カテゴリ: ヘビー級が動くが如くボクシングは動く

オレクサンデル・ウシクがクルーザー級に続き、ヘビー級でもUndisputed championnの座に就きました。

減量階級では想像だにできない、体格差と体重差を跳ね返した偉業です。

37歳のウクライナ人はアマチュア時代に335勝15敗をマーク。アルツール・ベテルビエフを下してロンドン五輪2012で金メダル。プロでも無敗のままクルーザー級とヘビー級を完全制覇。

さて、ウシクを史上最強ボクサーの候補と考えて差し支えないのでしょうか?



肯定派の論拠は、①アマチュアとプロの合わせ技の最高実績、②小型軽量ながら巨大化する現代ヘビー級の巨人を攻略、この2点。

反対派は、①現代はボクシングもヘビー級もレベルが沈下している、②ヘビー級のウシクは平凡以下(世界戦4勝1KOで2試合がSD)、を理由に反駁するでしょう。

シュガー・レイ・ロビンソンはもちろん、モハメド・アリと比較してもボクシングが零細なニッチスポーツに堕落していることは誰の目にも明らかです。

その低レベルの中で、ヘビー級での成績は到底評価できるものではありません。

一方で、プロよりも競争の激しいアマチュアでの実績と、過去最高に巨大化している現代ヘビー級に200ポンド級から殴り込みをかけてトップ選手として通用しているだけでも十分に偉大。

PFPの概念を破壊する所業、つまりシュガー・レイらの〝弱者の言い訳〟に逃げ込まない姿勢は高く評価すべきでしょう。

近代ボクシングでヘビー級を射止めた減量階級のボクサーはマイケル・スピンクス(ライトヘビー級Undisputed champion)と、イベンダー・ホリフィールド(190ポンド時代のクルーザー球とヘビー級でUndisputed champion)が双璧ですが、ウシクは二人のステージを突破してるでしょうか?

ヘビー級という人気階級で大きな節目の試合に勝ち名乗りを上げただけでなく、ウクライナ人というキーワードも併せて、CNNやBBCなど世界の一般的なニュースでも大きく取り上げられているオレクサンデル・ウシク。

もちろん、ボクシングやスポーツの枠を超えた社会現象としての大きさは、今回は無視です。というか、この要素まで勘案してしまうと、史上最高のボクサーはアリで永遠不滅に文句無しに決まってしまいます。

さて。ウシクは、史上最強の一角に躍り出たのでしょうか?

マニー・パッキャオとフロイド・メイウェザーの時代が終わってから、PFP妄想は喧々轟々としてきましたが、パックメイ以来の満票で推されるPFPキングが生まれる公算も高くなっています。

さて、さて。ウシクは、史上最強の一角に躍り出たのでしょうか?



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ヘビー級のUndisputed championshipがステイクされたメガファイト「オレクサンデル・ウシクvsタイソン・フューリー」をメインにした10試合がパックされた巨大イベントですから、時間割通りに進行しないのは理解できますが、それにしても…。

前日夜中まで色々忙しくて、まさかの寝落ちという失態をやらかして、やっと見終わりました…。

1999年のレノックス・ルイス以来、25年ぶりにUndisputed championが誕生しました。

その舞台は、25年前は誰も想像できなかった、ラスベガスでもニューヨークでもないサウジアラビアの首都リヤド。

そして、ボクシング最高位のUndisputed titleを争ったのは、英国とウクライナの白人同士。これも四半世紀前には誰も予想できませんでした。

PUNCHESFURYUSYK
Total landed157170
Total thrown496407
Percent32%42%
Jabs landed6248
Jabs thrown286147
Percent22%33%
Power landed95122
Power thrown210260
Percent45%47%

全てのバイアスを廃して見ると、小さなウクライナ人を応援したくなるのは当然です。

しかし、現実のボクシング界では「フューリーvsアンソニー・ジョシュア」の二人の英国人Forbes Fighterによるメガファイトが渇望されており、この空気感が試合の判定を左右する可能性も懸念されていました。

個人的には115−112。

ウシクが第9ラウンドにレフェリーストップでも差し支えない猛攻でダウンを奪わなくても、115−113で37歳のウクライナの技巧はサウスポーが、35歳のジプシーキングを攻略したとみました。

オフィシャルの115−112/114−113/113−114のスプリットデジションも、納得できるスコアでした。良い試合でした。

あの第9ラウンド。レフにはスタンディングダウンを取って欲しくなかった。デオンティ・ワイルダーの一撃にはすぐに回復して立ち上がったフューリーですが、あの14連打では完全に効かされてました。

次のラウンドで完全に回復していたフューリーはさすがですが。



ウクライナ人であるが故に大きな業績を残しても人気が出ないウシクは、昨日発表されたフォーブス誌のアスリート長者番付でも圏外。

そんな37歳は「大きなチャンスをものにした。私にとって、私の家族にとって、私の母国にとって、ボクシングの歴史にとって」と、男泣き。噛み締めるように喜びを語りました。

キャリア9度目のダウン、初黒星も喫したフューリーは「勝ったと思ったが、ここで座って泣いて言い訳をする気はさらさらない」と悔しさを滲ませ「再戦条項を行使する。すぐにリングに戻ってくる」と宣言。

Oleksandr Usyk_undisputed
Undisputed ベルトを掲げるウシク。

再戦は10月12日、やはりリヤドで開催される予定。この日は元々、フューリーの勝利を前提にジョシュアとの超弩級のメガファイトが設定されていましたが、今回の敗北で消滅。ウシクが4針縫った右目上のカットの深さ次第でしょうが、10月12日でなくても年内には再戦が行われる見通しです。






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個人的にはオレクサンデル・ウシクが220ポンド以下に仕上げて、タイソン・フューリーがいつも通りに280ポンド近くまで膨張して前日計量の秤に乗れば面白いと思っていましたが…。

ウシクはヘビー級転向後の最重量233.5ポンド(直近の試合は221ポンド)、フューリーは262ポンド(同277ポンド3/4)と絞って来ました。

60ポンド以上もある可能性も予想されていたその差は〝わずか〟28.5ポンド、12.93kg。井上尚弥(122)とテレンス・クロフォード(147)程度の差です。

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より弱い相手を求めて自分も弱体化する=相対的な強さを求める減量階級と、自分が最も強い体重に整える=絶対的な強さを求める無差別級の違いです。

ヘビー級の計量シーンでは、脱水状態で足元がふらついたりするのはもちろん、カサカサの肌に頬がこけたファイターも見ることは出来ません。

2人が「この相手に自分のベスト体重は?」を考え抜いて、ウシクは増やし、フューリーは減らしたのです。

ウシクがパワーでフューリーをねじ伏せるとは考えられませんし、フューリーがスピードとテクニックでウシクを完封する展開も想像出来ませんが、面白い試合になりそうです!

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モハメド・アリの引退によるボクシング人気の低迷と、シュガー・レイ・レナードから始まる中量級の時代。

オリジナル8の形が整った1920年代から1980年までの60年間は「ヘビー級が動くが如くボクシングは動く」といわれた60年間でした。

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80年代から現在までの40年余りもヘビー級は特別な階級であり続けましたが、ヘビー級並みの大きな興行がウエルター級やミドル級で頻発するようになり「ヘビー級が動くが如く…」という表現は、このスポーツの実体を表すとは言えなくなりました。

私は、まさにそんな節目のタイミングで米国ボクシングに惹き込まれたのです。

リング誌はもちろん、総合スポーツ誌のスポーツ・イラストレイテッドでもボクシングはメジャースポーツに踏みとどまっているように、私の目には見えました。

もちろん、それは米国ボクシングを見始めたばかりの私の視点であり、70年代以前の米国ボクシングを知る人の目とは大きなギャップがあるのは当たり前です。

そんなわけで、私は全盛期のアリがどれほどの存在だったのかを、肌感覚では知りません。

…いいえ、実は知っています。つい最近の生々しい記憶として、まざまざまざと思い知らされています。

アリが亡くなった2016年6月にそれを、これでもかと、思い知らされました。

CNNをはじめ米国のテレビが葬儀の様子やアリの足跡を2日以上にわたってロングランで中継、他のニュースを報じるときでも小窓でアリのさよならパレードの様子などを映し続けていました。

大統領が亡くなってもここまではしないという、見たこともない報道に溢れていたのです。

不謹慎な言い方になりますが、マイク・タイソンやフロイド・メイウェザーが天寿を全うしたとしても、アリのような報じられ方をすることはありえません。

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2016年、あれからもう8年も経ったなんて。

モハメド・アリの時代と現代…何もかもが変わってしまったように思えますが、人種差別の醜い炎は鎮まる気配を見せず、反吐の出る独裁者も絶滅していません。

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そして、今週末。

モブツやマルコスが、モハメド・アリを〝招致〟したように、サウジアラビアがオレクサンデル・ウシクとタイソン・フューリーの対決を引っ張り込んだのです。

彼らの狙いは国威発揚でした。

モブツとマルコスは人民が貧困でああいでいるというのに、自らの権威を国の内外に見せつけるために、ヘビー級のメガファイトを呼びました。

この2人の本心は、五輪を招致したかったのかもしれませんが、そんなもん、国際世論から許されるわけもなく、五輪よりもわかりやすい、つまりカネでなんとでもなる世界ヘビー級チャンピオンを招き入れたのでした。

いや…当時の五輪は今よりもはるかにアマチュア色が強く、商業色もほとんどありませんでした。つまり、地味だったのです。

彼らは、五輪よりもカラフルな世界最強の男を自国に招き入れたかったのかもしれません。

アリの試合がアフリカとフィリピンに与えたインパクトは、アフリカきら優秀な黒人ボクサーが何人も生まれていること、フィリピンでボクシングが国技のように尊敬されていることからも簡単に想像ができます。

黒い肌でも偉大であること、ボクシングで頂点に立てば世界中から尊敬されることを、アリは二つの拳で伝導したのです。

しかし、サウジアラビアは裕福な国で、そもそもスポーツ観戦に熱心な国民性ではありません。まして、ハングリースポーツの代表であるボクシングなど(もちろんムスリムのアリは有名で尊敬されています)。

サウジは国際社会に対して、人権を疎かにするというマイナスイメージを、文字通り洗い流すこと、スポーツ・ウォッシングを目的に、カネを糸目をつけないやり方で、欧米スポーツを招致しているのです。

ボクシングというブラックホールは、モブツもマルコスもサウジも飲み込みます。ブラックホールはあっちの方かもしれませんし、どっちもブラックホールかもしれませんが。

このスポーツ(スポーツと呼べるのならば)はたびたび「清濁併せ呑む」といわれることがあります。

とんでもない誤解です。

清濁では「清」もあるような表現になってしまうじゃありませんか。

ボクシングの世界は〝濁濁〟併せ呑む世界です。


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アリは日本を含めた世界でも問答無用に有名でした。

「モハメド・アリ」とは、ボクシングを知らない人にとっても「とにかくすごい人」だったのです。

モブツとマルコスは、そんな虎の威を借りたかったのです。

ひるがえって現在。米国はもちろん、日本でもウシクとフューリーを知っている人がどれほどいるでしょうか…?

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米国ボクシングの黄金時代。

1960年代から70年代にかけて、モハメド・アリというボクシングはもちろん、スポーツの枠組みからもはみ出した稀代のスーパースターがリングの中と外で奇跡の活躍を見せた時代、テレビがメディアの主役になり、衛星放送によってアリの試合が世界同時生中継されるようになりました。

しかし、この1960〜70年代をボクシング黄金時代と呼ぶ人は少数派です。

この20年はアリがいた時代であって、ボクシングの盛り上がりや、社会的ステイタスが最も高かった時代ではありません。

ナチスとの代理戦争まで戦った英雄ジョー・ルイスからスーパースターのトーチを受け取ったロッキー・マルシアノが牽引した1950年代こそが、米国ボクシングの黄金時代でした。


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John Lawrence Sullivan から Rocky Marcianoに連なるLineal champion の系譜を諳んじることは、歴史を学び、暗記力を鍛える教育の一つとして、ボクシングファンの父親から息子へ、そしてその子どもへと伝えられてゆきました。

祖父の時代、父親の時代、我らの時代…世界ヘビー級チャンピオンとは、スポーツの王様であり、それ以上に「世界最強の男」として崇められていたのです。

今では嘘のようなお伽話です。Lineal championの系譜など、とっくの昔にズタズタに細切れに裁断されてしまいました。

そして、もし、その細切れに散らばったa championの断片を並べて、諳んじようとする愚か者がいたとするなら、彼はその断片があまりに多すぎて到底覚えきれないことに打ちのめされるでしょう。

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世界ヘビー級チャンピオンが時代を代表するアイコンであった時代、世界最強の男を意味した時代は、アリを最後に終わりました。

ESPNはFighter Of The Yearの呼び名をBoxer Of The Yearに〝縮小解釈〟してしまいました。

もはや、Fighterはボクサーだけの代名詞とはいえなくなったのです。

ボケシング産業の凋落なんて、私がこのスポーツに惹き込まれた1980年代にすでに散々語られていました。そんなことも踏まえて、惹き込まれたのです。

ボクシング、世界ヘビー級チャンピオン。

世界的なステイタスは失墜の一方かもしれませんが、それでもレノックス・ルイス以来のUndisputed championが、この週末にサウジアラビアで誕生するはずです。


いつも以上に、愛を語ります。絶叫します。


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ボクシングシーン・ドットコムのOne Punch From Nery Keeps Crawford in the P4P Debate.を要約。

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◾️2020年から年1回ペースでしかリングに上がらないテレンス・クロフォードをPFPなどのランキングにリストアップするのはおかしい。


◾️ルイス・ネリの一撃でキャリア初ダウンを喫した井上尚弥は、逆境を乗り越える能力をまざまざと見せつけたが、クロフォードはあの相手にあんなミスを犯したりはしないだろう。

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◾️クロフォードも井上も殿堂クラスのファイターとはほとんど戦っていない。井上はノニト・ドネアだけだが、ドネアは全盛期から程遠かった。クロフォードはショーン・ポーター、ケル・ブルック、ユリオルキス・ガンボアらイマイチのファイター多数に勝っているが、PFP上位のエロール・スペンスに圧勝したのは大きい。


◾️クロフォードがスペンスに勝利したことは、バーナード・ホプキンスがフェリックス・トリニダードを破ったのと同じくらいの大きな出来事だった。


◾️PFPが馬鹿げているということはよくわかっている。それでも、クロフォードと井上の二人が繰り広げてきた1位争いが、あと1週間あまりで3人による争いになる可能性がある。それは、クロフォードと井上による2位争いかもしれない。


◾️カネロ・アルバレスはハイメ・ムンギアを判定で下して「私が世界最高のファイター」と宣言した。確かにカネロは素晴らしいファイターで、PFPキングにも長く君臨した。しかし、カネロがクロフォードと井上の地位を脅かす第3の男ではない。

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◾️5月18日にオレクサンデル・ウシクが、彼よりも50ポンド(井上とカネロの体重差よりも大きい)も重いタイソン・フューリーに勝ったとき、〝If everyone was the same size, who would win?〟という妄想PFPの馬鹿らしさをさらに強烈に突きつけられることになる。


◾️ウシクがgodly(神がかり的な)勝利を収めたら、PFP1位争いはクロフォードでも井上でもなく、簡単に決着がつく。もちろん、2位はどっちだ?という議論は簡単ではないが。




++++++++


ウシク…PFP好きなボクヲタにとって悪夢のような存在です。



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突発的に刊行されるリング誌電子版。

もう4月も終わりというのに、4月号が出ました。

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かっこいいです。

プリントバージョンで手に取ってみたかった、そんなクラシックなデザインです。

今夜、ご紹介するのはFROM THE ARCHIVE。アーカイブ、これはどんなに落ちぶれてもリング誌のレガシーです。



*****オレクサンデル・ウシクvsタイソン・フューリー」は無敗のヘビー級ファイターが完全統一戦を争うメガファイト。

そう、1988年6月27日にニュージャージー州アトランティックシティでゴングが打ち鳴らされた、あの試合のように。






リングサイドにはシュガー・レイ・レナードと、このイベントの仕掛け人にしてのちのアメリカ大統領ドナルド・トランプ。

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いやあ、レナード若い!というよりも、トランプ若い!ですね。



懐かしい…。


「アトランティックシティ」の刹那も、実に面白いボクシングシーンのワンシーンです。あの長いボードウォークがある海岸の町はかつて、世界のリングの中心地だったのです。

どこかでまたお伝えできれば。

タイトルは「海街ダイアリー」かな…。

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まだ、世界ヘビー級チャンピオンが人類最強の称号だった時代です。

1990年2月9日。

真冬にもかかわらず、その日の東京水道橋は明け方から生ぬるい靄がかかる、全くおかしな天気でした。

どこに電話をしたのか忘れてしまいましたが、ガラスが白く曇って外がほとんど見えない電話ボックスの中で不安になったのを思い出します。

マイク・タイソンの勝利に賭けても、1/42(1.024倍)。100万円賭けると102万4000円、そこから手数料が引かれて払い戻される計算です。

当時はバブルの熱気が最も高く、普通預金の金利がちょうど2%レベル。定期預金となると5 、1年定期でも5%を超えていました。

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今でも衝撃的な「42-1」というのは、バブル期の当時はそういう数字、ブックメーカーが発表する掛け率ではありませんでした。

組み立て終わった特設リングで、試合終了後にリングに上がってタイソンとのメガファイトをアピールする段取りを確認していたイベンダー・ホリフィールドは「タイソンの強さが際立つ試合になるだろう」と強烈な願望を語っていました。

まさか、その瞬間にリングサイド席を無意識に立ち上がり、茫然と立ちすくむことになるとは、元クルーザー級の完全統一王者は微塵も思っていなかったでしょう。

オーロラビジョンに映し出されたホリフィールド。

あんなに失望した男の表情を見たのは、私の人生で初めてのことでした。


さて、第一の視点は、ダグラス・ファミリー。地球上で、彼らだけが勝利を確信していました。

彼らは、タイソンのもう治らない致命的なクセを全て見抜いていたのです。

…なんかパクってる?
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タイソン・フューリー、嫌いじゃありません。

その生い立ちから、規格外の巨体、精神疾患を抱えたことも含めたキャラクターまで、最高に魅力的です。

日本時間の11日(金)に、英国モアカムで行われた記者会見でジプシーキングが豪語しました。

「全く練習しないで25ストーン(350ポンド=158.8kg)まで太って、ペローニ(イタリアンビール)を15パイント(約7リットル)飲んだ次の日にリングに上がってもウシクごとき簡単に倒してやるさ。ジャブをついてハエみたいに逃げ回る以外に、奴に何ができる?」



「デレク・チゾラとどっこいの試合をやっちまったのがウシクだ。笑っちゃいけないが、笑うしかない。チゾラと五分なんて」。

フランシス・ガヌーに実質負けの試合をやっちまったフューリーの言うことではありませんが、ご愛嬌です。英国の記者は「あんたはガヌーと五分以下やないか!」と、ちゃんと突っ込んであげなければなりません。




会見の言葉を切り取らずに、ピックアップすべきコメントを拾うと…。

「個人的には、ウシクというナイスガイに何の恨みもない。これは100%ビジネスだ。それは彼も同じだろう」。

「彼はクルーザー級のUndisputed championで、ヘビー級でも複数のベルトを持っている。彼を尊敬しない理由は、一つもない」。

「ヘビー(無差別)級が存在していることには理由がある。下の階級からヘビー級に挑戦してきた選手たちは、歴史を振り返っても一人残らずパワー不足に悩む。これがヘビー級が特別な理由だ」。

真面目な性格がちょくちょく浮かび上がってしまって、「本当は良い人」な感じがときどき滲み出てしまうのがフューリーの欠点。


品性下劣を演じ切って、嫌われ者を貫徹したメイウェザー先生にお叱りを受けますよ。

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王貞治は大谷翔平を評して「我々が見上げていたものを見下ろしているのではないか」と感嘆しました。

プロボクシングの世界でいうと、日本人にとってライト級から上は、見上げることしか出来ない〝メジャー〟階級です。

ヘビー級ともなると、もはやその峰がどこまで高いのかもわからない、つまり見上げることすら許されないのが現実です。



日本のスポーツ界にはもしかしたら永遠に手が届かないかもしれないMission Impossible がいくつかありました。

男子100mで五輪金メダル、男子サッカーでバロンドールを撮る、メジャーリーグで本塁打王になる…。

「プロボクシングで世界ヘビー級チャンピオン」。これも、そんなMission Impossibleのリストに刻まれる大偉業でしょう。

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大谷翔平が故障で1ヶ月も戦線を離れながらもメジャー本塁打王を獲得したことは大偉業でしたが、分厚い才能を抱える日本野球にとっても突然変異に思えます。


ボクシングではミドル級やウエルター級でも見上げるしかないクラスで、アルファベットタイトルでも返り咲きと防衛を当たり前にやってのけた村田諒太は、大谷レベルではないものの、次にいつ現れるかわからない突然変異と言い切って良いでしょう。

世界ヘビー級チャンピオンも、突然変異の登場によってあっさり成し遂げられるのでしょうか?

それとも、突然変異を待つにはボクシングの競技人口はあまりにも貧弱すぎるのでしょうか?


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