ボクシング界のスーパースターの条件は、以下の2点に集約して差し支えありません。

(1)多くのメディアでPFPの一人として認められる実力
(2)Forbes World's Highest-Paid Athletes Listに数えられる人気(報酬の高さ)


見逃してはいけない〝アスタリスク〟が二つあります。まず…。

*PFPがヘビー級に偏向する人気から他階級への関心を惹起させるために作られたイクスキューズであり、ヘビー級がランキングされにくいこと。

この10年で生粋のヘビー級でPFPに名前を刻んだのは第一次政権で5度、第2次政権で14度の防衛を果たしたウラジミール・クリチコだけで、第2次政権で「ここまで強いとヘビー級であってもこれ以上無視できない」(リング誌)とリストアップされた状況でした。

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⬆︎リング誌2014年10月号のPFP⬆︎


Dr. Steelhammer(鉄拳博士)はESPN、リング誌ともにPFP3位まで評価を上げ、史上初の「ヘビー級で1位」になるかどうかが注目されていましたが、2015年にタイソン・フューリーに敗れてしまいます。(脚注)

2003年にロイ・ジョーンズがリング誌の月刊PFPランキングで1位に躍り出たのは、ヘビー級での実績(3月1日:WBA王者ジョン・ルイスに判定勝ち)が反映されたからでしたが、現在1位のオレクサンデル・ウシク同様に、純粋にヘビー級ボクサーとして評価されたわけではないことは誰の目にも明らかです。

純粋なヘビー級ボクサーが、ジョンルイをポイント稼ぎで判定勝ちしたロイとは比較にならない、ギタギタに粉砕する形で圧勝しても、PFPの歯牙にもかけられなかったでしょう。

また、現在でもウシクをダニエル・デュボアが破壊的にKOしたとしてPFP1位になることは絶対にありませんが、同じことをやらなくてもSDで勝ったとしてもドミトリー・ビボルやアルツール・ベテルビエフがやれば間違いなく1位です。

ウシクと2試合もクロスゲームを展開したアンソニー・ジョシュアがPFPの俎上に上がらないのも、この妄想ランキングが宿命的に内包するヘビー級差別の〝PFPパラドクス〟です。

あの接戦の2試合を勝っていても、ジョシュアは1位どころか10位にも入っていないのではないでしょうか。

リング誌の月刊PFP(1990〜2022年)の33年の歴史で、最も注目されている階級にも関わらず、生粋のヘビー級のボクサーは誰一人として1位に選出されていないというのが、動かし難い事実なのです。

また、2010年から現在も継続しているリング誌電子版のPFPでも生粋のヘビー級ファイターは15年の歴史でただの一人も1位に選ばれていません。

つまり…スーパースターの条件としての「(1)多くのメディアでPFPの一人として認められる実力」について、そもそもヘビー級を排除することを目的に発明された〝弱者の言い訳〟PFPを物差しに持ち出すと大きな間違いを犯してしまいまうのです。

その意味ではリング誌よりも権威のあるESPNで10傑に数えられた無敗時代のアンソニー・ジョシュア(ESPNのPFPが権威があるわけではありません、PFPはどれも権威とは最も縁遠いものです)や、タイソン・フューリーは「(1)多くのメディアでPFPの一人として認められる実力」があるとみなして問題ないでしょう。

そして、二人とも「(2)Forbes World's Highest-Paid Athletes Listに数えられる人気(報酬の高さ)」を完全無欠なまでに満たしているのですから、スーパースターと認定することに誰も異論はないはずです。

もちろん、現時点のジョシュアとフューリーでは、ヘビー級差別を勘案しても「(1)多くのメディアでPFPの一人として認められる実力」があるとは考えられませんが。

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さて「(2)Forbes World's Highest-Paid Athletes Listに数えられる人気(報酬の高さ)」については、これは現在、大谷翔平が事実上の1位独走ですが、軽量級ボクサーは100位でも高く分厚く乗り越えるのが不可能の壁です。

「(1)多くのメディアでPFPの一人として認められる実力」では井上、バム・ロドリゲス、中谷潤人が115ポンド〜122ポンドという、わずか7ポンド(3.18kg)という狭すぎるスパンの中に3人も送り込んでいる軽量級ですが、「(2)Forbes World's Highest-Paid Athletes Listに数えられる人気(報酬の高さ)」の点で、全く話にならないのです。

井上の報酬(正確には発表しないので不明←これも現代スポーツではダメ、こんなこといつまでもやってたら地下競技と一緒です)が最も大きいと思われますが、バムと中谷を合わせても100位にも入りません。

〝メジャーリーグ〟の人気階級と、〝マイナーリーグ〟の軽量級では、絶望的な格差があるのです。


そして、二つ目のアスタリスクは…。

*「(2)Forbes World's Highest-Paid Athletes Listに数えられる人気(報酬の高さ)」を必要条件にすると、軽量級ボクサーはスーパースターには100%なれない、ということ。ソフトボールの選手と大谷、ビーチサッカーの選手とメッシをスター度で比較してはいけないということです。




そして、最初に書いていない三つ目のアスタリスクは、いちいち断りたくはないのですが…。

*マイナースポーツを蔑視する意図は全くありません。私がマイナースポーツや女性スポーツ、そして軽量級という〝月見草〟をこよなく愛してることは、このブログを読んでいただければ明白だと思います。

軽量級ボクシングが迷い込んで、許容範囲を超えた誇大表現ならまだしも嘘を塗り固めて、多くの人の誤解を招き、マイナーな競技の健康的で長期的な発展を阻害するのが見過ごせないのです。

「事実を知って失望するくらいなら、気持ちの良い嘘に酔っていたい」という方は、このブログは読んではいけません。

こんなことを書くのは「俺って本当は優しいいいやつなんです」と言ってるみたいで、一番イヤなんですが、傷つく人がいるといけないので。

コメント欄はブログ開設以来、何の制限もかけずに、完全開放しています。お一人だけ、私への攻撃なら良いのですが目に余る人種差別を繰り返したので削除・ブロックしていますが。

ときどき、示し合わせたように大量投下していただいている、記事とは無関係な罵詈雑言でも大歓迎ですので、そこで憂さ晴らしして下さいませ。あまり多いと他の読者が見にくくなるのでコメントごと別の記事に移動していただくかもしれませんが、私からは絶対に削除はしません。

ただ、私はOKでもlivedoor Blog 的にNGだとごそっと削除されてしまうのでご注意下さい。…なんて書いてしまうと罵詈雑言、こなくなっちゃうかな。



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さて、巨額のカネが動く〝メジャーリーグ〟のファイターには、プロモーターやテレビ局の思惑という卑しい力学が働きます。

どうして、パッキャオvsメイウェザーが2015年までズレ込んでしまったのか?理由はただ一つ、この卑しい力学が強烈に働いたからです。

そして、この卑しい力学の最大(最悪?)の犠牲者がジョシュアでした。

パックメイを凌ぐことが確実視されたメガファイトを、何度も逃してしまったのですから。

…いいえ、本当の犠牲者はジョシュアではなく、ボクシングファンでした。


なぜジョシュアはキーファイトで大番狂せを引き起こされるのか?


典型的なグラスジョー、打たれ弱い?距離が詰まるとガードが緩くなる(安全距離では弛緩仕切ってリラックス、危険距離になるとガードとポジショニングで完璧なバリアを形成したメイウェザーの真逆です)?

それならレノックス・ルイスもウラジミール・クリチコもそうでした。

誰と比べてるんだって話になりますが、メイウェザーと比べるとウシクでも隙だらけ、そしてウシクはヘビー級では間違いなく打たれ弱い。


…なぜジョシュアだけが、キーファイトで大番狂せを引き起こされるのか???




(脚注)定期的に発表される「PFP」はリング誌が1990年から毎月発表したものが最古(2022年に廃刊に追い込まれて消滅)。同誌が1980年から年間アワードの一つとして立ち上げたBest Fighter PollもPFPと捉えると1988年と89年にマイク・タイソンが2年連続で1位になっています。

また、慢性的な経営難だけでなく「Fighter Of The Yearがあるのに趣旨がかぶるBest Fighter Pollは不要」という声などから、1987年はBest Fighter Pollを実施しませんでした(リング誌は経営難が悪化した1989年に休刊に追い込まれますが、1990年に復刊)。

リング誌よりもはるかに権威があるESPNが発表するPFP(ESPNのPFPが権威があるのではありません、どこのPFPもお遊び、権威はありません)ではフューリーとジョシュアがランキングされたことがあります。