PFP評価がヘビー級に厳しいのは当然です。

Pound For Pound(1ポンド当たりの強さ/全ての階級を平等に見て=体重同一時)という概念自体が、ヘビー級以外のクラスで戦うボクサーたちを積極的に評価しようということに他なりません。

この〝ヘビー級差別〟が最も顕著なのがリング誌のPFP。

様々なボクシング専門サイトがPFPランキングを発表、ファンの間に一気に定着する2010年頃から現在までの15年間で、リング誌のMythcal rankingにリストアップされたヘビー級選手はたったの2人しかいません。

ウラジミール・クリチコとオレクサンデル・ウシク、2人のウクライナ人です。

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長らくPFP2位に固定されたウラジミール。もし、パックメイの時代でなければPFPでも長期政権を築いていた?


ジュニアバンタム級は7人(ローマン・ゴンサレス、井上尚弥、ファン・フランシスコ・エストラーダ、シーサケット・ソールンビサイ、ドニー・ニエテス、井岡一翔、ジェシー・ロドリゲス)や、ジュニアフェザー級は6人(ノニト・ドネア、ギレルモ・リゴンドー、カール・フランプトン、レオ・サンタクルス、アブネル・マレス、井上尚弥)もPFP10傑に送り込んでいるというのに。

ジュニアバンタムとジュニアフェザーの体重差はわずか7ポンド。ヘビー級の試合では当たり前に見られる体重差と比べるとそうでも良くなる数字です。

人工的に細分化された階級ではなく、ストロー級からフェザー級のように約20ポンド幅のカテゴリーでPFPの分布図を見直すと、ヘビー級差別がいかに酷いものかがよくわかるでしょう。

もちろん、安易な複数階級制覇が当たり前の現代ではジュニアバンタムからジュニアフェザーの3階級にわたってPFPを回遊する井上尚弥のようにダブルカウント、トリプルカウントが当たり前ですが、ヘビー級はそうはいかないという事情はあります。

また、同時最多で3人がPFPランキングを賑わしたジュニアバンタム級に見られたような〝PFPのタライ回し〟は、ヘビー級ではまず見ることが出来ません。

ヘビー級から3人同時にPFP入り…ありえません。

先月の英国ロンドン・ウィンブリースタジアムでダニエル・デュボアがPFP1位のウシクを一方的に破壊していたとしてもPFP10位に数えられることはなかったでしょう。

これは、他の階級では考えられないこと。

ヘビー級ばかりが注目されて、他の階級、特に欧米のカジュアルなボクシングファンが無関心のライト級未満のクラスに光が当たらない現状を打破する詭弁として用意されたのがPFPでした。

その出自を考えると、ヘビー級が冷遇されるのは仕方がありません。累進課税・有名税のようなものです。

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しかし、ウシクという特異きわまる〝小さな巨人〟の進撃によって、PFP的な物差しでヘビー級史上最強を考えるようなメディアが横行しています。

ヘビー級という現実に、PFPという妄想が持ち込まれているのです。

ウシクはタイソン・フューリーと24ラウンド戦って、のべ6人のジャッジによる合計のスコアは690−675。その差はわずか15ポイント。

1ラウンド当たりに換算すると0.625ポイント。

あの試合がフューリーの地元英国で行われていたなら、微妙な「10−9」が逆転して英国人に流れていたなら、ウシクの2連勝は2連敗になっていたかもしれません。そうだとして、その判定がどれほどの議論を読んだでしょうか?

トーマス・ハーンズ、マービン・ハグラー、ロイ・ジョーンズJr.、シェーン・モズリー、テレンス・クロフォード、井上尚弥…PFPキングは恐るべき圧力で階級を支配してきました。

PFPキングの歴史で、ウシクほど階級支配度が脆弱なファイターは他に見当たりません。唯一、圧勝しているデュボアに対しても初戦では実質的にダウンを奪われ、カウントアウトされていたと見られても文句の言えないシーンがありました。



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ホームを持たないロードウォリアー、そして鋼鉄の意志をもつ38歳のウクライナ人には尊敬の念しかありません。

しかし、この小さなグレートが判定に泣かされることがないことに、何か理由はあるのでしょうか?

そこに「サウジアラビア」という中立国が深く関与しているのは間違いありません。

また、ゼレンスキー大統領が全面に立つウクライナ情勢の中で、政敵であるクリチコ兄弟が排除されて、ウシクが寵愛されている事実も、リングの中でのスコアリングやリングの外での評価に目に見えない作用を及ぼしているのでしょうか?

タイソンやロイのように、ウシクも後世には手の平返しで評価が下がってしまうのでしょうか?




オレクサンデル・ウシクがPFPキングで良いのか?  まだまだ続きます。