カテゴリ: 世界のボクシング:階級/キャッチウエイト

井上尚弥に「やっぱりメキシコのライバルは欲しい」と言わしめたように、現在のボクシング界はメキシコを地軸に回っています。

誰に勝ったわけでもないガーボンタ・デービスが輝いて見えるのは、レオ・サンタクルスとライアン・ガルシアを沈めたからです。

たった1試合の単調な判定勝ちによって、ドミトリー・ビボルが世界中のボクシングファンにその名を知らしメルことになったのは、その相手がカネロ・アルバレスだったからです。
 
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 メキシコの時代はフリオ・セサール・チャベスによって開かれましたが、その快進撃は米国の人気階級ウェルター級の一歩手前で頓挫。今なお、実力評価は頭抜けているものの、チャベスからトーチを引き継いだオスカー・デラホーヤ 、そしてカネロがトップ10常連となったフォーブス誌のアスリート長者番付では100傑に数えられることもありませんでした。

チャベスは1984年9月13日にヘクター・カマチョが返上したWBCジュニアライト級王者決定戦でマリオ・マルチネスとのメキシカン対決に8ラウンドTKO勝利、2005年9月17日までの丸22年間で、デラホーヤの6階級制覇にもカネロの4階級制覇にも届かない3階級制覇しかしていません。

デラホーヤのように人気階級ど真ん中で活躍したわけでもなければ、カネロのようにUndisputed Championにもなっていません。

「数字」や「肩書き」では二人の後輩の後塵を浴びているJCスーパースターですが、世界評価で二人を上回っているのは「誰に勝ったのか」という一点に尽きます。

マイク・タイソンの例を出すまでもなく、弱い相手にどんなに圧勝しようが、強い相手に勝たないと世界評価はついてきません。

前回の対アメリカ、対プエルトリコ、そしてメキシコ対決という三つのテーマでチャベスが誰に勝ったのかを振り返ります。

▪️「VSアメリカ」▪️

◉ロジャー・メイウェザー

WBCジュニアライト級の初防衛戦。元王者のロジャーをわずか2ラウンドで粉砕。

ショルダーロールの名手、フロイド一族の頭脳はチャベスに敗れたあと、浜田剛史からWBCジュニアウェルター級王座を奪還したレネ・アルレドンドを圧倒し、6ラウンドでストップ、2階級制覇を果たします。

「何もかもが強い。打たれ強さは信じられないほど」(ロジャー)。

このときチャベス22歳、ロジャー24歳。

このタイトルを4度防衛していたロジャーと、チャベスは立場を入れ替えて再戦。またしても、メイウェザー一族自慢のショルダーロールを破壊、10ラウンドで仕留めました。





◉メルドリック・テイラー

WBCジュニアウェルター級王者のチャベスと、IBF王者テイラーとの無敗王者同士の激突。

11ラウンドまで二人のジャッジが支持していたロス五輪フェザー級金メダリストのテイラーを、チャベスは残り30秒を切ってようやく捕獲、痛烈なダウンを奪います。立ち上がったテイラーを見たリチャード・スティールは、試合終了まで残り2秒でストップを宣告。

試合を再開させていたら、すぐに終了ゴングが鳴ってテイラーが勝利していたことになっていただけに、大きな議論を呼びました。

この試合、見ればわかりますが、テイラーは終盤には両瞼を腫れ上がらせ、鼻と口から出血。チャベスは面の皮が分厚く、鋼鉄の顎を持ち、見た目はほとんぞ無傷。喧嘩ならチャベスの圧勝でした。

メキシコ人にとっては、ボクシングは喧嘩。議論を呼ぶストップでしたが、メキシカンを興醒めさせることはありませんでした。

チャベス27歳、テイラー23歳。


。。。。。。まだ「VSアメリカ」があるのに、ここで一旦中座。
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現在の米国プロボクシングは、完全にメキシコの時代です。

このメキシコのボクシングには「誰に勝ったのか?」という揺るぎない大命題だけでなく、様々な「物語」が織り込まれます。

それが「文化」ということです。

21世紀になってからの20年余りだけでも「メキシコ史上最高ファイターは誰か?」が、たびたび議論されるのも、この物語性が豊かであるからでしょう。

その「史上最高」。米国と英国におけるシュガー・レイ・ロビンソンのように、メキシコにも〝雛型〟があります。

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フリオ・セサール・チャベスです。

シュガー・レイが Sweet Science たるボクシングの基礎科学を確立したのに対して、JCスーパースターは喧嘩ボクシング=メキシカンスタイルの権化でした。

その系譜を継げる者は、戦績や技術的に卓越しただけのボクサーではありません。

つまり、リカルド・ロペスには、その資格が与えられなかったのです。

マルコ・アントニオ・バレラ、エリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケス、オスカー・デラホーヤ、カネロ・アルバレス…。

カネロ以外の4人に勝ち越してるマニー・パッキャオは、もうちょっと異常に変態です。パッキャオほどオッズを跳ね返してスターダムに駆け上がるファイターはもう2度と出現しないでしょう。

…話が脇道に逸れてすみません、なにしろパックマニアなもので。

メキシコの物語の背景には、三色の極彩絵の具が塗りたくられています。


まずは「VSアメリカ」。

歴史的に長らくスペインの支配を受けてきたメキシコですが、地政学的に最も強烈なインパクトはアメリカによって与えられてきました。

名のあるアメリカのファイターを倒すことは、特別な意味を持ち続けています。

米墨戦争で奪われたネバダ州やカリフォルニア州で、メキシカンがアメリカンを叩きのめすことでどれほどのカタルシスがもたらされるのか、遠く離れた私たちでも想像するのは難しくありません。

カネロ・アルバレスの評価がコンクリートされないのは、まだ現役だからですが、もしフロイド・メイウェザーをKOしていたなら、メキシコ史上最高論争に一定の答えが出ていたかもしれません。

そして、そのアメリカでボクシン市場の没落に歯止めがかかっていないことは、それが相対的にもメキシコのステイタスを押し上げることにもつながっているとはいえ、メキシコのボクシングファンは複雑な思いを抱いているかもしれません。



そして「VSプエルトリコ」。

カリブの対極、西海岸と東海岸。互いにアメリカを仰ぎ見てきた両国から優れたファイターが続々生まれ、歴史に残る名勝負を繰り広げてきました。

カルロス・サラテとウィルフレド・ゴメス、そしてサルバドール・サンチェス。

フリオ・セサール・チャベスとエドウィン・ロサリオ、ホセ・ルイス・ラミレス、ヘクター・カマチョ。

オスカー・デラホーヤとフェリックス・トリニダードは悪い意味でも再戦で〝決着〟をつけるべきでした。

一方で、ミゲール・コットとアントニオ・マルガリートの2試合は、ラバーマッチが熱望されない苦いものになってしまいました。

そして…プエルトリコもまた、かつての〝天才工場〟の面影を失ってしまいました。

メキシコは「倒すべきアメリカ」も「宿命のプエルトリコ」も見失ってしまったのです。


そして…元から「メキシコVSメキシコ」は注目ファイトでしたが、今やそれは「それしかなくなった」と言えるのかもしれません。



カネロ・アルバレスは「VSアメリカ」ではシェーン・モズリー、「VSプエルトリコ」でミゲール・コットという殿堂入りファイターに完勝、「VSメキシコ」ではフリオ・セサール・チャベスJr.からも明白な勝利を収めています。

しかし、いずれも全盛期をとっくに過ぎた相手で、戦前から緊張感の薄いメガファイトでした。

現時点で、カネロのレガシーを語ると「ゲンナジー・ゴロフキンとの三部作」になってしまうでしょう。

GGGとのライバル関係は「絶対王政の牙城に若きスターが挑戦する」という非常に興味深い対決でしたが、初戦が実現したのはカネロがミドル級のLineal/Ring -magazine/WBCの王座に就いてから2年も経ってからのことでした。

その初戦にしても、キャッチウエイトでジュニアウェルター級上がりでピークを過ぎたミゲール・コットとのキャッチウェイト。

ボクシング大国メキシコのファンにとって、カネロは希望の星であることはよく理解できますが、メキシコ史上最高ファイターが議論されるレベルのボクサーには到底考えられません。

メキシコの歴史的な名王者たちと比較して、カネロが優っているのは「ジュニアミドル級からライトヘビー級までの4階級制覇」という数字と、チャベスも出来なかった完全統一を果たし「Undisputed Champion(ミドル級)」に就いたという肩書き。

そこに欠落しているのは「誰に勝ったのか?」です。

ジュニアミドル級ならチャーロ兄弟、ミドル級なら(もっと早い段階での)GGG、スーパーミドル級ならデビッド・べナビデス、ライトヘビー級ならアルツール・ベテルビエフ。完全統一したスーパーミドル級はさておき、残る3階級では緊張感のあるパンチャーとの対戦をことごとく回避してきました。


…それでは、JCスーパースターは「VSアメリカ」「VSプエルトリコ」「VSメキシコ」で誰に勝ったのでしょうか? 
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団体の分裂と階級の増殖で、世界王者が大量生産される時代。

強いから世界王者でもなければ、弱くても世界ランカーになれる、摩訶不思議な時代。

4団体17階級時代は、誰に勝ったのか?が最も問われる時代です。

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ジョン・ライダー戦でカネロに贈られたWBCの特別ベルト。なんだか贅を尽くしてます。

カネロ・アルバレスは、メキシコ史上最高のファイターか?現時点で、この問いにYESと答える人は少なくないかもしれません。

その時代の熱にうなされた評価が先行するのは、どの時代でもかわりません。

例えば、リング誌はマイク・タイソンやロイ・ジョーンズJr.をPFP1位に推し上げ、歴代最高の俎上に上げたこともありました。

しかし、彼らの引退後の評価は全盛期から大きく萎んでしまい、リング誌の今を生きるファイターのPFPでも10位に数えられていません。

その評価は検証を重ねれば、重ねるほど、下落の一途を辿っています。

アイアン・マイクとロイは「誰に勝ったのか?」と言う問いへの答えが、あまりに貧弱極まってしまうのです。

もちろん、タイソンはヘビー級、ロイはミドル級と言う人気階級で文句なしの最強を誇った時期がありました。カネロもスーパーミドル級最強と評価して差し支えないでしょう。

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カネロが時代を代表する非常に強いファイターであること、過去のメキシコのグレートと比較してディフェンス技術が異次元に高いことも目を引きます。

〝喧嘩スタイル〟即ちメキシカンスタイルとディフェンスの両立、不可能に思える矛と盾を合わせ使うカネロは理想的なファイターといえるかもしれません。

しかし「技術的な評価」は、後世の選手が圧倒的に有利です。

カネロがルーベン・オリバレスよりも巧妙なように、10年後、20年後に出現するメキシカン・スターはカネロよりも技術的に優れているであろうことは容易に想像できます。

時代を超えたボクサーの評価が「誰に勝ったのか?」という一点に、より強烈にフォーカスされてしまうのは、当たり前です。

カネロは誰に勝ったのか?

そして、チャベスは誰に勝ったのか?
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カネロ・アルバレスのプライムタイムは過ぎてしまったのか?

今日の相手、ジョン・ライダーは、マシュー・ハットン、ライアン・ローズ、アミール・カーン、リーアム・スミス、ロッキー・フィールディングス、カラム・スミス、ビリー・ジョー・サンダースと簡単に屠ってきた大好物の英国料理。

序盤で終わるという見方も少なくなかったミスマッチのメガファイトでしたが、試合は12ラウンド36分かかり、3人のジャッジの手も煩わせました。

 I'm in this position a long time ... and I respect my opponents because I know they're coming for everything."

「もう、随分長くこのポジションで戦い続けている。私の対戦相手は誰もが全身全霊を賭けて挑みかかってくる、だから彼らを軽く見ることは出来ないし、尊敬してきた」。

試合後のインタビューでカネロが語ったように、スター選手は見かけ以上に難しい戦いを強いられます。

オスカー・デラホーヤもフロイド・メイウェザーもマニー・パッキャオも「対戦相手のビデオを何度も見て研究することは、まずない」と口を揃えていました。

「私の前に立つ相手は生涯最高のキャンプで最高のコンディションを作って、何よりも最高の精神状態でリングに上がって来る」(デラホーヤ)からです。

勝てば大金を手にすることが出来るだけでなく、その後のキャリでもファイトマネーと注目度も上がります。

これが軽量級の井上尚弥相手なら、大金を手にすることは出来ても、世界的には全く無名の日本人を倒しても、日本とコアなマニアの間以外では誰にも注目してもらえません。

そうなると、ポール・バトラーのように、恥ずかしい戦い方だったと言われても「英国でも誰も知らないのに、恥ずかしいも何もない。生活を保証されない(職業として成立しない)バンタム級で、私がどれほどの大金を手にしたかも誰も知らないだろう。バンタム級でこれほどのファイトマネーを得たボクサーを一人でも知ってるのか?」と、逆ギレするようなヘタレを相手にすることになります。

しかし、カネロ相手にバトラーのような戦い方をすると、世界中のボクシングファンから非難轟轟です。

しかし、バトラーは井上から「何しに来たんだ」と侮辱されるだけで済みます。あの人は戦いを挑みに来たんじゃありません、お金をもらいに来たのです。

Punch Stats

PUNCHESALVAREZRYDER
Total landed17980
Total thrown459457
Percent39%18%
Jabs landed6211
Jabs thrown206200
Percent30%6%
Power landed11769
Power thrown253257
Percent46%27%
-- Courtesy of CompuBox


血だるまにされても、倒されても、鼻骨を砕かれ息ができなくても、どんなに絶望的な戦いでも、最後の1秒まで戦い続けたライダーも、情けない戦い方をしたら、バトラーのようにシレっと帰国できないのは百も承知だったでしょう。

カネロが言う、誰もが死に物狂いで立ち向かって来る「this position」。そこに長い歳月立ち続けることで、心身に及ぼす消耗と疲労は、普通のボクサーには計り知れないものがあるでしょう。

1990年7月18日生まれ、まだ32歳とはいえ15歳からプロのリングに上り、10年以上もthis positionを守るカネロ・アルバレスのキャリアが、山の頂上から下り坂に入っているとしても、大きな驚きはありません。

28年前の同じ7月(12日)に生まれたフリオ・セサール・チャベスが、ちょうど32歳のときに大きな節目を迎えたように。

メキシコメディアの中にはカネロを「史上最高のメキシカン」に推す見方もあるようですが、32歳時点のチャベスと比較すると、勝っているのは稼いだカネと階級制覇の数など数字だけ。

「誰に勝ったのか」という命題の前には、カネロのキャリアはあまりにも貧弱で、比較する前から可哀想にすらなってしまいます。

それでも、比べてみたくなるのが人情です。

JCスーパースター・チャベスは誰と戦い、誰に勝ってきたのか?

そして、カネロは…。
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リングの上では強敵との対戦がありませんが、犯罪者レースではエイドリアン・ブローナーやセルゲイ・コバレフらの強力なライバルを蹴落として、トップランナーに躍り出たガーボンタ・デービス。

昨年11月に起こしたひき逃げ事件で、90日間の自宅軟禁と3年間の保護観察が科せられ、200時間社会奉仕作業にも従事しました。

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2月に行われた公判で、デービスはひき逃げ事故で妊娠中の女性を含む4人を負傷させたことで、過失傷害など4つの罪状を認め、"I am sorry,"と謝罪を口にしましたが、アルティア・ハンディ判事の報告書では「全く反省していない」( He's shown absolutely no remorse.)と記載されています。

よほどふざけた態度で"I am sorry,"と吐いたのでしょう。 

次回の公判は今月26日。

他にもデービスは、ドメスティックバイオレンスや暴行など複数の罪で起訴されており、このままの年1ペースで前科を重ねるか、一発大きな犯罪を犯すか、懲役刑を喰らう日が近づいているようです。
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軽量級における「減量」とは、多くの場合「より弱い相手を求めて自分も弱体化する」作業に他なりません。

ノニト・ドネアの〝バンタム級出戻り〟は、強い相手がひしめく上の階級では通用しないから、弱い相手が多くて層も薄い下の階級に逃げ込む、というその典型です。

他のスポーツ、例えばプロ野球で投手として入団した選手が野手に転向するのとは全く意味が違うのです。

前日計量では、より弱い相手を求める過酷な減量で体重を作ると、次はリバウンドでさらに優位な状況を作るのが常套手段です。

井上尚弥はIBFが重量級でも禁じている10 ポンドを優に超えた、5〜6kgリバウンドで当日の試合に臨みます。これは、ミドル級の村田諒太の4㎏のリバウンドも上回る数値。

前日に53kgだった人間が一晩で1割以上も重くなる…どんな理由を並べても、まず健康に良いわけがありません。

狂った生理は、とっくに成人している肉体を膨張させようとします。成人を越えたボクサーが減量に苦しくなるのは、加齢による新陳代謝の悪化が原因ではないのです。

もちろん、階級制の格闘技では「より弱い相手を求めて自分も弱体化する」減量は普通に行われていることで、パフォーマンスを落とさずリバウンドすることも、全てルールの範囲内です。

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ところが、人気階級を巡る体重管理には、明らかに適正階級を超えて重いウェルター級で戦ったマニー・パッキャオやフロイド・メイウェザーらや、増量してヘビー級に挑戦するマイケル・スピンクスやイベンダー・ホリフィールド、オレクサンダー・ウシクらのサンプルが珍しくありません。

井上と同じフレームのガーボンタ・デービスが「最終的にはウェルター級で戦いたい」と早くから宣言していたのも「どうして上(の階級)を目指すのか?単純な話ですよ。注目度が違う、ファイトマネーが違うから」(村田諒太)というだけの理由です。

彼らの体重管理は「より人気のある階級を求めて、自分も強大化する」という、スポーツとして当たり前の方向を睨んだ取り組みに他なりません。

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さて、本題です。

カネロ・アルバレスは15歳のとき、139ポンド(ジュニアウェルター級=リミット140ポンド)でプロデビュー。最初の地域タイトル(WBA Fedecentro)はウェルター級(147ポンド)で獲得、17歳のときでした。

その後、ウエルター級の地域タイトルを続々とコレクション。空位のWBCジュニアミドル級を英国の人気者マシュー・ハットンと争って勝ち取ったのが最初の世界タイトル、20歳のことでした。

そして、25歳でミゲール・コットの持つリング誌/WBC/Linealのミドル級(160ポンド)タイトルも獲得しますが、これはキャッチウェイト=155ポンドのいわゆる〝カネロ級〟で行われた変則タイトルマッチ。

カネロが160ポンドラインを越えたのはフリオ・セサール・チャベスJr.との164ポンドキャッチウェイトのメキシコ対決。

ミドル級に上げてからあからさまに対戦を回避してきたゲンナジー・ゴロフキンと拳を交えたとき、カネロは27歳。

そして、28歳でWBAスーパーミドル級(168ポンド)のセカンド王者ロッキー・フィールディングを屠ります。

ここまでが、カネロの〝増量登山〟のキャリアです。

フィールディング戦のあと、カネロはミドル級に戻ってダニエル・ジェイコブスとのチキン対決に判定勝ち(二人とも負けで良いような内容でした)すると、ライトヘビー(175ポンド)に上げて選手として劣化と消耗に苦しみ、私生活で政財破綻寸前だったWBO王者セルゲイ・コバレフを破壊して4階級制覇達成、このとき29歳。

「どうして階級No.1を避けて安易な相手をつまみ喰いするのか?」という非難を浴びながら、カネロは再びスーパーミドルに〝下山〟します。

そして、31歳の昨年、WBA王者ドミトリー・ビボルに挑戦、大番狂せの完敗を喫してしまいます。

この4年間、カネロは大きな綻びを見せずに、スーパーミドル級とライトヘビー級の間に張られたタイトロープを往来して見せました。

この危険極まる綱渡り、これまでにもボクシング界を代表するスーパースターが足を踏み外してきました。そのほとんどが〝下山〟であったことも、非常に興味深い現象です。

カネロが自在に綱渡りしているように見えるのは、ヘンリー・アームストロングやパッキャオ、メイウェザーのように減量ではなく体重デザインの領域まで踏み込んでいるからなのか、それとも若さが肉体のダメージを補っているだけなのか?

タイトロープから滑落したスターたちが陥った生理体系の狂いは、カネロにも起きうるのか?

そして、その破滅の刻は明後日の母国凱旋のリングになるのか?

それとも、もっと先の話か?
 
〝下山〟に失敗した3人のスター選手を振り返ります。 
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Saturday 22, April 2023
  
Nevada Athletic Commission
Tom Brown (TGB Promotions),
Oscar De La Hoya (Golden Boy Promotions)
DAZN  SHOWTIME


12 rounds – junior welterweights (136-pound catchweight) 

両者にとってキャリア最強の相手との激突です。

タンクのパワーか、キングのスピードか。そう言われていますが、タンクも遅くはありません。そして、キングも左右の拳にパワーを秘めています。

オープニングラウンドから目が離せません。

リングサイドのレナードとパッキャオ、年とりました、お二人とも。

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軽量級としては史上最大のメガファイト。

最初に入場するのはキング・ライアン。そして、タンクの入場。

注目された当日計量はガルシアが144.9ポンド。デービスが144.1 ポンド。二人ともリバウンドをしっかり抑えてきました。

Tモバ、フルハウスです。



第7ラウンド、1分44秒。

最後はわかりませでした。

「諦めましたな」(浜田剛史)。だとしたら、残念です。

フィニッシュはデービスの左ボディフックでしたか。

片膝ついたガルシアは、主審のトーマス・テイラーのカウントを聞きながら立とうとしませんでした。

6ラウンドまでの採点はESPNが57−56でリード。ボクシングシーンは58−55でデービス。オフィシャルは59−56/59−55/58−56で3者ともにタンクを支持していました。

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スコアとスタッツなら良い試合に映りますが…最後が残念。

ガルシアはこれでフェイドアウトしてもおかしくないような、残念な負け方です。

再戦は誰も望みません。 
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ライアン・ガルシア「今朝は朝食を食べてからこの会場に来た。デービスは食事も水分も摂れなかったようだね。大丈夫か、心配だ。バーナード・ホプキンスと罵声を浴びせ合っていたのは見てたけど、私は明日の試合に集中するだけ」。


明日の当日計量で146ポンドを超えると、6桁(10万ドル単位)の罰金が課せられますが…デービスは大丈夫でしょうか、こっちも心配になります。

ガーボンタ・デービス「ホプキンスは関係ないだろう。若い二人の戦いを黙って見ておけ。瞬きするなよ、信じられない試合になるぜ」。

素晴らしい試合になるのを期待しています。
 
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Weigh-In!

実績的にはスーパースターとは到底呼べないガーボンタ・デービスとライアン・ガルシア。 

それでも、この試合がメガファイトであることは誰も否定できません。

主要都市を回るプロモーショナルツアーから、先ほど終わった前日計量まで。この規模の試合に絡める日本人選手が出現するのはいつになるのでしょうか?

 

136ポンドの契約体重、デービスは135ポンド、ガルシアは135.5ポンドで一発クリア。 

言い出しっぺのデービスが体重超過という喜劇をほんの少し期待してましたが、さすがに絞ってきました。 

まだ、明日の朝に行われるリバウンドチェックがあります。二人とも146ポンドを超えることが出来ません。 

10ポンド、4.54kg。 ずっと軽い階級の井上尚弥や井岡一翔がほぼ毎試合5〜6㎏上乗せしていることを考えると、この数字は厳しく映ります。

実際に、両者ともに「脱水症状を起こしているのは明らか」(SHOWTIME)で、かなり過酷な減量を乗り切った模様です。

「興味深いのは(キャッチウェイトを突きつけた)デービスの方が顔色が悪く脱水症状で消耗しているように見えたこと」(BOXING NEWS24) 。黒人のデービスの顔色はモニター画面ではっきり読み取れませんが、いつもよりやつれているように見えます。

一晩でどこまで回復するか…なんですが、明日は明日で10ポンド制限が立ち塞がります。
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現代アメリカ・ボクシング界が提供できる最大のカード「ガーボンタ・デービスvsライアン・ガルシア」。

その開始ゴングが鳴らされるまで、あと2日となりました。

専門家予想も出揃いました。

リング誌が聞いた専門家20人の勝敗予想は、14-6でタンク・デービス。

大方の見立ては、デービスの中判以降のストップ勝ち。

オッズもタンク有利の基調で細かく動いています。

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今日のテーマはTALL TALK(骨格の話)です。

ボクシングにおいて、体重は勝敗を決する重大なファクターです。

それゆえに階級が分かれたのです。

もちろん、現状の17階級はいくらなんでもやり過ぎですが。

さて、骨格(身長とリーチ)は、勝敗を決めるファクターになりうるのでしょうか?

もちろん、体重制限のないヘビー級では「重くてデカいヤツ」、つまりタイソン・フューリーが強いに決まっています。

フューリーとデオンティ・ワイルダーの三部作は「フューリーの技術がワイルダーのパワーを上回った」と見られていますが、あれは単純に階級の差、277ポンド級の巨人が、39ポンド下の238ポンド級の痩せっぽっちを、パワーとタフネスの差を見せつけてネジ伏せただけの試合ではなかったでしょうか?

40バンド近くも軽いのにあの破壊的なパンチを振るったワイルダーにこそ、光を当てるべき試合ではなかったでしょうか?

また、マイク・タイソンの熱狂的なファンは誤解していますが、タイソンが豪快に倒した相手のほとんどは自分より軽いか、同じような体重でした。

つまり、タイソンは体重ハンデを乗り越えたファイターではなく、むしろ体重アドバンテージで豪快なKOを築き上げたというのが事実です。

タイソンの正体は〝アリよりも小さくフレイジャーよりも重い〟体格で、80年代になってヘビー級のレベルが一気に下がったときに現れた彗星でした。

タンク・デービスの快進撃もタイソンと酷似しています。

もし、ボクシングの勝敗に高い身長と長いリーチが大きく有利に働くのなら、体格ハンデをもろともしないデービスの評価は理不尽なまでに低すぎます。



数値だけなら史上最高クラスにアドバンテージを誇っていたセバスチャン・フンドラが圧倒的な存在になれないまま、痛烈にノックアウトされたのはどうしてなのでしょうか?

体格アドバンテージを抜きにしたら、フンドラやトーマス・ハーンズ、ボール・ウィリアムスらは木偶の坊なのでしょうか?

もし、体格のアドバンテージが途轍もなく重いものだとしたら、史上最高のファイターはシュガー・レイ・ロビンソンではなく、身長170㎝/リーチ180㎝でライトヘビー級とクルーザー級の2階級を制し、ヘビー級でも戦ったドワイト・ムハマド・カウイで決まりではないでしょうか?

あるいは、身長170㎝/リーチ168㎝でミドル級まで制圧したロベルト・デュランの対戦相手の質はカウイを大きく凌ぎ、デュランこそ史上最高ではないのでしようか?

また、井上尚弥(165㎝/171センチ)と身長は同じながらもリーチは165㎝と劣るカール・フランプトンがフェザー級のビッグファイトでレオ・サンタクルス(171㎝/175㎝)を下したのは、大きな体格ビハインドを跳ね返した偉大な勝利だったのでしょうか?

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…さてさて、そして、明後日。

身長160㎝/リーチ171㎝のガーボンタが、身長178㎝/リーチ178㎝のライアンにキャッチウエイトとリバウンド制限を突きつけた米国最大のメガファイトのゴングが打ち鳴らされます。

TALL TALK(骨格の話)は2日後、どんな結末を迎えているのでしょうか?



▶︎戦前はノンタイトルにキャッチウエイト、瑣末なことが気になったけど、そんなことがどうでも良くなるくらいに素晴らしい試合だった!

ありがとう、タンク!ありがとう、キング・ライ!規律のないブタとか人気先行アイドルとかもう絶対言いません、ごめんなさい!

…なんて試合になることを祈ってます。

なんか、真面目な話、ものすごく面白い試合になる気がしてきました。
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