ウクライナのプロボクサーが心身ともに想像を絶する過酷な環境で、その職業を続けていることは誰にでもわかるだろう。

それでも、彼らは世界中が注目する大きな試合で、私たちには純粋に尊敬するしかできない勝利をもぎ獲っている。

今年はまだ前半を折り返したばかりだが、オレクサンドル・ウシクは巨大なタイソン・フューリーを予想されなかったやり方で倒した。

ワシル・ロマチェンコは苦戦も予想されたジョージ・カンボソスに、ボクシングの授業を容赦のない形で受けさせ、ライト級最強が誰なのかを世界に示した。

デニス・ベリンチクは圧倒的不利の予想を跳ね返し、エマヌエル・ナバレッテに勝利。ライト級王者に就いた。

セルヒィ・ホバチュクも、ブライアン・メンドサを破ってジュニアミドル級のストラップを手にした。

母国がロシアの侵略に蹂躙されている彼らは、不撓不屈の鋼鉄のハートを持っている。そして、彼らは揃いも揃って、超絶のテクニシャン。

そして、明日のMGMグランドガーデン・アリーナのリングに、オレクサンドル・グヴォズディクが上がる。

WBCライトヘビー級の暫定タイトルを争う相手は、デビッド・ベナビデス。やはり、圧倒的不利の逆風を受けながら37歳のウクライナ人は5年前まで自身が保持していたタイトルを取り戻すためにロープをくぐる。

オッズは1−6で大きく不利。リング誌の専門家予想に至っては、1−20と絶望的。ブックメーカーの掛け率や、経営不振で廃刊に追い込まれたドブ専門誌の予想に何か意味があるとしたら、この試合はやる必要がない。

「ウシクとも話したんだ。ウクライナの人はみんな試合を気にしてくれている。勇気を見せようぜって」。

Wi-Fi環境が最悪の地下壕のなかで、人々は頻繁に途切れるスマホ画面でウシクとフーリーの試合をじっと睨んでいた。

「フューリーは小さくて軽い相手に強い」という英国の解説者のコメントに、あちこちで「ウシクは大きくて重い相手に強い!」という声が上がった。

スマホの音声が聞こえなくなったのは、Wi-Fi環境のせいだけではなかった。人々が歌を歌い出したからだ。


  ウクライナの栄光は滅びず

  我らの敵は太陽の前の露(つゆ)のように滅びるだろう



グヴォズディクが上がるのはボクシングのリングだ。

そこには援軍は来ない。たった一人、36分間で、強敵と決着をつけるだけだ。





ここで、ロマチェンコと、ガーボンタ・デービス(明日の試合に勝利することが前提)の試合が11月開催で調整に入っているというニュースが入ってきました。

もし、明日大判来るわせでベナビデスが沈み、11月にタンクもノマスチェンコ負けすると、今年のFighter Of The Yearは誰になるのでしょうか?

おそらく、3人が選ばれることになるのでしょう。