カテゴリ: FIGHT SONG

Monday 24, February 2025
  
Ariake Arena, Koto-Ku, Tokyo
commission:Japan Boxing Commission
promoter:Akihiko Honda (Teiken Promotions)
media:amazon prime video




◾️スーパーミドル級6回戦◾️

赤井英五郎vs森合竜也



◾️WBAバンタム級12回戦◾️

©️堤聖也vs比嘉大吾



◾️ジュニアフェザー級10回戦◾️

那須川天心vsジェイソン・モロニー




◾️WBCバンタム級12回戦◾️

©️中谷潤人vsダビド・クエジャル


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明日からの1週間で4人のPFP(今回はリング誌)ファイターが登場、Mythcal(妄想)Ranking が変動するかもしれません。

いやはや、妄想が掻き立てられますなあ。

まずは、現在のリング誌PFPランキングをチェック。


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2月23日(日)サウジアラビア・リヤド 

Undisputed Light Heavy weight championship

©️アルツール・ベテルビエフvsドミトリー・ビボル


ベテルビエフが4位、ビボルは5位。PFPファイター同士の激突です。つまり勝敗がどちらに転んでもランキングが言動する可能性大。

1位のウシクの牙城を崩すのは難しいにしても、勝ち方によっては2位の井上尚弥を侵略するかもしれません。

ビボル11/10(2.1倍)、ベテルビエフ5/6(1.83倍)と、再戦でも50:50。




2月24日(月)江東区・有明アリーナ

WBCバンタム級12回戦

©️中谷潤人vsデビッド・クエジャル

ビッグバン中谷は9位。

評価が高いレイソン門下の〝将軍〟クエジャルにまで圧勝して、1週間後に8位タンク・デービスが不細工な試合をしでかすと、間違いなくワンランクアップ。

鮮やかな勝利から遠ざかりランクを沈降しているカネロ・アルバレスも抑えて7位もありえます。

中谷が1/7(1.14倍)、クエジャルは9/2(5.5倍)。




3月2日(日)ニューヨーク・バークレイズセンター

WBAライト級12回戦

©️ガーボンタ・デービスvsラモント・ローチ

「弱い相手としかやらない」と契約書に盛り込まれているんじゃないか?と疑いたくなるタンクは、今回もそんな相手と防衛戦。この犯罪者は一生、このままでしょぅ。

タンク転覆、負けて欲しいです。

しかし、オッズは1/20(1.05倍)。1階級下の穴王者ローチは8/1(9倍)。




※日時はいずれも日本時間。


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【19日 共同】元世界ボクシング機構(WBO)フライ級王者の木村翔(36)=花形=が19日、現役を引退し、4月27日に埼玉県熊谷市で引退興行を行うと、主催するDANGANプロモーションが発表した。

元世界王者の八重樫東さんとのエキシビションマッチに臨む。

埼玉県出身の木村は2013年プロデビュー。

17年7月、上海で五輪2大会連続金メダルの王者、鄒市明(中国)に11回TKO勝ちし、WBO王座に就いた。

日本選手が敵地で新王者となったのは、日本ボクシングコミッション(JBC)公認試合では1981年の三原正以来の快挙だった。戦績は19勝(12KO)3敗4分け。



Forever Young〜

もうあの歌をバックに花道からリングに駆け上がることはないのでしょうが、あなたはForever Young 、第二の人生でもびっくりする嬉しいニュースを届けてください。


♬ 雨宿りするくらいなら

           晴れている街に 駆けて行くさ〜〜




おつかれさまでした!



.......「八重樫東さんとのエキシビションマッチに臨む」。

4月27日(日)熊谷か。東京から新幹線で40分くらいか。



♬ 片っ端から友達に借りまくれば

けっして行けない場所でもないだろう
   
      熊谷くらい〜





木村翔と八重樫東のエキシビション。

さんざんエキシをバカにしてコケにしてきた、私ですが全面的に訂正します、謝ります、生まれ変わります、これは生で見るしかない!

横アリくらいでやってくれたらありがたかったけど、上海とかじゃなくて良かった!

♬ けっして行けない場所でもないだろう 熊谷くらい〜


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2月24日(月:天皇誕生日の振替休日)
東京都江東区 有明アリーナ

コミッション:日本ボクシングコミッション
プロモーター:本田明彦(帝拳プロモーションズ)

メディア:アマゾン・プライムビデオ



■WBCバンタム級12回戦

中谷1/7(1.14倍) クエジャル9/2(5.5倍)

有明のリングに上がる6人の118パウンダーの中で、天心の次に素質があるのはクエジャルかもしれません。

直近の試合はジュニアフェザー級ですが、レイノソ一門の薫陶を受けたのですから体重超過はないでしょう…。ライアンやらネリはカネロに惹かれて気まぐれ入門しただけと信じましょう。

素材は確かですが、まだまだ未完の匂いしかしないクエジャルは今回が初の12回戦で、世界基準の相手との手合わせはありません。それがいきなりPFPファイター相手に世界戦です。

1−7のオッズは、23歳のメキシカンにかなり好意的に映ります。

あってはいけないことですが、もしもクエジャルが途轍もないポテンシャルを秘めていて、それをこの試合で爆発させるようなことがあると…。

それはないでしょう。

1日前に行われているアルツール・ベテルビエフvsドミトリー・ビボルの再戦が明白な形で決着すると敗者がPFPランキングを急降下、中谷のランクが繰り上がっているはずです。

ESPNやリング誌、そして最も公正と考えられているTransnational Boxing Rankings Boardで1位に評価されているオレクサンデル・ウシクが噂されている引退となると、ここでも一つ繰り上げ。

9月に予定されているカネロ・アルバレスvsテレンス・クロフォードの勝敗がどう出ようとも、やはり繰り上がる可能性大。

来年の今頃は多くのPFPでトップ3を井上尚弥、バム・ロドリゲス、中谷の超軽量級ファイターが独占、オスカー・コラーゾや寺地拳四朗らもランクイン、ジュニアフェザー級以下のファイターが過半を占めているかもしれません。




■バンタム級10回戦

天心2/5(1.4倍) モロニー19/10(2.9倍)

オッズが示す通り、モロニーにとって非常に難しい試合です。

サウスポーの武居由樹のスピードに翻弄された34歳のオージーが、天心の速さに順応できるとは到底考えられません。

世界戦2勝3敗。その2つの勝利もクロスゲーム。元・王者というのは不正確な表現で、正確には元・穴王者です。

モロニーが開き直って、第1ラウンドから超ホープに向かっていけるか?立ち上がりに不安があり、迷ってしまいがちないつものジェイソンだとそれも出来そうになく、厳しい展開しか予想できません。

逆目でいうと、この元・穴王者に苦戦するようなら、天心のチャンピオンロードの雲行きと評価は一気に怪しくなります。帝拳セレクションに抜かりはないとは思いますが…。

そして、モロニーは自分がどんな役回りで日本に呼ばれたのかを理解しているはずです。天心の噛ませ犬になる気はさらさらないでしょう。

母国でAサイドで戦い続け、晩年はホープの踏み台に。

スピード、パワー、テクニック…モロニーが世界基準の武器を何一つ持たないことは、その世界戦の内容を見れば誰の目にも明らか。しかし、頑健な肉体と根性があることも、その試合内容から明らかです。

もちろん、天心を応援しますが、モロニーにも天心の良薬になるような意地を見せて欲しい、そんな気持ちにもなってきます。




■WBAバンタム級12回戦
©︎ 堤聖也vs比嘉大吾

堤2/5(1.4倍) 比嘉19/10(2.9倍)←天心vsモロニーと同じ掛け率です。

日本が好き勝手できる軽量級の本領発揮の一戦。日本最強決定戦ですらない〝世界タイトルマッチ〟って一体何なのか?あまりにもシュールです。

もちろん、堤にも比嘉にも一片の瑕疵もありません。

ファンにとっては〝ボクシング純情〟が正面衝突する、楽しみな試合です。このイベントで最も感動する試合の予想、最右翼でもあります。。

「とにかく勝利を優先させる」なんて口にしても、そんな小手先の器用さをこの2人が持ち合わせているはずがありません。

魂の拳がぶつかったとき、2人のファイターはどれほどの痛みを感じるのか、私たちの鼓膜をどこまで振動させるのか、そして私たちの心をどんなふうに揺さぶるのか、じっくり味合わせてもらいます。



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T.K.

2025/02/15 15:24

採算度外視のサウジやサブスクからの金は、なんだかなぁ…という感じです。
好カード連発のサウジはともかく、キャリアの無駄遣い連発のLeminoにはガッカリです。
井上信者と呼ばれている人達は、ここ数戦のマッチメイクに満足しているのか?Leminoは加入者数を伸ばしているのか?謎です。
今後に期待。残された時間は長く無い。

勿論井上ファンです。

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レナードもタイソンもデラホーヤもメイウェザーもパッキャオもーーー然るべき相手との激闘がありました。

レナードやメイウェザー、パッキャオは燃え上がる火中を鮮やかに潜り抜け、デラホーヤは一進一退の激闘を見せ、タイソンは全敗ながら滅びのショックを与えました。彼らの星勘定はそれぞれでも、ライバルたちとの激しい凌ぎ合いがありました。

残念ながら、井上尚弥にはそれがありません。

もちろん、、パッキャオのバレラとモラレスとマルケスなんて実力(3人ともPFP上位)、人気(3人ともメキシカン)という奇跡もいいところの巡り合わせでした。常識的には軽量級でデュランやハーンズ、ハグラー、チャベス、トリニダード、ホプキンス、ハットン、コット、カネロのようなボクシングファンなら誰でも知っているビッグネームは、そもそも存在するわけがないのです。

パッキャオの幸運や人気階級と比較すると小粒感が否定できないとはいえローマン・ゴンサレスやファン・フランシスコ・エストラダーダ、ギレルモ・リゴンドーらとのニアミスや、10年スパンでは全盛期ドネアやレオ・サンタクルス、アブネル・マレス、カール・フランプトンらとのすれ違いーーー。

彼らは全員がPFPファイターでチョコラティトは2年間も1位に君臨。やはり、全員がFighter of the Yearにノミネートされた経験を持ち、ドネアとフランプトンはこのボクサー最高の賞に輝きました。

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アドリアン・エルナンデスは階級最弱王者の評価でしたが、なぜか井上信者は階級最強と思い込んでいます…。


「強い相手としか戦わない」。考えてみると、これは実に深みのある言葉です。

強い相手としか戦わないはずなのに、デビュー戦からいきなりクリソン・オマヤオですからビックリ仰天です。

田口良一、オマール・ナルバエス、エマヌエル・ロドリゲス、スティーブン・フルトンは階級最強(田口は「未来の階級最強」)だったとはいえ、けしてインパクトのあるメンツではありません。

井上のキャリアのどこをどう見渡しても、PFPファイターは1人もいません。「元」まで緩和してもドネアだけ。そのドネアを除いて、Fighter of the Yearにはノミネートすらされたことすらない、そんな対戦相手がずらりと並んでいるのです。



ーーー最初のクラス、ジュニアフライ級でどうしてドニー・ニエテスを選ばなかったのか?ローマン・ゴンサレス全盛のフライ級をどうしてスキップしたのか?そのロマゴンを破壊したシーサケット・ソールンビサイにはどうして興味を示さなかったのか?

それでも「強い相手としか戦わない」を成立させるロジックはあります。

そもそも「強い相手」という非常に抽象的な表現を使っていますが、「階級最強としか戦わない」など具体的なことは一言もいっていません。


井上自身はそんなことを考えてもいないでしょうが、「強い相手としか戦わない」というのは「(在籍階級で勝てる相手の中で)強い相手としか戦わない」と解釈すると、ロジックは十分に成立します。

「在籍階級で」というなら、階級最弱評価だったエルナンデスはどうなるのか?これは「王者に弱いヤツはいない」という死語を持ち出せば、筋が通ります。

デビュー戦でオマヤオを選んだことについても「(世界戦では)強い相手としか戦わない」と解釈すると、オマヤオは対象外。

また、防衛戦で明らかに弱い相手が紛れ込んでいるのも「強い相手が逃げた」ので、アントニオ・ニエベスやヨアン・ボワイヨ、アラン・ディパエンらは弱い相手というよりも、陣営や信者から見れば「勇気ある挑戦者」に早変わりします。

その一方で、井上にアンダードッグの試合が一つもないのは「強いから」というだけでなく、厳しい表現を使うと「冒険的なマッチメイクは絶対にしない」一面もあります。



話を2012年のオマヤオ戦に戻すと「アマチュア7冠」と騒がれたデビュー、その注目度はよくある「アマチュア◉冠」の1人に過ぎませんでした。

契約書に「強い選手と戦う。弱い選手とは戦わない」という条件が盛り込まれたというエピソードも、そんな抽象的で曖昧な条件に契約の意味は全くありませんから、これは笑うとこです。

もちろん、そんな条件を契約書に入れたこと、このエピソードがボクシングファンに好意的に受け入れた背景には、当時の日本ボクシング界を振り回していた亀田一家の存在があります。

それまで、井岡一翔がぼんやりと担っていた「NO MORE亀田」の役割を、名指しこそしなかったものの大声をあげて明確に示したのが井上尚弥だったのです。


あの頃は大橋秀行も、井上真吾ですらも井上が何者なのかは誰もわかっていなかったのです。おそらく、井上尚弥本人も。

もし、わかっていたら?ーーー。

「亀田一家を意識」することも、足が痙攣するほど過酷な減量で「108ポンドでデビュー」させることも、井岡が持っていた「世界タイトル最短奪取記録の更新」を狙うことも…そんな瑣末なことに拘泥することのない、世界の人気階級まで睨んだグランドデザインを描いていたかもしれません。

もちろん、そんなビッグイフはあり得ません。過去に遡ることなど誰にもできないのです。そして、過去を書き換えたら、もちろん未来も変えてしまうことになるでしょう。ビッグイフが実現される良い意味だけでなく…。


「イチローが高卒即MLBへ挑戦していたら5000本安打していた」といっても、1991年ドラフトでオリックスから4位指名を受けた選手が何者なのかなんて、誰にもわかるわけがありません。

もし、人気球団の読売ジャイアンツや阪神タイガースに未来を見る超能力を持つスカウトがいて、ドラ1で指名していたら、鈴木一朗はイチローになれたでしょうか?

もし、真吾トレーナーが神の慧眼を持っていて、プロテストを受けたジュニアフェザー級でデビューさせていたら、テレンス・クロフォードもガーボンタ・デービスも無敗ではなかったかもしれません…しかし、はたしてそうでしょうか?


あの頃は大橋秀行を含めて井上が何者なのかは誰もわかっていなかったのです。おそらく、井上尚弥本人もーーーこの表現は間違っていますね。

正確には「あの頃は大橋秀行も井上真吾ですらも井上が何者になるのか誰もわかっていなかったのです。おそらく、井上尚弥本人も」です。


動物なら、大鷲の雛は必ず大鷲になります。

しかし、人間は違います。雀の雛でも大鷲になれるのが人間です。



「井上尚弥は劣化しているのか?」のテーマから大きく外れてしまいました、あしからず。


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その27歳のホープは、母国に引きこもって、温室マッチメイキングを順調にクルーズしていた。

そうは言っても、だ。

ホープにはいつか露路に出なければならない日が、必ずやって来る。

彼に用意されたのは、タフが売り物の元世界王者。

つまり、ホープの力量を測るには持ってこいの相手ということだ。

何よりも、この試合に勝てば、自身が温室で栽培されていることを意識してるにせよ、してないにせよ、その温室をブチ破る本物の自信を手に入れることができるのだ。

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一般紙がデビュー前のボクサーを大々的に取り上げる…「人気階級の五輪金メダリスト」村田諒太のような特別すぎる理由があるならまだしも、彼にはボクシングの実績が何一つないというのに!


ーーー那須川天心も今年、27歳の誕生日を迎えるが、この話は彼のことではない…。

2018年5月19日、今から7年前に27歳だったジェイソン・モロニーのことだ。


ーーーホープにはいつか必ず露路に出なければならない日がやって来る。

2025年2月24日。

那須川天心にも、ついに〝その日〟がやって来た。


…おっと、その前に…ジェイソンとオーストラリアの話を少しさせてくれ。







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まったく…。激動の2025年1月がやっと終わった。




新年早々、この1ヶ月は激動だった。

その試合の数週間前のその日、クリスマス休暇でケニアに滞在していたマイク・アルタムラがベッドに潜り込んだのは午前1時58分のことだった。

オーストラリアを拠点に活動する彼の職業は、主にアジアの軽量級ボクサーをマネジメントすること。

欧米の人気階級のプレイヤーが大手プロモーターによって囲い込まれているために、スキマを狙ったというわけではない。

「ボクサーのマネージャーである前に、私は熱狂的なボクシングファンなんだ。欧米では軽量級のボクシングはメインディッシュにならないが、本当に面白いのは軽量級」。

その日もボクシングの試合をネットで見て夜更かしすることになったのだ。

午前2時3分に電話が着信した。スマホの画面に表示されたのは「AKIHIKO HONDA」の名前。

本田明彦は日本のプロモーターだが、ボクシング関係者なら世界中の誰もが知っている伝説だ。

アルタムラはIBFバンタム級王者・西田凌佑のマネジメントにも部分的に関わっており、アヌチャイ・ドンスアとの初防衛戦で来日したとき、本田にある売り込みをかけていた。

「サム・グッドマンのカットは深い、完治しなければまた延期を申し出てくるかもしれない。リザーブファイトに私がマネジメントする韓国人を使って欲しい」。

本田は、アルタムラの提案を受け入れた。


その韓国人キム・イェジュンには、彼よりもさらに無名のケニー・デメシージョというフィリピン人との8回戦がリザーブファイトとしてセットされた。

これで、幸運をつかむのに必要なステップはあと一つだけになった。



ーーー電話の向こうで本田が「オーストラリア人がまた同じところをカットした」と伝えたとき、寝ぼけていたアルタムラは「また延期か」と思った。

本田が「韓国人はきっちり体重を作れるのか?」と訊いてきたその瞬間、アルタムラの眠気が吹っ飛んだ。

「そうだ!そうじゃないか!!グッドマンの代役にキムを送り込んでいたじゃないか!!」



マネージャーはいつだって選手と寄り添っている。

キムの故郷の韓国ではボクシングが壊滅状態。キム自身は両親の顔も知らずに5歳のときから孤児院で育った。

辛い毎日だった。

「親にも必要がないと、お前は捨てられたんだ」。

「なんで生きてるの?捨てられたゴミのくせに」。

小学校でも中学校でも、陰湿な言葉と、容赦ない暴力でいじめられ続けた。

それでも、どんなに酷い仕打ちを受けても、キムが反撃することはなかった。

「あいつらは殺してやりたいくらいに大嫌いだったが、自分なんて生きてる価値がない、というのは悲しいけど、そうなのかもしれないと思っていた」。

「親にも必要とされなかった」。きっとその通りだろう。じゃないと子どもを捨てたりはしない。

捨てられたんだから、ゴミと一緒。これも、その通りだ。


1人になると、いつも泣いていた。


1人になると、どうしてお父さんやお母さんは私を捨てたんだろう、と考えた。

私はどこにどうやって捨てられていたんだろう?

考えても仕方がないことだったが、もし両親に会えるなら、私を捨てた理由を聞きたいと思っていた。

必要がなかったのか?いや、もしかしたら経済的にどうしようもなかったからか?

大人になってからも、1人になると泣き続けた。

ところが、19歳でプロデビューするボクシングを始めてからは、泣かなくなった。

1人になると筋トレやシャドーボクシングに励んだ。

自分の過去にあれほど粘着してこだわっていたのに、それがどうでも良くなったのだ。

ボクシングの試合は大したカネにはならなかったが、勝つと自分が何者かになれる気がした。

自分の未来が、もしかしたら明るいものになるかもしれない、そう信じられることが、どれほど素晴らしいことかに気づいたキムに、たとえ天涯孤独でも毎日泣き暮れる時間は、もうなかった。

キムは過去の自分を嘆くのをやめて、ゼロから作り上げる未来だけを睨んで生きることにした。

当時、アメリカのプロボクシングはすでに衰退の坂道を転げ落ちていたが、小さな身体の2人のファイターがリングの中でとびっきりに輝いていた。

自分よりも酷い境遇から二つの拳で成り上がったマニー・パッキャオとフロイド・メイウェザーが、とにかくまぶしかった。

自らを「Pacquiweather」と渾名したとき、周囲は笑ったが、本人は冗談のつもりはなかった。目指す場所はそこだったのだから。

天涯孤独のキム・イェジュンの人生は、幸運とは全く無縁だった。本人にはなんの責任もないのに、不運と不幸だけが押し寄せてくる人生だった。

どのクライアント(ボクサー)も贔屓目なく平等に見てきたアルタムラだったが、不運と不幸を向こうに回して、七転八倒しながら戦い続けるキムには「この男がいつかラッキー!と喜べるような日が訪れたらいいな。それに自分が一役買うことが出来たら最高だな」と思っていた。

ジュニアフェザー級を主戦場とするボクサーは誰もが井上尚弥と日本で戦いたがっている。

ファイトマネーが割安で、人気もなく大きな関心を集めることがない軽量級だが、日本だけは特別だ。

軽量級でもファイトマネーは10万ドルを超えることが珍しくなく、キャパ1万人を超えるアリーナでメインを張ることも当たり前、それが日本だ。

そして、その特別な日本の中でも特別なのが、井上尚弥だった。



アルタムラは本田に「ファイトマネーは100万ドルでなんとかならないか」とふっかけたが「無名の挑戦者にそれは無理」と却下され「興行収入にも左右されるが、半分の50万ドル」で落ち着いた。

アルタムラは「納得できない」と不満をたらしたが、内心は躍り上がっていた。


50万ドルは、韓国ボクシング史上最高のファイトマネーだったのだ。

なによりも、キム自身、これまで2万ドルのファイトマネーすら一度も受け取った経験がなかったのだ。

アルタムラは、豪州でキャンプを張っているキムにすぐに電話した。

「デメシージョとの試合はなくなった」。

そう告げただけで、キムは全てを理解した。

アルタムラはずっと長い間、キムに言いたくても言えなかった言葉をついに口にした。

「お前はなんて幸運な男なんだ!本当に羨ましいぜ!」。

「ファイトマネーは50万ドルだ!」。

キムは「5万ドル?本当にそんな金額がもらえるのか」と聞いてきた。

アルタムラは「5万じゃない、50万ドルだ」と笑って返した。キムが唾を飲み込む音が聞こえた気がした。

短い沈黙。

8000マイル、1万2800km、最高のタイミングで飛行機を乗り継いでも8時間はたっぷりかかる、インド洋の最果てでキムが喜びをかみしめているのがよくわかった。

ビッグファイトに抜擢された無名のボクサーは、往々ににしてそこで満足してしまうものだ。

キムに限ってそんなことはないとは思ったが、アルタムラは「相手はPFP No.1ファイターだが、負けたら元も子もない。集中して練習しろ」と気合を入れようとしたが、その必要はなかった。

「ありがとう、マイク。私を売り込んでくれて本当にありがとう。ここから先は私の仕事だ。ずっとこの日のために準備してきた。マイクを史上最大の番狂せをお膳立てしたマネージャーにしてみせるよ」。





もし、井上尚弥に勝っていたなら、ボクシング人気が完全に沈滞した韓国でも大きな話題を巻き起こしていただろう。

世界中のボクシングファンにも、1-100のオッズをひっくり返した男として、語り継がれたはずだ。

そして、親兄弟もいない天涯孤独の身から、韓国5000万人に愛される国民的英雄に。

〝リアル・ロッキー〟として、ハリウッドも興味を示したかもしれない。

しかし、キム・イェジュンはロッキー・バルボアにはなれなかった。

現実は、1-100のオッズをそのまま反映したような惨敗だった。

それでも、瀕死の韓国ボクシングに刺激を与え、日本のボクシングファンも彼の名前を覚えた。

そして、多くの人が彼の生き様に小さくはない共感を覚えた。


キムの人生はこれからも波乱万丈だろう。そんな32歳の韓国人にとっても、激動の2025年1月が終わった。


1月24日、有明アリーナのリングの上で、彼は何も手に入れることができなかったが、たった一つだけ確かなことがある。



キム・イェジュンは、もう天涯孤独ではない。




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井上尚弥が5階級制覇を目指して、年内にもWBAフェザー級王者ニック・ボールに挑戦すると表明しました。

アラン・ピカソとムロジョン・アフマダリエフを相手にジュニアフェザー級の防衛戦をこなしてから、ボールとのフェザー級タイトルマッチに臨む流れです。

現在、プロ29試合(全勝26KO)の井上は32試合目での5階級制覇アタック。

井上が奪った最初のタイトル(WBCジュニアフライ級:アドリアン・エルナンデス戦)が6試合目でしたから、5つの階級でタイトルを獲るのに27試合を要したことになります。

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この表⬆︎「Fewest Fights to 5Division Titles 」は5階級制覇に費やした試合数のランキング。

25試合以内に5階級制覇(そこになんの意味があるのかはわかりません)したのは、シュガー・レイ・レナードの11試合、フロイド・メイウェザーとトーマス・ハーンズの21試合、オスカー・デラホーヤの25試合。

1試合で二つのタイトルを同時に獲得したレナードの愚行を持ち出すまでもなく、所詮は数字、マヤカシな側面はいくらでもあります。

さらに「プロデビューから要した試合数」では、井上の32試合(ボールに勝つのは当然として)に対して、レナードは36試合、メイウェザーは38試合、ハーンズは49試合、デラホーヤは40試合かかっています。

プロデビューを起点とすると、井上の「32試合目で5階級制覇」は史上最短です(そこになんの意味があるのかはわかりませんが)。

そして、複数階級制覇といえばこの人を忘れてはいけないマニー・パッキャオ。

プロ25戦目でLineal/WBCフライ級のタイトルを獲ると、ジュニアバンタム級とバンタム級をスキップ、57戦目でWBCジュニアミドル級のストラップもピックアップ。

33試合で8階級制覇に成功しました。

このお話のテーマ「5階級制覇」を切り取ると、さらに圧巻です。

51試合目でLineai/リング誌/WBCのジュニアライト級のタイトルを手中に収めると、そこから56試合目までのわずか6試合でWBCライト級、Lineai/リング誌/IBOジュニアウエルター級、WBOウエルター級、WBCジュニアミドル級の5階級を飲み込んでみせたのです。

「Fewest Fights to 5Division Titles」のランキングにパッキャオの名前が無いのは「最初のタイトルを獲ってから」という条件があるから。

ちなみに、パッキャオは最初のタイトル獲得が25試合目、5階級制覇となるライト級を攻め落としたのが52試合目なので、Fewest Fights to 5Division Titlesの規格では28試合を要したことになります。

この手の話でパッキャオを避けるのは妙案です。パッキャオを入れてしまうと、米国のグレートたちの業績が陳腐に見えてしまいますから。

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「蜂の巣」の冬季限定ビーフシチュー。

さて、グレートたちの5階級制覇。彼らは、その時点で全盛期だったのか、それとも黄昏時だったのか?

まだまだ続きます。
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プロボクシングには看板となるスター選手が常に存在してきました。

彼らはボクシング人気が下落、スポーツとしてのステイタスが地に堕ちても、クローズド・サーキットやPPVという独特の集金システムによって巨額のファイトマネーを獲得、Forbes誌などのアスリート長者番付の上位、ときにはトップに立つことも珍しくありませんでした。

1980年代初めに、私が米国ボクシングの面白さに取り憑かれてから40年余り。その間のスターを列記すると、シュガー・レイ・レナード、マイク・タイソン、オスカー・デラホーヤ、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオ、カネロ・アルバレス…。

彼らは同時代を共有しながら、新旧交代の形でスターのトーチをリレーしてきました。

直近ならカネロはメイウェザーやパッキャオが現役の時期に、すでに後継者としての資質を世界に知らしめていました。

そして。

レナードにはマービン・ハグラーやトーマス・ハーンズ、ロベルト・デュラン。

タイソンにはイベンダー・ホリフィールドとレノックス・ルイス。

デラホーヤにはフェリックス・トリニダード。

メイウェザーにはリッキー・ハットンやミゲール・コット、デラホーヤ、そしてパッキャオ。

パッキャオにはマルコ・アントニオ・バレラ、エリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケス、ハットン、コット、デラホーヤ。

主人公の周りには、常に強力なライバルたちが存在し、ボクシング市場を活性化させていました。

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さて、現在のカネロを査定してみましょう。

メキシコの時代に人気階級を席巻、スポーツ史上最高金額の契約金を結ぶなど、マネーの点では過去のスターと比べても遜色ありません。

ボクシングのステイタスが落ち込んでいることから、一般的なスポーツファンの認知度がほとんど無いのは仕方がありません。

「強力なライバル」という点では、ボクシングファンであってもすぐに誰かを思い浮かべるのは難しいかもしれません。

印象的な勝利を探しても、やはりすぐには思い出せません。

カネロのサポーターは「ゲンナジー・ゴロフキンがいるじゃないか!」とご立腹するかもしれません。

しかし、ミドル級に上げてすぐにGGGとの決戦に挑んだのならまだしも、155ポンドというジュニアミドル級に1ポンド足しただけのキャッチウェイトで勝てる相手を選びながら、GGGの衰えを待っていたのは世界中のボクシングファンの笑い者でした。

また「微妙なラウンドは全てカネロに流れる」という不思議な判定も、ボクシングファンを興醒めさせてしまいました。

ドーピングも含めてカネロがお騒がせのスターであることは間違いありません。

しかし、このお話の中で問題とするのは、スターの系譜、ポスト・カネロです。

前述したように、旧スターと新スターは時代を共有しています。

カネロは今年7月で35歳になりますが、トーチを渡すべき次のスターはどこを見渡しても影も形もありません。

ライアン・ガルシア?ガーボンタ・デービス?ジャロン・エニス?

冗談はやめましょう。

カネロが引退、あるいは実力的に完全な黄昏れどきを迎えて人気も下降、そんな未来はすぐそこに迫っています。


今から救世主が突然、現れるのか?

それとも、カネロ引退でスター不在の暗黒時代に突入するのか?


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ジュニアフェザー級のUndisputed champion 井上尚弥は昨日行われた一夜明け会見で、今年4試合をこなすことを明らかにしました。

4月か5月にラスベガスでアラン・ピカソ、秋にはサウジアラビアでWBA暫定王者ムロジョン・アフマダリエフとの防衛戦をこなし、年内に5階級制覇を狙ってWBAフェザー級王者ニック・ボールに挑戦するというもの。

とりあえずフェザー級は1試合だけで、すぐジュニアフェザー級に戻って「戦うべき相手」とのビッグマッチを行う語りました。

フェザー級進出は、ジュニアフェザー級のタイトルを保持したままの形になります。

「戦うべき相手」はもちろん、WBCバンタム級王者・中谷潤人のこと。

アフマダリエフ、中谷潤人と井上のキャリアで最も評価の高い2人との戦いは非常に楽しみですが、ここではフェザー級進出にフォーカスします。



ターゲットはWBAのニック・ボール。

27歳の〝The Wrecking(破壊者)〟ボールは世界初挑戦でWBC王者レイ・バルガスにスプリットドロー、減量苦で干からびたレイモンド・フォードになんとかスプリット・デジションで勝利してWBAのストラップを手に入れましたが、いつ誰に負けても不思議ではない穴王者。

ボールは現在のフェザー級シーンでは最弱、非力で怖さもありません。

3月15日にフランク・ウォーレンがしっかり仕込んだTJドヘニーとの防衛戦が決定していますが、ここで負けたら井上のフェザー転向は宙に浮いてしまいます。

British Boxing Board of Control(英国ボクシング管理委員会)の統括ですから、ドヘニーはサウナを使った水抜きができず、得意のリバウンドもままならず、相当に衰弱してリングに上がるはず。心配ご無用でしょう。

最強と目されるのはロベイシ・ラミレスを2度にわたって撃破したWBO王者ラファエル・エスピノサ。そこに続くのが、ルイス・アルベルト・ロペスを大番狂せでKOしたIBF王者アンジェロ・レオ。この2人からは危険な香りが漂っています。

レオは5月24日、大阪の大和アリーナで亀田和毅と初防衛戦を行う予定。

現在のレオは減量苦に苛まれ、スティーブン・フルトンのガチャガチャファイトに押し切られた頃とは別人です。

また、那須川天心とのスパーリングでスピードと変速ボクシングに翻弄されましたが、あれは1年半前。天心のスピードも変速性もないばかりか、バルガス戦で米国メディアから「女子ボクサー」と揶揄された非力極まる和毅ではレオの波状攻撃をさばくことも、迎え撃つことも出来そうにありません。

捨て身の勝負にも出れないでしょうから、和毅の大差判定負けが最も起こりうる結果です。

もちろん、ロペス戦がベストファイトのレオの実力が、まだはっきりと見えていないのも実実。ロペスが完全に舐め切っていたように、決して評価の高いボクサーではありませんでした。

もし、和毅が番狂せを起こすようだと井上や中谷との絡みを考えると、非常に面白いのですが…。

さて、フェザー級で世界王者になった日本人は、西城正三(1968年6月6日:ラウル・ロハス)、柴田国明(1970年12月11日:ビセンテ・サルディバル)、長谷川穂積(2010年11月26日:ファン・カルロス・ブルゴス)、越本隆志(2006年1月29日:池仁珍)、粟生隆寛(2009年3月19日:オスカー・ラリオス)の5人だけ。

日本人がつかんだストロー級からミドル級の13階級の中で、ウェルター級が0(ゼロ)、ミドル級が2人、ライト級3人、ジュニアウエルター級3人、ジュニアミドル級4人に次ぐ少なさです。

欧米の人気階級はレベルも高く、挑戦の機会も少ないのに対して、日本人の層が厚いフェザー級で〝難産〟が続いているのです。


西城は敵地でタイトル奪取、5度の防衛に成功。柴田は3度の防衛よりも、メキシコ歴代PFPにも数えられる超強豪ビセンテ・サルディバルからタイトルを奪取したことが高く評価されています。

残りの3人は世界のレベルが水増しされた4Belt -Eraにもかかわらず、初防衛戦をクリアできませんでした。厳しい言い方になりますが、典型的な穴王者でした。



さて、井上は「強いフェザー級王者」になれるのか?



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