カテゴリ: 井上尚弥

すでにESPNのFighter Of The Yearに選出されていた井上尚弥が、リング誌のFighter Of The Yearにも選ばれました。

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アジア人としてはマニー・パッキャオが2006、2008、2009年に3度受賞して以来、史上二人目の快挙。

ノニト・ドネアは2012年、全米ボクシング記者協会(BWAA)のFOTY=シュガー・レイ・ロビンソン賞を獲得していますが、その年のリング誌のFOTYはファン・マヌエル・マルケスでした。

今年のFOTYはテレンス・クロフォードが優勢と思ってましたが、嬉しいサプライズです。

これで、ESPNとリング誌からも選考記者が参加する最も格上のBWAAのFOTYでも、井上が大本命に躍り出ました。

殿堂入りも確実、一発殿堂の可能性も十分です。


11回?にわたって書き連ねて来た「ファイティング原田1965」と「井上尚弥2023」日本最高ファイターはどっちだ?!。西暦も内容も変えて、リスタートです。

最も格上のBWAAを残しているとはいえ、井上がESPNとリング誌のFOTYに選ばれたことで、〝原田〟側の武器は「誰に勝ったか?」だけに絞られました。

1960年代に一般的でなかったPFPを当てはめると、エデル・ジョフレが1位、ジョフレに2戦2勝の原田が2年近く1位に君臨した可能性大、インターネット以前の1960年代はジョフレですらFOTYに選ばれず、井上と同列に語るべきではない…などなど異論はあるでしょうが、当時から存在したFOTYに井上が日本人で初めて選ばれた事実は動かせません。

さて「アジア」という括りでは、軽量級なのか中量級なのか意味不明のパッキャオの存在が邪魔ですが、ここでは「世界の軽量級」まで広げ、井上と原田だけではなく亀田興毅まで包含した軽量級の世界歴代最高論を語り合いましょう。
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米国のボクシング専門サイトBOXINGNEWS24から「“The Monster” Unleashed: Inoue Plans Triple Threat In 2024!」をさらっと紹介。

このサイトは井上に辛辣な見方が多いのですが、その多くは軽量級の理解が浅い、日本のボクシング界を良く知らないことに起因するものです。

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*********ジュニアフェザー級を完全統一した〝モンスター〟井上尚弥は、来年3試合を予定している。

その相手はルイス・ネリ、ムロジョン・アフマダリエフ、ジョンリール・カシメロ。

この3人についてはネリとアフマダリエフは最近敗北を喫し、カシメロもかつての勢いを失っており、ファンは大きな関心を持てないでいる。

No one asked for Inoue to fight any of these opponents, and it shows weakness on his part that he’s picking these three. Has Inoue lost his nerve after the punishment he took against Marlon Tapales?

誰も望んでいないのに、この3人との対戦を選んだのは、タパレス戦の苦戦で井上陣営が弱気になっているからなのか?※1



評価の下がった相手しかいない階級にこだわるということは、よりレベルの高いフェザー級に挑戦する自信がないからだろう。

タパレス戦での井上は、これまでのパワーが減退していたように映ったのは気のせいではない。タパレスは井上のパンチに良く耐えていた。もしフィリピン人が手数を増やすことができたら、井上はトラブルに陥っていたかもしれない。※2



井上がフェザー級に上がれば、タパレスどころじゃない打たれ強さとパワーを持ったファイターが控えている。

現在の世界王者は以下の通り。

WBO:ラファエル・エスピノサ

WBC :レイ・バルガス

IBF:ルイス・アルベルト・ロペス

WBA:オタベク・コルマトフvsレイモンド・フォードの勝者

いずれも井上のパンチは通用せず、逆に井上の顎に爆発的なパンチを叩き込んでくるだろう。※3


**********


※1このサイトが指摘しているように、減量苦のブランドン・フィゲロアに悶絶KO負けをしたネリと戦う必要があるか?というのは」一理あります。

しかし、ネリは日本ボクシング史上最大の悪役。「汚らわしいから日本に来るな」「井上と戦って高額報酬を手にするのは許せない」というのが、日本のボクシングファンの総意でしょう。当たり前ですが、興行において最も貴重なのはベビーフェイスのスーパースターではありません。

フロイド・メイウェザーや亀田一家の成功を見るまでもなく、誰もが唾棄する品性下劣なヒールこそが、より大きな興行的成功に必要なピースです。大谷翔平がヒールを演じたら、現在以上のセンセーションを巻き起こしているでしょう。

また、井上尚弥も悪役と下劣を演じて、シャクール・スティーブンソンやタンク・デービス、テレンス・クロフォードを侮蔑して挑発、でも結局彼らとは何だかんだ理由をつけて戦わず、弱くて貧しい軽量級の相手を徹底的に痛めつける、となると米国でも注目されるでしょう。

ネリの場合はメイウェザーのように計算づくでやっているわけではなく、しかも実力が伴わないという点で亀田一家と全く同じで「僕、そんなつもりではなかったんです」な情けないヒールですが、日本での商品価値は絶大です。

また、タパレスを舐め切って議論を呼ぶ判定で敗れたアフマダリエフは、再戦になればオッズは前回以上に開いてKOする可能性大でしょう。あの判定はタパレスには超ラッキーでしたが、アフマダリエフが不運だったとは言えません。本人が思ってる「不思議の負け」なんてありません。舐め切ったアフマダリエフに全ての責任があります。

傷物になったのは残念ですが、このクラスではアフマダリエフが最大の脅威であることは間違いありません。対戦となれば、井上がフェイバリットなのは間違いありませんが、キャリアで最も接近したオッズや予想になるはずです。

34歳のカシメロはパッとしない試合が二つ続いていますが、もともとムラっけのあるファイター。タパレスの番狂せはアフマダリエフ戦の微妙な1勝だけですが、カシメロはアムナット・ルエンロンとゾラニ・テテと強豪相手に目を見張るKO勝利を収めてきました。

実力的にはまだ高いと思いますが、悪役キャラとしてはネリよりも弱いだけに、順番としては先に戦いたい相手です。

いずれにしても、現在の122ポンドシーンで、この3人が弱いわけではありません。実力とストーリーを合わせるとベスト3でしょう。

そういえば、順調にカムバックロードを進んでいたテテがドーピングで4年間の出場停止、世界的な統括団体が存在しないとはいえ、最も強力なローカル団体・英国ボクシング管理委員会(BBBofC)から重い処分を下されたことは、他のローカルコミッションからも受け入れられないでしょう。ここがダメダメのJBCとBBBofCの違いです。


※2 オレクサンデル・ウシクはもちろん、マニー・パッキャオやメイウェザーを見るまでもなく「階級を上げて強打がそのまま」なんてまずあり得ません。井上の場合は慎重に十分な準備期間を設けてバンタム、ジュニアフェザーと上げてきました。あの後ろ重心で深く構えたタパレスを攻めあぐねるのは当たり前、圧倒的にポイントを取っていたのにKOを狙う姿勢を貫き、最後に仕留めたのはお見事でした。

ただ、階級を上げると井上が大きなアドバンテージとしていたリバウンドが小さくなる、あるいは逆に相手の方が重くなるということに悩まされるのは間違いありません。

今回も井上が前日計量の55.2kgキロから6kg増の61.3kg、タパレスは55.0kgキロから8.5kgをリバウンド、63.5kg。バンタム級時代までは珍しかった「井上の方が軽い」状態でした。

井上の13以上、タパレスの18ポンド以上のリバウンドでしっかり動けていたことは、「10ポンド前後が理想」とされていた従来の概念からはみ出す意味でも非常に興味深い試合でした。逆に見ると、私たちは当日計量時代では考えられない、ジュニアフェザー級(122ポンド)のタイトルを賭けたジュニアウェルター級(140ポンド)の試合を見ていたことになります。

また、タパレスの拙いにも程があるL字とショルダーロール(全く出来てないからそう呼ぶとメイウェザーが怒りそうです)がある程度機能した?ということは、軽量級には一人もいないこの技術の使い手なら井上を12ラウンド幻惑できる可能性大。とはいえ、最近でもこの技術を使いこなせたのはメイウェザーとアンドレ・ウォードだけ、井上の前に〝魔術師〟が立ち塞がることはなさそうです。

ただ、パッキャオやメイウェザーが見せたモデルチェンジを、井上はまだその一端も披露できていません。ノニト・ドネアのような引き出し一つの一面的なファイターなのか?それともパックメイのように高度な適応性を見せるのか?


※3 このメンツでとりあえずレイ・バルガスは論外。バルガスではスティーブン・フルトンですらKOできません。
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誰に勝ったのか?

それが最も重要視されるボクシングの世界。

では「誰」に勝つのが一番、美味しいのか?

これは〝エデル・ジョフレ〟に決まっています。

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後世から「60年代PFPキング」と圧倒的な評価を受けることになるジョフレと、ファイティング原田は2度戦って2度とも勝っているわけです。

そして、ジョフレが負けたのは生涯、原田だけ。

原田がジョフレとの初戦に勝利したとき、批判が全くなかったわけではありません。

「地元判定。サンパウロでやってたら逆の判定になっていた」「世界奪取から8度連続KO防衛のジョフレは劣化が激しかった」「1団体8階級時代の9度目の防衛戦なんて、今なら単純計算で×4団体に、階級は×2で72回目の防衛戦。そこまでいかなくとも消耗と劣化は相当進んでいた」…。

劣化ジョフレに地元判定で勝った原田は幸運だった、という見方です。

ただ、ジョフレは大切な世界戦の全てをKOで片付けてきていること、そのジョフレと接戦に持ち込んだだけでも原田は途轍もなく強かったというのが歴史的評価です。

そして、劣化の点も、原田に2連敗して引退したジョフレが3年ものブランクを経てカムバック、あっさりフェザー級の世界王者になった事実を考えると、極めて怪しくなってきます。

同じ〝ジョフレ〟型の典型は、モハメド・アリのジョージ・フォアマンでしょう。

1974年に「象をも倒す」と言われた強打でヘビー級史上最も恐れられた25歳のフォアマンを、32歳のアリが「ロープ・ア・ドープ」「Rumble In The Jungle」「キンシャサの奇跡」…ボクシングファンなら誰でも知っている神秘的なキーワードに彩られた大勝負で破壊したのです。

そのフォアマンが、ボクシング没落でレベルが落ちた80年代にカムバック、94年に20年と4日ぶりに世界王者に返り咲いた偉業はフォアマンはもちろん、アリのレガシーにも特別すぎる光を当てることになります。

「90年代でも頂点に立ったフォアマンの1974バージョンはどれほど強かったんだ?」という素直な疑問と「徴兵拒否で3年以上のブランクを作らなければアリはどれほど強かったんだ?そもそも1974年時点でもどれほど強かったんだ?」という畏敬の想像。

もし、エマヌエル・ロドリゲスが井上に敗れただけで無敵の快進撃を続けていたなら、スティーブン・フルトンがやはり井上に負けただけでフェザー級やジュニアライト級で強豪王者として君臨してくれたら…。

井上もまた〝ジョフレ〟を手に入れたことになるのですが。
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ロベイシ・ラミレスが「またやっちまったショック」を紛らわせるため、再びこのお話を再開。

去年からやってる年末行事、タイトルの西暦はこのままにしときます。

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今、日本のボクシングファンに「史上最高ボクサーは誰か?」のアンケートを取るとどんな結果になるでしょうか?

これはボクシングに限らず、難しいテーマです。

というか、こんなもの答えのない禅問答。

純粋に技術だけに焦点を当てると現代のボクサーが有利、日本を熱狂させたという温度では娯楽の少なかった昔日に軍配があがります。

それでも「今の日本のボクシングファンへのアンケート」とすると、こんな感じでしょうか?

①井上尚弥
②具志堅用高
③西岡利晃
④長谷川穂積
⑤山中慎介
⑥内山高志
⑦辰吉丈一郎
⑧井岡一翔
⑨村田諒太
⑩竹原慎二

…日本人にとっての階級難易度や欧米目線での人気階級まで考慮すると村田と竹原が一気にトップ戦線に躍り出るかもしれませんが、おそらくは井上がダントツで、2位以下が大混戦という図式になるんじゃないでしょうか?

そして、世界的・歴史的評価が非常に高い、日本人で唯一のモダン部門での殿堂入り、それも一発殿堂を果たしているファイティング原田は、リング誌などの圧倒的な世界評価にも関わらずベスト10入りも怪しいかもしれません。


ボクシングの魅力は他の格闘技にはない〝連続性のある歴史〟です。

プロ野球も同じで、村上宗隆を王貞治が語ったり、大谷翔平がベーブ・ルースを呼び覚ますのも、艶やかな歴史が紡がれてきたがゆえ。

王が村上を絶賛したり、多くの専門家やファンが大谷を「バンビーノと比較する選手が見れるなんて!」と感動するのも、豊穣な歴史があってこそ。

ピート・ローズが「イチローの日米通算安打なんて認めない」と、〝後継ぎ〟を激しく否定するのだって、分厚い歴史があるからこその一断面です。

語られない歴史なんて、意味がありません。

もし、そんな狭量な人がいるとしたら…、ピート・ローズの方がはるかにマシです。
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ロベイシ・ラミレスが15−1と圧倒的有利の賭け率を引っくり返され、無名のメキシカンに敗れてしまいました。

渡辺二郎はかつて「相手に生き死には俺が一番わかってる」と、セコンドの指示に従わず、ファンの「倒せたのに」という声にも「こっちが一番わかっとんねん」と笑い飛ばしました。

ラファエル・エスピノサが失神させないとKOできないタフな相手であることは、イスマエル・サラスが黄色信号を出スマでもなく、モニター越しに観ているファンにも伝わってきました。

経験と技術が不足しているメキシカンがそれを補う勝負根性を持っていることをわかっていないのは、一番近くでエスピノサを見ていたはずのラミレスでした。

圧倒的な技術に加えて、その過剰なまでの自信が、五輪決勝でシャクール・スティーブンソンを恐怖のどん底に叩き落とし、金メダルの可能性を放棄してまで逃げ回らせたともいえます。

しかし、サラスが「私が見た中では三つの指に入る」という才能は、デビュー戦でまさかの敗北を喫します。

世界中のボクシングファンやメディア、ブックメーカーの「あの屈辱の〝出落ち〟が良薬になるはず」という好意的な見方は、間違っていたようです。



ラミレスと井上尚弥の対決は、具体的な交渉ベースに乗った話ではなく、未来の希望でした。

生涯の試合数が限られ、プロモーターやテレビ局などの外的要因から強豪との対戦が実現しにくいのがプロボクサーの因果。

特に、一つの階級に強豪王者が長期政権を築くことは珍し苦なってしまった4Belt -Eraでは、複数階級制覇してもまともな旬の強豪と巡り会えない不幸が当たり前に起きてしまいます。

そんな4Belt -Eraでもマニー・パッキャオやフロイド・メイウェザーは、多くの好敵手に恵まれました。

〝青コーナー〟と〝Bサイド〟が宿命づけられていたパッキャオと、メキシコの時代を迎えて強い黒人選手が正当に評価されない時代に悩んだメイウェザーを、何もかもに恵まれた井上と比較するのはそもそもの実績が違うという以前に、立場が違うのです。

しかし…。

運が悪いだけでなく、何もかも恵まれた環境もこの原因の一つかもしれません。

もし、井上がフィリピン人ならジュニアフライ級王座のアタックでアドリアン・エルナンデスなんて選べなかったでしょう。選べない立場のタイトル奪取には、全盛期のドニー・ニエテスやローマン・ゴンサレスとの対戦が避けられなかった可能性大です。

さらに、パッキャオならエマヌエル・ナバレッテの対戦要求を「縁がなかった」と、見合い話を断るようなぬるい言葉で片付けるわけがありません。シャクール・スティーブンソンやガーボンタ・デービスとの対戦へもあからさまな興味を示していたのは間違いありません。

もちろん、井上がチキンやヘタレなのではなく、井上にはそんな危険な橋を渡る必要がないのです。

パッキャオやメイウェザーが日本人なら、自殺行為と揶揄されるような冒険に乗り出したり、下劣な振る舞いで悪役イメージを演出する計算も、全く必要のないことです。



それをわかった上で、やはり井上はタイミングが悪過ぎます。あまりにも悪過ぎます。

伝説の理想は、モハメド・アリやパッキャオ。

「誰もが恐れる王者を倒して」「その存在をリングの中で誇示し」「敗北から立ち直って若き王者を翻弄する」。

井上は「強さを誇示すること」は出来ていますが、彼が倒した相手がどれほど強かったのか?というファイティング原田やアリやパッキャオを間接的に際立たせた演出が欠落したまま、年齢だけが「若き王者を翻弄する」ステージに差し掛かってしまっているのです。

極貧パッキャオや、狂気のアリはさておいて、時代が違うだけで同じ日本人の原田のなんと恵まれていたことか。

もちろん、原田は1団体8〜10階級、それぞれの階級に強豪王者が君臨するのが当たり前の時代に生きていました。

…と考えると、やはり運、タイミングが悪すぎるのか?
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来年、31歳になる井上尚弥にとって、2大会連続金メダリストの看板を背負うロベイシ・ラミレスはキャリア最高の敵になるはずでした。



PUNCHESRAMIREZESPINOZA
Total landed119222
Total thrown376995
Percent32%22%
Jabs landed1843
Jabs thrown79355
Percent23%12%
Power landed101179
Power thrown297640
Percent34%28%

現時点で、井上のキャリア最強はのちにジュニアフライ級でリング誌と団体統一王者になる田口良一です。

続いて、オマール・ナルバエスとノニト・ドネアの軽量級では40前のロートル。

スティーブン・フルトンは初めて拳を交える全盛期の階級最強王者でしたが、最強と呼ぶには世界レベルでのキャリアは貧弱、非力なのに防御が欠点という目も当てられないボクサーで、フェザー級でその評価を上げることは難しいでしょう。むしろ、どんどん評価を下げてフェイドアウトしていくと考えるのが自然です。


そして、ラミレス。デビュー戦で躓いたとはいえ、その後は順調に実力を発揮してきたエル・トレンでしたが、15−1のオッズをひっくり返される敗北。

「Fight Of The Yearにノミネートされるダウン応酬の激闘だった」(ESPN)なんて慰めは要りません。

勝ったエスピノサは29歳のメキシカン。第5ラウンドの痛烈なダウンから立ち直って逆襲、メキシカンらしい勝負根性を見せましたが、ここから強豪王者になるか?というと、今日の戦いぶりでは疑問符しか浮かびません。

体格のアドバンテージを自ら殺すことにかけては、セバスチャン・フンドラを連想させます。

井上がフェザーに上がったとき、エスピノサはベルトを守り続けているでしょうか?
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ボクシングシーン・ドットコムが、ジュニアフェザー級を完全統一した井上尚弥が来年にもWBOフェザー級王者WBOロベイシ・ラミレスとのビッグファイトに進む可能性を報じています。


 The odds in place make it easy to envision a Ramirez-Inoue fight in 2024. 


この二人が共にトップランクと契約していることは、試合成立の障壁が一枚少ないことを意味します。

また、今年7月25日のイベントで揃い踏みしていること(井上vsスティーブン・フルトン/ラミレスvs清水聡)を、近い将来に向けた伏線(現実的な交渉云々ではなく両者の意識的なものも含めて)と考えるのは穿った見方ではないでしょう。


さて、このビッグファイトが実現したら…?

井上サイドから見て、キャリアのターニングポイントになる要素は7つ。

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①キャリア初の金メダリスト。

ラミレスはロンドン2012、リオデジャネイロ2016の五輪2大会連続の金メダリスト。

日本人選手が元金メダリストと対決したのは尾崎富士雄vsマーク・ブリーランド(ロスアンゼルス1984)、木村翔vs鄒市明(北京2008/ロンドン2012)、中谷正義vsワシル・ロマチェンコ(北京2008/ロンドン2012)の例があります…他にもあるか?。

しかし、勝利したのは木村だけ。その木村の鄒は、プロでは煮え切らない戦いぶりに終始しており、強豪と呼ぶのは憚られる存在でした。

いずれにしても、井上にとってラミレスはキャリア初の五輪金メダリストです。




②ラミレスは過去最強の相手。

オマール・ナルバエス、エマヌエル・ロドリゲス、スティーブン・フルトン、階級を上げるたびに「過去最強の相手」が現れてきた井上。

今回もその流れでラミレス…というわけでは、もちろんありません。

39歳のナルバエス、評価暴落のロドリゲス、そもそも決定的な強さが欠落していたフルトンと、29歳のラミレスではワケが違います。




③会場は東海岸?MSG?バークレイズセンター?

井上もラミレスもこのクラスではビッグネームとはいえ、軽量級人気が高い日本での開催が有力です。

それでも、キューバ人の多い東海岸での開催もあり得るかもしれません。

実際に、ラミレスはマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)で2試合を戦っています。

いずれもシアターで、アンダーカードでしたが、「井上vsラミレス」なら人気階級のセミファイナルでMSGのアリーナや、バークレイズセンターも十分ありでしょう。




④フェザー級以下で史上初の18ポンド超え。

ジュニアフライ級(108ポンド)からジュニアフェザー級(122ポンド)の14ポンド超えの階級制覇を成し遂げたのは、ホルヘ・アルセと井上尚弥(フライ級をスキップ)だけ。

ノニト・ドネアがフライ級(112ポンド)からフェザー級(126ポンド)のタイトルをピックアップしていますが、このスパンも14ポンド。

井上がフェザー級でもベルトをコレクションすると、史上初の18ポンド超えとなります。


※フライ(112)〜ジュニアミドル(154)を制したマニー・パッキャオは除く。




⑤この試合に勝てばFighter Of The Yearと、PFP1位を掴む。

井上が印象的な勝ち方を収めたら、PFP1位返り咲き、日本人初のFighter Of The Yearも確実。

すでに決定的なモダン部門での殿堂入りにも「First ballot(一発)」の枕詞が付けられるはずです。

モダン部門での殿堂入りはファイティング原田だけ、その原田も一発殿堂でした。

原田は1団体8〜10階級時代にフライ級とバンタム級でUndisuputed Chamoion、フェザー級でも十分通用する素養を見せました。

井上は4団体17階級時代でジュニアフライ級からフェザー級を制覇、原田の階級を完全に飲み込むことになります。

「日本人最高ボクサー」は、もはや議論されなくなるかもしれません。




⑥国民栄誉賞もあり?

ボクサーではプロアマ問わず、国民栄誉賞は誰も獲得していません。

ボクシングファンなら、ジュニアフライ級からフェザー級までの5階級で階級最強王者として君臨することがどれほどの偉業かよくわかるとはいえ、悲しいかなマイナースポーツ。

しかも、公共性の高い(人気のある)スポーツでユニバーサル・アクセス権が取り沙汰されている中で、ネット配信の方向に一気にのめり込んでいるボクシングは、自らマイナーの沼に沈み込んでいると言えます。

国民栄誉賞は難しいか?





⑦井上が引退するときにキャリアを振り返って、これが最大の試合になる。

井上の上限階級がフェザーかジュニアライトだとすると、カネロ・アルバレスや、ウェルター級時代のフロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオはもちろん、その一つ下のビッグネームとの遭遇も非常に難しいと言わざるを得ません。

井上引退のリミットまでの時間にフェザー級〜ジュニアライト級で、人気と実力を兼ね備えたメキシカンが突然現れないとも限りませんが、やはり難しいでしょう。

そう考えると、この試合が井上尚弥というファイターのクライマックスになる可能性が濃厚です。
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さて、そして現在のジュニアフェザー級シーンです。

ランキングはよく使うリング誌やESPNではなく、The Transnational Boxing Rankings Board(TBRB)から。

ドロドロ・ボロボロのリング誌(「誌」というのはもう違いますね)、トップランクと関係の深いESPNよりも、多くのボクシング専門記者が集まって創立したTBRBが発表しているランキングが最も信頼すべきものでしょう。

ギレルモ・リゴンドーが昨年7月、時間切れで王座は空位に。

1位:井上尚弥、2位:マーロン・タパレス、3位:スティーブン・フルトン、4位:ルイス・ネリ、5位:ムロジョン・アフマダリエフ、6位:サム・グッドマン、7位:ライース・アリーム、8位:ジョンリール・カシメロ、9位:アザト・ホバニシャン、10位:リーアム・デービス。

フルトンが以前として高止まりなのは、他のファイターもほぼ傷物で「誰にその傷を付けられたのか?」の問題です。

このメンツで無敗なのはグッドマン(16戦全勝7KO)と、デービス(14戦全勝6KO)。

グッドマンはTJ・ドヘニーに勝利して名前を挙げた、25歳のオージー。昨年5月には1階級下の当時日本バンタム級1位の富施郁哉に判定勝ち。

パワーはもちろん、スピードもない、モロニー兄弟の亜種。那須川天心に完封されそうな、豪州の過保護です。



デービスは27歳の英国人。こちらも過保護という点では、グッドマンに負けてません。デビューから恐るべき雑魚ばかりと戦い、最初の英国バンタム級タイトル(空位)を獲るまでの対戦相手の星勘定トータルは6戦(6人)で66勝239敗20分。勝ち越している相手はゼロ。

それでも、英連邦や欧州、WBCインターナショナル・シルバー、WBOインターナショナルなどの地域タイトルを2階級に渡って5つもコレクション。

今週末にはキャリア初の無敗の相手を迎えますが、もちろん相手は無名の雑魚。

フランク・ウォーレン傘下の白人英国人、まあ知らないうちにフェイドアウトしてそうです。



こうして見ると、不運な判定(と言っても自業自得)でタパレスに足元をすくわれたアフマダリエフが今なお、「vs井上」で最も興味深い相手でしょう。

五輪のバンタム級(56kg)銅メダルという看板も、井上の過去の対戦相手では傑出したアマ実績。

アフマダリエフは来月16日、再帰戦で無敗のメキシカン、ケビン・ゴンザレスを迎えます。このイベントのメインはバム・ロドリゲスとサニー・エドワーズの無敗のフライ級団体統一戦。

しかし、12月もすぐそこです。

去年はボクマガにリング誌が廃刊、今年はショータイムがボクシング事業から撤退。景気の悪い話ばかりのボクシング界ですが、26日の有明アリーナでは不景気もタパレスも吹っ飛ばす井上尚弥プレゼンツのスペクタクルを期待しましょう。
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まだ記憶に新しい、井上尚弥のバンタム級完全統一。

井上が118ポンドに乗り込んだのは2018年5月25日、WBAセカンド王者ジェイミー・マクドネルに挑戦したときでした。

減量大失敗で重篤状態だった英国人を92秒で轟沈した井上は、この試合が16戦目。この時点でのバンタム級シーンは、ゾラニ・テテが1位で井上はいきなり2位に格付けされていました(リング誌)。

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階級最強候補のライアン・バーネットは3位、そのバーネットがIBF王座を放棄し、対戦を先延ばしにしタイトルを獲得したのが4位のエマヌエル・ロドリゲス。

5位には完全劣化バージョンとはいえ、PFPファイターのアンセルモ・モレノを大番狂せで破ったファン・カルロス・パヤノ。

WBSS開幕前のこの段階では、英国の人気者バーネットに、プエルトリコのホープ10傑にも数えられたロドリゲスという楽しみなターゲットが二人存在しましたが…。

バーネットは圧倒的有利予想だったノニト・ドネア戦を腰椎すべり症で落とし、ロドリゲスもジェイソン・モロニー戦で信じられないほどの気持ちの弱さとディフェンスの欠陥を曝け出してしまいます。

残る興味はマクドネルと同じ長身のバンタムながら、実力評価は遥かに高いテテでしたが、WBSS準決勝のドネア戦を怪我を理由に棄権。口頭で約束された報酬と、書面の報酬の格差に絶望し、WBSSの欺瞞に怒りを抑えきれなかったのが、棄権の本当の理由と言われています。

そのテテは、ジョンリール・カシメロにまさかの大番狂せでノックアウト負け。

井上のバンタム級統一ロードの前に立ち塞がるのは、このランキングには名前の見当たらない全盛期から8年過ぎたドネアと、一発屋カシメロになってしまいます。

井上にとってバンタム級を焼け野原にして完全統一するのは、最後に残された相手がポール・バトラーという心身ともに穴王者、造作もない作業になってしまいました。

勝つ気のないバトラーに井上が「何しに来たんだ?」と吐き捨て、松本人志は「全然、バトラーじゃなかった」と呆れ果てた試合で、バンタム級の完全統一は幕を閉じてしまいます。

ワールド・ベースボール・クラシックのフィナーレを「これ以上の物語はない」と評した沢木耕太郎の言葉を借りると、井上のバンタム級統一は、その強さが頭抜けていることを考慮しても「これ以下はない」という見応えのないものに終わってしまうのです。
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井上尚弥の4階級。

108ポンド(2014年4月6日)、115ポンド(2014年12月30日)、118ポンド(2019年5月18日)、122ポンド(2023年7月25日)。※(カッコ)は世界タイトル獲得の日時。

その直前の階級勢力図をリング誌ランキングから見直します。

まずは、108(ジュニアフライ)=左=と、115(ジュニアバンタム)=右=。

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WBC王者アドリアン・エルナンデス挑戦前の井上は、ジュニアフライ級9位。

一応、世界王者でも長谷川穂積戦前のフェルナンド・モンティエルと、井上戦前の〝10年無敗の絶対王者(笑うとこです)〟ジェイミー・マクドネルも9位でしたが、アルファベットタイトルを持っていたにもかかわらず9位、彼らは非常に低い評価でした。

逆に、アルファベットを持っていないにもかかわらず9位に序列された井上は、非常に高い評価を得ていたことになります。

4位のエルナンデスは4団体のタイトルホルダーとしては最低評価、モイセス・フエンテスより下。リング誌は、階級最強をドニー・ニエテスか井岡一翔と目していました。

この時点のエルナンデス狙いは当然です。井岡とは試合が成立するわけがなく、ニエテスは危険すぎます。

突っ込むところがあるとしたら「限界通り越した減量なんてせずにジュニアバンタムかバンタムでデビューしていたら、今頃は…」ということでしょうが、それは結果論。

この時点で、井上がどこまでの器のファイターか、誰もしっかり把握していませんでした。



続いて、井上が飛び込む直前の115(ジュニアバンタム)。1位は39歳のオマール・ナルバエスですが、結構なメンツが控えています。

2位がカルロス・クアドラス、3位にシーサケット・ソールンビサイ、8位のオーレイドン・シスマーチャイは井岡にストロー級タイトルを奪われた元王者、井岡にしか負けずにジュニアバンタムまで行進してきたのです。

そして5位にはゾラニ・テテ。

ここも、ファン・カルロス・レベコのWBAフライ級狙いだった井上が、同じアルゼンチンのマネージャー傘下のナルバエスに路線変更したもので「全盛期のクアドラスやテテとやっていたら」というのは結果論。


以上のように、この2階級はそれなりのレベル、陣容だったのです。
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