3. チュウヤ 2022年03月19日 17:40 182.165.202.163
 
あの展開にも関わらずジャッジ2人が1Rを矢吹につけていたらしいです
KOで終わったので関係なかったですが、もし判定になっていたらすっきりしない結果になっていたかもしれませんね・・・



試合が始まる前に亀田興毅は「テレビで見るのと生で見るのは違いますから」と語り、試合中は長谷川穂積が「生で見て、近くでパンチの音とか聞くのと、ここ(少し離れた解説者席)で見るのは違いますから」と、採点の齟齬が生まれる原因について説明しました。

二人の元3階級制覇王者は「オフィシャルが正しい」という大前提に立っていますが、これが大間違いです。

「マニー・パッキャオvsティモシー・ブラッドリー①」や「村田諒太vsアッサン・エンダム①」を明らかな誤審、盗まれた判定とリング誌などメディアはもちろんWBOとWBAまでが断じた根拠は「ジャッジよりもビデオが正しい」という立場からでした。

そんなもん、当たり前です。 

日本で信じられている「テレビ画面と審判席で見るのは違う。審判席の方が正確に試合が見れる」なんて定説は、「経験者が語るのが正しくて、未経験者の見立ては間違い」という馬鹿戯言以上に、愚かな思い込みです。



最初に「寺地vs矢吹」をスコアしたJBCのジャッジが十分な研修プログラムを習得し、実践経験を重ねた「プロ」だと信じて、話を進めます。

まず、ジャッジがどこから見ているか?「平面」で見てみましょう↓。
IMG_6903
四角いリングの三辺に3人しかジャッジがいない。誰にでもわかる理屈です。野球でいうと一塁側にしか線審がいないようなもんです。

初戦と二人のジャッジが同じです。青が矢吹、赤が寺地のスコアです。


▼今日のスコアリング▼
18 Kazunobu Asao 20
19 Hisatoshi Miyazaki 19
19 Masahiro Noda 19
 +++++++++
▼初戦のスコアリング▼
88 Yoshikazu Furuta  83
86 Hisatoshi Miyazaki 85
87 Masahiro Noda  84


この数字だけ見ると、初戦で寺地のジャブではなく、矢吹の攻勢を評価した採点基準を継承している「一貫性」があるように見えますが、試合を見た人はよくわかっているはずです。

今日の再戦、寺地が第1ラウンドからプレスをかけて先に手を出し、矢吹は交代するだけでした。「攻勢を評価する」姿勢だったなら、今日は矢吹に振れなかったはずです。

実は、二人のジャッジには一貫性はありません。

そして、上の「平面」図でジャッジ3人の目から最も遠い、コミッション席側でロープ際の攻防になると、3人ともに「見えない有効打」が簡単に生まれてしまいます。

次に、実際のジャッジの目線から試合がどう見えているのか、を考えます。座っている位置から死角が生じるのは当然ですが、さらにリングの中には〝障害物〟があります。

そうです、レフェリー(主審)です。

 ※以下の写真はリング誌2012年11月号にジョー・コルテスが寄稿した「A Νew Perspective」から。
IMG_6904 (1)
死角①

主審の次に一番近くで見ているジャッジでも、いいえ、だからこそこの角度・視界が当たり前に生じてしまいます。

この視界のジャッジが「有効打が打ち込まれたかどうか」を判断する手がかりは…あってはいけないことですが、観客の声援だけです。

そして、死角の攻防を観客の反応で判断してしまうことが何度も重なると、無意識のうちに観客の声でスコアが揺らぐ癖がついてしまいまうことが、様々な実験検証から明らかになっています。

さらに、さらに。

たとえレフェリーが障害物にならなくても、リングを見上げる位置では↓こんな↓死角も当たり前に生まれます。
IMG_6907
死角②

このあと、どちらかのボクサーの目尻から出血していたら、あなたはそれがパンチかヘッドバット、どちらが原因なのかを判断して採点できないはずですが、ラウンドが終われば採点しなければなりません。

客席やコーナー、リングアナウンサーから「ナイス、アッパー!」という声が耳に入ったら?あるいは「バッティング!」なら?あるいは、その両方が錯綜していたら?


この「ジャッジの死角問題」に、1979年から2012年まで33年間、レフェリーとジャッジを務めたコルテスが提案したのが、テニスの試合で使われているような「チェア席」です。
IMG_6906
ここから見ると死角①はこう↓見えます↓。完全に見えるとは言えませんが、死角①よりは全然マシです。
IMG_6905
そして、死角②は↓こう↓です。この視界なら出血がパンチか頭か、一目瞭然です。
IMG_6908
しかし、コルテス案は闇に葬られます。

ネバダ州アスレティックコミッション(NSAC)は「死角を100%解消することにならないだけでなく、チェア席から見ると新たな死角も生み出してしまうからナンセンス」と一蹴。

しかし、そんな反論に理があるなんて、誰も信じません。 

もちろん、NSACも「死角」については誰よりも真剣に考えています。

ただ、それは「チェア席が障害物となる一番大切な高額席の死角」でした。

本来なら数千ドル、メガファイトなら数万ドルで売れる多くの席の価値が暴落してしまうのですから、NSACはもちろん、プロモーターもテレビ局も、当事者のボクサーまでもが否定的な意見を口にするのは当然でした。

ビッグファイトならたった1試合だけで数万ドル、メイウェザーやパッキャオのメガファイトなら数十万〜数百万ドルが失われるという試算です。ましてや「メイウェザーvsパッキャオ」であんなのを設置したら…。

NSACにとっては、毎試合チェア席が常設されてしまうと、年間損失はそれこそ天文学的数字になってしまいます。

いかにも銭ゲバ米国らしい話で、同じ理由からWBCのオープンスコアリングも大きな試合ではまず採用されません。

公開採点はそもそもあるまじきシステムで、JBCは採用すべきではありません。
STBX
アマチュアボクシングでは「公正」を掲げて早くからコンピュータによるシステムが導入されていますが、それを作り、使うの人間が馬鹿だと全部無駄です。




前置きが長くなりました。

ここまでは「ジャッジが十分な研修プログラムを習得し、実践経験を重ねた〝プロ〟」だとしても、非常に難しい問題が山積している、という話でした。

しかし、ボクシング界に横たわっている問題は、ジャッジを四辺に配置したり、死角を無くせば解決するような生易しいものではありません。

リング誌やESPNなど多くのメディアは、もうずっと昔にその答えに辿り着いています。

「おかしな判定が生まれる最大の原因はジャッジの質の低さ」の一点なのです。

「判断できない微妙なラウンドを無理やり10−9にスコアして、それが積み重なってわけのわからない結果になる馬鹿ジャッジ」。「死角だらけの攻防に歓声でスコアする〝目隠ししても同じ〟馬鹿ジャッジ」。「そもそも速くて高度なパンチ交換を見切れない高齢な、あるいはそもそも未熟な本当ならライセンス返上すべきな馬鹿ジャッジ」。
IMG_6910 (1)

野球やサッカーのトップリーグなら研修制度やライセンス更新試験などでふるい落とされるはずの無能なジャッジが、世界最高水準と言われるNSACですら厚かましく仕事を続けているのが、このスポーツの実態です。


このテーマもどこかで書きかけがあったはずですが、何にしても永遠に続きます。何しろ、これからも格好の材料になる試合がいくつも見られることでしょうから。