カテゴリ: 採点について考える

オフィシャルの採点、59−56/59−55/58−56を聞いたとき何か違和感を感じました。第2ラウンドの10−8が反映されてない気がしました。

やはり、そうでした。

超ベテランの3人のジャッジは揃いも揃って、2ラウンドのダウンを見てなかった?そんなことってあり得る?

Scorecard-davis-garcia.jpgのコピー
 
https://boxrec.com/en/scoring/2950522

第2ラウンドのスコア、二人のジャッジが10−9、デーブ・モレッティに至っては10−10に付けています。 

何があったんでしょうか。もう理解不能です。 

ちなみに10−10のスコアはOK。WOWOWの解説が大間違いです。何度も書いてきましたが、10−10はありだし、イーブンを付ける勇気がないから変なジャッジになるのです。

しかし、これはそれ以前の問題。

これから大騒ぎになるはずなので、何が起きたのかわかると思います。

大歓声で主審のコールが聞こえず、スリップと3人とも勘違いした?→そんなことありますか? 

主審のジェスチュアが中途半端で、3人ともダウンだと思わなかった?→そんなことありますか?

ジャッジの資格・教育・研修制度が絶望的に不十分(というか何もしてない)で3人ともボンクラだった?→それしか考えられません。  
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井上尚弥のジュニアフェザー級征服への道。

そのラスボスに控えていたのが、WBA/IBF王者ムロジョン・アフマダリエフ…、のはずでした。

日本時間4月9日、テキサス州サンアントニオで行われた4度目の防衛戦で伏兵マーロン・タパレスに足元をすくわれる、まさかの大番狂せに敗れてしまいます。

判定はスプリット・デジション。

元王者から見て113-115が2人、ラウンドで5-7。もう1人は118-110と、別の試合を見てたんじゃないか?という10-2のスコア。

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5-7でフィリピン人の勝利を支持した2人、セルジオ・ケイジと ホセ・ロベルト・トーレスはラウンドごとのスコアも完全に一致。

挑戦者が前半6ラウンドを抑え、第8ラウンドも取ったと見ました。

王者は第7ラウンドと第9ラウンドから最終ラウンドまで、合計5つのラウンドを握ったものの、7つのラウンドを失い万事休す。

しかし、ハビエル・アルバレスの118-110では、ウズベキスタン人が失ったのはオープニングラウンドと第2ラウンドだけでした。



31歳のタパレスが撹乱戦法で前半をもぎ取り、第8ラウンドも取った時点で、勝負アリ。MJの第9ラウンドからの反撃は1ラウンド遅かった、というのが2人のジャッジとファンとメディアの総意でしたが、アルバレスの目にはそう映っていませんでした。

アルバレスのスコアは第8ラウンド終了時点で78-74。9ラウンドから残りの4ラウンドを全てタパレスがとっても追いつかない、こっちも勝負アリでした。

常識的にこの試合を見ると、前半終了時点で「タパレスが6ラウンド全部取ってるかもしれない。ムロジョンはもう1ラウンドも落とせない」という展開でした。

二人のジャッジの113−115は、ラウンドでは1つの差。微妙なラウンドが1つ引っくり返っていたら114-114のドロー、もう一つならムロジョンの115-113。ここまではありうるスコアです。

ただ、ムロジョンの118−110はありえません。

ハビエル・アルバレスの目には何が見えていたのでしょうか?

これがヘビー級やミドル級、ウェルター級といった人気階級のタイトルマッチで起きたのなら騒ぎはもっと大きくなっていましたが、悲しいかなジュニアフェザー級です。

それにしても、タパレスが逃げ切ったこの試合、MJの出来の悪さが目立ちました。

いつなんどき誰に負けても誰も驚かない、穴王者が誕生しました。
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昨日のジュニアバンタム級団体統一戦。

個人的には117-111とつけましたが、これは「井岡が取ったのは3ラウンドしかない」という見方です。フランコが取ったのは7ラウンド。

〝保留〟の二つのラウンドをフランコに振って117-111もありと見ました。

この二つのラウンドを10-10にすると117-113、井岡のラウンドにすると115-113。クロスゲームになりますが、私の見方では井岡の勝ちはありませんでした。

それだけに、世界のメディアから不当判定はもちろん、地元判定という声もほとんどあがらず、ドロー判定を妥当と受け止めていることには軽い驚きを覚えました。

「どちらが科学的に戦ったか?」。その観点では精度の井岡かもしれませんが、それを帳消しにしてオツリが来るだけの手数と攻勢をフランコが12ラウンド一貫して見せたと、私は受け止めましたが…。

おそらく当日体重は両者に相当の差があった、つまり井上尚弥と並ぶリバウンド名人の井岡は思うように戻せず、フランコは上手く戻したのではないでしょうか?

ただ、両者ともに「決定的な場面を作る有効打」はありませんでした。

CompuBoxの数字が実際の試合を映し出すとは限らない、といういつものお断りをさせていただいて…。

FullSizeRender

手数はフランコが1412発、井岡が797発、ダブルスコアにも届かんという大差がつきました。

しかし、着弾数はフランコ214、井岡202。ほとんど変わりません。当然、accuracy(命中率)はひっくり返ってフランコの14%に対して、井岡は27%、ほとんどダブルスコア。

着弾数の内訳はジャブが47-41、パワーパンチ167-161で僅かにフランコが上回るものの、スタッツでは互角でした。

着弾数は同じ、空振りの多いフランコと、精度で圧倒的に差をつける井岡。

試合終了ゴングを聞いてWBO王者が「勝った」と手応えを感じたのは、あながち大きな勘違いとは言えません。

フランコの見映えの良いパンチの他に、多くの人の目を惑わせたパンチがあったとしたら…。214の着弾のうち96発が、井岡というボクサーを特徴づけるボディだったことかもしれません。

直接的なダメージはなくても、あのボディショットがフランコの攻撃を分断させるシーンもありました。

個人的にはフランコが可哀想に思える議論を呼ぶ判定でしたが、スタッツを見ると井岡に厳しいスコアでした。

試合終了と同時に両者とも勝利を確信した、後味の悪い試合になりかねない試合にも思えましたが、救われたのは2人のファイターのコメント。

「ジャッジを尊重する。勝ったと思ったが、井岡はタフで上手かった。日本で再戦したい」というフランコの潔い姿勢。

フランコはもちろん、リングサイドのファン・フランコ・エストラーダも軽量級を心底愛してくれる日本のリングに感動してくれたはずです。

そして、この結果をどう受け止めるか心配した33歳の井岡も「完全に崩しきれなかった。舐めてたわけじゃないが、相手は王者、挑戦者ではなかった。気持ちの強い良い選手」と、やはり相手へのリスペクトを忘れず「次につながった」と現役続行を表明したことです。

「今は引退するかどうか考えられない」というようなコメントになると思っていましたが、井岡の中にもフランコ以上に「もっとうまく戦えた。再戦したら勝てる」という思いが強いのでしょう。

もう一度録画をじっくり見直したい、そう思えるなかなかない試合になりました。

一番複雑な思いをしたのは、リングサイドのエストラーダだったかもしれません。


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今朝の朝刊。

昨夜のジュニアフライ級団体統一戦が大きく取り上げられているかもと思いきや、一面トップは「サッカー日本代表決定」。

もちろん、スポーツ面も「サッカーW杯カタール大会」が大きく紙面を占めました。

それでも、読売新聞はボクシングの記事もカラー写真付きで紹介。

世界初挑戦が失敗に終わった岩田翔吉の記事も、写真は付きませんでしたが「まだプロ10戦目、悔しさを晴らす機会は、きっと訪れる」とエールを送られていました。

今夜のお話は「サッカー」と「岩田翔吉」。

サッカーW杯第1回大会が開催されたは1930年。ウルグアイの独立100周年を記念する行事の一環として開催されました。

1930年。リング誌はすでに創刊されて8年が経ち、ヘビー級の世界チャンピオンはマックス・シュメリング、ライト級にはトニー・カンゾネリが君臨していました。

ボクシングの歴史には劣るものの、サッカーも長い歴史を持っています。

そして、いつの間にか国民の「文化」や「帰属意識」の源泉になっています。

「ブラジルや南米はドリブル使いの個人技」「イタリアは最小得点を堅牢な守備で守る」「ドイツはゲルマン魂を燃やし最後まで諦めない」…。

これ、ボクシングにもあります。

メキシコは打撃戦上等のメキシカンスタイル、中南米はボディワークの柔らかいテクニシャン、韓国はフィジカルを前面に押し出す骨太なコリアンスタイル、米国黒人は恵まれた身体能力を生かしたボクシング、西欧はアマチュア仕込みのテクニック重視のボクシング、東欧やキューバは技術をさらに突き詰めたボクシング…。

フィリピンは強打を振りまわしてオッズを破壊する驚異の外弁慶、日本は技術を重視しながらも最後は大和魂、豪州は頑健な肉体を生かしたパワーボクシング…。

私がボクシングの魅力に引きずり込まれた80年代は、浜田剛史や六車卓也のような〝斃れて後已む〟往生際の悪いスタイルのファイターが目立っていました。

「ボクシングはどつき合い」。「ボクシングは喧嘩」。「最後は気持ちの強い奴が勝つ」。

浜田がロニー・シールズにSDで辛勝したとき、採点に対する反論はほとんどありませんでした。ボクシングマガジンなどは「シールズは所詮はアマの名花」と切り捨てました。

六車のWBAバンタム級王者ウィルフレド・バスケスへの挑戦がスプリット・ドローで失敗に終わったときは、112-117で六車の負けとしたパトリシア・モース・ジャーマンが「勝者の顔じゃない」と口にしたこともあり、非難囂々でした。

当時の日本には「ボクシングは科学」という考え方はなく、前に出る攻勢が評価される傾向がはっきりありました。

昨夜、WBOジュニアフライ級王者ジョナサン・ゴンサレスの引いたボクシングに空回りした岩田翔吉でしたが、畑山隆則ら〝ボクシングは喧嘩〟〝最後は気持ちの強い奴が勝つ〟論者が「岩田の負けはおかしい」と疑問を呈したそうです。

採点は公式ジャッジが必ずしも正しいわけはなく、マニー・パッキャオvsティモシー・ブラッドリー第1戦」「村田諒太vsアッサン・エンダム第1戦」のような承認団体も認める明らかな誤審も繰り返されています。

ただ、昨日の判定は一人の117-111はやや厳しいとはいえ、残る二人の116-112は納得のスコア。

現代の採点基準は、ラスベガスだけでなく世界的に「どちらが科学的に戦ったのか」がポイントです。

昨夜のゴンサレスは岩田よりも科学的なボクシングをした、岩田は科学的ではなかった、のです。

80年代なら、岩田が勝っていたかもしれませんが、今は2022年。

岩田の敗北は、全く議論を呼ぶ判定ではありません。
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SATURDAY, OCT. 29

New York (ESPN+)
commission:New York State Athletic Commission
promoter:Bob Arum/matchmaker:Brad Goodman
 


12 rounds – lightweights

セミファイナルからすぐにメインイベントへ。

素晴らしい。これがいいです。  



開始ゴングから手数を出していくのは26歳のオルティス。ロマはいつものように受けて流します。

34歳のハイテクは何とかクロスレンジを作ろうとしますが、オルティスはジャブで突き放すのではなく、攻勢を取ることで34歳のウクライナ人の距離にさせません。

オルティスから見ると、接近戦を避けるために、下がってはいけません。 距離が詰まるとクリンチ、 ロマを研究した素晴らしい戦い方です。

第5ラウンドになって、ようやくロマがオルティスを下がらせ始めます。ロマが明白に取ったのは、初めて。 

前半の6ラウンド終了。ロマは1−5で取られてると覚悟すべき。 

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ロマのセコンドが「もっとプレッシャーをかけろ」。明白にポイントを取るラウンドを重ねないと、手遅れになります。

第7ラウンドまでのESPNの採点はオルティスから見て67-66。1点差。オルティスに厳しいスコアに見えます。 

スクリーンショット 2022-10-30 13.11.41

インプレーのオッズは接近。ギャンブラー泣かせの展開です。

チャンピオンシップラウンドは、強烈なボディを決めたロマ。ただ、判定はわかりません。

最終回。

オッズは振り戻り。
スクリーンショット 2022-10-30 13.17.46


PUNCHESLOMACHENKOORTIZ
Total landed125122
Total thrown571607
Percent22%20%
Jabs landed3315
Jabs thrown271297
Percent12%5%
Power landed92107
Power thrown300310
Percent31%35%
-- Courtesy of CompuBox

これ、番狂わせもあります。難しい判定です。

さてオフィシャルの発表です。

115-113/116-112/117-111のユナニマスでロマチェンコ。ESPNは115-113(7-5)の1ラウンド差でロマ。

117-111(9-3)はありかな?オルティスが3ラウンドしか取っていないことになります。

リングに上がったデビン・ヘイニー、この試合を見てロマとやる気満々になったようです。
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Saturday 7, May 2022
T-Mobile Arena, Las Vegas, Nevada, USA  
Light Heavy Contest, 12 Rounds

WBA World Light Heavy Title

commission:Nevada Athletic Commission
promoter:Eddie Hearn (Matchroom Boxing)
matchmaker:Kevin Rooney Jr
media:DAZN  

私の勝手なスコアでは、8ラウンド終了時点で79-73でロシア人王者。

残りの4ラウンド全てを取られても、ビボルが115-113でリードを守りきって防衛成功というスコアです。

ESPNの実況判定でも79-73でしたが、「公式ジャッジはわからない」と、ビボルが見た目の通りに判定勝ちを収められるかどうかに自信が持てないようでした。 

PUNCHESALVAREZBIVOL
Total landed84152
Total thrown495710
Percent17%21%
Jabs landed1046
Jabs thrown229418
Percent4%11%
Power landed74106
Power thrown266292
Percent28%36%

CompuBoxでは、いぶし銀のロシア人が手数・精度ともにメキシコのスーパースターを大きく上回りました。

さて、ESPNもリング誌も「実際の試合の内容とは違う」と呆れ果てた公式ジャッジのスコアカードです。

結果は三者一致3-0のユナニマス・デジション。しかも、12のラウンド全てで完全一致した〝パーフェクト・ユナニマス〟でした。
canelo-bivol-official-scorecards

普通、パーフェクト・ユナニマスは「誰が見てもこうなる」というラウンド内容であるケースがほとんどです。

確かに、今回はESPNやBoxingScene.comなどが完全一致の118-110(ラウンド10-2)と採点しましたが、異様に映ってしまうのは「115-113」で完全一致だからです。

あの試合が「誰が見ても115-113」でしょうか?

115-113とはラウンドで7-5、最小1ラウンド差のロースコアです。

今回も、ジャッジについてはネバダ州アスレティック・コミッション(NSAC)もWBAも非常に神経質になっていました。

それが、また〝事故判定〟につながりかねないスコアを出してしまいました。

前半4ラウンドがカネロのフルマーク…どこをどう見たらそうなるのでしょうか?

そして、このおぞましい採点がなされたのが左ジャブを溺愛するラスベガスだったという事実まで考えると「115-113」はありえないスコアです。

カネロ陣営がジャッジを買収している…カネロ戦の利益に大きく依存しているNSACがジャッジに含みを持たせている、高額の承認料が見込めるカネロに王座を守ってもらいたいWBAが何らかの根回ししている…。

そんなことは考えられません。

では、なぜ、こんなジャッジが世界中のファンが見守る中で繰り返されるのか?

カネロのホーム(ラスベガス)で行われる試合では、ジャッジ席には異常な空気に包まれ正常な判断が出来なくなる、冗談ではなくそれしか考えられません。

別の見方をすると、異常な空気の中でも正常な判断ができるプロのジャッジがいない、ということです。

すでに何度も触れていますが、デイブ・モレッティのような半世紀近くもジャッジ席に巣食う老人は要らないのです。定年制は今すぐにでも導入すべきです。

厳格な資格試験と更新制度、研修制度の充実が急務ですが、世界的な統括団体がないのですからそんな制度・体制を足並み揃えて進めるなんて不可能です。

それでも、おかしな採点が生み出される原因を理解しておくことは重要です。

無理やり10−9に振り分けなくても良いのに、イーブンをつけたがらない10−10恐怖症。暗愚なジャッジが全体を見渡すことのできないリングサイドの〝壺底〟から判定する、ポジションの問題。資格制度や更新制度がザルの試験体制…。

それにしても、ビボルが勝ったから良かったものの、2つのラウンドが引っくり返っていたら、またラスベガス事故が起きていたところでした…いえいえ、勝ったから良いという問題ではありません。
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IMG_2856
▶︎2013年9月14日:MGMグランドガーデンアリーナ WBA/WBCジュニアミドル級戦  ©カネロvsフロイド・メイウェザー

【疑惑の人】CJロス

誰が見てもメイウェザーが7ラウンドは取っていた試合でしたが、114−114のドローと採点。

他のジャッジ2人は117-111、116-112でメイウェザーはマジョリティーデジションで勝利するも、ネバダ州アスレティック・コミッション(NSAC)が聴聞会を開く異例の事態に。

ロスは2012年6月9日のマニー・パッキャオvsティモシー・ブラッドリー初戦でも、115-113とブラッドリーを支持、WBOが誤審を認めていた前科持ちでした。

ロスはメイウェザーvsカネロ戦を最後に「ジャッジの世界から身を引く」と自ら引退。





▶︎2014年7月12日:MGMグランドガーデンアリーナ 155ポンド契約12回戦 カネロvsエリスランディ・ララ

【疑惑の人】レビー・マルチネス

ララがゲームをコントロールしたかに見えましたが、2人のジャッジは1ラウンド差の115-113、113-115。しかし、マルチネスは117−111(6ラウンド差)というありえない大差でカネロを支持。




 
▶︎2017年9月16日:T-Mobileアリーナ リング誌/WBA/WBC/IBFミドル級戦 カネロvsゲンナジー・ゴロフキン

【疑惑の人】アンダレイ・バード

TripleGが明らかに優勢に進めた内容でしたが、ジャッジは三者三様のドロー。ただ1人カネロを支持したバードのスコアはまさかの118-110。

バードの目にはTripleGが取ったのはわずか2ラウンド、残りの10ラウンドをカネロが制したと映ったのです。微妙なラウンドを全部カネロに振るとか、そんな次元の話ではありません。常軌を逸しています。





明後日のメガファイトでNSACが指名した3人のジャッジはティム・チーサム、デイブ・モレッティ、スティーブ・ワイスフェルド。

3人ともアルバレスの世界戦をジャッジした経験者。

ビボルをマネジメントするバディン・コルニロフは、判定が大きくカネロに寄せられることを心配していないか?と問われ、「この場所(ラスベガス)のカネロの試合でどんな判定があったのかは知っている。それでも我々はジャッジを全面的に信頼して戦う」。


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3. チュウヤ 2022年03月19日 17:40 182.165.202.163
 
あの展開にも関わらずジャッジ2人が1Rを矢吹につけていたらしいです
KOで終わったので関係なかったですが、もし判定になっていたらすっきりしない結果になっていたかもしれませんね・・・



試合が始まる前に亀田興毅は「テレビで見るのと生で見るのは違いますから」と語り、試合中は長谷川穂積が「生で見て、近くでパンチの音とか聞くのと、ここ(少し離れた解説者席)で見るのは違いますから」と、採点の齟齬が生まれる原因について説明しました。

二人の元3階級制覇王者は「オフィシャルが正しい」という大前提に立っていますが、これが大間違いです。

「マニー・パッキャオvsティモシー・ブラッドリー①」や「村田諒太vsアッサン・エンダム①」を明らかな誤審、盗まれた判定とリング誌などメディアはもちろんWBOとWBAまでが断じた根拠は「ジャッジよりもビデオが正しい」という立場からでした。

そんなもん、当たり前です。 

日本で信じられている「テレビ画面と審判席で見るのは違う。審判席の方が正確に試合が見れる」なんて定説は、「経験者が語るのが正しくて、未経験者の見立ては間違い」という馬鹿戯言以上に、愚かな思い込みです。



最初に「寺地vs矢吹」をスコアしたJBCのジャッジが十分な研修プログラムを習得し、実践経験を重ねた「プロ」だと信じて、話を進めます。

まず、ジャッジがどこから見ているか?「平面」で見てみましょう↓。
IMG_6903
四角いリングの三辺に3人しかジャッジがいない。誰にでもわかる理屈です。野球でいうと一塁側にしか線審がいないようなもんです。

初戦と二人のジャッジが同じです。青が矢吹、赤が寺地のスコアです。


▼今日のスコアリング▼
18 Kazunobu Asao 20
19 Hisatoshi Miyazaki 19
19 Masahiro Noda 19
 +++++++++
▼初戦のスコアリング▼
88 Yoshikazu Furuta  83
86 Hisatoshi Miyazaki 85
87 Masahiro Noda  84


この数字だけ見ると、初戦で寺地のジャブではなく、矢吹の攻勢を評価した採点基準を継承している「一貫性」があるように見えますが、試合を見た人はよくわかっているはずです。

今日の再戦、寺地が第1ラウンドからプレスをかけて先に手を出し、矢吹は交代するだけでした。「攻勢を評価する」姿勢だったなら、今日は矢吹に振れなかったはずです。

実は、二人のジャッジには一貫性はありません。

そして、上の「平面」図でジャッジ3人の目から最も遠い、コミッション席側でロープ際の攻防になると、3人ともに「見えない有効打」が簡単に生まれてしまいます。

次に、実際のジャッジの目線から試合がどう見えているのか、を考えます。座っている位置から死角が生じるのは当然ですが、さらにリングの中には〝障害物〟があります。

そうです、レフェリー(主審)です。

 ※以下の写真はリング誌2012年11月号にジョー・コルテスが寄稿した「A Νew Perspective」から。
IMG_6904 (1)
死角①

主審の次に一番近くで見ているジャッジでも、いいえ、だからこそこの角度・視界が当たり前に生じてしまいます。

この視界のジャッジが「有効打が打ち込まれたかどうか」を判断する手がかりは…あってはいけないことですが、観客の声援だけです。

そして、死角の攻防を観客の反応で判断してしまうことが何度も重なると、無意識のうちに観客の声でスコアが揺らぐ癖がついてしまいまうことが、様々な実験検証から明らかになっています。

さらに、さらに。

たとえレフェリーが障害物にならなくても、リングを見上げる位置では↓こんな↓死角も当たり前に生まれます。
IMG_6907
死角②

このあと、どちらかのボクサーの目尻から出血していたら、あなたはそれがパンチかヘッドバット、どちらが原因なのかを判断して採点できないはずですが、ラウンドが終われば採点しなければなりません。

客席やコーナー、リングアナウンサーから「ナイス、アッパー!」という声が耳に入ったら?あるいは「バッティング!」なら?あるいは、その両方が錯綜していたら?


この「ジャッジの死角問題」に、1979年から2012年まで33年間、レフェリーとジャッジを務めたコルテスが提案したのが、テニスの試合で使われているような「チェア席」です。
IMG_6906
ここから見ると死角①はこう↓見えます↓。完全に見えるとは言えませんが、死角①よりは全然マシです。
IMG_6905
そして、死角②は↓こう↓です。この視界なら出血がパンチか頭か、一目瞭然です。
IMG_6908
しかし、コルテス案は闇に葬られます。

ネバダ州アスレティックコミッション(NSAC)は「死角を100%解消することにならないだけでなく、チェア席から見ると新たな死角も生み出してしまうからナンセンス」と一蹴。

しかし、そんな反論に理があるなんて、誰も信じません。 

もちろん、NSACも「死角」については誰よりも真剣に考えています。

ただ、それは「チェア席が障害物となる一番大切な高額席の死角」でした。

本来なら数千ドル、メガファイトなら数万ドルで売れる多くの席の価値が暴落してしまうのですから、NSACはもちろん、プロモーターもテレビ局も、当事者のボクサーまでもが否定的な意見を口にするのは当然でした。

ビッグファイトならたった1試合だけで数万ドル、メイウェザーやパッキャオのメガファイトなら数十万〜数百万ドルが失われるという試算です。ましてや「メイウェザーvsパッキャオ」であんなのを設置したら…。

NSACにとっては、毎試合チェア席が常設されてしまうと、年間損失はそれこそ天文学的数字になってしまいます。

いかにも銭ゲバ米国らしい話で、同じ理由からWBCのオープンスコアリングも大きな試合ではまず採用されません。

公開採点はそもそもあるまじきシステムで、JBCは採用すべきではありません。
STBX
アマチュアボクシングでは「公正」を掲げて早くからコンピュータによるシステムが導入されていますが、それを作り、使うの人間が馬鹿だと全部無駄です。




前置きが長くなりました。

ここまでは「ジャッジが十分な研修プログラムを習得し、実践経験を重ねた〝プロ〟」だとしても、非常に難しい問題が山積している、という話でした。

しかし、ボクシング界に横たわっている問題は、ジャッジを四辺に配置したり、死角を無くせば解決するような生易しいものではありません。

リング誌やESPNなど多くのメディアは、もうずっと昔にその答えに辿り着いています。

「おかしな判定が生まれる最大の原因はジャッジの質の低さ」の一点なのです。

「判断できない微妙なラウンドを無理やり10−9にスコアして、それが積み重なってわけのわからない結果になる馬鹿ジャッジ」。「死角だらけの攻防に歓声でスコアする〝目隠ししても同じ〟馬鹿ジャッジ」。「そもそも速くて高度なパンチ交換を見切れない高齢な、あるいはそもそも未熟な本当ならライセンス返上すべきな馬鹿ジャッジ」。
IMG_6910 (1)

野球やサッカーのトップリーグなら研修制度やライセンス更新試験などでふるい落とされるはずの無能なジャッジが、世界最高水準と言われるNSACですら厚かましく仕事を続けているのが、このスポーツの実態です。


このテーマもどこかで書きかけがあったはずですが、何にしても永遠に続きます。何しろ、これからも格好の材料になる試合がいくつも見られることでしょうから。
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ESPNのPFPランキングをご紹介。

7位に付けていたジュニアウェルター級完全統一王者ジョシュ・テイラーが、伏兵ジャック・カテラルに試合を中継したESPNがSDの判定に疑義を突きつけるほどの大苦戦を強いられました。

リング誌の〝密室〟とは違い、会議と投票制のESPNは選考過程も明らかにしてくれることがあります。

今回はテイラーを「格下げ」するのか、それとも「ランクアウト(圏外)に追放するのかで意見が分かれました。

完全統一王者(Undisputed Champion)が圏外追放なら、4団体時代では史上初の珍事でしたが、投票結果は二つ順位を下げて9位に踏みとどまりました。

テイラーのダウンで、ファン・フランシスコ・エストラーダが8位、ワシル・ロマチェンコが7位に浮上。
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1. CANELO ALVAREZ     Previous ranking: No. 1

RECORD: 56-1-2, 38 KOs
DIVISION: Super middleweight (undisputed champion)
LAST FIGHT: W (TKO11) Caleb Plant, Nov. 6
NEXT FIGHT: May 7 vs. Dmitry Bivol


2. TERENCE CRAWFORD     Previous ranking: No. 2

RECORD: 38-0, 29 KOs
DIVISION: Welterweight (champion)
LAST FIGHT: W (TKO10) Shawn Porter, Nov. 20
NEXT FIGHT: TBA


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3. NAOYA INOUE
    Previous ranking: No. 3

RECORD: 21-0, 18 KOs
DIVISION: Bantamweight (unified champion)
LAST FIGHT: W (KO8) Aran Dipaen, Dec. 14
NEXT FIGHT: TBD


4. OLEKSANDR USYK     Previous ranking: No. 4

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RECORD: 19-0, 13 KOs
DIVISION: Heavyweight (unified champion)
LAST FIGHT: W (UD12) Anthony Joshua, Sept. 25
NEXT FIGHT: TBA vs. Anthony Joshua

5. TYSON FURY     Previous ranking: No. 5

RECORD: 31-0-1, 22 KOs
DIVISION: Heavyweight (champion)
LAST FIGHT: W (KO11) Deontay Wilder, Oct. 9
NEXT FIGHT: April 23 vs. Dillian Whyte


6. ERROL SPENCE JR.     Previous ranking: No. 6

RECORD: 27-0, 21 KOs
DIVISION: Welterweight (unified champion)
LAST FIGHT: W (UD12) Danny Garcia, Dec. 5, 2020
NEXT FIGHT: April 16 vs. Yordenis Ugas


7. VASILIY LOMACHENKO     Previous ranking: No. 8
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 RECORD: 16-2, 11 KOs

DIVISION: Lightweight
LAST FIGHT: W (UD12) Richard Commey, Dec. 11
NEXT FIGHT: TBA


8. JUAN FRANCISCO ESTRADA     Previous ranking: No. 9

RECORD: 42-3, 28 KOs
DIVISION: Junior bantamweight (unified champion)
LAST FIGHT: W (SD12) Roman "Chocolatito" Gonzalez, March 13
NEXT FIGHT: TBA


9. JOSH TAYLOR     Previous ranking: No. 7

RECORD: 19-0, 13 KOs
DIVISION: Junior welterweight (undisputed champion)
LAST FIGHT: W (SD12) Jack Catterall, Feb. 26
NEXT FIGHT: TBA


10. GERVONTA DAVIS     Previous ranking: 10

RECORD: 26-0, 24 KOs
DIVISION: Lightweight (titlist)
LAST FIGHT: W (UD12) Isaac Cruz, Dec. 5
NEXT FIGHT: TBA



Winning isn't everything.「勝ちゃあいいってもんじゃない」。その理屈で、ランクダウンしたテイラー。

勝ってランクダウンは、記憶にありません。

となると、思い出すのが2019年11月の井上尚弥vsノニト・ドネア。 こっちも勝利はしたものの予想外の苦戦。それでも井上はランクアップしました。


専門家予想は「ドネアは何ラウンドまで立っていられるか?」。オッズは井上1/25(1.04倍)、ドネア15倍の掛け率も見られ、ミスマッチも超えて、数字上のドネアは咬ませ犬。

そして、今回の「テイラーvsカテラル」は、ミスマッチではありませんでした。

たまアリの激闘は、井上の勝利こそ明白だったものの〝咬ませ犬〟に噛まれてしまった試合でした。 

私は「井上のPFPランキングは下がる」と確信しましたが、リング誌では上がりました。

PFPに、評価基準や整合性を求めるなんて、SF映画に「こんなのありえない」とケチをつけるよりも馬鹿げたことですが、よく考えると妄想だから何でもあり、なんです。

評価基準が無い、んじゃなくて評価基準は無限にあるわけです。

妄想なんだから整合性が無いのが当たり前です。

明確な評価基準や整合性があったらPFPじゃありません。

いろんな価値観が入り乱れるから、PFPは面白いのです。
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冬のオリンピックでジャッジやルールの問題が目立って噴出するのは、今に始まったことではありません。

採点競技が多い大会の宿命です。

試合以前の選手選考でも「瀬古利彦」のソウル1988や、有森裕子のバルセロナ1992などのマラソン、最近でも、2枠の東海地区代表に東海大会で準優勝した聖隷クリストファー高校が選ばれなかったことが大きな波紋を巻き起こしました。

選考や不可解な採点への不満は、その基準が明確でないことだけでなく、主催者や有力選手への忖度が透けて見えたときに爆発します。

ボクシングにおけるカネロ・アルバレスの〝ラスベガス判定〟や〝タイの秤〟に、球技で目につく〝中東の笛〟。

北京の平野歩夢の採点や、高梨沙羅の失格はジャッジの能力不足や、検査方法がブレブレだったことから混乱を招きましたが、スピードスケートショートトラックなどでは〝中華採点〟だという非難が沸き起こっています。

ラスベガスのジャッジがカネロに買収されているとは思えませんし、〝中東の笛〟〝中華採点〟などの地元判定に明白な力が作用しているとは、状況証拠もない段階では考えたくありません。

どんな環境でも公正な判断を下すのがプロのジャッジですが、地元選手への大声援に代表される会場の空気を完全に遮断するのは非常に難しい作業です。

議論を呼ぶスコアが出てしまうのは採点競技の宿命、ボクシングでは採点だけでなくレフェリーストップのタイミングで異論反論が巻き起こることも珍しくありません。
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「平野歩夢の2回目」では、米国メディアが怒りもにじませた異議を爆発させたのに対して、日本の解説陣とメディアの反応は非常に穏やかなもので、「あの採点にも一理ある」というような説明までなされました。

第三国である米国があれほど強い声を上げてるんだから、当事国なら日本はもっと抗議の姿勢を明白にすべきだった、韓国のように、という意見もあります。

個人的には日本の性善説を大前提とした良い意味での寛容さ、悪い意味での曖昧さは嫌いではありません。

マニー・パッキャオは「判定になればあとは神の思し召し。どんな結果であろうと受け入れる」と語り、村田諒太はアッサン・エンダム第1戦で性善説に依拠した「そのスコアもありうる」という潔さを見せました。

パッキャオや村田の姿勢は素晴らしいと思います。

しかし、アジア的な寛容や曖昧が当たり前にまかり通るルールや採点基準、検査体制を野放しにして良いわけがありません。

まずありき、なのは公正明確なルールと採点基準、検査体制です。

平野の言葉が問題解決の道筋を正確に示してくれています。

「スノーボードは幅広くて、色んなスタイルあるからこその魅力、自由さが1つのかっこ良さとしてあるが、それはそれとして切り分けるべき」

「競技の部分では競技の高さ、グラブ、そういうものを(誰がジャッジしても同じように)計れるように整えていくべき。ジャッジの評価は、そういう意味でまだまだちゃんとしていない」。

「選手が最大のリスクを抱えてやっているものに対して、もっと明確でわかりやすい評価基準でジャッジするべき。他の競技のように新しいもの(ビデオやAIなど)の導入も考えていい。大会と大会ではないものきりわけた上で、しっかりするべき時代になってきたんだと思う」。

「競技が終わった瞬間に誰の目にも勝者がわかるのが常識」だという、スポーツの原点を「採点競技だから仕方がない」と諦めてはいけません。

競技を終えたフィギュア選手やボクサー、チームが、心配な顔でスコアが読み上げられたり、出場校発表の知らせを待って、結果が出た瞬間に喜びを爆発させたり、落胆に沈む、なんて不条理な光景はスポーツではありません。

〝採点競技〟でも競技が終わった瞬間に、選手も観客も勝者が誰なのかが確信できなければなりません。そうでなければ、どうしたらそこに辿り着けるのか、どうしたら近づけるのかを追求しなければなりません。
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