カテゴリ: 国際ボクシング名誉の殿堂

Ray Robinson Award Fighter of the Year。

このブログでは度々触れてきましたが、井上尚弥が世界評価の頂点に登り詰めました。

アジア人では2012年のノニト・ドネア以来、11年ぶり。ジュニアフェザー級での活躍が評価されての選出は、やはりドネア以来で史上最軽量。受賞の決め手の一つになったのが「試合数」という点も同じです。

リング誌、ESPNとの〝三冠〟となると2006、08、09年を獲ったマニー・パッキャオ以来、アジア史上二人目の快挙。ESPNやリング誌と並べるのはRay Robinson Award Fighter of the Yearに失礼ですね。

そして、米国を主戦場としていない選手が受賞するのは史上初ではないでしょうか?

ESPNとリング誌の前哨戦を抑えたことで本命視はされていましたが、ドネアのときと違ってトップランクの影響力も減退、PFPとは違って軽量級に厳しい…懸念材料がなかったわけではありませんが、やりました!

日本での報道が少ないために、ボクシングファンでもRay Robinson Award Fighter of the Yearを知らなかったり、「リング誌のPFP1位が最高の名誉で、サッカーのバロンドール」と勘違いしている人も少なからずいたでしょうが、これが〝バロンドール〟です。

ボクシングファンとしては、日本人がバロンドールやESPY賞を獲るよりも、こっちの方が嬉しい。

Ray Robinson Award Fighter of the Year。さて、何から語りましょうか?
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

全米ボクシング記者協会(BWAA)の Fighter of the Year 、そうですSugar Ray Robinson Awardが今週末に発表されます。

ESPN、リング誌と〝前哨戦〟で Fighter of the Year に選出された井上尚弥。映画で例えるとゴールデン・グローブ賞(ボクシングの話で引っ張り出すとややこしいな…)やPGAアワードを獲って、残るは本丸、アカデミー賞!みたいな感じです。 

IMG_1506
IMG_1544

ノミネートされているのはデビッド・ベナビデス、テレンス・クロフォード、ガーボンタ・デービス、デビン・ヘイニー、井上尚弥。

井上の順番が最後なのは、David Benavidez、Terence Crawford、Gervonta Davis、Devin Haney、Naoya Inoue、とアルファベット順のため。

井上が大本命ですが…人が選ぶもの、タンクが入ってる時点で、どう転ぶかわかりません。

BWAAアワードにノミネートされている日本人は、もう1人。Trainer of the Year、Eddie Futch Awardに井上真吾も候補に挙がっています。これまでも何度かノミネートされていましたが、受賞には至っていません。

このアワードの最多受賞者はフレディ・ローチで2位グループの「2回」を大きく引き離す「7回」。そこまで傑出したトレーナーではありません、パッキャオのおかげです。

さて、真吾&尚弥がトリニダード、ロマチェンコの親子ダブル受賞に続く快挙なるか?
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

今年のボクシング界も、ここ数年のトレンドであるUndisputed championの誕生に注目が集まっています。

来月17日にはヘビー級でオレクサンデル・ウシクとタイソン・フューリーが Undisputed championship を争います。

また、寺地拳四朗のジュニアフライ級、井岡一翔らのジュニアバンタム級など日本人がらみのクラスも、完全統一に向けて活発化しそうです。

そして、現在の北米ボクシングシーンで傑出したスター選手であるカネロ・アルバレスが対戦を避けたアルツール・ベテルビエフと、順風満帆に見えたカネロのキャリアを脱線させたドミトリー・ビボルによるライトヘビー級のUndisputed championshipも大きな興味を集めています。

ベテルビエフが、カナダ・ケベックシティであと数時間後にゴングが鳴らされるカラム・スミスを迎える防衛戦にクリアすると、4月か5月にサウジアラビア開催でビボル戦が内定していると見られています。


ライトヘビー級。クルーザー級と共にヘビー級の陰が差すクラスで日本のファンにとってはマイナー階級ですが、欧米では軽量級よりもはるかに注目されてきました。

ヘビー級とクルーザー級への進出が期待されるような強豪王者の登場と、下の人気クラスからスター選手が進出してくる、上下の〝進出〟が起きると一気に陽の当たる場所になるのです。

01ae12_30673ae0b81b4303a694013795ce61ef~mv2.jpgのコピー

2010年代からここまで、リング誌のFighter Of The Year にアドニス・ステベンソン(2013年)、セルゲイ・コバレフ(2014年)、ドミトリー・ビボル(2022年)と3人も選出されています。

全17階級でこの14年間で最多。ビボルは全米ボクシング記者協会(BWAA)のSugar Ray Robinson Awardも受賞しています(BWAAの2013年はフロイド・メイウェザー、2014年はテレンス・クロフォード)。

51歳まで世界のトップ戦線で活躍したバーナード・ホプキンスが、2010年代のキャリア後半に主戦場にしたのもライトヘビー級でした。

今年、このライトヘビー級でUndisputed champion が誕生すると1984年2月25日に主要3団体(当時)全てを統一したマイケル・スピンクス以来、40年ぶりとなります。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

多くのボクシングファンの〝戦前予想〟を裏切って、ESPNとリング誌のFighter Of The Yearに、日本人として初めて選出された井上尚弥。

ボクシングは日本でも世界でもけして人気スポーツとはいえません。さらに、世界的な統括団体が存在しないため、表彰もスキャンダルに塗れた慢性経営不振のリング誌をはじめとするメディアが選出するという不健全なプロスポーツです。

井上のFOTYロードの本丸、Sugar Ray Robinson賞にしてもBWAA=全米ボクシング記者協会というローカル記者会によって決められます。

その意味で、人気スポーツはもちろん、世界的な統括団体のある他のマイナースポーツと比較して、MVPの価値や注目度に疑問符を付けられても文句は言えません。

それでも、米国ボクシングに魅了されてきた私のようなボクシングファンにとってはSugar Ray Robinson賞はもちろん、リング誌のFOTYですらスペシャルな感慨が溢れるアワードです、今でも。

スクリーンショット 2018-06-20 0.57.31

リング誌のFOTYベルト。井上にも贈呈されるはずです(リング誌のベルトはボクシング界ではあり得ない無償)。


さて、FOTYで最も格上のSugar Ray Robinson賞は、リング誌やESPNの記者も投票するBWAAの選考で決められますから、井上が〝本丸〟も崩して、来月か3月にニューヨークで開催されるセレモニーの主役として招待される可能性が濃厚です。

01ae12_30673ae0b81b4303a694013795ce61ef~mv2.jpgのコピー
01ae12_a3589ef82fe5449bab81151eaae9bbc4~mv2.jpgのコピー
2022年のSugar Ray Robinson賞に選出されたドミトリー・ビボル。ビボルはトロフィー・プレートを掲げ(上)、受賞スピーチも。この演壇に日本人が史上初めて上がることになりそうです。NYのルーズベルトホテルで開催されることが多いセレモニーですが、今年はどこになるのでしょうか?


さて、なぜクロフォーでではなく井上だったのか?

ESPNの場合は業務提携を締結するトップランク(井上をプロモート、クロフォードとは訴訟沙汰に発展するなど犬猿の仲)という政治的引力が働いた可能性もあります。リング誌の場合もクロフォードの低脳な言動や、安易な対戦相手選びには以前から批判的で〝内申書〟が悪かったことは否めません。

そして、井上もクロフォードもキーとなる試合で印象的な勝利を収めましたが、日本人は2試合、DQNは1試合という試合数が決定的要素になりました。プロとしては当然です。


IMG_1506
ESPNは「The award for the sport's most outstanding men's boxer goes to none other than "The Monster," a generational talent whose irrepressible talent isn't bound by weight.(最高の賞は人気階級とか不人気階級とかの階級では抑えきれない才能を発揮した〝モンスター〟をおいて他には考えられない)」とし、常識的にはクロフォードと考えられた次点にはデビン・ヘイニーを挙げ「まだ25歳、これからFOTYに選ばれるチャンスが何度もあるだろうから」と訳のわからない理由まで。

ヘイニーに続く候補がクロフォード、三番手がデビッド・ベナビデスでした。


IMG_1544

そして、リング誌は「Inoue joined pound-for-pound rival Terence Crawford as the only male two-division undisputed champion of the four-belt era, and he did so in a 12-month span.(井上はPFPキングを争うクロフォードと4団体時代で二人しかいないUndisputed titleの2階級制覇を、わずか12ヶ月で成し遂げた)」と、昨年12月のバンタム級完全統一の試合も選考理由に加味していることを匂わせています。

かなりいい加減な空気も漂うプロボクシングのFOTYですが、この良く言えば「魑魅魍魎」、悪く言えば「もはやスポーツとは呼べない」世界では最高の賞です。

過去にジュニアフェザー級以下ではマイケル・カルバハル(ジュニアフライ級:1993年リング誌/BWAAはリディック・ボウ)、ポーリー・アヤラ(バンタム級:1999年リング誌/BWAAはレノックス・ルイス)、ノニト・ドネア(ジュニアフェザー級:2012年BWAA/リング誌はファン・マヌエル・マルケス/ESPNはフロイド・メイウェザー)、※ロンダ・ラウジー(バンタム級:2015年ESPN/BWAAはメイウェザー/リング誌はタイソン・フューリー)。

いずれも〝完全制覇〟ではありません。ジュニアフェザー級でFOTYにESPNとリング誌に選出された井上は、今の時点ですでに同時選出の史上最軽量です。


※ESPNは2007年からFOTYを発表。その対象はプロ・アマのボクサー、総合格闘家で男女の垣根もありませんでした(男子プロボクサー以外で受賞したのはラウジーだけ)。2019年からはBoxer Of The Yearと、MMA Fighter Of The Yearに分離。


さて、ファイティング原田と井上尚弥。どちらが日本史上最高なのか?
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

ESPN、リング誌のFighter Of The Yearに井上尚弥が選ばれました。

※ESPNが「Boxer Of The Year」と表記していることについてはまた別の機会に。

井上は2019年のノニト・ドネア1stが全米ボクシング記者協会(BWAA)、ESPN、リング誌からFihgt of The Year(年間最高試合)に選ばれています。これはFighter Of The Yearに「er」が足りないだけですが、価値はちょっと違います。

RING_FOTY23_COVER.FINAL_
IMG_1544
IMG_1506

フロイド・メイウェザーの言葉を借りると「下手くそなボクサー同士が泥試合を戦ったのがFight Of The Year」です。まー、お前もファイターの端くれならもっと激闘見せろ!と言いたいとこですが。

もちろん、井上と、その井上に先んじて三浦隆司(2015年:vsフランシスコ・バルガス)が選出されたBWAAのFight Of The Year(Muhammad Ali – Joe Frazier Award)は、たとえ敗れてもプロボクサーの勲章です。

そして、Fighter Of The Year(Sugar Ray Robinson Trophy)は文句なしに最高の勲章です。

このブログではPFPを「妄想」「お遊び」と断定しているのに、同じように人の脳内で決めるFOTYを評価するのは何故かというと、一言でいうと「歴史」と「権威」が全く違うからです。

1990年代まで定期的にランキングが発表されることがなく、あちこちのネットメディアが好き勝手にランクしている、表彰制度も整備されていないPFPは、熱心なマニアですら10年前はもちろん、去年のランキング、去年の1月6日の1位も忘却しています。せいぜい去年で「ウシクかクロフォード?」と自信無げな程度、2年前、3年前となるとさらにアヤフヤになるでしょう。

ところが、その起源を1920年代まで遡るFOTYは昨日ボクシングに興味を持った人でも、遥か過去のウィナーを簡単に知ることが出来ます。

単に、長い「歴史」があるだけでなく、ゴミのように忘却されたりすることがないのが「権威」です。

まあ、年に一人しか選ばれない(複数選出の年もありますがレア)ということもありますが。

そして、大谷翔平が獲ったESPY賞やア・リーグMVP、サッカーのバロンドールと、どちらが価値があるか?なんていうのも、愚問です。

ボクシングは先進国ではマイナースポーツ、先進国では軽量級はほとんど無視されています。井上の世界戦が最も注目されるのもこのスポーツに特別な思いを燃やすフィリピンとメキシコくらいですが、「国」ではなく「人」で見ると世界中のコアなボクシングマニアが注目しています。

日本人がバロンドールを獲ったら絶賛しますが、個人的には日本人がSugar Ray Robinson Trophyに選ばれる方が嬉しい。

サッカーよりも何倍もボクシングが好きだからです、当たり前の思考回路です。

もちろん「所詮は人が決めるものだからくだらない」という気持ちはありますが、それは獲ってからの話。「今年は井上が妥当だろ!」なんて、落選したら負け犬の遠吠えです。

前置きが長くなりました。

WBOが主要団体として認知された1995年頃からの4-Belt Eraで、2階級のUndisputed Championになったテレンス・クロフォードと井上尚弥の一騎打ちとなったFOTY2023。

まず、ウェルター級は人気クラスでレベルも高い、ジュニアフェザー級は欧米で関心が薄く層も薄い、ゆえにレベルも低い、なんて階級差別は排除して考えるのは当然として、選考の焦点は2つに絞られます。

①クロフォードが勝ったのは、PFPファイターのエロール・スペンスJr.。

②井上はジュニアフェザー級最強といわれた二人のうち一人スティーブン・フルトンと、もう一人ムロジョン・アフマダリエフに勝利したマーロン・タパレスに勝利。

「誰に勝ったのか?」という命題に対してはクロフォードに軍配が挙がりますが、チャンピオンとして年1回しか戦わずにFOTYとは如何なものか?というマイナスポイントは拭えません。

井上の2試合は、現代のチャンピオンとしても多いとは言えませんが、クロフォードよりはマシ、そして相手はPFPとは無縁ながらUnified Champion(団体統一王者)。現状のジュニアフェザー級シーンを見渡して「フルトンとタパレスでは物足りない」とは誰も言えません。

さて、ESPNとリング誌、そしておそらくBWAAも井上を選出するであろう流れの中で、先進国で唯一存在感を示しているプリントメディア、英国ボクシングニューズ誌はクロフォードをFOTYに選びました。

この三つのメディアの主張をまとめて、井上とクロフォードのどちらがFOTYに相応しいのかを独断と偏見で決定いたします。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

すでにESPNのFighter Of The Yearに選出されていた井上尚弥が、リング誌のFighter Of The Yearにも選ばれました。

IMG_1544

アジア人としてはマニー・パッキャオが2006、2008、2009年に3度受賞して以来、史上二人目の快挙。

ノニト・ドネアは2012年、全米ボクシング記者協会(BWAA)のFOTY=シュガー・レイ・ロビンソン賞を獲得していますが、その年のリング誌のFOTYはファン・マヌエル・マルケスでした。

今年のFOTYはテレンス・クロフォードが優勢と思ってましたが、嬉しいサプライズです。

これで、ESPNとリング誌からも選考記者が参加する最も格上のBWAAのFOTYでも、井上が大本命に躍り出ました。

殿堂入りも確実、一発殿堂の可能性も十分です。


11回?にわたって書き連ねて来た「ファイティング原田1965」と「井上尚弥2023」日本最高ファイターはどっちだ?!。西暦も内容も変えて、リスタートです。

最も格上のBWAAを残しているとはいえ、井上がESPNとリング誌のFOTYに選ばれたことで、〝原田〟側の武器は「誰に勝ったか?」だけに絞られました。

1960年代に一般的でなかったPFPを当てはめると、エデル・ジョフレが1位、ジョフレに2戦2勝の原田が2年近く1位に君臨した可能性大、インターネット以前の1960年代はジョフレですらFOTYに選ばれず、井上と同列に語るべきではない…などなど異論はあるでしょうが、当時から存在したFOTYに井上が日本人で初めて選ばれた事実は動かせません。

さて「アジア」という括りでは、軽量級なのか中量級なのか意味不明のパッキャオの存在が邪魔ですが、ここでは「世界の軽量級」まで広げ、井上と原田だけではなく亀田興毅まで包含した軽量級の世界歴代最高論を語り合いましょう。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

ボクシングの年間最高選手賞、Fighter Of The Year もPFPもトドのつまりは人が決めること、リングの中で起きたことではありません。

今季、大谷翔平が2度目の満票MVPに輝きましたが、正直、すでに1回獲ってますし、何よりも「アメリカをパワーでねじ伏せる」という日本の悲願を十分見せつけてくれたので、人の評価はもうどうでもいいと感じていました。

ただ、ボクシングの場合は「まだ誰も獲っていない」、つまりファイティング原田も届かなかった、という点で、ここは是非とも獲ってほしいという思いがあります。

スクリーンショット 2018-06-20 0.52.56
これ↑はリング誌のFOTYベルト(作る年と作らない年があります…)。


PFP1位、これはリング誌では1980年から年間表彰でスタート(2017年に廃止)、今では各専門メディアが発表していますが、年に何度もシャッフルされ、歴史も浅く、そもそも記録にも残りません。

「リング誌のPFPは権威がある」と妄言を吐く井上信者でも、一年前のPFPランキングさえ覚えていません。それこそがPFPの本質です。ここまで教えてあげても、井上信者には理解できないのでしょうが。

今年、井上尚弥のライバルになるのはテレンス・クロフォード、ただ一人です…のはず。

そのBudが今年、リングに上がったのはたったの1度。7月29日、エロール・スペンスJr.とのウェルター級のUndisputed championship。

PFPやFOTYを考えるとき、階級差別は除きます。当たり前です。

ただ、FOTY(シュガー・レイ・ロビンソン賞)を決める全米ボクシング記者協会の記者はほとんどがアメリカ人ということは、階級差別が避けられない気もします。

シュガー・レイ・ロビンソン賞、最近では2012年にジュニアフェザー級のノニト・ドネア、2016年にフェザー級のカール・フランプトンが輝いていますが、ジュニアライト級以下で選出されたのは歴史上この二人だけ。

これを「やはりジュニアライト(超軽量級)以下は評価されない」と見るか、「この10年で潮目は変わってきている」と見るか?

さて、今年の井上は122ポンドデビュー、2試合を戦いました。

7月にWBC/WBO王者スティーブン・フルトン、そして昨日のWBA/IBF王者マーロン・タパレス。井上も2階級でUndisputed championになりましたから、そこは五分。表層的には1試合多く戦っているモンスターに分があるように思えます。

2012年のドネアが評価された最も大きな要素は「年間4試合を戦った」ということでした。

では「フルトン+タパレス」でも、「スペンス」には及ばない、相手が違いすぎるのでしょうか?ここは階級差別抜きにしても、6年以上も王座に君臨したスペンスが遥かに上かもしれません。

フルトンやタパレスが長期政権を築いたり、圧倒的な強さを見せて王座に君臨する姿は考えられません。いつも苦戦しているイメージです。この二人が次の試合で負けても「あのフルトンが負けた!」「タパレスが惨敗するなんて!」と驚く人はいないでしょう。

井上の場合はやはり対戦相手の質が問題ですが、「2試合戦った」ことに加えて、「印象の新鮮さ」、さらにクロフォードは2014年に1度FOTYを獲得していることも追う風にはなりそうです。


個人的には厳しいと感じていますが、どうなりますやら…?
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

プロボクシングがマイナースポーツの中でも特異な光を放ってきた理由の一つは、その時代を代表するオピニオンリーダーたちがトップファイターを語り継いで来たからでしょう。

その意味では、プロボクシングがマイナースポーツどころか、堂々のメジャーだった1960年代は少し趣が違うかもしれません。

60年代に別格の光彩を放ったファイティング原田は、三島由紀夫や升田幸三らが言葉を紡ぎ、半世紀が経っても百田尚樹が小説にし、リング誌をはじめ海外でも「日本史上最高のボクサー」としての評価を固めています。

100人以上の世界王者を輩出してきた日本の中でも、名誉の殿堂のモダン部門に事実上の一発殿堂を果たしたのは原田だけ。

現在、高い評価を得ている井上尚弥でもカネロ・アルバレスやテレンス・クロフォード、オレクサンデル・ウシクらと引退年が一致してしまうと一発殿堂は難しいかもしれません。

井上に次ぐ世界評価を得ている井岡一翔の殿堂入りはありうるでしょうか?

リング誌は60年代PFPで原田を5位にランクしましたが、後世の世界評価の2020年代で井上や井岡はどう評価されているでしょうか?

井上は、後世の評価で2020年代のPFP10傑に入ることが出来るでしょうか?

まだ2020年代は折り返していませんが、瞬間的なPFPではカネロ・アルバレスやテレンス・クロフォード、オレクサンデル・ウシクが井上よりも遥かに長い期間で1位に君臨しています。

さらに、残されあと7年で彼らを上回る、あるいは並ぶレガシーを築くファイターが複数人現れるのは間違いありません。

井岡はジュニアバンタム級のビッグネームを撃破すると瞬間的なPFPには返り咲くでしょうが、ディケイドでその名前を刻むのは厳しいように思えます。

そして、半世紀後に井上や井岡の業績に注目するベストセラー作家が現れるでしょうか?

IMG_0144
ポール・バトラーを破壊して作った〝歴史〟は、後世にどう評価されるのでしょうか?

まだメジャーの残り香が漂っていた70年代は、輪島功一を沢木耕太郎らが描きました。

70年代から80年代初めに日本のリングを支配した具志堅用高は、首相官邸に呼ばれて連続防衛記録の偉業を、ときの総理大臣から讃えられるなど王貞治と並ぶスーパースターでした。

野茂英雄が太平洋を渡り、Jリーグが世界のスポーツがどういうものかという輪郭を明らかにした90年代に登場したのが、辰吉丈一郎でした。

辰吉は、もはや誰もが注目するスーパースターではありませんでしたが、ボクシングファンとビートたけしらが熱愛しました。

21世紀になると日本中がその名を知る「亀田一家」という非常に特殊な光、限りなく闇に近い光が差し込みます。

「亀田」はテレビ局と、承認料目当ての認定団体が作り上げた〝実力を伴わないヒール〟でした。刹那の炎上商法では、オピニオンリーダーたちからの支持を得ることは出来ませんでした。

そして、長谷川穂積、西岡利晃、山中慎介、井岡一翔、井上尚弥と「日本が好き勝手出来る階級」(村田諒太)で、世界的に評価が高いボクサーが次々と現れます。

「この次のステージ」が「日本が好き勝手できない階級で大活躍する日本人を育てること」であるのは明らかですが、それはまた別の話。

かつて三島由紀夫が原田に言葉を寄せたように、井上尚弥には松本人志が熱い眼差しを向けてきました。

時代が変わり、ボクシングがマイナーの坂道を下り続けても、このスポーツに魅せられるオピニオンリーダーたちは絶えることがありません。

それほどボクシングには魅力がある、ということの証左です。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

スコットランド初の世界王者、ケン・ブキャナンが亡くなったと、ケン・ブキャナン財団がfacebookで発表しました。 

EOJN1snU0AAvFEg-770x513
 

BBBofC(英国ボクシング管理委員会)のスコットランド地域ライト級、BBBofCライト級、EBU欧州ライト級と着実にステップアップして1970年9月26日、灼熱のパナマでイスマエル・ラグナをSDで攻略、ニューヨーク州アスレティックコミッション公認タイトルと、WBAタイトルを獲得。翌年にはルーベン・ナバロ(Ruben Navarro、米国)に勝利してWBCのベルトを加え、Undisputed Champion に。

このタイトルは1972年6月26日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで13ラウンドTKO負けで失います。13ラウンド終了間際にボディーブローでブキャナンが悶絶してしまうのでしたが、それはどう見てもローブローでした。

しかし、この不当判定が大きく非難されることはありませんでした。それまでの展開が挑戦者優勢だったからではありません。

このあと、新王者のロベルト・デュランがあまりにも輝かしいキャリアを駆け抜けたからでした。
 
dec-71-cover-770x1031

ブキャナンは再起戦でカルロス・オルチスを6ラウンドで棄権させ、伝説の名王者オルチスはこの試合でリングを去りました。

さらに、1975年2月27日には東京でWBC王者のガッツ石松に挑戦、判定負けで返り咲きを阻まれました。

母国スコットランドに英国、スペイン、プエルトリコ、米国、南アフリカ、カナダ、イタリア、デンマーク、イタリア、ジンバブエ、日本…色白のライト級は見かけによらずどこまでもタフで、誰とでもどこでも戦うロード・ウォリアーでした。

2000年には国際ボクシング名誉の殿堂(International Boxing Hall of Fame )入り。

私は現役時代のブキャナンを知りませんが、80年代からボクシングを見るようになってブキャナンが何者なのかは活字や映像から知りました。 

現役時代を知らないのに、誰とどう戦ったのかを知っている。

つまり、そういうことです。グレートです。 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

大谷翔平のようなメジャースポーツのMVPじゃないんだから、そんなに目くじら立てなくてもと言われるかもしれませんが、ボクシングの 2022 FIGHTER OF THE YEARについて。

ご存知の通り、ほぼ全てのメディアが選んだのはドミトリー・ビボル。

主要メディアで、32歳のWBAライトヘビー級王者の他にノミネートされたのは、以下の通り。

◉全米ボクシング記者協会(BWAA) …ヘクター・ルイス・ガルシア、デビン・ヘイニー、井上尚弥、ジェシー〝バム〟ロドリゲス、寺地拳四朗。

◉ESPN…次点としてデビン・ヘイニー。その他候補でバム、井上。

◉リング誌…井上、バム、寺地。

DvmxepvX4AAFZww

井上か寺地が選ばれると、いずれのメディアでもアジアではノニト・ドネア(2012年)以来、アジアを主戦場にするファイターとしては史上初の快挙でした。

3メディア全てにノミネートされたのはビボル、井上、バム。

寺地はBWAAとリング誌で候補に挙げられました。

FIGHTER OF THE YEARは、その年に最も活躍したボクサーに贈られるものだから、決定機関のある米国で注目度の低い軽量級は何をしても「活躍」にならない…なんて理屈はナシで話を進めてゆきます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ