カテゴリ: がんばれニッポン!

ファン・フランシスコ・エストラーダの決意。

「日本に行くこと。那須川天心と戦うこと。それがどういうことなのかは理解している。KOするしかない」。

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この一戦に賭けられているのは、WBCバンタム級タイトルへの挑戦権。

ちょうど10年前、この緑のベルトは山中慎介の腰に巻かれていました。

神の左が9度目の防衛戦の2015年9月22日と、11度目となる2016年9月16日に拳を交えたのがアンセルモ・モレノでした。

再戦となったのは、初戦がきわどいスプリット・デジションだったからです。

迎えた再戦、山中は33歳、モレノは33歳。ゴーストの異名を持つパナマ人の方が年下でしたが、伏兵のファン・カルロス・パヤノに惨敗してWBAのスーパータイトルを失い、山中との初戦でも主導権を完全に掌握できませんでした。

パナマのゴーストは「初戦は勝っていた」と悔しがりましたが、おそらく自らの衰えにも気づいていたはずです。

それでも再戦に応じたのは、日本が用意したファイトマネーだけではなく、勝つ自信があったからでしょう。

正確には、勝つ〝自信〟ではなく、勝つ〝方法〟です。

つまり、帝拳を代表するファイターに日本で勝つにはKOするか、明白に勝つしかないということです。

そして、モレノは慣れない攻撃的なスタイルを選びます。しかし、そこは山中の土俵。7ラウンドで仕留められてしまいました。

モレノと同じ「倒すしかない」と覚悟を決めて東京に乗り込んで来るエストラーダ。

エストラーダもモレノと同じ運命を辿るのか?…エストラーダと天心。モレノと山中。スタイルが全く違う4人です。

あのときの山中よりも、今回の天心の方がはるかに難しい戦いを強いられるでしょう。


そして、不条理が大手を振って歩くプロボクシング界らしく、今回の試合でもWBCのマウリシオ・スライマン会長がエストラーダにエールを送っています。
I simply wish you the best; I will be in Japan for this bout, Sulaiman told Estrada. “You have everything it takes to succeed.


「君の勝利をただただ、願っている。この試合のために私は日本に行く。君には勝利に必要な全てが揃っている」。

It will be a fight of maturity versus youth, and I am totally sure that you will hold Mexico high.

「これは世代の対決。熟練が勝つか、若さが勝つか。私は君がメキシコの偉大さをさらに高めてくれると信じている」。


マウリシオ、本心は「高い認定料を払い続けてくれること間違いなしの天心様に勝って欲しい」でしょうが、さすがにそれは言えません。

…というか、そもそも公平の立場でないとおかしいのですが、そうではないのがボクシングの世界です。


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ちなみに、モレノもエストラーダも〝元〟PFPファイター。

モレノをKOした山中はリング誌などのPFP10傑入りしましたが、天心はどうなるでしょうか。




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「4月10日(日本時間11日)」「東京」と確定報が流れている、WBCバンタム級王者井上拓真への挑戦権が賭けられた一戦。

「skybet のオッズは那須川天心が6/4(2.5倍)、ファン・フランシスコ・エストラーダが8/15(1.53倍)。

これから1ヶ月で数字が逆転する可能性もある拮抗した掛け率ですが、天心はキャリア3年、プロ8戦目で初めてアンダードッグで試合開始ゴングを聞くことになりそうです。

フロイド・メイウェザーとのexhibitionを除くと、キックとMMAを含めても初めてのアンダードッグではないでしょうか。

このエストラーダに対して、バム・ロドリゲスは1/5(1.2倍)、エストラーダは7/2(4.5倍)でした。もし、26歳のPFPファイターが118ポンドに乗り込んでくるなら、日本人ファイターも含めて一気に焼き払われることになると見られています。



フライ級からジュニアフライ級に落としてWBA王者のローマン・ゴンサレスに挑戦、脱水症状に悩まされながらも全盛期を迎えていたのちのPFPキングを大いに苦しめた〝ガジョ〟エストラーダですが、この一線で評価は沸騰します。

そして、カルロス・クアドラス、シーサケット・ソールンビサイ、ロマゴンとジュニアバンタム級で形成した115ポンド版の4KINGS。

対戦のタイミングが合わなかったものの、ドニー・ニエテスと井岡一翔を加えた6人がPFPランキングを賑やかせました。

しかし、史上最もレベルの高いジュニアバンタム級を牽引してきたガジョも35歳。激闘を厭わないスタイルで重ねたキャリアは49試合(45勝28KO4敗)。

明らかに劣化の兆候が噴き出しています。

それでも、天心が苦手とするボクシングの距離(井上尚弥が苦手とする〝クロスレンジ〟よりも何歩も手前の問題です)を容易く作ることができる歴戦のエストラーダは相性的にはけして良くはありません。

まだ、生き死にがはっきりわからない伝説です。

もし、まだタンクの中に次の伝説を作る材料を残していたら、これほど厄介な相手はいません。


天心の前にソフト路線を敷いてきた帝拳が大きく路線変更したのでしょうか?

大一番です。

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ミラノ・コルティナオリンピック

女子ノーマルヒル【出場予定】丸山希、髙梨沙羅、勢藤優花、伊藤有希

2月8日 日曜 2:40 -4:35 NHK総合1・東京




優勝候補はスロベニアのニカ・プレウツ、ノルウェーのアイリン・マリア・クバンダル。

W杯6勝の丸山希が五輪初出場でメダル獲得なるか?

五輪の巡り合わせの悪い高梨沙羅が〝4度目の正直〟をつかむなら、物語としては最高ですが、五輪がそんなロマンティックな世界ではありません。

伊藤有希、勢藤優花、日本勢は4人が出場します。ということは、表彰台独占だってありうるということ。

がんばれ!




BETVICTORの金メダルオッズは…

丸山希 20倍

高梨沙羅 80倍

伊藤有希 250倍

勢藤優花 250倍

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リング誌のアーカイブがフルオーブン、1960年代の世界バンタム級ランキングなども簡単に覗けるようになりました。

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世界8位にランクされている斉藤勝男は日本バンタム級、OPBFフェザー級の王者になった技巧派。ファイティング原田はエデル・ジョフレから大番狂せでタイトルを奪ったあとに、ノンタイトル12回戦を戦っています。

当たり前ですが、当時はPFPランキングなどという妄想などはありませんでした。

現在、ジュニアフェザー級以下のクラスはストロー級、ジュニアフライ級、フライ級、ジュニアバンタム級、バンタム級、ジュニアフェザー級の6階級に細分化されてしまいました。

さらに、4つの認定団体がそれぞれ王者を擁立していますから24人のタイトルホルダーがひしめいていることになります。暫定や上位タイトルなど同一団体の同一階級でも世界王者が粗製濫造されているので、24人以上になることもありえます。

1960年代は、このゾーンにフライ級とバンタム級だけ、認定団体も一つだけでしたから王者は2人しか存在していませんでした。

さらに、当時のボクシングは今では考えられないほど社会的ステイタスが上でした。

それが今では、亀田興毅がボクシングの「再興」を標榜し、黄金時代を知る自民党の議員たちまでが、ボクシングの衰退を危惧して「プロボクシングの発展を応援する国会議員の会」を立ち上げるありさまです。

さて、本題のストーリーラインからは少し外れますが、原田がジョフレを破ったときのリング誌をご紹介。

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1965年8月号です。

ヘッドラインは「接戦の末に敗れたジョフレだが、再戦を熱望」。

「無敗のまま王者のままで引退する」。ジョフレの夢は、原田によって打ち砕かれた。

1万2000人以上の観客は、圧倒的不利と見られていた原田の勝利に熱狂した。多くの専門家と同様に、彼らもジョフレが原田を5ラウンド以内にKOすると思っていたのだ。

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リング誌の通信員になったばかり、まだ18歳のジョー小泉が書いた記事です!

記事一つの対価は25ドルだったそうです。当時は1ドル360円の固定相場ですから、9000円です。

大卒初任給が2万1000円だった時代ですから、いまなら10万円くらいでしょうか。




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JBCが1月30日に発表した日本ランキングはストロー級からスーパーミドル級までの14階級。ヘビー級はタイトルを争う10回戦選手がいませんから、実質14階級。

その14階級で10人の日本ランカーを擁しているのはストロー級からウエルター級までの11階級。この11のクラスで最も難易度が高いのは、アルファベット団体でもまだ1人のタイトルホルダーも生み出せていなしウエルター級です。

そして、ジュニアウエルター級、ライト級とこの3つのクラスが高い壁となって日本人の前に立ち塞がっています。ライト級とジュニアウエルター級も、これまで3人ずつしか王者を輩出できていません。

ライト級はガッツ石松、畑山隆則、小堀佑介。ジュニアウエルター級が藤猛、浜田剛史、平仲明信。

高い壁に跳ね返されたのは、ライト級で小坂照男、沼田義明、高山将孝、バズソー山辺、坂本博之、稲田千賢、嶋田雄大、佐々木基樹、荒川仁人、粟生隆寛の10人。

ジュニアウエルター級が高橋美徳、ライオン古山、門田恭明、ガッツ石松、用皆政宏、亀田昭雄、赤井英和、吉野弘幸、木村登勇、小原佳太、近藤明広の11人。

ウエルター級は辻本章次、龍反町、尾崎富士雄、佐々木基樹、佐々木尽の5人。

軽量級と比べると、いずれも挑戦機会の少なさが目を引きます。そもそも世界のレベルが高く、日本は〝下手な鉄砲〟を用意することしかできません。それなのに、人気階級ゆえにおいそれと挑戦することが出来ず〝数撃ちゃ当たる〟状況にも持ち込めないでいるのです。

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ジュニアウエルター級のリミットは140ポンド、63.50kg、10ストーン。

現在のタイトルホルダーは以下の通り。


【WBA】ゲイリー・アントゥアン・ラッセル…19戦18勝17KO1敗、高いKO率を誇る29歳。全戦全勝オールノックアウトのパーフェクトレコードが直近2試合で崩されたように、傑出した王者とはいえません。2月21日のラスベガス、アンディにも十分勝機があります。

人気:★
実力:★★


【WBC】ダルトン・スミス…英国ボクシングにとって特別な場所、シェフィール出身のスター候補。海外メディアからは「よくある英国の過大評価」とその実力には疑問符が付きまとっていましたが、ニューヨークに乗り込んでサブリエル・マティアスとの打撃戦を制してWBCストラップを強奪。19戦全勝14KOの28歳。

人気:★★★
実力:★★


【IBF】リチャードソン・ヒッチンズ…Africaの渾名を持つ28歳、ハイチ人。リオデジャネイロ五輪をめぐって米国予選と、ハイチ代表で出場した1回戦でラッセルに敗退。プロでは20戦全勝8KO無敗。広いスタンスから188㎝のリーチを生かした左ジャブを起点としたボクシングは、誰にとってもやりにくい。


人気:★
実力:★★


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【WBO】テオフィモ・ロペス…ニューヨークの人気選手でPFPファイター。リング誌 Fighter of the year 2020 (タイソン・フューリーと同時受賞)。28歳で実績十分のThe Takeoverですが、中谷正義に追い詰められたように難攻不落のファイターではありません。22勝13KO1敗という戦績も「あれ、1敗しかしてなかったっけ?」と、辛勝した試合が記憶に残っています。

これからゴングがなるシャクール・スティーブンソンとの大勝負。テオに勝ち残って欲しいのですが…。

人気:★★★★
実力:★★★



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リング誌の年間表彰が発表されました。

今回、画期的だったのは2人の「日本人初」。

井上真吾が Trainer Of The Year 、晝田瑞希がなんと女子の Fighter Of The Year に輝きました。

ちなみに男子のFighter Of The Yearは、下馬評どおりにテレンス・クロフォード。以外にもクロフォードは初受賞ですが、2014年に全米ボクシング記者協会のSugar Ray Robinson Award(Fighter Of The Year)に選出されています。

素晴らしい!!!


寿司ランチでお祝いじゃ。

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Saturday 21, February 2026
  
T-Mobile Arena, Las Vegas, Nevada, USA

commission:Nevada Athletic Commission

event name:The Ring: High Stakes

promoter:Tom Brown (TGB Promotions),
      Oscar De La Hoya (Golden Boy Promotions)

matchmaker:Eric Gomez,
Whitfield Haydon,
Javier Razo

  view on DAZN PPV 



WBCウエルター級王者マリオ・バリオスに、インフルエンサーのライアン・ガルシアが挑戦する茶番劇色の濃いデタラメ世界戦のアンダーカードが続々発表されています。

まずは、すでにご存知の平岡アンディがWBAジュニアウエルター級王者ゲイリー・アントゥアン・ラッセルに挑戦する大勝負。

そして、ジュニアウエルター級IBF版の王者リチャードソン・ヒッチンズがオスカー・デュアルテと2度目の防衛戦。

次にマッチメイカーが描くシナリオは、ジュニアウエルター級の団体統一戦か?


イベントタイトルはThe Ring: High Stakes 。 High Stakes…和訳が難しいのが出てきました。

博打言葉ですが、「大勝負」ではClassicがあるし。

アンディにとってはClassic、一世一代の大勝負です。

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高校時代に野球部と陸上部を兼部したとき「(メジャーな)野球に専念すべき」のようなお節介の声が聞こえて来ました。

もし、これが軟式野球部やソフトボール部(どちらも我が校にはありませんでしたが)と兼部、あるいは完全に〝移籍〟となると、お節介だけでなく、〝都落ちだ〟みたいな嫌味も言われたかもしれません。

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男子ソフトボール、フットサルやビーチサッカー、競歩…。

ボクシングでいうと、欧米にある軽量級への無関心。

あるいは男子に対して女子。

もちろん、メジャースポーツの中でも、人気という尺度が厳然として横たわっています。

大谷翔平とアーロン・ジャッジの競技者としての実力と、スポンサー収入には大きなギャップがあります。

あるいは、大谷と鈴木誠也を比べたとき、シカゴのスラッガーはその実力差に見合うだけのスポンサー収入を得ているでしょうか?

カネや名誉の話を言い出すと、世の中は矛盾だらけですが……


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平仲明信が1992年4月10日にメキシコの闘牛場に乗り込んでエドウィン・ロサリオからWBAストラップを強奪してから、33年8ヶ月と11日。

四半世紀を超える長いトンネルを抜けるときが、ついにやって来ました。

2月21日、ラスベガス・T -モバイルアリーナ。WBCウエルター級王者マリオ・バリオスvsライアン・ガルシアのアンダーカードにセットされている、WBAジュニアウエルター級王者ゲイリー・アントゥアン・ラッセルvs平岡アンディ。




ウィリアムヒルの見立ては、王者の勝利が2/7(1.29倍)、アンディ5/2(3.5倍)。ともに29歳のサウスポー。

このクラスになると、対戦相手の質はラッセルが上回ります。しかし、デビューから17試合連続KOを重ねてきた勢いは失い、直近2試合は1勝1敗でともに最終回のゴングを聞いています。

一方のアンディは直近10試合を全てKOで片付け、全戦全勝をキープ。

ともに強打が持ち味だけに、あっけない幕切れも十分考えられますが、実力差はそこまでないはず。

MGMグランドガーデンアリーナ、バークレイズセンター、そして今回のT -モバイルアリーナと、立て続けに大きな会場に登場してきたラッセルの舞台慣れは気になりますが、アンディが雰囲気に飲まれることはないでしょう。

藤猛、浜田剛史、平仲明信、3人の先達同様に「難しい試合になる」というのが大方の見方ですが、さてどうなりますやら…。




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最初にボクシングの試合を見たのは、テレビ。具志堅用高のWBAジュニアフライ級タイトルマッチでした。

同じ時期に世界ヘビー級王者モハメド・アリの防衛戦(vsレオン・スピンクス初戦)を、子どもにとっては深夜番組、イレブンPMで見ました。

英語は分かりませんでしたが、会場が大番狂せに湧いているのは伝わって来ました。

内容的には大凡戦でしたが、ラスベガスのボクシング会場の華やかさが新鮮でした。



それからすぐに世界のボクシングに惹き寄せられ、高校の図書室が定期購入していたスポーツ・イラストレイテッド誌やリング誌などから米国ボクシングの深みにハマっていきます。

米国で関心を集めるのはヘビー級や、ライト級以上のクラスで、日本とは無縁の華やかでハイレベルな攻防が繰り広げられていました。

ほぼ全てのボクシングファンが軽量級に興味を持っていないこともよく分かりました。経済力で日本と同等かそれ以上の先進国では軽量級は蔑ろにされています。だから、日本が好き勝手できるのです。

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リング誌では軽量級の特集記事も見つけることができましたが、そこでしっかりフォーカスされるのはほんの一握りのファイターだけでした。

リアルタイムで知ることのできなかったビセンテ・サルディバル、ルーベン・オリバレス、カルロス・サラテ…。

そして〝なんとか間に合った〟ウィルフレド・ゴメス、サルバドール・サンチェス、アレクシス・アルゲリョ…。

サルディバルに敵地で勝利を収めた柴田国明がメディアとマニアから破格の印象を与えたのは当然として、ファイティング原田がさらに高い評価を得ていることは驚きでした。

当時の私にとって、日本史上最高のファイターは防衛記録を伸ばすたびに首相官邸に招かれ、国民栄誉賞も取り沙汰された具志堅用高だったからです。

ネットも動画配信もない当時に関わらず、ボクシングマガジンの記事から、リング誌だけでなく英国ボクシングニューズ誌でも「全階級を通じて最も優れたファイターの1人」と紹介されていたことを知りました。

70年代PFP

のちにリング誌の1970年代(ディケイド)PFPで10位評価を受けていることからも、当時PFPランキングが存在していたなら具志堅は中位を回遊していたはずです。

では、ディケイド1位なら?10年間3650日以上にわたってずっと1位をキープしたわけではないでしょうが、長期政権を敷いていたはずです。

1960年代のディケイドPFP1位のエデル・ジョフレとは、まさにそんな傑物でした。

ただでさえディケイドPFP1位はグレートだというのに、ジョフレの場合は、ボクシングの社会的ステイタスが現在よりもはるかに高かった時代に、〝The Greatest 〟モハメド・アリを抑えての1位でしたから、その評価の特別さがよく分かるでしょう。

プロボクシンにおいて評価の根本、「誰に勝ったのか?」という命題は時代が進むにつれて重要さを増してゆきます。

階級と団体が増えるだけでなく、それぞれの団体の自己都合(自分たちの地域タイトルで囲った承認料の支払いの良い選手をランキングで優遇する)でタイトルマッチを運営、穴王者や雑魚挑戦者が犬の糞のように転がっている時代になりました。

計量オーバーでタイトルを失うのは珍しいことではありません。タイトルの価値がここまで暴落すると、体重超過で失格になってもまた挑戦のチャンスがすぐ訪れます。複数階級制覇を見据えると、秤の上でタイトルを失うのもちょうどいいタイミングです。

タイトル挑戦が「一生一度のチャンス」なんて時代はとうの昔に終わっています。

西岡利晃や比嘉大吾らの〝チャンスは無限〟にめくじらを立てる人はいません。それどころか、スティーブン・フルトンのようにジュニアライト級で体重超過を犯したにもかかわらず、1階級上のライト級タイトルマッチに変更されるという笑劇まで披露されました。

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原田はポーン・キングピッチ、エデル・ジョフレと2人の殿堂入りファイターに勝利を収めています。当時、PFPランキングがあったなら、ジョフレに勝った時点で上位に入ったのは確実。再戦で、明白に返り討ちにした時点で1位になっていた可能性も十分です。


世界王者は強い。世界ランカーに弱い奴はいない。当たり前のことが当たり前ではなくなった、現代のボクシング。

ただでさえ「誰に勝ったのか?」が問われる世界で、現代はその傾向がますます強くなっています。
しかし、それを言い出すとファイティング原田を凌ぐ日本人は未来永劫生まれないことになってしまいます。

例えば、井上尚弥はジュニアフライ級でリング誌などで非常に高い評価を受けていたドニー・ニエテスを選ぶべきだったかもしれません。

フライ級をスキップしたのはWBA王者ファン・カルロス・レベコとの調整がつかなかったからですが、当時PFP1位の座を盤石にしていたWBC王者ローマン・ゴンサレスに挑戦していたなら。

バンタム級時代に散々挑発されたエマヌエル・ナバレッテに対して「縁がない」なんて言わないで、せめて「俺と戦いたいならバンタムに降りてこい」と返していたなら。そんなことを言って「じゃあバンタムで」と降りてこられても困りますが。

もちろん、原田が現代に生まれていてもニエテスやチョコラティト、ナバレッテなんて絶対に選ばなかったでしょう。

専門家やマニアでなければ「アドリアン・エルナンデスは超強豪」「オマール・ナルバエスを沈めて世界に衝撃が走った」という大本営発表を鵜呑みにするのも仕方がありません。

また、ニッチスポーツ、マイナースポーツに没落したボクシングが茶番化の方向にも大きく舵を取っている現状からは「誰に勝ったのか?」なんてまともな議論は不要の段階に入っているのかもしれません。




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