カテゴリ: 世界の軽量級,世界に挑む日本人

今更ですが、やっと録画を見ました。

11月6日(金)水道橋・後楽園ホール。中谷潤人vsジーメル・マグラモは、22歳の日本人の圧勝、8ラウンドTKOで終わりました。

良い選手なのは誰もがわかってましたが、中谷はいつでも80点を叩いてくる優等生。「何が苦手なのかな?」という万能型です。

ピストルの異名をとるマグラモでしたが、中谷はライフルでした。

26歳のピストルが、22歳のライフルに勝つ必須条件は手数と精度。しかし、その手数と精度ですらライフルに上回れては、もはや勝ち目はありません。

「1ラウンドで良いパンチが入って効かせることができて、そのあと組み立てやすくなった」(中谷)という言葉が全てでした。

「また強い世界チャンピオンが日本から一人生まれたことが嬉しい」(山中慎介)という評価も納得です。

マグラモが精彩を欠いているように見えた最大の原因は、中谷が素晴らしかったからです。

「敗者には何も与えるな」。それはその通りです。ましてや、言い訳なんて聞いちゃいけない。

それでも、マグラモ選手、ランキングは上位でも富裕国のホープ相手ですからアウエーの戦いは仕方がありません。

おカネの天秤は「あなたに勝って欲しくない」のです。もっと、正確に言うと中谷が勝つ方がボクシング界の発展につながるのです。

そんな極貧国のボクサーの悲哀に加えて、このコロナの状況下で14日間の隔離期間、思い通りにいかないことは一つや二つじゃなかったでしょう。

もっと早い段階で崩壊していてもおかしくありませんでした。よく、最後まで頑張りました。

マグラモとフィリピンの未来に栄光あれ! 
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井上尚弥以前に、原田超えに挑んだ5人のグレート。

大場政夫と具志堅用高、辰吉丈一郎、長谷川穂積、西岡利晃。

この中で、モダーン部門で殿堂入りを果たしたレジェンドはいません。というか、日本ボクシング史上でモダーン部門での殿堂入りはファイティング原田ただ一人だけです。

大場と具志堅はオールドタイマーで殿堂入りしましたが、モダーン部門で〝時間切れ〟した結果です。もちろん、オールドタイマーでもとんでもない偉業です。

さて、クロニクル形式でのご紹介になります。


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今日放送されたダイナミックグローブ「WBO世界フライ級王者決定戦:中谷潤人vsジーメル・マグラモ」でもオープニングに登場したのは大場政夫でした。

1949年生まれの大場が思春期を過ごした60年代は、空前のボクシングブームが日本列島を包み込み、元旦から興行が打たれ、週に10本以上のプロボクシング中継がオンエアされる時期もありました。

中学を卒業した1965年、アメ横の菓子問屋・二木商店に住み込みで就職した大場はすぐに帝拳ジムの門を叩きます。翌年11月には17歳でプロデビュー。
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大場が世界王者になったのは1970年10月22日、日大講堂。

WBAからWBCが分離独立してからまだ4年しか経っていないとはいえ、当時はすでに二団体時代です。

対戦相手は両親ともに中国人ながらタイ人というWBAフライ級王者ベルクベック・チャルバンチャイ。

このときのWBC王者はチャチャイ・チオノイでしたから、タイがフライ級2団体のピースをコンプリートしていたことになります。

〝中国人〟チャルバンチャイは母国タイで人気がなかったため、日本のリングに簡単に引っ張り込まれてしまいました。

しかも、相手は大場。

4団体時代の現代と比べて、大場の時代は2団体11階級。世界挑戦の道は今の2倍以上険しかったと想像しがちですが、現実はそれどころではありません。

まだ、承認団体が今のように腐りきっていない時代です。

日本のボクシングファンにとって身近なところでは「ミゲール・コットと亀海喜寛がWBOの世界ジュニアミドル級王者決定戦」は典型です。コットと亀海の勝者が〝世界一〟だなんてシュールにもほどがあります。

しかし、大場は「日本」「東洋」「世界」の王者をことごとく撃破して、世界初挑戦の舞台に上がったのです。

それだけなら、今でもカネロちゃんのように世界中で散見できます。ロートルの元王者を蹴散らして世界挑戦、よくある話です。

しかし、大場のケースはノンタイトルながら…なんと全て「現役」だったのです!

おそらく、当時のオッズも予想も挑戦者・大場の圧倒的有利だったでしょう。そして、その通りに13ラウンドKOでタイトルを強奪します。

それでも、二団体時代。理屈では大場も a champion の1人に過ぎませんでした。 

大場に「a」(有象無象の王者の一人)なんてくだらない冠詞は全く似合いません。

大場には「The=Only 」こそが似合います。

その理由が、王者のまま夭折したからではなく、その戦い方、その勝ち方、その振る舞い方がまさしく「The」Fighterであったからだと、偉大なフライ級をリアルタイムで知らない私でも簡単に想像することが出来ました。

彼がa championなどではないことは、その余熱のあまりの熱さからハッキリと、私にでも伝わったのです。

余熱で後世のファンを焼き焦がすボクサーなど、滅多やたらにいるわけがありません。

大場の灼熱のオーラをリアルタイムでヒリヒリ感じらことが出来た往年のボクシングファンには、もう激しく嫉妬するしかありません。

そこには、団体統一やPFPなどの「頭でっかちな取扱説明書」など一切不要の、二つの拳がただ燃えたぎるだけの熱気の渦が咆哮していたはずです。

大場にあって井上尚弥に無いもの、それはこの崖っ淵のヒリヒリ感に他なりません。

そして、その人生と同様に生き急ぐような激しいファイト、試合前のただでは済まないという嵐の予感。

さらに、自らが現役王者をことごとく粉砕した「ノンタイトル」という危険地帯に、世界王者になっても躊躇なく踏み込んでいったのも、まさに「This is 大場」でした。

彼にはきっと、怖いものなど何もなかったのです。

1970年10月22日に世界王者になってから、1973年1月2日(こんな正月に世界戦があったんですね…箱根駅伝どころじゃないです)にチャチャイ・チオノイを大激闘の末に12ラウンドKOで決着させ5度目の防衛に成功するまで、大場は10度リングに上がっています。

「10試合」ー「世界戦6試合」=「4試合」。

そうです、世界王者になってからも4試合も、大場は危険なノンタイトル戦のリングに、嬉々として上がっていたのです。

もちろん当時、世界王者がノンタイトル戦を挟むのことは、珍しくはありませんでしたが、相手はいずれも現役世界ランカーや未来の世界挑戦者だったことは特異でした。

もし、大場が当時のバンタム級王者やフェザー級王者からオファーが届いたら、二つ返事で受けていたでしょう。

なにしろ、1972年にあのモハメド・アリが来日、日本武道館でマック・フォスターのノンタイトル15回戦を戦った試合を見て「ヘビー級ならもっと迫力があると思ったのに、アリから学ぶものは何もねえな」と言い放ったのですから。
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井上尚弥は、大場が出来なかったモダーン部門での殿堂入りの可能性を秘めています。

そして、井上はきっと後輩思いの素晴らしい指導者になるでしょう。解説者席に座っても、バラエティ番組に出演しても、今と同様か、それ以上にそつなくこなすでしょう。



そんな優等生・井上と比べて、大場ときたら…。

あのバカは「もし」の世界があるなら、どんな「引退後」を送っていたでしょうか?

勝手な偏見ですが、ロクでもない辛辣なご意見番になっていた気がします。

そして、本田明彦は、あんなにのびのびと生きて、世界的なプロモーターになれなかったかもしれません。

何よりも大場政夫なら、きっとモダーン部門で殿堂入りを果たす偉大な〝続き〟を、必ず魅せてくれていたに違いありません。



「井上?なかなか良い選手だな、あれは。日本歴代3位でも良いかもな?俺と原田さんの次にしてやるよ。あ?でもこれ、辰吉にも言ってたなあ、俺。アッハハハハ!3番以下は誰でもいいよ」。

余熱ですらボクシングファンを焼き焦がしてしまうチャンピオンですから、今生きていたら、余計なことをあちこちで発言、行動して、あちこちで炎上していたかもしれません。



見たかったです。本当なら今、71歳になっている大場政夫を。 炎上しても悪びれない大場政夫を。

大場の試合を見るたびに、胸が詰まります。



それにしても…それにしても…。

あなたは、リングの上では、信じられないくらいのダイ・ハードだったじゃないですか!

なんで、あんな緩いカーブを曲がれなかったんですか、…バカ! 
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一団体10階級時代に、史上初のフライ・バンタム2階級制覇。フェザー級でも二団体時代のWBCピースに肉薄したファイティング原田。
時代背景を考えると、それだけでもとんでもない偉業ですが、そのキャリアには「原田しか勝てなかった」エデル・ジョフレというグレートが鎮座してしまっているのです。
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そして、現在まで90人を超える世界王者を輩出してきた日本ボクシング史ですが、原田は白井義男に次ぐ二人目というのに、モダーン部門での殿堂入りは原田一人しか生み出せていません。

しかも、一発殿堂です。

当時の試合はテレビで驚異的な数字を叩き出していることからも、原田が国民的英雄だったことは容易に想像出来ますが、今では忘れられた存在です。

それでも、世界評価が飛び抜けて高いことが、この日本史上最高のボクサーの輪郭をハッキリと浮かび上がらせています。

それでも「ファイティング原田超え」の声が挙がったボクサーは、現在の井上尚弥の他にも瞬間的とはいえ出現して来ました。

その刹那の評価は泡と消えたとはいえ、文句なしの「原田超え」とは「ジョフレ超え」です。

世界=欧米という檻の中で軽量級で人気階級並みのビッグネームと巡り合えるなんて奇跡的な運任せであることを考えると、軽量級という枠の中で世界に「原田超え」を認めさせるのは至難の業です。

その、日本ボクシング史上、最も高く険しい壁に挑んだ5人のグレートと井上尚弥の相違点を探りながら「ファイティング原田の呪縛」から解き放たれる日が訪れることを期待します。

◀︎エントリーNo.1▶︎大場政夫

◀︎エントリーNo.2▶︎具志堅用高

◀︎エントリーNo.3▶︎辰吉丈一郎

◀︎エントリーNo.4▶︎長谷川穂積

◀︎エントリーNo.5▶︎西岡利晃


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京口紘人は素晴らしいボクサーである。

このブログの読者の方からしたら「今更何をわかりきったことを」と笑われるでしょう。

対立王者の寺地拳志朗も、やはり過小評価された非常に能力の高いボクサーです。

京口はリング誌王者ということもありますが、リング誌や海外メディアの露出、評価の方が高いんじゃないか、というくらいで「世間がいまいちわかってないのが僕は歯がゆくって」(松本人志風)。

実力が額面通りの存在感につながらないのは4団体17階級時代の歪みでしょうが、京口や寺地はオリジナル8の時代は微妙にしても、2団体時代なら世界王者になって、今以上の尊敬を集めていたはずです。
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リング誌から派遣されたニック・スコック氏から伝統のトリコロールベルトを受け取る京口。

圧倒的な運動量と無尽蔵のスタミナ、そして勝負根性。軽量級ボクサーに求められる才能をトータルパッケージした162㎝の大阪製のダイナマイトです。

14戦して全勝9KO。

WBAストローとWBAジュニアフライの2階級を制覇、世界戦は6戦全勝2KO。パーフェクトレコードを続行中です。

リング誌は「PFPのウェイティング・サークル」と評価、ESPNのPFP評価でも票が投じられる軽量級屈指のタレントです。

完璧のキャリアを行進中とはいえ、この環境下です。リングの外では思い通りにならないこともあるでしょう。

しかし、やることは一つだけ。自分がコントロールできることだけに集中することです。それ以外のことは、真剣に考える必要などありません。

寺地との決戦は日本ボクシング界で最も待たれるビッグファイトの一つです。両者が他の王座を吸収して、勝った方が完全統一王者、そんなリングを見てみたい!

そして、26歳の京口には3階級制覇にリング誌2階級制覇、さらに「そのあと」の未来も待っているはずです。
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リング誌とIBF、WBAのベルトを保持する井上尚弥がバンタム級コレクションをコンプリートするには、あと二つのピースを奪取しなければなりません。

残るストラップは、延期の末に対戦が白紙となったジョンリール・カシメロのWBOと、弟・拓真を倒したノルディーヌ・ウバーリのWBC。

二人とも因縁を含む相手です。 

カシメロは先月、ShowTIMEのPPVイベントのアンダーカードでデューク・マイカーを3ラウンドで粉砕。

最初に世界を獲ったジュニアフライ級から数えて4階級目のバンタム級でも、31歳のフィリピーノは全く変わらぬ強打をキープしています。

「誰に負けても不思議ではないが、誰に勝っても不思議ではない」(マニラブリテン紙)という天賦の野生は、井上にとって最大の脅威と言って差し支えないでしょう。
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WBSSでは完全統一王者は生まれませんでしたが、これからこの4人が「準決勝」から「決勝」へ流れ込むのでしょうか?

そして、ウバーリ。昨年11月に暫定王者・拓真との団体内統一戦に完勝。

12月12日には、ノニト・ドネアを相手に3度目の防衛戦を迎えます。

34歳と軽量級では年齢を積んでいるモロッコ系フランス人は、北京2008とロンドン2012に出場したオリンピアン。ゾウ・シミンとマイケル・コンランというビッグネームに敗れてメダルには届かなかったものの、世界選手権で銅メダルを獲得するなどエリートアマです。

兄アリもジュニアウェルター級の元プロボクサーで、現在は弟のトレーナーとマネジメントを手がけています。

カシメロ、ウバーリはともに井上とはプロモーションが違うとはいえ、そこは軽量級、対戦に大きな障壁はありません。

とりあえずは、ジェイソン・マロニーです。手ぶらの相手は物足りませんが、ここでモタついていてはどうしようもありません。

「力の差を見せつけてKOします」(井上)。その言葉通りの結果が出るはずです。 
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Saturday 31, October 2020   
The Bubble, MGM Grand, Las Vegas, Nevada, USA
commission:Nevada Athletic Commission
promoter:Top Rank - Bob Arum
matchmaker:Brad Goodman
media:Latin America: Canal Space, USA ESPN+ 

Oct. 31: Las Vegas 
Naoya Inoue vs. Jason Moloney, 12 rounds,
for Inoue's IBF/WBA bantamweight world titles

 Ewa Brodnicka vs. Mikaela Mayer, 
10 rounds, for Brodnicka's WBO junior lightweight title

********
 
いよいよ、来週の今日、井上尚弥が The Bubble のリングに上がります。

女子世界戦、エワ・ブロトニチェカの王座に注目のミカエラ・メイヤーが挑戦する無敗対決とのダブルヘッダー、ボブ・アラムは「井上vsジェイソン・マロニーは年間最高試合になる」とまた適当なことを言っています。

“ Inoue-Moloney fight could be the fight of the year.”

年間最高試合、つまり「大激闘」になるということです。

「マロニーはバンタム級屈指の強豪だが、ハロウィンで世界が目撃するのは強すぎる日本の怪物だ」くらいは言って欲しかった。

一方で、昨日のWOWOWの特番でも静かな自信をみなぎらせていたマロニー。

急遽、ジョンリール・カシメロの「代打」に抜擢されましたが、その報酬はカシメロが大幅減額提示を受けてゴネた金額よりもさらに格安であることは確実です。

ゾラニ・テテ戦でキャリア最高の7万5000ドル(約800万円)を手にしたカシメロの陣営は「この状況下である程度の減額は覚悟しているが、許容範囲を超えた」と交渉の席を蹴ったことから提示された金額は5万ドル以下だったのではないでしょうか。

タイトルホルダーでもないマロニーに用意されたのは、その金額も大きく下回るものだったはずです。

それでもマロニーがこの試合を快諾したのは「その金額でも軽量級では十分の金額」だったことだけでなく、もし井上に勝てば「王者として乗り込める日本での再戦でビッグマネーが掴める」からです。

If he can beat Inoue, it would be a huge win, and it would set up a nice paying rematch between them.

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‘Monster’ に対して‘Mayhem’ が〝混乱〟の大番狂わせを起こせるのか?

井上は「絶対に倒しますよ」と意気込んでいますから、序盤の様子見を完了したら29歳のオージーを削りにかかるでしょう。

マロニーにとって、その詰将棋に嵌められると難しい展開にしかなりません。

「テオフィモ・ロペスの勝利にインスパイアされた」と語るマロニーが開始ゴングから積極的に攻め込んでくることは十分考えられます。

「微妙な判定では勝てないだろう」(双子の弟アンドリュー)と自分たちの立場もよくわきまえて、マロニーも「KOする」と宣言しています。

出入りの激しいエネルギッシュなマロニーが相手、「中盤から終盤まで時間がかかる」というのが大方の予想です。

しかし、マロニーが序盤から攻撃的になるとしたら、試合は早いフィニッシュを迎えるはず。アラムの間抜けな予想は大外れになります。

井上の1/10(1.1倍)に対してマロニー15/2(8.5倍)で立ち上がったオッズも、1/12(1.083倍)と6/1(7倍)で落ち着いたまま、井上の圧倒的有利と見られています。
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どこもかしこも「井上尚弥vsジェイソン・マロニー」を無視し続ける中で、リング誌電子版が10月26日後楽園ホールでゴングの鳴る比嘉大吾と堤聖也 の一戦をレポート。
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▶︎▶︎▶︎元WBCフライ級王者の比嘉大吾、2018年4月のクリストファー・ロサレスに大番狂わせの敗北(リング誌のUPSET OF THE YEARに選ばれてしまいました)を喫してから必死の復帰ロードを走っている。

10月26日、拳を交えるのは「リングの外では友達」という堤聖也。アマチュア時代に2度敗北している因縁の相手。

「堤のスタイルは変則でやりづらいが、プロでの経験は私が優っている。キーパンチはジャブ。ジャブを突きながら、次のパンチにつなげたい」。

日本屈指のパンチャーは野木丈司のもと、横浜で捲土重来を期してきた。

「何が何でも世界王者に返り咲きたい。団体や王者に拘りはない。しかし、今は目の前の堤だけに集中している」。

もし、25歳の強打者がこの試合を大きなダメージを受けずに勝利すると、大晦日に決定している「井岡一翔vs田中恒成」のビッグファイトのアンダーカードに登場する予定だ。それが、何を示唆しているのか?

井岡と田中の勝者との決戦が、近い将来にありうるかもしれない。

24歳の堤は2018年にプロ転向、ここまでの星取りは5勝4KO1分。

Tsutsumi (5-0-1, 4 knockouts) should provide us with answers on whether Higa can recapture his old form that saw him win a world title.

日本の大砲がかつての輝きを取り戻し、世界王座を奪回できるのか?比嘉にとって堤は格好の答案用紙になる。

さて、比嘉はどんな回答を私たちに見せてくれるのだろうか? 
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Saturday 31, October 2020   
The Bubble, MGM Grand, Las Vegas, Nevada, USA
commission:Nevada Athletic Commission
promoter:Top Rank - Bob Arum
matchmaker:Brad Goodman
media:Latin America: Canal Space, USA ESPN+ 

Oct. 31: Las Vegas 
Naoya Inoue vs. Jason Moloney, 12 rounds,
for Inoue's IBF/WBA bantamweight world titles

 Ewa Brodnicka vs. Mikaela Mayer, 
10 rounds, for Brodnicka's WBO junior lightweight title

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女子世界戦、エワ・ブロトニチェカの王座に注目のミカエラ・メイヤーが挑戦する無敗対決とのダブルヘッダーです。

〝She has turned into one of the premier fighters in female boxing. This WBO belt will be the first of many world titles for Mikaela.〟

「ミカエラは女子ボクシングのスター選手の一人になった。そして今回の世界王座はこれから多くのタイトルを獲る最初のベルトになる」(ボブ・アラム)。

戦前の注目度、報道量は「女子」に軍配。これ、視聴者数で負ける可能性も十分にありえます…。

前座には「平岡アンディvsリッキー・エドワーズ」などもセット。
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あと1週間に迫った井上のラスベガスデビュー。

米国メディアはいまだにテオフィモ・ロペスvsワシル・ロマチェンコの番狂わせのフォローアップと「ガーボンタ・デービスvsレオ・サンタクルス」の戦前情報で井上戦どころではないようです。

「ロペvsロマ」は平均272万9000人、ピーク時289万8000人の視聴者をマーク。この数字は「マニー・パッキャオvsジェフ・ホーン」のピーク時440万人には及ばないものの、平均281万2000人と変わらない超大健闘(パックvsホーンはパッキャオ人気だけに依存した特殊ケースでしたが)。

予想以上の数字を残した「ロペvsロマ」の余韻に、「ガーvsレオ」もPPVデビューの結果が注目される大一番、ESPNの〝サブチャンネル〟+で配信される「井上vsマロニー」の数字が相当悲惨なものになるのは確実、ダブルヘッダーの「女子」にも劣るかもしれません。

結果が出ても、日本で数字は報道されないでしょう。

まー、それはあくまでも米国をはじめとした「日本以外の世界の話」。日本では試合前1週間となって大いに盛り上がっています!…でもない???

WOWOWの特番が2時から放送されていましたが、プログラムの扱いも小さく、ジョン・リールカシメロ戦前から延期延期でちょっと熱が冷めてしまったか。
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WOWOWも今年に入ってから加入者減が加速、1−9月累計で6万7200件も減少。2014年に錦織圭の全米快進撃で10万7886人も純増したのを最後に、盛り上がりがないジリ貧傾向が続いています。

それでも、来週の「井上vsマロニー」はWOWOWが生中継、夜はフジテレビが録画放送と、相当な露出になるはずです。


井上の1/10(1.1倍)に対してマロニー15/2(8.5倍)で立ち上がったオッズは、現在1/12(1.083倍)と6/1(7倍)。静かな推移を見せています。

三段論法が通用しないのがボクシングですが「共通する二人の対戦相手の内容」を考えた〝四段論法〟に加えて、「過去の対戦相手の質」が余りにも違いすぎます。

「◯段論法」でいえば「4KINGS」総当たりの〝開幕戦で〟シュガー・レイ・レナードに勝利したロベルト・デュランがその後は1勝も挙げられなかったケースもあります。

「過去の対戦相手の質」でも、直近の「ロペvsロマ」を見るまでもなく、あくまで予想データの一つに過ぎず、勝利の保証書ではありません。

リングの上で起きること以外に、事実も真実も存在しないのがボクシングです。

それでも、この試合に限っては何かが起きるとは考えられません。
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この忌々しいパンデミック下で、トップランクとESPN、MGMグランドが英知を絞って創造した完全防疫のボクシング会場 The Bubble に、いよいよ27歳の日本のエースが登場します。

本来なら4月25日にMGMグループのセカンドハウス、マンダレイ・ベイの大会場に日本からの応援団を迎えてゴングがなるはずだったジョンリール・カシメロとの三団体統一戦は、延期と条件交渉の仕切り直しから白紙に戻ってしまいました。

リスケの果てにリング誌/IBF/WBAバンタム級王者の前に立ち塞がるのは、豪州のダイナモ、ジェイソン・マロニー29歳。

ようやくオッズも立ち上がり、ウィリアムヒルからも井上1/12=1.08倍、マロニー6/1=7倍と掛け率が出ました。

井上が難なく粉砕したエマヌエル・ロドリゲスに惜敗、キャリア最晩年の河野公平にも粘られたマロニーが大番狂わせを起こす可能性は極めて低いと見られています。

井上のキャリアの中でも強豪クラスであることは間違いありませんが、過去最強かと問われて頷く人はいないでしょう。

井上有利は揺らぎませんが、敗北の可能性はゼロではありません。

井上のカットの状態に、ロドリゲスや河野を驚かせたマロニーの強打は井上をも脅かせるのか。

そして、マロニーが一戦ごとに進化していることも気がかりです。
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プロボクシングの世界で、WBSSのようなトーナメントは稀有です。

それでも、目の前の敵をスキップして〝大勝負の決勝戦〟に気を逸らせるとろくなことはありません。世界タイトルの価値が暴落した現代、スーパー選手への道は実は目に見えないトーナメントを勝ち抜いてゆくようなものです。 
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このブログで繰り返しているように「バンタム級の選手がPPVのメガファイトを戦い1000万ドル単位の報酬を獲得する」なんてことは、米国ではありえません。過去にもPPVに乗ったバンタム級は、メキシコのスター選手ですら皆無です。

井上尚弥の現在位置、トップランクと日本開催の試合も含めた3試合契約を締結(その金額は未発表)、その初戦が今月31日のジェイソン・モロニー戦です。

その放送は本放送ではなく前座向けのESPN+の配信、本来は味方である筈のそのESPNが9月のタイミングで「米国のボクシングファンは井上なんて名前も聞いたことが無い」と事実をわざわざ記事にし、試合前1ヶ月を切ってようやくブックメーカーがオッズを立ち上げるなど、誰がどう考えても米国で注目されているとは口が裂けても言えません。

先日、この10月31日に日程・会場がリスケになった「ガーボンタ・デービスvsレオ・サンタクルス」の報道でも「この日は井上の試合とバッティングする」なんて報道はたったの一つもありませんでした。

やはり、同じ10月31日に英国で行われるオレクサンダー・ウシクvsデレック・チゾラのノンタイトル戦の方が、米国での注目度や報道量は米国で試合する井上よりも圧倒的に上というのが厳しい現実です。
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同じ日に行われる井上の2団体統一戦と、ウシクのノンタイトル戦のオッズ一覧。井上の試合が世界的にもいかに注目されていないかは、残念ながら一目瞭然です。

トップランクの不倶戴天のゴールデンボーイ・プロモーションズと密接な関係にあるリング誌が「ラスベガスで開催されたコロナ後イベントで最も注目度が低い世界戦」(リング誌)と報じられても何の反論できません。

欧米では全く関心が払われないバンタム級、そして欧米で馴染みの無い人種同士の対決では致し方ありません。

ただ、欧米の興味・関心はライト級から芽生え始めます。もちろん、ライト級のスーパースター、ワシル・ロマチェンコですらPPVメインの経験は無しですから、井上信者らが希求する「PPVで20億円」なんて夢のまた夢なのですが、ライト級ならようやく「軽量級」と認めてもらえます。

井上が1試合20億円のファイトマネーを得る可能性があるとしたら、日本でかつての「K1」や「プライド」のように海外の軽量級のスター選手を集めてハイレベルな戦いを展開することです。

そこには「アラブの富豪から愛される悪魔王子バダ・ハリ」のような嘘は必要ありません。ホンマもんで勝負できるのです。

それに対して、井上が米国でPPVスターになるのは100%不可能です。ESPNですら「+で配信してやる」という、もはや人気があるとか無いとかの次元では無い「全く無名」のバンタム級の試合を誰が買うでしょうか?

「K1」や「プライド」の成功は刹那とはいえ、十分参考になる筈です。彼らがやるしかなかったバダハリや曙のような虚構は、ボクシングで弄する必要はありません。

大きな興行をぶち上げれば、昨年の「さいたまスーパーアリーナ」のように世界が「軽量級でこんなイベントが出来るのか!」と驚くでしょう。

それを何度か積み重ねれば、魅惑的なイベントに目が無いラスベガスのカジノ&リゾートは招致フィーを払ってでも「さいたまスーパーアリーナ」を輸入したいと考えるかもしれません。

ネックとしては〝ワンデー〟で決着・完結する「K1」や「プライド」の成功メソッドは、ボクシングでは難しいという点でしょうか。

英国では重量級のワンデートーナメントがあるとはいえ、ラウンド数の少ない若手が報酬を稼げる場作りです。

ジェイソン・マロニー戦は通常の世界戦、防衛戦ですが、これを周辺階級の選手も引き寄せるバンタム級最強トーナメントとして組めるとしたら、それは不人気階級でしか展開できないがゆえ〝詐欺的〟手法に走ってしまったWBSSのような欧米地盤では不可能です。

「最強決定トーナメント」で多くのケースで頓挫、キックオフしても空中分解したり、十分な注目が集められないことがほとんどです。

近年では、欧州では人気階級のスーパーミドル級で展開したSuper Six World Boxing Classic が「成功」といえるでしょうか。

米国での人気は難しい評価になりますが「アンドレ・ウォードというダークホースのスーパースターを生み出した」(リング誌)は、そうかもしれません。

ウォードがダークホースだったのは結果論とは言え「誰も見る目がないんかい!」ということです。そして、ウォードがスーパースターになれたのか?というのもちょっと難しいです。

「米国最後の金メダリストをあまりにも蔑ろにしすぎ」と〝神の子〟を後押ししたリング誌やESPNでしたが、ボクシングファンはなびきませんでした。

もしかしたら、ウォードは村田諒太を羨んでいるかもしれません。
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↑リング誌2012年5月号から。

日本のファンにも記憶されるWBSSは「横アリ」「たまアリ」の日本開催こそ大成功でしたが、総括して成功と呼ぶにはあまりにも多くの〝齟齬〟があり過ぎました。

日本でのバンタム級トーナメント、あるいはジュニアフェザー級トーナメント。
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80年代にドン・キングが仕掛けた「マイク・タイソンのマイク・タイソンによるマイク・タイソンのためのトーナメント」は歴史上最も成功したトーナメント・イベントかもしれません。

このヘビー級トーナメントに習って、ちょっとした仕組まれ感も含ませながら、妄想してみましょう。

WBSSとは違い、正真正銘の高額賞金トーナメントですからジュニアバンタムからも参戦希望者が殺到するでしょう。

そしてジュニアフェザーや、もしかしたらフェザーからでも。フェザーのスター選手の場合はキャッチウェイトが適用され、ダブル王座がステイクされます、当然。

優勝者はフライ〜フェザーの4階級を制覇することになる夢のトーナメントです。

エントリーは井上尚弥、井岡一翔、田中恒成、比嘉大吾、ローマン・ゴンザレス、ファン・フランシスコ・エストラーダ、ジョンリール・カシメロ、ギジェルモ・リゴンドー、ノニト・ドネア、ムロジョン・アフマダリエフ、岩佐亮佑、ゲイリー・ラッセルJr.、ジョシュ・ウォリントン…この面子なら優勝賞金150万ドルでも日本に来るでしょう。
 
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