カテゴリ: プロボクシングが好きなのである。

Surpassing Expectations. As Expected.

MLBがロスアンゼルス市内で展開している大谷翔平の広告に添えられた言葉です。

GYb5jRBakAEEUDT 2

「ヤツはいつだって期待を超えたことをやらかす。そう、期待通りに。」と素直に訳すのがベストですかね、これは。



Pugilist とボクシングに特化するつもりでしたが、すでに脱線…。



このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

あな 2024/09/29 04:40


フシ穴の眼
結局のところ
ローカルコミッションがいくつもの 認定団体を
認めてた理由って何でしょうか

IMG_2390


今回はプロボクシングを堕落させた認定団体、Sanctioning bodies です。

多くのボクシングファンが勘違いしていますが、WBAなどは統括団体、Governing bodyではありません。

Sanctioning bodiesは世界タイトルを認定するだけの機関で、チャンピオンベルト販売を含む認定料で成り立っています。

他のスポーツではSanctioning bodiesなど、存在しません。それはGoverning bodiesの仕事の一部、というよりも、わざわざ認定しなくともチャンピオンが決まるシステムがしっかり確立されているからです。

プロボクシングの場合はSanctioning bodiesが作ったデタラメランキングにそってタイトルマッチが行われますから、どうしてあんな選手が王者になるのか?いやそれ以前になぜタイトルに挑戦できるのか?という摩訶不思議なタパレス現象があちこちで起きています。

「(世界王者に返り咲けたのは)スライマン会長のおかげ。何度も何度もチャンスをくれた」(辰吉丈一郎)、「(他団体王者との試合について)WBCには恩義がある」(長谷川穂積のマネジメントを手がける山下正人)なんて発言がテレビカメラの前で堂々と発せられ、まだ試合前というのにヒルベルト・メンドサWBA会長が「息子さんには是非タイトルを取って欲しい」と亀田史郎にミニチュアベルトを贈呈して〝予祝〟を行うのですから、こんなものスポーツではありません。

認定団体にとって貧困ビジネスである軽量級ですが、日本のスター選手は別格。日本人ボクサーをランキングを始めあらゆる面で優遇するのは当然です。

北口榛花はパリ五輪で獲得した金メダルに1円も支払っていませんが、井上尚弥は4つのベルトをそれぞれ40万円前後で購入し、その他にもファイトマネーの3%に相当する認定料を各団体に徴収されているのです。

ファイトマネーが100万円なら3万円*4団体=12万円。WBOは統一戦に限り1%割引制度(何なの割引制度って???)があるので、合計11万円になります。消費税を上回る結構なパーセンテージです。

認定団体がカネロや井上に指名試合を強要しない理由はたった一つだけです。もし、ドヘニーごときにタイトルが渡ったら、認定団体は速攻で剥奪工作に乗り出すでしょう。

認定団体はオレクサンデル・ウシクに早く負けて欲しいのです。できればアンソニー・ジョシュアが統一王者になって、ロンドンやリヤドで巨額の認定料が稼げるメガファイトを繰り返して欲しいのです。

同じ世界タイトルマッチでもストロー級のペドロ・タデュランと、スーパーミドル級のカネロ・アルバレスが支払う認定料は全く違う別次元の金額になるのですから、当然です。

引退後のアンドレ・ウォードが「こんな狂ったスポーツはない」と認定団体を罵倒したのも当然です。

ちなみにリング誌ベルトは無料。「王者に勝った者が王者」というチャンピオンシップ制度の原理原則にしたがっているので、認定する必要もありません。

そして、日本でボクサーのファイトマネーが公表されない原因はいくつもありますが、その理由の一つがこの認定料です。

対外的には興行やボクサーの存在を示したいから大きな金額を見せたい。その一方で、認定料はなるべく少なく抑えたいということです。

「井上尚弥の今回のファイトマネーは4億6827万円」なんて、ネバダ州アスレティック協会式に発表したら、認定団体が「おいおい、大橋会長から口頭で伝えられてたのと随分違うぞ」と色めき立つだけです。

IMG_1204

井上尚弥も選出された最高名誉「シュガー・レイ・ロビンソン トロフィー」は無料で贈呈されます。それが当たり前ですが


Q:結局のところ ローカルコミッションがいくつもの 認定団体を認めてた理由って何でしょうか?


A:試合前に「JBCはこの試合をWBA世界バンタム級タイトルマッチと認定する」というコミッショナー宣言を聞いたことがあるはずです。

そうです。認定料はコミッショナーにも支払われるのです。コミッショナーが認めて、初めて公式戦となります。

この認定料も徴収率によって決まりますから、興行規模が大きいほどコミッションも潤うわけですから、多くの団体を認めるのが得策です。もちろん、そこにはタイトルの価値が下がり、一つ一つの興行規模が縮小する薄利多売のデフレスパイラルにはまりこんでいく、ボクシングの社会的ステイタスが下落するという最悪の事態が待ち受けているのですが…。

JBCが長らくIBFとWBOを認めなかった表向きの理由は「タイトルの価値が下がるから」でしたが、既存権益を守ろうとするWBAとWBCからの働きかけもあったでしょう。



話は脇道にそれますが「タイソン・フューリーvsフランシス・ガヌー」と「那須川天心vsフロイド・メイウェザー」は全く同じ種類の茶番劇ですが、前者は公式戦で後者はエキシビションでした。

前者はBritish Boxing Board of Control(英国ボクシング管理委員会)が認定したからです。そして、後者はJBCが認定しなかったから。その一点だけの違いです。

興行的にはメガファイトになること間違いなしの天心vsメイウェザーを認めるどころか「ボクシングという名前を使うな」と嫌悪感をあらわにしたJBCを正義と潔癖の団体と勘違いしてはいけないことは、ここで語る必要はないでしょう。





さあ、ユニコーンが三冠王へ。絶対不可能の戦いが始まります!

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

ボクシングに限らずスポーツの世界で頻繁に目にする言葉が「怪物」や「天才」です。

Genius や Natural gift 、Talent、Gifted、Prodigious、Outstanding…さまざまな英語が「天才」と和訳されて巷にあふれていますが、きょうご紹介するのはFhenomenon。

IMG_2389


Fhenomenonもよく目にする「天才」です。

もともとの意味は「現象」「事象」。そこから「(驚くべき)現象」という意味が包含されて使われるケースがあります。

さらに「驚くべき現象によって奇跡的に生まれ落ちた才能」、つまり「天才」を指す言葉としても使われています。

それが誰を指しているのかによりますが、私はこの言葉を見つけると「天才」ではなく「超常現象」と訳すことの方が多いかもしれません。このブログでもそうしているように。

From Samurai Boy to Baseball Phenomenon.

これなんかは「サムライボーイから野球の天才へ」では平坦で磁力の無い和訳になってしまいます。

「日本の少年がメジャーで超常現象を巻き起こしている」の方が、phenomenon 本来の意味も残して事実にも近い訳になっているのではないでしょうか?

さらに、大谷翔平の場合はGenius や Outstandingに当てはめてしまうと、他のGenius と同じグループになってしまいそうです。

もちろん、PhenomenonはGenius と同様に広く使われています。


“Inoeu is a phenomenon,”Arum told The Ring Friday afternoon. 


もちろん、受験でPhenomenonを「超常現象」と訳すのは危険な冒険です。

入試問題の解答欄には、おとなしく「サムライボーイから野球の天才へ」「アラムは『井上は天才だ』と金曜日の昼下がりに語った」と書いておきましょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

私がプロボクシングの世界に惹き込まれた理由は一つではありません。

意味のわからない不思議な言葉が溢れていたことも、その磁力の一つでした。


というわけで…

Pugilist Dictionary(拳闘広辞苑)

また終わりのないシリーズの始まり、始まり。

本当はA to Z できっちり洗い出して、alphabet orderに並べるのが見映えが良いのでしょうが、そんなことはやっとられん!いつもの思い付き、行き当たりばったりでの船出です。

その方が型にハマらず、少なくとも書き手にとって面白い方向に走り出したりするものです。読み手の方はわかりませんが…悪しからず。



まずは、そのPugilist。

IMG_2388

初めてこの英単語を目にしたのは、おそらく高校時代に図書館で読んだリング誌の記事中だったと思いますが、スポイラ誌だったかもしれません。

いずれにしても、初めて Pugilist を見たとき、私はその意味がわかりませんでした。

「ボクサー」は様々な言葉で表現されています。

日本ではボクサー(Boxer)、ファイター(Fighter)の二つがが主流で、拳闘家は少数派ですが、まあ字面ですぐなんのことなのかわかります。

英国や米国ではBoxer、Fighterに加えてPrize Fighter(賞金ボクサー=プロボクサー)や Pugilist もよく見聞きする表現です。

Gladiator もよく見聞きする、ボクサーを指す言葉です。

The Japanese gladiator,Naoya Inoue is one of the best boxers in the world.

クインズベリールール施行前、近代ボクシング以前は Pugilist が主流でしたが、今でも普通に使われています。

「ボクシング技術」は私が英作文しちゃいそうなboxing technics よりも pugilistic skills とした方がオシャレです。

そして…今でもFighterよりもBoxerよりもPugilist が多く使われているケースがあります。

DP。そうです。
  dementia pugilistica。

慢性外傷性脳症というよりも、パンチドランカーと和訳する方が、直訳的で何よりも多くの人にすぐに何のことなのかがわかります。

あまり見聞きしたくない dementia pugilistica ですが、慢性外傷性脳症よりもパンチドランカーの方が浸透しているという事実は、ボクシング廃止論者が必ず口にするように、このスポーツの存続に関わる問題の一つです。

ボクシングのように故意ではないものの、激しい脳震盪が起こりうるNFLやMLBは dementia pugilistica の問題に対して多くのデータを蓄積、防止や予防に積極的に取り組んでいます。

一方で、その〝語源〟になっているボクシングでは行き当たりばったり、その場しのぎの対応しか出来ていません。

NFLやMLBのようなメジャースポーツではない、ということよりも、世界的な統括団体の不在がデータの共有を難しくしてしまっているのです。




このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

リング誌が廃刊してしまった今、英語圏で定期発行されているボクシング専門誌は英国の「BOXING NEWS(BN)誌」だけになってしまいました。

BN誌がスペシャルなのは「記事が面白い」だけでなく「1909年創刊」という、リング誌はもちろん、スポーツ専門誌として世界最古という圧倒的な歴史!そして「週刊」であること!そして21世紀になってどんどんページ数が減って過去の焼き直し記事が目立つようになったリング誌とは逆に「ページ数が増えて」充実している!などなどを挙げることができます。

手元にある最新号は8月29日号で「JAPANESE BOXING SPECIAL EDITION」(日本ボクシング特集)。

井上尚弥を表紙に「怪物」のネオンサイン。

そして、いつもは「The world’s best fight magazine Est,1909」と書かれている、このカバーページの右上には「世界最高の格闘技雑誌 1909年創刊」と日本語の文字が!神は細部に宿るのだ!!!

      わかりにくいか?⬇︎

IMG_2350

井上尚弥が漫画風のフキダシで「こんにちは」。ラッシャー木村かと思ったぜ!

井上信者には残念ながら中身は薄く、那須川天心も「日本のスーパースター」。

IMG_2349

そして、リング誌もそうであったようにこの手の「日本特集」はいつも内容が薄い、薄い。

しかし!面白くしっかりまとめられたええ記事もありました。

IMG_2348


「God’s plan(神の計らい)」。

9月3日、有明アリーナに上がったファイターで、このBN誌で最も大きく取り上げられたのは、英国の読者にとって身近な階級ではない井上尚弥でも那須川天心であるはずもなく…。

久しぶりに訳しがいのある記事です。

週末にはお届けしますね。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

「拳闘世界地図」を作るにあたり、プロボクシング5大国の競技人口と歴代PFPをまず振り返ってきました。

現代のリーディング・カントリー米国、パイオニアの英国、そして米国市場を支配しているメキシコと紹介してきましたが、次はフィリピンではなく日本。

これは、他のお話でも同時進行的に進めていますが、まず歴代PFPの候補者を思いつくままに並べてみます。


facebook_P4P_thumbs



その前にPFPについて。

これは、階級制が形成された20世紀初頭にはその概念が生まれていたと言われていますが、ボクシングマニアに広く知られるようになったのは1950年代、ヘビー級の影に隠れていたシュガー・レイ・ロビンソンを評価するツールとしてでした。

PFPの概念が芽生えたのは階級制誕生の頃ですが、広まった1950年代はウエルター級とミドル級のロビンソンの評価を広めるため。

1980年代にはアリ引退の危機的状況でシュガー・レイ・レナードをはじめとした中量級の宣伝材料として。

ーーーこのことから浮き彫りになっている事実は、PFPとはヘビー級に対する弱者の言い訳である、ということです。

「全ての階級を平等に見ると」「体重同一時なら」というPFPという妄想の大前提は、どれもヘビー級に不利なものでした。

しかし、階級は人間が作ったもので、40ポンド近くも重いタイソン・フューリーと現実のリングで戦い勝ってしまうオレクサンデル・ウシクは、PFPの言い訳なしに最強を証明してしまいました。

「PFP」は、1980年からリング誌が年間アワードに組み入れたBEST FIGHTER POLLが定期的に発表するPFPとして最も古いものです。ただ、この企画はリング誌の販売不振と経営難からリストラされ2017年で終わってしまいます。

それでも、1990年から月ごとにPFPを発表(2022年の廃刊で終了)、2010年から続いているデジタルバージョンのPFPだけが残っています。

ここを見逃してしまうと「白井義男やファイティング原田はPFPに数えられていない」という発想につながりかねません。オリジナル8の時代に、PFPトップテンなどあり得ません。

IMG_4485 (1)


『「黄金のバンタム」を破った男』(百田尚樹)の中で、エデル・ジョフレがPFP1位と表現されていますが、あれはフィクションです。前述のように、1960年代もPFPは全く一般的ではありませんでした。

ジョフレがPFP1位評価を受けたのはリング誌2012年2月号の1960年代PFPのこと。モハメド・アリらを抑えての1位でした。そして『「黄金のバンタム」を破った男』が出版されたのも、奇しくも2012年でした。

リング誌電子版のPFPは、2015年に山中慎介と内山高志がほぼ同時期にトップテン入り。それから10年足らずで井上尚弥、井岡一翔、中谷潤人と5人がランクイン。

この10年で日本のボクシング界が特別な才能を次々と生み出しているーーーなんてわけはなく、このトレンドが、インターネットの普及と無関係であるはずがありません。

ウシクの存在で存在の根底が揺らいでしまうのがPFPであり、現存するランキングで最も古いのはESPNで2007年頃、そしてリング誌電子版で2010年から。

それ以前に活躍したボクサーは、もしPFPがあればどう評価されていたのか?そんな妄想も絡めて、日本歴代PFPを考えてゆきます。

妄想に妄想を重ねて、まだまだ続きます。



このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

自らを「偉大」とか「世界の中心」と誇示するのは何も人間だけではありません。それを名乗りたがる国家もあります。

Great Britain(大英帝国)と中華人民共和国はその典型です。

彼らの目線では日本は「Far East(東の果て)」であり「島嶼(島の寄せ集め)」でしかありません。

さて、そのGreat Britain。近代の欧米諸国の価値観を形成したコアであり、ボクシング発祥の国です。

18世紀にこの国で生まれたPrize Fighter(職業ボクサー)が戦うPrize Fightは、最古のプロスポーツとして発展してきました。

王侯貴族がスポンサーになるビッグファイトには高額の賞金がかけられ、国土を持たないユダヤ人など迷える人種にとってPrize Fightは拳一つで貧困と差別を打ち砕くことができる夢の切符でした。

ロンドンのイーストエンド、ユダヤ人ゲットーで生まれたダニエル・メンドーサは18世紀を代表するPrize Fighterです。

そして、1867年には英国クイーンズベリー侯爵ジョン・ショルト・ダグラスが保証人になったクイーンズベリー・ルールが制定され「リングは正方形」「3分1ラウンド」「ラウンドインタバル1分」「グローブ着用」の、現代ボクシングにつながるレギュレーションが整備されます。

米国ではオリジナル8と呼ばれることの多い〝最初の8階級〟も英国で形成されたもので「8Classic(正統8階級)」と表現されています。

IMG_0427

近代ボクシングを描いたのは間違いなく大英帝国でしたが、この国に代わって世界のリーダーとなった米国は、この国の習慣を自らの王道として取り入れました。

さて、英国のオールタイムPFP。これは最も難しい国別PFPでしょう。

イングランド限定ではありません。スコットランドはもちろん、北アイルランドやウェールズもひっくるめてのUKで考えます。


⑩ナジーム・ハメド…ファン・マヌエル・マルケスらメキシコの強豪からあからさまに逃亡したのはマイナス、マルコ・アントニオ・バレラ戦に向かうチキンな言動と試合内容にも幻滅したファンにとっては反論も多いでしょうが、米国で軽量級の夢を見せた功績は大。


⑨ロイド・ハニーガン…BoxRecでは17位、それでも高評価に思えるかもしれませんが、あのときのドナルド・カリーに圧勝したのは鮮烈でした。


⑧タイソン・フューリー…賛否両論でしょうが、ウラジミル・クリチコを判定で封じ込めた勝利を評価。


⑦リッキー・ハットン…凡庸すぎるビチェスラフ・センチェンコと戦った引退試合は余計でしたが、あれがなければ「メイウェザーとパッキャオにしか負けなかった男」。


⑥カール・フランプトン…フェザー級でFighter Of The Yearを獲得した軽量級の星。


⑤カール・フロッチ…とにかく試合が面白かった。


④レン・ハービン…12歳でプロデビュー、34歳で引退。優れたボクサーが12歳でデビュー、これが何を意味するのか?

マニー・パッキャオが鬼神の複数階級制覇を見せていたとき、欧米メディアが「パッキャオより上」と持ち出したのがハービンでした。

フライ級からライトヘビー級までの7階級(パッキャオの17階級時代なら15階級)で世界トップ戦線でリングに上がったハービンが、4団体17階級時代の現代なら15階級制覇していた可能性は非常に高く、パッキャオの8階級制覇を軽く上回る、という理屈です。

まあ、その通りでしょう。現代では12歳のプロデビューは許されないなどの制限はありますが。

日本でもお馴染みの〝無冠の帝王〟ジョー・メデルも現代に生きていたら、間違いなく世界王者になって4〜5階級制覇くらいサラッとしていたでしょう。

ただ、パッキャオの凄みは「ビッグネーム狩り」をやってのけたこと。


③ジョー・カルザゲ…説明不要の最強イングリッシュマンですが、ここでは3位。


②ランドルフ・ターピン…全盛期のシュガー・レイ・ロビンソンから挙げた金星は大きいにも程があります。


①レノックス・ルイス…個人的にも大きなインパクトを受けたヘビー級。



常識的にはターピンが1位なのか?難しい。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

MEN WITHOUT WOMEN は、マチスモ(強靭な肉体と精神を持つ男が最も尊敬される世界)の世界です。その哲学を凝縮させたスタイルが、メキシカン・スタイルです。

打たれたら打ち返す。打撃戦は望むところ。

もし打ち合いに応じないのなら…たとえ彼らのスーパーアイドル、カネロ・アルバレスでも容赦のないブーイングが浴びせららてしまいます。

カネロとゲンナジー・ゴロフキンとの初戦は全くおかしな判定でしたが、メキシコのファンが怒り狂ったのは、そこではありません。

打撃戦を挑んできたGGGから引いて戦ったからです。そのくせ不可解極まるドロー判定に対して「勝ってたのは私」と不満を示したのですから、メキシコのファンからすると「打撃戦から逃げた時点でお前の負けなんじゃ!ボケ!」となるわけです。

フリオ・セサール・チャベスが神の如く尊敬されているのは、誰が相手でも常にメキシカン・スタイルを貫き通したからです。

また、マルコ・アントニオ・バレラとエリック・モラレスが、軽量級にもかかわらず絶大な人気を誇った理由も〝そこ〟です。

パッキャオと分の良い勝負を演じたファン・マヌエル・マルケスが、バレラとモラレスに人気の面で遅れをとったのも〝そこ〟が足りなかったから。

彼らが見たいのはボクシングではなく、ファイト、問答無用の殴り合いなのです。

0501_canelo_mex_greats_final2
ファイターがズラリと並ぶメキシコの7人のサムライ(古いデータですまぬ)。

メキシカン・スタイルを突きつけられる宿命を背負った彼らの系譜で、ディフェンスも巧みにブレンドしているカネロはスペシャルなメキシカン・スタイルを完成させたと言えるでしょう。

さて、メキシコの歴代最強PFPです。

上記の7人は当確でしょうかね。

扱いに困るのがオスカー・デラホーヤのような米国代表でバルセロナ五輪に出場しながらも、メキシコをアピールし続けたファイターです。

幸い、現時点でオールタイムPFPの俎上に上がるのはデラホーヤくらい。

アマ、プロ、プロモーターと三つの舞台で頂点に立ったゴールデンボーイは10位に。


⑩オスカー・デラホーヤ

⑨カネロ・アルバレス

⑧カルロス・サラテ

⑦ルーベン・オリバレス

⑥ビセンテ・サルディバル

⑤マルコ・アントニオ・バレラ

④エリック・モラレス

③ファン・マヌエル・マルケス

②サルバドル・サンチェス

①フリオ・セサール・チャベス


リカルド・ロペスを入れたかったのですが、メキシカン・スタイルの話の流れでは圏外か。

しかし、このランキング、10年後にもやると〝米国生まれ・米国育ちのメキシカン〟だらけになりそうです。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

野茂英雄によってメジャーリーグが身近になったとき、日本の野球ファンはいくつもの驚きを楽しむことができました。

とメジャーを頂点にルーキーリーグから1A、2A、3Aと重層のピラミッドが構成されているのは知っていても、それが具体的にはどういうことなのかは、よくわかっていませんでした。

日本人にとって最も馴染み深い人気のあるメジャーリーガー、マイク・ピアッツァがドラフト62巡目、1389番目の指名だったことを知り、私たちはピアッツァの恐るべき下剋上と、才能を取りこぼさない仕組みに感嘆しました。

毎年、1500人前後の新人選手がプロの門をくぐり(現在はその半数程度)、同じ数の選手がクビになる、スケールの大きな選抜と淘汰、超競争社会を垣間見たのでした。

日本や東アジアの少数精鋭の才能を育てるエリート主義とは正反対の、谷底から這い上がる細い獣道はあっても、常にまた突き落とされる可能性が渦巻く苛烈な競争システム。

どちらがタフなリーグを成形し、強靭なアスリートを育むのかは明らかです。

a3a338622c2b4043a2ecdb6e8ed29666_front

日本、米国、英国、メキシコフィリピン…ボクシング五大国のオールタイムPFPを独断と偏見で作ってみました。

この五大国はいずれも米国との結びつき、影響が強烈な国々です。

もちろん、米国は「結びつき」や「影響」という表現が適切ではない、本家本元〝張本人〟。

最初は、この米国からです。


⑩フロイド・メイウェザーJr.

⑨イベンダー・ホリフィールド

⑧ロッキー・マルシアノ

⑦マービン・ハグラー

⑥ヘンリー・アームストロング

⑤シュガー・レイ・レナード

④シュガー・レイ・ロビンソン

③ジャック・デンプシー

②ジョー・ルイス

①モハメド・アリ


いやぁ、さすがにアメリカは明日やり直したら相当入れ替わりそうです。

社会的インパクトまで考慮すると、ボクシングが低迷のトンネルに入り込んだ80年代以降の選手は圏外。

一般的にはほとんど無名のメイウェザーなどは100位にも入らないかもしれませんが、それでランキングしてしまうとヘビー級祭りなメンツになってしまうので、その時代の専門家評価、傑出度を重視した実力優先の序列です。

世界ヘビー級チャンピオンが、世界一有名で価値のあるアスリートだった70年代までの絢爛と、80年代から地下トンネルをどんどん深く潜ってしまった現代までの〝暴落の40年〟。

すでに「米国のNo.1スターは世界のNo.1」という方程式は完全に崩壊してしまいました。

現役選手のリングがどんどん色褪せていく中で、メイウェザーやマイク・タイソンらが醜いエキシビションを繰り返すのは自然の摂理なのかもしれません。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

観戦スポーツがいくらでも存在する現代では想像しにくいことですが、1950年代までの米国はボクシングと競馬、野球が人気スポーツでした。

麗しきロッキー・マルシアノの時代です。

日本でも1970年代まではボクシングと競馬、野球が人気で、大相撲もここに加わりました。「巨人、大鵬、卵焼き」の時代でした。

今なお、世界評価(日本では完全に忘却されていますが)とテレビ視聴率で別次元の異彩を放っているファイティング原田の時代です。

1960年代まで「6回戦になれば普通に食っていける」という時代だったと聞くと、誰もが驚くでしょう。

現在のファイトマネー相場は4回戦が6万円、6回戦以上で10万円ですから、毎月リングに上がってもボクシングだけでは食っていけません。

この金額…原田の頃からほぼ横這いなのです。

IMG_0094

労働者階級、男性の娯楽であったスポーツは国が豊かになり、社会の多様化が進中で女性や子供たちも楽しむようになりました。

本物の流血に、凄惨なシーンが当たり前のボクシングは〝男だけの世界〟に置き去りにされてしまいます。

さらに、1980年代までは「世界」を日常的に謳える唯一のスポーツだったボクシングの砦が、野茂英雄や中田英寿らの登場によって崩されてしまいます。

そんな時代の流れだけでなく、団体の分裂に階級の増殖で世界王者の権威は地に落ち、ボクシングは内部からも瓦解してしまうのです。

認定団体のランキングほどデタラメなものは、他のスポーツではまずお目にかかれません。無茶苦茶にも程があります。

それなのに「指名挑戦者は強敵」「世界ランカーは強い」といまだに盲信しているファンが、特に日本に多いのは驚きです。

そんなファンに限って「亀田」や「天心」のランキングを糾弾しますが、彼らはまだ可愛いもの、十分すぎる許容範囲です。



誤解を恐れずに書くなら、国は貧しいままで社会の多様化も遅れ、世界タイトルのバーゲンセールを理解できない民度のメキシコ(この国の場合はマティスモの文化の影響も大きいのですが)やフィリピンではボクシングは今なお一定のステイタスを保っています。

20世紀初頭に米国にボクシングの覇権(つまりヘビー級タイトル)を奪われた英国でしたが、21世紀になると米国の凋落もあって〝政権奪還〟を果たします。

そして、その米国はボクシングのマイナー化が底なし沼的に進み、日本でも「世界王者はプロ野球のタイトルホルダーよりも上」なんて時代は夢の彼方に飛び去り、無名の世界王者が当たり前になってしまいました。


さて、日本、米国、英国、メキシコ、フィリピン。三者三様のボクシング市場を抱える〝五大国〟の競技人口(BoxRec)を眺めてみましょう。

IMG_2292

黄色のハッチングがそれぞれの国で最も競技人口が多い階級です。…すまぬ、メキシコはライト級が最多。

青は一人も選手が存在しない階級。

日本で選手のいない階級はクルーザー級だけですが、スーパーミドル級以上の4階級は10人以下で、どんなに無理をしてもランキングが組めない状況です。

米国と英国は日本と反対に、軽量級は砂漠状態。

人気階級では当たり前に存在する米国の州チャンピオンが軽量級ではまず聞かれないのは、当然です。

1980年代まで日本と同じ軽量級の比重が高かったメキシコ(系)ですが、フリオ・セサール・チャベス、オスカー・デラホーヤ、カネロ・アルバレス、アンディ・ルイスと大型化が顕著です。

それにしてもメキシコ、いいバランスです。

栄養状況の劇的な改善から平均的な体格は大きく成長している日本人ですが、ボクシングでは小型化の症状にもがき続けている原因は、この産業界に蔓延する欺瞞体質です。

日本最重量級の世界王者は、ジュニアフェザー級の井上尚弥…ボクシングだけが貧弱化しているのはファンとしては悲しい現実です。



さて。まだまだまだ、続きます。


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ