カテゴリ: パウンド・フォー・パウンド

2020年代のBest Fighters Rankingで、オレクサンデル・ウシク、テレンス・クロフォード、カネロ・アルバレスの3強を追っている井上尚弥ですが、ディケイドはまだ半分弱残されており、バム・ロドリゲスやデビッド・ベナビデス、シャクール・スティーブンソンらに押し出されてしまう可能性大。

もし、来年の日本人決戦に敗れるようなことがあるとトップ5からもはじき出されそうです。

さらに厳しいランキングになる21世紀の最初の四半世紀(2021〜2025年)を見ると、すでにエントリーは締め切られ、日本人からは井上だけがノミネート。

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今回は、独自ランキングではなく、ESPNの「トップファイター:今世紀の25人」から一気に。

①フロイド・メイウェザー
②マニー・パッキャオ

▶︎このワンツーは誰も異論がないのでは?


③バーナード・ホプキンス
④オレクサンデル・ウシク

▶︎ここはどうでしょうか?3位はウシク?それともエイリアン?


⑤カネロ・アルバレス
⑥アンドレ・ウォード
⑦テレンス・クロフォード

▶︎さて、難しいとこです。このランキングは先週の「カネロvsクロフォード」の1週間前にアップされたもの。カネロとクロフォードの入れ替えはあり?なし?


⑧ファン・マヌエル・マルケス
⑨ロイ・ジョーンズJr.
⑩井上尚弥

▶︎弱い相手に豪快に勝つことで評価されたロイと井上ですが、対戦相手の質はさすがにロイが上回るか。


⑪ゲンナジー・ゴロフキン
▶︎PFP1位に1年以上君臨したGGGがこの位置ですか。勝てなかったのはカネロだけ(2敗1分)ですが、あれはねぇ…。


⑫ジョー・カルザゲ
⑬エリック・モラレス

▶︎カルザゲとモラレス。英国とメキシコで大人気を博したスターがここにランクイン。


⑭ワシル・ロマチェンコ
⑮オスカー・デラホーヤ
⑯ローマン・ゴンサレス

▶︎PFP1位トリオが並びました。異邦人と人気階級から離れた悲哀を味わい尽くしたロマとチョコラティト。そして、超人気者のゴールデンボーイのポジションはもう少し下では?


⑰タイソン・フューリー
▶︎その技術力が高く評価されて、生粋のヘビー級で最高位の評価を受けたフューリー。そのフューリーを技術で翻弄したウシクの凄みがあらためて浮かび上がります。


⑱ミゲール・コット
⑲マルコ・アントニオ・バレラ

▶︎パッキャオのレガシーに欠かせない2人。どちらのファイターもマニアなファンからライトのファンまで幅広い支持を集めた人気者でした。


⑳ビタリ・クリチコ
㉑ケイティ・テイラー
㉒ウラジミル・クリチコ
㉓クラレッサ・シールズ

▶︎クリチコ兄弟、もっと上じゃないですか?女子もカウントするなら、この2人は納得してですが、やはりもっと上では?


㉔ウィンキー・ライト
㉕ティモシー・ブラッドリーJr.

▶︎ライトがここ?もっと上じゃないか。そして、ブラッドリーがなぜ???きっと何かの間違いです。




この25人を見渡して、あらためて驚くのはパッキャオの対戦相手の質の高さ。

25人中7人!と拳を交えて、のべ14試合で10勝3敗1分!なぜかランキングされているティモシーも入れちゃってますが…。

そして、井上尚弥。ディケイド(10年)でベスト5の座も危ういにもかかわらず、四半世紀(25年)では10位。これは、ディケイドをまたがって活躍したため。

活躍濃度を西暦の10年に圧縮させるのが、高い評価を得るのに一番効果的です。その意味では井上は2010年代の実績をカウントされないため、損してます。

1年区切りのFighter Of The Year でも後半に活躍する方が有利です。

まあ、そんなこといってもメイウェザーやパッキャオは全く関係ない次元で活躍してるわけですが…。




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井上尚弥vsムロジョン・アフマダリエフから1週間。

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井上と陣営の発言だけでなく、キャリアを通して初めて見せた慎重な〝倒さないで勝つ〟ボクシングは、少なくとも彼らの認識の中で30歳のウズベキスタン人が過去最強の相手であったことは疑いようがありません。

デタラメランキングが当たり前の4Belt-eraでは、穴王者と雑魚挑戦者が溢れています。

しかし、アフマダリエフはオリジナル8の時代ならランク外でも、2団体時代でも堂々の世界ランカーだったかもしれない強さを持っています。

それでも…「負傷が完治しないままの試合だった」「相手を舐め切っていた」「多くの人が勝っていたと支持した議論を呼ぶ判定」という言い訳を全て受け入れたとしても、あのマーロン・タパレスとクロスゲームをしてしった弱さも抱えていました。

現代の4Belt-eraですら、将来、MJが強豪王者、安定王者に君臨するとは考えられません。

もちろん、スティーブン・フルトンのように上のクラスでアルファベットのストラップをピックアップする可能性がないとは言えませんが、フルトン同様に「強い!」というよりも「相手が弱すぎ」という4Belt-eraならではの戴冠劇なら、という注釈が付きます。

現時点で、キャリア最強の相手がフルトンかアフマダリエフ…この2人が今後、殿堂入りのキャリアを残したり、PFPランキングに数えられるとは敬虔な井上信者ですら想像だにできないでしょう。

どちらがそこまで逆襲出来るかとなると、強豪相手に番狂せを起こせるのはMJの方だと思いますが、あくまで「どちらかといえば」。常識的に考えると、どちらもダメです。

もし、ガーボンタ・デービスに勝ったとしても、PFPに数えられることがレアなことから分かるように「弱い相手に豪快に勝っているだけ」というのがタンクの評価。

PFPファイターのシャクール・スティーブンソンを倒せば、もう誰も「パッとしない対戦相手だらけ」とは言わないでしょうが…。

井上のキャリアを振り返ったとき、スクーターとMJが最強だったとなると、歴代のFighter of the yearの栄誉に輝いたグレートの中で、対戦相手の質は史上最低だったと言われてしまっても何の不思議もありません。

もちろん、これは高いレベルでの話。

井上が2020年代においてオレクサンデル・ウシクやテレンス・クロフォード、カネロ・アルバレスに続く、ディケイド4位のポジションに付け、上位3人と引退年が重ならない限り、日本人2人目となる近代部門での一発殿堂もほぼ確実。

バム・ロドリゲスやデビッド・ベナビデス、あるいは中谷潤人ら若い勢力が井上のレガシーを上回ったとしても、2020年代のトップ10からこぼれ落ちることはないはずです。

来年、PFPファイター中谷との対戦がほぼ内定していることは非常に大きなポイント。

とはいえ、あの才能が一度も冒険の海に乗り出すことなく、リカルド・ロペスのように自分の小さな港湾から外海に出ないままキャリアを終えるとしたら、やはり残念です。



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"Let me show you something," Washington tells me.

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カール・ワシントンは 「お前が何者かを世界に見せてやれ」と、テレンス・クロフォードにささやいた。

そのための方法は一つしかない。

オハイオ州オマハのダウンタウンにボクシングジムを抱えるワシントンは、いまの米国ボクシング界で注目されるためにはカネロ・アルバレスに勝つしかないという現実をよく理解していた。

ボクシングがマイナースポーツに転落した現在でも、このスポーツの経済構造がビッグファイトに依存していることに変わりはない。

そんなビッグファイトを、私たちは1週間前に目撃した。

スーパースターのカネロをクロフォードがちょっとした番狂せで下したのだ。普通なら政権交代が起きるはずだが、37歳と言う年齢を抜きにしてもクロフォードがボクシング界の顔になれると思っている人は1人もいない。

有力なスター候補たちが王者の周囲に群がり、王者に勝ったものがその座を継承するのが格闘技スポーツの習わしだったが、35歳になったカネロに群がるのはレベルの低い挑戦者と、プロモーター、カネの使い道に迷っているネット配信会社だけだった。

カネロが引退すると、米国ボクシングの灯が消えると言われてきたが、クロフォードは消灯時間の前にスイッチを切ってしまったのだ。



The "Boxing is dead"  

ボクシングは死んだ。

アメリカでボクシングファンだとカミングアウトすると、必ず笑われてこう言われる。

ボクシングは死んだ。

しかし、そんなやつらには「あんたはカネロ・アルバレスを知らないんだね」と憐憫してあげよう。

そう、カネロを知っていたらboxing is dead なんて口にできるわけがないのだから。

カネロとクロフォードの試合は、Netflix が世界中の加入者3億人に課金なしで配信された。

ユニバーサルアクセス権の話は一旦忘れよう。ボクシングはさておき、2025年9月14日のカネロとクロフォードは間違いなくメジャースポーツだった。

The "Boxing is dead" ?




Must Win 

カネロにとってマスト・ウィンの大勝負だった。自分より年長で軽いクラスのクロフォードを迎えて、有利と見られていたからだけではない。

偉大なキャリアの着地点を考える段階で迎える、おそらく最後のメガファイトになるからだ。

しかし、カネロがハングリーな戦士であり続けるには、あまりにも多くのものを手に入れ過ぎた。

実質3階級も下のクロフォードとの試合を「最も重要な試合」と口にするほど、リングの中で証明するものを見失っていた。

「何もかも手に入れて絹のパジャマで寝入ったのに、毎日夜明けに起きてロードワークに出かけるんだ」と笑い、チャンピオンの苦悩を遠回しに語っていたのは、マーベラス・マービン・ハグラーだ。


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THE BIGGEST CONTRACTS IN SPORTS HISTORY ーー2017年、カネロはのちの大谷翔平らと同じ「スポーツ史上最高額」の契約を結んだ。


カネロも戦う理由を見つけるのに悩んでいた。フォーブス誌のアスリート世界一長者に何度選ばれたのか、本人もよくわかっていない。

高級ファッションブランドやビールメーカーなど巨大企業とスポンサー契約を結び、自身も独自ブランドでメキシコ料理から紳士服までさまざまな事業を展開している。

趣味のゴルフはプロ顔負けの腕前だ。それだけ熱中している。

「スポーツって面白いもんだな」。

カネロの言葉は深い、というよりも悲しく聞こえてしまう。



The One  
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おそらく、カネロが命の炎を燃やせるメガファイトはフロイド・メイウェザーとの再戦だった。

AサイドとBサイドが反転して再び対決していたら、とんでもない大興業になっていただろう。

もし、それが実現していたらHBOとSHOWTIMEのボクシングからの撤退は何年か先送りされたかもしれない。

ハグラーからレナード、フリオ・セサール・チャベスからオスカー・デラホーヤ、デラホーヤからメイウェザーとパッキャオに継承されたスーパースターのトーチだが、カネロはいつもまにかそれを手にしていただけでなく、それを渡すべき相手もいない、孤独なスーパースターだ。

スターにしか見えないトーチは、クロフォードには見えないし、見えてもクロフォードには重すぎて掲げることはもちろん、持ち上げることも出来ない。



Super Fight, That's All

スーパーファイトこそがボクシングの全て。

そして、究極のスーパーファイトにはドラマティックな王位継承が不可欠のエッセンス。

クロフォードの勝利はドラマティックだったかもしれないが、王位継承は施行されることはなかった。



…ちょっと待て?

あの試合には、スーパーファイトのエッセンスが無かった…確かに、そうだ。




ちょっと待て…。

もしかすると、カネロ・アルバレスはそもそも王ではなかったのではないか?

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マービン・ハグラーやテレンス・クロフォードはサウスポーで括られることもありますが、時代を代表するスイッチヒッターでした。

スタイルが違うため、どちらが優れたスイッチヒッターか?というと、多くの人がクロフォードを評価するはずです。

もっとわかりやすくいうと、1993年のUFC 1: The Beginning (無差別級)で圧倒的な強さでで優勝したホイス・グレイシーを現代にタイムスリップさせてUFCのヘビー級タイトルマッチに出場させたらどんな光景を見ることになるのか、誰にでもわかるでしょう。

サウジアラビアの主導でボクシング界の改革にまで乗り出しているUFCは、わずか30年という短い期間で技術的にも大きく発展しました。

ボクシングの場合は1950年代にシュガー・レイ・ロビンソンが現代ボクシングを〝発明〟してから、大きな技術的進歩はなく、ジョージ・フォアマンやバーナード・ホプキンスらのように20代から40代までトップ戦線で活躍する傑物も存在します。

10代、20代、30代、40代で世界王者になったマニー・パッキャオの活躍も、ボクシングが技術的にはほぼ完成していることの状況証拠でしょう。

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最近なら、マルコス・マイダナやアントニオ・マルガリートのような〝シュガー・レイ・ロビンソン〟以前の原始的なファイターが生き残っているのは、このスポーツの深さ、進化について考えさせられるところです。

総合格闘技では、原始的なファイターが生き残るのは非常に難しいはず。

それでも、少しずつでもボクシングの技術も進歩しているはずです。

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技術体系のフロントランナーが、最初のライト級(135ポンド)からスーパーミドル級(168ポンド)までの33ポンドを遊泳してみせたクロフォードだとすると、彼をGOAT(史上最高)と考えることもアリかもしれません。

ただ、この理屈では10年後にはクロフォードよりも優れたテクニシャンが登場しているかもしれませんし、50年後には間違いなくそんなボクサーたちが躍動しているでしょう。

…となると、過去は現代に勝てない、現代は未来には勝てないということになります。


さて…。

時代を超えたGOATをあれこれ妄想するなんて意味はないのでしょうか?


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After defeating Canelo, is Crawford the best fighter of his generation?

カネロ・アルバレスに勝利したテレンス・クロフォードは彼の世代のベストファイターなのか?

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現代ボクシング、4-Belt Eraで留意しなければならないのはタイトルの乱立がもたらす巨大すぎる弊害です。

1960年代末にWBAからWBCが分離独立したとき、すでに「世界王者が2人いる」という倒錯の世界が出来上がっていました。

しかし、単純にその2倍が4-Belt Era というような単純な話ではありません。

1980年代になると、やはりWBAから分離したIBFが第三勢力となりました。

それは、4-Belt Era から見ると、そこから認定団体が一つ増えただけじやないか、という単純な話でもありません。

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このブログでも度々紹介していますが、2団体時代が始まってからの約10年、両団体のランキングは相似していました。

今では驚愕の事実でしょうが、まともなスポーツではそれが当たり前です。

対立団体の王者をランキングするのは当たり前、リング誌やESPN、あるいはファンが描く真っ当なランキングとも大きく外れたものではなかったのです。

現代は、目を覆いたくなるようなデタラメランキングが横行、同じ団体が同じ階級に複数の世界王者を擁立するのも常態化、さらに各団体は数えきれない地域タイトルを続々と作っています。

団体は自身が認定する地域タイトルの王者や挑戦者を優遇して世界ランキングに組み込んでいくのは当然です。

認定料を支払ってくれているのですから。その意味では、4-Belt Eraのランキングはカネで買うことが出来ます。

その裏返しで、対立団体の地域タイトルに関係が深いファイターはランキングから遠ざけます。認定ビジネスはスポーツではなく、営利活動ですからこれも当然。

認定団体と階級の増殖は、世界王者を粗製濫造しているだけでではありません。

世界王者はみんな強い。世界ランカーに弱いやつはいない…そんな常識が完全に崩壊したのが4-Belt Era なのです。

世界王者は鋼鉄のプライドでタイトルにしがみついたものです。しかし、今では体重超過でベルトを放擲する輩も珍しくありません。

4-Belt Eraの現代に「世界タイトル挑戦なんて一生に一度チャンスがあるかどうか」なんて言う人がもしいたなら、面白い冗談をいう人だと笑われるでしょう。

After defeating Canelo, is Crawford the best fighter of his generation?

his generation…彼の時代、つまり4-Belt Eraとはそういう時代です。


現代に生まれたボクサーは his generationを超えた評価を得ることは不可能なのでしょうか…?

レナードとフロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオ、彼らとクロフォードの実績を、あなたならどう評価するでしょうか?


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注目のメガファイトで番狂せが起きたときに立ち昇るのが「我々はGOAT(史上最高)を見ているのではないか?」という高揚です。

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私がボクシングを身始めた短い切り取りの範囲内でも「シュガー・レイ・レナードvsマービン・ハグラー」「マイク・タイソンvsマイケル・スピンクス」「マニー・パッキャオvsオスカー・デラホーヤ」…いくつかの蜃気楼を目撃してきました。

そんな過去のメガファイトと比較してしまうと、米国の熱量、世界の注目度が全く違う「テレンス・クロフォードvsカネロ・アルバレス」ですが、その価値はどうだったのでしょうか?

ミドル級のUndisputed champion ハグラーに挑戦したはずのレナードでしたが、WBAとIBFが実質5年のブランクから挑戦資格がないと認定を拒んだため、WBCのみがステイクされました。

クロフォードはスーパーミドル級はもちろん、ミドル級で戦った経験もありませんでしたが、現役バリバリのPFPファイターで、カネロへの挑戦は心躍る冒険マッチであり、挑戦資格がないと考える人は極めて少数派でした。

そして、何よりもUndisputed championship 。


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スポーツ総合分野でMVP評価を受けた最後のボクサー、シュガー・レイ・レナード。ボクシングは、メイウェザーもパッキャオも、マイナーの檻に閉じ込められたままでした。


一方、5年間もランキングから離れ、ミドル級では1試合も戦ったことのないレナードがタイトル挑戦を許されたのは、彼が引退してなお圧倒的な人気を誇り、多くのファンがその復帰を待っていたという超Aサイド案件だったからです。

当時の米国のメガファイトはハグラーのタイトルマッチが中心、ロベルト・デュラン、トーマス・ハーンズが敗れ、レナードの後継者と期待されたウエルター級のUndisputed champion ドナルド・カリーは大番狂せに足元をすくわれてしまいます。

ファンがレナードの電撃復帰を歓迎した理由には「ハグラーを倒せるファイターは、もうレナードしかいない」、最後の希望という事情もあったのです。

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当時のハグラーは完全統一ミドル級のタイトルを12連続防衛中、文句なしのPFPキングで、うんざりするほど圧倒的な強さを見せつけていました。

アラン・ミンターからUndisputed titleを強奪してから13試合の世界戦はミドル級の強豪相手に全勝12KO、クロスレンジでの戦いを避けて唯一判定までもつれたのはロベルト・デュラン戦だけ。

リング誌の年間PFPに3年連続で選ばれていたハグラーは、現代のデジタルバージョンの尺度なら5年近くもPFPキングに君臨していたでしょう。

そんなハグラーに対して、ドミトリー・ビボルに敗れ、KOからも長らく遠ざかっていたカネロは、クロフォードよりも年下とはいえ、実力評価は弱含みの状態。

ハグラーとカネロの立ち位置は全く違いました。真逆といっても言い過ぎではないかもしれません。


そして…米国ボクシングの盛衰の落差を抜きにしても、レナードとクロフォードは全く違う才能です。



ーーーやはり、クロフォードを語るのは「彼の時代」に限定されてしまうのでしょうか?
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After defeating Canelo, is Crawford the best fighter of his generation?

カネロ・アルバレスに勝利したテレンス・クロフォードは彼の世代のベストファイターなのか?

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クロフォードの十字架、THE LONG BATTLE FOR RECOGNITION〜不人気脱出への長い戦いは、これで終わったのでしょうか?

先週のラスベガス、アレジアント・スタジアムでクロフォードが起こしたマイルド・アップセットによって、海外メディアやファンは〝判決差し戻し〟を迫られています。

差し戻された判決は「現代最高のファイターはオレクサンデル・ウシク」。

現実のリングで圧倒的に重い相手と戦い、勝利をつかんできたウシクのパフォーマンスは、PFP・階級制の概念に対する破壊工作でした。

マービン・ハグラーとマイク・タイソンは、体重を無視したmythical match-up(妄想対決)で、どちらが優れたファイターなのか?

その妄想こそがPFPでしたが、現実のリングで大きく劣る体重のまま、ヘビー級の巨人たちを翻弄したウシクは、彼の世代どころか史上最高とも讃える声もあります。

そこに「待った」をかけたのが、クロフォードですが、彼の前日計量はカネロと全く同じ167ポンド1/2(75.97kg)。

クロフォードはウシクがやってのけたようなウエルター級やジュニアミドル級のまんまの体重でスーパーミドル級に挑んだわけではないのです。


それでも、ウシクのように、クロフォードもまた「彼の世代」を超えた評価が考えられるのでしょうか?

「his generation〜彼の世代」。

すなわち、フロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオがリングを去った2010年代後半から現在まで、あるいは2020年代というくくりです。

ファイターの評価はキーとなる試合で出色のパフォーマンスを見せた直後に最高潮となり、そこから徐々に冷静な目に晒されてながら、後世の評価はピークから下落するのが相場です。

現在の世代でも、カネロ・アルバレスがセルゲイ・コバレフを破壊し、スーパーミドル級を焼け野原にしたとき、彼はコンプリート・ファイターと呼ばれていました。

当時、ハンドスピードが抜群で、攻撃力は高いものの、カネロが足の重い〝痛風のティラノサウルス〟であることを指摘する人は少数派でした。

「メキシコ史上最高」は確定とも言われましたが…。

ついこの間のことです。

カネロ、ウシクに並ぶ、2度目のFighter of the year に輝くことが確実視されているクロフォードは、PFP1位でも二人を上回る通算3年を超える息の長さを見せています。

一部のファンの間ではGOAT(史上最高)の声まで上がっている、キーファイト勝利直後のクロフォードが、多くのメディアで「彼の世代」の縛りを受けているのは、20世紀のグレートたちの影がちらつくからではありません。

そうです。

すぐ、たった一つ前のメイウェザーとパッキャオの記憶が、まだ鮮やかに残っているからです。

さて…。

クロフォードは「彼の世代」で語られるベストファイターなのか?それとも「彼の世代」を超越して語るべきベストファイターなのか?





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21世紀の最初のクオーター、この25年スパンでテレンス・クロフォードは最高か?

この四半世紀で素晴らしいレガシーを残したファイター11人をピックアップします。

★はSugar Ray Robinson Award(Fighter Of The Year)
★はPFP1位  
太字は現役(評価が下がる可能性あり)

★★★★フロイド・メイウェザー

★★★★マニー・パッキャオ

★★★カネロ・アルバレス

★★★オレクサンデル・ウシク

★★バーナード・ホプキンス

★★アンドレ・ウォード

★★ワシル・ロマチェンコ

★★井上尚弥

★
ローマン・ゴンサレス


★ゲンナジー・ゴロフキン

★ロイ・ジョーンズJr.


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クロフォードはホプキンスやウォード、ロマチェンコ、そして井上と同じ「Fighter Of The Year1回/PFPキング経験者」です。

ただ、井上のPFPキングは電子版の非常に短い期間、1年以上も君臨した他のファイターと同列に語るのは憚られます。

まず、井上がライバルから外れます。

そして、Fighter Of The Yearを獲っていないロマゴンとGGG、ロイもここで〝落選〟。



残ったのはーーーーー

★★★★フロイド・メイウェザー

★★★★マニー・パッキャオ

★★★カネロ・アルバレス

★★★オレクサンデル・ウシク

★★バーナード・ホプキンス

★★アンドレ・ウォード

★★ワシル・ロマチェンコ



この7人でクロフォードが蹴落とせるのは…?

「カネロに勝ってるんだから、カネロは落選」というのは早計です。

今日の試合の戦前にも多くのメディア、この場末のブログでも指摘していたようにより劣化の兆候が見られていたのは2歳年下のカネロの方。

「カネロに勝ってるんだから、カネロは落選」というのは、「マイク・タイソンはマイケル・スピンクスに勝ってるから上」というのと同じ理屈です。

誰に勝ったのか?それが評価の根本、基本です。

今回の勝利でクロフォードはPFPキングに返り咲く可能性大です。

しかし、それはメイウェザーやパッキャオのような圧倒的満票でしょうか?あるいは、ウシクのような満票でしょうか?







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当代きっての人気者カネロ・アルバレスに、死神の如く人気のないテレンス・クロフォードが土を付ける。

米国ボクシングの墓場として、今日のアレジアント・スタジアムほどふさわしい場所、試合結果はありません。

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ボクシング界の常識ですが、テレンス・クロフォードの評価が一番高いのは「今」です。

そして、ここからズルズルと滑り落ちていくのがデフォルト。

マニー・パッキャオやフロイド・メイウェザーのように、そのスリップを最小限に食い止められるのか?



Great Of All Time(史上最高)は冗談にして、現代最高のファイターでしょうか?

例えば「21世紀」という切り取り方では?

あるいは「2020年代」というディケイドでは?

さらに絞って、2025年9月14日現在というピンポイントでは?

ーーーさて、クロフォードは現代最高のボクサーでしょうか?

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日本時間の白昼に、私たちが見たUndisputed Super-Middle weight championship。番狂せが起きましたが大番狂せではありません。

専門家予想では最も多くの支持を集めた「テレンス・クロフォードの判定勝ち」に終わったのですから、ある意味で番狂せとも言えないかもしれません。

さて、この試合の事実だけを12ラウンド制で拾い上げると。。。。。

【ROUND1】2025年バージョンのカネロ・アルバレスとテレンス・クロフォードが対決した。

35歳のカネロに37歳のクロフォード。全盛期同士の対決と考える人は皆無。

しかし…カネロの鈍足は重い枷をはめられたようでしたが、クロフォードのフットワーク、ボディワークは見事でした。懸念された〝トムとジェリー〟ファイトではなく、打撃戦にも応じて科学的に戦って見せた。



【ROUND2】クロフォードは実質21ポンドも重い階級に挑戦し、成功した。

スーパーミドル級を主戦場にするカネロに、ジュニアミドル級で1試合しかこなしていない、クロフォードはウエルター級から数えると21ポンドも増量して挑んだ。

「スーパーミドルのリミットにこだわらず、軽く仕上げるべき」という多くの識者の意見を無視して、前日計量をカネロと同じ167ポンド1/2(75.97kg)で秤を降りたクロフォードの肉体改造はマイケル・スピンクスやマニー・パッキャオに並ぶ偉大な成功。



【ROUND3】ラスベガスは永遠にカネロを愛す。

サウジアラビアが主導するメガファイトは、オレクサンデル・ウシクのケースから「ジャッジは公正」と考えられていたが、オフィシャルのスコアはカネロに寄り添っていた。

115−113の1ラウンド差はもちろん、116−112のスコアも考えられない。



【ROUND4】クロフォードの対戦相手の質にはもう文句をつけられない。

クロフォードはエロール・スペンスJr.に続いて、2人目の現役PFPファイターも明白に撃破。カネロは2度のFighter Of TheYearにも選出され、PFPキングにも2年間君臨した文句なしの強豪。

スペンスもカネロも勢いを失った時期とはいえ、それを差し引いても明白な勝利を二つ並べたクロフォードの評価は爆上する。



【ROUND5】カネロはスーパーミドル級で初めて苦戦を強いられた末に、敗れた。

168ポンドで圧倒的な存在感を示してきたメキシカンが、何もできないままにアフリカーナ・アメリカンの軍門に降った。

フロイド・メイウェザー、ドミトリー・ビボル、そしてクロフォード。3つの黒星の中で、最もレガシーを傷つけられた敗北だった。



【ROUND6】10年ぶりの重要な試合だった。

クロフォードがスターかどうかはさておき、あらゆる意味で「フロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオ」以来のボクシング界の最高決定戦だった。

この勝利がクロフォードの評価にもたらす恩恵はあまりにも大きい。



【ROUND7】米国ボクシングは羅針盤を失った。

カネロが敗れたことで、米国ボクシング市場は最大のスターを失い、クロフォードでは後継者になれない。

モハメド・アリからシュガー・レイ・レナード、マイク・タイソン、オスカー・デラホーヤ、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオ、カネロ・アルバレスーーー常にマーケットを牽引してきたスターの系譜がついに途絶えた。

スポーツライクなメガファイトは規模を縮小、茶番劇がますます横行する。



【ROUND8】カネロはデビッド・ベナビデスとは戦わない。

試合後に再戦を希望していたカネロだが、この試合で失ったものはもう取り返せない。カネロの価値は下落した。

長年、対戦を回避してきたベナビデスとのメキシコ対決の賞味期限(というか消費期限か?)は完全に切れた。



【ROUND9】クロフォードのムーンショットはこれ限り。

クロフォードは〝パッキャオ路線〟を走ってライトヘビー級に乗り込むには年を取り過ぎた。

カネロという勝てば現代最大のハイリターンを手にしたいま、ジャロン・エニスのようなハイリスク・超ローリターンとの対戦は全く意味がなくなった。

このまま勝ち逃げも考えられる。



【ROUND10】カネロ人気はこれが最後の大花火。

アレジアントスタジアムには想定以上の7万人以上が詰めかけた。カネロの久しぶりのKO劇を期待した多くの観客は、熱中時代の終焉を感じ取ったはず。カネロの夏は完全に終わった。

そして、井上信者は本物のラスベガスを見てしまった。



【ROUND11】クロフォードはPFPキングに返り咲く。

クロフォードの素晴らしいパフォーマンスは、ウシクのように圧倒的不利な現実の体重で見せたものではなく、スーパーミドル級の体重で鈍化したスーパーミドル級の王者を翻弄したもの。

しかし、ウシクが一度も倒していない現役PFPファイターを2人倒したクロフォードにはキング復帰への証明書が発行された。



【ROUND12】認定団体は追い詰められた。

「WBA、WBC、and IBF!Undisputed heavy weight champion of the world!」。マイク・タイソンらのリングコールのように、コレクションしたベルトの認定団体を紹介されるのが常でした。

しかし、今日の試合でコールされたのはRing magazineだけ。アルファベット団体のデタラメランキングと、デタラメタイトルマッチが、ボクシングの地位を貶めているのは明らかで、そこにメスを入れないと「ボクシングの復活」(トゥルキ・アル=シャイフ長官)など、おぼつきません。

いまだに「世界ランカーは強い」「世界1位は強い」と思い込んでいるファンもいますが、認定団体を喜ばせるだけです。また「階級が細分化されているのは正しい意味がある」というのも大間違いで、クルーザー級以外の水増し階級は廃止、UFCの8階級にクルーザーを加えた9階級が理想です。

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