Breez is Nice!

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【20世紀初頭、ジャック・ジョンソンの時代。PFPなんてチンケな概念は、必要性が全く無く、そもそも存在しませんでした。100年後の現在、ヘビー級はボクシングの頂点から完全に陥落してしまいました。ヘビー級の世界王者であるがゆえに、社会常識であった人種差別にも真っ向から挑むことが出来たジョンソンには、ヘビー級が軽視される未来など到底信じられなかったでしょう。】

時代や階級を超えたPFPを語るとき、無視してしまうと不公平が生じてしまう、その3つ目が、今回のテーマ、なぜ軽量級の方が見てて面白いのかという真実の根拠にもなっている「スピードとダイナミズムの公平性」です。

この「公平性」を無視した考え方が、原理主義的なPFPで、軽量級に大きく肩入れしてしてしまうのです。

時代や階級を超えてボクサーの優劣を判定すること自体が、土台不可能です。

だったら、「時代」や「強さ」を補佐・修正するなんて無意味なことはしないで、ボクサーの見た目のまま、サイズを拡大・縮小して単純明快にPFPを語ろうとする立場です。

Yahoo!スポーツのケビン・アイオラ記者らが、この考え方に立っていますが、この「見た目のまま、サイズだけ」というのが曲者です。

デオンティ・ワイルダーと井上尚弥が体重同一時なら…夢のマッチメイクに思えますが、どう考えてもワイルダーに不利な仮定です。

ワイルダーのリーチは211㎝、井上は169㎝です。

二人が同じスピードでパンチを放つと、当たり前ですが井上の方が速く見え、より早く着弾します。

速度が同じなら、距離が長ければ長いほど、移動時間がかかるのは当然です。

一発のパンチでも明らかな錯覚をしてしまうのに、これが連打、パンチの回転数となると、ヘビー級はさらに鈍重に、軽量級はさらに快速に見えてしまいます。

〝縮小拡大〟PFPの世界では、重量級はその立派な体躯ゆえに、不当な評価に甘んじなければならないのです。

ネズミのように動ける象など、いるわけがありません。もしネズミを象のサイズに拡大したら、ネズミの足はその体重を支えることが出来ず、へし折れてしまいます。

しかし、単純な縮小拡大解釈は、ネズミのように動く象を生み出してしまうのです。

PFP自体が不可能で不条理なSF的着想なのだから、そこで生物学的にあり得ないなどと言い出すのは、ジェダイの騎士が振るうライトセーバーを「科学的にあり得ない」と切り捨てるのと同じことかもしれません。

さらに、迫力満点のパワーは重量級の大きなセールスポイントですが、ショッキングなKO劇は軽量級でも珍しくありません。

より過酷な減量を強いられる傾向にある軽量級のボクサーは、打たれ強さの面で大きな不安を抱えていることから、重量級のようなパワーがなくとも、戦慄のKOシーンが生まれるのです。

無理に減量して、より有利な階級で戦おうとする姿勢は、スポーツの観点からもけして賞賛できるものではありませんが、そのことが衝撃的な展開につながりやすくなっているのです。

リングサイドで重量級を観戦するとパンチの音、筋肉がぶつかる音、ロープのたわみ、二人の体重で軋むカンバス…二人のボクサーのあらゆる動きに、重さと強さが表現され、軽量級にはありえない迫力が堪能出来ます。

なんでもないシーンでも「おおっっ…」と思わず口をついてしまう、それが重量級です。

しかし、今はテレビで試合を見る時代です。欧米の一部を除いて、リングサイドで重量級を見る機会に恵まれるファンは稀有です。

モニター越しに見る重量級からは、重さも大きさも、現実の迫力が伝わってきません。

薄っぺらなモニターでわかりやすいのは、見た目のスピードだけです。

PFPが軽量級に光を当てる救済措置だった時代なら、それでも良かったのかもしれませんが、時代は移り変わりました。

アリの時代を最後にヘビー級に主役の座は回ってきていません。クルーザー級やライトヘビー級に至っては、その階級に脚光が当てられた時代すらなかったといっても過言ではない有様です。

ヘビー級以外の階級への救済措置だったはずのPFPですが、そのヘビー級が今や救済してあげなくてはならないクラスに転落、クルーザーとライトヘビーを含めた重量級3クラスは暗黒時代が続いているのです。

1980年以降で、ヘビー級のボクサーがリング誌の年間PFP1位になったのは1988、1989年のマイク・タイソンだけです。(2003年のロイ・ジョーンズはヘビー級王者でしたが、ヘビー級でのパフォーマンスではなく「ヘビー級を制覇した元ミドル級王者」として評価されたので除外します)

そのタイソンの季節にしても、綺羅星の如くスターがひしめきヘビー級が盛り上がったアリの時代とは違い、タイソンだけに注目が集まるだけの、一時的な現象でした。

それでも、不遇の時代を迎えていても階級制のボクシングにおいて、ヘビー級が頂点であることは不動です。

PFPでは井上より下でも、現実にぶつかったら井上が二人がかりでもワイルダーに破壊されるでしょう。

そういう意味では、アンソニー・ジョシュアとデオンティ・ワイルダーの対決は久しぶりに鳥肌モノの頂上決戦です。今年、見れたらいいですね。

なんだか、当初の趣旨から逸脱してしまいましたが、重量級は面白いんです、とにかく同じ人間とは思えない弩級の迫力です。

ミドル級は世界的には中量級ですが、村田諒太の試合なんて、人間のパワーとは思えません。亀田興毅が「(村田と戦ったら)ジャブだけで殺される」と、軽量級との差をわかりやすく語ってくれています。

しかし、テレビで見ちゃうと「井上と比べたら遅いな〜」とか言っちゃうファンも多いんですよね。

軽量級が面白いのは二次元のモニター越しだからです。PFPでアジアの軽量級が躍進するようになったのは、リング誌の記者や専門家が YouTube で見て評価してしまうからです。

スーパーミドルとクルーザー級の最強を決める World Boxing Super Seriesなんて、ボクシングファンなら絶対に楽しめるのに、日本でも米国でもまともに取り上げていません。不憫です。

酔っ払って、電車の中で書いて、しっちゃかめっちゃかだと思いますが、テレビでトップ選手を見て面白いのは軽量級ですが、リングサイドで見たいのはヘビー級ですね。
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早ければ2020年の東京から、ボクシングが五輪から排除されるかもしれません。

BBC英国放送協会によると、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が韓国冬季五輪開幕直前の4日、平昌で開催された理事会終了後に記者会見し「組織運営と判定の問題から2020年東京五輪からボクシング競技を除外する可能性がある」と語ったというのです。

国際ボクシング協会(AIBA)が1月下旬に選出したラヒモフ副会長(ウズベキスタン)について、米財務省は「マフィアとの関わりが深いズベキスタンの代表的な犯罪者の一人で、ヘロイン売買にも関わる重要人物」と反社会組織の幹部とみているそうです。

また、2016年リオデジャネイロ五輪では、不可解な判定が相次ぎ、マフィア絡みの八百長や買収の疑惑が噴出していました。

ボクシングの除外問題では、人気が低迷していることも触れられたと言います。

1984年のロサンゼルス五輪までは米国が自国選手の全試合を地上波生中継するなど、少なくとも米国ではボクシング人気は健在で、IOCは放映権収入の営利を貪っていました。

IOCからしたら、ボクシングからの収入激減が腹立たしいのではないでしょうか。

これまでにもソフトボールを含む「野球」競技が「世界的な人気がない」という理由で五輪種目から締め出され、レスリングも同じ理由でその憂き目に直面しています。

人気のないマイナースポーツは、五輪から締め出され、ますます衰退し消滅してしまう。それは仕方がないことなのでしょうか?

世界的に人気のある、サッカーやバスケットボール、テニスは、五輪に頼らずとも世界最強を決める舞台装置を持っています。そんなスポーツを、わざわざ五輪種目にする理由がありますか?(錦織圭は日の丸を背負って戦うことの動機付けと重圧の大きさが、貴重で素晴らしい体験だったと語っていますが、それは五輪である必要はないでしょう)

もう一方の見方として、生態系の保全のために絶滅危惧種を保護するようにマイナースポーツも大切に扱う必要があるのでしょうか?

五輪の理想の将来像は、そんな絶滅危惧スポーツを保護する存在なのでしょうか。

数年前、近所の高校が、選手がいなくて体育倉庫で錆びたまま何年も経った陸上競技投擲種目の砲丸、ヤリ、円盤、ハンマーを廃棄処分したと聞いたとき、陸上競技部に籍を置いていた身としていたたまれない気持ちになりました。

私は長距離選手でしたが、投擲種目の面白さ、奥深さはそばで見てるだけでもよくわかりました。「いかに美しく完璧な放物線を描くか」を追求する投擲は、まさに〝フィールドの数学〟でした。

しかし、仕方がないことなのかもしれません。誰もやりたくない不人気スポーツを、税金を使って保護する必要などありません。

ところが、IOCというのは本当に支離滅裂な団体で、「世界的な人気」という尺度だけから考慮するなら、近代五種や馬術を真っ先に除外するべきなのですが、そうしていないのです。全くもっておかしな話です。

野球やレスリングが標的にされたのは、「世界的な人気がない」というのは表向きの理由で、実際には IOCに対するロービー活動が不十分だったからに他なりません。

近代五種のロビー活動は、相当レベル高そうです。そりゃ、野球やボクシングみたいな下々のスポーツじゃ太刀打ち出来ません。

IOCの性根が腐っているのはわかりきってたことです。五輪排除を仄めかされるということは、ロビー活動という名の朝貢和を怠ったツケとも言えます。競技を統括する協会団体の努力不足が問題ともいえます。

協会団体の乱立・分裂という愚かな自滅行為で、五輪出場が危ぶまれたテコンドーやバスケットボールのような競技もありましたが、いずれも選手には一片の責任もありません。

競技の人気がないのは、統括団体だけでなく、百歩譲って選手の責任も皆無ではありません。しかし、それが理由ではなく、「統括団体が腐敗してるから」「IOCへのロビー活動(朝貢)が不十分だから」というのでは、選手は泣くに泣けません。

IOCというブラックボックス、各国の統括団体というブラックボックス、国際政治のブラックボックス、そんな不透明で腐臭が充満した密室で、アスリートが命がけで磨き抜いた技術を披露する場所を奪うことが決定されるなんて、到底許されることではありません。

選手に全く責任のないことで、選手を苦しめてどうする!

選手は厳しい日々の練習と過酷な競争、試合の結果にのたうち回って苦しむだけでいいんです。

ブラックボックスの中で、陰湿に利権絡みで物事を謀るな。

今回の「ボクシング排除?」の原因は、AIBAであってボクシングではありません。構造上、ありえないことですが、倫理道徳上では締め出されるべきはAIBAで、ボクシングを除外してはいけません。

今日も、東京のメダルを目指して死に物狂いで練習してる、第二の村田諒太や清水聡がいるのです。

選手に責任がないのに、その舞台が奪われるなんて理不尽は絶対に許せません。

超法規処置でも参加を認めるべきなんです。国が認めない場合ならIOC推薦選手として。五輪が平和の祭典なら、性根が腐ったIOCでも、せめてそれぐらいの見栄を張ってみせろ。

私たちの夢を背負って、命の限り努力した才能溢れるアスリートを絶望させるな。

私たちから、アスリートの神業に感動する権利を奪うな。

IOC推薦選手が優勝したら、五輪旗を掲揚したらいいんです。国家斉唱の代わりの歌は、ジョン・レノンの「イマジン」でも、竹内まりやの「けんかをやめて」でもなんでもいいです。

利権まみれの欲ボケ老人やマフィアは、これ以上スポーツに関わるな。
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PFPという考え方が生まれた背景には、ヘビー級の陰に隠れた階級に光を当てる救済措置という側面がありました。
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2010年、リング誌は当時提携していた米ヤフースポーツ!と〝PFPを語るにあたっての注意事項〟をレポートしました。

8年前の記事とはいえ、その内容は普遍的なものがあるので、紹介させていただきます。

タイトルは「One bad habit」、「ひとつの悪習」「ある良くない癖」です。

★★★PFPは「ヘビー級の陰に隠れたその他階級に光を当てるための〝救済措置〟」的な考え方から始まりましたが、承認団体と階級が増殖するにつれて、メディアやファンの間で取り上げられる機会が急激に多くなりました。

そもそも1団体8階級時代なら、PFP10傑なんて誰も興味を持たなかったのではないでしょうか。

もちろんPFPに正解などありませんから、どんな考え方に基づいても差し支えないのですが、大前提は押さえておきたいところです。

大きな枠組みとしては公平性を忘れてはいけないということです。

▶︎まず、時代を超えたボクサーの優劣を語るときです。「時代の公平性」です。

時代によって技術のバリエーションは増えますから、1950年代のシュガー・レイ・ロビンソンと、2000年代のフロイド・メイウェザーJr.を比較すると、後者の方が技術的に優れていることになります。

技術は時代とともに進化しますから、この点のみで判定すると前時代のボクサーに勝ち目はありませんし、この見方を取るならPFPの議論は無意味です。

マニー・パッキャオはヘンリー・アームストロングを駆逐するでしょうし、井上尚弥はファイティング原田を倒すでしょう。

しかし、これは前時代のボクサーを現代のリングに引っ張り上げるという一方的で不公平な考え方です。

パッキャオが1920年代に、井上が60年代にタイムスリップしたらどうでしょうか。今よりも過酷なスケジュールで、次々に強豪と当たらなければならない、恐るべき時代に。

メイウェザーは、80年代以前の時代のリングでは非常に厳しい戦いを強いられるでしょう。タッチボクシングを評価するラスベガス採点はまだ確立されておらず、バックステップを踏むボクサーにはポイントが流れにくいのはもちろん、観客から容赦のないブーングが飛ぶ時代です。

しかも、月に何試合もこなすことが強いられる時代です。年2回の試合でアップアップのメイウェザーでは、何敗喫してしまうかわかりません。

前時代のボクサーをいきなり現代のラスベガスで戦わせれば、タッチボクシングの餌食でしょうが、しかし、1年、いや半年でも練習期間をおいたらどうでしょう?

おそらく、シュガー・レイ・ロビンソンは簡単にアジャストするでしょうね。「50年後のボクシングは小手先ばかりで、俺が編み出した基本的なところから何も進化してないじゃないか」と笑うでしょう。

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オンタイムのボクサーを過大評価してしまうのは、専門家も陥る〝Bad habit〟です。

時代のバイアスにとらわれて、多くの人がロイ・ジョーンズやマニー・パッキャオを歴代PFP1位だと騒ぎ立てましたが、その熱病は時間が冷ますことになります。

もちろん、パッキャオやジョーンズが多くの人に史上最高と錯覚させる痛快なボクシングを見せつけたことは間違いありません。


▶︎次は、その時代での傑出度を正確に見極めなければならないということです。「強さの公平性」ですね。

203㎝113㎏のウラジミール・クリチコと、178㎝85㎏のロッキーマルシアノの間には、とんでもない体格差があります。ヘビー級の場合は、体重・体格の問題も、PFPを語るときに複雑に絡んできます。 バンタム級なら原田も山中慎介も、どんな時代でも118ポンドですが、ヘビー級は違います。

マルシアノは、現代ではクルーザー級にも満たない体格です。しかし、ウラジミールは殿堂クラスの強豪には一人も勝つことが出来ずに引退しました。

一方のマルシアノもグレートと比較されるとき、いつも対戦相手の質が低いと批判され続けてきましたが、エザート・チャールズにジャーシー・ジョー・ウォルコット、衰えていたとはいえジョー・ルイスと、ライトヘビー級上がりのアーチー・ムーア、4人の殿堂クラスを倒しています。

もちろん、クリチコはその長い治世で、殿堂クラスのヘビー級が存在しなかったという点で不幸です。しかし、そのことが彼の長期安定政権を支えた最大の要因であったことは疑う余地がありません。

この観点に立てば、井上も原田と比較する対象ではないばかりか、まだ何も成し遂げていません。


そして3つ目が、今回のテーマ、なぜ軽量級の方が見てて面白いのかという「スピードとダイナミズムの公平性」です。

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沖縄のボクサーは無条件で大好きです。

比嘉大吾、やりました。

けして強い挑戦者とは言えないモイセス・フエンテスですが、今日はそこは良いでしょう。

1981年、師匠の具志堅用高が「必ずKOする」と、ペドロ・フローレンスとの再戦で初めて沖縄のリングに上がり、無念の敗北を喫してから37年。

ついに、愛弟子がその仇を取りました。
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【物置部屋の書庫から「ボクシングマガジン1981年3月号」、発掘しました。「必ずKOで雪辱する」、今日の試合がなければ虚しく思えるページですが、37年の時を経てハッピーエンドの完結を迎えました。】

減量苦といいますから、列強が覇権を競っているジュニアバンタムに上げて欲しいですね。今年の終わりにはこの階級の勢力図に、大きな領土を持つ帝国が誕生しているはずです。

それがシーサケット帝国なのか、エストラーダ王国なのか、それともヤファイ公国なのか…。

いずれにしても、侵略しがいのある強国が出来上がっているはずです。

それにしても沖縄は面白いボクサーを輩出しますね。

13連続防衛の具志堅、豪腕の浜田剛史、デトロイトのジョー・ルイスアリーナでリング誌に年間最大番狂わせ賞に選ばれた上原康恒、殿堂選手エドウィン・ロサリオを粉砕した平仲明信、世界には届かなくともその強打は誰もが知っているピューマ渡久地に名護明彦…。

恐れを知らぬパンチャーのイメージが先行しがちな沖縄の拳雄の系譜ですが、世界王者の友利正や、世界に肉薄した喜友名朝博のようなスタイリッシュなボクサーから、高橋直人を倒した万能型の島袋忠も、このボクシング豊穣の地に鮮やかな色彩を残してくれています。

一つ、フジテレビに不満なのは、早く試合が終わった場合は「沖縄のグレート特集」なんかを組んで欲しかったですね。

比嘉も「世界戦が早く終わった番組で会長(具志堅)の試合を見て憧れた」と語っていますし。
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現在、メキシコ・シロアナ州出身で最も出世しているボクサーは、16日に世界タイトルに挑戦するレイムンド・ベルトランではありません。

出世頭は、レイより10歳年下のWBOスーパーミドル級王者のヒルベルト・ラミレスです。

つい今しがた、ガーナのハヒブ・アハメドを序盤から圧倒、6ラウンドKOで3度目の防衛に成功しました。

いやはや、過小評価されていますが、ラミレスは強いですね。

とはいえ、減量に苦しみ、前日計量で全裸になってリミットをクリア、身長189㎝、リーチ191㎝の筋肉質の肉体です。スーパーミドル(76㎏)で戦うのは限界ですね。

テキサス州コーパスクリスティのアメリカンバンクセンター(2012年2月18日に石田順裕がポール・ウィリアムス相手に大健闘を見せた舞台です)で行われたこの興行には、セミファイナルにジェルウィン・アンカハスも登場、〝パッキャオ2世〟が10ラウンドKOで防衛成功しています。

さて、このメキシコ史上初のスーパーミドル級王者も、レイ以上に劣悪な治安の街で育ちました。

シロアナ州マサトラン。メキシコ最大の港湾都市にして、治安は最悪のエリアです。

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【「Matar o morir(殺るか、殺られるか)。〝ZURDO(サウスポー)〟ラミレスのバラード)」のタイトルでESPNが行ったインタビュー。静謐な声と言葉で語られるがゆえに、悲惨な記憶は憂鬱で重い説得力を帯びて伝わってきます。】

「殺るか、殺られるか」、大げさに使われることの多いフレーズですが、マサトランの街では全く日常のことでした。

「〝殺さなければ、殺される〟、それがあの街の掟だった」

「少年時代は、いつもポケットに大きな折りたたみナイフを護身用に忍ばせていたんだ。使ったこと?もちろんあるさ、あの街で生き残るってことは、そういうことなんだよ」。

「何かになりたかったかって?…殺し屋、ヒットマンになりたかったな」 。

「どうしてそんなヤクザ者になりたかったのか?殺し屋のお兄ちゃんたちはみんな優しかったから、みんなとてもいい人だったんだ。お金もいっぱい持ってて、いろんなことを教えてくれて、いろんなものを買ってくれて、とにかく格好良かったんだ…こんなことはあの街で育った人間じゃ無いと、全く理解できないんだろうけどね」。

…ラミレスが殺し屋にならなくて良かったです。世界が認めるボクシングの才能を無駄にしてしまうから、ではありません。きっと腕利きのヒットマンになっていたでしょうラミレスは、大勢の命を殺めてしまったはずですから。

「プロボクサーになってなかったら今頃どうしてたかって?無残に殺されてたか、刑務所の中にいるだろうね、これだけは100%間違いないよ」。

しかし、傷一つ無いハンサムなルックスと、優しい物腰からは、殺し屋になりたかった少年時代なんて想像もできません。 


-Ray-‘Sugar’-Beltrán
◼︎WBO世界ライト級王者決定戦 ネバダ州リノ グランドシエラ カジノ&リゾート

1位:レイムンド・ベルトランvs2位:パウルス・モーゼス。

さあ、次はレイムンド・ベルトランの世界ライト級タイトルマッチです。

ベルトランの目の前に賭けられてるのは、WBOのチャンピオンベルトだけではありません。

この試合に勝てば、Employment-Based Immigration: First Preference EB-1、「アーティストグリーンカード」と呼ばれるアメリカ永住権の申請が認可される公算が大きいのです。

EB-1を手に入れた瞬間から、ベルトランは違法移民ではありません。いつ逮捕・強制送還されるかビクビクしながら不安な毎日を過ごす必要がなくなるのです。 

芸術家や学者、研究者、それぞれの分野でextraordinary ability(専門的かつ卓越した能力)を持ち、 その技能が米国の発展に寄与すると認められた時、EB-1は発行されます。

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【2011年5月12日リング誌電子版から〜空位のUSBAライト級タイトル戦を前にしたベルトランとその妻子。パッキャオが激励に訪れました。試合は3−0で勝利。】

まともな教育も受けることができずに貧困に喘いでメキシコから脱出した移民たちにとって、
extraordinary ability など おいそれと証明できるものではありません。

 しかし、レイには二つの拳がありました。

「パッキャオのスパーリングパートナーになれたときは夢みたいだった。そのへんのチャンピオンよりもずっと報酬が高いし、いろんなメディアから数え切れないほどインタビューも受けた。新聞やネットに載った自分の写真を見せて友人に自慢したよ。聞かれたのは私のことじゃなく、パッキャオの状態のことばかりなんだけどね(笑)」。

「でも、すぐに気づいたよ。パッキャオのスパーリングパートナーになるってことは、この世界で最も過酷な仕事だってことが。対戦相手なら叩きのめされたら病院のベッドで休めるけど、俺はそうはいかないからね。たいていのパートナーは体が持たなくてリタイアするから…いつも〝スパーリングパートナー募集中〟だったのはそういうことさ。でも、俺は8年間もこの仕事を勤めあげたんだ。ハットンは6分、デラホーヤでさえ24分しか持たなかった仕事を、なんと8年間も勤め上げたんだぜ!」。

今回の相手、パウルス・モーゼスは、リング誌(ベルトランは3位)では10位にも入っていない39歳のベテランです。

チャンスは大いにあります。
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