オレクサンデル・ウシクが巨人タイソン・フューリーと、史上最も身体能力が高いとされるアンソニー・ジョシュアとそれぞれ2戦、計4試合を戦い見事に全勝。

見逃せないのは20〜55ポンドという体重差を跳ね返して、ヘビー級トップ2を撃破したということです。

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井岡一翔や井上尚弥らの複数階級制覇は「その階級の肉体を作り上げるまでは上げない」(井上)というように、前日計量での体重差はほとんどなく、リバウンドする当日体重も〝誤差の範囲内〟。

明らかに適正階級でないウエルター級をカネが稼げる人気階級だからという理由で主戦場にしたフロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオのような変態さんもいますが、彼らは超レアケース。

そんな変態さんですら、たかが10ポンドの体重差を跳ね返したこともありません(パッキャオとアントニオ・マルガリートのWBCジュニアミドル級王者決定戦は前日計量で7ポンド差)。

ところが、ウシクは変態さん2人すら不可能のとんでもない体重差を乗り越えて勝利したのです。

もし「ウシクとフューリーが同じ体質ならどちらが優れたファイターか?」というありえない妄想をあれこれ巡らせるのがPFPです。

ところが、ウシクは絶望的な体重差がある現実で〝大きなハンディキャップマッチ〟に挑み、タイプの違う2人のヘビー級最強候補からそれぞれ2戦2勝をマークしたのです。

井上はエマヌエル・ナバレッテの挑発に「縁がなかった」と逃亡、その井上からの対戦提案を井岡は「意味がない」と無視しましたが、その体重差はそれぞれ4ポンドと3ポンド。

そんな軽い体重差で彼らはビビりまくったのです。もし、試合に臨んでいたら井上とナバレッテ、井上と井岡はほぼ同じ体重で前日計量を終えていたでしょう。

ところが、ウシクはそうではないのです。

もちろん、変態パックメイと比べても狂気の沙汰のウシクと、軽量級の殻の中で必死に頑張ってる普通のチャンピオンを比較するのに無理があります。

PFPの根本概念である「弱者の言い訳」から外れたヘビー級は、この妄想ランキングにリストアップすべきではありません。

しかし、「弱者のの言い訳」が誰に対するものかというと歴史的にヘビー級であったというPFPの出自もまた事実。

かつて、マイク・タイソンや、あるいはウシクと同じクルーザー級(当時のクルーザーは190リミットだったのである意味ウシクより凄い)からヘビー級で活躍して1位になったイベンダー・ホリフィールドなど小さなファイターも存在しました。

しかし、タイソンは「アリよりも小さくフレージャーよりも重い」、当時では軽量のヘビー級とはけして呼べなかった、むしろ重戦車でした。

また、ホリフィールドはタイソンよりも軽量で、レノックス・ルイスやニコライ・ワルーエフとウシクに勝るとも劣らない体重差で戦いましたが、勝利を収めることは出来ませんでした。

近代ボクシングでは1985年にマイケル・スピンクスがラリー・ホームズを攻略「どんなに優れたライトヘビー級王者であっても、凡庸なヘビー級王者にも勝てない」というジンクスを打ち破ります。

スピンクス、デビッド・ヘイ、ロイ・ジョーンズJr.、ホリフィールド…下の階級王者からヘビー級タイトルを攻略した傑出した才能のサンプルは極めて少数です。

しかし、スピンクスが下した、当時最強のLineal champion ホームズはキャリア晩年の劣化時期。他の王者に至っては最強と目された相手との大勝負では敗北しています。



ヘビー級で最も大きな成功を収めた〝外来種〟がウシクであることに、もはや誰も異論はないでしょう。

また、ウシクのPFP1位が井上やバム・ロドリゲスらと並べて語る次元ではないことも、重度の井上信者ですら理解できるはずです。

ウシクの存在は、弱者の楽園であるPFPを、完膚なきまで破壊してしまいました。

前置きが長くなりました。



さて、ウシクは史上最強のヘビー級か?