カテゴリ: 世界のミドル級,世界に挑む日本人

リング誌やESPNでは「スーパー王者が村祭する場合は認めない」と公言しているWBAレギュラー王者・村田諒太が防衛戦のリングに上がります。

セカンド王者とはいえ、リング誌6位/ESPN7位にランキングされている村田がミドル級のトップ戦線を争う一人であることは間違いありません。

村田はミドル級で五輪の金メダル、プロでもすでに5試合もミドル級で世界戦を戦っています。日本人としては規格外です。

米国では長らく「ヘビー級が動くが如くボクシングも動く」といわれた時代が、アリの引退で幕を下ろしました。

80年代から現在まで、ウェルター級を中核とした中量級の黄金時代が続いています。

この「ウェルター級時代」のボクシング界で、ミドル級はスター選手の壁として大きな存在感を示してきました。

カルロス・モンソンにマービン・ハグラー、バーナード・ホプキンス、ゲンナディ・ゴロフキン。複数階級制覇にスポットが当てられるインチキ時代でも「己の城を守る矜持」を誇示して見せた偉大なミドル級チャンピオンたちは、ウェルター級のスターの天敵でした。

栄光とカネの亡者、マニー・パッキャオとフロイド・メイウェザーがこのプライド高きクラスに色気すら示さなかったのは「ミドルは重すぎる」(メイウェザー)ではなく、瑣末なアルファベット王者を倒しても「どうしてセルヒオ・マルチネスを避けた?」「ゴロフキンに勝たないでミドル級王者を名乗るな」という非難が避けられなかったからです。

メイウェザーが「ミドルは重すぎる」と言い訳したのは「シュトルムではなく、セルヒオが対戦要求してるが?」ということについての質問に答えてのことです。正確に言えば「ミドル(最強のセルヒオ)は重すぎる」ということでした。

昨日、藤本京太郎がロンドンで玉砕しました。あの内容を「玉砕」と表現するのは間違っている、という意見もあるかもしれません。

あれは「何も出来ずに狩られただけ」じゃないかと。

しかし、儚いかもしれないけれどどデカイ夢を背負って散った藤本は玉砕です。何も背負わないで惨敗したのではありません。

日本人にとってミドル級も不可触領域でした。

29年前の1995年12月19日、竹原慎二がホルヘ・カストロからWBA王座をもぎ取りました。あのとき「今日が日本の中量級時代の夜明けになる」と感じた人はいませんでした。

竹原はあの日、あのとき、あのカストロだから勝てました。

確かな糸口を手繰り寄せたのではなく、宝くじに当たったような感覚でした。そしてそれが事実でした。

カストロと同胞のアルゼンチン人、マルチネスが王者になったとき、世界のメディアが「カルロス・モンソン以来」と報道したのも悔しかったです。

確かに「高貴なミドル級はUndisputed(完全統一)やLineal(正統)王者でなければバッタもん」という認識は素晴らしいとは思いますが…。

世界的に注目度の低い井上のケースでも「WBAレギュラーは認めない」と注釈されてましたが、カネロやGGGの対戦候補の話題のたびに、村田が「WBAセカンド」と冠されることの頻度は比較になりません。それも悔しい話です。

ヘビー級は日本のボクシングファンにとって夢です。ボクヲタにとってミドル級もまた夢でした。

井上のように限界スレスレまで減量するのが常識の日本で、「減量して72kg」なんて想像できない世界でした。

一つ下のジュニアミドルでは何人も世界王者を輩出してきたことも、逆にミドルが高嶺の花に見えました。

村田が竹原とは違い世界トップ10のボクサーであることは誰もが認めるでしょう。

しかし、村田がカネロに勝てるか?GGGに勝てるか?となると否定的な意見が大勢を占めるかもしれません。

…十分、チャンスがあると思います。

カネロは村田レベルの危険なパンチャーを徹底的に回避してきました。

唯一の例外に思えるコバレフは、劣化と増量制限でしっかり牙を抜かれていました。カネロがミドルに舞い戻るかどうかは不明ですが、もし実現したらキャッチウェイトか、ミドルなら大きくリバウンドしてくるでしょう。

ただ、これまでカネロ仕様にしてきたリングのサイズやキャンバスの硬さ、ロープの緩みをどうカスタマイズするかは迷うでしょう。

カネロよりもリアリティのあるGGGとは、意外とかみ合わない気もします。今のGGGは村田をいなす展開を選択するかもしれません。

もしかしたら、スポーツ界でもトップセレブのカネロと戦うチャンスはないかもしれません。GGGと戦うときは来るかもしれませんが、そのときは二人とも今以上に傷を負った状態かもしれません。

それでも、そうではない可能性はあります。夢は続きます。



◉◉◉日本時間12月23日 横浜アリーナ◉◉◉
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ESPNが12月23日(火)に横浜アリーナで開催されるトリプル世界戦を特集。

日本的には「村田の夢」が潰えないか心配なイベントですが、世界のマニアにとっては「ロマゴンにまだ何か残っているのか?」が注目なようです。

*****

ESPN+が午前3時55分から横浜アリーナで行われる注目の4カードを全米生中継します。

★★★WBAミドル級のセカンド王者、村田諒太はカナダのスティーブン・バトラーを迎え撃ち。

ESPNのミドル級ランキングで7位につける村田は日本で最も人気のあるファイター。2012年ロンドン五輪の金メダリストの試合は、1億人を超える人口を抱える国で10%以上の視聴率をコンスタントに稼ぐとんでもないコンテンツ。

典型的なプレッシャーファイターの村田は、左右共に破壊力抜群のパンチ力を持っている。

24歳のカナダ人は直近10連勝中(9KO)。デメトリアス・アンドラーデへの指名挑戦権をパスして33歳の日本人を選んだのは、報酬の高さと、より勝機が高いと言う判断から。

唯一の敗北は、同じカナダ人のブランドン・クックとの当時無敗対決。7ラウンドでストップされた〝バンバン〟バトラーは攻められると一気に崩れる脆さがあるが、右の強打は村田も要警戒。


★★★IBFフライ級王者モルティ・ムザラネはロードウォリアー、今回も八重樫東のホームに乗り込む。

二人のベテラン対決が熟したワインのような味わい深い試合にはならないだろう。

2008年にノニト・ドネアに不運なストップ負けを喫して以来、37歳のベイビーフェイスはトップ戦線で15連勝中。

36歳の八重樫は3階級制覇の激闘王。この15試合は12勝3敗で3つの敗北はいずれもKO負け。

オッズはムザラネ2/7(1.29倍)、八重樫(4.33倍)。


★★★WBCジュニアフライ級王者の寺地拳四郎は、ランディ・ペタルコリンを迎えて7度目の防衛戦。

IBF王者フェリックス・アルバラードの病気のため、代打出場のペタルコリンのチャンスは少ない。

寺地は井上尚弥や田中恒成のようなスポットライトを浴びていないが、オーソドックスから放たれる左フックは必殺の一撃。

同い年(27歳)の対決は明白な結果で終わるはずだ。


★★★そして、ローマン・ゴンザレスがリングに帰って来る。

現在の軽量級シーンは「殿堂ほぼ確実」のドネア、PFPファイターの井上尚弥にファン・フランシスコ・エストラーダ、ドニー・ニエテス、 シーサケット・ソールンビサイらが活躍しているが、実績においては32歳のニカラグア人が群を抜いている。

今、引退したら3年後の一発殿堂は間違いない。ドネアは〝同期〟が誰かに左右される。井上らはこれからレガシーを積み重ねなければならない。

チョコラティトの季節はもしかしたら終わっているのかもしれないが、5年ぶりに上がる日本のリングでは熱烈な歓迎を受けるはずだ。

対戦相手はディオメル・ディオコス。比嘉大吾らに倒されている26歳のサウスポー。直近1勝3敗、通算14勝4KO5敗1分の戦績からも危険な香りは漂ってこない。

オッズは一発殿堂確実のニカラグア人が1/41(1.02倍)。ディオコス11/1(12倍)。
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ミドル級の歴代最強は誰なのか?

その続きの前にかつて「呪われたミドル」と呼ばれた逸話をご紹介していきます。

ボクシング全盛期にヘビー級に次ぐ人気を誇り、華やかな現役生活を享受したスター選手が悲劇的な最期を迎えてしまうのはある意味当然の筋書きなのかもしれませんが、それにしてもその音色はどこまでも悲しい旋律です…。



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1910年10月15日、ミズーリ州コンウェイの牧場で2発の銃声が響いた。

この瞬間、ミドル級に忌々しい呪いがかけられてしまったのだ。牧場でトレーニングに励んでいたスタンレイ・ケッチェルが胸を撃ち抜かれて殺されてしまった。

稀代の名王者を射殺したのは農夫ウォルター・ディプレー。恋人のゴルディ・スミスがケッチェルに寝取られたと38口径リボルバーの引き金を引いた。

ケッチェルはまだ24歳。

現役の世界ミドル級王者The Michigan Assassin(ミシガンの暗殺者)はジャック・ジョンソンとの再戦に燃えていたが、雪辱を果たす機会も永遠に失われてしまった。

後年「ディプレーとスミスは美人局の強盗だった」という説もまことしやかに流されたが、もはや事実は確かめようもない。確かな事実は無限の未来があったはずのミドル級の才能が殺されてしまったということだけだ。


1917年5月24日。リング誌初代編集長になる前のナット・フライシャーがミドル級史上屈指の天才と評したレス・ダーシーが肺炎のために亡くなった。

「ケッチェル以上の才能」と言われたミドル級史上最高の才能が開花する様を、ボクシングファンが見ることは永遠に訪れることはない。

世界王者アル・マッコイとのタイトルマッチが内定していた矢先の悲劇だった。


1926年10月22日。ハリー・グレブは現役時代から眼の手術を受けた。

手術前の医師の「失明寸前で数年前からほとんど見えていないはず」という診断は衝撃的だった。なにしろグレブはまだ現役だったからだ。

ほとんど見えない眼で戦ってたのか!!

しかし、手術は失敗したどころかグレブの命までを奪ってしまう。

宿敵でのちにヘビー級王者となるジーン・タニーは「お前と戦えたことを誇りに思う。ほとんど見えない眼で戦っていたなんて!お前がどれほど強かったか、俺が世界に知らしめてやるからな!」と号泣しながら棺を担いだと伝えられています。


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「呪われたミドル級」も同時並行で続けていきます。

さて、ミドル級ワールドカップのプール発表も残すはあと4つ…。


プールG
シード:ジェイク・ラモッタ
[伝説部門]
トニー・ゼール
[近代部門]カーメン・バシリオ
[現代部門]ジェラルド・マクラレン
[現代部門]バーナード・ホプキンス

 シードに陣取るのは「本家レイジング・ブル」ラモッタ。スタンドには親交の深かったマフィア連中に混じってロバート・デニーロとアル・パチーノの姿も。

シュガー・レイ・ロビンソンに初黒星をつけたラモッタは最もマフィアとの結びつきが強いとみられ、決勝でロビンソンと7度目の対戦となるオッズは1.00倍。結果もラモッタの1.00倍だが…。

伝説部門からは「鋼鉄の男」ゼール。殿堂創設のきっかけとなったバシリオは勇気と不屈のファイター。

現代部門からは脅威のパンチ力でクロンクを体現したマクラレンと、50歳迄世界の第一戦で戦う素地を、ミドル級で磨いたホプキンス。



プールH
[伝説部門]ハリー・グレブ
[伝説部門]セフェリノ・ガルシア
[近代部門]ランディ・ターピン
[現代部門]ジェームス・トニー

 のちの世界ヘビー級王者ジーン・タニーからも勝利を収めている「ピッツバーグの人間風車」グレブはプロで300試合以上を戦った、これぞ伝説の王者。

ガルシアはヘンリー・アームストロングの4階級制覇を阻止したフィリピンの防波堤。 ターピンは史上最大の番狂わせでロビンソンからタイトルを奪ったが、引退後37歳でピストル自殺してしまった悲劇の英雄。

このミドル級の深海のようなプールHで戦える現代ボクサーはトニーしかいない。 
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ミドル級オールタイム・ワールドカップ2019。

恐るべきエントリー選手を各プール四人ずつに振り分ける。

大前提として各選手は「全盛期」であること。ロープは4本、グローブは10ozで現代ルールを採用するが、ジャッジの基準はシュガー・レイ・ロビンソンが戦った50年代に倣う。試合間隔もロビンソンに右向け右で、1ヶ月とする。

各選手のプロモーターやセコンドも現代に甦る。

つまり、伝説の偉人をプロモートするのがマフィアというケースもあり、アル・カポネが「ボブ・アラムは決勝戦を見ることが出来ない」と暗殺を示唆するなど不穏な空気に。

会場は自衛隊が厳重警備に当たっているが、マフィアが続々入国。安倍晋三首相は「トーナメント中止」を弱気に主張するもテックス・リカードから「中止にしたらあなたの命が危ない」と忠告を受けて大会は自民党主催に。

IMG_3109↑

「ジョニー・ウォーカー ブレンダーズバッチ」のウィスキーボトルが全く無意味に置かれていると思ったあなたの眼は、フシ穴です。

この安価なジョニー・ウォーカーの名前は「(Aged 10years) TRIPLE GRAIN (AMERICAN OAK)」。そうです、このウィスキーもまた Triple G なのです。

そんな酔っ払いの駄洒落はどうでもいいので、一次トーナメントの組み合わせ発表です。


プールA
シード:シュガー・レイ・ロビンソン
[伝説部門]ゴリラ・ジョーンズ
[近代部門]トーマス・ハーンズ
[現代部門]セルヒオ・マルチネス
[開催国枠]村田諒太

◉ゴリラvsハーンズ、セルヒオvs村田の勝者が激突。グループ1位候補はハーンズだが、グラスジョーが叩かれた場合は番狂わせも。

名前の面白さだけで選出されたゴリラ・ジョーンズは穴に思えるかもしれないが、1930年代に活躍したピュギリストのタフネスは驚異的。

プールAの勝者はシード選手ロビンソンとの対決という夢のリングが用意されている。


プールB
[伝説部門]ボブ・フィッツモンズ
[近代部門]カルロス・モンソン
[近代部門]マービン・ハグラー
[現代部門]ロイ・ジョーンズJr.

◉プールBはまさに「死のグループ」。このミドル級W杯の大前提は「プライムタイムである」ということ。誰が勝ち抜けてもおかしくはない。

下馬評ではアンダードッグのロイだが、プライムタイムの身体能力は抜きん出ている。


プールC
 [伝説部門]スタンレー・ケッチェル
 [伝説部門]ロッキー・グラジアノ
 [近代部門]シュガー・レイ・レナード
 [現代部門]カネロ・アルバレス

◉ プールCは「アイドルの園」。プールAに次ぐ人気グループだがカネロとレナードがキャッチウェイトを巡って対立、レナードはミドル級だけではなく「報酬は10億ドルでクルーザーとヘビーのタイトルも同時に懸けなければ棄権する」と暴言を吐く。

プレスツアーinシカゴでカポネがレナードに耳打ち。「偉大な君には二つの選択肢がある。リングに入場するか、人生を退場するか、だ。私は君の人生を終わらせたくない」。

青くなったレナードは「報酬はゼロでいい。クルーザーもヘビーも要らない」と参戦にサイン。この時点でウィリアムヒルなどブッカーはカポネの息がかかった「ローリング20」 時代のボクサーにあらゆる忖度がなされると見て、オッズが大きく動く。


プールD

シード:ゲンナディ・ゴロフキン
[伝説部門]天下無双・ジャック・デンプシー
[近代部門]ディック・タイガー
[近代部門]ロベルト・デュラン
[推薦国枠]竹原慎二

◉GGGとデュランが入ったグループなのにやけに地味に見えてしまうのは、これはどうしようもない、仕方がない。

竹原にもチャンスがあるようにも思えるが、プールAの村田以上に厳しい相手が揃った。

ヘビー級のジャック・デンプシーが憧れて、自らもその名にあやかったノンパレル(天下無双)が、果たしてどれほど強いのか。ノンパレルvsタイガー戦は早々にソールドアウト。

そして全盛期にビッグネームから敬遠されたGGGだが、ついに破格のビッグネームと拳を交える日がやって来た!(大番狂わせで竹原が勝ち上がってこない限り…)



あーー、プールHまで予定してますが、睡魔が…今夜はここまで。またお付き合いください。


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160ポンド、ミドル級。

「最も層が厚いクラス」と誤解されることが多いのも仕方がない、常時活況の人気階級です。

現実には最も層が厚いクラスはウェルター級ですが、この華やかなウェルターで選ばれしスターもミドル級に憧れて挑み名勝負を数々の繰り広げて来ました。

そして、21世紀の最高評価を分け合うマニー・パッキャオとフロイド・メイウェザーですら、ミドルの牙城には色気を示すことすら出来なかった事実からも、その城壁の堅牢は推して知るべしです。

団体分裂時代を迎えてからも、カルロス・モンソン、マービン・ハグラー、パーナード・ホプキンスと長期政権を敷くThe Undisputed Champion を生み出し、常に統一への磁力を持ち続けてきた唯一無二の高貴な階級。

このクラスの歴代最強は誰になるのか?現時点の歴代ベスト10にゲンナディ・ゴロフキンやカネロ・アルバレス が割り込む余地があるのか?

どうせ歴代最強はもう決まり切ってるやん…なんて言わないで、お付き合いください。
s-l1600

取り敢えず、ノミネート選手をつらつらと書き連ねて見ます。

ミドル級オールタイム最強決定戦

◎ゲンナディ・ゴロフキン★♬
◎カネロ・アルバレス ★
◎セルヒオ・マルチネス
◎パーナード・ホプキンス
◎ジェームス・トニー
◎ロイ・ジョーンズJr.
◎ロベルト・デュラン
◎シュガー・レイ・レナード
◎トーマス・ハーンズ
◎マービン・ハグラー
◎カルロス・モンソン
◎ディック・タイガー
◎シュガー・レイ・ロビンソン♬
◎ジェイク・ラモッタ♬
◎ロッキー・グラジアノ
◎トニー・ゼール
◎セフェリノ・ガルシア
◎ゴリラ・ジョーンズ
◎ハリー・グレブ
◎スタンリー・ケッチェル
◎ボブ・フィッツモンズ♬
◎ノンパレル(天下無双)・ジャック・デンプシー

うーーーん、、、それにしてもミドル級、ハンパないです。

まだ、いますよね、私が忘れてるグレートや伝説が。すごいです、ミドル級。GGGやカネロ、マルチネスが可哀想に思えてきます。
 

◎村田諒太(開催国枠)★
◎竹原慎二 (開催国枠)

★は現役選手。♬はシード選手

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Murata avenges loss, regains secondary title.(ESPN)

Murata Batters Brant In Two, Reclaims Secondary 160-Pound Title.(BOXING Scene)


ミドル級はフライ級やバンタム級など軽量級とは一線を画する(世界的な注目度や報酬を考えると種目が違うと言っても差し支えないかもしれません)世界的に人気階級です。

勘違いしている人が多いのですが、軽量級メインでラスベガスやニューヨークでメガファイト(両者の報酬合計が1000万ドルを超える)が開催されたことは歴史上、ただの一度もありません。ただの一度も、です。

リカルド・ロペスはタイソンの前座の常連でしたが、大興行はもちろん米国でメインを張ることすら一度もありませんでした。

井上尚弥がWBSS決勝で戦うノニト・ドネアはトップランクとGBPの綱引きから100万ドル越えの報酬を得たこともありましたが、実質的な人気は10万ドルファイターです。

井上のライバルだったエマヌエル・ロドリゲスは、キャリアで一度も1試合10万ドルを稼いだこともありません。「井上に勝って横浜再戦なら10万ドル」という夢は、スコットランドで粉砕されました。

ゾラニ・テテの報酬は、もはや語らなくてもいいでしょう。今でも神戸に来ますし、東京なら喜んでくるでしょう。

彼らよりもはるかに格上で、軽量級としては人気もあるファン・フランシスコ・エストラーダでもキャリアハイはシーサケット・ソールンビサイとの再戦の20万ドル。それまでは10万ドルがやっとの「マネジメント関係の経費と税金を引かれたら5万ドルしか残らない」という惨状でした。

しかし、ウェルターやミドルはカネロやメイウェザーは別格にしても、ノンタイトルでも100万ドルが稼げるクラスです。

そのミドル級のまともなランキングで4位(リング誌)、7位(ESPN)にランキングされるロブ・ブラントは「村田に番狂わせで勝ったから」という理由があるにせよ、激戦区の強豪であることは間違いありません(チェリーや雑魚というのは主要メディアで10傑に数えられないボクサーのことです)。

村田もリング誌とESPNともに9位。「王者としては穴王者」だが、挑戦者としては「雑魚じゃない」という評価です。

ただし、村田諒太のリベンジを世界が伝えた海外メディアは一様に「セカンド・タイトル」という言葉を使っています。

ご存知のようにボクシングの世界タイトルは「アルファベット団体」と揶揄される腐敗し切った承認団体によって乱立しています。

「どの団体が正当なのかは誰にもわからないが、全ての団体が間違っていることは誰でもわかる」(リング誌)状況ですが、絶対に譲ってはいけないことがあります。

「世界王者は1人だけ」。

アルファベットをいたずらに組み合わせた承認団体が増えるのは、止めようがありません。しかし、同じ団体が「スーパーだとかレギュラーだとか」「ダイアモンドだとかフランチャイズだとか」…「世界王者は一人だけ」という真理に反する〝承認稼ぎ目的〟の上位タイトルの粗製乱造は許されません。

WBAならスーパー王者が存在するなら、レギュラー王者は無効です。欧米の多くのメディアはその立場を取っているので、村田はまだ世界王者ではありません。

井上尚弥もWBAとIBFの統一王者ではなくIBFだけの王者です(つまりスーパーのドネアがいるWBAは認められていません)。
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リング誌のバンタム級ランキング。井上はリング誌/IBF王者。WBA王者はドネアです。

村田は世界的に認められているタイトルをまだ獲っていないのです。

獲らにゃなりません。とりあえずはセカンドタイトルを、まともなタイトルにしましょう。それを腰に巻いてるメキシコのお坊っちゃまを叩きのめしましょう。

温室育ちどうし(あっちはアマ実績ゼロのど素人なのに何故か温室育ちですが) で、噛み会うはずです。

場所はまともにいったら、ラスベガスのT-Mobileアリーナですが、東京ドームに引っ張り込みたいですね…。 
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ロンドン五輪金メダルから、日本ボクシング史上類を見ない巨大なサポートを受けてプロ入りした村田諒太のプロ戦績は16戦14勝11KO2敗。

ここまでの16戦で海外メディアや、オッズで「不利」と見られたことは一度もありませんでした。

そして、ゲンナディ・ゴロフキンのトレーナー、アベル・サンチェスが「次は村田諒太と東京の巨大スタジアムで戦う可能性が高い」と、日本のボクシングファンがメロメロになるような言葉を耳にしながら迎えたロブ・ブラントとの第一戦(2018年10月20日)。

9ヶ月前にウィリアムヒルが叩いた賭け率は村田の勝利が1.25倍、ブラント4倍。多くのメディアも「村田のパワーの前に非力なブラントは終盤まで持たない」と見ていました。

しかし、試合結果は119−109*2、118−110の準完封負け。

手数が少ない、攻防分離。戦略にBプランがない…村田の欠点が全て吐き出されたような試合でした。

「タッチボクサーのブラントは村田にとって最悪の相性」というのは真実かもしれません。

実際、明日に迫った再戦のオッズは1−2〜1−3で村田不利で推移。現時点で村田勝利が3倍、ブラント2/7(1.29倍)とその流れに変わりはありません。ブラント有利で試合開始ゴングが鳴らされるのは決定的です。

「ミドル級で(日本人の)村田が生き残ることはマーケットにとっては好ましいことだが、我々が目撃するのは13ラウンド目からの12ラウンド(前戦と同じ展開になる)だろう」(英国ボクシングニューズ誌)。

「村田不利」は、前戦の内容を振り返れば当然でしょう。

そして、この試合を落としても村田がカネロ・アルバレスやGGGの〝咬ませ犬〟的な対戦相手として、最後のチャンスを与えられる可能性もあるでしょう。
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ただ「世界的な人気階級に日本人が覇権を打ち立てる」という夢を村田に賭けていたファンにとっては、この試合がラストチャンスです。

井上尚弥のネクストは現れるでしょう。軽量級で世界を震え上がらせる日本人は、過去も現在も、そして未来も現れ続けるでしょう。

世界へ斬り込むという見地からは、欧米が注目するビッグネームなど元から存在しえないクラスの井上よりも、内山高志の方が集める視線の温度は上でした。

もちろん、人気階級のミドルやウェルターでも日本人が世界のピースを掴むことは十分にありえます。

しかし、五輪で金メダル、しかもミドル級のボクサーがプロのリングでも覇権を築く…そんなスペクタクルに胸躍らせることは、おそらくもうないかもしれません。
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7月12日(金)、エディオンアリーナ大阪。

Revenge or Repeat. 雪辱か返り討ちか。審判の日が迫ってきました。

ボクシングの面白さは様々な角度から文化人類学的な検証と考察がなされてきたことです。

野球やサッカー、テニスなどのメジャー面した球遊びが数字に偏る単純な算数的アプローチで終わっているのに対して、ボクシングでは数字に対する尊敬は微塵もありません。パンチスタッツですらその登場時ですら「試合の実態を反映しない」なんて斬って捨てられてしまうのです。

ボクシング。なんという深遠なスポーツなのでしょうか。

「再戦」を巡る物語でも、その帰趨は数字ではなく文化人類学的な角度から検証されてきました。

モハメド・アリvsソニー・リストン、アリvsレオン・スピンクス、シュガー・レイ・レナードvsロベルト・デュラン、フリオ・セサール・チャベスvsメルドリック・テイラー、イベンダー・ホリフィールドvsマイク・タイソン…。

初戦から短い期間で行われる再戦の多くは、初戦で大番狂わせが起きています。

そこで描かれるドラマの底流には「初戦が実力だったのか?それともフロックだったのか?」というメインテーマが激しく渦巻いているのです。

WBAミドル級、セカンド王者ロブ・ブラントとの再戦に村田諒太が挑みます。

ラスベガスやニューヨークのメガファイトへの切符をつかめる可能性のある唯一の日本人、村田諒太の明日はどっちだ!?



その前に、まずは初戦をおさらいしなくてはなりません。

昨年10月20日の初戦は米国で行われましたが、実質的に村田のホーム。「村田の村田による村田のための」〝メガファイトへの前哨戦〟でした。

ブラントが村田以上に米国で無名で、何の期待もかけられていなかった上に舞台は村田がスポンサー契約を締結したMGMリゾーツが経営するラスベガスのパークMGMのシアター。

「ブラントは日本のスーパースターに差し出された生贄の羊」(ESPN)のはずでした。

2017年10月、凋落する米国ボクシングの中でさえ、その存在を無視されてきたブラントは注目を求めてWBSSスーパーミドル級トーナメントに参戦。しかし、結果は当時39歳のロートル、ユルゲン・ブレーマー相手に完敗。

米国ではテレビ局がつかずマニアでも関心の低かったWBSSでしたが、一回戦敗退で帰国したブラントを待っていたのは「ドイツまで恥をさらしに行った」という嘲笑でした。

絢爛豪華な米国ミドル級の歴史の中で、ヨーロッパのマイナートーナメントに色気を示してあっけなく敗退したブラントは確かに恥さらしと揶揄されても仕方がなかったのかもしれません。

ブラント本人も「一度も期待されたことがないメディアに『幻滅した』と書かれたのはやりきれなかった」「しばらく大きなチャンスは与えられないと覚悟した」とプロ初黒星を喫した当時の心境を語っています。

そこに舞い込んできたのが、ミドル級でも屈指のマネーパワーを誇る村田への挑戦でした。

経験不足と過信からブレーマーに翻弄されたブラントでしたが、現在リング誌で3位、ESPNで7位まで駆け上がったランキングを見るまでもなく、その実力は過小評価されていました。

「村田のことはロンドンで金メダルを獲ったことくらいしか知らなかったが、MGMリゾーツとスポンサー契約したニュースは記者から聞いた。『すごいな』と感心する私にその記者は『村田はMGMリゾーツよりも大きな規模の日本企業といくつも契約している』と教えられて最初は信じられなかった」。

「でも提示されたファイトマネーがWBSSとは比べものにならなかったから、村田が何者かがよくわかった。そして自分が踏み台扱いのアンダードッグであることも」。

「村田のビデオは何度見直したかわからない。実際には12ラウンドしか戦っていないけど、どれだけ仮想対決したかわからないほど。相手の研究も練習も過去最高に打ち込んだ」。

「記者会見で私にマイクが回ってくることはほとんどなく、村田がゲンナディ・ゴロフキンやカネロ・アルバレスについて質問されているのを静かに聞いていた。もっと腹が立つと思っていたから、落ち着いている自分が不思議なくらいだった」。

ウィリアムヒルのオッズは村田勝利1.25倍、ブラント4倍。

村田の「圧勝でメガファイトへ」という重圧と油断。ブラントの千載一遇のチャンスに賭ける青い炎のような冷たい情熱。2人の心理状態まで考慮するとこの数字はあまりにも楽観的に過ぎました。


さて、再戦の物語、直近の「リピート」と「リベンジ」の各5試合計10試合を振り返りながら、村田のリベンジを声の限り応援させていただきます!
IMG_38742017年5月20日に有明コロシアムで世界初挑戦のリングに上がる村田諒太の告知広告が東京にのあちこちに溢れていました。

電通のお膝元銀座駅(正確には汐留駅ですが)構内でも電光掲示がずらりと並び、当時札幌から出張中の私も「いくらボクシングがマイナー競技でも、そりゃ別格だわな」と嬉しく眺めていました。

そういえば、特別パンフレットやグッズもついた「特別リングサイド」は確かに完売で、かなり後方の席から声を枯らしていたのを思い出します。ああ、あれからもう2年も経つんですね…。

***************

Repeat 〜屈辱の重ね塗り〜

両者のネームバリューにあまりに大きな隔たりがあったために、再戦でも不利と見られたボクサーが見事な返り討ち、もう一度番狂わせを起こす(もはやオッズと予想上だけの番狂わせです)ことは珍しいことではありません。

Underestimate & Overestimate(両者の実力評価が間違っていた)、Styles make Fights (相性)…様々な要素が絡み合って引き起こされる〝再びの番狂わせ〟ですが、初戦の結果で生まれた自信と不安という2人の深層心理もまた再戦の結果を左右する大きな要因です。


❶▶︎▶︎▶︎2017年9月9日、WBCジュニアバンタム級タイトルマッチ。

6ヶ月前にまさかの大番狂わせでPFPキングのローマン・ゴンザレスにプロアマ通じて初黒星をつけたシーサケット・ソールンビサイでしたが、その勝利を支持したのは2−0のMDを下したオフィシャルだけ。多くのメディアとファンはチョコラティトが競り勝ったと見ていました。

それでも、四つ目の階級にアジャストしきれていないロマゴンと、直前の水抜きの〝一夜漬け〟計量で大きくリバウンドしてくるシーサケットに対して、イベントを主催するHBOとWBCは1ヶ月前からリミットを定めて細かい計量を義務付け、チョコラティトのために何度も石橋を叩きました。

しかし…。「もしシーサケットが倒したのがロマゴンでなければ、この試合はとんでもないミスマッチ」(ESPN)というほどの惨敗。4ラウンド失神KOに葬られてしまいました。

階級の壁にぶち当たっていた当時のロマゴンは30歳、軽量級ではけして若い数字ではありません。そんなタイミングで、詰め将棋のようなコンビネーションを全く意に介さない相性最悪のタイの重戦車に直面してしまったのでした。


❷▶︎▶︎▶︎日本のボクシングファンが「再戦」「返り討ち」と聞いてすぐに思い浮かべてしまうのは、2018年3月1日のまだ生々しくも忌々しいWBC世界バンタム級タイトルマッチです。

前の年の8月15日、具志堅用高の連続防衛記録13に並ばんとしていた山中慎介が迎えたのはメキシコのパンテラ(豹)、ルイス・ネリ。

戦前の予想は3−1で王者有利でしたが、挑戦者のスピードに王者の反応が鈍い。

4ラウンドに猛攻を受けて山中コーナーがタオル投入、その判断の是非が議論を呼びましたが、さらに事態を紛糾させたのは1週間後にネリの検体から禁止薬物の陽性反応が出たことでした。

これを受けてリング誌はネリの王座を即座に剥奪したものの、WBCは実質的な処分を科しませんでした。

約7ヶ月後の再戦のオッズは逆目で1−3、メキシコのドーパーが有利。ここでもネリはありえない失態を晒します。計量でリミットを3ポンドもオーバー。秤の上で王座を剥奪され、山中が勝利した場合だけ王座に就くという変則タイトルマッチになってしまいます。

初戦の4ラウンドを圧縮したような再戦は、2ラウンドで無残で後味の悪い結末を迎えてしまいました。


❸▶︎▶︎▶︎先月5月11日、WBOジュニアフェザー級タイトルマッチ。

昨年12月から6ヶ月後の再戦で、階級最強候補だったアイザック・ドグボエはまたしてもエマニュエル・ナバレッテの軍門に下ります。

傑出した身体能力で目を見張るパフォーマンスを見せてきたドグボエでしたが、クロスゲームでの脆さを露呈、逆にナバレッテは自信満々で24歳のガーナ人を追いかけ回しました。

前回よりも明白な形での返り討ち。12ラウンド2度目のダウンを喫したところで、ドグボエのコーナーはタオルを振ってリングに入りました。

「勝ちっぷりの鮮やかなボクサーは過大評価される」。ボクシングの世界で、100年以上も前から伝わる常識は誰でも知っているはずです。

しかし、ドグボエのようなボクサーを見たとき誰もが「こいつは特別だ」と反射的に決めつけ同じ過ち、同じ類の番狂わせを〝創造〟してしまうのです。


❹▶︎▶︎▶︎ドボボエの宝石の如き野生が、引き出しのない怯懦に幻滅したイベントのメインもまたリマッチでした。

かつて三浦隆司の〝ボンバー〟(恥ずかしそうに小さな声で遠慮がちに拳を突きつけて発音するのが公式ルールです)が猛威を奮ったWBCジュニアライト級。

その三浦のベルトを奪ったフランシスコ・バルガスを倒したのがミゲール・ベルチェルト。

好戦的なメキシカン同士の争いはリマッチでも激闘。ど根性ファイターのバルガスを精度で上回るベルチェルトが6ラウンド終了TKOに返り討ちました。

このクラスの統一戦線に乗り出すベルチェルトですが、スターになりきれないのがよくわかる〝何かが足りない〟ボクサーです。スピード、パワー、テクニック…全てにおいて世界基準ですが突き抜けたものは何もない「60点ボクサー」。

全盛期の内山高志ならベルチェルトが12ラウンドまで立っていられるとは思えませんが…。



❺▶︎▶︎▶︎つい先日の6月21日に再戦したWBAジュニアライト級王者アンドリュー・カンシオとアルベルト・マチャド 。

El Explosivo(爆弾)の異名を持つ長身のプエルトリカンが、頑丈なだけが取り柄の無骨なカンシオに2月9日に受けた屈辱を晴らす…そんな大方の予想は初戦の4ラウンドKOよりも早い、3ラウンドKOという返り討ちの結果に裏切られてしまいます。

2試合続けて序盤で試合が終わるような力量差が2人の間にあったとは思えません。 

しかし、初戦の結果を受けて自信にみなぎるカンシオと、うまく戦っていても弱気が透けて見えるマチャド。最後は、やはりボディで膝をついたマチャドがしっかり立ち上がったように、決定的なダメージは受けていませんでした。

それでも、ファイティングポーズを取らずに虚ろな表情で主審がカウントアウトするのを聞いてしまいます。

カンシオのタフネスと強打の記憶は、マチャドからボクサーにとって最も大切な闘争心を対戦相手への恐怖心へと変質させていたのです。



Revenge 〜美しく偉大な復讐〜

120年を超える近代ボクシングの歴史の中で、数々のドラマを生んできた再戦の物語。

それは、戦う男の再生物語でもあります。つまり、
Revenge or Repeat が大きな感動を伴うのは前者。

返り討ち、Repeat が残酷な屈辱という苦い思いにいたたまれないのに対して、挫折を乗り越えた再生、美しいRevenge は勇気の風を送ってくれるのです。


❶▶︎▶︎▶︎最初に紹介するのはもちろん2017年10月22日、vsアッサン・エンダム戦。村田本人の美しく偉大な復讐劇です。

日本人のミドル級王者となれば竹原慎二以来、22年ぶりの快挙でした。

22年前との共通点は階級最強レベルの相手ではなかったということ、相違点は竹原の世界奪取の可能性はほとんど無いと見られていた一方、村田はオッズも予想も大きくリードして試合開始のゴングを迎えたということでした。

試合は村田が4ラウンドに痛烈なダウンを奪う完勝…に見えましたが公式ジャッジはまさかの1−2で敗北。リング誌とESPNが「ありえない泥棒判定」と世界中からの非難を受けて、エンダム勝利と判定した2人のジャッジに資格停止処分が下るなど、許容を大きく逸脱する明らかな不当判定でした。

怒号が飛び交う有明コロシアムで、冷静に敗北を受け入れ勝者を讃えた村田は、あのときすでにリマッチで勝利していたのかもしれません。



❷▶︎▶︎▶︎1978年年9月15日、WBA世界ヘビー級タイトルマッチ。


…「直近の試合」って書いてたよな?1978って40年以上前やないか!!と思われるかもしれませんが「直近」に国際的な取り決めや法律的な定義はありません。

酔っ払いが自説を押し通すためには「金メダリストの美しく偉大な復讐」が必要なのです。そのためには40年を「直近」と騙ることに躊躇などありませぬ…。

伝説などという軽い言葉では説明不能の完全統一ヘビー級王者モハメド・アリから、プロ9戦目という信じられないキャリアでタイトルを奪ったレオン・スピンクス。

アリとの再戦を優先したレオンはWBC王座を剥奪された挙句、再戦で敗れアリ伝説の瑣末なマテリアルにされてしまいます。それでも、このときレオンが受け取ったファイトマネーは350万ドル!

1978年の350万米ドルが、2019年換算でいくらになるか?!…虚しくなるだけなので、やめましょう。

アリvsスピンクスは1960(ローマ)vs1976(モントリオール)の16年の時を隔てたライトヘビー級金メダリスト対決でもありました。

この試合から学べることは「どっちにしても勝つのは金メダリスト」ということです!



❸▶︎▶︎▶︎1980年11月25日。WBC世界ウェルター級タイトルマッチ。ルイジアナ州ニューオーリンズはスーパードーム。

5ヶ月前に圧倒的有利と見られていたシュガー・レイ・レナードは、当時ですでに伝説だったロベルト・デュランに大番狂わせでタイトルを奪われていました。

単調なファイタースタイルで墓穴を掘った初戦からレナードは徹底したシュガーなボクシングに徹して石の拳を空転させました。

それにしても、デュランの棄権が伝説に昇華するという〝お前らだから成立する〟Win−Winなメガファイトでした。

この試合から学べることは「五輪金メダリストが本気で勝ちに徹したら誰にも負けない」ということです!



❹▶︎▶︎▶︎今年2月2日、WBOライトヘビー級タイトルマッチ。

9ヶ月前に大番狂わせを起こしたエレイデル・アルバレスが、かつてPFP10傑にも名前を連ねたセルゲイ・コバレフとダイレクトリマッチ。

34歳のコロンビア人が再戦では一転やや有利と見られていたのは、経年劣化が目立つ35歳のロシア人を初戦で7回KOで屠っていたからです。

しかし、再戦のクラッシャーは慎重なアウトボクシングに徹し〝コロンビアの嵐〟を12ラウンドにわたってやり過ごします。

コバレフは五輪メダルなど傑出した実績はないもののアマチュア実績が豊富。にもかかわらず、引き出しが少ないと見られていました。

冗談じゃない!充実したアマチュア経験があるコバレフが、コロンビアの嵐に2度も翻弄されるわけがないのです!

五輪はおろか世界大会で実績のないコバレフごときが、懐の深さを見せたのです。これが、五輪のメダリスト、しかもその色は金!なんてタレントがリマッチを〝引き出し百貨店〟のショーにしないなんてことはありえません。


❺▶︎▶︎▶︎そしてRevengeの最後の5試合目は、まだ試合前です。

その試合は7月12日、エディオンアリーナ大阪で行われることになっています。



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It's tough to get out of bed to do roadwork at 5a.m. when you've been sleeping in silk pajamas. 朝5時に起きてロードワークに飛び出すなんて、シルクのパジャマを着て眠ってる奴には土台無理な仕事だ。とどのつまり、大金持ちなんかになっちまったらボクシングなんて出来やしねぇのさ。〜マーベラス・マービン・ハグラー

ボクシングはもとより、スポーツ界全体を見渡しても屈指のセレブになってしまった村田に死角があるとしたら、リングの外でしょう。

それは「油断」とか「気の緩み」なんて単純な言葉で片付けられるものではありません。

サッカーや野球と同様に、大金持ちになっても競技への情熱は保つことができます。しかしボクシングで必要なのは情熱だけではありません。

ハングリーであること…もっと正確に言えば情熱を超えて残酷であること、です。 

年収500万ドル以上(リング誌)で「NHKと民放各局がドキュメンタリーを制作する村田に「経済的に、あるいはステイタスに対してハングリーになれ」というのは無理です。

セカンドタイトルとはいえ、ブラントからベルトを取り戻せば、次の試合がカネロ・アルバレスやゲンナディ・ゴロフキンであっても、ボクシングの世界では何の不思議もありません。

そこに、どれだけの意味を見出して、どれだけハングリーになれるか。

2011年10月、アゼルバイジャン・バクーで行われた世界選手権。

決勝に進んだ村田は控え室へ帰る通路で「日本人には絶対不可能と思われたことをやってのけました」とマイクを向けられ、ムッと苛立ちの表情を見せました。

「日本人に不可能?そうかもしれませんが村田諒太には可能なんです。それに何もやってのけてなんかいない、決勝が残ってるのに」と怒りを含んだ声で吐き捨てた言葉に、私は心の底から「その通りだ!」と拍手喝采しました。

決勝はカミソリ一枚の僅差判定で銀メダルでしたが英国ボクシングニューズ誌とリング誌は翌年に迫ったロンドン五輪について「日本の村田が金メダル候補の最右翼」と報じます。

あの頃の何かに苛立つ村田にはもう戻れないのかもしれません。

しかし、ハングリーの形は一つじゃ無いはずです。

より洗練されたハングリーを身につけた村田が、美しいリベンジを果たすことを願ってやみません。

「村田の中盤ストップ勝ち」を確信的に予想します。
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6月1日、グレートブリテンが誇る3人の無敗王者が米国上陸、マジソン・スクエア・ガーデンに揃い踏みします。

ニューヨークだというのに、主役はプエルトリカンでもメキシカンでも米国人でもありませんが、超弩級のメガファイトです。

IBF/IBO/WBA/WBOヘビー級王者アンソニー・ジョシュア(22戦全勝21KO)はアンディ・ルイスJr.の挑戦を受け、4つのアルファベットタイトルを賭けます。

ジョシュアがスーパーヘビー級で金メダルを獲得したロンドン五輪2012、女子ライト級金メダルのケイティ・テイラー(13戦全勝6KO)は、IBF/WBA/WBOライト級王者として、WBC王者デルフィン・ペルソーンと激突、Undisputed Champion=主要四団体完全統一を目指します。

そして、WBSS優勝ながらアルファベットタイトルはWBAのベルトしか持たないカラム・スミス(25戦全勝18KO)が迎え撃つのはアッサン・エンダムです!!!

2017年10月22日に村田諒太との再戦に敗れたエンダムは、翌年12月22日にWBCミドル級シルバー王者マーティン・マレーに完全敵地マンチェスター・アリーナで挑戦。

4ラウンド終了間際にスリップをダウンと判定される不運を跳ね返し、2−0のマジョリティデジションをものにしていました。

“I am confident I will create a big surprise in New York”
しかし、エンダムの敵地巡業には涙チョチョギレです。

ニューヨーク・バークレイズセンター(2012年10月20日:vsピーター・クイリン戦)、モントリオール・ベルセンター(2015年6月20日:vsデヴィッド・レミュー戦)、東京・有明コロシアム(2017年5月20日:vs村田諒太)、東京・両国国技館(2017年10月22日:vs村田諒太)…先進国の大会場で地元の英雄の前に生贄的に差し出され続けながらも、ここまで生き残ってきました!

そして、今度はMSG。今回もユニオンジャックの旗があちこちで翻る完全敵地になることは、100%間違いありません。

「カメルーンで戦いたいんじゃないのかって?もちろん、それはあるさ。誰だって母国でいいところを見せたいよ。でも、俺の戦場は北半球なんだ。これは悲しいことじゃない、むしろ逆、楽しくて仕方がないよ」。

「パリにマンチェスター、モントリオール、ニューヨークに東京…でっかい街をサーカスしながら戦うのは最高の気分だ」。

「考えてみてくれよ。ニューヨークや東京から『必要だから来てくれ』とお呼びがかかるんだから、ありがたい話さ。ブーイングだって気にならない。ニューヨークや東京では暖かい拍手ももらったよ」。

「6月1日は絶対に勝つ。勝たないと、次がないから。勝ったら、このやりがいのあるサーカスが続けられるんだ」。

オッズはスミス勝利が1/33(1.03倍)、エンダム10/1(11倍)。

35歳のカメルーン人は、リバプールの英雄に供される咬ませ犬です。

勝ちましょう。


あの巨大なマジソンスクエアを埋め尽くす、うるさい英国サポーターを静まり返らせてやりましょう。

いろんな期待や想いや願いや愛情やらを込めて応援できるのは日本のボクサーだけだと思っていましたが、どうやらそうではないようです。

どうか、素晴らしいサーカスライフを続けて下さい。
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厚かましいお願いなのは重々承知ですが、スミスから奪ったスーパーミドル級のWBAと、WBCダイアモンドのベルトを持って、また東京に来て下さい。

1勝1敗ですからね。今度はラバーマッチ(決着戦)です。

きっとそのとき、日本はあなたから奪ったベルトを取り返しているはずですが、賭けるのはスーパーミドルのタイトルですね。

いっつもわがままですみません。

もし、そんなことが実現したら、非国民になりますが、今度の私はあなたに声援を送ってしまうかもしれません。
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ロブ・ブラントがハッサン・バイサングロフを11ラウンドでストップ、村田諒太から番狂わせで奪ったミドル級の WBAセカンドタイトルの初防衛に成功しました。

ここまで16戦全勝7KOと無敗のバイサングロフでしたが、ウクライナとロシア、アゼルバイジャンといったホームのロシア圏で全ての試合を戦い、その16人の対戦相手の質も非常に低いものでした。

それでもスピード、テクニック、パワーの全てにおいて無名のロシア人を上回り、11ラウンドに仕留めたミネソタのブラボーの動きはキレキレでした。

10ラウンドまでのオフィシャルも99−90*2/98−91。

ミネソタ州ヒンクリー・グランドカジノという小さな会場とはいえ入場券は完売、2225人が詰めかけ、11ラウンドの間、地元のヒーローに熱狂的な大声援が、送られました。



ブラボーはキャリア26戦のうち、なんと14戦を地元ミネソタのリングに上がっています。

その理由は「地元以外では需要がない」という悲しい事実だけでした。

しかし、今回は「ラスベガスに咬ませ犬として呼ばれながら、五輪金のビッグネームからベルトを奪って帰還したローカルヒーローの凱旋」という二つ目の理由が加わりました。

「地元で防衛戦ができて最高。村田に勝ったのはフロックとか、村田が過大評価だったからとかいろいろケチをつけられていたが、これで本当に世界王者になった気分。後半はふくらはぎが攣りそうになったけど、それだけ力を入れて戦ってたってこと。問題はなかった」と上機嫌のブラボー。
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ミドル級、スーパーミドル級のビッグネームがことごとく無視したWBSSのオファーを真剣に考えて、米国ではマイナーなこの大会への出場を決断、16ヶ月前の2017年10月に大西洋を渡ったブラント。

「米国でテレビ放映もされないマイナー大会に出場した理由?チャンスが欲しかったからだ。いくらマイナーでも欧州で優勝したら、アメリカが私に振り向いてくれるはず、そう信じていたから」。

しかし、そのWBSS一回戦でロートルのユルゲン・ブレーマーに完敗、キャリア初黒星を喫してしまいます。

「誰も注目してなかったけど〝ドイツに恥を晒しに行っただけ〟とか書かれた。悔しかった。村田とのビッグファイトが決まったときは、これが最後のチャンスと命がけで練習した。それで何かが変わったかもしれない」とWBSSの挫折と、村田に勝利したことでボクサーとして成長できたと実感しているブラボー。

「リングの外でもトップランクと契約できた。夢の歯車が動き出した音がはっきり聞こえる。ミドル級がタレント揃いの階級で、私の名前がまだまだ小さいことはわかっている。カネロ・アルバレスがこのクラスのトップであることは認める。 ただ、それは彼が私よりも強いと認めてるんじゃない。やれば勝つ自信はある。いつかやることになるだろう」。

この16ヶ月という短い時間で、わずか3試合、星勘定も2勝1敗。

しかし、ブラボーにとってはこれ以上なく濃密な時間で、意味のある3試合となりました。



リング誌によると次戦は「東京で村田との再戦」が有力で「豪州ブリスベーンで ジェフ・ホーン」という交渉も進んでいるそうです。

いずれにしても〝トップランクの家庭内事情〟で次の相手が決まりそうです。

それでもブラント本人は「5月4日の勝者(カネロvsダニエル・ジェイコブス)と戦いたい」と大きな夢を膨らませています。
 
 

ミネソタのブラボーがホンモノかどうか、まだ評価できません。

村田戦が決まって全身全霊をかけてチャンスを掴みとろうとした姿勢を、ボクシングの神様が見ていたことは間違いありません。

しかし、次は村田諒太が神様を振り向かせる番です。

きっと、そうなるでしょう。

神様が無視できないくらいのことをやって、リングに戻ってくるはずです。


ボクシングの神様ほど気まぐれな神様はいません。
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