昔は防衛回数が評価されたけど、今は複数階級制覇。

プロボクシングの世界でときどき耳にする言葉ですが、これは明らかに間違いです。

世界的な統括団体が存在しないだけでなく、承認団体という怪しい団体と、かつて8階級だったクラスは4団体17階級に膨れ上がっています。

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世界王者の価値は暴落し、複数階級制覇を狙って王座を返上するのは当たり前。それどころか体重超過によって体重計の上で王座を剥奪されるケースも後を絶ちません。

安易な王座返上と体重超過が「世界王座はいくらでもある」というナメた気分から引き起こされているのは明らかです。

世界に8つしか王座がなければ、挑戦のチャンスを掴み取るだけでもいくつものハードルをクリアしなければなりません。

せっかく掴んだ世界王座を軽々しく返上するなんてことも、まず考えられません。

かつて、ヘビー級には「王座は返り咲くことができない」「サウスポーは世界王者になれない」というジンクスがありましたが、他の階級でも「返り咲き」「サウスポー」が難しいことは同様でした。

オリジナル8のシステム下では、複数階級制覇するにも8階級しかありませんからチャンスが少ないだけでなく、階級間の体重差も大きく、倒さなければいけない王者はいずれも Undisputed Championです。

日本では「世界ランカーに弱い奴はいない」「世界王者は誰もが強い」という寝言をファンだけでなくメディアまでが垂れ流すことがありますが、笑止千万です。

そして、3−Belt Era までと4−Belt Eraの決定的な違いは、世界王者と世界ランクの価値暴落です。オリジナル8の時代から団体と階級が増え続けていつのだから「レベル3」から「レベル4」になっただけの継続的な暴落に過ぎないと考えているなら、それは大間違いです。

まったく違う価値暴落のステージに突入しているのです。

その原因は〝地域タイトル〟の病的なまでの増殖、に集約できるでしょう。

すでに80年代で、WBC傘下の東洋太平洋(OPBF)や、IBFの母体北米(NABF)のタイトルホルダーがそれぞれの世界ランクで優遇されあ世界挑戦への道筋が整備されるシステムが出来上がっていました。

もちろん、当時でも怪しい世界ランカーが散見されていました。 

また、承認団体の王者が防衛戦に失敗したり、タイトルを返上すると上の階級で上位にランクされるばかりか、ダイレクトで世界挑戦するケースもありました。

承認団体内でのタイトルタライ回しや、不可解なランキングは 4−Belt Eraの専売特許ではありません。

しかし、4−Belt Eraでは「地域タイトル」は〝地域タイトル〟に変質します。

北米を例にとっても北米、米大陸、カリブ、スペイン語圏など細分化が進む純粋な地域タイトルに加えて、インターナショナル、ユース、シルバー、ゴールド…各団体は好き勝手な名前を付けたWorld Champion を粗製乱造するのです。

これら〝地域タイトル〟にもシルバーやユース、暫定、休養まで存在し、それぞれの承認団体がランキングで優遇するのですから、マイケル・ダスマリナスやアブニ・イルディリムなど誰がどんな詭弁を弄しようが「最強挑戦者」とは言えない指名挑戦者が続々と産み落とされ、世界ランキングは実力の順番ではなく、承認料支払い能力の高い与信管理ランキングに変貌しているのです。

世界王者の価値はもちろん、防衛回数も複数階級制覇も単なる数字に落ちぶれた4−Belt Eraでは、本来なら最も注目されるべきUndisputedChampionも目立たない存在に追いやられています。

4−Belt Eraの王座のピースは、少なくともスターダムの頂点に立つボクサーから見ると4つをコンプリートする意味がないガラクタです。

不人気王者が自分に関心を向けさせるためにUndisputedChampionになるための道具として集めるだけのガラクタに成り下がっているのです。

バーナード・ホプキンスにジャーメイン・テイラー、テレンス・クロフォード、アレクサンダー・ウシク、 4−Belt Eraで生まれたUndisputedChampionが揃いも揃って、日陰の不人気選手であることは偶然ではありません。

一方で、 4−Belt Eraのスーパースターの系譜=オスカー・デラホーヤ/フロイド・メイウェザー/マニー・パッキャオ/カネロ・アルバレス=を振り返ると、誰一人としてUndisputedChampionへの執着は示さず、当然その座にも就いていません。

彼らが目指したのはガラクタではなく、栄光=カネです。コンプリートしても誰も注目してくれないガラクタ収集ではなく、より大きな試合、より有名な相手とのメガファイトです。

もはや完全統一ではスターの頂点に立てない、いやむしろ完全統一にこだわるような不人気ボクサーではそもそもスターになれない時代になってしまったのです。

ゲンナディ・ゴロフキンは4−Belt Eraの時代に、オリジナル8の王者のごとく振る舞った愚か者です。対戦を避けるカネロを批判している間に、自分が劣化し、今ではカネロだけでなく村田諒太や多くのボクサーから狙われる〝死肉〟になってしまいました。

挑発してきたアンドレ・ウォードに答えて2階級制覇を狙っていたら?リング誌などの予想通りに完封負けや終盤KOされていたかもしれませんが、番狂わせを起こせば一気にスーパースターでした。

最凶を誇ったセルゲイ・コバレフに飛び級2階級制覇をかけて挑戦していたら、カザフスタン人の十字架は関係なく世界中のボクシングファンの注目と尊敬を集めたでしょう。もちろん、惨敗していたら今の地位はありません。

いずれにせよ、それをやらなかったのがGGGです。カネロとは「キャッチウェイトは絶対に受け入れない」という態度をとりながら「メイウェザーとできるならジュニアミドルに落とす」と発言していたのがGGGです。 

カネロや井上尚弥なら完全統一王者=UndisputedChampionを目指しても十分恩恵にあずかれますが、GGGやワシル・ロマチェンコのようなどこにあるかも誰も知らない国のボクサーがスターになるには、パッキャオ方式しかやり方はないのです。

ロマチェンコも「パッキャオに勝てる」と発言しながら「ジュニアウェルター級以上では戦わない」と実質逃亡宣言、テオフィモ・ロペスに押し切られる結末を迎えてしまいました。

GGGやロマの「プロボクシングの世界は狂ってる」という意見はある意味で正しいですが、ファンからしたら「泣き言を並べるのではなく、その狂った世界を打ち砕いて欲しかった」というのが本音です。

カネロとの初戦でGGGがメキシコ人を戦慄の失神KO劇で葬り去ってくれていたなら。ハイテクに翻弄されたテオフィモがコーナーで座りながら号泣して棄権していたなら。どんなにスカッとしたことでしょう。

厳しい期待であることは百も承知です。それでも「彼らなら」という期待があったのです。

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GGGが怯み、ロマがライト級で限界と諦めた複数階級制覇。

 4−Belt Eraにおいて、何をもって成功、何をもって失敗というのか?

正解の定義などありません。

ブローナーは成功、勝ち組か?

ヘビー級の試合が大変なことになってるので、一旦閉じます