カテゴリ: パウンド・フォー・パウンド

オフィシャルは116−112/115−113*2のユナニマス・デジション。

ESPNをはじめ私が見渡したメディアの採点は118−110など、もっと大差がついたものでした。

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トータルのスタッツは、カネロが99(ボディ51)/338で的中率29.3%。クロフォード115(23)/534で21.5%。

トータルパンチの精度はカネロが上でしたが、そこまでの差は感じられませんでした。手数はクロフォード、これは印象通りです。

クロフォードが精度で劣っているのは数字上だけで、ジャブの45(9)/326=13.8%がトータルの精度を落とした結果。

ジャブは触覚的に使う、距離の調整、対戦相手への煙幕…ヒットさせる以外の目的の方が重要です。

クロフォードが手数と正確さでもカネロを抑えた展開でした。

まだまだ続いているインタビューの中でGOAT(史上最高)という声も挙がっています。

135ポンド(ライト級)と168ポンド(スーパーミドル級)でリング誌王者になったのは史上初の快挙(アルファベット団体のタイトルならディンガン・トベラがWBAライト級、WBCスーパーミドル級で王者に就いています)。

オフィシャルはラスト3ラウンドを全てバドに振っています。カネロが1ラウンドでも取っていたら、引き分け防衛でしたが、後味の悪いスコアになったでしょう。

さかんに名前が挙がっている「マニー・パッキャオ」もキーファイトに圧勝した直後はGOATともてはやされていました。

オレクサンデル・ウシクが引退しない限り、PFP1位の座はコンクリートで固められているはずではなかったのか?

マイク・タイソンやロイ・ジョーンズJr.は誰に買ったわけでもないのに、弱い相手に対する圧勝ぶりからGOATと言われましたが、現在の評価は見るも無惨です。

快挙に沸く解説人が口走るように、バドはAnother Pacquiao なのか?それとも、直後の興奮で過大評価されたタイソンやロイの一種なのか?

あるいは、シュガー・レイ・ロビンソンを凌ぐ評価まで手に入れるグレートを私たちは目撃したのでしょうか?




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クロフォード、完勝です。

116−112/115−113*2

シュガー・レイ・ロビンソンも倒せる?

GOAT(史上最高)?

いまだにスペイン語から話すカネロ。スペイン語勉強しとけば良かった。

しかし、小さい端末で見るの疲れた。

AND NEW!Undisputed champion,RING magazine championーーーアルファベットタイトルのコールがありませんでしたね。

これは、ボクシング復活の1ページ目になるのか?

最後のスーパースター、カネロの敗北が意味することは?

たった一つ、確かなことは、35歳のカネロのトーチが、37歳のクロフォードに渡ったわけではありません。

マニー・パッキャオは唯一無二だと思っていたが、もう1人、マニー・パッキャオが現れた…本当にそうか?








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PFP評価がヘビー級に厳しいのは当然です。

Pound For Pound(1ポンド当たりの強さ/全ての階級を平等に見て=体重同一時)という概念自体が、ヘビー級以外のクラスで戦うボクサーたちを積極的に評価しようということに他なりません。

この〝ヘビー級差別〟が最も顕著なのがリング誌のPFP。

様々なボクシング専門サイトがPFPランキングを発表、ファンの間に一気に定着する2010年頃から現在までの15年間で、リング誌のMythcal rankingにリストアップされたヘビー級選手はたったの2人しかいません。

ウラジミール・クリチコとオレクサンデル・ウシク、2人のウクライナ人です。

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長らくPFP2位に固定されたウラジミール。もし、パックメイの時代でなければPFPでも長期政権を築いていた?


ジュニアバンタム級は7人(ローマン・ゴンサレス、井上尚弥、ファン・フランシスコ・エストラーダ、シーサケット・ソールンビサイ、ドニー・ニエテス、井岡一翔、ジェシー・ロドリゲス)や、ジュニアフェザー級は6人(ノニト・ドネア、ギレルモ・リゴンドー、カール・フランプトン、レオ・サンタクルス、アブネル・マレス、井上尚弥)もPFP10傑に送り込んでいるというのに。

ジュニアバンタムとジュニアフェザーの体重差はわずか7ポンド。ヘビー級の試合では当たり前に見られる体重差と比べるとそうでも良くなる数字です。

人工的に細分化された階級ではなく、ストロー級からフェザー級のように約20ポンド幅のカテゴリーでPFPの分布図を見直すと、ヘビー級差別がいかに酷いものかがよくわかるでしょう。

もちろん、安易な複数階級制覇が当たり前の現代ではジュニアバンタムからジュニアフェザーの3階級にわたってPFPを回遊する井上尚弥のようにダブルカウント、トリプルカウントが当たり前ですが、ヘビー級はそうはいかないという事情はあります。

また、同時最多で3人がPFPランキングを賑わしたジュニアバンタム級に見られたような〝PFPのタライ回し〟は、ヘビー級ではまず見ることが出来ません。

ヘビー級から3人同時にPFP入り…ありえません。

先月の英国ロンドン・ウィンブリースタジアムでダニエル・デュボアがPFP1位のウシクを一方的に破壊していたとしてもPFP10位に数えられることはなかったでしょう。

これは、他の階級では考えられないこと。

ヘビー級ばかりが注目されて、他の階級、特に欧米のカジュアルなボクシングファンが無関心のライト級未満のクラスに光が当たらない現状を打破する詭弁として用意されたのがPFPでした。

その出自を考えると、ヘビー級が冷遇されるのは仕方がありません。累進課税・有名税のようなものです。

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しかし、ウシクという特異きわまる〝小さな巨人〟の進撃によって、PFP的な物差しでヘビー級史上最強を考えるようなメディアが横行しています。

ヘビー級という現実に、PFPという妄想が持ち込まれているのです。

ウシクはタイソン・フューリーと24ラウンド戦って、のべ6人のジャッジによる合計のスコアは690−675。その差はわずか15ポイント。

1ラウンド当たりに換算すると0.625ポイント。

あの試合がフューリーの地元英国で行われていたなら、微妙な「10−9」が逆転して英国人に流れていたなら、ウシクの2連勝は2連敗になっていたかもしれません。そうだとして、その判定がどれほどの議論を読んだでしょうか?

トーマス・ハーンズ、マービン・ハグラー、ロイ・ジョーンズJr.、シェーン・モズリー、テレンス・クロフォード、井上尚弥…PFPキングは恐るべき圧力で階級を支配してきました。

PFPキングの歴史で、ウシクほど階級支配度が脆弱なファイターは他に見当たりません。唯一、圧勝しているデュボアに対しても初戦では実質的にダウンを奪われ、カウントアウトされていたと見られても文句の言えないシーンがありました。



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ホームを持たないロードウォリアー、そして鋼鉄の意志をもつ38歳のウクライナ人には尊敬の念しかありません。

しかし、この小さなグレートが判定に泣かされることがないことに、何か理由はあるのでしょうか?

そこに「サウジアラビア」という中立国が深く関与しているのは間違いありません。

また、ゼレンスキー大統領が全面に立つウクライナ情勢の中で、政敵であるクリチコ兄弟が排除されて、ウシクが寵愛されている事実も、リングの中でのスコアリングやリングの外での評価に目に見えない作用を及ぼしているのでしょうか?

タイソンやロイのように、ウシクも後世には手の平返しで評価が下がってしまうのでしょうか?




オレクサンデル・ウシクがPFPキングで良いのか?  まだまだ続きます。


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ヘビー級に上げてからの世界戦は6戦全勝ながら、圧倒的なパフォーマンスを見せたのはダニエル・デュボアとの再戦だけ。

アンソニー・ジョシュア、タイソン・フューリーを歴史的にどう評価するか?対戦相手の質を考えると、高い身体能力が過大評価されたケン・ノートンの顎をガラス製にしたのがジョシュア、プリモ・カルネラほどではないものの巨体だけが取り柄のフューリー…ウシクが勝った相手は後世の評価が非常に怪しい2人(デュボアは論外)だけ。

マイク・タイソンが「弱い相手に派手な勝ち方しかできなかった」と総括されたことを考えると、ウシクは「弱い相手に地味な勝ち方しかできていない」のではないでしょうか?


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【VS ジョー・フレイジャー】

ANBER’S INSIGHT…両者にとって危険なファイト。

それでも、スモーキン・ジョーの容赦ないプレッシャーをかいくぐってウシクがポイントを集めるのではないか。

フレイジャーが歴史的にも強いヘビー級であることは誰もが認めるが、彼が勝ったのは全盛期のアリでも、リストンでもなかった。

12ラウンド36分間にわたって、フレイジャーの左フックを食わなければ、ウシクが勝つ。

MY VERDICT…ものすごい試合になるだろうが、フレイジャーはウシクの変幻自在の動きに苛立ち続けて最終回終了のゴングが鳴る。



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【VS ジョージ・フォアマン】

ANBER’S INSIGHT…サウスポーを苦手としない、ヘビー級のレベルが最高潮だった時代のチャンピオンがフォアマンだ。

故障で試合日を延期したキンシャサでは体調も崩していた。全盛期のフォアマンは歴史上最強のヘビー級だろう。もし、ボクシングにドラフト制度があれば、フォアマンが一巡目の1位。

それでも、フォアマンはウシクの動きに戸惑うだろう。

MY VERDICT…フォアマンは史上最強のハードヒッターだろう。しかし、ウシクの速い足と手、巧妙なフェイントは、12ラウンド終了までフォアマンを悩ませる。


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【VS ラリー・ホームズ】

ANBER’S INSIGHT…ウシクにとって最も難しい試合になるかもしれない。

テクニック、精神力、打たれ強さ。全盛期のホームズに勝てるボクサーは、歴史上でもほとんどいない。

MY VERDICT…全盛期のホームズは全盛期のウシクを倒すだろう。

ジャブとパワー、スタミナ、ダメージからの回復力、ウシクのチャンスを最も小さくするのがホームズだ。



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ヘビー級は多くの意味で特別なクラスです。

例えば、オールタイムPFPを語るとき。

井上尚弥とエデル・ジョフレ、ウィルフレド・ゴメスを仮想対決させるように、タイソン・フューリーとロッキー・マルシアノを戦わせるのは無理があります。

バンタム級の井上とジョフレ、ジュニアフェザー級の井上とゴメス、前日計量と当日軽量という差はあれども、秤の上では同じ118ポンド、122ポンドです。

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しかし、190ポンド未満の体重のマルシアノと260ポンドを優に超えるフューリーの無視できないまでのサイズの違いは、妄想の大きな障害となってしまいます。

そして、現代では小兵のオレクサンデル・ウシクですが、過去のほとんどの時代においてその体重だけでなく、身長191㎝もリーチ198㎝もけして見劣りしない堂々たるヘビー級になります。

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1973年1月22日、ジョージ・フォアマンが王者ジョー・フレイジャーを破壊した〝キングストンの惨劇〟。

あのときのフォアマンの体重は〝わずか〟217ポンド1/2(98.66kg)、ダニエル・デュボアを轟沈させた先月のウシク(227ポンド1/4=103.1kg)より約10ポンドも軽かったのです。

そして「サウスポーはヘビー級王者になれない」というジンクスはマイケル・モーラーが1994年4月22日にイベンダー・ホリフィールドに勝利して溶解されますが、過去のグレートたちはサウスポーとの対戦経験が乏しく、仮想対決で対峙するウシクはまさにジンクスとなって彼らを蝕むことになるはずです。

さてさて、そんな前置きを踏まえて、続きます。

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【VS ロッキー・マルシアノ】

ANBER’S INSIGHT…エンジンのかかりが遅いマルシアノは、テンポの速い12ラウンド制は不向き。

それでも、あの勝負強さはウシクにとっても脅威になるだろうが、自在にパンチの角度を操るサウスポーはマルシアノでもコントロールできない。

MY VERDICT…過大評価と過小評価が渦巻く伝説のヘビー級、マルシアノは49戦全勝の記録を打ち立てた。

ウシクが同じ偉業を達成できるか?私の見立てはYES。ただ、マルシアノの勝負根性は別格、ウシクは苦戦を強いられるだろう。



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【VS ソニー・リストン】

ANBER’S INSIGHT…全盛期のリストンは史上最強と恐れられたが、ウシクならモハメド・アリと同じことをやってのけるだろう。

ただし、ウシクがリストンとの打撃戦に応じる色気を見せたら、KOされる。

MY VERDICT…全く勝敗予想がつかない。

60年代ヘビー級のトップ選手の何人かは、ウシク相手でも勝機がある。リストンもその1人だが、ウクライナ人の精神力とスタミナに中盤以降で振り落とされるのではないか。




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【VS モハメド・アリ】

ANBER’S INSIGHT…スタイルを考えると、ウシクにとってアリは悪夢だ。

ウシクにハートの強さで勝てるファイターは全時代を通してもほとんどいないが、アリはそんな稀有の1人。

ウシクはテクニックだけでなく、ハートでも初めて翻弄されることになる。

これは、兵役拒否で大きなブランクを作ってしまう前の全盛期のアリだったら。全盛期のアリには誰も勝てない。それほど卓越したヘビー級だった。


MY VERDICT…全盛期のアリならウシクをポイントアウトするだろう。

1970年代の劣化版アリの場合は、アリがどれだけ真剣に練習して試合に臨むかにかかっているが、僅差でウシクに競り勝つのではないか。

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オレクサンデル・ウシクは歴史的なグレートに勝てるのか?

英国ボクシングニューズ誌から「USYK VERSUS THE GREATS」。

最初にお断りしなければならないのは、ウシクのコーナーを守るラス・アンバーがinsight(考察)、ルークGウィリアム記者が判定を下す形式です。

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【VS ジャック・ジョンソン】

ANBER’S INSIGHT…ジョンソンは優れたファイターで、技術とパワーを兼ね備えていた。ウシクが簡単にパンチを当てるのは難しいだろう。もちろん、ウシクもジョンソンのパンチをもらうことはない。

非常に高度なチェスマッチになる。

ウシクがサウスポーであることが勝敗を分けそうだ。

MY VERDICT…何ラウンド制で試合を組むのか?ジョンシンが慣れている45ラウンド制?

つかんだりクリンチやホールディングに寛容なジョンソンの時代の主審を起用するのか、それとも?

どんな設定で戦うのかで結果は違ってくる。




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【VS ジャック・デンプシー】

ANBER’S INSIGHT…もし、デンプシーが現代のボクサーならライトヘビー級が主戦場だっただろう。彼は194ポンド以下で戦っていたから、いまならクルーザー級のリミットにも満たない。

もし、デンプシーがウシクと戦うならサイズが大きな問題になる。デンプシーの勝負根性は評価するが、225ポンドのウシクは大き過ぎる。

ウシクのスピードとフットワーク、サウスポーであること、そしてサイズにデンプシーは削られていくだろう。

MY VERDICT…アンバーと同じくらいに私はデンプシーのファンだ。しかし、デンプシーにとって、ウシクは大き過ぎる、そして技術が高過ぎる。



【VS ジーン・タニー】

ANBER’S INSIGHT…
タニーほど過小評価されているファイターはいない。飛び抜けた技術と鋼鉄のハートの持ち主、タニーはウシクにとって深刻な問題となるだろう。

MY VERDICT…ウシクのサウスポースタイルはタニーを混乱させる。

ただし、現代ボクシングに順応する時間をタニーに与えて3連戦をするなら、私は2勝1敗でタニーを支持する。





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【VS ジョー・ルイス】

ANBER’S INSIGHT…なんというマッチアップだ!

しかし、ウシクの動きにルイスは対応できない。ルイスの数少ない欠点はフットワークが重いこと。ウシクの餌食になってしまうだろう。

そして、サウスポーとの対戦経験のないこともルイスに大きなハンデとなってのしかかる。見たことのない角度から放たれるコンビネーションに、ルイスはなすすべもない。

MY VERDICT…アンバーの見立ては100%正しい。ルイスはスパーリングでサウスポーに打たれまくって、実戦では絶対にサウスポーと戦おうとはしなかった。

そして、ウシクはただのサウスポーではない。

多くの専門家やファンはルイスを支持するかもしれないが、もし両者が激突したら悪夢を見るのはルイスの方だ。

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圧倒的大多数のメディアで、オールタイムPFP1位に推され続けているのはご存知、シュガー・レイ・ロビンソンです。

ジョー小泉をして「生まれ変われるならロビンソンの時代で彼のボクシングを体感したかった」と言わしめた、元祖シュガー・レイ。

そして、PFPの概念をボクシングファンに広く知らしめたグレート。

しかし、ロビンソンはライトヘビー級王者ジョーイ・マキシムの前に体力の差を見せつけられ、13ラウンド終了TKOに散りました。

当時はオリジナル8、ウエルター級とミドル級で歴史的な強さを見せつけ、ライトヘビー級に挑戦した拳聖は3階級制覇に失敗してしまったのです。

このとき両者の体重は、マキシムがリミットを2ポンド下回る173ポンド、ロビンソンは157ポンド1/2、ミドル級にも満たない〝軽量〟でした。

ロビンソンはミドル級の体重でライトヘビー級に挑み、15ポンドの壁に跳ね返されてしまったのでした。

専門家やコアなファンは「ロビンソンがもう少し大きな体格なら、マキシムにはもちろん、ロッキー・マルシアノにも勝てるのに」という思いを表出させたのがPFPでした。

さらに遡って、アクロバティックな複数階級で同時代のヘビー級王者ジョー・ルイスに〝挑戦〟したヘンリー・アームストロングは4階級制覇を狙ったミドル級の王者セフェリノ・ガルシアに僅差判定で敗れてしまいました。

このときのウエイトは、アームストロングが142ポンド、ガルシアが153ポンド1/2(当時のミドル級リミットは11ストーン=154ポンド)。ナチュラルウエイトで10ポンド以上も重いガルシアに立ち向かったのでした。

多くの格闘技で階級制を採用している理由は「ウエイトが重い方が強い」からです。

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PFPを楽しむボクシングファンに不条理な現実を突きつけたウクライナの英雄



A good big 'un always beats a good little 'un.


「優れたライトヘビー級は鈍重なヘビー級に駆逐される」「ライトヘビー級王者はヘビー級王者になれない」…長い間、ボクシング界に横たわってきた常識はマイケル・スピンクスが打ち砕き、クルーザー級からはイベンダー・ホリフィールドとオレクサンデル・ウシクが無差別級へのランディングに成功しました。

それでも、劣化バージョンのラリー・ホームズを攻略したスピンクスは、より重い生粋のヘビー級マイク・タイソンに90秒で破壊され、ホリフィールドもリディック・ボウやレノックス・ルイスだけでなく鈍重なジョン・ルイスにまで不覚をとってしまうのでした。

A good big 'un always beats a good little 'un.

一番強いヘビー級ばかりが注目されているが「減量階級も素晴らしい」という理屈をこねなければ、小さなファイターは浮かばれないーーーその(屁)理屈こそがPFPなのです。

手も足も速く、滑らかなフットワークも使ってコンビネーションを叩き込むーーー重いヘビー級では見ることのできない〝軽量〟の美学。

そこにフォーカスして、ヘビー級をピンボケさせる妄想を見せてくれるレンズの名前がPFPです。

井上尚弥は論外、カネロ・アルバレスやテレンス・クロフォードでも、現実のリングではウシクに無惨に敗れ去るでしょう。

しかし、PFPレンズを通すなら「ウシクは現役PFPファイターに勝利したことがない」という事実に突き当たります。

そんなウシクに対して、クロフォードはPFP5位以内に評価れていたエロール・スペンスJr.に圧勝しています。

カネロ・アルバレスは元PFPキングのシェーン・モズリー、長年PFP上位にランクされていたミゲール・コット、PFP2位評価を受けたこともあるセルゲイ・コバレフに完勝。

対戦相手の質が低いと揶揄される井上でも元PFP3位のノニト・ドネアを2度撃破しています。

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 階級のレベル・人気格差を無視する支配度だけならNo.1?


さらに、ESPNやリング誌で認められたまともな世界ランカーに対して、ウシクはクロスゲームを繰り広げているのに対して、クロフォードとカネロ、井上は圧倒的な力量差を見せつけています。

どんな発想でも自由なPFPですが、その大前提は「階級(体重差)を無視して全ての階級を平等に見ること」。つまり、PFPで最も重視すべき要素は階級支配度です。

そう考えたとき、PFPという妄想ルールの中でウシクの満場一致の1位というのは如何なものでしょうか?

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◉読者

良ければ管理人さんの考えるPFPを聞いてみたいです。


ウシクもあまり評価されていないようですが、現代ボクサーはタイトルが1つしかなかった時代と比べて評価に値しない感じでしょうか?

4団体統一してはじめて本物の王者で、それからどのようなレガシーを築くのかでやっと議論できるレベルとお考えですか?

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オレクサンデル・ウシクを評価してないとすると、私がウシクを「時代を代表するファイター」と見ているからでしょうか?

ウシクは2020年代、いや21世紀でも傑出したファイターです。

そして、お遊びとはいえ「ヘビー級は強いけど技術的にも素晴らしいとは限らない」という、階級を無視してボクサーを評価するPFPは非常に面白いMythical ranking 、妄想の序列です。

「誰が一番強いか?そんなんタイソン・フューリーに決まってるでしょう」(村田諒太)なんてことを言い出すと、お遊びも妄想も出来ません。

そもそも、強さだけならヘビー級が一番なんて誰でもわかっています。

PFPは現実の強さではなく、pound-for-pound 、つまりは階級を無視して、同じ体重だとする妄想上での強さです。

マニー・パッキャオやフロイド・メイウェザーは、明らかに適正階級よりも重いウエルター級に乗り込み、技術の差を見せつけたから高い評価を得ましたが、彼らはフライ級やジュニアライト級の体重のままで、つまり体重ハンデを背負って戦ったわけではありません。

しかし、ウシクの場合は違います。

112ポンドから154ポンドまでの42ポンドを増量したパッキャオに対して、ウシクは230ポンド前後の体重のまま、数10ポンド、ときには50ポンド以上も重い相手と互角以上に戦い勝利を収めてきたのです。

体重同一時=pound-for-pound どころか、驚くほどの体重ハンデを背負いながら勝利を重ねているのです。

もちろん、タイトルマッチで最も大きな体重ハンデを跳ね返したのはデビッド・ヘイ(ニコライ・ワルーエフ戦)です。

また、160ポンドのミドル級からヘビー級のストラップをつまんだロイ・ジョーンズJr.もメイウェザーはもちろん、パッキャオよりも大幅な増量の旅を成功させました。

それなのに、ヘイやロイがパッキャオやメイウェザーよりも評価が低いのは、勝った相手がワルーエフとジョン・ルイスだったという一点に尽きます。

彼らは戦前のオッズも予想も明白に有利な中で、ヘビー級の穴王者を狙い通りに攻略しただけでした。

ヘビー級のトップ選手に競り勝ってきたウシクは、ヘイやロイとは明らかに違います。

その一方で、テレンス・クロフォードや井上尚弥と比べると階級支配度は脆弱です。

ーーー「いや、待て。それを言うとパッキャオやメイウェザーも圧倒的な力量差を見せてウエルター級に君臨したわけではなく、スペクタクルに乏しい退屈な試合がほとんどだったじゃないか」と思われるかもしれません。


となると、ウシクはパッキャオやメイウェザーよりも優れたボクサーなのでしょうか?

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現代ヘビー級の最強は、オレクサンデル・ウシクです。

先日更新されたESPNのPFPでは、17人の専門家全員が38歳のウクライナ人を1位に推す満票でした。

満票はフロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオ以来の〝快挙〟。

PFPは十人十色の妄想ランキングであるはずですが、誰もが同じ妄想を描いているとしたら、それは妄想ではなく実像なのかもしれません。

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とはいえ、ウシクが戦ったヘビー級タイトルマッチ6試合は、アンソニー・ジョシュアとタイソン・フューリー、ダニエル・デュボアとそれぞれ2試合という〝英国が好き勝手〟している状況で、圧勝したのは直近のデュボアとの再戦だけ。

ジョシュアとフューリーに対する各2勝のうち一つはスプリットデジションで、どちらに転んでもおかしくない内容でした。

となると、フューリーやジョシュアもPFPの俎上に乗せて良い気もしますが、そうはならないのが矛盾だらけのPFP。所詮は妄想なので仕方がありません。

レベルの低い現代ヘビー級でもけして傑出した存在とはいえないウシクですが、2メートル前後の巨人が居並ぶトップ戦線で戦勝191㎝の小さな体で、常に自分よりも遥かに重い相手と互角以上に戦っていることがPFP1位評価につながっています。

クルーザー級の残像も評価にプラス作用しているのも、よくよく考えるとおかしな話ですが、これもPFPが妄想である限り、どんな評価をしようと間違いではありません。

デュボアとの再戦でも専門家予想ではウシクの敗北、苦戦を予想する声も少なくありませんでした。井上尚弥や中谷潤人、バム・ロドリゲスの戦前予想ではそんなの考えられません。



ーーー階級支配度が脆弱なウシクが、歴史上の偉大なヘビー級と戦うとどうなるのか?

英国ボクシングニューズ誌から〜。





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1986年7月12日。

39年前のリングは、今とは大きく様相が違っていました。

3年前に創設されたIBFは人気階級のスター選手を取り込んで存在感を増していたとはいえ、3団体時代はまだ夜明け前。

ストロー級とスーパーミドル級はまだセットされていない、全15階級。

そして〝上位タイトル〟など無く、〝地域タイトル〟も、東洋太平洋(OPBF)や欧州(EBU)など文字通り地域を代表するものに限定されていました。

そう、そう、マイク・タイソンが巧みなマーケティングで、自分よりも軽くて弱い相手を次々と粉砕していた時期でもあります。

世界はWBAとWBCの2団体に分裂していましたが、現在のようなデタラメ・ランキングではなく両者のランキングはほとんどオーバーラップしていました。

とはいえ、対立王者をランキングから外すのがデフォルトになって、デタラメの道に大きく舵を切った、そんな時代の〝ある日〟が1986年7月12日でした。

WBAジュニアヘビー級タイトルマッチ15回戦。

そう、世界タイトルマッチも当時はまだ15ラウンド制。このクラスは当時、WBAがジュニアヘビー、WBCがクルーザー級と呼び、リミットも現在の200ポンド(90.72kg)ではなく190ポンド(86.18kg)でした。

チャンピオンは33歳のドワイト・ムハマド・カウイ。挑戦者は10歳若い23歳のイベンダー・ホリフィールド。

170㎝もない低身長でライトヘビー級からクルーザー級で、そしてヘビー級までクルーズした異形の怪人カウイ。

強盗罪で懲役刑を科せられた監獄でボクシングを覚え、Bサイドのキャリアを疾走したカウイは、2004年にFirst Ballotでの殿堂入り。



カウイは自分が犯した過ちを猛省して正しい道を歩み、引退後はボクシングを教えるだけでなく、過去の自分のように人生を踏み外しそうな危うい人々を助け続けました。

史上最高のライトヘビー級戦と言われるマイケル・スピンクス戦で主審をつとめたラリー・ハザード(のちのニュージャージー州ボクシング・コミッショナー)は、カウイを「人生をやり直したパーフェクト・サンプル」と表現しています。

「ニュージャージーのアルコールとドラッグのリハビリ施設The Light House で、患者たちに自分のために酒と薬物をやめなさいとカウンセリングしていた。彼の言葉を聞けばそれが単なるカウンセリングではないことに、すぐ気づくだろう。彼は愛を説いていたのだ」。

He was a perfect example of someone who makes their mind up that they’re gonna walk the straight path. 




このブログでも度々登場する、ドワイト・ムハマド・カウイ。

体重制のボクシングを語るときに欠かせない、170㎝に満たない体躯で重量級を暴れ回ったノコギリ怪人のお話をするときが来てしまいました。



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