カテゴリ: スポーツよもやま話

丸の内線ではなく、タクシーの中から酒と車に酔いながら…。

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打たれ強い。打たれ弱い。

この二つ、実は非常に曖昧な表現です。 

マニー・パッキャオは打たれ強いか?それとも打たれ弱いか?…フライ級のときは打たれ弱かったが、ウエルター級では打たれ強かった…なんて常識的には考えにくいケースがあります。

また、アッサン・エンダムは打たれ強いか?それとも打たれ弱いか?…コロコロ倒れるから打たれ弱いが、回復が以上に早くすぐに立ち上がるから打たれ強い…なんて、どっちなんだ?!

あるいは、トーマス・ハーンズはシュガー・レイ・レナード初戦まで打たれ強いと言われていましたが、当時を知らない人は「嘘だ」と思うでしょう。

ハーンズとは反対にマイク・タイソンは細い顎から打たれ弱いとも見られていましたが、バスター・ダグラスの連打をまともに食らっても立ち上がった姿から相当な打たれ強さを証明しました。



そんな、曖昧で定義しずらいのが「打たれ強さ」「打たれ弱さ」です。


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打たれ強い、打たれ弱いの定義を独断で決めると、ダウンしたときに主審やコーナーが試合を止めたくなるファイターが打たれ弱い。

逆に、主審やコーナーが試合を止めにくいファイターが打たれ強い。

具体的にはパンチを受けたり、ダウンしたときに足元がフラつくファイターは見ている方が怖くなります。

先日のWBOバンタム級戦で王者ジェイソン・モロニーの反撃に棒立ちになった武居由樹のケースは、初回から飛ばした世界初挑戦の最終回というスタミナ切れの要素も大きかったので、評価は次回以降に持ち越しでしょう。

そして、え?このパンチ受けても倒れない!!というジョージ・フォアマンやフリオ・セサール・チャベス、エリック・モラレス、ノニト・ドネア、リッキー・ハットン、亀海喜寛、中谷正義らは鋼鉄の顎を持っていました。

主審やコーナーが試合を止めたくなるのは、長谷川穂積や西岡利晃、内山高志、アミール・カーン、ジェームス・カークランド、山中慎介のように、効かされると足元が怪しくなるファイターです。

コンセントが抜けやすく、すぐに再接続できにくい、タイプです。

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フォアマンやチャベスは、コンセントが抜けることがあるのか?というほどの打たれ強さを見せつけました。

そして、そんなフォアマンやチャベスでも消耗しだ状態で、予測していないパンチをアゴにもらうと倒れます。

絶対に倒れないアゴなど、この世に存在しないのです。

また、ここでの「打たれ強さ」はアゴの話ですが、ボディとはいえ西田凌佑のようなソフトパンチャーが一応世界戦で一応王者を倒すこともあります。西田のパンチに悶絶ダウンするなんて…そんなのがいるとは誰も想像だにしていなかったでしょう。

全く予期しないタイミングで放たれる見えないパンチが最も効果的であり、フォアマンやチャベスは単純にアゴが鋼鉄というだけでなく、そうしたパンチを常に想定したスタイルだから打たれ強かったとも言えます。

井上が倒された、死角が多いクロスレンジの攻防はそうしたパンチを被弾する危険を多く孕んでいます。

そもそも、クロスレンジを得意とするファイターは稀有で、もちろんネリもそうですが、対・井上というビハインドの中では互いに苦手なクロスレンジでのギャンブル勝負はありです。

逆に、井上は死角が増える、ギャンブル性が高まるクロスレンジはできるだけ避けなければなりません。

その意味で、井上は不用意にクロスレンジで戦いすぎ。もちろん、ロベルト・デュランやパッキャオのようにクロスレンジが異様に巧い変態なら別です。

ジュニアバンタム級でリカルド・ロドリゲスをクロスレンジで圧倒したときにこの距離で上手く戦えたことに満足するコメントを口にしていた井上は,おそらく苦手意識がないのかもしれません。

長谷川穂積も「自分は打たれ強い」と自信を持っていましたが、これは非常に危険な兆候です。

クロスレンジ、死角から跳んでから飛んでくるパンチを顎に受けたら一発強打のないネリのパンチでも倒れるのは仕方がありません。

問題はその距離に身を置いた防御感です。

そして、井上は打たれ強いか?というとフォアマンやチャベス、モラレスとは比較対象ではなく、ドネアよりも打たれ弱いでしょう。

では、どの程度打たれ強いのか?

ドネアの左フックを眼窩底ではなく、アゴに受けていたら間違いなく倒れていたでしょうが、立ち上がれたでしょうか?

あるいは、連打型のネリではなく、一打必倒のジョンリール・カシメロやゾラニ・テテの一撃だったなら?



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今回のリングアナウンサーも、帝拳お抱えのジミー・レノンJr.なのでしょうが、ちょっと飽きてきませんか?

レノンJr.は「マイク・タイソンvsバスター・ダグラス」の東京ショッカーが強烈な印象を残していますが、個人的には長谷川穂積vsフェルナンド・モンティエルで、「この試合は世界的なビッグファイトで米国では大騒ぎ。どうしても自分がリングアナウンサーをつとめたくて、ノーギャラで引き受けた」と、帝拳の台本に従ったとはいえ、あの大嘘を聞いてしまってから彼が出てくるたびに「今回はギャラもらったかな?」と失笑してしまうのです。

レノンJr.に責任はなく、帝拳が悪いんですが。

帝拳とWOWOWはすぐ後にも「西岡のMGMメイン」の〝大本営発表〟。今となっては西岡が可哀想です。

今まで恥ずかしい誇大広告を続け、井上に関することでも嘘を垂れ流していましたが、真っ当な問い合わせが相次いだことにもはや嘘は突き通せず、半年ほど前から方向転換。

提携先のWOWOWでも「軽量級は欧米では関心が低い」と正しい情報を伝えるようになりました。



It's never too late to learn.

間違いを認めて修正するのに、遅すぎることはない。グッジョブ。





…罪のないジミーだけど、「リングアナウンサーは、あのジミー・レノンJr.ですよ!」とか言われても、もう俺らは「またかよ!」なのである。

そこで、新鮮味のあるリングアナとして…もっと日本に来て欲しいのは…。

【デビッド・ディアマンテ】WBSSから日本でもお馴染み。DAZN専属なので、井上尚弥の東京ドームでは登場するわけがありませんが…。


【古舘伊知郎】個人的にはイチオシかな。やらないだろうけど。解説者と違う、言葉数・長さに制限のあるリングアナですが、完璧にこなすと思います。


【木村庄之助】もちろん、ベストはこの人。そして、ラウンドガールは芸者さんどえす。
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映画「アイアンクロー」を見て、やっぱり昔のプロレスが好きなんだと改めて思いました。

「昔のプロレス」。「今のプロレス」。

その境目は、個人的には「ショーであることをカミングアウトする前と後」です。

米国では多くの州でショーであることで税金も軽減されるなど多くの経済的メリットが見込める一方で、昔ながらのプロレスファンは離れてゆきました。

日本でもショー、エンタテインメント路線への方向転換で〝プ女子〟に代表される新しいファン層を開拓、業界としては間違いなく良い方向に進んでいるようです。

ショーであることを曖昧にしていた「昔のプロレス」には大いなる迷いがありましたが、それもまた一つの魅力でした。


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曖昧なもの、これって何なの?っていうのが「昔のプロレス」です。

「昔のプロレス」と全く同じように、ボクシングにおけるPFPも曖昧で、これって何なの?な世界です。

そして、PFPは4-Belt Eraを迎えてますます訳がわからないものになっています。

よく言えば幻想ですが、それを詳しく分解すると幻覚であり、妄想です。

個人的にはそういうのが大好きなんですが、プロレスではもう絶滅してしまいました…。


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ものすごい暴風雨で電車が立ち往生…。というわけでざざっとボクシングニューズ誌の記事から短観。


Boxing breaking new territory

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ボクシングのプロモーターたちは、いつの時代も新しい市場を探してきた。

最も有名なサンプルはRumble in the Jungle、1974年にザイール(現・コンゴ)の首都キンシャサで行われた世界ヘビー級タイトルマッチだ。

国際社会からの孤立を懸念した独裁政権がカネの力で有名なスポーツイベントを招致することで、世界からの承認を得ようとするーーーフィリピンのマルコス政権に現在のサウジアラビアまで連なる安易にしてこれ以上ない効率的な処方箋だ。

残虐非道のモブツ大統領が凶悪犯罪者だったドン・キングに持ちかけて、世界で最も有名な男を自国に招いたメガイベントは一夜限りのお祭りだったが、その大成功はボクシング未開の地にも大きな可能性の芽があることを教えてくれた。

貧困だが資源は豊富で国の指導者たちが富を独占している、そんな国は何もアフリカだけに限った話ではない。

その国力と人口を考えると、中国が地球上で最も魅力的なマーケットであることは火を見るよりも明らかだ。

キングのライバル(というには二人の関係はあまりにも陰湿でスポーツマンシップが欠落しているが)、ボブ・アラムは五輪2大会連続金メダリストのゾウ・シミンと2012年ロンドン五輪後に契約。

2013年、米国で需要のない軽量級ボクサーでは考えられないHBOデビューの舞台がシミンに用意される。

アラムの狙いは米国でスターとして活躍するシミンを在米の中華系だけでなく、人口14億人の本国でも英雄に仕立て上げ、巨額の集金マシーンとすることだった。

しかし、国民的英雄となったゾウはトップランクからの独立に動き、アラムの皮算用は狂い始める。

そして、温室鉄道を敷設してもらったにも関わらず、シミンは噛ませ犬の日本人に悪夢の大番狂せを起こされてしまうのだ。

アラムがマニー・パッキャオの再来を狙ったノニト・ドネアはなんとフェザー級で挫折、ワシル・ロマチェンコもライト級どまり、米国でスーパースターに登り詰めることはできなかった。

そもそも、パッキャオの成功は汎用性や再現性といったビジネスの必須用語とはかけ離れた、突然の奇跡だったのだ。

アラムが一大拠点に育て上げようとしたマカオでの興行は完全に失速してしまったが、中国本土では小さな興行が各地で行われ続けている。

14億人の国で刹那でも国民的英雄になったシミンによって、中国のボクシング熱は間違いなく点火された。


巨大な人口と強力な国力、そこに注目して中国だけに手をつけるわけがない。アラムの視界はインドもしっかりととらえている。

インド人として初めてボクシングのメダリスト(北京2008:ミドル級銅メダル)となったビジェンダー・シンはフランク・ウォーレンのプロモートで2015年にプロ転向。これを機にコミッションとしてインド・ボクシング評議会が立ち上がり、インドでのプロの試合、興行が劇的に増えてゆく。

アラムは2018年にシンを傘下に招き入れ、2019年には米国デビュー。しかし、コロナ禍がアラムの〝インド計画〟を直撃。

そして、シンはブランク明けの2021年にインドでの調整試合でアーティシュ・ロプサンにまさかの5ラウンドTKO負けを喫してしまう。

2022年に復帰線で勝利したシンだが、それ以来リングから遠ざかっている。

しかし、シミンの場合と同じように最初の種から芽は息吹かなかったが、シンの影響で競技人口は増え(インドで競技人口が増えるということは我々の感覚とは一桁か二桁違う)、二人が五輪メダリストになり、人気スポーツへの階段を上がり始めている。

中国進出に際して、アラムが日本のボクサーとの激突が大きな話題になると読んだように、インドの場合もパキスタンというライバル国が存在する。南アジアのメキシコvsプエルトリコだ。

中国の人口を超えたインドと、2億5000万人を抱えるパキスタンはクリケットの世界ではブラジルvsアルゼンチン、その激突は激しい火花を散らす。

2017年にパキスタン・ボクシング評議会が発足したものの、まだ「お金を払ってボクシングを見る習慣がない」(評議会のラシード・バロック会長)という段階。

それでも、2017年までは外国でプロライセンスを取得しなければならなかったことを考えると、格段の進歩で「近い将来、世界チャンピオンが生まれると信じている」(バロック会長)。

確実に成長している中国やインドのボクシング市場。不運にも最初の種から大輪は咲かなかったが、咲いていれば何が起きていただろうか?

南アジアではネパールでもコミッションが設立され、国境を越えたプロボクシングの興行が活発になるかもしれない。

シミンやシンが超えられなかった一線をクリアする才能が現れたとき、ボクシングの世界は新章に突入することになる。





▶︎▶︎▶︎かつてのザイールやフィリピン、サウジアラビア…人道的に問題がある国、五輪を招致できない国がカネが全てなやり方でスポーツのメガイベントを招致する…本当は許してはいけないことですが、カネを見せつけられると誰もが鈍感になってしまいます。

それがプロスポーツの業だといえば、それまでなのですが。


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スポルティコが発表した100 Highest-Paid Athletes in the World(アスリート長者番付ベスト100)。スポルティコは2021年から番付を発表、これが3回目です。

お馴染みのフォーブスの長者番付と大きな変わりはありませんが、スポルティコはカレンダーイヤーで区切っているようです。

1位はクリスティアーノ・ロナウド(昨年3位)。

サッカー選手はリオネル・メッシが3位、エムバペが5位、ネイマールが6位とトップ10に四人も送り込みましたが、100傑の中では十六人で、バスケットボールの四十人に大きく引き離されています。

大坂なおみらテニス選手が楔を打ち込んだ女性アスリートは今回、100位までに食い込むことができませんでした。

100傑にリストアップされたのは8つのスポーツと25カ国のアスリート。8つのスポーツの稼ぎ頭は、以下の通り。

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日本人では16位に入った大谷翔平(選手報酬3000万ドル+競技外収入4000万ドル=7000万ドル:105億円)の一人だけ(野球のトップ)でしたが、2024では山本由伸が余裕でランクインしそう。

六人がランキングされたボクシングのトップはやはりカネロ・アルバレス(選手報酬6000万ドル+競技外収入600万ドル=6600万ドル:約99億円)で総合17位(昨年5位)、ユニコーン直下にランクされました。

24位がアンソニー・ジョシュア(4200万ドル+1300万ドル=5500万ドル:約82億5000万円)。

34位に入ったのは昨年45位からジャンプアップしたジェイク・ポール(3700万ドル+1000万ドル=4700万ドル:約70億5000万円)…。

昨年は圏外だったものの54位に入ったのがガーボンタ・デービス(4200万ドル+50万ドル=4250万ドル:約63億3750万円)と、58位のライアン・ガルシア(3700万ドル+350万ドル=4050万ドル=約60億7500万円)。

昨年の14位から65位と大きく順位を落としたのはタイソン・フューリー(3200万ドル+800万ドル=4000万ドル:約60億円)。

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1980年頃に米国スポーツと正面衝突してしまった私にとって「スポーツ・イラストレイテッド誌」は、まさにバイブルでした。

スポイラ誌はUSAのフェロモンを発散させながら、約1ヶ月遅れで高校図書館に届きました。当時は週刊誌でしたから、4冊がドサっと。

当時はプロボクシングの記事も充実、リング誌以上に読み応えがありました。

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大谷翔平がWカバーした号を手にしたときは、子どもみたいに浮つきました。



とりあえず、スポイラのPFPでも。

①テレンス・クロフォード
②井上尚弥
③オレクサンデル・ウシク
④カネロ・アルバレス
⑤デビン・ヘイニー
⑥ドミトリー・ビボル
⑦シャクール・スティーブンソン
⑧アルツール・ベテルビエフ
⑨ガーボンタ・デービス
⑩テオフィモ・ロペス

井上の寸評も拙訳。

*****井上は、122ポンドの4つのベルトを2試合でコレクション。2年でバンタム級と合わせて2階級でUndisputed championに輝いた。

もはや殿堂入りに障害物は見当たらない。

井上は、126ポンドに上げる前に少なくとも1試合は防衛戦を行う見通しで、その相手はルイス・ネリになる。*****
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「俺の子ども産めや!」と女性に強要したら犯罪か?まず、そういう嗜好、プレーが楽しめる風俗店であるなら犯罪であるはずがありません。

では、成り行きで知り合った一般女性とそういうプレーを楽しむことは犯罪か?女性側の同意があれば犯罪ではありませんが、同意したかどうかを男性側が法的に証明するのは不可能です。

そもそも、成人女性も無理やりホテルに連れ込まれたわけではなく、嬉々として部屋に入ったはずです。ジャニー喜多川の未成年に対する「鬼畜の所業」とは違います。

もちろん、高級ホテルの部屋から食事や酒までセッティングした誰でも名前を知っている著名な男性側と、一般女性の側には明らかなAサイドとBサイドの関係が成立しています。

ボクシングにおいてAサイドが自分に都合の良い条件を突きつける内容は、Bサイドにとっては試合を行う上で不利な事柄です。Bサイドは納得はしてなくても、Aサイドと試合ができることで通常の試合よりも高額の報酬が得られるからこそ同意するのです。この「(心の底からの納得を伴わない)同意」は、契約書にサインした時点で法的に有効になります。


これは、権力のあるプロデューサーと、枕営業を仕掛けるタレントの関係と同じです。役を与えてもらうことを期待するタレントと、役と引き換えに自分の欲望を満たすことを要求するプロデューサー。


では、おそらくは女性に強要どころか、不愉快な思いもさせていない、それどころか自分と一緒に楽しい時間を過ごしたと信じていたであろう松本人志も念には念を押して、ホテルの一室で行為に及ぶ前に契約書を用意して女性にサインをさせていたら、今回の件は何一つ咎められなかったのでしょうか?



そうではありません。



全ての対応があまりにも悪すぎました。

笑い、つまり言葉を操ることに関して天才的に鋭敏な嗅覚を持ち合わせている超一流の芸人が「事実無根」という言葉を使ってしまった軽率さが、まず、信じられません。

女性からの長いお礼メールが公にされたときに「とうとう出たね」と〝勝利宣言〟してしまったことも悪手のダメ押しでした。

「事実無根」は、そもそもそんな飲み会は存在しない、その女性たちとは面識がない、あるいはそういう行為は一切していない、という場合に使うべきワードです。

「とうとう出たね」は、そのような行為はあったけど完全に同意の上だったと信じ込んでいたが故の〝勝利宣言〟です。

後出しの結果論ではなく、そのような飲み会と行為があったのなら「事実無根」などという誤解を招くワードは使わずに「そういう変態プレーを合意の上で楽しんだつもり。僕が勘違いしてて、彼女たちの本心が違っていたなら、自分が全面的に悪いけど、そのときはそうは思えなかった」と認めるべきでした。

「そんな飲み会や行為はなかった」と裁判で争うならまだしも、同意があったかどうかを争うとしたら、泥沼にしかなり得ません。



前置きが長くなりました。

スポーツにおける「体罰」の問題です。

同意があれば、暴力も許される。それが、SM風俗店で女王様が人格を否定する暴言を吐いて鞭を打つのなら許されます。

では、同意があっても暴力は一切許されないのか?というなら、何が暴力なのか?

阿部慎之助がマウンドに駆け寄り、制球を乱す大学時代から気心の知れた後輩、沢村拓一の頭をぽかりと叩いたのは暴力か?沢村が納得して合意していたなら、暴力ではなく指導になるのか?あるいは、強く叩いていないからそもそも暴力ではないのか?

私も内野を守っているとき、四球を恐れて腕をしっかり振って投げることができない投手の尻を「思い切って腕を振れ」と叩いたことが何度あったか、数え切れません。

あれも強く叩いてなければ、暴力じゃないのか?

では、許されるか許されないかの、強度のボーダーラインはどこにあるのか?

「お前の頭の悪さはクワガタ並みや!」と大声で罵倒するのと、「また同じ間違いしたんか。はあ…」と静かにため息をつくのは、どちらが暴言に当たるか?

暴力や暴言は受け手が感じたことが全て、受け手が決めることだから、肉体的接触は強度の問題ではなく全て排除すべきなのか?そして、受け手が不快に感じる可能性のある言葉も全て慎む(そんなことができるとしたら、ですが)べきなのか?

もちろん、4年は神、1年は奴隷のような悪しき体育会の慣習は論外です。

個人的にも多感な10代の子どもに勉強や野球を教える機会があり、近隣の学校で暴力的指導が表沙汰になったり、ニュースで報じられたりすると、子どもたちとはもちろん、保護者の方々ともこの種の話をすることがあります。

先日、ある父兄の方は「スポーツ強豪校ではなかったが、指導者からの暴言に悩んだ」という話をしてくれました。


そもそもの「ボーダーライン」なんて考え方が間違っている、暴力や暴言の可能性のあることは全面的に絶対禁止、有名人が一般人と接するのはファン感謝デーなど公の場に限定して、ヤケドする可能性のある火遊びはどんなに合意があったとしても(あったと信じるに値するやり取りが合ったとしても)一切してはいけない。

「芸の肥やし」なんて言葉は断じて許してはいけない…のか?
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Golden Disillusionment〜黄金の幻滅。

なぜ、五輪金メダリストがプロのリングで輝きを失うのか?

それには、以下の3つの可能性が考えられます。

①採点基準…アマチュアでは「クリーンヒット>>>ダメージングブロー」ですが、プロでは真逆になります。また、3ラウンドと(世界戦なら)12ラウンドの差は、たとえ採点基準が同じだったとしても、アマとプロは別競技の様相を呈していたでしょう。

②年齢…世界大会や五輪での実績を追求する時間の中で、加齢は避けられません。年齢を重ねれば重ねるほど、身体能力や技術に劣化が進むリスクが大きくなります。また、長い時間で習得したアマスタイルを修正するのに、加齢は大きな問題を引き起こします。

③モチベーション…これが最も大きいかもしれません。特に途上国において、五輪金メダリストは国民的英雄。貧困からの脱出を渇望して母国に金メダルをもたらしたファイターにとって、プロへのモチベーションは下がるはず。同じ金メダルでも、世界選手権と五輪では重みが全く違います。

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金メダルを獲得するまでにアマチュアスタイルに適応したファイターが、①の悩みを抱えていないわけがありません。

メルドリック・テイラーや金光善が、あと一歩に迫りながらフリオ・セサール・チャベスとウンベルト・ゴンサレスのプロ仕込みの強打に屈したのは、まさにその象徴的な光景でした。

ラウンドが深まるにつれて集中力が落ちるラミレスらの症状は、もしかしたらプロの長丁場への戸惑いなのかもしれません。

アマチュアスタイルを微調整してプロでも素晴らしい戦果を挙げたパーネル・ウイテカやアンドレ・ウォードのような例もありますが、人気階級で最強を証明した彼らがプロとして「成功」したのかとなると多くのファンは否定するしかありません。


②については、プロ転向は最近だとロベイシ・ラミレスとワシル・ロマチェンコが25歳、ギレルモ・リゴンドーが28歳。

彼らは2大会連続金メダリストだから年齢を重ねた、というわけではありません。誰にとっても、金メダリストの道は長く険しいものですが、彼らは〝近道〟で進めるほど稀有な才能だったのです。


③では、オスカー・デラホーヤがプロアマを通じて最高の瞬間を聞かれて「五輪で金メダルを獲ったとき」と答えているように、国家の代表として4年に一度の五輪で、世界に一つしかない金メダルを獲得するのは、特にボクシングにおいて特別です。

日本の村田諒太もプロ転向に逡巡したのも、デラホーヤと同じ「一番上のものを獲った」という感慨があったからでしょう。

そして、全競技を通じて史上初の金メダルを母国にもたらしたタイのソムラック・カムシンのように、貧困からの脱出を渇望した若者が、莫大な富と眩い栄光を手にしたとき、国家は「神」として歓迎し、プロでカネや栄光を稼ぐ必要が全く無いというケースもあります。


ロベイシ・ラミレスがデビュー戦で躓き、そこから十分学習したとは思えない内容で2度目の失態を演じたのは、①②③全ての要素が絡んでいるでしょう。


話は脇道に逸れますが、現在8階級(フライ/フェザー/ライト/ウェルター/ミドル/ライトヘビー/ヘビー/スーパーヘビー)のアマチュアボクシングは東京大会からライトフライとバンタム、ライトウェエルターを廃止。ライトミドル級はアテネ2004から廃止されています。

桜井孝雄と清水聡(清水は銅)が活躍、ラミレスやリゴンドーも金色に輝いたバンタム級、シュガー・レイ・レナードのライトウェルター級、ロイ・ジョーンズが涙を飲んだライトミドル級。思い出のクラスがなくなることに、一抹の寂しさは拭えません。

廃止の理由はたった一つ。チャンピオンの権威を考えると、多すぎる階級はボクシングにとって害悪以外の何物でもないからです。

それが正解です。
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将棋の最高棋戦、第36期竜王戦七番勝負を4連勝で制し、タイトル三連覇と八冠初防衛を果たした藤井聡太竜王(名人、王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖)が一夜明けた記者会見で「盤上没我」の揮毫を披露しました。

「盤上没我」。雑念なく対局に集中する、という意味です。

藤井は「常に対局中にそうなるわけではないが、今回のシリーズではそういう感覚になるところもあった」と、盤上没我の心境を語りました。

スポーツ世界でよく使われる「ゾーン」と呼ばれる状態です。

ゾーンは「一流アスリートだけが到達できる境地」と考えられがちですが、そうではありません。


ゾーンに定義はありませんが「雑念がない(完全に集中している)」「時間が速くなっている、あるいは遅くなっているように感じる」「疲労や消耗をほとんど感じない」「完璧に自然な動きを習得できたような感覚」などが、その境地でしょうか。

走る距離と時間が伸びるに比例して疲労も増大するはずなのに楽になる、このペースでどこまでも走り続けることができそうな感覚、ランナーズハイはゾーンの一種です。

野球の投手も球数が増えているのに、一番元気なはずの初回よりも体が滑らかに動き、疲れもほとんど感じない。

多くの人が、そんな〝ゾーン〟を感じたことがあるでしょう。

スポーツを楽しむのに良い季節になりました。


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一人称の話。

先日の井上尚弥の会見では、一人称は「自分」でした。そういえば、浜田剛史も「自分」。

スポーツの世界では、その選手のキャラクターによって一人称が使い分けられてしまうことがあります。ときには。当人が使っていない一人称を当てはめられることも。

沢木耕太郎のエッセイで語られていたのは、江夏豊が「僕」と語った一人称が、活字になると「ワシ」にされてしまうという、キャラの決めつけ。

山本浩二は「ワシ」で正解ですが。

スポーツの世界ではありませんが、ドナルド・トランプの「I(アイ)」が「俺様」にされてしまうことがあるのは、さすがに可哀想な気がします。

英語には「僕」も「ワシ」も「俺様」もないのですから。

夏目漱石の「吾輩は猫である」。かしこまって聞こえますが、昭和の初め頃までは「吾輩」は男性の一人称として決して珍しい表現ではなかったそうです。
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