井上尚弥に「やっぱりメキシコのライバルは欲しい」と言わしめたように、現在のボクシング界はメキシコを地軸に回っています。

誰に勝ったわけでもないガーボンタ・デービスが輝いて見えるのは、レオ・サンタクルスとライアン・ガルシアを沈めたからです。

たった1試合の単調な判定勝ちによって、ドミトリー・ビボルが世界中のボクシングファンにその名を知らしメルことになったのは、その相手がカネロ・アルバレスだったからです。
 
IMG_0666
 
 メキシコの時代はフリオ・セサール・チャベスによって開かれましたが、その快進撃は米国の人気階級ウェルター級の一歩手前で頓挫。今なお、実力評価は頭抜けているものの、チャベスからトーチを引き継いだオスカー・デラホーヤ 、そしてカネロがトップ10常連となったフォーブス誌のアスリート長者番付では100傑に数えられることもありませんでした。

チャベスは1984年9月13日にヘクター・カマチョが返上したWBCジュニアライト級王者決定戦でマリオ・マルチネスとのメキシカン対決に8ラウンドTKO勝利、2005年9月17日までの丸22年間で、デラホーヤの6階級制覇にもカネロの4階級制覇にも届かない3階級制覇しかしていません。

デラホーヤのように人気階級ど真ん中で活躍したわけでもなければ、カネロのようにUndisputed Championにもなっていません。

「数字」や「肩書き」では二人の後輩の後塵を浴びているJCスーパースターですが、世界評価で二人を上回っているのは「誰に勝ったのか」という一点に尽きます。

マイク・タイソンの例を出すまでもなく、弱い相手にどんなに圧勝しようが、強い相手に勝たないと世界評価はついてきません。

前回の対アメリカ、対プエルトリコ、そしてメキシコ対決という三つのテーマでチャベスが誰に勝ったのかを振り返ります。

▪️「VSアメリカ」▪️

◉ロジャー・メイウェザー

WBCジュニアライト級の初防衛戦。元王者のロジャーをわずか2ラウンドで粉砕。

ショルダーロールの名手、フロイド一族の頭脳はチャベスに敗れたあと、浜田剛史からWBCジュニアウェルター級王座を奪還したレネ・アルレドンドを圧倒し、6ラウンドでストップ、2階級制覇を果たします。

「何もかもが強い。打たれ強さは信じられないほど」(ロジャー)。

このときチャベス22歳、ロジャー24歳。

このタイトルを4度防衛していたロジャーと、チャベスは立場を入れ替えて再戦。またしても、メイウェザー一族自慢のショルダーロールを破壊、10ラウンドで仕留めました。





◉メルドリック・テイラー

WBCジュニアウェルター級王者のチャベスと、IBF王者テイラーとの無敗王者同士の激突。

11ラウンドまで二人のジャッジが支持していたロス五輪フェザー級金メダリストのテイラーを、チャベスは残り30秒を切ってようやく捕獲、痛烈なダウンを奪います。立ち上がったテイラーを見たリチャード・スティールは、試合終了まで残り2秒でストップを宣告。

試合を再開させていたら、すぐに終了ゴングが鳴ってテイラーが勝利していたことになっていただけに、大きな議論を呼びました。

この試合、見ればわかりますが、テイラーは終盤には両瞼を腫れ上がらせ、鼻と口から出血。チャベスは面の皮が分厚く、鋼鉄の顎を持ち、見た目はほとんぞ無傷。喧嘩ならチャベスの圧勝でした。

メキシコ人にとっては、ボクシングは喧嘩。議論を呼ぶストップでしたが、メキシカンを興醒めさせることはありませんでした。

チャベス27歳、テイラー23歳。


。。。。。。まだ「VSアメリカ」があるのに、ここで一旦中座。