カテゴリ: FIGHT SONG

減量とは?

このブログでは、減量についてほとんどのケースで「より弱い相手と戦うために自分も弱体化する行為」と、冷ややかに見てきました。

計量をパスしたあと、特に軽量級ではほぼ全てのボクサーが翌日の試合まで「(減量のダメージからの)回復の時間」に充てます。

そもそも、試合前日にそこまでダメージを負ってるってどういうことなんでしょうか?

計量前のボクサーの多くは頬がこけ、肌はカサカサ、見るからに消耗しきっています。

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「あしたのジョー」のワンシーンのようにストーブをガンガン燃やした部屋で、最後の汗の一滴を絞り出そうと毛布をかぶっているボクサー。

ドラマのワンシーンではありません。

毛布の中で息を潜め、必死に汗を絞り出そうとしているのは、日本が世界に誇るPFPファイター、井上尚弥です。

より弱い相手と戦うために、自分も弱体化する。そのギリギリのバランスの上に張られたタイトロープを渡るのが減量です。

ファイティング原田や井上尚弥は過酷な減量について、特に憚ることなく語ります。

かつて、渡辺二郎は「減量がきついなんて人に泣きつくことじゃない。自慢なんかにならない。そんなに減量がキツいなら、上のクラスに上げたらいいだけ。なんであげへんの?そういうことでしょ」と、原田を名指して批判しました。

一方で、原田は減量がキツくなると対戦相手を思い浮かべる、とも語っていました。

「あいつも俺と戦うために厳しい練習と減量に耐えている。俺だって負けてたまるか」。

減量階級の計量と試合は、一つのセットです。

あいつは俺と戦う資格があるか?俺はあいつと戦う資格があるか?

リミット体重は、単なる数字ではありません。

バンタム級のファイターにとって118ポンドは約束の数字です。

105、108、112、115、118、122…単なる3桁の数字が、その軽さとは裏腹に、途轍もなく重く見えてしまうのは、それが男と男の約束の数字だからに他なりません。

それを反故にする人間を、私はファイターとは呼びません。

もちろん、誰しも過ちはあります。

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重い重圧にのしかかられた19歳の少女が一本のタバコに手を伸ばし、一杯の酒をすすったことがどれほどの罪になるというのでしょうか?

彼女はくだらない法律に抵触したかもしれません。協会の決めたルールを破ったという意味では約束を破ったのかもしれません。

しかし、それは絶対に嘘をついてはいけない対戦相手や、神聖な舞台に対する反故や侮辱ではありません、少なくとも私の考えでは。



体重超過やドーピングは、倒すべき相手を欺き、神聖な舞台を汚す、侮蔑すべき行為です。

絶対に破ってはいけない約束を、やぶってしまったのですから。

マニー・パッキャオは大きな過ちを犯しましたが、減量というキーワードを破壊するキャリアを築き上げました。

パックマンはこれ以上ない形で、禊を済ませてみせました。

力石徹がどうして神々しいのか?それは矢吹丈との約束を守り通したからです。

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きょう、幻滅と怒りを覚えるニュースが立て続けに飛び込んできました。

宮田笙子はいけないことをしてしまいましたが、それは対戦相手や大きな舞台を裏切る行為ではありません。

もし、そうだとしても些細な裏切りです。

19歳にのしかかる重圧がどれほど巨大なものか、想像できない人が多すぎます。

彼女はまだ19歳だというのに、自分が何者かを証明する大舞台を自分の手でつかみとりました。

誰か、教えて下さい。

その存在証明の大舞台を奪うほどの悪質な喫煙とは、一体どんなタバコの吸い方なのでしょうか?



約束を反故にされた田中恒成は、いまどんな思いでいるのでしょうか。

恒成には一片の非もありません。

約束を守るために過酷な減量で削られ哀しいほど美しく研ぎ澄まされた肉体を作ったというのに。

慰めにもならないでしょうが、恒成は今回も立派に約束を守りました。

そして、彼の持っているストラップは世界で最も注目されるメキシコ系米国人ファイターが狙っています。

恒成にもまた、存在証明に十分すぎる大舞台が待ち構えています。


がんばれ!




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2024年8月24日(土)


コミッション:日本ボクシングコミッション

プロモーター:亀田興毅

メディア:ABEMA -TV

亀田和毅
vs
レラト・ドラミニ


亀田和もドラミにも、Transnational Boxing Rankings BoardやESPN、The Ringのフェザー級には名前がありません。

常識的な評価では「2人ともまともな世界ランカーの実力はない」ということです。

WBAでは2人とも圏外(7位:堤駿斗/14位:松本圭佑)。WBCでは亀田和が11位(11位:阿部麗也/10位:松本圭佑)。IBFでは1位が空位でドラミニが2位、亀田和が3位。WBOでは亀田和が9位(11位:下町俊貴/13位:藤田健児)。

IBFという認定団体では王者はルイス・アルベルト・ロペス。亀田和とドラミニが挑戦権のトップ2にポジションしていますから、この2人が戦い勝者が王者に挑戦するという算段です。

昨年10月7日、衝撃的な大番狂せでドラミニが勝利(The Ring)。圧倒的有利と予想された〝出来レース〟をクリアして、WBAタイトルに挑戦する計画は大幅な軌道修正を強いられてしまいました。

2019年7月13日にWBCジュニアフェザー級王者レイ・バルガスに判定負けしてから、追い求める世界の舞台に漕ぎ着けることができないまま、丸5年が過ぎ去りました。

亀田プロモーションはドラミニとの再戦を内定させますが、ドラミニはアーノルド・ケガイとの挑戦者決定戦を選び、新米プロモーター亀田興毅はツメの甘さを曝け出します。

生馬の目を抜く世界ですが、エディ・ハーンやフランク・ウォーレン、アル・ヘイモン、日本なら本田明彦のような〝睨みの効く〟大物相手なら、ドラミニは素直に亀田和との再戦に臨んでいたでしょう。

世界的には人気のないフェザー級は、メキシコのスター選手でもない限りプロモーターやプラットフォームにとって優先順位の低いクラスです。それだけに、〝睨みの効かない〟プロモーターの仕切りでは鳥の羽のようにフラフラ揺れ動くのは仕方がありません。

プロ45戦を積み重ねた33歳の亀田和はもちろん、なんの実績もない30歳の南アフリカ人も自らのキャリアを逆算する段階に差し掛かっています。

お世辞にもファンが喜ぶカードとは言えません。

ただ、この先には〝El Venado〟ロペスが待ち構えているはずです。

亀田vsドラミニに先駆け、王者ロペスは8月10日、ニューメキシコ州アルバカーキでアンジェロ・レオを迎えて4度目の防衛戦を行います。



元WBOジュニアフェザー級王者レオは、「顔面を打たれることを極端に恐れていた」(井上尚弥)と馬鹿にされたスティーブン・フルトンに完敗したばかりか、那須川天心にスパーリングとはいえ圧倒された残念なボクサーです。

よもや、ロペスが負けることはないでしょうが、阿部麗也を無慈悲に破壊した圧勝劇を除くと、そこまで強い王者には見えません。フェザー級の中では際立つフィジカルを全面に出すファイターです。

オッズは1/7(1.14倍)、9/2(5.5倍)。明白にロペス有利ですが…。

日本のボクシングファンからすると、ロペスが阿部戦を超える惨劇を演出、日本で亀田和とのビッグファイト、勝者が井上尚弥の名前を叫ぶ、というのが理想のストーリーですが。。。。。







冷やし中華が食べたい。   ※本文とは関係ありません。

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夏の甲子園。

都道府県予選の火蓋が切られました。

皆様の母校は、勝ち進んでいるでしょうか?

まだ、ステージが浅いこともあって、私の母校も、近所で仲良くしてる高校生たちも一回戦を突破!



それにしても、甲子園!

こんなに美しくて、切ない日本語が他にあるでしょうか?

さらに、これが、「夏の甲子園都道府県予選」ともなると、パブロフの犬のように、灼熱までともなって先走る、熱い感動と震える興奮に、はあはあしてしまうのだ。

さっきまで飲んでたアホな友だちは、そんな感動の夏の甲子園都道府県予選の話で盛り上がってる最中に「パブロフの犬」を「モロゾフの犬」と間違えて、話の腰を打ち砕きやがった。

モロゾフの犬…甘ったるすぎて、感動の涙とは無縁すぎるわ!




気を取り直して。

がんばれ!高校生!

負けて、思いっきり泣け!

大人になると、負けても泣けない、そんな情けない体質になるからな。

高校生よ!負けて、思いっきり泣け!



話は戻って「モロゾフの犬」。

「パブロフとモロゾフでは全く違う話じゃ!このボケが!洋菓子と一緒にするな!」と、間違えた元球児を罵る俺に、一緒に飲んでた横浜元町のお嬢様、といっても年齢的にはオババ様が「パブロフは私たちの中では洋菓子屋なのよ」と笑いながら、宣うのでした。



むむむむむ…甲子園の対義語は横浜本町であったか。
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井岡一翔を引退に追い込んだかもしれない、フェルナンド・マルチネスのお話から。

左右フックを振り回しながら前進して来る迫力は、まさにbuzzsaw attack(英国ボクシングニューズ誌)。

想定内の攻勢でしたが、あの勢いを12ラウンド、36分間も持続したことには驚きました。



しかし、見た目はパワフルですが、マルチネスは17勝のうちKOをマークしたのは9試合だけ。KO率は52.9%。

一定レベルの強豪と手合わせした世界戦4試合となると、KOは1試合にとどまり、わずか25%まで下落します。

軽量級でKO率50%超えはパンチャーと認識しても差し支えないのかもしれませんが、それを言い出すと井岡一翔も51.61%です。

※KO率の算出方法は2種類ありますが、BoxRecなどの「KO数÷勝利数」の数字を採用。

どんなに贔屓目に見ても、アルゼンチンのプーマはパンチャーとは言えません。

動きは派手ですが、拳を握るタイミングがズレている、当て勘が悪いということかもしれません。

世界レベルでは、完全に非力な部類に入ります。

ただし、破壊力はなくても見映えはする連打です。

井岡一翔が打たれ強いということを差し引いでも、完全に効かせる場面を一度も作ることができませんでした。

あの試合で井岡は何度も顎を跳ね上がられましたが、大きくグラつくこともありませんでした。

有効打という点では、井岡のボディが優っていたくらいでしたが、ボディは最も採点に反映されにくいパンチです。

そして、手数と見た目の派手さが融合したボリュームのあふれる攻撃をジャッジが評価するのは、当然です。

大橋秀行は「初回に井岡がボディで大きなダメージを与えたが、あれが早すぎた」と、そのあとのマルチネスがボディへの警戒度を引き上げたと見ました。

井岡も「初回のボディでしゃがみ込むか、しゃがみ込まないかが大きかった」と、オープニングラウンドをターニングポイントの一つに上げました。

マルチネスも「試合を通してボディがきつかった」と告白していますが、第2ラウンド以降はボディへの警戒度を上げるだけでなく、少しでも効かされると、下がりながら距離をとるボクシングも見せました。

そして、あそこで一気に攻め込まない、攻め込めないのも井岡一翔。

井上尚弥なら、本能的に襲いかかっていたでしょう。

マルチネス、見映えの良いファイターです。35歳とはいえ、劣化の綻びをほとんど見せない井岡を押し切ったのです。

150年に一人の男が「早すぎた」といったボディブローも、あの時点で決まってなければマルチネスの攻勢はもっと強まっていたかもしれません。

そして、何よりも初回で決壊寸前まで追い詰められたボディのダメージを抱えながら、12ラウンド終了ゴングまで決壊を拒み続け、攻撃の手を緩めませんでした。

生粋のファイターです。

ただ「バムよりも強い」(内山高志)はないでしょう。

バム・ロドリゲスにとって、マルチネスはオーダーメイド。井岡のように正面からの打ち合いには付き合ってくれません。

また「再戦したら井岡が勝つ」(内山)という予想も支持したい気持ちはあるのですが、難しいかもしれません。


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Saturday 6, July 2024
  
Toyota Arena, Ontario, California
commission:California State Athletic Commission
promoter:Oscar De La Hoya
matchmaker:Devon De La Hoya
        Eric Gomez,
        Javier Razo
media:DAZN



今日は井岡一翔のマスト・ウィン・ファイト。我々の注目もこの試合にフォーカスされています。

海外ではチキンの極みシャクール・スティーブンソンがアルテム・ハルチュニアンを迎えるWBCライト級戦の他にも、ウィリアム・セペダとジョバンニ・カブレラのやはりライト級戦線の注目カードが行われます。

トヨタ・アリーナで行われるセペダのイベント、セミファイナルにアンヘル・アコスタが登場します。

16戦全勝オールKO勝ちのパーフェクトレコードを引っ提げて、田中恒成のWBOジュニアフライ級タイトルに挑戦したのが2017年5月20日のことでしたから、もう7年も前になります。

恒成が返上した空位の王座に就いたアコスタはカルロス・ブイトラゴ、ガニガン・ロペスといったやはり日本のファンにも馴染み深いファイターを撃破、フライ級に上げて2階級制覇を狙いますが、そこに立ち塞がったのはWBO王者の中谷潤人。相手が悪すぎました。

完璧な戦績は24勝4敗になりましたが、24勝のうちKOは22。破格の強打は健在です。

しかし、WBCシルバーのフライ級ストラップを争うリカルド〝エルニーニョ(神の子)〟サンドバルに対して、アコスタは完全Bサイド。

ウィリアム・ヒルの掛け率はエルニーニョの勝利が1/4(1.25倍)、アコスタ3/1(4倍)。

真っ正直なプエルトリカンが豪快な番狂せを起こすことを期待しています。

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ライアン・ガルシアが「'Official' Retirement(正式に引退する)」と声明を出しました。

トップアスリートは、その強靭な肉体に比例する精神を持ち合わせているとは限りません。特に「アイドル」と見られるアスリートが戦わなければならない敵は、フィールドやリングの外にもいます。

ニューヨーク州アスレティック・コミッション(NYSAC)はキング・ライを召喚・尋問する予定でしたが、引退ということになればNYSACの呼び出しを無視してライセンスを停止や出場停止のペナルティを課せられてもなんお問題もありません。

NYSAC はキング・ライのドーピング容疑から、デビン・ヘイニー戦の勝利を無効試合、あるいはヘイニーの反則勝ちにすることまで考えていると報じられています。

キング・ライの精神状態が普通でないことは、最近のSNSへの投稿でも明らかです。

「愛する母親が癌に冒されてしまった、いくつかの裁判を抱えている、サプリメントに何かが仕掛けられている、離婚も迫っている、ヘイニーが私の勝利を奪おうとしている、誰もが私に刃を向けてくる…」。

健全なボクシング界がキング・ライの悪行に正義の罰を与えて、彼を追放する…なんて構図であるはずもありません。

このブログでも繰り返し書いてきましたが、スポーツの世界においてドーピングはアスリートの選手生命を終わらせ、そのレガシーを霧散させる、取り返しのつかない過ちです。

それが、陸上競技などとは違い、対戦相手の肉体を危険に晒すスポーツであるボクシングにおいては尚更です。

しかし、現実は違います。

ボクシングほど反則行為が許容されるスポーツはありません。ショーであるプロレスの方が、反則行為に厳しいでしょう。

キング・ライは卑怯者かもしれません。しかし、そもそもが卑劣な世界であるボクシング界で、卑怯者をどう扱えば良いのでしょうか?

キング・ライは妄言や虚言を繰り返してきましたが、今回は真実も書き込みました。



There is so much corruption I'm over it... 

ボクシング界は腐敗だらけ。俺はもう疲れてしまったよ


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タンク・デービスvsフランク・マーティンと、デビッド・ベナビデスvsオレクサンドル・グヴォズディクのMGMグランドガーデン・アリーナのイベントはアマゾンプライム・ビデオのPPVでした。

月極ネット配信がPPVで販売する複雑さはありますが、果たしてどれくらい売れるのでしょうか。

昨年2月のタンクvsライアン・ガルシアはSHOWTIMEとDAZNのPPVで120万件をセールスしましたが、これはガルシア人気が今回はそのレベルには遠く及ばないと見られています。

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アジア人のプロボクサーがCNNスポーツのトップニュースで当たり前に報じられる…そんな日が再び訪れることはもうないのでしょうか。可能性があるとしたら、ヂャン・ヂレイだけです。ちなみにノニト・ドネアや井上尚弥が取り上げられたことは、当たり前ですがたったの一度もありません。



タンクと同じジュニアライト級から人気階級に進出したフロイド・メイウェザーや、フライ級から人気階級に駆け上がったマニー・パッキャオと比較する気はありません。

この10年…せいぜい15年レベルの話ですが、ボクシングはますます没落、その市場環境は全く違います。

ジュニアライト級とライト級という人気階級とは言い切れないゾーンで戦いながら、他力本願でもPPVで120万件を売り上げ、PPVの損益分岐点とされる20万件を死守してきたタンク・デービスの商業的価値は現代の米国市場では貴重な存在です。

〝人気階級の超不人気選手〟テレンス・クロフォードよりも、商業的価値は間違いなく上です。

非メキシカン、非ヘビー級で絞ると、現在の世界ボクシングシーンで最も人気のある選手かもしれません。

タンクと並んで、米国ボクシング市場の未来を担うと期待されるデビッド・ベナビデスは、拳や目の怪我があったとはいえ、ロシアのウクライナ侵略でやむなく復帰した鈍重なオレクサンドル・グヴォズディクを持て余しました。

ベナビデスはタンクのような〝犯罪依存症〟ではありませんが、規律が緩い面では同じ穴のムジナです。その対戦相手の酷さは、彼らのPFPランキングを見れば明らかです。

パックメイはもちろん、カネロ・アルバレスのように中長期にわたって米国市場を牽引する、そんな存在になれるとは到底思えません。

ならば、いっそのこと。

ワシル・ロマチェンコがタンクにボクシングの授業を施し、ベナビデスがアルツール・ベテルビエフの剛拳に撃沈されるーーーそんなBサイドの凱歌を聞くのもスカッとするかもしれません。




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今日のMGMグランドガーデン・アリーナの座席に着いたのは13,249人。後方の2000席以上が空席。

CompuBoxのデータなどを見つめながら、ガーボンタ・デービスの強さについて考えてみます。

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パンチのヒット数は第5ラウンドまでフランク・マーティンがリードしていましたが、第6ラウンドで8−11と潮目が変わり、第7ラウンドでは10−19と「結末が近いかもしれない」と思わせるような明白な逆転を許します。

しかし、数字上のパンチスタッツが第6ランドまでマーティンがリードしていても、今日の試合を逆転勝ちと見る人は極めて少数派でしょう。



タンク・デービスのここまでのプロ戦績は、29戦全勝27KO。

素晴らしい数字ですが「誰に勝ったか?」となると、殿堂クラスや現役PFPファイターの名前は一人も見当たりません。

元PFPファイターではユリオルキス・ガンボアと、レオ・サンタクルスの2人。しかし、フェザー級が全盛期だったガンボアは38歳の完全劣化バージョン、32歳ながらバンタム級上がりのサンタクルスと戦ったのはジュニアライト級。

この2人は、タンクとの対戦時、完全に抜け殻でした。

それでも、のちのWBC暫定ウエルター級王者マリオ・バリオス、WBAジュニアウエルター級王者イサック・クルスに勝利していることは大きな星です。

リバウンド制限で弱らせた人気者ライアン・ガルシアをノックアウトした印象も、勝てばOKのボクシングの世界ではプラス評価。

タンクは井上尚弥のように、対戦相手に1ポイントも与えようとしない戦い方はしません。また、オレクサンデル・ウシクのように自分より重くて巨大な相手に挑むこともしません。やるとしたら、自分が体重超過してきます。

一度だけジュニアウエルター級をつまみ喰いしただけで、29戦も戦ってきたスター選手としては慎ましくジュニアライト級(130ポンド)からライト級(135ポンド)を主戦場にして来ました。



積極的に手を出さずに細かいフェイントで相手の反応を確認しながら前進、一撃で試合を終わらせるパンチを打ち込む間合いとタイミングを測っていくのが、タンクのスタイルです。

デオンティ・ワイルダーのような一発当てたら終わりというギャンブル性は希薄で、ポイントを失ったラウンドでも詰将棋の一手にも似た意味を持たせています。

「手を出さずに細かいフェイントで相手の反応を確認しながら前進」しているラウンドで相手にポイントが流れているわけですが、これはタンクのペースとも言えます。ライフルの照準をキリキリ合わせていくイメージでしょうか。

マーティンはうまく戦っているように見えても、ジリ貧。第6〜7ラウンドでは、完全に照準を合わせらてしまう、ロックオンされた状況でした。



さて、PFPクラス13選手※のスタッツ分析でタンクの数字を拾って見ましょう…。

※アルツール・ベテルビエフ、デビン・ヘイニー、ドミトリー・ビボル、エロール・スペンス、ガーボンタ・デービス、バム・ロドリゲス、井上尚弥、オレクサンデル・ウシク、ローマン・ゴンサレス、カネロ(サウル)・アルバレス、シャクール・スティーブンソン、テレンス・クロフォード、タイソン・フューリー(アルファベット順)。


【PLUS MINUS(ヒット率と被ヒット率の差)】で、タンクは+14.4ポイント(35.2%ー20.8%)。

この数値が最も優秀なのがシャクール・スティーブンソンで+20.4(33.7ー13.3)。バム・ロドリゲスが+18.9、ドミトリー・ビボルが+17.5と続きます。

タンクは井上尚弥(+14.8=35.1ー20.3)と同じ攻撃型のスタイルなので、ある程度の被弾は仕方がありません。

こういう数値も所詮は対戦相手の質に行き着きますが、バムの数字には目を見張ってしまいます。


タンクの35.2%という【TOTAL CONNECT PERCENTAGE(ヒット率)】はバム(39.4%)、カネロ・アルバレス(35.9%)に続く3位。

しかし、この数字の素材になる【AVG TOTAL PUNCHES THROWN/ROUND(ラウンドあたりのトータルの手数)】と【AVG TOTAL PUNCHES LANDED/ROUND(ラウンドあたりのトータルのヒット数)】ではともに13人中ワーストの33.2発と11.7発。

手数もヒット数も最も少ないのがタンクの特徴ですが、ヒット率(11.7÷33.2=35.2)は3位なのです。

予想以上の手数の少なさですが、研ぎ澄まされた一撃を確実にヒットさせる、やはりスナイパーの姿が浮かび上がってきます。

そして、タンクは一撃必殺のスナイパーですから【POWER CONNECT PERCENTAGE(パワーパンチのヒット率)】はさらに跳ね上がって(9.4÷19.7=)47.7%の2位。19.7発打って、半数近い9.4発をヒットしているわけです。

そして、ここでも1位はバムで(16.2÷33.2=)49.8%。PFPクラスの中で、バムが一番多く1位を獲ってます。




。。。。。旧態依然のボクシングのスタッツに大きな意味がないのはわかっていますが、本当のPFPキングはバムなのでは?

ロマチェンコの話をしないうちに、バムに話が逸れそうです…。





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全日本の大学選手権。野球と陸上競技で行われています。



どっちも、ちょっと知り合いの選手が何人か出場、当たり前ですがタンク・デービスのようには見てられません。

私なんかは挑戦すらできなかった舞台。お前ら、まぶしすぎるよ。



いや、しかし若いって素晴らしい。


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ウクライナのプロボクサーが心身ともに想像を絶する過酷な環境で、その職業を続けていることは誰にでもわかるだろう。

それでも、彼らは世界中が注目する大きな試合で、私たちには純粋に尊敬するしかできない勝利をもぎ獲っている。

今年はまだ前半を折り返したばかりだが、オレクサンドル・ウシクは巨大なタイソン・フューリーを予想されなかったやり方で倒した。

ワシル・ロマチェンコは苦戦も予想されたジョージ・カンボソスに、ボクシングの授業を容赦のない形で受けさせ、ライト級最強が誰なのかを世界に示した。

デニス・ベリンチクは圧倒的不利の予想を跳ね返し、エマヌエル・ナバレッテに勝利。ライト級王者に就いた。

セルヒィ・ホバチュクも、ブライアン・メンドサを破ってジュニアミドル級のストラップを手にした。

母国がロシアの侵略に蹂躙されている彼らは、不撓不屈の鋼鉄のハートを持っている。そして、彼らは揃いも揃って、超絶のテクニシャン。

そして、明日のMGMグランドガーデン・アリーナのリングに、オレクサンドル・グヴォズディクが上がる。

WBCライトヘビー級の暫定タイトルを争う相手は、デビッド・ベナビデス。やはり、圧倒的不利の逆風を受けながら37歳のウクライナ人は5年前まで自身が保持していたタイトルを取り戻すためにロープをくぐる。

オッズは1−6で大きく不利。リング誌の専門家予想に至っては、1−20と絶望的。ブックメーカーの掛け率や、経営不振で廃刊に追い込まれたドブ専門誌の予想に何か意味があるとしたら、この試合はやる必要がない。

「ウシクとも話したんだ。ウクライナの人はみんな試合を気にしてくれている。勇気を見せようぜって」。

Wi-Fi環境が最悪の地下壕のなかで、人々は頻繁に途切れるスマホ画面でウシクとフーリーの試合をじっと睨んでいた。

「フューリーは小さくて軽い相手に強い」という英国の解説者のコメントに、あちこちで「ウシクは大きくて重い相手に強い!」という声が上がった。

スマホの音声が聞こえなくなったのは、Wi-Fi環境のせいだけではなかった。人々が歌を歌い出したからだ。


  ウクライナの栄光は滅びず

  我らの敵は太陽の前の露(つゆ)のように滅びるだろう



グヴォズディクが上がるのはボクシングのリングだ。

そこには援軍は来ない。たった一人、36分間で、強敵と決着をつけるだけだ。





ここで、ロマチェンコと、ガーボンタ・デービス(明日の試合に勝利することが前提)の試合が11月開催で調整に入っているというニュースが入ってきました。

もし、明日大判来るわせでベナビデスが沈み、11月にタンクもノマスチェンコ負けすると、今年のFighter Of The Yearは誰になるのでしょうか?

おそらく、3人が選ばれることになるのでしょう。




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