カテゴリ: ヘビー級が動くが如くボクシングは動く

BoxRecは全ての階級を平等に見て、公正なポイント制でPFPをラインナップしています。

井上尚弥が堂々の1位。「全ての階級を平等に見る」なら、階級支配度の点で井上を上回るファイターは世界に見当たりません。

そして、中谷潤人が6位。やはり強烈に階級支配をしています。

16位に寺地拳四朗。ジュニアフライ級とフライ級で強豪を倒してきました。

あれ?ESPNやリング誌など多くのメディアで1位に推されているオレクサンデル・ウシクの名前が、トップ10からこぼれ落ちて、なんと13位に甘んじています。


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もちろん、PFPは弱者の言い訳。ヘビー級に門戸が狭いのは当然です。

しかも、ウシクの場合はヘビー級で5試合を戦い全勝ながら、KOはダニエル・デュボアとの打撃戦でマークした一つだけ。判定勝ちの4試合の半分、2試合がSDのクロスゲーム。残る2試合も完封勝利とは程遠い内容。

ウシクの「階級支配度」は非常に貧弱で、5戦5勝が5戦全敗であってもおかしくない、タイトロープを渡るような薄氷の勝利を拾い上げてきただけです。

B級王者のウクライナ人がPFP1位だなんて言い出すなら「ヘビー級は別格」という、PFPでは絶対にあってはならない階級差別です。

「全ての階級を平等に見る」のがPFPの基本。ジュニアフェザー級はレベルが低い、ウェルター級は層が厚くてレベルも高い、ヘビー級が一番強いに決まってるーーーそれを言い出すとPFPのお遊びは終わってしまいます。

もちろん、PFPは「全ての階級を平等に見る」のが基本とはいえ、基本を無視するのも勝手、まず自由な妄想ありきです。

ただ、PFPトップ10を「実際にやったら強いから」とヘビー級だけで10人並べてしまうのは無粋極まります。それじゃ、妄想ちゃうやん、ってことです。

さて、BoxRecが今年から始めた新手のPFP、ファン投票によるPFPを見てみましょう。

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ポイント制PFPとほとんどメンツは変わりませんが、シャクール・スティーブンソンが10傑落ち。

そして、13位から一気にウシクが1位に浮上しています。

井上以下の減量ボクサーたちには「弱者の言い訳=全ての階級を平等に見て、どれだけ階級を支配しているか」を適用しながら、ウシクだけは階級支配度を無視してしまっています。

全く、あからさま過ぎるダブルスタンダード。

ウシクを1位に推すなら、凡庸なウクライナ人とクロスゲームを繰り広げたタイソン・フューリーや、アンソニー・ジョシュアもランキングさせるべきなのに。

もちろん、階級支配度が薄弱なウシクが何故、PFP1位なのかは説明不要でしょう。

「全ての階級を平等に見る」という妄想を破壊して、「リング上でも明らかに階級の違うウシクが絶望的な体重差を跳ね返して巨人たちと互角の戦いを繰り広げた」という妄想ではない、事実を突きつけられてしまったからです。

わずか3〜4ポンドの差で〝ナバレッテとは縁がなくなる〟井上尚弥や、わずか3ポンドで井上のオファーを「全く考えられない」と拒否した井岡一翔のデリケートさに少し幻滅してしまうかもしれません。

もちろん、より弱い相手を求めて自分も弱体化する減量に身を投じる階級では、わずか3ポンドの壁はあるかもしれません。

しかし、自分が強くなることだけをひたすら追求するヘビー級では、ウシクは極端にしても10〜20ポンド差で戦うのは珍しいことではありません。彼らは減量で衰弱しきっていないのです。むしろ、最強の状態で秤に乗り、リングに上がるのです。

井上のようにガンガンにストーブをたいた暖房しまくりの部屋で、分厚い毛布にくるまり、脱水症状を作って、顎が尖り、頬がこけ、肌がカサカサになることもありません。

さて、ではウシクは歴代PFPで最強か?そして、ヘビー級史上最強なのか?

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オレクサンデル・ウシクが巨人タイソン・フューリーと、史上最も身体能力が高いとされるアンソニー・ジョシュアとそれぞれ2戦、計4試合を戦い見事に全勝。

見逃せないのは20〜55ポンドという体重差を跳ね返して、ヘビー級トップ2を撃破したということです。

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井岡一翔や井上尚弥らの複数階級制覇は「その階級の肉体を作り上げるまでは上げない」(井上)というように、前日計量での体重差はほとんどなく、リバウンドする当日体重も〝誤差の範囲内〟。

明らかに適正階級でないウエルター級をカネが稼げる人気階級だからという理由で主戦場にしたフロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオのような変態さんもいますが、彼らは超レアケース。

そんな変態さんですら、たかが10ポンドの体重差を跳ね返したこともありません(パッキャオとアントニオ・マルガリートのWBCジュニアミドル級王者決定戦は前日計量で7ポンド差)。

ところが、ウシクは変態さん2人すら不可能のとんでもない体重差を乗り越えて勝利したのです。

もし「ウシクとフューリーが同じ体質ならどちらが優れたファイターか?」というありえない妄想をあれこれ巡らせるのがPFPです。

ところが、ウシクは絶望的な体重差がある現実で〝大きなハンディキャップマッチ〟に挑み、タイプの違う2人のヘビー級最強候補からそれぞれ2戦2勝をマークしたのです。

井上はエマヌエル・ナバレッテの挑発に「縁がなかった」と逃亡、その井上からの対戦提案を井岡は「意味がない」と無視しましたが、その体重差はそれぞれ4ポンドと3ポンド。

そんな軽い体重差で彼らはビビりまくったのです。もし、試合に臨んでいたら井上とナバレッテ、井上と井岡はほぼ同じ体重で前日計量を終えていたでしょう。

ところが、ウシクはそうではないのです。

もちろん、変態パックメイと比べても狂気の沙汰のウシクと、軽量級の殻の中で必死に頑張ってる普通のチャンピオンを比較するのに無理があります。

PFPの根本概念である「弱者の言い訳」から外れたヘビー級は、この妄想ランキングにリストアップすべきではありません。

しかし、「弱者のの言い訳」が誰に対するものかというと歴史的にヘビー級であったというPFPの出自もまた事実。

かつて、マイク・タイソンや、あるいはウシクと同じクルーザー級(当時のクルーザーは190リミットだったのである意味ウシクより凄い)からヘビー級で活躍して1位になったイベンダー・ホリフィールドなど小さなファイターも存在しました。

しかし、タイソンは「アリよりも小さくフレージャーよりも重い」、当時では軽量のヘビー級とはけして呼べなかった、むしろ重戦車でした。

また、ホリフィールドはタイソンよりも軽量で、レノックス・ルイスやニコライ・ワルーエフとウシクに勝るとも劣らない体重差で戦いましたが、勝利を収めることは出来ませんでした。

近代ボクシングでは1985年にマイケル・スピンクスがラリー・ホームズを攻略「どんなに優れたライトヘビー級王者であっても、凡庸なヘビー級王者にも勝てない」というジンクスを打ち破ります。

スピンクス、デビッド・ヘイ、ロイ・ジョーンズJr.、ホリフィールド…下の階級王者からヘビー級タイトルを攻略した傑出した才能のサンプルは極めて少数です。

しかし、スピンクスが下した、当時最強のLineal champion ホームズはキャリア晩年の劣化時期。他の王者に至っては最強と目された相手との大勝負では敗北しています。



ヘビー級で最も大きな成功を収めた〝外来種〟がウシクであることに、もはや誰も異論はないでしょう。

また、ウシクのPFP1位が井上やバム・ロドリゲスらと並べて語る次元ではないことも、重度の井上信者ですら理解できるはずです。

ウシクの存在は、弱者の楽園であるPFPを、完膚なきまで破壊してしまいました。

前置きが長くなりました。



さて、ウシクは史上最強のヘビー級か?


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ウエルター級バージョンのフロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオがらほんの一握りの変態を例外に、ヘビー級を除く16の階級では「より弱い相手を求めて自分も弱体化する苛烈な減量」に身を投じています。

計量前の井上尚弥は頬がこけ、顎が尖り、肌はカサカサ、そして水分を断ち、皮下脂肪までほとんど落とした体は筋肉の形があらわになっています。

そこから一晩、一気のリカバリーとリバウンドで表情には生気が戻り、計量時よりも筋肉のラインは緩やかになっています。

井岡一翔やノニト・ドネアのように、計量時でも筋肉の輪郭が比較的緩い選手もいますが、これはタイプによるもので、軽量級選手が過酷な減量と向き合っていることに変わりはありません。

この「より弱い相手を求めるプラス」と「自分も弱体化するマイナス」のギリギリの収支を追求するのが減量階級です。

一方で、体重制限のないヘビー級のファイターのウエイトコントロールは単純明快、最強の自分を作り上げることです。

パワー重視で体重を増やすこともあれば、スピードを意識して体重を絞ることもあります。

体重を絞る、といってもファイティング原田から井上尚弥に通じるようなストーブを燃やした部屋で毛布にくるまり、出ない汗を絞り出すような〝自殺行為〟はしません。

Usyk-Fury 2 - CompuBox Punch Stats

PUNCHESUSYKFURY
Total landed179144
Total thrown423509
Percent42.3%28.3%
Jabs landed7344
Jabs thrown211252
Percent34.6%17.5%
Power landed106100
Power thrown212257
Percent50%38.9%

さて、オレクサンデル・ウシクとタイソン・フューリーの再戦は返り討ちに終わりました。

判定には様々な見方があるでしょうが、許容範囲だったと思います。

フューリーは過去最重量で臨んだことに、何か計算があったのでしょうか?

もちろん、こんなもの結果論です。フューリーが判定勝ちなら「パワーでウシクを押し切った」です。

ただ、フューリーはもっと絞って動ける肉体を作るべきだったように思えてなりません。

そんなこと百も承知でも、体を絞る規律が保てなかったとしたら、ウシクのような老練な勝負師を倒すことは不可能です。





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世界で最も注目されるスポーツイベントは?

サッカーのW杯や、オリンピックが地球規模の興味・関心を集めているのはその圧倒的な競技人口と、国旗を背負う選手が躍動するからです。
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しかし、1970年代以前はボクシングの世界ヘビー級タイトルマッチも地球的な規模の人気と尊敬を受けていたのです。

ハリウッドまでが寵愛したのはベーブ・ルースではなく、ジャック・デンプシーでした。

デンプシーやロッキー・マルシアノ、モハメド・アリ、彼らは世界中のスポーツファンが知る名前で、彼らよりもインパクトの小さかったジーン・タニーやフロイド・パターソン、ソニー・リストンらもまた世界ヘビー級チャンピオというだけで名前を馳せたのです。

インゲマル・ヨハンソンと聞いても今のファンは誰も知らないでしょう(私もリアルタイムでは知りません)が、それでも現在のESPY賞に匹敵するSportsman of the Yearに選出されるような存在でした。

Sportsman of the Yearに輝いた最後のボクサーはシュガー・レイ・レナードで1981年のこと。もう43年も前の出来事です。

1993年からキックオフしたESPY賞に至っては2021年に大坂なおみ、2022年に大谷翔平が受賞していますがボクサーは、受賞など論外、ノミネートすらされていません。

1980年代のマイク・タイソンも地球規模のビッグネームでしたが、ボクシングそのものの社会的ステイタスは没落、ヘビー級の権威も70年代とは全く異なるものに堕ちていました。

それから現在まで、ボクシング界は一度の盛り返しもないまま低迷を続け、米国ではウエルター級やミドル級がヘビー級よりも稼げる状況まで散見されるようになってしまいます。

ウエルター級こそがPFP、そんなフロイド・メイウェザー史上最高説、マニー・パッキャオの複数階級制覇、テレンス・クロフォードや井上尚弥らのそれぞれのクラスでの〝史上初の4団体統一(Undisputed champion)〟。

ーーーあたかも素晴らしい偉業のように喧伝されていますが、PFPなど所詮は弱者の言い訳、8階級制覇なんてそもそも4団体17階級というスポーツを冒涜する異常事態の中で生み出されたもの、1団体時代はチャンピオンはほとんど例外なくUndisputed championだったのです。

さて、あと半日後に迫ったヘビー級の正当王者(Lineal champion)、リング誌、事実上のUndispeted champion、オレクサンデル・ウシクとタイソン・フューリーのメガファイト。

地球規模で、この試合にどの程度の関心が払われているでしょうか?




さて、専門メディアが「世界ヘビー級タイトルマッチの再戦」について歴史的な振り返りを行っています。

まずは、BOXINGSCENEから、Repeat or revenge: 10 great heavyweight rematches。


① Gene Tunney vs Jack Dempsey: REPEAT 

September 23, 1926: Tunney W10 Dempsey 

September 22, 1927: Tunney W10 Dempsey 


史上最多の12万577人が詰めかけた初戦は、まさかの大番狂せ。再戦ではデンプシーの勝利は確実と見られていました。

このときデンプシーが愛妻エリーに語った"Honey, I forgot to duck."(ダッキングをわすれてただけさ)という言葉は、55年後に暗殺事件に遭ったドナルド・レーガン大統領も心配する妻に同じ言葉を贈りました。

そういうことです。世界ヘビー級チャンピオンの言葉は、すなわち名言や流行語になった、そんな時代が存在したのです。

再戦では有名な「ロングカウント事件」で、デンプシーが連敗。




② Joe Louis vs Max Schmeling: REVENGE 
June 19, 1936: Schmeling KO10 Louis 

June 22, 1938: Louis KO1 Schmeling 


ナチスvsアメリカ、これぞ究極の代理戦争。

反ナチスのシュメリングには可哀想な役回りでした。




③ Rocky Marciano vs Ezzard Charles: REPEAT 
June 17, 1954: Marciano W15 Charles 

September 17, 1954: Marciano KO8 Charles 


初戦の判定勝利からわずか2ヶ月後の再戦。生涯全勝無敗の伝説を作るデンプシーは8ラウンドで決着をつけました。



④ Sonny Liston vs Floyd Patterson: REPEAT 
September 25, 1962: Liston KO1 Patterson 

July 22, 1963: Liston KO1 Patterson 


マイク・タイソンの先駆け、1960年代に世界最凶悪の男、ソニー・リストンは無敵に見えました。

カス・ダマトは、リストンを避けていたのは「マフィアとのつながり」と強弁していましたが、実際には「リストンには万に一つも勝てない」と恐れていたからでした。


⑤  Muhammad Ali vs Sonny Liston: REPEAT 
February 25, 1964: Ali TKO 7 Liston 

May 25, 1965: Ali KO1 Liston 

そのリストンを圧倒的不利の予想を覆して大番狂せを起こしたのが、カシアス・クレイ。

今となっては「世の中フシ穴だらけ」と笑いますが、当時は再戦でもリストン有利でした。




⑥  Muhammad Ali vs Leon Spinks: REVENGE 
February 15, 1978: Spinks W15 Ali 

September 15, 1978: Ali W15 Spinks 

モントリオール五輪でライトヘビー級の金メダルを獲ったレオン・スピンクスでも、生きる伝説アリの敵ではないといられていましたが、まさかの陥落。

36歳になったアリ、と勢いに乗る25歳のレオンの再戦は、アリがアンダードッグ。しかし、見事にリベンジ、史上初のヘビー級王座3度返り咲きを果たします。




⑦  Evander Holyfield vs Riddick Bowe: REVENGE 
November 13, 1992: Bowe W12 Holyfield 

November 6, 1993: Holyfield W12 Bowe 

イベンダー・ホリフィールド、感動の2連戦。

小さくて軽いホリフィールドが、大きくて重いボウを攻め込む姿は、WOWOWエキサイトマッチの最初のヒットでした。




⑧  Evander Holyfield vs Mike Tyson: REPEAT 

November 9, 1996: Holyfield TKO11 Tyson 

June 28, 1997: Holyfield W DQ3 Tyson 


タイソンの弱さが全て曝け出された2試合。

初戦ではBプランを持たないリングIQの低さから、ジリ貧の惨敗。再戦では記者会見から精神薄弱を露呈、試合でも愚行を犯してしまいます。


⑨ Lennox Lewis vs Oliver McCall: REVENGE (with an asterisk) 

September 24, 1994: McCall TKO2 Lewis 

February 7, 1997: Lewis TKO 5 McCall

再戦はマッコールが挙動不審のウォーキンぐの末に号泣するという、どう見て良いのかわからない珍事に。


⑩ Lennox Lewis vs Hasim Rahman: REVENGE 
April 22, 2001: Rahman KO5 Lewis 

November 17, 2001: Lewis KO4 Rahman 

実力はあってもポカも多かったルイス。

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いよいよ明日に迫った、今年一番、飛び抜けてのメガファイトです。

このサウジの奇怪なボクシング進出がなければ、Event Of The Year は「井上尚弥vsルイス・ネリ@東京ドーム」で決定だったのでしょうが。記者会見から前日計量の演出を見るだけでも次元が違います。

ただし「ボクシングファンが会場に詰めかけて熱狂した」という内容的・実質的にはEvent Of The Year は「@東京ドーム」です。

さて、あすのメガファイト。

Saturday 21, December 2024←現地時間
  
Kingdom Arena, Riyadh, Saudi Arabia←何度もリニューアルされて世界最高のアリーナになりそうです。

commission:British Boxing Board of Control←サウジにはコミッションが存在しませんから、英国ボクシング管理委員会が管轄します。

promoter:Spencer Brown (Goldstar),
         Eddie Hearn (Matchroom Boxing),
                   Frank Warren (Queensberry Promotions)
←ウシクのマッチルームは当然として筆頭のSpencer Brown (Goldstar)はサウジの息がかかったプロモーター。そしてフューリーをプロモートするクイーンズベリー。米国限定でフューリーをプロモートするトップランクは今回も蚊帳の外。



ウシクは226ポンド(102.51kg)、フューリーは281ポンド(127.45kg)。その差はなんと55ポンド(24.94kg)。

PFP(体重同一時世界最強)のお遊びが限りなく虚しくなってしまいます。

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ウクライナ郵便局・Ukrposhta はオレクサンデル・ウシクの特別切手を発行しました。

世界ヘビー級王者のウシクは12月21日にタイソン・フューリーとの再戦を控え、すでにサウジアラビア入りしているはずです。


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このイベントにはジュニアミドル級のセルヒイ・ボハチュク、ライトヘビー級のダニエル・ラパン、ヘビー級のアンドリー・ノビチュイとウシクの他にも3人のウクライナ人がリングに上がります。



さて、世界中のボクシングファンが注目するフューリーとの再戦です。

オッズはウシク勝利が4/5(1.8倍)、フューリー23/20(2.15倍)。ほとんど互角です。

多くのメディアがPFP1位に推すウシク。そのウシクと互角の評価を受けるジプシー・キングですが、彼をPFPにリストアップするメディアはほぼ見当たりません。

アルツール・ベテルビエフとドミトリー・ビボル、テレンス・クロフォードとエロール・スペンスJr.、ローマン・ゴンサレスとファン・フランシスコ・エストラーダ…実力伯仲と見られる同じ階級の2人はPFPもセットでランクされるのが普通で、そうでないとPFPの概念が崩壊してしまうのですが…。

パウンド・フォー・パウンド(パウンドあたりの強さ=体重同一時)を妄想するのがPFPなんですが、ウシクみたいに妄想どころか現実のリングで自分より50ポンドも重い相手に勝っちゃうなんてされてしまうと…もうなんだかなぁです。

私も大好きなPFPは、何の意味も価値もないお遊びですが、面白いとは思ってます。しかし、ウシクには「PFPってどこがオモロいねん?」とニタ〜と笑われてるようで、ちょっと興醒め。

まあ、でもいい選手ですわ。強さが滲み出てる。

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強さとは何か?

村田諒太はPFPについて「(誰が最強か?って)そんなんタイソン・フューリーに決まってるでしょう」と反駁しましたが、彼のいう「タイソン・フューリー」は「物理的、動物的にボクシングが強い」という記号です。

強さとは何か?

大谷翔平のように誰もが「絶対に無理」と決めつけたミッション・インポシブルを、熨斗を付けて現実にしてしまう超絶挑戦者魂が本当の強さか?

あるいは、個人では絶対に勝てないはずの世界を支配するシステムに戦いを挑み、勝利してしまうモハメド・アリが本当の強さか?

 


強さとは何か?

この問いに明確な答えなどありえません。

もしどうしてもと、その答えを求められたのなら、大切なものを守るために、どこまで抵抗出来るか?どこまで戦えるか?ということでしょうか。

個人的にはすでに見てしまったのですが、英語が苦手な私だけにNHKで放送してくれるのはありがたい!


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© Sky UK Limited 2023


◾️BS世界のドキュメンタリー
 「More Than a Fight」(2024年:SkyShowtime)



元ヘビー級世界チャンピオンでウクライナの首都キーウ市長。

政治家としては異色の経歴を持つクリチコとは、どんな人物なのか。

アカデミー賞受賞監督が描く長編作品。

ビタリ・クリチコは旧ソビエト時代に軍人と教師の両親のもとに生まれ、ボクサーとして弟と合わせて主要4団体の世界チャンピオンとなったウクライナの英雄。

ボクサー時代から民主化運動を支持し、政治家に転身。

ロシアによる侵攻後は市民に寄り添い、国の防衛と復興に全力を注いでいる。

持ち前の不屈の精神で活動を続ける市長に密着する。


[前編]11月12日(火) 午後10:45〜午後11:35
[後編]11月13日(水) 午後10:45〜午後11:35

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ボクシング界のスーパースターの条件は、以下の2点に集約して差し支えありません。

(1)多くのメディアでPFPの一人として認められる実力
(2)Forbes World's Highest-Paid Athletes Listに数えられる人気(報酬の高さ)


見逃してはいけない〝アスタリスク〟が二つあります。まず…。

*PFPがヘビー級に偏向する人気から他階級への関心を惹起させるために作られたイクスキューズであり、ヘビー級がランキングされにくいこと。

この10年で生粋のヘビー級でPFPに名前を刻んだのは第一次政権で5度、第2次政権で14度の防衛を果たしたウラジミール・クリチコだけで、第2次政権で「ここまで強いとヘビー級であってもこれ以上無視できない」(リング誌)とリストアップされた状況でした。

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⬆︎リング誌2014年10月号のPFP⬆︎


Dr. Steelhammer(鉄拳博士)はESPN、リング誌ともにPFP3位まで評価を上げ、史上初の「ヘビー級で1位」になるかどうかが注目されていましたが、2015年にタイソン・フューリーに敗れてしまいます。(脚注)

2003年にロイ・ジョーンズがリング誌の月刊PFPランキングで1位に躍り出たのは、ヘビー級での実績(3月1日:WBA王者ジョン・ルイスに判定勝ち)が反映されたからでしたが、現在1位のオレクサンデル・ウシク同様に、純粋にヘビー級ボクサーとして評価されたわけではないことは誰の目にも明らかです。

純粋なヘビー級ボクサーが、ジョンルイをポイント稼ぎで判定勝ちしたロイとは比較にならない、ギタギタに粉砕する形で圧勝しても、PFPの歯牙にもかけられなかったでしょう。

また、現在でもウシクをダニエル・デュボアが破壊的にKOしたとしてPFP1位になることは絶対にありませんが、同じことをやらなくてもSDで勝ったとしてもドミトリー・ビボルやアルツール・ベテルビエフがやれば間違いなく1位です。

ウシクと2試合もクロスゲームを展開したアンソニー・ジョシュアがPFPの俎上に上がらないのも、この妄想ランキングが宿命的に内包するヘビー級差別の〝PFPパラドクス〟です。

あの接戦の2試合を勝っていても、ジョシュアは1位どころか10位にも入っていないのではないでしょうか。

リング誌の月刊PFP(1990〜2022年)の33年の歴史で、最も注目されている階級にも関わらず、生粋のヘビー級のボクサーは誰一人として1位に選出されていないというのが、動かし難い事実なのです。

また、2010年から現在も継続しているリング誌電子版のPFPでも生粋のヘビー級ファイターは15年の歴史でただの一人も1位に選ばれていません。

つまり…スーパースターの条件としての「(1)多くのメディアでPFPの一人として認められる実力」について、そもそもヘビー級を排除することを目的に発明された〝弱者の言い訳〟PFPを物差しに持ち出すと大きな間違いを犯してしまいまうのです。

その意味ではリング誌よりも権威のあるESPNで10傑に数えられた無敗時代のアンソニー・ジョシュア(ESPNのPFPが権威があるわけではありません、PFPはどれも権威とは最も縁遠いものです)や、タイソン・フューリーは「(1)多くのメディアでPFPの一人として認められる実力」があるとみなして問題ないでしょう。

そして、二人とも「(2)Forbes World's Highest-Paid Athletes Listに数えられる人気(報酬の高さ)」を完全無欠なまでに満たしているのですから、スーパースターと認定することに誰も異論はないはずです。

もちろん、現時点のジョシュアとフューリーでは、ヘビー級差別を勘案しても「(1)多くのメディアでPFPの一人として認められる実力」があるとは考えられませんが。

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さて「(2)Forbes World's Highest-Paid Athletes Listに数えられる人気(報酬の高さ)」については、これは現在、大谷翔平が事実上の1位独走ですが、軽量級ボクサーは100位でも高く分厚く乗り越えるのが不可能の壁です。

「(1)多くのメディアでPFPの一人として認められる実力」では井上、バム・ロドリゲス、中谷潤人が115ポンド〜122ポンドという、わずか7ポンド(3.18kg)という狭すぎるスパンの中に3人も送り込んでいる軽量級ですが、「(2)Forbes World's Highest-Paid Athletes Listに数えられる人気(報酬の高さ)」の点で、全く話にならないのです。

井上の報酬(正確には発表しないので不明←これも現代スポーツではダメ、こんなこといつまでもやってたら地下競技と一緒です)が最も大きいと思われますが、バムと中谷を合わせても100位にも入りません。

〝メジャーリーグ〟の人気階級と、〝マイナーリーグ〟の軽量級では、絶望的な格差があるのです。


そして、二つ目のアスタリスクは…。

*「(2)Forbes World's Highest-Paid Athletes Listに数えられる人気(報酬の高さ)」を必要条件にすると、軽量級ボクサーはスーパースターには100%なれない、ということ。ソフトボールの選手と大谷、ビーチサッカーの選手とメッシをスター度で比較してはいけないということです。




そして、最初に書いていない三つ目のアスタリスクは、いちいち断りたくはないのですが…。

*マイナースポーツを蔑視する意図は全くありません。私がマイナースポーツや女性スポーツ、そして軽量級という〝月見草〟をこよなく愛してることは、このブログを読んでいただければ明白だと思います。

軽量級ボクシングが迷い込んで、許容範囲を超えた誇大表現ならまだしも嘘を塗り固めて、多くの人の誤解を招き、マイナーな競技の健康的で長期的な発展を阻害するのが見過ごせないのです。

「事実を知って失望するくらいなら、気持ちの良い嘘に酔っていたい」という方は、このブログは読んではいけません。

こんなことを書くのは「俺って本当は優しいいいやつなんです」と言ってるみたいで、一番イヤなんですが、傷つく人がいるといけないので。

コメント欄はブログ開設以来、何の制限もかけずに、完全開放しています。お一人だけ、私への攻撃なら良いのですが目に余る人種差別を繰り返したので削除・ブロックしていますが。

ときどき、示し合わせたように大量投下していただいている、記事とは無関係な罵詈雑言でも大歓迎ですので、そこで憂さ晴らしして下さいませ。あまり多いと他の読者が見にくくなるのでコメントごと別の記事に移動していただくかもしれませんが、私からは絶対に削除はしません。

ただ、私はOKでもlivedoor Blog 的にNGだとごそっと削除されてしまうのでご注意下さい。…なんて書いてしまうと罵詈雑言、こなくなっちゃうかな。



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さて、巨額のカネが動く〝メジャーリーグ〟のファイターには、プロモーターやテレビ局の思惑という卑しい力学が働きます。

どうして、パッキャオvsメイウェザーが2015年までズレ込んでしまったのか?理由はただ一つ、この卑しい力学が強烈に働いたからです。

そして、この卑しい力学の最大(最悪?)の犠牲者がジョシュアでした。

パックメイを凌ぐことが確実視されたメガファイトを、何度も逃してしまったのですから。

…いいえ、本当の犠牲者はジョシュアではなく、ボクシングファンでした。


なぜジョシュアはキーファイトで大番狂せを引き起こされるのか?


典型的なグラスジョー、打たれ弱い?距離が詰まるとガードが緩くなる(安全距離では弛緩仕切ってリラックス、危険距離になるとガードとポジショニングで完璧なバリアを形成したメイウェザーの真逆です)?

それならレノックス・ルイスもウラジミール・クリチコもそうでした。

誰と比べてるんだって話になりますが、メイウェザーと比べるとウシクでも隙だらけ、そしてウシクはヘビー級では間違いなく打たれ弱い。


…なぜジョシュアだけが、キーファイトで大番狂せを引き起こされるのか???




(脚注)定期的に発表される「PFP」はリング誌が1990年から毎月発表したものが最古(2022年に廃刊に追い込まれて消滅)。同誌が1980年から年間アワードの一つとして立ち上げたBest Fighter PollもPFPと捉えると1988年と89年にマイク・タイソンが2年連続で1位になっています。

また、慢性的な経営難だけでなく「Fighter Of The Yearがあるのに趣旨がかぶるBest Fighter Pollは不要」という声などから、1987年はBest Fighter Pollを実施しませんでした(リング誌は経営難が悪化した1989年に休刊に追い込まれますが、1990年に復刊)。

リング誌よりもはるかに権威があるESPNが発表するPFP(ESPNのPFPが権威があるのではありません、どこのPFPもお遊び、権威はありません)ではフューリーとジョシュアがランキングされたことがあります。




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アンソニー・ジョシュアに心の隙がなかったか、というとそれは大きな口を開けて広がっていたでしょう。

フランシス・ガヌーという過大評価の黒船(現実は泥船)を完全破壊したことは、ジョシュアにとってマイナスでした。

オレクサンデル・ウシクと2試合24ラウンド、72分間にわたって互角に戦ったことが再評価されていることも、ジョシュアにとってマイナスでした。

エディー・ハーンが「英国史上最高のアスリート」と絶賛、永久契約を締結したこともマイナスでした。

そんなことを言い出すと、地元で迎え2012年ロンドン五輪で準メダルを獲得し、国民的スターになったこともマイナスでした。

もちろん、全部タラレバです。



それにしても、あのウィンブリースタジアムをフルハウス(9万6000人!)にしたばかりか、英国人12人だけのマッチアップで全6試合。しかも、WBOライトヘビー級王者決定戦に出場したウィリー・ハッチンソン(スコットランド)を除くと11人がイングランド。

五輪を例外に多くの国際大会でイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドと4カ国がエントリーしてくる〝暴挙〟を当たり前にしちゃってるUnited Kingdom。

私自身は英国に行ったことが一度もありませんが、大学時代の友達、仕事関係の知人にはイングランド人もスコットランドもウェールズも北アイルランドの人も結構な数でいます。

彼らは、この〝暴挙〟を暴挙と考えていません。その要因は一つだけではありません。これも面白い話なので、いつか詳しく。

今回のテーマは「番狂せ」です。

モハメド・アリやマニー・パッキャオに代表されるように、スポーツの醍醐味である大番狂せは当たり前ながら、勝者が主人公でした。

その意味で「アンソニー・ジョシュア」は非常に特殊なサンプルです。

戦前予想やオッズが接近していたオレクサンデル・ウシクとの2試合は例外にして、アンディ・ルイスJr.とダニエル・デュボアは主人公の価値がない〝chump〟(雑魚)。

あのマイク・タイソンですら晩年以外に惨敗したのは、イベンダー・ホリフィールドとレノックス・ルイスという歴史的評価でタイソンを上回るChampionでした(レノックス戦は完全アンダードッグでこのストーリーラインには相応しくないかもしれません)。

ジョシュアは何故,chumpに不覚をとってしまったのか?

試合前のハーンやジョシュアの雰囲気はリラックスしきっていたように映り、そこにガヌー戦の緊張感は感じられませんでした。

では、ガヌー戦のように集中力を高めてリングに上がっていたら、リング誌が予想した19−1のままの結果が得られたのでしょうか?

ジョシュアは「バックステップが踏めない」「Bプランを持たないリングIQの低さ」が指摘されていたタイソンのような欠陥品とは違い、致命的な欠陥は見当たりません。

もちろん、グラスジョーはヘビー級において致命的ですが、アンディ・ルイスJr.との再戦で見せたように、デュボアとの再戦でもBプランを発動したなら完勝できるのか?


アンソニー・ジョシュア。ボクシング史上最高の身体能力を持つアスリートが嵌った陥穽の正体を考えてみます。



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大番狂せ。

なぜ大番狂せが起きるのか?

大番狂せは、フシ穴どもが試合前に妄信している勘違いから大騒ぎしているだけの愚か者たちの空祭りなのか?

私たちは予想外の大番狂せの引き金に「モハメド・アリ」「マニー・パッキャオ」と刻印されていたのを見逃して、試合が終わってから大騒ぎするのです。


そして、今朝の引き金には「アンソニー・ジョシュア」としっかりエンボスされていたはずなのに。


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