カネロ・アルバレスのプライムタイムは過ぎてしまったのか?

今日の相手、ジョン・ライダーは、マシュー・ハットン、ライアン・ローズ、アミール・カーン、リーアム・スミス、ロッキー・フィールディングス、カラム・スミス、ビリー・ジョー・サンダースと簡単に屠ってきた大好物の英国料理。

序盤で終わるという見方も少なくなかったミスマッチのメガファイトでしたが、試合は12ラウンド36分かかり、3人のジャッジの手も煩わせました。

 I'm in this position a long time ... and I respect my opponents because I know they're coming for everything."

「もう、随分長くこのポジションで戦い続けている。私の対戦相手は誰もが全身全霊を賭けて挑みかかってくる、だから彼らを軽く見ることは出来ないし、尊敬してきた」。

試合後のインタビューでカネロが語ったように、スター選手は見かけ以上に難しい戦いを強いられます。

オスカー・デラホーヤもフロイド・メイウェザーもマニー・パッキャオも「対戦相手のビデオを何度も見て研究することは、まずない」と口を揃えていました。

「私の前に立つ相手は生涯最高のキャンプで最高のコンディションを作って、何よりも最高の精神状態でリングに上がって来る」(デラホーヤ)からです。

勝てば大金を手にすることが出来るだけでなく、その後のキャリでもファイトマネーと注目度も上がります。

これが軽量級の井上尚弥相手なら、大金を手にすることは出来ても、世界的には全く無名の日本人を倒しても、日本とコアなマニアの間以外では誰にも注目してもらえません。

そうなると、ポール・バトラーのように、恥ずかしい戦い方だったと言われても「英国でも誰も知らないのに、恥ずかしいも何もない。生活を保証されない(職業として成立しない)バンタム級で、私がどれほどの大金を手にしたかも誰も知らないだろう。バンタム級でこれほどのファイトマネーを得たボクサーを一人でも知ってるのか?」と、逆ギレするようなヘタレを相手にすることになります。

しかし、カネロ相手にバトラーのような戦い方をすると、世界中のボクシングファンから非難轟轟です。

しかし、バトラーは井上から「何しに来たんだ」と侮辱されるだけで済みます。あの人は戦いを挑みに来たんじゃありません、お金をもらいに来たのです。

Punch Stats

PUNCHESALVAREZRYDER
Total landed17980
Total thrown459457
Percent39%18%
Jabs landed6211
Jabs thrown206200
Percent30%6%
Power landed11769
Power thrown253257
Percent46%27%
-- Courtesy of CompuBox


血だるまにされても、倒されても、鼻骨を砕かれ息ができなくても、どんなに絶望的な戦いでも、最後の1秒まで戦い続けたライダーも、情けない戦い方をしたら、バトラーのようにシレっと帰国できないのは百も承知だったでしょう。

カネロが言う、誰もが死に物狂いで立ち向かって来る「this position」。そこに長い歳月立ち続けることで、心身に及ぼす消耗と疲労は、普通のボクサーには計り知れないものがあるでしょう。

1990年7月18日生まれ、まだ32歳とはいえ15歳からプロのリングに上り、10年以上もthis positionを守るカネロ・アルバレスのキャリアが、山の頂上から下り坂に入っているとしても、大きな驚きはありません。

28年前の同じ7月(12日)に生まれたフリオ・セサール・チャベスが、ちょうど32歳のときに大きな節目を迎えたように。

メキシコメディアの中にはカネロを「史上最高のメキシカン」に推す見方もあるようですが、32歳時点のチャベスと比較すると、勝っているのは稼いだカネと階級制覇の数など数字だけ。

「誰に勝ったのか」という命題の前には、カネロのキャリアはあまりにも貧弱で、比較する前から可哀想にすらなってしまいます。

それでも、比べてみたくなるのが人情です。

JCスーパースター・チャベスは誰と戦い、誰に勝ってきたのか?

そして、カネロは…。