カテゴリ: 複数階級制覇

ドネアがWBSSに参戦したとき、決勝進出のオッズは最低の50倍。

8年以上もまともな相手に勝てないまま、30代後半を迎えたドネアのバンタム出戻りとWBSS出場は、引退する時期を誤ったと見られていました。

しかし…。

優勝候補の一人、ライアン・バーネットは試合中に背中を損傷して棄権。

ゾラニ・テテとの準決勝も圧倒的不利と見られていましたが、テテが離脱。代打のステフォン・ヤングは一発で仕留めたものの、ヤングは世界基準に届かないボクサーです。

そして、決勝ではラッキーパンチ?で井上尚弥の眼窩底を破壊、敗れたものの、惨敗予想を覆し判定まで持ち込みました。

やはり圧倒的不利のフラグが立てられたノルディーヌ・ウバーリ戦でも破壊力を見せつけてKO勝ち。ここでも、ウバーリは井上拓真戦よりも体が薄く、調整に失敗していたとも言われました。

そして、先日のレイマート・ガバリョ戦です。
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WBSSは米国と英国の2大市場での関心は低かったものの、日本では大興行となりました。

もはや、ドネアが勝ち続けているのが幸運によるものではないことを理解できない人はいないでしょう。

ドネアに対して疑いの目を向けてしまっていた理由は大きく3つもあります。

①まず、その年齢。20代がピークとも考えられている軽量級で39歳というのは異常な年齢です。

経年劣化の影響を最も受けないパワー、鍛えることで下落を抑えられるスピードとは違い、衰える一方の反射は鍛えられないはずで、ドネアもその衰えは明らかというのに…。

②バーナード・ホプキンスは50歳でも世界の最前線で戦い、軽量級でもドニー・ニエテスがドネアと同い年と、例外はありますが、消耗の激しいファイタースタイルのまま39歳でも強打を振るうのは、やはり異常です。

常識的には、打たれ強さと引き換えの被弾覚悟のパワーボクシングは、経年劣化に最も脆いスタイルなのですが…。

③上の階級で通用しなかったから下に戻る。ボクシングにおいて、それが非常に危険な選択であることはシュガー・レイ・レナードやロイ・ジョーンズJr.が身をもって証明してくれています。

「軽量級のロイ」とまで言われたドネアも身体能力への依存度が高いボクサーで、バンタム出戻りは仇になると誰もが考えていました。

×××××××××

このブログでも紹介しましたが、常にシェイプアップする生活に改善、減量によるダメージを最小限に抑えることに成功したのでしょうが、それにしても、です。


一旦、ドネアから離れて、加齢の影響をを受けにくいスポーツについて考えてみます。

ボクシングでは減量による消耗がないヘビー級が、最も加齢の影響を受けません。

ある程度の体づくりと、それに伴う爆発的なパワーが求められるヘビー級は、100メートル競争に似ているかもしれません。

では、同じ無差別級の大相撲はいかがでしようか?

人間の骨格と筋肉が支えることが出来る限界まで肉体を大きくさせた力士は、深刻な怪我と向き合わなければなりません。

では、マラソンのような長距離走は?男女差が最も少ない競技の一つとも考えられていますが、トップレベルでは故障が付き物です。

実際に高齢者が活躍する射撃やアーチェリー、乗馬などは、身体能力だけでなく精神的な成熟も求められ、加齢の影響が少ないようです。

一方「頭脳的=加齢の影響が少ない」というのは、スポーツではありませんが、将棋の藤井聡太を見ていると、何か違う気もします。

頭脳もハイレベルになればなる程、加齢で失われる反射が重要な要素になるのかもしれません。

高いだけの昼ごはん、ハンバーガーを頬張りながら思いつくまま書き連ねましたが、まだまだ続きます。
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開催中の第59回WBC年次総会(メキシコ・シチー)で、エディ・レイノソが「カネロ・アルバレスが5階級制覇を狙ってWBCクルーザー級王者イルンガ・マカブに挑戦する」と発表しました。
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現在、スーパーミドル級(168ポンド)でリングに上がるカネロは、ライトヘビー級(175ポンド)でも1試合戦っていますが、25ポンド上のクルーザー級(200ポンド)に進出するというのです。

PFPキングのメキシカンはもちろん、クルーザー級ランキングに入っていません。

レイノソのリクエストにWBCが二つ返事で承認、クルーザー級史上最大のメガファイトが実現に向けて一気に動き出しました。

ジュニアミドル級(154ポンド)で最初の世界王者に就いたカネロは、ライトヘビーまでの4階級・21ポンドの壁をすでに撃破。

クルーザー級制覇となると、46ポンドの壁を打ち破ったことになります。

現在の複数階級制覇の最多記録「8」を持つのは、マニー・パッキャオただ一人だけ。

アジアの誇りが突破した階級の壁は、フライ級(112ポンド)からジュニアミドル級(154ポンド)までの42ポンド。

スタート階級が異なるファイターを単純比較は出来ませんが、乗り越えた体重差という点ではパッキャオ超えを果たします。

「カネロはヘビー級のトップ選手ともスパーリングをこなしている。そこで何が起きていたかを、私はよく見てよく知っている。マカブはとても強いが、カネロはもっと強い」(レイノソ)。

カネロは2019年11月にセルゲイ・コバレフからライトヘビー級王座を強奪した直後から、ヘビー級制覇が最終目標という噂が立てられ、クルーザー級はその途上に当然包含されていました。

クルーザー級とヘビー級の間、ブリッジャー級も踏破しても7階級制覇、パッキャオには届かないとはいえ、ジュニアミドルからヘビー級制覇は更新されることのない快挙です。

このニュースを伝えられたマカブは「生涯最高の幸せ」と喜びを爆発させおり、元々のクルーザー級リミット190ポンドでのキャッチウェイト・マッチでも対戦を躊躇うことはないでしょう。

WBCが逆風の中でもブリッジャー級を新設したのは、カネロのメガファイトを近い将来に織り込んでいたが故の強気だったのかもしれません。

現在、WBCを除くWBAとIBF、WBOの主要団体はいずれもブリッジャー級への参入を否定しています。

しかし、カネロが4団体統一戦を望んだら?

彼らが巨額の承認料収入の誘惑に打ち勝って、ブリッジャー級導入を見送るとは到底考えられません。
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現代ボクシングのトレンドは「(安易な)複数階級制覇」と「(複数の意味で)ハードルが高い完全統一王者(Undisputed Champion)」の二本立てです。

タイトルが4つに分裂した状態からUndisputed Championになるには最短で4試合、アルファベット王者を倒さなければなりません。

また、そこにはプロモーションの問題も横たわっています。対立するプロモーターが最も嫌うのは、共同でイベントを作り上げることです。

オリジナル8の時代は、世界王者は一人残らずUndisputed Championであり、Lineal Championでした。
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WBAからWBCが分離独立した60年代末から、世界王者の二人体制が常態化、1983年にIBF、1988年にWBOが設立されて世界王座は四人乱立する異常事態に陥ります。

さらに、21世紀になると不要不急の暫定王者を乱発、休養王者やスーパー王者、ダイアモンド王者、フランチャイズ王者と同一団体が複数の世界王者を擁立する倒錯の世界が構築されてしまいます。

王者の数が多ければ多いほど、承認料ビジネスは儲かるわけです。承認団体に無駄なタイトルを作るな、と言うのは土台無理な話なのです。

IBFはタイトル濫造から距離を置きますが、規定の期間にタイトル戦を行わない場合はどんな理由があれタイトル剥奪、決定戦開催を急ぎます。

世界戦を組まないと儲からないのですから、IBFに「複数団体のベルトを持つ王者にとって個々の団体の防衛戦期限を守るのは難しいから融通を利かせろ」というのも間違いです。

そんな営利団体が主要と呼ばれるだけでも4つ、承認団体への批判の色を明確にしたリング誌ベルトも含めて5つのメジャータイトルが存在するのがボクシングの世界です。
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Undisputed Championは、タイトルの一本化を意味しますから、承認団体が乗り気になるはずがありません。

しかし、80年代まで辛うじて残っていた世界王者の矜持と尊厳から同一階級の防衛記録を重ねるという習性は、現在のスター選手にはありません。

「安易な複数階級制覇」は、タイトルの大量生産と並んで世界王者の価値を貶めています。安易な複数階級制覇のキャリアの中で、Undisputed Championになることは箔を付けることにつながります。

明日のカネロはもちろん、井上尚弥もそうです。

大きな試合に不可欠のビッグネームがそもそもいない、さらに殿堂クラスの実力を持つボクサーが少ない、つまり「誰に勝ったのか」を追求しにくい軽量級でUndisputed Championにこだわるのは、ある意味で当然です。

そして、現在のスターボクサーはUndisputed Championを箔、キャリアのアクセント記念碑ととらえています。記念碑を建てたら、また上の階級を目指します。

つまり、タイトルはすぐ分裂状態に戻るのです。

承認団体からすると完全統一戦は大きな興行になることから実入りも増えます。Undisputed Championにその座を粛々と年2回ペースで守られると、承認団体にとって危機的な状況ですがそうはならないのです。

WBSSに端を発したクルーザー級のように、このScrap&Buildが短いスパンで繰り返されることは、承認団体にとって悪いことではありません。

Undisputed Championの誕生にとって大きな障害の一つであった承認団体の姿勢は、明らかに軟化しています。

4−Belt Era(4団体・同一団体王座濫造時代)にあって、完全統一路線が比較的容易に整備されつつあるのは、このような背景からです。

4−Belt Eraで誕生したUndisputed Championとその階級はミドル級(バーナード・ホプキンス→ジャーメイン・テイラー)、ジュニアウェルター級(2005年:テレンス・クロフォード/2021年:ジョシュ・テイラー)、クルーザー級(2018年:オレクサンダー・ウシク)、ライト級(2020年:テオフィモ・ロペス=WBCのフランチャイズを正統タイトルと認めるなら)の6人、4階級。

残りの13階級のうち、フライ級、バンタム級、フェザー級、ウェルター級、ライトヘビー級、ヘビー級のオリジナル8に数えられた6階級は、4−Belt EraでUndisputed Championを生み出せていないだけで、それ以前の時代でUndisputed Championを擁していました。

また、オリジナル8には入らないジュニアライト級と、ジュニアミドル級の3階級も1団体時代に存在していましたからUndisputed Championを抱えていました。

ジュニアバンタム級はWBA王者の渡辺二郎が1984年7月にWBC王者パヤオ・プーンタラトとの統一戦に勝利、WBAのタイトル剥奪は「試合終了=勝敗が決してから」という変則の形であったことから「瞬間的にUndisputed Champion」でした。

Undisputed Champion of The World!「議論する余地のないチャンピオン!」 のコールを聞いたことがない、という点ではそうですが…。

この1984年4月にIBFが初代王者決定戦を行い新垣諭が王者に就いていますが、この時点のIBFを主要団体に数えるのは無理があります。

最後に残された4階級が、歴史上一度もUndisputed Championが存在した経験を持ちません。

それがストロー級とジュニアフライ級、ジュニアフェザー級、スーパーミドル級です。

この4階級で複数団体のベルトを保持するのは、スーパーミドル級のカネロ(WBA/WBC/IBF)と、ジュニアフェザー級のムロジョン・アフマダリエフ(WBA/IBF)。

ジュニアフェザー級は今月27日にWBCのブランドン・フィゲロアとWBOのスティーブン・フルトンの団体統一戦が行われますから、Undisputed Champion誕生の期待が膨らんでいます。

4団体が完全分裂状態のジュニアフライ級はリング誌とWBAの京口紘人、寺地拳四朗を大番狂わせで下したWBCの矢吹正道と日本人がベルトを保持。マッチルームが統一路線に興味を示しており、今後面白い展開が期待できそうです。 

同じく完全分裂のストロー級は、統一の機運がまだ盛り上がっていません。
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オッズが10−1以上に開くと、ミスマッチの目安とされています。

その意味ではマイキー・ガルシアvsサンドロ・マルティンの145ポンド契約ノンタイトル10回戦は、ミスマッチでした。

28歳のマルティンはWBAジュニアウェルター級7位に付けているものの、ESPNでもリング誌でもランク外、メディアの評価では本物の世界ランカーではありません。

当然、世界的な強豪との対戦はなく、これまで40戦のキャリア(38勝13KO2敗)で欧州を出たことはなく、米国初登場。

一方のマイキーは、マニー・パッキャオとファン・マヌエル・マルケスに続くフェザー級からジュニアウェルター級を制した、史上3人目のグレート。

これまで、オルランド・サリド、ファンマ・ロペス、ローマン・マルティネス、エイドリアン・ブローナー、セルゲイ・リピネッツ、ロバート・イースターJr.らを倒してきた33歳のマイキーにとって、無名のマーティンは咬ませ犬と呼んでも差し支えない実績・評価しか持ち合わせていませんでした。

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ウェルター級最強のエロール・スペンスJr.に5階級制覇を賭けて挑戦したときは「11試合で5階級制覇」というシュガー・レイ・レナードの記録を「10試合」に更新する期待と、パッキャオ以来の史上2人目の「フェザー級王者からウェルター級攻略」が注目を集めていました。

ペーパー上のマイキーとマルティンは、明らかにステージの違うファイターでした。

もちろん、アンダードッグのスペイン人は「一世一代の大勝負」と、過去最高のキャンプと最強のハートでリングに上がりました。

そして、マイキーは本来なら今年中に実現するはずだったレジス・プログレイスとのサバイバルマッチにDAZNが両者で約300万ドルレベルの報酬を準備することができず、とりあえず今回の調整試合を行ったという背景がありました。

ガルシアの動きが鈍かったは1年8ヶ月のブランクだけが原因ではなかったでしょう。
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「接戦だったのは認めるが、勝ったと思った。もちろん言い訳はしない。結果は受け入れる」とキャリア2つ目の黒星を喫したマイキー。
 
人生最大の勝利を挙げたマルティンは「マイキーはウェルター級で通用しなかった。今日はウェルター級(145ポンド)の試合、彼がライト級時代の動きが出来ないのはわかっていた」。

パンチスタッツは手数のマイキー、精度のマルティン。どっちの転んでもおかしくない内容でしたが、たとえ買っていてもこの試合ではマイキーにとっては〝完敗〟です。

公式採点は97−97*2/95-95の2-0。

かつて、トップランクからの独立を図るも裁判で敗れ、2年6ヶ月ものブランクを強いられながらも見事にカムバックしたマイキーでしたが、今日の試合からは心身にこびりついた錆びしか感じられませんでした。

★Punch Stats★

Punch Stats

PUNCHESGARCIAMARTIN
Total landed6075
Total thrown318231
Percent19%33%
Jabs landed2223
Jabs thrown170120
Percent13%19%
Power landed3852
Power thrown148111
Percent26%47%
-- Courtesy of CompuBox
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同じイベントに出場したジョナサン・ゴンザレスも番狂わせで、WBOジュニアフライ級王者エルウィン・ソトをスプリットデジションで下し、タイトル奪取。

リング誌/wBA王者の京口紘人にWBCの矢吹正道、寺地拳四朗ら日本のタレントが豊富なクラスに異変あり、です。
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Undisputed Champion、議論する余地のない王者。

ネットニュースなどでは議論する余地ない王者」「比類なき王者」「明らかな王者」など直訳どまりで、それだと正しい意味が伝わっていないかもしれません。

Undisputed Championとは、議論する余地のない王者=他の誰にも王者を名乗らせない王者=完全統一王者、のことです。

4団体時代のUndisputed Championはミドル級のバーナード・ホプキンス(2004年)、ホプキンスに勝ったジャーメイン・テイラー(2005年)から12年間も出現していませんでした。
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ところが、2017年にテレンス・クロフォードがジュニアウェルター級を完全統一すると、オレクサンダー・ウシク(2018年:クルーザー級)、テオフィモ・ロペス(2020年:ライト級)、ジョシュ・テイラー(2021年:ジュニアウェルター級)と毎年のようにUndisputed Championが誕生しています。

今年は、ジュニアミドル級で「ジャーメル・チャーロvsブライアン・カスターニョ」の勝者がUndisputed Championに就くはずでしたが、まさかのドロー、完全統一は棚上げ。

それでも、11月にはスーパーミドル級で「カネロ・アルバレスvsケイレブ・プラント」の完全統一戦争が決定していますから、ジュニアミドル級の大一番で決着がついていると、今年は3人のUndisputed Championが生まれたかもしれません。

日本の井上尚弥もバンタム級でUndisputed Championを目指していますが、2019年にIBFとWBAの二団体統一から歩みを進めることが出来ていませんが、現在のボクシングシーンは空前の完全統一ブームとも言えるでしょう。

このブームを引き起こしたのは、4団体17階級時代で暴落する世界王者の価値を上げようという純粋な動機だけではありません。

4団体がそれぞれ複数の王者を乱立する環境下で、Undisputed Championが生まれてしまうと、フランチャイズやダイアモンド、スーパー、暫定etc.…なタイトルマッチが封じ込まれて、承認団体にとって好ましくない気がします。

Undisputed Championが年3人ペースで生まれると、現在ロペスとテイラーがいますから残り15階級、あと5年で、全ての階級にUndisputed Championが君臨する「世界王者は世界に一人だけ」という常識をボクシング界が取り戻すことになります。


…しかし、そうはなりません。


クロフォード、ウシクはUndisputed Championの座を守ることに執着せず、人気階級に戦いの場を移し、ロペスもジュニアウェルター級転向を明言しています。

井上の意識でもバンタム級完全統一はジュニアフェザー転級へのマイルストーンの意味しかないでしょう。

スーパーミドルが上限と見られるカネロですら、このクラスでキャリアを全うするつもりはなく、完全統一を果たすとタイトルを返上することが確実視されています。

現在のUndisputed Championは、かつてのマービン・ハグラーのように誇り高い王者としてその階級に君臨することが目的ではありません。

全てのベルトをコンプリートすること自体が目的なのです。Undisputed Championは、上の人気階級へ挑む箔付けなのです。


ヘビー級直下のクルーザー級や、ウェルター級直下のジュニアウェルター級の場合は、この傾向があからさまです。

カネロにしても、スーパーミドルで粛々と防衛を重ねる気など毛頭なく、周辺階級でメガファイトを追求する方針なのは間違いありません。

この〝Undisputed Championブーム〟は、短い期間でスクラップ&ビルドを繰り返すことが織り込み済み、タイトルはすぐに散り散りになり、それぞれの承認団体の王者決定戦がセットされるのです。


承認団体にとっては、悪い話ではありません。


また、Undisputed Championのケースに限らず、頻繁なタイトルのスクラップ&ビルドと、安易な複数階級制覇も表裏一体です。

年に数試合しかリングに上がらない現代ボクサーと、月に複数回戦うこともある50年前のボクサーでは体重管理の仕方が全く違います。


毎月試合するボクサーは常にシェイプアップしていなけれなりませんが、年2〜4戦では試合の間に体重が一気に増えるのが普通です。

そんな不健康な減量を繰り返していると、徐々に体重が落ちなくなるのは当然です。

成長期なんてとっくに過ぎているはずのボクサーが、どうして減量がキツくなるのか?

膨張と減量とリバウンド…その不健康なサイクルを繰り返すからです。

4団体17階級時代、階級定着率はかつてないほど低く、複数階級制覇の難易度もファイティング原田の時代とは比べるべくもありません。

原田も当日計量時代。しかし、原田は膨張と減量を不健康なサイクルで繰り返していました。

それが、史上初の軽量級2階級制覇を果たす引き金の一つになったのだとしたら、原田は未来を先取りしていたのかもしれません。


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ミドル級タイトルマッチにもかかわらず、ジュニアミドルより1ポンド重いだけのキャッチウェイトを使うようなカネロ・アルバレスです。

クルーザーやブリッジャーでも倒錯のキャッチを弄ぶのは間違いありません。

ジュニアミドル級154ポンド≦カネロ級155ポンド<<<<ミドル級160ポンド

問題はヘビー級です。

無差別級のヘビー級でキャッチウェイトとなると、いくら低脳なカネロファンでも気づくのではないでしょうか?

「ヘビー級でキャッチウェイトはおかしい」と。

ああ、でも気づかないでしょうね。今までわからなかったんだから。バカは死ぬまで治りません。

ただ、現在のヘビー級はタイソン・フューリーとアンソニー・ジョシュアという、カネロでもAサイドに立てるかどうか微妙な大巨人が王座を分け合っています。

しかし、フューリーのキャッチウェイトって、何ポンドになるのでしょうか?

「クルーザー級(200ポンド)で逆2階級制覇」をほのめかしたこともあるデオンティ・ワイルダーなら195ポンドキャッチとか受け入れそうですが、あれはカネロが徹底的に逃げ回ってきたパンチャーの究極型です。

そう考えると、ジョン・ルイスのような180㎝台の遅鈍な穴王者がタイトルを獲ったら、ロイ・ジョーンズのようにすかさず空き巣に入る。もちろん、キャッチウェイトの保険もかける。これしかありません。

なかなか、そんなやつ見つからないので、決定戦ですかね…。ロイと同じように圧倒的有利のオッズと予想、その通りにヘビー級獲得。めでたしめでたし。
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それでは、現時点でのカネロと複数階級制覇のグレートの比較です。


◀︎第1弾▶︎マニー・パッキャオvsカネロ・アルバレス▶︎

今までに何度か話題に上がったカードです。

UAEドバイや、メキシコの世界的な大富豪が招致に名乗りを挙げるなど、具体的な日程・会場がメディアに踊ったこともありました。 

今年になってからも、42歳のフィリピン人が「カネロとの対戦はない」と断言するなど、今や現実性はありません。

パッキャオがステイクしたタイトルの最重量はジュニアミドル級の154ポンド。カネロが主戦場宣言したスーパーミドル級の168ボンドとの乖離は大きすぎます。

しかも、パッキャオが戦った唯一のジュニアミドル級は、アントニオ・マルガリートにキャッチウェイト151ポンドを強いた試合。

さらに、現実の計量でフィリピン人が目盛りを刻んだのはわずか144ポンド、ウェルター級リミットを3ボンドも下回っていたのです。

そもそも、今のパッキャオとカネロではメキシコ人がAサイド。カネロが最大の譲歩をしても160ポンド前後のキャッチウェイト。

現実のリングで向かい合う可能性は、あらゆる意味でないでしょう。

では、そのレガシーを比較した〝仮装対決〟はどっちに軍配が上がるでしょうか?

「誰に勝ったのか?」。対戦相手の質という最も重要な物差しで見ると…。

◎全盛期 △未熟・または劣化期 ★キャッチウェイト


…まずは42歳から。
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【殿堂クラス】


◎マルコ・アントニオ・バレラ(一発殿堂・初戦対戦時リング誌王者・PFP3位)

◎エリック・モラレス(一発殿堂・第2戦対戦時PFP4位)

◎ファン・マヌエル・マルケス(一発殿堂・第3戦対戦時リング誌王者・PFP6位)

△オスカー・デラホーヤ(一発殿堂・引退試合・元PFPキング)

◎リッキー・ハットン(一発ならず、殿堂入り待ち・Fighter of the Year2005年・対戦時リング誌王者・PFP8位)

◎ミゲール・コット(一発ならず、殿堂入り待ち・対戦時PFP7位)★

△シェーン・モズリー(一発殿堂・元PFPキング)



【PFPファイター】

◎チャチャイ・ダッチボーイジム(対戦時PFP9位)

◎ティモシー・ブラッドリー(第1戦対戦時PFP8位・第3戦対戦時PFP4位)



パックマンの対戦相手の質はちょっと、異質というか異常です。モハメド・アリやシュガー・レイ・レナードでもここまで異常じゃありません。




…次に、30歳の赤毛。

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【殿堂クラス】

△ミゲール・コット(一発ならず、殿堂入り待ち)★

△シェーン・モズリー(一発殿堂・元PFPキング)

◎ゲンナディ・ゴロフキン(現役・初戦対戦時PFP1位・第2戦対戦時PFP1位)



【PFPファイター】

◉カラム・スミス(対戦時PFP10位※)
※実際には10位に入っていませんが。WBSS優勝で10位にランクイン、無敗をキープしてたのに入れ替え激しくランクアウト。無敗を考慮して特例10位。

やはりTripleG に1勝1分(多くのファンの目には1勝1敗)というのが光ります。逆に言うと「ゴロフキン!なんで叩きのめせないんだ!」という憤りです。

そして、カネロの質の高い4試合はいずれも判定勝ちにとどまっていることも、本質的な何かをしっかり伝えてくれています。

質の高い相手では印象的なKOどころか、KOすら出来ていないのです。それが当たり前なのですが。

比べた相手が悪すぎたとはいえ、殿堂クラス2人、PFP2人(実質ゴロフキン1人)に勝っているのは十分なレガシーです。




パッキャオと比較したのがそもそもの間違いでした。完全なミスマッチ。
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英国ボクシングニューズ(BN)誌、デジタルは引き続き定期購読していますが、プリントバージョンは先月でやめました。

しかし、さすが週刊誌。早いです。プリントバージョン、欲しくなります。
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あのメタリックブルーのグローブの中に本物のメタルが仕込まれてる…何て事はないでしょうね?厚底シューズじゃあるまいし…。

ビリー・ジョー・サンダースは英国でも問題児ですが、BN誌からは「サウスポー」「ファイターをいなすテクニシャン」「勝てば英国史上最大の番狂わせ」と、その期待がひしひしと感じられました。

たしかに、サンダースは健闘のカケラを見せてくれました。カネロも、やりにくさは感じたでしょう。

それでも「サンダース」の延長上に「打倒カネロ」のゴールがあるか?と問われると、言葉に詰まってしまいます。

「あと7年で引退」と公言している30歳のメキシカン。「スーパーミドルがベスト」というのは、その通りでしょう。

ジュニアミドル(154ポンド)からライトヘビー(175ポンド)まで21ポンドに渡る4階級で王座に就いたカネロはあと7年間、スーパーミドルで防衛のテープをひたすら伸ばすつもりでしょうか?

そう考えているファンも、メディアもいません。そして、おそらくチーム・カネロも。
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カネロはヘビーまであげそうですね。

2021-05-10 19:41:45 返信編集 GGG 126.255.211.131
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劣化と私生活の乱れ、借金で弱り切ったセルゲイ・コバレフにリバウンド制限で弱らせた卑劣なメキシカンが、同じやり方でクルーザーとヘビーも視野に入れていたとしても何の不思議はありません。

「ジュニアミドル級王者」だったカネロがヘビー級を射止めれば、ボブ・フィッツモンズとロイ・ジョーンズJr.の「ミドル級」を更新することになります。

複数階級制覇の怪物、マニー・パッキャオのフライ級(112ポンド)〜ジュニアミドル(154ポンド)は42ポンドの旅路でしたが、カネロはそれを上回る46ポンド(ヘビー級をクルーザー超の200overと見るなら)、あるいは58ポンド(ブリッジャー超のヘビー級を224overと見るなら)ものロングショットを撃ち抜くことになります。


複数階級制覇に純真な野望を燃やしたアレクシス・アルゲリョから、暗黒面に堕ちたリングのダースベイダー、シュガー・レイ・レナードに、4−BELT Eraの申し子パッキャオ、そして異形のヒットマン・トーマス・ハーンズ、才能だけで〝リアル・ヘビー〟を実現したジェームス・トニー…。

カネロがクルーザーとヘビーを獲る青写真と、80年代以降の複数階級制覇王者との比較、一部メディアが先走っている「カネロはメキシコのAll TIME−PFP1位」は妥当なのか?まで、独断と偏見で斬り刻んでいきます。
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昔は防衛回数が評価されたけど、今は複数階級制覇。

プロボクシングの世界でときどき耳にする言葉ですが、これは明らかに間違いです。

世界的な統括団体が存在しないだけでなく、承認団体という怪しい団体と、かつて8階級だったクラスは4団体17階級に膨れ上がっています。

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世界王者の価値は暴落し、複数階級制覇を狙って王座を返上するのは当たり前。それどころか体重超過によって体重計の上で王座を剥奪されるケースも後を絶ちません。

安易な王座返上と体重超過が「世界王座はいくらでもある」というナメた気分から引き起こされているのは明らかです。

世界に8つしか王座がなければ、挑戦のチャンスを掴み取るだけでもいくつものハードルをクリアしなければなりません。

せっかく掴んだ世界王座を軽々しく返上するなんてことも、まず考えられません。

かつて、ヘビー級には「王座は返り咲くことができない」「サウスポーは世界王者になれない」というジンクスがありましたが、他の階級でも「返り咲き」「サウスポー」が難しいことは同様でした。

オリジナル8のシステム下では、複数階級制覇するにも8階級しかありませんからチャンスが少ないだけでなく、階級間の体重差も大きく、倒さなければいけない王者はいずれも Undisputed Championです。

日本では「世界ランカーに弱い奴はいない」「世界王者は誰もが強い」という寝言をファンだけでなくメディアまでが垂れ流すことがありますが、笑止千万です。

そして、3−Belt Era までと4−Belt Eraの決定的な違いは、世界王者と世界ランクの価値暴落です。オリジナル8の時代から団体と階級が増え続けていつのだから「レベル3」から「レベル4」になっただけの継続的な暴落に過ぎないと考えているなら、それは大間違いです。

まったく違う価値暴落のステージに突入しているのです。

その原因は〝地域タイトル〟の病的なまでの増殖、に集約できるでしょう。

すでに80年代で、WBC傘下の東洋太平洋(OPBF)や、IBFの母体北米(NABF)のタイトルホルダーがそれぞれの世界ランクで優遇されあ世界挑戦への道筋が整備されるシステムが出来上がっていました。

もちろん、当時でも怪しい世界ランカーが散見されていました。 

また、承認団体の王者が防衛戦に失敗したり、タイトルを返上すると上の階級で上位にランクされるばかりか、ダイレクトで世界挑戦するケースもありました。

承認団体内でのタイトルタライ回しや、不可解なランキングは 4−Belt Eraの専売特許ではありません。

しかし、4−Belt Eraでは「地域タイトル」は〝地域タイトル〟に変質します。

北米を例にとっても北米、米大陸、カリブ、スペイン語圏など細分化が進む純粋な地域タイトルに加えて、インターナショナル、ユース、シルバー、ゴールド…各団体は好き勝手な名前を付けたWorld Champion を粗製乱造するのです。

これら〝地域タイトル〟にもシルバーやユース、暫定、休養まで存在し、それぞれの承認団体がランキングで優遇するのですから、マイケル・ダスマリナスやアブニ・イルディリムなど誰がどんな詭弁を弄しようが「最強挑戦者」とは言えない指名挑戦者が続々と産み落とされ、世界ランキングは実力の順番ではなく、承認料支払い能力の高い与信管理ランキングに変貌しているのです。

世界王者の価値はもちろん、防衛回数も複数階級制覇も単なる数字に落ちぶれた4−Belt Eraでは、本来なら最も注目されるべきUndisputedChampionも目立たない存在に追いやられています。

4−Belt Eraの王座のピースは、少なくともスターダムの頂点に立つボクサーから見ると4つをコンプリートする意味がないガラクタです。

不人気王者が自分に関心を向けさせるためにUndisputedChampionになるための道具として集めるだけのガラクタに成り下がっているのです。

バーナード・ホプキンスにジャーメイン・テイラー、テレンス・クロフォード、アレクサンダー・ウシク、 4−Belt Eraで生まれたUndisputedChampionが揃いも揃って、日陰の不人気選手であることは偶然ではありません。

一方で、 4−Belt Eraのスーパースターの系譜=オスカー・デラホーヤ/フロイド・メイウェザー/マニー・パッキャオ/カネロ・アルバレス=を振り返ると、誰一人としてUndisputedChampionへの執着は示さず、当然その座にも就いていません。

彼らが目指したのはガラクタではなく、栄光=カネです。コンプリートしても誰も注目してくれないガラクタ収集ではなく、より大きな試合、より有名な相手とのメガファイトです。

もはや完全統一ではスターの頂点に立てない、いやむしろ完全統一にこだわるような不人気ボクサーではそもそもスターになれない時代になってしまったのです。

ゲンナディ・ゴロフキンは4−Belt Eraの時代に、オリジナル8の王者のごとく振る舞った愚か者です。対戦を避けるカネロを批判している間に、自分が劣化し、今ではカネロだけでなく村田諒太や多くのボクサーから狙われる〝死肉〟になってしまいました。

挑発してきたアンドレ・ウォードに答えて2階級制覇を狙っていたら?リング誌などの予想通りに完封負けや終盤KOされていたかもしれませんが、番狂わせを起こせば一気にスーパースターでした。

最凶を誇ったセルゲイ・コバレフに飛び級2階級制覇をかけて挑戦していたら、カザフスタン人の十字架は関係なく世界中のボクシングファンの注目と尊敬を集めたでしょう。もちろん、惨敗していたら今の地位はありません。

いずれにせよ、それをやらなかったのがGGGです。カネロとは「キャッチウェイトは絶対に受け入れない」という態度をとりながら「メイウェザーとできるならジュニアミドルに落とす」と発言していたのがGGGです。 

カネロや井上尚弥なら完全統一王者=UndisputedChampionを目指しても十分恩恵にあずかれますが、GGGやワシル・ロマチェンコのようなどこにあるかも誰も知らない国のボクサーがスターになるには、パッキャオ方式しかやり方はないのです。

ロマチェンコも「パッキャオに勝てる」と発言しながら「ジュニアウェルター級以上では戦わない」と実質逃亡宣言、テオフィモ・ロペスに押し切られる結末を迎えてしまいました。

GGGやロマの「プロボクシングの世界は狂ってる」という意見はある意味で正しいですが、ファンからしたら「泣き言を並べるのではなく、その狂った世界を打ち砕いて欲しかった」というのが本音です。

カネロとの初戦でGGGがメキシコ人を戦慄の失神KO劇で葬り去ってくれていたなら。ハイテクに翻弄されたテオフィモがコーナーで座りながら号泣して棄権していたなら。どんなにスカッとしたことでしょう。

厳しい期待であることは百も承知です。それでも「彼らなら」という期待があったのです。

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GGGが怯み、ロマがライト級で限界と諦めた複数階級制覇。

 4−Belt Eraにおいて、何をもって成功、何をもって失敗というのか?

正解の定義などありません。

ブローナーは成功、勝ち組か?

ヘビー級の試合が大変なことになってるので、一旦閉じます 
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現代ボクシング、4−Belt Eraの特徴は「世界王者の権威が失墜した」という一言で表現できます。

「世界王者の権威が失墜した」という傾向は、WBAからWBCの分離独立が決定的になった1970年代、IBFが発足した80年代、WBOが定着した90年代と、時代を重ねる中でその色合いが濃くなりました。

4−Belt Eraになって急に始まったわけではなく、この50年以上に渡って継続した重篤な疾病です。

それは、総論ではその通りです。しかし、3−Belt Era までは王者の権威の「失墜」は「分離・分散」という説明ができました。

つまりは「団体の追加」と「階級の増殖」です。 

しかし、4−Belt Era になると同一団体内で世界王者が増殖、大量生産されることが常態化します。

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メキシコベルトに並ぶメガファイト専門のシンコ・デ・マヨ ベルト。

最多の加盟国を抱えるWBCを例にとると、上位タイトルから「フランチャイズ」「レギュラー」「暫定」「休養」「シルバー」「インターナショナル」「ユース」が active champion(防衛戦に敗れると失う)。

「インターナショナル」はランキング16〜30位の選手で争う〝明日の世界王者〟タイトルのはずでしたが、マニー・パッキャオがマルコ・アントニオ・バレラやエリック・モラレスとメガファイトを繰り広げたときにリング誌王座と並べて賭けられるなど、正体不明のタイトルとして迷走しています。

知らない人が見れば「最上位はインターナショナル」と思うでしょうし、あのときは実質的にはそうでした。

また「ユース」はその名の通り「U21」のレギュレーションがありましたが、これもいつのまにか実質撤廃されています。

そして、active championに加えて、防衛義務のない「休養」「名誉」「ダイアモンド」「フランチャイズ」 というspecial championも存在します。 

4−Belt Eraは、当たり前のことですが「全てのベルトを集めるのが最も面倒な時代」です。しかし、その一方で「ベルトの価値が最も下落した時代」でもあります。

まだ価値の欠片が残っていたベルトを集めていた3−Belt Era の完全統一王者と、許容範囲を超えて価値が暴落した4−Belt Eraの完全統一王者。

どちらが価値があるでしょうか?

ベルトの価値が軽くなればなるほど、簡単に王座を返上、平凡な実力しか持っていないボクサーでも複数階級制覇に乗り出すだけでなく、契約体重を守らずに王座を剥奪されるダメージまで限りなく軽くなります。

体重超過でタイトルを失う、プロとしてあるまじき事件が頻繁に起きる最大の原因は、現代のボクサーが規律を失っているからではありません。

順番が逆です。

世界タイトルそのものが本当ならあるべき価値、すなわち権威を喪失してしまったからです。

世界王者の権威が失墜しているのですから、複数階級制覇の価値も暴落しています。

それでも〝偏差値が高い〟と見られる複数階級制覇があります。

現在の17階級で、最も壁が高く厚いクラスはウェルター級です。その反対、最もレベルが低いのがストロー級です。

しかし、全盛期のリカルド・ロペスからストロー級のベルトを奪うことは、テレンス・クロフォードに勝つよりもはるかに難易度が高いことは論を待ちません。

MLBで首位打者を獲るよりも、1994〜2000年の7年間のNPBパ・リーグでイチローよりも高い打率を残す方が至難なのと同じく、スポーツの世界では単純な物差しは通用しないのです。

ーーーリカロペやイチローのような、例外の変態は一旦忘れましょう。

「偏差値の高い複数階級制覇」は「階級間の体重差が大きい重量級」と「レベルが高いウェルター級」を絡めたものであるのは誰にでもわかります。

それに対して、ジュニアフェザー級以下の細分化されたゾーンでの階級制覇は「階級間の体重差が小さい」「階級の層が薄いからレベルが低い」ため、相対的に簡単安易であることが想像されます。

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井岡一翔も成し遂げた4階級制覇で、最も困難なロードマップは、欧米で人気のクラスで32ポンド(14.51㎏)以上にわたる「スーパーミドル→ミドル→ライトヘビー→クルーザー→ヘビー」です。

32ポンドはクルーザー(200ポンド)からスーパーミドル(168ポンド)を引いた数字です。

現実にはブリッジャー級(224ポンド)新設の大義名分である「現代のヘビー級は重すぎる」を考慮すると224−168=56ポンド(25.40㎏)とするのが適正です…いやそれでも控えめな数字です。

この最難関を突破したのは、ロイ・ジョーンズJr.、ただ一人。

ちなみに井岡の4階級の体重レンジは10ポンド、4.54㎏。ライトヘビーからクルーザーの2階級の差、25ポンド(11.34㎏)と比べても半分以下。

スーパーミドル〜ヘビーの56ポンドと並べると5分の1以下、同じ4階級制覇として並べるには、許容範囲を超えた不公平です。

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その次が「ジュニアライト→ライト→ジュニアウェルター→ウェルター」。体重レンジは17ポンド(7.71㎏)。

この4階級制覇を達成したのは歴史上4人…とはいえ、ブローナーさんさえいなければ「これはムズい」と評価してしまいますが、やはり4団体時代、他の3人を見ると勘違いしそうですが、たいしたことありません。

ロイもブローナーと同様に4階級目(ヘビー級)は、穴王者を狙い撃ちにした〝空き巣〟 。最も厳しい階級で輝きを放ったオスカー・デラホーヤやフロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオとは同じステージで語るボクサーではありません。

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4−Belt Eraでも、軽量級のジュニアライトを起点に最もレベルが高いウェルターで大暴れしたデラホーヤとメイウェザーは歴史の残る傑出したボクサーですが、フライ級起点のパッキャオになると、もはや説明不可能の化け物です。

この「ジュニアライト→ライト→ジュニアウェルター→ウェルター」の地図を握りしめ、ジュニアウェルター級まで進出してきたのがガーボンタ・デービスです。

ずんぐりタンクは〝デラホーヤ〟〝メイウェザー〟なのか?

それとも冷やかし4階級制覇の〝ブローナー〟なのか?
 
これまで弱い相手ばかりと戦ってきたキャリアと、醜悪なまでの規律の無さからはブローナーと同じ腐臭がプンプン漂っていますが…。

ーーーメイウェザーの秘蔵っ子は8月14日、マリオ・バリオス相手に一次試験に挑みます。 
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欧米のボクシング市場には、階級間に明らかな〝貴賎〟が存在します。

日本では中量級やときには重量級として紹介されることもあるライト(軽量)級以下が、欧米の軽量級です。

ジュニアフェザー級以下はランキングは一気に薄くなり、ファンの関心は悲劇的に減少してしまいます。 

世界王者の数が今と比べるとはるかに抑制されていた2団体、3団体時代はヘビー級やミドル級の注目試合のようなメガファイトはないにしても、超軽量級でもそれなりの尊敬と存在感を維持していました。

しかし、4団体時代が深まると、様相は大きく変わります。

4団体時代は、単なる「+1」や、「×4」ではなく、様々な世界王者が承認される王者が大量生産される時代です。

承認団体は承認料の支払い実績と支払い能力のあるボクサーを優先して捏造的にランキング、他のスポーツではありえない世界戦が当たり前に繰り広げられています。

カネロ・アルバレスが小手先でひねったアブリ・イルディルムや、井上尚弥への挑戦が内定しているマイケル・ダスマリナスが指名挑戦者というのは、もはや〝犯罪〟です。

WBCやIBFのランキング委員も一人残らず「おかしいのはわかってる」はずです。犯罪です。
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「これが最も価値のある世界チャンピオンベルト」とメキシコベルトをお披露目する嬉しそうなマウリシオさん。

そして、世界王者が粗製乱造される現代、超軽量級の試合が大きなイベントでメインを張ることは絶対になく、前座に回されるのが常態化してしまいます。

このビジネススタイルが、ただでさえ軽量級に関心のない米国のカジュアルファンの心理に「超軽量級は安っぽい」というイメージを植え込み続け、その地位は下落する一方。

ボクシングがメジャースポーツだったという絶対的な背景があるとはいえ、オリジナル8の時代は「ウェルター級がメインイベントで前座に超軽量級の世界戦が複数ぶら下がってる」なんて興行はありえません、というかできません。

そんなことしたら、世界に8人しかいないチャンピオンを1晩で3人も4人もリングに上げてしまうことになります。世界戦を複数パックした興行なんて、馬鹿げています。

しかし、世界王者がいくらでもいる現代なら、一つの興行で複数の世界戦がパックされるのは当たり前、人気階級を目玉に超軽量級がオマケで付いてくる構図です。

米国市場において、超軽量級は日陰に隠された〝被差別クラス〟。ライト級でもタレントが揃わないと大きな注目を浴びることは出来ません。

ファン・フランシスコ・エストラーダのように「体が小さいということはボクサーにとって悲劇」「中量級との報酬格差は酷すぎる」と嘆いていても何も変わりません。人気がないんだから。

どうしたらそこから脱出できるのか?

この難問には、すでにマニー・パッキャオが満点回答を示してくれています。超軽量級で「報酬が少ない」と文句を言ってないで、報酬が高い階級で勝てばいいんです。

パッキャオは人種差別の激しい米国で、米国人やヒスパニックでなくてもスターダムに駆け上がる方法まで明確に提示してくれています。パッキャオのやり方を真似るだけで日本人でも中国人でも米国で大人気のスーパースターになれます。

「PFP8位なら世界で8番目に報酬が高くてもいいはず」なんて寝言です。過去のランキングを見ればわかるように、PFPは不人気階級にもスポットライトを当てる差別補正装置の役割もあります。


もちろん、この話は「黄金のバンタム」がまかり通る日本では全く関係ありません。


前置きが長くなりました。

日陰階級から陽の当たる場所へ。 

1年少し前までジュニアライト級で戦っていたガーボンタ・デービスが、6月26日にマリオ・バリオスを相手にジュニアウェルター級デビューを飾ります。

「ここがゴールと思っていない」。身長166㎝/リーチ171㎝のタンク・デービスが米国の花、ウェルター級を見据えているのは明らかです。

自堕落な26歳ですが、心意気は素晴らしい、これがファイターです。

バリオスはセカンド王者ながらWBAのストラップを握る25歳。

タンクとの無敗対決はSHOWTIMEがPPVで提供するビッグファイトになります。

ジュニアフェザー級でデビューしたバリオスですが身長178㎝、リーチ180㎝とデービスを大きく上回る骨格の持ち主。この階級で4年間戦って、完全な140パウンダーの肉体を作り上げています。

現在のジュニアウェルター級はジョシュ・テイラーがIBFとWBA、ホセ・ラミレスがWBCとWBOを分け合う、やはり無敗の〝2強〟体制。そして、この二人が5月22日に完全統一王座を賭けて激突するのです。

テイラーとラミレスがトップランク、タンク・デービスがPBCという障壁はありますが、フロイド・メイウェザーは秘蔵っ子の完全統一に乗り気です。

デービスもバリオスも無敗とはいえ、強豪との対戦はありません。

デービスはユリオルキス・ガンボア、レオ・サンタクルスに勝ってるとはいえ、この二人は「下のクラスから上がってきたピークを過ぎたビッグネーム」。それでも、苦戦する場面も見られました。

今のところ「弱い相手に豪快に勝ってきただけ」というのがタンクの中身です。

デービスが鮮やかに勝つのがファンも含めた〝米国の総意〟でしょうが、番狂わせもありえます。

体重超過も含めて、常に有利なウェイトで戦って作ってきたデービスの戦績が本物なのかどうか?

バリオスは格好のリトマス紙です。
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