の段階に入ったとも言われています。

デラホーヤを倒してパッキャオがスーパースターのトーチをリレーしたのとは、かなり役者が違う気もしますが、全く人気のないクロフォードが浮かび上がるには「カネロを倒すしかない」のもまた一つの真実です。

実現すると、GGGvsケル・ブルック、カネロvsアミール・カーンよりも興味深い戦いになるのは間違いありません。

もし、クロフォードが勝ってしまうと、米国ボクシング界はますますお先真っ暗…なんてことは言わずにここは、人気と実力が史上最も喜劇的なまでに乖離したクロフォードを応援しましょうか。 
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ヘビー級を除くと、ボクシングの世界にはリングの外での戦い「減量」が存在します。

井上尚弥ら超軽量級では脱水の影響などから試合当日も完全に健康体に戻らず、試合中に足の痙攣などに悩むボクサーも珍しくありません。

完全な健康体、つまり自分の中で絶対的に強い状態でリングに上がるよりも「より弱い相手を求める」のが主目的の減量によって肉体を削る方が相対的な強さを手に入れることが出来るーーーというのがボクシング界だけでなく、階級制格闘技の常識です。

超軽量級の中ではメジャーの色彩の濃いフェザー級で頓挫したノニト・ドネアがバンタム級に出戻った理由は「自分が最も輝ける場所」と判断したからでしたが、それは「より弱い相手がいるバンタム級」だからというのが本音です。

ドネアにとっての「自分が最も輝ける場所」は、かつて口にしていた「ライト級でPPVファイター」でしたが、夢はずっと手前で砕け散ってしまいました。

もちろん、アスリートとして懸命の判断であり、当然の選択です。「フェザー級は何もかもが違う」(ドネア)と白旗を挙げたのですから、選択肢は〝後退〟以外に考えられません。

ドネアは、マニー・パッキャオやフロイド・メイウェザーのような画期的な技術はなく、自分よりも大きな相手をコントロールするためのモデルチェンジを施す器用さも欠落した、ワンパターンのパンチャー。

もちろん、このスポーツの面白さを体現してくれるのがドネアのような純度の高いパンチャーです。

リミットの無いヘビー級のボクサーは、自分の作戦や対戦相手によって体重をデザインして戦いますが、メイウェザーやパッキャオも井上に代表される「弱体化する過酷な減量」とは無縁でした。

このあたりの異次元さは、井上や井岡一翔ら日本のボクサーには全く理解不能かもしれません。

メイウェザーはジュニアミドル級(154ポンド)の試合でオスカー・デラホーヤ戦が150ポンド、ミゲール・コット戦が151ポンド、コナー・マクレガー戦に至っては茶番劇とはいえ149.5ポンドで計量しました。

さらに、パッキャオに至ってはリミットを大きく下回るのがデフォルト。150ポンド契約のアントニオ・マルガリート戦の前日計量は144ポンド。

メイウェザーやパッキャオは「自分も弱体化しながらより弱い相手を求める」減量とは全く違う、「適正体重よりも重い人気階級でより大きなカネと注目を求める」体重コントローラーでした。

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 9月30日にカネロ・アルバレスが持つスーパーミドル級のUndisputed titleに挑戦するジャーメル・チャーロも「適正体重よりも重い人気階級でより大きなカネと注目を求める」冒険に船を漕ぎ出したファイターです。

トレーナーのデレク・ジェームスは「筋肉で増量したら良いという問題ではない。筋肉はオモリになるし、可動域を狭めたり反射を鈍らせる危険もある。カネロは確かにハードパンチャーだが距離は短く、追い足もない」と、体重とカネロとの相性を踏まえて「(リミットの168ポンドを大きく下回る)163か164ポンド で仕上げるつもり」と語っています。


“I want him to be fast, I want him to be athletic, I want him to be mobile. The heavier you are, it’s like you’ll be lethargic, slower. You have to be faster,” said James about Charlo.

チャーロはスピードと身体能力、機動力を生かした戦い方をしなければならない。体重を増やして鈍重になってはダメなんだ」。



そして、カネロと戦うあらゆる選手、陣営が懸念を口にする「ラスベガスのジャッジ」。

ジェームスも不信感を露わにしています。「ラスベガスのジャッジがカネロ贔屓なのは、もう誰も否定できない。我々も微妙なラウンドは全部持っていかれると覚悟している。判定が読み上げられたドミトリー・ビボルの表情を見たかい?115−113のスコアを聞いて、私もビボルと同じ思いだった。そういうことか、と」。

「あの試合がたった1ラウンド差だったなんて馬鹿げてる。しかし、ラスベガスはカネロの町だから、我々はビボルのように内容で圧勝、公式で辛勝になるかもしれない」。


Jermell Must Win Rounds Decisively Against Canelo

カネロに勝つには、明白に取ったラウンドを積み重ねるしかないんだ。

「ジャーメルは1ラウンドで80発以上のパンチをまとめて、ラスベガスのジャッジを黙らせるしかない。同じ数だとジャッジは100%カネロに付ける」。

現在のオッズはカネロ勝利が4/11(1.36倍)、 チャーロ11/5(3.2倍)。

チャーロがいきなり2階級上げてくること、急遽の代役だったことまで含めると、このオッズは思いがけないほど接近しています。

もちろん、カネロの心身に迫る劣化 の影も読み取った数字でしょう。

カネロはハンドスピードとパワー、ディフェンス技術で高い能力がありますが、足が遅いためにクロスレンジに相手を閉じ込めなければなりません。

チャーロにはカネロが嫌う長い距離をキープしながら、接近してくるカネロを迎撃する、ビボルと同じかそれ以上の技術を持っています。

カネロがジュニアミドル級時代、挑戦をアピールするチャーロ兄弟とのポテンシャルオッズはわずかとはいえアンダードッグでした。チャーロ兄弟がカネロのジョーカーを握っていると見られていたのです。

もちろん、今のカネロはひ弱な面もあった154パウンダーではありません。

ライトヘビー級でもトップ選手、ジャーメルのスピードや身体能力に戸惑うことはあるかもしれませんが、そのパワーが脅威にならなければ、ジェームスが心配するジャッジに勝敗を委ねることのない、あっけない結果に終わるかもしれません。 
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