
圧倒的大多数のメディアで、オールタイムPFP1位に推され続けているのはご存知、シュガー・レイ・ロビンソンです。
ジョー小泉をして「生まれ変われるならロビンソンの時代で彼のボクシングを体感したかった」と言わしめた、元祖シュガー・レイ。
そして、PFPの概念をボクシングファンに広く知らしめたグレート。
しかし、ロビンソンはライトヘビー級王者ジョーイ・マキシムの前に体力の差を見せつけられ、13ラウンド終了TKOに散りました。
当時はオリジナル8、ウエルター級とミドル級で歴史的な強さを見せつけ、ライトヘビー級に挑戦した拳聖は3階級制覇に失敗してしまったのです。
このとき両者の体重は、マキシムがリミットを2ポンド下回る173ポンド、ロビンソンは157ポンド1/2、ミドル級にも満たない〝軽量〟でした。
ロビンソンはミドル級の体重でライトヘビー級に挑み、15ポンドの壁に跳ね返されてしまったのでした。
専門家やコアなファンは「ロビンソンがもう少し大きな体格なら、マキシムにはもちろん、ロッキー・マルシアノにも勝てるのに」という思いを表出させたのがPFPでした。
さらに遡って、アクロバティックな複数階級で同時代のヘビー級王者ジョー・ルイスに〝挑戦〟したヘンリー・アームストロングは4階級制覇を狙ったミドル級の王者セフェリノ・ガルシアに僅差判定で敗れてしまいました。
このときのウエイトは、アームストロングが142ポンド、ガルシアが153ポンド1/2(当時のミドル級リミットは11ストーン=154ポンド)。ナチュラルウエイトで10ポンド以上も重いガルシアに立ち向かったのでした。
多くの格闘技で階級制を採用している理由は「ウエイトが重い方が強い」からです。

PFPを楽しむボクシングファンに不条理な現実を突きつけたウクライナの英雄
A good big 'un always beats a good little 'un.
「優れたライトヘビー級は鈍重なヘビー級に駆逐される」「ライトヘビー級王者はヘビー級王者になれない」…長い間、ボクシング界に横たわってきた常識はマイケル・スピンクスが打ち砕き、クルーザー級からはイベンダー・ホリフィールドとオレクサンデル・ウシクが無差別級へのランディングに成功しました。
それでも、劣化バージョンのラリー・ホームズを攻略したスピンクスは、より重い生粋のヘビー級マイク・タイソンに90秒で破壊され、ホリフィールドもリディック・ボウやレノックス・ルイスだけでなく鈍重なジョン・ルイスにまで不覚をとってしまうのでした。
A good big 'un always beats a good little 'un.
一番強いヘビー級ばかりが注目されているが「減量階級も素晴らしい」という理屈をこねなければ、小さなファイターは浮かばれないーーーその(屁)理屈こそがPFPなのです。
手も足も速く、滑らかなフットワークも使ってコンビネーションを叩き込むーーー重いヘビー級では見ることのできない〝軽量〟の美学。
そこにフォーカスして、ヘビー級をピンボケさせる妄想を見せてくれるレンズの名前がPFPです。
井上尚弥は論外、カネロ・アルバレスやテレンス・クロフォードでも、現実のリングではウシクに無惨に敗れ去るでしょう。
しかし、PFPレンズを通すなら「ウシクは現役PFPファイターに勝利したことがない」という事実に突き当たります。
そんなウシクに対して、クロフォードはPFP5位以内に評価れていたエロール・スペンスJr.に圧勝しています。
カネロ・アルバレスは元PFPキングのシェーン・モズリー、長年PFP上位にランクされていたミゲール・コット、PFP2位評価を受けたこともあるセルゲイ・コバレフに完勝。
対戦相手の質が低いと揶揄される井上でも元PFP3位のノニト・ドネアを2度撃破しています。

階級のレベル・人気格差を無視する支配度だけならNo.1?
さらに、ESPNやリング誌で認められたまともな世界ランカーに対して、ウシクはクロスゲームを繰り広げているのに対して、クロフォードとカネロ、井上は圧倒的な力量差を見せつけています。
どんな発想でも自由なPFPですが、その大前提は「階級(体重差)を無視して全ての階級を平等に見ること」。つまり、PFPで最も重視すべき要素は階級支配度です。
そう考えたとき、PFPという妄想ルールの中でウシクの満場一致の1位というのは如何なものでしょうか?
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