井上尚弥とマーロン・タパレスのジュニアフェザー級完全統一戦、その第1ラウンド開始のゴングが打ち鳴らされるまで、あと2ヶ月を切りました。

勝者は、このクラスで史上初のUndisputed championになります。

…というよりも、ジュニアフェザー級はWBAからWBCが分裂したあとに出来たストロー級やジュニアフライ級、ジュニアバンタム級と同じ新設階級なので、まだ誰も「Undisputed champion=議論する余地のない王者」になっていないということです。

オリジナル8の他でも、分裂前から設定されていたジュニアライト級、ジュニアウエルター級、ジュニアミドル級は当然ながらUndisputed championが存在しました。

ちなみに、クルーザー級とスーパーミドル級もジュニアフェザー級などと同じように分裂後に新設されたクラスですが、クルーザー級はイベンダー・ホリフィールドとオレクサンデル・ウシク、スーパーミドル級はカネロ・アルバレスが完全統一して、Undisputed championの座に就いています。

今回のジュニアフェザー級Undisputed championshipの勝者は、4つのアルファベットタイトルを束ねるだけでなく、ギレルモ・リゴンドーが昨年手放したLineal championと、リング誌タイトルも手に入れることになります。



さて、井上のキャリアで今回のタパレスはドネアの2戦もカウントすると、のべ7人目のフィリピン人。

対戦相手の4人に1人以上がフィリピンからの刺客ということになります。

というわけで(どういうわけだかこの時間でしっかり酔っ払ってるワシにもようわからんが)現在の東アジアのボクシングをリードする日本とフィリピンのプロボクサー、その競技人口を今日のBoxRecから階級別に拾ってみましょう。
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両国ともスーパーミドル級からヘビー級の重量級は一気に層が薄くなり、フィリピンでは綺麗にゼロが並んでいます。

日本とフィリピン、よく似た競技人口の構成です。

日本がライトヘビー級とクルーザー級の選手を1人も抱えていないにもかかわらず、ヘビー級に5人もの選手を送り込んでいるのは、この競技に募らせ続けている大きなロマン、夢の発露です。

そして、フィリピンがスーパーミドル級からの4階級でたった1人のファイターもリストアップしていない潔さを見せているのは、ボクシングに甘い夢など必要ないという姿勢の証左なのかもしれません。

日比両国は総人口でも似通っています。

そこに両国のボクシング人気というフィルターを通すと、東シナ海の貧しい島嶼国家のボクシング人口があまりにも少なすぎるように映ってきます。

あくまで推測ですが、フィリピンではプロテストを受けたり、ジムに通うお金がなく、草拳闘・賭け拳闘で戦う、BoxRecがカウント出来ないプロ予備軍が少なからず存在するのではないでしょうか?

いずれにしてもタパレスは、ボクシングファンの度肝を抜く大番狂せを何度も歴史に刻んできたハングリーなフィリピン人の血脈を継ぐ職業拳闘士です。

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パンチョ・ビラがニューヨーク・ポログラウンズで伝説のチャンピオン、ジミー・ワイルドを破壊するなんて、スタジアムに詰めかけた2万人の誰1人として予想していなかったでしょう。

世界ミドル級王者セフェリノ・ガルシアが、ヘンリー・アームストロングの4階級制覇の野望を摘み取り、引き分け防衛に持ち込むなんて、誰が考えたでしょうか?

パワーしか取り柄のないローランド・パスクワがウンベルト・ゴンザレスを撃沈したとき、何が起きたのかを、すぐに理解できた人はいませんでした。

絶望的に不利と見られたノニト・ドネアが、ビック・ダルチニアンの意識を吹っ飛ばした〝後の先〟の左フックに、軽量級マニアは至福の鳥肌を立てました。

そして、私たちはマニー・パッキャオの実力を何度疑い、自分たちが間違っていたことを何度思い知らされたことでしょうか。

もちろん、マーロン・タパレスはパンチョ・ビラやパッキャオ、ガルシア、ドネアであるわけもなく、パワーも世界レベルでは物足りない、パスクワ以下の穴王者です。

しかし、彼もまた、敵地で恐るべき番狂せを演じてきた外弁慶のフィリピン人の系譜を引くファイターです。

これまで井上の拳に倒されてきたのべ7人のフィリピン人と同じ運命を辿るのか?

それとも、ボクシングがメジャースポーツのフィリピンにとって歓喜の〝七度目の正直〟を演出するのか?

多くのブックメーカー、専門家、ファンは31歳のフィリピン人サウスポーが12ラウンド終了のゴングを聞くことは出来ないと決めつけていますが…。