現在のボクシング界でForbes誌のThe World’s Highest-Paid Athletes(スポーツ長者番付)にリストアップされるようなスーパースターは、米国のカネロ・アルバレス、英国のアンソニー・ジョシュア、タイソン・フューリーに絞られます。

ユニコーンは別格。
しかし、カネロは36歳。2022年にドミトリー・ビボルとの一戦は、リング誌の専門家予想で20人中19人がカネロ勝利を支持(残る一人は「わからない」)する一方的な予想をひっくり返されました。
それから4年あまり、7試合もKOから遠ざかっているばかりか、昨年9月にはやはり明白に有利と考えられていたテレンス・クロフォード戦でも番狂せに敗れました。
21世紀の米国リングを支配している〝パックス・メキシカーナ〟の象徴であるカネロはかつての輝きを失い、死に場所を求めて彷徨っているようにすら見えてきます。
選手寿命が長いヘビー級ではジョシュアの37歳、フューリーの38歳はまだ老け込む年齢ではないかもしれませんが、この2人はクルーザー級上がりオレクサンデル・ウシクにそれぞれ2敗を喫し、カネロと同様に黄昏時を迎えています。
それでも、12月11日にジョシュアとフューリーが激突するメガファイトは、サウジアラビア・総合娯楽庁のサポートもあって史上最大の興行になると見られています。
実力的にはトップ戦線から脱落(あるいは脱落しつつある)2人ですが、注目度と手にする報酬は、世界のどこにも強固なファンベースを持たないウシクとは全く違う次元です。この2人やダニエル・デュボアら英国のスター選手とマッチアップされないウシクのファイトマネーは軽量級の井上尚弥以下かもしれません。
まあ、ウシクが日本人なら超軽量級の井上は問題外、米国や英国の本物のメガファイトで勝ち抜き、大谷翔平にも迫る存在になっていたかもしれませんが…。
PFPファイターであるだけよりも、Forbesファイターの方が人気と報酬がはるかに報酬が巨大なのは当たり前です。多くのメディアでPFPに2年も君臨し続けたローマン・ゴンサレスは、Forbesのアスリート長者番付にランキングされたことは一度もありません…というか、軽量級のニカラグア人にとっては生涯報酬を10倍しても、そこに入ることは出来ない、別の惑星の話です。



非ヘビー級でボクシングだけでなく、総合スポーツ、ラスベガスのホテルやプライベートジェットの駐機場が早々に予約で埋まったことで一般メディア、経済メディアまで巻き込んで大騒ぎされるようなメガファイトは後にも先にもこの一戦だけでした。
その意味で、2人ともPFPファイターでフォーブス長者番付でも上位を賑わしていたフロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオの激突は「試合内容が最低」「2人とも全盛期じゃない」という批判を浴びせられましたが、ジョシュアvsフューリーよりもはるかに興味をそそられるマッチアップでした。

メキシカンの強豪、人気選手を撃破して、彼らの名声を飲み込む形でスーパースターになったパッキャオは「面白い試合をしたら評価する」というボクシングファンの心を鷲掴みにしましたが、究極のテクニシャンであるウシクはヘビー級のタイトル戦ではデュボア以外はKO出来ない〝芸術鑑賞〟向きのボクサーで、人気と報酬で英国スターにつけられた大差を埋めることは出来ませんでした。
それでも、ヘビー級完全統一とサウジアラビアのボクシング参入の時期がオーバーラップしたことは、同じウクライナ人で憂き目を見たクリチコ兄弟よりはずっとマシだったかもしれません。
卓越した技術を持ちながら、単体では商品価値が低い哀愁のウクライナ人にとっては「誰と戦うのか?」が非常に重大な問題となります。
カネロのようにウィリアム・スカルやクリスチャン・エムビリのような自分よりも商品価値の低い相手と戦っていては、それこそファイトマネーは井上以下も現実です。しかし、ジョシュアやフューリーはウシクがどんなに見つめても、その視線をそらすばかりで視界に入れてもくれません。
一時期、対戦を希望したカネロに至っては近寄っても無視して去る陽炎に。
そんなウシクが新たなターゲットを見つけました。カネロとまではいかなくとも、現在の米国で最も集客力のあるデビッド・べナビデスです。
すでに、クルーザー級への復帰と、史上初のクルーザーからヘビー、そしてクルーザーで最重量のUndisputed(完全統一)2階級制覇を公言。キャリア最後の年と決めている2027年の早い時期に、空位のIBFタイトルへのアタックを狙っています。
WBA /WBO王者べナビデスは12月5日に、WBC王者ミハル・チェスラックとの3団体統一戦を戦う予定で、べナビデス勝利に1/16(1.06倍):チェスラック8倍の鉄板オッズが立てられた試合のクリアは確実。
ウシクの目論見通りなら、来年は2試合でクルーザー級のUndisputed championに返り咲くことになりますが…。現在のクルーザー級は、ウシクが狙うIBF王座を剥奪されたジャイ・オペタイアがリング誌と新興のズッファタイトルを保持しており、この31歳のオージーが階級最強と目されています。
ウシクがオペタイアを避けてUndisputed championになっても、それこそUndisputed ではなく議論を呼ぶことになります。
一方で米国市場のスターとなったべナビデスは、オペタイア、アルツール・ベテルビエフに加えてクルーザー級に降りてくるウシクとの対戦にも前向きです。
ウシクやイベンダー・ホリフィールド、デビッド・ヘイと単発のスター選手を輩出してきたクルーザー級に、ここまで魅力的なタレントが溢れるのは1980年の新設以来46年の歴史で初めてのことでしょう。

(本文とは関係ありません)土曜日のお昼。お寿司をつまみにゆっくりお酒を飲みます。しかし、単身赴任は自由じゃ。

ユニコーンは別格。
しかし、カネロは36歳。2022年にドミトリー・ビボルとの一戦は、リング誌の専門家予想で20人中19人がカネロ勝利を支持(残る一人は「わからない」)する一方的な予想をひっくり返されました。
それから4年あまり、7試合もKOから遠ざかっているばかりか、昨年9月にはやはり明白に有利と考えられていたテレンス・クロフォード戦でも番狂せに敗れました。
21世紀の米国リングを支配している〝パックス・メキシカーナ〟の象徴であるカネロはかつての輝きを失い、死に場所を求めて彷徨っているようにすら見えてきます。
選手寿命が長いヘビー級ではジョシュアの37歳、フューリーの38歳はまだ老け込む年齢ではないかもしれませんが、この2人はクルーザー級上がりオレクサンデル・ウシクにそれぞれ2敗を喫し、カネロと同様に黄昏時を迎えています。
それでも、12月11日にジョシュアとフューリーが激突するメガファイトは、サウジアラビア・総合娯楽庁のサポートもあって史上最大の興行になると見られています。
実力的にはトップ戦線から脱落(あるいは脱落しつつある)2人ですが、注目度と手にする報酬は、世界のどこにも強固なファンベースを持たないウシクとは全く違う次元です。この2人やダニエル・デュボアら英国のスター選手とマッチアップされないウシクのファイトマネーは軽量級の井上尚弥以下かもしれません。
まあ、ウシクが日本人なら超軽量級の井上は問題外、米国や英国の本物のメガファイトで勝ち抜き、大谷翔平にも迫る存在になっていたかもしれませんが…。
PFPファイターであるだけよりも、Forbesファイターの方が人気と報酬がはるかに報酬が巨大なのは当たり前です。多くのメディアでPFPに2年も君臨し続けたローマン・ゴンサレスは、Forbesのアスリート長者番付にランキングされたことは一度もありません…というか、軽量級のニカラグア人にとっては生涯報酬を10倍しても、そこに入ることは出来ない、別の惑星の話です。



非ヘビー級でボクシングだけでなく、総合スポーツ、ラスベガスのホテルやプライベートジェットの駐機場が早々に予約で埋まったことで一般メディア、経済メディアまで巻き込んで大騒ぎされるようなメガファイトは後にも先にもこの一戦だけでした。
その意味で、2人ともPFPファイターでフォーブス長者番付でも上位を賑わしていたフロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオの激突は「試合内容が最低」「2人とも全盛期じゃない」という批判を浴びせられましたが、ジョシュアvsフューリーよりもはるかに興味をそそられるマッチアップでした。

メキシカンの強豪、人気選手を撃破して、彼らの名声を飲み込む形でスーパースターになったパッキャオは「面白い試合をしたら評価する」というボクシングファンの心を鷲掴みにしましたが、究極のテクニシャンであるウシクはヘビー級のタイトル戦ではデュボア以外はKO出来ない〝芸術鑑賞〟向きのボクサーで、人気と報酬で英国スターにつけられた大差を埋めることは出来ませんでした。
それでも、ヘビー級完全統一とサウジアラビアのボクシング参入の時期がオーバーラップしたことは、同じウクライナ人で憂き目を見たクリチコ兄弟よりはずっとマシだったかもしれません。
卓越した技術を持ちながら、単体では商品価値が低い哀愁のウクライナ人にとっては「誰と戦うのか?」が非常に重大な問題となります。
カネロのようにウィリアム・スカルやクリスチャン・エムビリのような自分よりも商品価値の低い相手と戦っていては、それこそファイトマネーは井上以下も現実です。しかし、ジョシュアやフューリーはウシクがどんなに見つめても、その視線をそらすばかりで視界に入れてもくれません。
一時期、対戦を希望したカネロに至っては近寄っても無視して去る陽炎に。
そんなウシクが新たなターゲットを見つけました。カネロとまではいかなくとも、現在の米国で最も集客力のあるデビッド・べナビデスです。
すでに、クルーザー級への復帰と、史上初のクルーザーからヘビー、そしてクルーザーで最重量のUndisputed(完全統一)2階級制覇を公言。キャリア最後の年と決めている2027年の早い時期に、空位のIBFタイトルへのアタックを狙っています。
WBA /WBO王者べナビデスは12月5日に、WBC王者ミハル・チェスラックとの3団体統一戦を戦う予定で、べナビデス勝利に1/16(1.06倍):チェスラック8倍の鉄板オッズが立てられた試合のクリアは確実。
ウシクの目論見通りなら、来年は2試合でクルーザー級のUndisputed championに返り咲くことになりますが…。現在のクルーザー級は、ウシクが狙うIBF王座を剥奪されたジャイ・オペタイアがリング誌と新興のズッファタイトルを保持しており、この31歳のオージーが階級最強と目されています。
ウシクがオペタイアを避けてUndisputed championになっても、それこそUndisputed ではなく議論を呼ぶことになります。
一方で米国市場のスターとなったべナビデスは、オペタイア、アルツール・ベテルビエフに加えてクルーザー級に降りてくるウシクとの対戦にも前向きです。
ウシクやイベンダー・ホリフィールド、デビッド・ヘイと単発のスター選手を輩出してきたクルーザー級に、ここまで魅力的なタレントが溢れるのは1980年の新設以来46年の歴史で初めてのことでしょう。

(本文とは関係ありません)土曜日のお昼。お寿司をつまみにゆっくりお酒を飲みます。しかし、単身赴任は自由じゃ。
コメント
コメント一覧 (1)
しかし得意とするパワフルだが真正直なボクサーであるムンギア、ベルランガの系譜に連なるエンビリに苦戦や敗北するようだと流石に衰えが顕著になったのかなと。
フシ穴の眼
が
しました