米国下院が、ムハマド・アリ・アメリカン・ボクシング復活法案(MAABRA:H.R.4624)を上院本会議への送付を圧倒的多数で可決しました。

この審議がほとんど抵抗なく進んだことは、ズッファ・ボクシングの背景に強力な組織が存在することをあらてめて示しました。

アリ法復活法はズッファ・ボクシングの傘下に収めるUFC/TKOグループが掲げる「腐り切ったボクシング界を正常にするための方策」の一つです。

TKOの責任者であるダナ・ホワイトが、トランプ大統領、共和党議員たちと長年にわたって築き上げたコネクションを使った働きかけに対抗するには、現状の没落した米国ボクシング界はあまりにも脆弱すぎました。

2000年に制定されたモハメド・アリ法は連邦法(州をまたぐ法律)で、契約条件の開示や選手の医療保障の強化などを決めたものですが、復活法ではUFCやWWEのように選手を一元管理しようとするものです。

UFC方式が採用されると「選手の権利が奪われる」「メジャースポーツのスター選手にも負けないカネを稼ぐボクサーがいなくなる」という見方もありますが、大間違い。

既存のボクシング界の人々は、この法案が「最低保証賃金の引き上げ、健康保険、医療安全基準の強化など、選手の保護を大幅に強化する内容」となっていることは、口が裂けても言いません。

「選手の権利が…」と語るのは「ボクシングの階級が超細分化されてるのは階級の壁が分厚いからで意味がある」「WBAやWBCは迷走しているがIBFとWBOはちゃんとしてる」「ランキングは正しく、指名挑戦者は強い」と思い込んでる思考停止の一部ボクシングファンの妄言にすぎません。

UFCスタイルは、現行の腐敗を極めたボクシング界よりもはるかにマシです。

「選手の権利」については、マネジメントが一元管理されるのですから、非常にわかりやすい労使関係が成立するはずです。メジャースポーツのような選手組合を作ることが出来たら、現状よりも素晴らしい世界が創出されるでしょう。

「ボクシングはマイナースポーツでも一握りの選手はメジャースポーツ並みの大金を稼ぐ」。これだからダメなんです。報酬がピラミッド型でないのが問題です。スターの系譜がカネロ・アルバレスで途絶えたことは、ボクシングの没落だけでなく、前向きに捉えると新しい時代の幕開けです。

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既存勢力はあちこちで、バラバラに反論めいたことを唱えていますが、どれもこれも他人任せ。

So why aren’t large sections of the media covering any of it?〜どうしてほとんどのメディアがこの件に関してきちんと報道しないのか?

And why hasn’t anyone formed a powerful and influential coalition within boxing to do anything about it?〜この侵略行為に対して、なぜ既存のボクシング勢力は協力して連合して抵抗しないのか?

Everyone seems to be looking at one another and shrugging.〜既存のボクシング勢力の誰もが互いの顔を見て肩をすくめているだけに見える。


侵略者は、自分たちが束になってかかっても勝ち目のないカネとコネを持っている…それだけでなく、議論しても、あっちが正論。だから、戦うだけ無駄、ということでしょう。

「ボブ・アラムが30歳若ければ、侵略者の好き放題はさせていない」なんて声もありますが、そもそもボクシング界を腐らせ続けた張本人の一人がアラムです。今は老害、昔は若害、いつでもアラムはボクシング界を蝕むタチの悪い害虫でした。

ホワイトは「(既存のボクシング勢力からの)反発?反発なんて全くない。赤ん坊を殴るようなもので、彼らには何も出来ない。彼らは互いに『間違ってるのはお前だ』と歪み続けてきたから、正論の前では団結すらできない」と笑い飛ばしました。

この法案が、正式な法律となるには上院本会議の通過と、ドナルド・トランプ米大統領の承認が必要ですが、大きな障害はないと見られています。

トップランクの弁護士パトリック・イングリッシュや、反トランプの民主党議員であるジョー・コートニーやイルハン・オマルはUFCがファイトマネーを抑えていた裁判などから「選手が搾取される」と訴えていますが、アラムらを弁護するのに「選手が搾取される」というのは、天に唾を吐きながらヤブを突っついて蛇を出し、巨大ブーメランを投げるような所業です。