カテゴリ: 没落するアメリカボクシング

Saturday 19, September 2026
  
The Sphere, Las Vegas, Nevada, USA
commission:Nevada Athletic Commission
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スフィア、また今年もイーグルスやるのか



すでにBoxRecをはじめ多くのメディアがスケジュールと発表している「メイウェザーvsパッキャオ2」ですが、日本時間の今日未明にメイウェザーがこの件について初めて口を開きました。

銭ゲバは、まず「9月19日、ザ・スフィア」を「日程も開催場所もまだ何も決まっていない」と否定。

さらには「試合は公式戦ではなく、エキシビション。つまり、素晴らしいショーになるということ。つまり、どちらにも勝者がいるということ」と、やはりすでに発表されている「公式戦」となることも否定。

メイウェザーはコンゴ(旧ザイール)のキンシャサでマイク・タイソン、ギリシャのアテネでマイク・ザンビディスとエキシビションをすることが内定、パッキャオともエキシビションになると説明しました。

契約が成立していないのに、Netflix が「3分12ラウンドの公式戦。日程は9月19日、会場はザ・スフィア」と発表するとは考えられません。

ここにきてメガファイトをこじらせる…いつものことです。マネー(銭ゲバ)のマネーたる所以です。

とはいえ、もうそろそろ大々的な記者会見と、プロモーショナルツアーが展開されても良い頃合いですが…。




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最も更新の頻度が高いボクシング専門メディアの一つ、BOXING NEWS24が、テレンス・クロフォードがいまだにWBCへの不満を垂れ流し続けていることについて批判の矢を放ちました。

昨年9月に行われたスーパーミドル級王者カネロ・アルバレスとのメガファイト。

試合前の予想とオッズは「カネロがやや有利」。クロフォードはマイルドアップセット(ちょっとした番狂せ)で勝利を収め、4団体時代で初めて3階級にわたってUndisputed Championに就きました。

カネロもクロフォードもサウジアラビア勢力に取り込まれたファイターで、特に人気の無さに悩み続けていたクロフォードは早々にズッファ・ボクシングからのサポート契約を結んでいました。

対立してきたリング誌も買収したサウジ勢力に「不要」の烙印を押された四つの承認団体は、このメガファイトを戦々恐々としながら承認します。

「承認団体なんて害虫。承認料なんて取るな」と睨まれると、通常3%の認定料をWBCが0.6%まで下げるなど、大幅にディスカウントしました。これは、日本のジムやボクサーは、同じ睨みを送って、怒り狂ううべきなのですが…。

クロフォードはこの承認量について“modern-day extortion” (現代の恐喝行為)と批判し続けているのです。

承認料への否定的な意見は珍しいことではありません。モハメド・アリ、シュガー・レイ・レナード、オスカー・デラホーヤ、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオ、カネロ…立場の強いスーパースターは承認団体への否定的な立場を特に明確にしてきました。

承認団体なんて存在自体が間違っているのですから、当然のことです。百歩譲って「盗人にも三分の理」としても、21世紀になってから拍車がかかるデタラメなランキングとタイトルマッチは許容範囲を超えてしまっています。

しかし、BOXING NEWS24はクロフォードについて「承認料を払っていないのだから終わった話なのにしつこい」というだけでなく、「そもそもWBCのベルトをリングに上げて記念撮影、Undisputed Championになってから支払いを拒否したのはおかしい」と正論を展開したのです。

「長年にわたって承認料について大きく深い不満を募らせて支払いを拒否したのだから、最初からWBCのタイトルを放棄すべきだった」「承認料は恐喝と同じと非難したのはWBC以外の承認団体にも向けられたものだから、クロフォードの言いなりになって承認料を大幅値下げした他の3団体のベルトも返上すべき」というのも筋が通っています。

承認ビジネスをそこまで嫌悪しているなら、どうしてこのシステムに参加して、Undisputed Championになってから文句を言うのか?ということです。

もし、クロフォードが承認団体を否定する立場を試合前から一貫して認定料の支払いを拒否していたなら、どの団体も承認せずにUndisputed (議論する余地のない=他の誰にも王者を名乗らせない)Championにはなれず、ベルトの存在しないLineal(正統)Champion と、承認料の死は対義務のないリング誌Champion、二つの王座を獲得していただけになります。

当たり前ですが、最も価値があるのはLineal、その次がまともなランキングとチャンピオンシップ制度に立脚したThe Ring のタイトルです。

クロフォードが勝者のコールを受けて「正統な王者でリング誌王者であることで全てが証明される。だから、何の価値もないガラクタベルトは要らない」とリング誌ベルトだけを腰に巻けばカッコよかったのですが…。


さらに、クロフォードは試合に勝った途端に引退宣言。試合前には再戦条項にサインして「3階級でUndisputed Champion になる」と承認料を値下げまでさせていたのです。

From the outside, it can look like he entered a system, accepted it where it worked for him, rejected it where it didn’t, and is still coming back to the one piece that didn’t go his way.

彼は卑しくも承認団体のシステムに入り込み、都合の良いことは受け入れ、そうでないものは拒み、自分を批判したWBCにいまだに粘着して非難を繰り返しているだけだ。

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典型的な勝ち逃げに走ったクロフォードですが、その評価はカネロに勝利した直後がピーク。結果論ではなく、試合前から多くの人が指摘していた「完全劣化版のカネロ」に勝っただけで、もうすでにジリ貧状態です。
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米国下院が、ムハマド・アリ・アメリカン・ボクシング復活法案(MAABRA:H.R.4624)を上院本会議への送付を圧倒的多数で可決しました。

この審議がほとんど抵抗なく進んだことは、ズッファ・ボクシングの背景に強力な組織が存在することをあらてめて示しました。

アリ法復活法はズッファ・ボクシングの傘下に収めるUFC/TKOグループが掲げる「腐り切ったボクシング界を正常にするための方策」の一つです。

TKOの責任者であるダナ・ホワイトが、トランプ大統領、共和党議員たちと長年にわたって築き上げたコネクションを使った働きかけに対抗するには、現状の没落した米国ボクシング界はあまりにも脆弱すぎました。

2000年に制定されたモハメド・アリ法は連邦法(州をまたぐ法律)で、契約条件の開示や選手の医療保障の強化などを決めたものですが、復活法ではUFCやWWEのように選手を一元管理しようとするものです。

UFC方式が採用されると「選手の権利が奪われる」「メジャースポーツのスター選手にも負けないカネを稼ぐボクサーがいなくなる」という見方もありますが、大間違い。

既存のボクシング界の人々は、この法案が「最低保証賃金の引き上げ、健康保険、医療安全基準の強化など、選手の保護を大幅に強化する内容」となっていることは、口が裂けても言いません。

「選手の権利が…」と語るのは「ボクシングの階級が超細分化されてるのは階級の壁が分厚いからで意味がある」「WBAやWBCは迷走しているがIBFとWBOはちゃんとしてる」「ランキングは正しく、指名挑戦者は強い」と思い込んでる思考停止の一部ボクシングファンの妄言にすぎません。

UFCスタイルは、現行の腐敗を極めたボクシング界よりもはるかにマシです。

「選手の権利」については、マネジメントが一元管理されるのですから、非常にわかりやすい労使関係が成立するはずです。メジャースポーツのような選手組合を作ることが出来たら、現状よりも素晴らしい世界が創出されるでしょう。

「ボクシングはマイナースポーツでも一握りの選手はメジャースポーツ並みの大金を稼ぐ」。これだからダメなんです。報酬がピラミッド型でないのが問題です。スターの系譜がカネロ・アルバレスで途絶えたことは、ボクシングの没落だけでなく、前向きに捉えると新しい時代の幕開けです。

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既存勢力はあちこちで、バラバラに反論めいたことを唱えていますが、どれもこれも他人任せ。

So why aren’t large sections of the media covering any of it?〜どうしてほとんどのメディアがこの件に関してきちんと報道しないのか?

And why hasn’t anyone formed a powerful and influential coalition within boxing to do anything about it?〜この侵略行為に対して、なぜ既存のボクシング勢力は協力して連合して抵抗しないのか?

Everyone seems to be looking at one another and shrugging.〜既存のボクシング勢力の誰もが互いの顔を見て肩をすくめているだけに見える。


侵略者は、自分たちが束になってかかっても勝ち目のないカネとコネを持っている…それだけでなく、議論しても、あっちが正論。だから、戦うだけ無駄、ということでしょう。

「ボブ・アラムが30歳若ければ、侵略者の好き放題はさせていない」なんて声もありますが、そもそもボクシング界を腐らせ続けた張本人の一人がアラムです。今は老害、昔は若害、いつでもアラムはボクシング界を蝕むタチの悪い害虫でした。

ホワイトは「(既存のボクシング勢力からの)反発?反発なんて全くない。赤ん坊を殴るようなもので、彼らには何も出来ない。彼らは互いに『間違ってるのはお前だ』と歪み続けてきたから、正論の前では団結すらできない」と笑い飛ばしました。

この法案が、正式な法律となるには上院本会議の通過と、ドナルド・トランプ米大統領の承認が必要ですが、大きな障害はないと見られています。

トップランクの弁護士パトリック・イングリッシュや、反トランプの民主党議員であるジョー・コートニーやイルハン・オマルはUFCがファイトマネーを抑えていた裁判などから「選手が搾取される」と訴えていますが、アラムらを弁護するのに「選手が搾取される」というのは、天に唾を吐きながらヤブを突っついて蛇を出し、巨大ブーメランを投げるような所業です。

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リング誌が慢性的な販売不振・経営難から廃刊に追い込まれたのは、2022年のことでした。

多くの記者が離脱、専属のスタッフはほとんどいなくなったリング誌はページ数を大幅に減らしながら、2015年には月刊体制が崩壊、年9回発行の不定期季刊に。

それでも、過去の記事を焼き直す特集号で延命処置を続けたのは「創刊100周年の節目までは何とか発刊したい」という思いだけだったでしょう。

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1922年のリング誌創刊号⬆︎はスーツ姿のテックス・リカードと、英国貴族ロード・ロンズデール。

リング誌最終号は2022年11月/12月合併号⬇︎。その表紙は100年前の創刊時、ボクシングが堂々のメジャースポーツだった時代に活躍していたジャック・デンプシーでした。


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この最終号で、ダグ・フィッシャー編集長は「NOT A GOODBYE(さよならは言わないよ)」のタイトルで表紙に込めた想いを伝えています。

「創刊50周年記念号で当時のナット・フライシャー編集長は、創刊号に(スポーツファンどころか大衆からも尊敬された)デンプシーではなくプロモーターのテックス・リカードとロード・ロンズデールにしてしまったことは大間違いだったと認めています。そして、いま読者にお届けするのは100年前にデンプシーを起用していたらこうなっていただろうというという表紙です」。

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2023年末、沈没したリング誌を引き揚げたのはサウジアラビア。

「リヤドシーズンの記事を優先することはない。編集には一切関与しない」(サウジアラビア総合娯楽庁のトゥルキ・アル=シャイフ長官)ということでしたが、その内容は明らかにリヤドシーズン寄り。

そもそも、リング誌の名前を全面に出して事実上のプロモート業にも乗り出しているのですから「公正なメディア」であることは不可能です。

さらに、表紙やリング誌表彰の記念撮影でも長官が主役。

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2022年に廃刊となったリング誌の意思を継ぐのではなく、現在のTHE RING MAGAZINE はサウジアラビア・総合娯楽庁のボクシング宣伝誌です。

前置きが長くなりました。

「The RING Magazine を物質的に検証する。」です。

サンプルは2026年3月号と、ちょうど10年前の2016年3月号。

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⬆︎2016年(左)は「COLLISION COURSE(激突の宿命)」のヘッドラインでカネロ・アルバレスとゲンナジー・ゴロフキンのミドル級決戦を期待する表紙。

しかし、カネロ陣営はさらに対戦を引き延ばし、実際に試合が行われるのは翌2017年9月16日のことでした。

写真右は2026年、各種表彰の特集。女子FIGHTER OF THE YEARに輝いた晝田瑞希が6ページぶち抜きで紹介されました。井上尚弥が男子FIGHTER OF THE YEARに選出されたのは2023年で、リング誌は廃刊状態だったこともあり、個人で特集された記事としては日本人最長です。

米国版とサウジ版、雑誌サイズは同じと思ってましたが、並べるとサウジ版は縦が短くなっていました。

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ページ数は米国版が98、サウジ版が96とほぼ同じですが、⬆︎サウジ版の方が明らかに分厚い。

これは紙質のせいで、1枚の厚みがそもそも違うせいです。米国版は欧米の雑誌によくあるペラペラの頼りない紙でしたが、サウジ版はしっかりしたカタログ雑誌のよう。

ポストに届いたサウジ版を最初に手に取ったとき、その重量感から封筒の中身がリング誌だとは思いもよらず「なんだっけ、これ?」と開けるまでリング誌とは思いませんでした。

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口座引き落とし先がUAEだったのに、⬆︎ベルギーから届けられていることも封筒の中身をリング誌だと思えなかった一因です。

ベルギーで印刷してるのか?

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裏表紙は⬆︎カタールの観光業VISITQATAR(2016年3月号)と、米国チケット販売のBARRYS TICKETS(2016年3月号)。

そして、広告ページがほとんどなかった米国版からサウジ版はサウジはもちろん、UAEやカタールなど湾岸諸国の企業広告がいくつも彩っています。

イスラム圏以外の広告はDAZNがあるくらいで、レイジェスもウィニング、ナイキのボクシングギアの広告も見当たりません。

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ドネアの初黒星はキャリア2戦目。ロセンド・サンチェスに判定負けを喫します。

この敗北がクローズアップされるのは、3戦目からギレルモ・リゴンドーに36分間のボクシングレッスンを施されるまで29連勝をマークしたからだけではありません。

この試合が4回戦ではなく、5回戦で行われたからです。

4回戦、6回戦、8回戦、10回戦、12回戦。「偶数のラウンド制がデフォルトのボクシングは引き分けが起きやすい。ならば奇数制にすると引き分けは減る」という考えから、5回戦や11回戦が行われてきましたが、全くメインストリームになる気配はありません。

余談はこのあたりにして。

全く無名だったノニト・ドネアの名前をマニアに知らしめた試合は?

これは誰に聞いても、答えは同じ。

プロ18戦目で迎えた初の世界タイトルマッチ。IBF /IBOフライ級12回戦です。挑む王者は〝レイジングブル〟ビック・ダルチニアン。28戦全勝22KO、7度の世界戦はもちろん全勝で6KO。KOを逃したのは負傷判定に持ち込まれた5度目の防衛戦だけでしたが、めった打ちにされた対戦相手が負傷したため。

その相手が、ドネアの実兄グレンでした。

「兄貴の仇打ち」。そんな甘い幻想も吹っ飛ぶほど、ダルチニアンは強い王者でした。

ときは2007年7月7日。赤井英和なら何か言わないと気が済まない7月7日です。ところはコネティカット州ハーバーヤードアリーナ。

ここでボクシングの興行が行われるのは初めて、翌年にも二つの興行を行いましたが、いずれも商業的には失敗。それから2度とボクシングの興行は行われていません。

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リング誌2007年11月号から。



*****ノニト・ドネアはいじめられっ子だったが、誰かにいじめられそうになると兄グレンの背中に隠れた。その安全な場所から「ナナナ!」と、いじめっ子たちを挑発するような気の小さな子だった。

いつも守ってくれた兄がボコボコにされたのがビック・ダルチニアンだった。周囲の誰もが「ダルチニアンに挑むのだけはやめろ。兄弟揃って粉砕されるなんて悲惨なことだ」と忠告したが、ノニトの肚は決まっていた。

「今度は俺が兄貴の仇を打つ番だ」。

スピード、パワー、テクニック、全てのマトリクスで圧倒的に劣っていると見られたノニト・ドネアだったが、第4ラウンドまで全く互角に、いや互角以上にレイジングブルと拳を交換し合った。

第5ラウンド。仇打ちは、唐突に完結する。


たった一発の左フックのカウンターで、あの打たれ強いダルチニアンの膝が崩れ落ちたのだ。たった一発で、永遠に続くかに思えたダルチニアン王朝が強制終了された。

これが、初回に起きていたならフロックと片付けられていたかもしれないが、ノニト・ドネアは第5ラウンドでフィニッシュするまでもレイジングブルと目まぐるしい攻防を繰り広げたのだ。

オーソドックスが放つ旋律の左フックは、いつの時代もボクシングファンを陶酔させてきた。

ノニトの左フックは破壊的で、同時打ち。いや、同時ではなく相手に打たせてから、打っているかもしれない(後の先)。ダルチニアンは、ラッキーパンチに沈められたのでも、弱い相手に負けたのではない。*****


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ネクスト・パッキャオ、リトル・パッキャオ、ベイビー・パッキャオ、ジャパニーズ・パッキャオ…軽量級に現れた新星には必ずといって良いほど、その異名が付いてまわります。

そして、その全員が〝マニー・パッキャオ〟になれないまま、グローブを吊るすことになります。それどころか、パックマンが鎮座した(米国のスターダム)に近づくことすらできずに。

それでも、パッキャオのあとを最も執拗に追い続けたのは誰か?となると、多くのボクシングファンはノニト・ドネアの名前を挙げるでしょう。

「人気階級とは呼べないフェザー級で挫折したドネアと、ウエルター級でメガファイトを繰り広げたパッキャオを比較するのは無理がある」と思われるかもしれませんが、比較するのではありません。

最も熱い情熱で「パッキャオを追いかけ続けた」のがドネアだったということです。

ドネアが「マニー・パッキャオ」の名前を口にすることは極めて稀です。トップランクの言いなりになるしかない人気がない軽量級のドネアでしたが、ボブ・アラムに何度も抵抗したことがあります。

「パッキャオのアンダーカードで戦え」。何度そう指示されても、けして首を縦にふりませんでした。

あるいは、人気の無さを埋め合わせるために「リングサイドにパッキャオを招待する」という提案にすら、眉をしかめました。

しかし、それは身を焦がすほど熱烈に意識していたからでした。

「ライト級まで進出してHBOのPPV興行でメインイベンターになる」という夢も、明らかにパッキャオを意識していたからに他なりません。

夢であるのに、人気階級ど真ん中のウエルター級ではなく「ライト(計量)級」というのが悲哀を含んでいますが。

アラムは日本では大きな関心を集めたフェルナンド・モンティエル戦の頃から「ドネアの試合はいつも赤字。どのチケットが全く売れない不良債権」と業を煮やし始め、ギレルモ・リゴンドーやニコラス・ウォータースをぶつけてドネアの夢を破壊します。

そして「まだ契約期間は残っているが、私にも人情がある」(アラム)とフリーエージェントにされた可哀想なフィリピーノ・フラッシュ。

リゴンドーに眼窩底骨折の重傷を負わされ、ウォータースに痛烈にKOされてからそのキャリアは完全に低迷。

しかし2018年、35歳のとき、大きなチャンスが訪れます。ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)です。


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不人気階級や不人気選手を狙い撃ちにしたWBSSは〝貧困ビジネス〟と呼ばれるほど悪名高い大会で、当初いわれていたファイトマネーは10分の1以下のことも。

そればかりか、約束の期限までに支払われないことまで。試合スケジュールも直前になるまで発表されない、運営側との電話が繋がらないことから離脱したり、怪我を理由に試合をキャンセルする選手が続出。

ドネアも「不払いだけでない。連絡がつかない状態が続いている」と離脱を匂わせましたが、踏みとどまりました。

「WBSSは日本では井上尚弥の効果で盛り上がっている。決勝で井上と当たれば、日本側がファイトマネーを用意してくれるだけでなく、生まれて初めて大会場の舞台でメインを張れる」。

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しかし、大会前の優勝オッズは、ドネアが40倍。1.67倍前後を付ける井上と決勝で戦う可能性はほぼゼロと見られていました。

ドネア以下の大穴は、ジェイソン・マロニーとファン・カルロス・パヤノ。二人とも50倍という大きな数字でした。

まさかまさかの決勝進出、惨敗確実と見られていた井上戦でも大健闘。

そして、井上との初戦からここまで8試合のうち4試合を日本で戦い、米国では得られなかった注目と安定したファイトマネーを得ています。

多くのファンは「ドネアの全盛期を日本でも見たかった」と思っていますが、全盛期でも人気はなかったとはいえ、日本のプロモーターが全盛期のドネアなど呼ぶわけがありません。

完全劣化バージョンになってから、日本で大きな需要が生まれたドネア。ここ8試合の内訳は3勝5敗。

デタラメランキングのデタラメタイトルマッチの恩恵に浴せば、もう一度チャンピオンに返り咲けるかもしれませんが、それはデタラメが大前提…ということは、デタラメが加速しまくってるボクシング界では十分ありうる???

現実、今のドネアにかつての輝きはなく、タンクの中も空っぽです。

フィリピーノ・フラッシュを総括する時間がやって来てしましました。





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日本ボクシング界で最も重要な季節は年末ですが、北米市場では5月上旬のシンコ・デ・コマ。

今年の注目は2日にT−モバイル・アリーナで開催されるWBA /WBOクルーザー級タイトルマッチ。王者ヒルベルト・ラミレスにデビッド・ベナビデスが挑戦するメキシカン対決です。


2団体のストラップを賭けた一戦に、横槍が入ったのは今週のこと。WBCがラミレスとベナビデスをメキシコシチーに招待、この試合の勝者に特別ベルト “Tollan Tlatequi”を贈呈すると式典を開催したのです。

ベナビデスはWBCのライトヘビー級王者ですが、この試合にWBCは何も関わっていません。WBCクルーザー級王者はファンベースを持たないアルメニア人のノエル・ミカエリアンです。

この動きにWBAとWBOはすぐにトップ階段を開き、ラミレスvsベナビデスをプロモートするゴールデンボーイ・プロモーションズ、プレミア・ボクシング・チャンピオンズに対して「WBCの特別ベルトを認めるなら、この試合を承認しない」と通達しました。

WBCは承認料を支払わなかったという理由でテレンス・クロフォードのスーパーミドル級、シャクール・スティーブンソンのライト級タイトルを剥奪してきました。

また、IBFは先日行われたズッファ・ボクシングのクルーザー級タイトルマッチ(©︎ジャイ・オペタイアvsブランドン・グラントン)の試合を承認せず(オペタイアのタイトル剥奪はまだ発表されていません)。

サウジアラビア勢力から「百害あって一利なし」という厳然たる事実、ド正論を突きつけられた承認団体は、他社の介入へのアレルギー反応がますます過激になっています。

この存亡の危機に「承認料ファースト」の絶対哲学を共有する同業者と協力して外圧に対抗することはしないのですから、なにもかも腐っています。

かつて、マニー・パッキャオvsミゲール・コットのWBOウエルター級タイトルマッチにダイアモンドベルトを用意して介入したのが、WBCの特別ベルト商法の始まりでした。このときは「どうして無関係のWBCに5万ドルものベルト代を支払う意味があるのか」とパッキャオが拒否、WBCは無償で渡したといわれています。

今回は、そんなことが起きないように2人をメキシコに招いて華やかな式典を開催、まずファイターに承認してもらったという図式です。





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ボクシングシーンから。


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Jai Opetaia and the battle between wealth and legacy 
ジャイ・オペタイア〜金と名誉のはざまで



昨夜のラスベガス。誰もが認めるクルーザー最強のファイター、ジャイ・オペタイアは予定通りの勝利を収めて、3つのベルトを身にまとっていた。

右肩にアルファベット団体のIBF、左肩に階級最強を証明するリング誌、そしてベルトが本来あるべき位置、腰にはズッファの初代クルーザー級王者のベルト。これは彼自身が腰に巻いたのではない。試合終了後に、静かに背後から近づいたダナ・ホワイトがIBFやリング誌よりも先に装着したのだ。

ズッファと契約したコメンテーターのマックス・ケラーマンは「あなたは史上初のズッファ王者になった」と祝福し、初防衛戦について聞くと、30歳のサウスポーは「ベルトを持っている相手と戦いたい」とUndisputed championへの意欲を改めて示した。

しかし、これはズッファ側が期待していた回答ではない。

満点解答は「最強の称号であるズッファのベルトを手に入れた。初防衛戦はズッファが用意した最強の挑戦者と戦うことになる」だった。

時間の問題と見られるヘビー級への転向についても、オペタイアは「まず、クルーザー球でUndisputed(議論の余地のない=他の誰にも王者を名乗らせない)存在になりたい」。

オペタイアには、マッチルームと比較しても十分な条件で迎えてくれたズッファへの感謝はある。そして、不要階級の廃止と世界で一人だけの王者というサウジアラビアが支援するズッファの姿勢は100%正しい。

しかし、ズッファが掌握しているファイターはほんの一部で、階級No.1はオペタイアだけ。現時点で、見慣れないズッファのベルトを「最強の称号」と考える人はどこにもいないだろう。

モハメド・アリがズッファのベルトを腰に巻いていたか?

イベンダー・ホリフィールドやオレクサンデル・ウシクは多くのベルトを上半身にぶら下げていたが、その中にズッファのベルトはあったか?

現時点でズッファのベルトはオペタイアに金をもたらしてくれるだけで、スポンサーのロレックスから贈られる記念品と同じかそれ以下の意味しか持たない。

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「承認団体はいますぐ消えてなくなれ」と、高額契約したズッファの操り人形になった暗愚なテレンス・クロフォードと違い「今の段階ではズッファのタイトルは最強の証明にならない。承認団体のタイトルホルダーは取るに足らない弱いボクサーとは言い切れない」という態度を明白にしたオペタイアは素晴らしいです。

デビッド・ベナビデスやヒルベルト・ラミレスを傘下に収めるのにはもう少し時間がかかるでしょうが、カネロ・アルバレスでも動かされたのです。

「私はサウジの思う通りにならない。金で動く人間ではない」とカッコいいこと言ってたカネロがそうだったように、やはり金の問題だけでしょう。



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Sunday 8, March 2026
  
Meta Apex, Las Vegas, Nevada, USA
commission Nevada Athletic Commission 
event name Zuffa Boxing 4
promoter Dana White
matchmaker Charles Bosecker
 Paramount+


IBFはジャイ・オペタイアのタイトルについて、IBF Rule 5.E.2にもとづき「ズッファボクシングのタイトル、ベルトは表彰・トロフィーの類」として扱い、剥奪はしない方針ですが、IBF Rule 5.Hから非公認試合とすると発表しました。

両者とも原典があり119−106*3のユナニマス・デジションでしたが、内容はオペタイアのフルマーク。勝ち名乗りを受けるときにもIBFベルトを右肩にかけていましたから、この日の剥奪はなかった模様です。

現状のボクシング界で最も大きな影響力を持つダナ・ホワイトは、IBFが承認しなかったことについて「彼らのランキングで15位に入っているブランドン・グラントンとの試合なのに、どうしてだろう?彼らは何を恐れているのだろう?ボクシングがダメになった原因が承認団体にあることがあらためてよくわかった」。

どうしてタイトルマッチで承認量を取る?そんなスポーツは他にない。どうして、承認量を取ってるのにベルトまで売りつける?サッカーW杯のトロフィーや五輪の金メダルは、勝者への尊敬の証であり、当たり前だが無料だ。

ズッファは承認料もベルト代も取らないのでしょう。

ボクシングファンの中でも、承認団体(盗人)にも言い分があると考える人がいるのでしょうか?







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いまさらですが、プロボクシングの世界でついにスターの系譜が途絶えてしまいました。

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いま、今なお米国市場最高の商品価値を持ち、特Aサイドの恩恵を受けているカネロ・アルバレスですが、現時点のカネロがかつて屹立していたスターダムにまだ立っていると考える人は誰もいません。

圧倒的有利と見られたドミトリー・ビボルに完敗してからのカネロは勝利を重ねても内容的に予想を下回る酷いパフォーマンスを続け、挙げ句の果ては人気階級の超不人気選手テレンス・クロフォードの軍門に降ります。

キャッチウエイトにドーピング、旬の強打者は絶対に選ばない…カネロの好き放題はメキシコのファン以外には幻滅でしかありませんでした。

チャーロ兄弟、アルツール・ベテルビエフ、そして全盛期のゲンナジー・ゴロフキンと戦っていたなら…カネロの評価は全く別のものになっていたはずです。

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この50年を振り返えると…。

1960〜70年代を牽引したモハメド・アリ、1980年代に非ベビー級でもスーパースターになれるという革命をもたらシュガー・レイ・レナード、そして刹那のマイク・タイソン、世界を代表するスーパースターと呼べるかどうかは微妙ながらメキシコの時代のフロントランナーとなったフリオ・セサール・チャベス、史上初めてアマチュア・プロ・リングを降りてプロモーターと三つのフィールドで大成功を収めたオスカー・デラホーヤ、恐るべきセルフプロデュースで嫌悪をPPV売上げに還元したフロイド・メイウェザー、ロベルト・デュランやアレクシス・アルゲリョですら辿り着けなかった異邦人の天井を易々と破ったマニー・パッキャオ、人気階級を席捲したメキシコ最強のAサイド、カネロ・アルバレス…。

ボクシングの社会的ステイタスが下落する一方なので仕方がないとはいえ、スターの国際性、世界での認知度はどんどん低くなってしまいました。

観戦スポーツが客席や酒場で罵声を飛び交う男たちの憂さ晴らしから、女性を含めた家族ぐるみで楽しむ娯楽になら中で、ゲームの枠を逸脱したショッキングな結末も起こりうるボクシングが敬遠されるのも仕方がありません。

しかし、それ以上に問題なのがボクシングの構造がまともなスポーツファンには見向きもされない底なし沼にハマり続けているという事実です。

そもそもの存在が卑しい認定団体が分裂、さらに認定料稼ぎを目的に階級を増やす。それだけでは飽き足らず、さらなる認定料を求めて上位タイトルや地域タイトルなどを増設してタイトルまで細分化、認定料の支払いによる与信管理が優先されるデタラメランキングとそれに立脚したチャンピオンシップ。

この惨状を受け入れているのは清濁併せ呑むマニアくらいで。

あるいは「階級が細分化されているのはそれだけ階級の壁が厚いから」「指名挑戦者は強い」と、限度を超えた惨状を惨状とも思わない、認定団体から表彰されそうな馬鹿だけです。

スーパースターの系譜は途絶えました。

米国では「ヘビー級に強いファイターが出現したら活性化する」というファンもいますが、ありえません。

快進撃を続けていたデオンティ・ワイルダーですら、大きなムーブメントを起こすことなくリングを去りつつあるのです。

ーーーもはや、スターの絵札は一枚も残っていません。

無理矢理にでもイフを膨らませれば、ライアン・ガルシアがこれから人が変わったように規律と実力を高めていって、多くのファンが「絶対に無理」という強豪を撃破し続ける…のか可能性としてはあります。

しかし、普通に考えたなら、ガルシアはこれからも期待を大きく下回るお騒がせファイターのままキャリアを終えるでしょう。

現在のファイターの中からスーパースターが出現するとは全く思えませんが「ボクシング界の救世主になれる」というファイター像なら、あり得そうな気がします。





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