カテゴリ: オッズを蹴散らせ!大番狂わせを巻き起こせ!


令和8年10月17日。クライマックスシリーズ、セ・リーグ最終ステージ第4戦。甲子園に詰めかけたのは、4万2,648人。

阪神はこの試合に負けて、日本シリーズ進出が消滅してしまいました。

同じような大一番が、いまから53年前の昭和48年、10月22日にもありました。運命の舞台は、やはり甲子園。観客は4万8,000人(主催者発表=当時は実数発表ではなく、かなり盛られた数字でした)。

53年前の相手は横浜ではなく、巨人。首位の阪神が64勝58敗7分、2位の巨人が65勝60敗4分、ゲーム差0.5。両チームとも残り試合はこの1試合。阪神は勝つか引き分けで優勝。巨人は勝つしかありませんでしたが…。

巨人打線が5回まで毎回得点で8点を積み上げ、高橋一三は阪神を完封。0−9の惨敗を喫してしまいます。

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そして、怒り狂った阪神ファンがグラウンドに乱入、巨人ベンチを襲うという暴挙を働くのです。下駄や靴を投げつけ、選手の道具を奪う狂虎(タイガー・ジェット・シンではありません)たち。今朝の産経新聞・産経抄によると王貞治のファーストミットまで奪ったというのです。

53年後のタイガースファンは横浜ベンチを襲撃、牧秀悟にスニーカーを投げつけバットを奪うとかはしないで、勝者に暖かい拍手を送るのでした。

人格者、王貞治は「しばらくすると(道具類は)返ってきました。確かに暴動は良くないけど、あの頃のファンは良心的な部分も持っていましたね。あとで『カッとなって申し訳ないことをした』という気持ちになったんじゃないでしょうか」と、どこまでも寛容に振り返っています。

「あの頃のファンは良心的な部分も持っていましたね」…グラウンドに素顔を晒して怒鳴りながら巨人ベンチに襲いかかったファンは、53年後はSNSの闇から監督や選手に罵詈雑言の毒矢を放つ卑劣な暴徒と化しました。

なんというか、まあ、時代です。警備が厳しくなった現在、グラウンドに降りても相手ベンチまで辿り着くのは至難の業です。万一、ベンチに乱入して狼藉を働くと威力業務妨害罪や暴行罪、窃盗罪などの重罰を科されます。

横浜の選手にも阪神の選手にも暖かい拍手を送るファンのいる今の方が素晴らしいに決まっています。選手にとっても、王や長嶋でなければヘタなタイトルホルダーよりも上場企業の役員の方がはるかに年収が高く、MLBなど夢ですらなかった時代です。

学校でも会社でもハラスメントなんてもんじゃない暴力が横行、男尊女卑も今とは別次元。

私が少年時代を過ごしたのは、そんな時代の残滓みたいな頃で、ハラスメントもコンプライアンスもジェンダーも大谷翔平も存在しませんでした。

小学校高学年〜高校の7年あまりを生活した南大阪や阪神エリアは、暴力が当たり前にある理不尽と不条理がぐるぐる渦を巻いてる環境でした。

まー、考えられないほど無茶苦茶でしたわ。大学時代に完全滅菌室で育ったような同級生らから「嘘ついちゃダメ。日本にそんな町ないから」と言われたこともありました。

それでも、自分が10代に呼吸していた時代です。

「今とどっちが良い時代?」と聞かれたら、迷わず「今に決まってるやろ!なに言わすんじゃボケ!」とパワハラ寸前に威圧するかもしれませんが、「今とどっちが好き?」と聞かれると、答えに困りますね…。

あの頃は、なんだかんだ言っても、みんな良心的な部分も持っていましたし…あ!俺も王貞治クラスの人格者なのかもしれん!!!





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MLBのナ・リーグ優勝決定シリーズ。

3連覇を狙っていた〝悪の帝国〟LAドジャースが、MILブルワーズにまさかのスイープを喰らって轟沈。

NPBのセ・リーグ優勝決定シリーズは、1勝のアドバンテージとホーム開催の阪神タイガースがレギュラーシーズン3位の横浜DeNAベイスターズにまさかの4タテ。

日米ともに相似したリーグ優勝決定戦。

最終戦は大谷翔平が豪快な3ラン、森下翔太が2打席連続アーチとチャンピオンがお目覚め、意地を見せましたが、怖いもの知らずのチャレンジャーに突き放されてしまいました。

𝖂𝖍𝖊𝖓 𝖆 𝕯𝖞𝖓𝖆𝖘𝖙𝖞 𝕮𝖔𝖑𝖑𝖆𝖕𝖘𝖊𝖘…

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NYはアーロン・ジャッジが故障していなければ…LAは大谷翔平が額面通りの活躍をしていたなら…阪神は主力がシーズン通りのパフォーマンスを見せることができていたら…。

少なくとも、アンダードッグに1勝もできずに舞台を去ることはなかったかもしれません。



詳細なデータが解析され尽くしたビッグネームが集うチャンピオンが、潜在能力と野望を抱くデータの少ない選手たちによって破壊されるーーースポーツは、それを奇跡と呼ぶほど簡単な世界ではありません。




なんでもかんでもデータ収集、なんならAIに解析してもらう、そんな味気ない時代です。だからこそジャイアントキリングが起きやすい環境なのだとしたら、それはそれで悪いことじゃない気もします。





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阪神vsソフバン、リベンジ日本シリーズがまさかの消滅…。こんなことがあって良いのか?

もしかしたら、夢を見てるのか?

チグリス、ユーフラテスに並ぶ武庫川やら神崎川やらの流れる地に高度な文明を築き上げてきた阪神エリアに拠点を置くタイガースが、150年前は寂れた漁村だった未開の横浜ごときにスイープされるなんて…こんな下克上が許されて良いのか?!


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BE A TEAM WIN IT ALL(全部剥ぎ取って勝て!)…なんというか、ベイって人の弱みや隙に突け込むのが巧妙なだけの下劣な海賊みたいなチームである。

レギュラーシーズンでは投手も野手もなんのタイトルも取れない、この4試合でもエラーはするし、走塁ミスもあった無能集団のくせに、2連覇のチャンピオンチームへのリスペクトが全く感じられないってどういうことだ?

厚かましいにも程がある。

無能な海賊どものために、レフトスタンドにゲットーのような一画を提供してやった甲子園球場の慈悲深さに感謝の気持ちはないのか?

敵地では重圧に押し潰されなければならない、という国際法があるのを知らないのか?

そもそも、阪神と海賊のファンの総数が勝敗に反映されたら、野蛮人どもは無惨なコールド負けである。

お前らが、どれほどの経済効果を吹っ飛ばしたか、わかってるのか?高貴な阪神と、寂れた漁村のどっちが日本シリーズに相応しいか、どっちの方がより大きな利益を上げて、より多くの人を幸せにするのか、そんな大事なことを考えたことが一度でもあるのか?

それにしても「自分たちは3位」という敗者の奥ゆかしさすら全く持ち合わせていない、どうしようもない野蛮人どもである。

「自分たちはしょせん3位じゃん、おとなしく3連敗して寂れた漁村に帰るじゃん。優勝タイガースさん、日本シリーズ、頑張ってくださいじゃん」とか、殊勝なことは言えないのか?


おい、JPB!来季から3位チームがCSを勝ち上がってきたら、アドバンテージを3勝に変更しろ!優勝のメリットが1勝って、どう考えてもおかしいだろ?…ちょっと待てよ?今回、そのルールだったとしても、それでも負けたということか???えーーーーー!?

もう、即刻CSを中止しろ!!!

いや、アドバンテージ3勝なら、寂れた漁村の野蛮人たちは戦意喪失して、あっさり敗退していたはずだ。そうに違いない。

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ロンドンのウィリアム・ヒルさんが、日本シリーズのオッズを叩いた。2000年以上も前から世界に開かれた港を擁する博多は2/5(1.4倍)、寂れた漁村は2倍。

ウィリアムは一昨年に博多1/6(1.17倍)、寂れた漁村3倍と見立てた。海賊どもがホームで2連敗すると、一時期博多はベットできなくなり、漁村は20倍を超えた。ウィリーにはあのときの苦い記憶があるのだろう。


それにしても、このままCS3位から身の程知らずに成り上がって、10連勝無敗のまま頂点に立つなんてことはあり得ないと思うが、それでも許す。

とにかく4連敗はするな。4連敗なんて、究極の恥だからな。4連敗したら人間性を疑うわ。というか、人間どころか生き物として恥ずかしいわ!セ・リーグの5球団に申し開きも出来ないだろう。



おい、相川。万一、日本一になったら「阪神がとにかく一番強かった」って言えよ。




虚しい…。

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ひたすら虚しいのに、カレーライスは美味い。


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ロベイシ・ラミレスはデビュー戦で〝出落ち〟さらに、明白に有利と見られたラファエル・エスピノサに2連敗。

期待通りの結果を残せなかったキューバのトレインは、トップランクから放出されてしまいました。それでもラミレスはWBOフェザー級のタイトルを獲得、期待通りあはやされとはいかなかったものの、想定内の最低ラインはクリアしたのではないでしょうか?




イタウマはラミレスと比較するとアマチュア実績が貧弱でしたが、ヘビー級という特別なクラスも付加されて期待値は大きく膨らんでいました。

いまからちょうど40年前の1986年、イタウマがイメージをオーバーラップされてきたマイク・タイソンもまた、タイトル初挑戦のリングに上がりました。


【1986年11月22日 ネバダ州ラスベガス ヒルトンホテル】
◾️WBCヘビー級12回戦◾️

©︎トレバー・バービック 32歳 36戦31勝4敗1分
身長188cm/リーチ198㎝ 体重218½ポンド(99.11kg)

マイク・タイソン 20歳 27戦全勝
身長178cm/リーチ180㎝ 体重221¼ポンド(100.36kg)



【2026年8月29日 ロンドン・グリニッジ O2アリーナ】

 ◾️IBFヘビー級タイトル決定戦12回戦◾️

フィリップ・フルゴビッチ 34歳 21戦20勝1敗

身長198cm/リーチ208㎝ 体重241¾(109.66kg)

モーセス・イタウマ 21歳 14戦全勝
身長194cm/リーチ201㎝ 体重236¼ポンド(107.16kg)


両者のタイトル初挑戦は「ヘビー級としては異例の若さ」「体格で対戦相手に劣る」という点で共通していますが、ボクシングにおいて最も重要なファクターである体重でタイソンがより重かったのに対して、イタウマは軽かったことが特筆されます。

さらに、タイソンが10ラウンド判定の長丁場を3試合経験していたのに対して、イタウマの最長経験は6ラウンドと、スタミナへのテストが完了しているかどうかも異なりました。

そして、なによりも全く違う結果になりました。

タイソンはもちろん、イタウマも過大評価でした。イタウマもタイソンも自分よりも大きく重い相手との対戦が少ないまま、その相手を前にしたときにキャリア初の敗北を痛烈なKOで喫してしまいます。

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しかし、その瞬間までタイソンはダウンを奪ったラウンド以外は全て落とし、逆にイタウマは全てのラウンドでリードしていました(オフィシャルは80−71*2/79−72で全24ラウンドのスコアで1ラウンドだけ落としていました)。

また、タイソンははるかに重く大きなバスター・ダグラスのパンチを浴び続け、最後はヘビー級の強烈なコンビネーションをまともに食らって沈みながらも、その顎がガラスではなく鋼鉄製だったことを見せましたが、イタウマはスタミナだけでなく非常に脆弱な装甲も露呈してしまいました。

英国のボクシングファンや、一部の日本のファンは「一番強いのはオレクサンデル・ウシクではなくイタウマ」と信じてましたが、そもそも21歳の若者には40年前のタイソン以上に不安材料が山積していたのです。

史上最も有名で最も愚かなトレーナー(ケビン・ルーニー)によってバックステップを踏めないという致命的な欠陥を改善できないまま、自分を恐れてくれる相手にだけ圧勝してきたタイソンが、そうではない強豪には一度も勝てないままキャリアを閉じたように、出鱈目なペース配分しかできないばかりか、パワーもスタミナもヘビー級のトップ基準から乖離したイタウマもまた旬の強豪には敗北を重ねていくでしょう。

いや…「強い相手に一度も勝っていない」「凶悪犯罪者」と指摘されたタイソンは「ボクシング界への貢献度は巨大」によって一発殿堂を果たしましたが、イタウマにその未来が訪れることは想像できません。





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>Aサイドでもきちんと相手を選びながらもコケずにキャリアを進めている選手というものはやはり凄まじいものがあります

➡︎ おっしゃる通りです!


最近では、あのロベイシ・ラミレスがデビュー戦で躓くなんて、まさか誰も想像できませんでした。

「スターシステム」が基本のプロボクシングの世界では、タイソンが「フォアマン方式」と一部で揶揄されていたように雑魚相手に自信をつけさせるキャリア養成は1960年代には確立していました。

米国でもアマエリートへの注目度が増していた1960年代、五輪の金メダルが大きな価値を持っていたのはいうまでもなく、まだボクシングがメジャースポーツだった古き良き時代です。

「Aサイドできちんと相手を選びながらコケずにキャリアを進めた」ジョージ・フォアマンやオスカー・デラホーヤ、マイク・タイソンは凄まじい才能でした。

旬の強豪、同世代のライバルにKO負けの敗北を重ね、咬ませ犬や格下にしか勝てなかったタイソンでも、リングを超えて世界的にセンセーションを巻き起こしたという点では、歴代PFP評価などで後塵を排するマイケル・スピンクスやイベンダー・ホリフィールド、レノックス・ルイスらよりもかるかに大きなレガシーを残しました。

その意味では、ボクシングの社会的ステイタスが下落している現代で、五輪金から英国のスポーツセレブとなったアンソニー・ジョシュアも〝成功例〟に数えて良いでしょう。

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オスカー・デラホーヤも典型的なフォアマン・システムでプロキャリアをスタート、温室から路地栽培への移行で苦戦と敗北に悩みましたが、間違いなく〝成功例〟です。

アマチュア・プロ・プロモーターというボクシングの3ステージを俯瞰すると、モハメド・アリやシュガー・レイ・レナードでも大きな成功を収めることが出来なかったプロモーターとしてもしっかりと爪痕を残したデラホーヤは〝歴史上最も成功したボクサー〟と考えて良いかもしれません。

昨日の「イタウマ・ショック」は現時点で、ロベイシの線路に乗せた途端に脱線よりはマシでしたが、強い相手には滅法弱いタイソンのレベルですらなかったということです。

もちろん、この蹉跌を糧にヘビー級を平定する〝大復活際〟の可能性もゼロではありませんが、これからの相手は「イタウマのパンチはたいしたことがない」「頑張って粘れば勝手にフラフラになる」と自信と希望を持って向かってきます。

そこを乗り越えることができるか?

今の時点で「ヘビー級のエドガー・ベルランガだった」というのは可哀想ですが、再戦条項があるはずのフルゴビッチにリベンジするのが再評価を促す特効薬です。

まあ、おそらく陣営は雑魚相手に復帰戦を選ぶでしょう。



ちなみに、シャカセツで恐縮ですが、このスターシステムを軽量級というカースト最底辺から人気階級へと熱く激しく逆流して、スターダムの頂点を狩った前代未聞の驚天動地がマニー・パッキャオでした。


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7月5日、日曜日(東アジア時間7月6日)。大坂なおみがアリーナ・サバレンカに6-2、7-6のストレート勝利を収める番狂せを起こしました。

しかし、この日のウィンブルドンで主役を演じたのは28歳の日本人ではなく、さらに巨大な番狂せを起こした21歳のフィリピン人でした。




〜アレックス・イアラの幼い頃の夢は、スポーツを通して国民に勇気を与えることだった。

彼女がインスパイアされたのは、アジアが産んだ史上最高のボクサーだ。

日曜日は昼間だというのに街から人も車も消えて、国中の人が衛星放送のテレビ画面に釘付けになる。それは年に何回かの祝祭、そう本当にお祭りでした。大人も子供も、とにかく国中がマニー・パッキャオに熱狂していたのです」。

フィリピンの日曜日の昼間。その時間はラスベガスではサタデーナイト、ショーのクライマックス。巨大アリーナでパッキャオが自分よりも大きな相手を倒し続けたスペクタクルの時間だった。


"Of course, the national hero in sports in the Philippines is Manny Pacquiao. He's probably the first global Filipino athlete I can remember and associate with so many childhood memories. Whenever he fought, it felt like a holiday in the Philippines. People would gather to watch, and it was a huge event. He's incredibly inspiring," she stated.


「もちろん、国民的英雄といえばマニー・パッキャオのことです。小さい頃の思い出はとにかく強烈で、最初に衝撃を受けた世界的なスターでした。パッキャオの試合の日は祝日のようにみんなで集まって応援するんです」。

イアラにとってパッキャオは永遠に輝き続けるスーパースターだが、多くのボクシングファンにとって今のパックマンは「晩節を汚して欲しくない」終わったアスリートでしかない。

それでもイアラの記憶は鮮烈なままだ。

かつて、政府軍とゲリラの内戦が激しかった時期ですらパッキャオの試合がある日は、暗黙の停戦日だった。パッキャオが勝利した瞬間、静まり返っていた街は一気に息を吹き返し、あちこちで歓声が沸き起こり、車は祝福のクラクションを鳴らした。

信じられないことに、政府軍とゲリラが互いに空砲を撃って祝うことまであった。

しかし、パッキャオが神の座から姿を消してから何年もの歳月が流れてしまった。

それ以来ーーーー貧しい国に暮らす1億人近い人々は、つまらない日曜日をずっと過ごしていた。


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といっても、それは昨年までの話だ。

7月5日の日曜日。アレックス・イアラはディフェンディング・チャンピオンで世界3位のイガ・シフィオンテクを超絶の大番狂せで撃破したのだ。

「私は早朝から深夜まで、毎日12時間もコートで厳しい練習を積み重ねてきました。でも、それは一人ぼっちではなく、家族とトレーナー、練習パートナー、スポンサー…本当に多くの人が私と一緒に戦い続けてくれました」。

イアラが生まれたメトロ・マニラが内蔵するケソン市は、人口300万人に迫る巨大都市。15歳でプロになったイアラは、極貧の環境から成り上がったパッキャオとは事情が違うが、母国が抱える矛盾について無知ではなかった。

「とんでもない不利な条件を突きつけられても強敵に立ち向かって、フィリピンに勝利をもたらしてくれたからパッキャオは英雄になった。私がパッキャオになれるなんて思っていないけど、母国を勇気づけたい思いは同じ。私は私のやり方で母国を勇気づけたい」。

「パッキャオが引き金になって、オリンピックで金メダリストが誕生した。私も彼らに続く。ウィンブルドン3回戦突破なんて、富裕国のスター選手にはたいしたことじゃないでしょう…でもフィリピン人の私にとっては、私の国フィリピンにとっては…」そういうと、パッキャオ以上に欧州でセンセーションを巻き起こしたイアラは込み上げてくるものを抑えきれなかった。

シフォンテク戦が始まる前には、白昼のメトロ・マニラから人並みも車列も消えた。それは2019年7月、ちょうど7年前の「パッキャオvsキース・サーマン」以来の静けさだった。

そして、パッキャオのような大番狂せが起きた瞬間、あちこちでクラクションが鳴り響き、建物から歓声を上げる人々が溢れ出た。

パッキャオにしか出来なかったことを、21歳の女性がやってのけたのだ。

日曜日の午後、フィリピン中の島々をパッキャオ以来の興奮に巻き込んだイアラは母国の子どもたちへ「パッキャオや私を目指さないで。あなたは、最初のあなたになって下さい」とメッセージ。

国民的英雄に飢えた1億人の期待は膨張するばかりだが、イアラはまだ何も成し遂げていない。

そして、21歳の旅はまだ始まったばかりだ。




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2019年12月23日の横浜アリーナ。あれから7年の歳月が過ぎ去ろうとしています。

当時23歳のスティーブン〝BANG BANG〟バトラーは、生まれも育ちもケベック・モントリール、カナダのスター選手。

彼が主戦場としていたのは、ミドル級。ただでさえ人気階級、さらに7年前は超人気のカネロ・アルバレスと超実力者のゲンナディ・ゴロフキンが席巻していたクラスでした。

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 GGGとの〝初戦〟は内定ではなく決定でしたが…


村田のカネロとGGGのW交渉は、コロナ禍でご破産。

あの忌々しいコロナの直前、人気階級無縁の日本ではロンドン五輪金メダリストの突然変異、村田諒太がロブ・ブラントから〝カネロ&GGG圏外〟のWBAタイトルを奪還、カネロとGGGへの挑戦ロードを仕切り直ししていた頃です。

その仕切り直しの〝初防衛戦〟に選ばれたのが BANG BANG バトラーでした。

強打のカナディアンは、当時24歳。9つ年上の村田の火力に5ラウンドで焼き払われてしまいました。

バトラーは横浜アリーナに轟沈したあと、14試合を戦い10勝8KO4敗。層が熱いミドル級でトップ戦線には戻れていませんが、脱落もしていません。土俵際で踏ん張っています。

30歳になったバトラーの次戦がアンダードッグながら、マディソン・スクエア・ガーデン(小さい会場のシアター)に決まりました。アンダードッグ、つまり勝てば大きなステップアップを意味する試合です。

相手は人気者のエドガー・ベルランガ。ズッファ・ボクシングと契約している29歳のスラッガーです。バトラーは1発の怖さはあるものの、5つの敗北はいずれもKO負け。底を見せながらもカナダの人気者、ズッファはそこに目をつけたのでしょう。

ベルランガはデビューから16戦連続1ラウンドKO勝ち、わざとらしさ満載のキャリアは、直近5試合で3勝2KO2敗と落ち着いています。

ベルランがもまた、過大評価のメッキで固められたファイター。バトラーの右一発にもチャンスが十分あるはずです。



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全仏オープンの壁に掲げられた大きな英語。

Victory belongs to the most tenacious.

〜勝ちたいという思いが強い方が勝つ。


大番狂せがに沸いたパリ・ローランギャロス。

日本時間の昨夜、行われた女子シングルス決勝はミラ・アンドレエワ(世界ランキング8位)が4大大会で初優勝を飾りました。決勝の舞台で19歳のロシア人の前に立ったのは、世界ランキング114位のマヤ・ファリンスカ。

24歳のポーランド人は予選3試合を勝ち抜いての本戦出場。

ラケットもウエアもシューズも、全て自腹でフランスに乗り込みましたが、本戦出場からスポンサー4社が名乗りを上げ、1回戦から4つの広告ワッペンを胸につけてコートに入りました、


フレンチオープン予選に出場するまでのキャリアは407試合(268勝139敗)で、生涯獲得賞金は86万4,030ドル(約1億2960万円)。賞金からは税金等だけでなく、用具代や帯同するコーチの渡航費や宿泊費も賄わなければなりませんから、副業をこなさなければ生活が立ち行かない状況だったはずです。

世界ランキング114位。

マイナースポーツのボクシングのデタラメ・ランキングと同列に並べることは出来ませんが、ストロー級からフェザー級までの7階級のランキング15位、単純計算で105位、この順位の軽量級ボクサーが専業で食っていくのはほぼ不可能です。

ただ、テニスは女子でも堂々のメジャースポーツ。米国の4大スポーツ、例えばMLBは1000人以上もの年俸200万ドルを超えるプレーヤーを抱えています。

さて、ファリンスカです。初めてのツアータイトル、それも4大大会という途轍もないビッグチャンスは逃してしまいましたが、「勝ちたい」という不屈の精神(tenacious)を見せつけ、準優勝。賞金140万ユーロ(約2億6,320万円)を獲得しましたーーーそうです、一つの大会だけで生涯獲得賞金の2倍以上を稼ぎ、世界中にその名前を轟かせたのです。


そして、今大会に急遽手を挙げたスポンサーたちが契約更新するのはもちろん、新たなスポンサーも名乗りを上げるのは間違いありません。

マニー・パッキャオはキャリア52試合で積み重ねた生涯ファイトマネーを上回る金額を、たった一晩(vsオスカー・デラホーヤ戦)で稼ぎ出しましたが、それに匹敵…いや上回る赤土のドリームでした。

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French paradox
フランス・パリで繰り広げられているテニスのフレンチオープン。

テニスは、70%以上の確率でオッズの通りに勝敗が決まる、メジャースポーツの中で最も結果が予想しやすい競技として知られています…そのはずなのですが、今年のパリではビッグネームが次々に倒される大番狂せが相次いでいるのです。

シナーもアルカラスもジョコビッチも、サバレンカもシフィオンテクもガウフも…みんな赤土のコートに沈んでしまいました。

番狂せは、偶然だけで引き起こされません。しかも、それが何度も重なるなら、なおさらです。マニー・パッキャオは「また世界を驚かせた!」「オッズをひっくり返すのは、これで何度目だ?」と、番狂せをコレクションしましたが、そもそもそれはブックメーカーの見立てやメディアやファンがパッキャオの実力を大きく見誤っていただけです。

では、パリで波乱を起こしている〝パックマン〟たちも、誰もまだ気づいていない途轍もない実力者なのでしょうか?

おそらく、そうではありません。

テニスのハードスケジュールは、試合数が多いトップ選手により負担が大きく、故障を抱えながらツアーを転戦するのは事実ですが、今年のパリだけで波乱が起きている説明にはなりません。

シナーを痙攣と熱中症に陥れた「異例の高温」や、サバレンカを苦しめた「強風」はビッグネームにもパックマンにも平等ですが、通常ではない状況は少なくとも心理的にはビッグネームに不利に働き〝泥試合〟にもつれ込むことはアンダードッグのモチベーションに火を付けます。

ビッグネームにより過酷なツアー、高温と強風…さまざまな要素が複雑に重なり、番狂せの大波を引き起こしました。

そして、よくいわれる「番狂せは伝染する」。

‘Upsets can be contagious’

ビッグネームのまさかの敗退に最も驚くのはメディアやファンではなく、もしかしたら「次は私かも」と萎縮してしまう、これからコートに上がるビッグネームたちかもしれません。

「俺には関係ない」と強がったり、「丁寧に戦わなければならない」という方向で気を引き締めたりする時点で、すでに番狂せの魔病に〝感染〟してしまっているのです。


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 左から2002年日韓大会、2010年南アフリカ大会、2026年北中米大会


伝統のある世界最強を決めるトーナメントという共通点はあるものの、テニスの4大大会以上に大番狂せのチャンピオンが生まれないのがサッカーW杯です。

今年の北中米大会では、広範な移動から生じる気候の違いや時差、48カ国へのexpansion、特に若手で「W杯よりも欧州チャンピオンリーグ」という動機づけの分散…波乱を引き起こす要素は数え切れません。

強豪8カ国で〝持ち回り〟だったトロフィーが極東の島国にもたらされる、そんな ‘Upsets can be contagious’ が6月15日にテキサス州ダラスから届く「Unbelievable!Samurai Blue crushed the Netherlands.(まさか!青いサムライがオランダを粉砕してしまった!)」というニュースから火蓋が切られます。




ーーーまさか誰も優勝できるとは信じていなかったのに…


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2008年、オスカー・デラホーヤとのTHE DREAM MACTH の記者会見で「正気とは思えない。勝てると思っているのか?」と質問されたマニー〝パックマン〟パッキャオは「新聞やネットニュース、ブックメーカーの予想通りになるのなら、私は今、ここにいない」と答えました。

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デラホーヤ戦前
デラホーヤ戦前。パッキャオはPFP1位に君臨していましたが「勝ち目はない」と決めつけられていました。しかし「フライ級上がり」のパックマンはライト級で最強と見られていただけでなく、試合は145ポンドのキャッチウエイト。そして何よりも、全盛期のマニー・パッキャオ。勝利の条件は全て揃っていました。


英国で定着しているスポーツベッティングが、米国の多くの州で公認されるようになったのはここ10年ほどのこと。

日本国内では、まだ法律的に禁止されています。つまり、軽量級のボクシングのオッズは、この階級に興味・関心の低い英米のブックメーカーが出している数字です。人気階級ド真ん中で大活躍したパッキャオのオッズですら〝間違う〟のですから、軽量級のオッズは相当にいい加減です。

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6年前の2020年12月に行われた「井岡一翔vs田中恒成」では英米のブックメーカーがこぞって若さとスピードの明白な差から「井岡がアンダードッグ」と見ていましたが、日本のメディアとファンは「井岡がやや有利」と逆の見方をしていました。

「悪い意味でも真っ正直なボクシングをする恒成は、狡猾な井岡にとってやりにくい相手ではない」という見方は正鵠を射るものでしたが、それが今回の「井岡vs井上拓真」にも当てはまるか?となるとStyles make Fights、そうはならないでしょう。

今回のオッズは拓真の4/9(1.44倍)に対して、井岡が13/8(2.63倍)。「井岡vs恒成」と似通った掛け率になっています。一方で、日本での予想は圧倒的に拓真、井岡が勝てば大番狂わせの様相です。

フェルナンド・マルチネスに力負けした残像からも、井岡にとってバンタム級を主戦場にしてきた拓真はフィジカルで難しい相手に思えます。

しかし、拓真は恒成のようなスピードに欠け、前に出る力が弱いボクサー。番狂せを起こした那須川天心との覚醒試合では、第4ラウンドから距離を潰しに行く良い意味で〝らしくない勇気〟を見せましたが、天心と違いクロスレンジに苦手意識のない井岡は簡単に下がってくれないでしょう。

井岡は、恒成に続いて「花の95年組」の拓真と激突します。Battle of Age(世代の対決)という構図は変わらないものの相手のスタイルは全く違います。

そして、何よりも違うのは6年前のBattle of Ageは「31歳の井岡vs25歳の恒成」でしたが、今回は「37歳の井岡vs30歳の拓真」。Battle of Age のテーマは「その戦いは早すぎたのか?それとも遅すぎたのか?」。

25歳の恒成にとって31歳の井岡は「早すぎた」結果に終わりました。そして…37歳になった井岡にとって30歳の拓真との試合は「遅すぎた」ことになるのか?

それとも…?








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