ものすごい暴風雨で電車が立ち往生…。というわけでざざっとボクシングニューズ誌の記事から短観。

ボクシングのプロモーターたちは、いつの時代も新しい市場を探してきた。
最も有名なサンプルはRumble in the Jungle、1974年にザイール(現・コンゴ)の首都キンシャサで行われた世界ヘビー級タイトルマッチだ。
国際社会からの孤立を懸念した独裁政権がカネの力で有名なスポーツイベントを招致することで、世界からの承認を得ようとするーーーフィリピンのマルコス政権に現在のサウジアラビアまで連なる安易にしてこれ以上ない効率的な処方箋だ。
残虐非道のモブツ大統領が凶悪犯罪者だったドン・キングに持ちかけて、世界で最も有名な男を自国に招いたメガイベントは一夜限りのお祭りだったが、その大成功はボクシング未開の地にも大きな可能性の芽があることを教えてくれた。
貧困だが資源は豊富で国の指導者たちが富を独占している、そんな国は何もアフリカだけに限った話ではない。
その国力と人口を考えると、中国が地球上で最も魅力的なマーケットであることは火を見るよりも明らかだ。
キングのライバル(というには二人の関係はあまりにも陰湿でスポーツマンシップが欠落しているが)、ボブ・アラムは五輪2大会連続金メダリストのゾウ・シミンと2012年ロンドン五輪後に契約。
2013年、米国で需要のない軽量級ボクサーでは考えられないHBOデビューの舞台がシミンに用意される。
アラムの狙いは米国でスターとして活躍するシミンを在米の中華系だけでなく、人口14億人の本国でも英雄に仕立て上げ、巨額の集金マシーンとすることだった。
しかし、国民的英雄となったゾウはトップランクからの独立に動き、アラムの皮算用は狂い始める。
そして、温室鉄道を敷設してもらったにも関わらず、シミンは噛ませ犬の日本人に悪夢の大番狂せを起こされてしまうのだ。
アラムがマニー・パッキャオの再来を狙ったノニト・ドネアはなんとフェザー級で挫折、ワシル・ロマチェンコもライト級どまり、米国でスーパースターに登り詰めることはできなかった。
そもそも、パッキャオの成功は汎用性や再現性といったビジネスの必須用語とはかけ離れた、突然の奇跡だったのだ。
アラムが一大拠点に育て上げようとしたマカオでの興行は完全に失速してしまったが、中国本土では小さな興行が各地で行われ続けている。
14億人の国で刹那でも国民的英雄になったシミンによって、中国のボクシング熱は間違いなく点火された。
巨大な人口と強力な国力、そこに注目して中国だけに手をつけるわけがない。アラムの視界はインドもしっかりととらえている。
インド人として初めてボクシングのメダリスト(北京2008:ミドル級銅メダル)となったビジェンダー・シンはフランク・ウォーレンのプロモートで2015年にプロ転向。これを機にコミッションとしてインド・ボクシング評議会が立ち上がり、インドでのプロの試合、興行が劇的に増えてゆく。
アラムは2018年にシンを傘下に招き入れ、2019年には米国デビュー。しかし、コロナ禍がアラムの〝インド計画〟を直撃。
そして、シンはブランク明けの2021年にインドでの調整試合でアーティシュ・ロプサンにまさかの5ラウンドTKO負けを喫してしまう。
2022年に復帰線で勝利したシンだが、それ以来リングから遠ざかっている。
しかし、シミンの場合と同じように最初の種から芽は息吹かなかったが、シンの影響で競技人口は増え(インドで競技人口が増えるということは我々の感覚とは一桁か二桁違う)、二人が五輪メダリストになり、人気スポーツへの階段を上がり始めている。
中国進出に際して、アラムが日本のボクサーとの激突が大きな話題になると読んだように、インドの場合もパキスタンというライバル国が存在する。南アジアのメキシコvsプエルトリコだ。
中国の人口を超えたインドと、2億5000万人を抱えるパキスタンはクリケットの世界ではブラジルvsアルゼンチン、その激突は激しい火花を散らす。
2017年にパキスタン・ボクシング評議会が発足したものの、まだ「お金を払ってボクシングを見る習慣がない」(評議会のラシード・バロック会長)という段階。
それでも、2017年までは外国でプロライセンスを取得しなければならなかったことを考えると、格段の進歩で「近い将来、世界チャンピオンが生まれると信じている」(バロック会長)。
確実に成長している中国やインドのボクシング市場。不運にも最初の種から大輪は咲かなかったが、咲いていれば何が起きていただろうか?
南アジアではネパールでもコミッションが設立され、国境を越えたプロボクシングの興行が活発になるかもしれない。
シミンやシンが超えられなかった一線をクリアする才能が現れたとき、ボクシングの世界は新章に突入することになる。
▶︎▶︎▶︎かつてのザイールやフィリピン、サウジアラビア…人道的に問題がある国、五輪を招致できない国がカネが全てなやり方でスポーツのメガイベントを招致する…本当は許してはいけないことですが、カネを見せつけられると誰もが鈍感になってしまいます。
それがプロスポーツの業だといえば、それまでなのですが。
Boxing breaking new territory

ボクシングのプロモーターたちは、いつの時代も新しい市場を探してきた。
最も有名なサンプルはRumble in the Jungle、1974年にザイール(現・コンゴ)の首都キンシャサで行われた世界ヘビー級タイトルマッチだ。
国際社会からの孤立を懸念した独裁政権がカネの力で有名なスポーツイベントを招致することで、世界からの承認を得ようとするーーーフィリピンのマルコス政権に現在のサウジアラビアまで連なる安易にしてこれ以上ない効率的な処方箋だ。
残虐非道のモブツ大統領が凶悪犯罪者だったドン・キングに持ちかけて、世界で最も有名な男を自国に招いたメガイベントは一夜限りのお祭りだったが、その大成功はボクシング未開の地にも大きな可能性の芽があることを教えてくれた。
貧困だが資源は豊富で国の指導者たちが富を独占している、そんな国は何もアフリカだけに限った話ではない。
その国力と人口を考えると、中国が地球上で最も魅力的なマーケットであることは火を見るよりも明らかだ。
キングのライバル(というには二人の関係はあまりにも陰湿でスポーツマンシップが欠落しているが)、ボブ・アラムは五輪2大会連続金メダリストのゾウ・シミンと2012年ロンドン五輪後に契約。
2013年、米国で需要のない軽量級ボクサーでは考えられないHBOデビューの舞台がシミンに用意される。
アラムの狙いは米国でスターとして活躍するシミンを在米の中華系だけでなく、人口14億人の本国でも英雄に仕立て上げ、巨額の集金マシーンとすることだった。
しかし、国民的英雄となったゾウはトップランクからの独立に動き、アラムの皮算用は狂い始める。
そして、温室鉄道を敷設してもらったにも関わらず、シミンは噛ませ犬の日本人に悪夢の大番狂せを起こされてしまうのだ。
アラムがマニー・パッキャオの再来を狙ったノニト・ドネアはなんとフェザー級で挫折、ワシル・ロマチェンコもライト級どまり、米国でスーパースターに登り詰めることはできなかった。
そもそも、パッキャオの成功は汎用性や再現性といったビジネスの必須用語とはかけ離れた、突然の奇跡だったのだ。
アラムが一大拠点に育て上げようとしたマカオでの興行は完全に失速してしまったが、中国本土では小さな興行が各地で行われ続けている。
14億人の国で刹那でも国民的英雄になったシミンによって、中国のボクシング熱は間違いなく点火された。
巨大な人口と強力な国力、そこに注目して中国だけに手をつけるわけがない。アラムの視界はインドもしっかりととらえている。
インド人として初めてボクシングのメダリスト(北京2008:ミドル級銅メダル)となったビジェンダー・シンはフランク・ウォーレンのプロモートで2015年にプロ転向。これを機にコミッションとしてインド・ボクシング評議会が立ち上がり、インドでのプロの試合、興行が劇的に増えてゆく。
アラムは2018年にシンを傘下に招き入れ、2019年には米国デビュー。しかし、コロナ禍がアラムの〝インド計画〟を直撃。
そして、シンはブランク明けの2021年にインドでの調整試合でアーティシュ・ロプサンにまさかの5ラウンドTKO負けを喫してしまう。
2022年に復帰線で勝利したシンだが、それ以来リングから遠ざかっている。
しかし、シミンの場合と同じように最初の種から芽は息吹かなかったが、シンの影響で競技人口は増え(インドで競技人口が増えるということは我々の感覚とは一桁か二桁違う)、二人が五輪メダリストになり、人気スポーツへの階段を上がり始めている。
中国進出に際して、アラムが日本のボクサーとの激突が大きな話題になると読んだように、インドの場合もパキスタンというライバル国が存在する。南アジアのメキシコvsプエルトリコだ。
中国の人口を超えたインドと、2億5000万人を抱えるパキスタンはクリケットの世界ではブラジルvsアルゼンチン、その激突は激しい火花を散らす。
2017年にパキスタン・ボクシング評議会が発足したものの、まだ「お金を払ってボクシングを見る習慣がない」(評議会のラシード・バロック会長)という段階。
それでも、2017年までは外国でプロライセンスを取得しなければならなかったことを考えると、格段の進歩で「近い将来、世界チャンピオンが生まれると信じている」(バロック会長)。
確実に成長している中国やインドのボクシング市場。不運にも最初の種から大輪は咲かなかったが、咲いていれば何が起きていただろうか?
南アジアではネパールでもコミッションが設立され、国境を越えたプロボクシングの興行が活発になるかもしれない。
シミンやシンが超えられなかった一線をクリアする才能が現れたとき、ボクシングの世界は新章に突入することになる。
▶︎▶︎▶︎かつてのザイールやフィリピン、サウジアラビア…人道的に問題がある国、五輪を招致できない国がカネが全てなやり方でスポーツのメガイベントを招致する…本当は許してはいけないことですが、カネを見せつけられると誰もが鈍感になってしまいます。
それがプロスポーツの業だといえば、それまでなのですが。
コメント
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フシ穴の眼
が
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