現在の米国プロボクシングは、完全にメキシコの時代です。
このメキシコのボクシングには「誰に勝ったのか?」という揺るぎない大命題だけでなく、様々な「物語」が織り込まれます。
それが「文化」ということです。
21世紀になってからの20年余りだけでも「メキシコ史上最高ファイターは誰か?」が、たびたび議論されるのも、この物語性が豊かであるからでしょう。
その「史上最高」。米国と英国におけるシュガー・レイ・ロビンソンのように、メキシコにも〝雛型〟があります。

フリオ・セサール・チャベスです。
シュガー・レイが Sweet Science たるボクシングの基礎科学を確立したのに対して、JCスーパースターは喧嘩ボクシング=メキシカンスタイルの権化でした。
その系譜を継げる者は、戦績や技術的に卓越しただけのボクサーではありません。
つまり、リカルド・ロペスには、その資格が与えられなかったのです。
マルコ・アントニオ・バレラ、エリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケス、オスカー・デラホーヤ、カネロ・アルバレス…。
カネロ以外の4人に勝ち越してるマニー・パッキャオは、もうちょっと異常に変態です。パッキャオほどオッズを跳ね返してスターダムに駆け上がるファイターはもう2度と出現しないでしょう。
…話が脇道に逸れてすみません、なにしろパックマニアなもので。
メキシコの物語の背景には、三色の極彩絵の具が塗りたくられています。
まずは「VSアメリカ」。
歴史的に長らくスペインの支配を受けてきたメキシコですが、地政学的に最も強烈なインパクトはアメリカによって与えられてきました。
名のあるアメリカのファイターを倒すことは、特別な意味を持ち続けています。
米墨戦争で奪われたネバダ州やカリフォルニア州で、メキシカンがアメリカンを叩きのめすことでどれほどのカタルシスがもたらされるのか、遠く離れた私たちでも想像するのは難しくありません。
カネロ・アルバレスの評価がコンクリートされないのは、まだ現役だからですが、もしフロイド・メイウェザーをKOしていたなら、メキシコ史上最高論争に一定の答えが出ていたかもしれません。
そして、そのアメリカでボクシン市場の没落に歯止めがかかっていないことは、それが相対的にもメキシコのステイタスを押し上げることにもつながっているとはいえ、メキシコのボクシングファンは複雑な思いを抱いているかもしれません。
そして「VSプエルトリコ」。
カリブの対極、西海岸と東海岸。互いにアメリカを仰ぎ見てきた両国から優れたファイターが続々生まれ、歴史に残る名勝負を繰り広げてきました。
カルロス・サラテとウィルフレド・ゴメス、そしてサルバドール・サンチェス。
フリオ・セサール・チャベスとエドウィン・ロサリオ、ホセ・ルイス・ラミレス、ヘクター・カマチョ。
オスカー・デラホーヤとフェリックス・トリニダードは悪い意味でも再戦で〝決着〟をつけるべきでした。
一方で、ミゲール・コットとアントニオ・マルガリートの2試合は、ラバーマッチが熱望されない苦いものになってしまいました。
そして…プエルトリコもまた、かつての〝天才工場〟の面影を失ってしまいました。
メキシコは「倒すべきアメリカ」も「宿命のプエルトリコ」も見失ってしまったのです。
そして…元から「メキシコVSメキシコ」は注目ファイトでしたが、今やそれは「それしかなくなった」と言えるのかもしれません。
カネロ・アルバレスは「VSアメリカ」ではシェーン・モズリー、「VSプエルトリコ」でミゲール・コットという殿堂入りファイターに完勝、「VSメキシコ」ではフリオ・セサール・チャベスJr.からも明白な勝利を収めています。
しかし、いずれも全盛期をとっくに過ぎた相手で、戦前から緊張感の薄いメガファイトでした。
現時点で、カネロのレガシーを語ると「ゲンナジー・ゴロフキンとの三部作」になってしまうでしょう。
GGGとのライバル関係は「絶対王政の牙城に若きスターが挑戦する」という非常に興味深い対決でしたが、初戦が実現したのはカネロがミドル級のLineal/Ring -magazine/WBCの王座に就いてから2年も経ってからのことでした。
その初戦にしても、キャッチウエイトでジュニアウェルター級上がりでピークを過ぎたミゲール・コットとのキャッチウェイト。
ボクシング大国メキシコのファンにとって、カネロは希望の星であることはよく理解できますが、メキシコ史上最高ファイターが議論されるレベルのボクサーには到底考えられません。
メキシコの歴史的な名王者たちと比較して、カネロが優っているのは「ジュニアミドル級からライトヘビー級までの4階級制覇」という数字と、チャベスも出来なかった完全統一を果たし「Undisputed Champion(ミドル級)」に就いたという肩書き。
そこに欠落しているのは「誰に勝ったのか?」です。
ジュニアミドル級ならチャーロ兄弟、ミドル級なら(もっと早い段階での)GGG、スーパーミドル級ならデビッド・べナビデス、ライトヘビー級ならアルツール・ベテルビエフ。完全統一したスーパーミドル級はさておき、残る3階級では緊張感のあるパンチャーとの対戦をことごとく回避してきました。
…それでは、JCスーパースターは「VSアメリカ」「VSプエルトリコ」「VSメキシコ」で誰に勝ったのでしょうか?
このメキシコのボクシングには「誰に勝ったのか?」という揺るぎない大命題だけでなく、様々な「物語」が織り込まれます。
それが「文化」ということです。
21世紀になってからの20年余りだけでも「メキシコ史上最高ファイターは誰か?」が、たびたび議論されるのも、この物語性が豊かであるからでしょう。
その「史上最高」。米国と英国におけるシュガー・レイ・ロビンソンのように、メキシコにも〝雛型〟があります。

フリオ・セサール・チャベスです。
シュガー・レイが Sweet Science たるボクシングの基礎科学を確立したのに対して、JCスーパースターは喧嘩ボクシング=メキシカンスタイルの権化でした。
その系譜を継げる者は、戦績や技術的に卓越しただけのボクサーではありません。
つまり、リカルド・ロペスには、その資格が与えられなかったのです。
マルコ・アントニオ・バレラ、エリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケス、オスカー・デラホーヤ、カネロ・アルバレス…。
カネロ以外の4人に勝ち越してるマニー・パッキャオは、もうちょっと異常に変態です。パッキャオほどオッズを跳ね返してスターダムに駆け上がるファイターはもう2度と出現しないでしょう。
…話が脇道に逸れてすみません、なにしろパックマニアなもので。
メキシコの物語の背景には、三色の極彩絵の具が塗りたくられています。
まずは「VSアメリカ」。
歴史的に長らくスペインの支配を受けてきたメキシコですが、地政学的に最も強烈なインパクトはアメリカによって与えられてきました。
名のあるアメリカのファイターを倒すことは、特別な意味を持ち続けています。
米墨戦争で奪われたネバダ州やカリフォルニア州で、メキシカンがアメリカンを叩きのめすことでどれほどのカタルシスがもたらされるのか、遠く離れた私たちでも想像するのは難しくありません。
カネロ・アルバレスの評価がコンクリートされないのは、まだ現役だからですが、もしフロイド・メイウェザーをKOしていたなら、メキシコ史上最高論争に一定の答えが出ていたかもしれません。
そして、そのアメリカでボクシン市場の没落に歯止めがかかっていないことは、それが相対的にもメキシコのステイタスを押し上げることにもつながっているとはいえ、メキシコのボクシングファンは複雑な思いを抱いているかもしれません。
そして「VSプエルトリコ」。
カリブの対極、西海岸と東海岸。互いにアメリカを仰ぎ見てきた両国から優れたファイターが続々生まれ、歴史に残る名勝負を繰り広げてきました。
カルロス・サラテとウィルフレド・ゴメス、そしてサルバドール・サンチェス。
フリオ・セサール・チャベスとエドウィン・ロサリオ、ホセ・ルイス・ラミレス、ヘクター・カマチョ。
オスカー・デラホーヤとフェリックス・トリニダードは悪い意味でも再戦で〝決着〟をつけるべきでした。
一方で、ミゲール・コットとアントニオ・マルガリートの2試合は、ラバーマッチが熱望されない苦いものになってしまいました。
そして…プエルトリコもまた、かつての〝天才工場〟の面影を失ってしまいました。
メキシコは「倒すべきアメリカ」も「宿命のプエルトリコ」も見失ってしまったのです。
そして…元から「メキシコVSメキシコ」は注目ファイトでしたが、今やそれは「それしかなくなった」と言えるのかもしれません。
カネロ・アルバレスは「VSアメリカ」ではシェーン・モズリー、「VSプエルトリコ」でミゲール・コットという殿堂入りファイターに完勝、「VSメキシコ」ではフリオ・セサール・チャベスJr.からも明白な勝利を収めています。
しかし、いずれも全盛期をとっくに過ぎた相手で、戦前から緊張感の薄いメガファイトでした。
現時点で、カネロのレガシーを語ると「ゲンナジー・ゴロフキンとの三部作」になってしまうでしょう。
GGGとのライバル関係は「絶対王政の牙城に若きスターが挑戦する」という非常に興味深い対決でしたが、初戦が実現したのはカネロがミドル級のLineal/Ring -magazine/WBCの王座に就いてから2年も経ってからのことでした。
その初戦にしても、キャッチウエイトでジュニアウェルター級上がりでピークを過ぎたミゲール・コットとのキャッチウェイト。
ボクシング大国メキシコのファンにとって、カネロは希望の星であることはよく理解できますが、メキシコ史上最高ファイターが議論されるレベルのボクサーには到底考えられません。
メキシコの歴史的な名王者たちと比較して、カネロが優っているのは「ジュニアミドル級からライトヘビー級までの4階級制覇」という数字と、チャベスも出来なかった完全統一を果たし「Undisputed Champion(ミドル級)」に就いたという肩書き。
そこに欠落しているのは「誰に勝ったのか?」です。
ジュニアミドル級ならチャーロ兄弟、ミドル級なら(もっと早い段階での)GGG、スーパーミドル級ならデビッド・べナビデス、ライトヘビー級ならアルツール・ベテルビエフ。完全統一したスーパーミドル級はさておき、残る3階級では緊張感のあるパンチャーとの対戦をことごとく回避してきました。
…それでは、JCスーパースターは「VSアメリカ」「VSプエルトリコ」「VSメキシコ」で誰に勝ったのでしょうか?
コメント
コメント一覧 (2)
しかも1戦目は負けていたという意見が多い
カネロがライトヘビー級でビボルとのリマッチに拘っているのは、それを本人も理解しているからでしょう
今のカネロに必要なのは金ではなくレガシーです
フシ穴の眼
が
しました