カテゴリ: WBSS

井上尚弥とノニト・ドネア。

21世紀の軽量級を代表する一撃KOフィニッシャーを 世界はどう見てきたのか、を振り返ってみます。

PFP最高位(リング誌)はドネア3位、井上4位(現在)で大差なしですが、ドネアはBWAAの Fighter of the Year(2013年)、すなわちシュガー・レイ・ロビンソン杯を受賞、これはボクサーにとって最高の名誉です。

井上もboxing scene.com のFighter of the Year を受賞(2015年)していますが、流石にBWAAとは格が違い過ぎます。

ちなみに、ドネアが逃したリング誌の2013年 Fighter of the Year はアドニス・スティーブンソン。日本人にとって最も馴染みの薄い〝重量級三役〟の1つライトヘビー級選手の受賞でした。

一方、井上がマイナータイトルを獲得した2015年のメジャー、BWAAとリング誌Fighter of the Year はセルゲイ・コバレフ。

対象年(2014年)に超年代物のヴィンテージ高級ワイン、バーナード・ホプキンスを圧倒した勝利が評価されました。
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それでも、このとき井上はテレンス・クロフォード、マニー・パッキャオ、ニコラス・ウォータースと並んで次点(Runners Up)に挙げられました。

Ring tv.では「コバレフはもちろん、クロフォード、井上、ウォータースも誰一人PFPファイターに勝っていない。派手な勝ち方(すなわち相手は弱い)を評価するか、地味でも強い相手に勝ったボクサーを評価するかは難しい」と、悩ましい選考であったことを伺わせていました。

コバレフと4人の次点の中で、強い相手(PFPファイター)に明白に勝ったのはパッキャオだけ(vsティモシー・ブラッドリー)でしたが「いくらなんでも、もうパッキャオはいいでしょう。私たちは新しい時代の話をしなければならない」と、生きる伝説は早々に脱落。

2014年時点でも、とっくに終わったと見限られていたパックマンですが、5年後の今また Fighter of the Year にノミネートされるのが濃厚です。

月並みですが、バケモノです。


リング誌のKO of the Year 受賞はドネアが2度、井上が1度。

26歳と36歳、両者の年齢を考えるとドネアが実績で上回るのは当然ですが、実績に乏しい若手が集うWBSSの中でドネアは異彩を放っています。

それでも、世代という時間軸を無視するとこの二人は「並外れたスピードとタイミングで世界を圧倒したアジアン」「軽量級にはあるまじきスペクタクルなKOを魅せるスター」 「世界評価(PFP)の高いエリートボクサー」 …リング内では〝生まれ変わり〟か〝兄弟〟かというくらいに共通項を持つ二人です。

が、しかし…。

この二人には、全く対極のある評価が下されてきました。

その「評価」では井上が0で、ドネアは5。

数字の寡多なら0−5で井上負けのスコアですが、これは数字が少ない方が「勝ち」とも言えるゲームです(パッキャオの場合はこの数字が多いがゆえに偉大と称されただけに一概に数字が多いのがダメではありませんが)。

このゲームは、キャリアに差があり過ぎるがゆえに単純比較など出来ないことは承知の上です。

リングの外の話です。

井上は18戦のキャリアで一度も経験したことがありません。しかし、ドネアは丁度50戦の戦符で5度(単純計算だと10試合に一度です)も経験しています。

ナゾナゾを残して、おやすみなさい。。。。
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ジンクスやタブー。

そのほとんどは、ただの迷信です。

野球でよくいう「代わった守備にボールは飛ぶ」。そんなの全くの偶然です。

ジンクスやタブーはあらゆるスポーツで囁かれてきました。

しかし、ボクシングほどそれらに溢れたスポーツは他にありません。

「世界王者には返り咲けない」「サウスポーは世界王者になれない」…その多くはヘビー級にまつわるものですが、非ヘビー級にも近寄り難い結界はあります。

「一度上げた階級から再び体重を落とすと別人になる」「フェザー級以下での10ポンドを超える階級制覇には赤信号が灯る」…そんならリミット体重が存在する非ヘビー級ならではの代表的なジンクスもあります。

シュガー・レイ・レナードとロイ・ジョーンズJr.の衝撃的な破綻によってボクシングファンの誰もが迷信とは考えていない「ポロロッカ(階級の逆戻りの先に待っているのは地獄)のタブー」。

ノニト・ドネアとローマン・ゴンザレス、軽量級ながらPFP3位と1位に輝いた2人でも苦悶した「10ポンドの壁」。

ドネアは112ポンド(フライ級)から118(バンタム)では無双しましたが、122(ジュニアフェザー)では鮮やかなKOは影を潜め、ギレルモ・リゴンドーとの最強決戦では完敗。

126(フェザー)では穴王者からアルファベットタイトルを奪うのが精一杯で、キャリア初のKO負けまで喫してしまいました。

PFP1位のロマゴンも105(ストロー)から112(フライ)で魅せた完璧なボクシングは、115(ジュニアバンタム)では軽さだけが目立ち、凡戦と惨敗を重ねてしまいます。

21世紀の軽量級を牽引したドネアとロマゴンですら、10ポンドの壁に跳ね返されたのです。

この絶対タブーの10ポンドの壁を易々と飛び越えたのが、日本の誇るモンスター井上尚弥です。

複数階級制覇を意識したのでしょうが、やや無理矢理な108(ジュニアフライ)からスタート、ちょうど10ポンド上のバンタムでも圧倒的なパワーボクシングを披露しているのです。

パワーボクシングと書くと誤解を招きかねませんが、ファン・カルロス・パヤノの意識のコンセントを引っこ抜いた戦慄のジャブクロス。

苦手と見られていたクロスレンジで、インファイトに長けたエマヌエル・ロドリゲスを斬ったコンパクトな左カウンター。

パヤノは井上を警戒し過ぎて固かった。ロドリゲスはパニックになったのか、クロスレンジで大振りだった。

後付けではなんでも言えます(私のことです)。

誰にとってもやりにくいドミニカンが緊張していたのも、素材の良さは誰もが認めるプエルトリカンが力みかえって打ち合ったのも、過去の2人の試合では見られないものでした。

それは、全てモンスターが引き出したものです。あの試合でファンは、見えないはずの魔法のガウンが見えたはずです。

それはパヤノとロドリゲスにはもっと鮮やかな恐怖の極彩色で視界に飛び込んで来たはずです。

見えないはずの魔法のガウンはパヤノとロドリゲスという触媒のおかげで、私たちにも視覚出来たのです。

11月7日、その月で37歳の誕生日を迎えるドネアは若くて速くて、卓越した技術を駆使する井上とアウエーで対峙しなければならなりません。

自身が阻まれた10ポンドの壁を簡単にプチ破った26歳のモンスターと。

しかし、タブーを易々と乗り越えたのはドネアも同じです。

もし、井上が今から5ポンド軽い2階級下のフライで戦うとしたら?敬虔な井上信者でも希望的な観測はできないでしょう。もちろん、そんな必要はありませんが。

フィリピンの閃光は126から118へ、8ポンドも下げてきたのです。

ドネアの「再びのバンタム」を、タブーを覆したと評価するのは早計かもしれません。

神の配剤としか思えないライアン・バーネットとステフォン・ヤングとの2試合の結果だけでは何もわからないーーそれも一つの事実です。

しかし、ここで語りたいのは上っ面の事実ではありません。

色眼鏡を外して、事実のオブラートを剥ぎ取って、その奥にある真実を覗くことです。

ジュニアフェザー級でデビューしたドネアにとって、ポロロッカの逆鱗はとっくに馴化したさざ波なのかもしれません。

そして、ドネアは強くなるためには世間の目を気にせずドーピング・グルまでチームに迎える唯物主義者です。

ボクシングのグローブを利用して、地位と名誉とカネを浅ましいまでに追究したパッキャオと、純真にボクサーとしての強さを求めるドネア。

ドネアがパッキャオを「尊敬していないわけがない」と言いながら、長らく同一興行はもちろん練習も共にしなかったのは、ボクシングに対する姿勢が相容れないものだったのも理由の一つかもしれません。

パッキャオも「ドネアの力になりたいが、それは私からアプローチすることではない」と、ドネアか距離を置きたがっているのをわかっています。

しかし、ドーピング問題同様にパックマンは悪い意味でも天真爛漫です。

「私はいつかどこかでドネアの気に触ることでも言ってしまったか?」。

そんなわけありません。

同性愛者には悪魔になるパッキャオでも、同胞には無私の愛を捧げてきました。

今や巷に溢れるネクスト・パッキャオの走りだったドネアは、パッキャオの近くに立つと自分がどう見られるかを痛いほど知っていました。

パッキャオのメガイベントの前座に出場したら、世界中に名前が売れる、報酬も跳ね上がるーーそんなこと、わかりきってます。




ムムムムム……。

酔っ払って電車の中で、思いつくまま書き綴ってると本筋とズレてきてることに気がつきました…、

ジンクスを打ち砕いた井上vsドネアのお話、本筋に行きつ戻りつ、まだまだ続きます。

素晴らしい試合を期待してます!きっとそうなる!
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レジス・プログレイスとディベラ・エンタテインメントに共同訴訟を起こされたWBSSが声明を出しました。

いつものパターンです。イヴァン・バランチェク陣営が報酬の振り込みがないことを問い合わせても連絡不通で「トーナメント離脱」を発表したときも、ノニト・ドネアが試合の場所も期日も決まらないことに業を煮やし「離脱もありうる」と示唆したときも、直後に連絡が開通しました。

今回も同じです。個々に連絡しても居留守を使い、メディアに公表されると電話がつながり、リリースを発表します。

WBSSのリリースをまとめると。

・プログレイスを含めた全てのファイターはWBSSと高額報酬を軸にした独占的契約を結んでおり、自らがサインした契約内容に不満があるとこの時期になって訴訟するのは理解に苦しむ。

・訴訟にある「報酬の金額と支払い時期」「試合日程の決定の時期」についてはあらゆるイベントがそうであるように常に流動的で、当初の予定と違うというだけで法的訴訟の根拠になりえない。

・DBEとプログレイスがもう一度契約書を読めば誤解は解けるはずだ。ジュニアウェルター級決勝の日程はもうすぐ発表できる。最高の決勝戦を世界中のボクシングファンが待っている。


そして、バランチェクに対して出したコメントと同じ文言が最後に加えられています。

WBSS will defend the tournament against any attempts of third parties to interfere with the tournament with all means and in all jurisdictions available as necessary.

WBSSはトーナメントを妨害する第三者に対して、全ての法的手続きとあらゆる手段を講じて戦う所存である。


「盗人猛々しい」とはこのことです。都合の悪い問い合わせにはいつも居留守を使い、メディアに露見したら逆ギレのコメントをリリース。

バランチェクの場合はカレ・ザウアラント が「カネが原因で離脱はありえない」と余裕で笑ってみせました。離脱の違約金が法外に高額なのでしょう。

大橋ジムとフジテレビ、WOWOWなど日本陣営はこれまでのトーネナメント2試合で相当の承認料やライセンス料を支払っているはずです。

WBSSとは縁を切って独自にドネア戦を行うのがベストですが、マイナー階級の貧困トーナメントで唯一のカネヅル日本を手放すわけがありません。
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現在のボクシング界の若き至宝が無駄な時間を浪費するのは見てられませんが、あと1試合です。 コストがかかりますが、我慢しましょう。

これをクリアしたら、日本主導でバンタム最強決定の道筋を舗装しましょう。WBSSが絡まなければゾラニ・テテの怪我も一瞬で完治するでしょう。 

いい勉強になりました。ありがとうWBSS。さようならWBSS。 
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まず、日本よりもはるかに教育レベルが低いトランプ脳の米国人ファンでも騙されなかったWBSSにどうして井上信者を筆頭に日本はまんまと騙されたのか?

これは、無知蒙昧な井上信者だけでなく、メディアにも責任があります。

何度か指摘していますが「黄金のバンタム」は正確に報道しないと、井上信者のようなおめでたい方々は本気で「バンタムはメジャー階級」と誤解してしまうということです。

この誤解の延長が「井上はラスベガスでPPVで何十億円も稼ぐ」という、絶対にありえない妄想を育ててしまうのです。

井上よりも遥かに世界評価が高かったノニト・ドネア(2012年BWAA年間最高選手証/PFP最高位3位)やローマン・ゴンザレス(リング誌年間PFP2年連続1位)らがPPVで何十億円も稼いでいる実績があるのなら、まだわかりますが、ドネアもロマゴンも何十億円はもちろん、PPVの経験すらゼロです。(ドネアはパッキャオの前座で一度経験がありますがPPV歩合とは関係がないのでゼロと言って差し支えありません)

厳しい言い方になりますが、パックメイのウェルターと井上のバンタムは人気=報酬的には同じスポーツではありません。

そして、ドネアは西岡戦をはじめ100万ドル越えの報酬を得たことがありますが、トップランクがゴールデンボーイ・プロモーションズと意地を張りあう引き抜き合戦で契約内容を釣り上げただけで、現実には「フェルナンド・モンティエル戦の35万ドルでも大赤字」(ボブ・アラム)というレベルのボクサーです。

だから、トップランクはドネアの温室を剥がして強豪をぶつけて商品価値を落としてから、契約期限前に無条件でリリースしたのです。嫌な話ですが「ドネアが欲しければどうぞ、デラホーヤ」とまで言い放ちました。

もちろん、そこでリゴンドーやウォータースを粉砕していれば話は変わってくるのですが。パッキャオのように。

トップランクとの意地の張り合いがなければドネアの商品価値はホープの踏み台くらいです。GBPもドネアに手を差し伸べることはありませんでした。

ロマゴンに至っては、HBOが必死で売り出してファイトマネー50万ドルを獲得したこともありましたが、それも精一杯の背伸びでジュニアバンタムで挫折したロマゴンが米国で人気者になれるわけがありません。

何度も繰り返しますが、米国に軽量級の需要は全くありません。あるとしたらヒスパニックのスター需要だけです。それを満たすレオ・サンタクルスやアブナル・マレスも100万ドルが一杯一杯、彼らですらPPVとは無縁です。

男子プロ野球と女子プロ野球、それくらいの差があると考えて全く差し支えありません。現実はそれ以上の差があります。共通点は一応同じボクシングということだけ。井上信者が本気で「そこ」を望むなら井上に「バンタムじゃなくウェルターで戦ってくれ!」と叱咤激励するべきですね。


野球でもサッカーでもボクシングでも、選手報酬の源泉は「本来なら」(1)ゲート収入(入場者が買ってくれるチケット)と関連グッズの販売(2)会場スポンサー収入(リングや会場周りの広告)(3)テレビ局が支払ってくれる放映権収入の3つです。

かつて日本プロ野球は、パリーグをはじめ不人気球団は親会社の広告宣伝の一環として「広告費」として球団費用を補填していましたが、徐々に改善されています。

完全個人競技のボクシングは企業の広告費としての手厚い支援はありえません。ただ、大阪で試合をしたら10倍以上の報酬が得られるというのに、米国で時給1000円で働くアルバイト年収以下で米国で戦った井岡一翔のように「企業とボクサー」の新しい関係が始まっています。

世界的な階級のはずのミドルでも日本市場で大きな可能性を示している村田諒太と井岡の取り組みは、非常に興味深いものがあります。

「軽量級はラスベガスで相手にされない」というのは真実ですが、ミドル級でも「米国市場が最高のマーケット」とは限らないのがはっきりしました。

報酬でミドル級のトップはカネロですが2位は村田です(ゲンナディ・ゴロフキンやダニエル・ジェイコブスはカネロ戦以外は村田以下)。

経済原理だけでミドル級を考えると(それがプロボクシングですが)カネロvs村田が世界最高のメガファイトです。

そして、軽量級では井上や井岡はファン・フランシスコ・エストラーダの何倍も稼ぎ、100万ドルプレイヤーのレオ・サンタクルスやアブネル・マレスも亀田興毅の足元にも及びません。軽量級の本場が日本であることは、幼稚な井上信者でも否定できないでしょう。

ゲート収入は知れています。平均5000円の席料で1万人集めても5000万円。グッズ収入の利益など知れています。

テレビ放映権も、軽量級史上最高の「辰吉vs薬師寺」で「(当時のスポーツコンテンツの王様)巨人戦に近い」という推定1億円でした。現在は数千万円が関の山です。地上波でも1000万が大台です。というか地上波テレビがつくなんてボクシング世界戦では今やレアケースになっていまいました。

日本ではここまで、です。放映権料が破格の亀田兄弟でも、ファイトマネーはせいぜい1億円でした。

では米国は何が違うのか?

基本的には同じですが、テレビ局が「ボクシング予算」を潤沢に持っていた時代がありました。このボクシング予算とスポンサーによって、人気の中重量級では報酬100万ドルを約束することが可能でした。

では、100万ドルで済まないHBOやショウタイムの年間予算もふっとぶファイトマネーを要求するパックメイのような守銭奴にはどう対応するのか?

やつらにはボクシング予算はほとんど裂きません。1件80ドル前後のPPVを売り出し、歩合で支払うのです。

これこそが「本来」でじゃないビジネスモデルです。ゲート収入は席料が破格のパックメイでもせいぜい1000万ドル前後ですが、PPVなら20万件販売で1600万ドル。100万セールスなら8000万ドルです。

先日のパッキャオvsサーマンは50万セールス4000万ドルを売り上げました。ここにゲート収入(この興行はカジノ開催なのでプロモーターに入るのはMGMの招致フィー1200万ドル)やテカテビールなどの細かい100万ドル単位のスポンサー収入や世界放映権などが加算され、興行規模は6000万〜7000万ドルに達した模様です。

このPPVシステムはその前身のクローズドサーキットも含めて「マニアの囲い込みで長期的には産業の衰退に直結する」という通りの事態になって、ボクシングはマイナースポーツに転がり落ちました。

それでも「ゴルフやテニスのようにスポンサーが莫大なサポートをしているスポーツではなく、パッキャオを見たいファンが身銭を切っている、本当は健康的なビジネスモデル」という詭弁も弄されてきました。

確かに親会社が損失を補填して生きながらえてきたプロ野球は不健康かもしれませんが、一般ファンを遮断するPPVが擁護されるわけがありません。

アジア人の軽量級の井上が目ぼしい相手が1人もいないマイナー階級で無双して、米国に需要が勃興するわけがありません。

米国のファンがWBSSを無視したのは、そもそも馴染みのないマイナー階級だからです。さらに高額賞金も、パックメイやカネロをよく知っている彼らからしたら驚くべき数字ではなかったでしょう。

日本の一部馬鹿メディアや井上信者があっさり騙された原因は、WBSSの胡散臭い立ち上げ宣言に対して「やっぱり来たかー!!!」という妄想の具現化を見たからでしょう。実際は具現などしてないのですが。

「黄金のバンタム」を誤解し、軽量級でもラスベガスや世界に需要があると妄想した井上信者や日本のボクシングファン、メディアはWBSSには格好のカモでした。
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立ち上げから胡散臭さが充満していたWBSSですが、ついに選手陣営から訴訟を起こされる事態になりました。

米国ではWBSSの関心は低く、主催者側が「大成功」と胸を張ったファーストシーズンですらテレビ放送はなくメディアの取り上げ方も最小限にとどまりました。

これには明確な理由があります。

WBSSが主に米国で不人気の階級を狙った〝貧困ビジネス〟トーナメントだったということです。

不人気階級で開催されるトーナメントですから米国ファンが関心を持つはずがありません。また、耳を疑う高額賞金も米国ファンからしたら「大手テレビやPPVもつかないのにどうやってカネが集まるのだろう?」と冷ややかな目で見ていました。

WBSSは「コモサグループが有力な出資者をすでに集めたから賞金の不安は全くない」と言い始めます。

つまり、賞金の主な出処は出資者からの投資だというのです。出資する人たちクルーザー級やバンタム級など世界的に全く需要のないクラスでどれほどのファンが注目すると見込んで、おカネを出したのでしょうか?

こうした「出資者」が出処の怪しい賞金トーナメントは過去にもありました。「サウジアラビアの王家がパッキャオvsカーンを誘致する(数年前の話で直近のものとは違います)」というもの。ボブ・アラムは「カネを出すというヤツほどカネを持っていないか、結局は出さない」と、パッキャオの独立騒動にまで発展した一件を意に介しませんでした。

もしかしたら、WBSS出場選手の中で唯一の例外、井上尚弥にはきちんと報酬が支払われいるのかもしれません。

WBSSの出場選手は全てがマイナー階級で、バンタムに至っては井上を除く選手が自国でも人気のない興行の打てないマイナープロです。

日本では井上信者をじはじめメディアまでもが「高額賞金トーナメント」と騒ぎ立てましたが、その内実はWBAやWBCのど腐敗承認団体と同じ「承認ライセンスビジネス」です。

承認団体は興行の売上の一部を掠め取る寄生虫ですが、WBSSがたちが悪いのは自分たちが賞金を支払うと主張したことです。

実際にはWBSSも「承認団体」ですから承認料という名目かライセンス料という名目かわかりませんが、興行収入の一部を掠め取っています。

モハメド・アリ杯もWBCベルトなどと同じように選手サイドの買取でしょう。

前にも書きましたが、これがパックメイやカネロを騙すのならまだいいです(良くはないですが)。それなら鼠小僧的です。

マイナー階級のマイナーボクサーを狙い撃ちにしたのが、どうしても許せません。

実は熱戦の横浜スタジアムからですが、続きます。

①ボクシングビジネスのおさらい

②なぜ貧困マイナーボクサーと日本人は騙されるのか?

③これから何ができるのか?
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【Breaking News=速報・続報更新】WBSSジュニアウェルター級トーナメント決勝に駒を進めていたレジス・プログレイスとプロモーターのディベラ・エンタメイメント(DBE)がWBSSを主催するコモサグループをニュージャージー州裁判所に共同で訴えました。

同じトーネメントに参加していたイヴァン・バランチェクが「報酬が振り込まれない」、ノニト・ドネアも「もう待てない」と離脱を表明したときは「私は何の問題もない。報酬も約束の金額が期日までに振り込まれている。素晴らしいトーナメントでこのクラスを統一したい」と語っていたプログレイスでしたが「やつらから『トーナメントが無くなれば階級統一できなくなるぞ』と依願されて言わされていた」と撤回。

訴状の内容は明らかになっていませんが、DBEは「契約の報酬は支払われていないし、期日も遅れる。試合の日程も同じだ。しかも何の事前説明もない。こうしたことが何度も何度も繰り返された。他にも数え切れない契約を彼らは裏切り、選手の情熱を弄んだ。もう我慢の限界」と裁判に持ち込んだ理由をリリース。

さらにDBEは「WBSSは報酬や試合日程については一切口外しないことと高額の違約金で守秘義務を突きつけていたが、それは最初から騙すつもりだったから。 トーナメントの離脱も重大な怪我でなければ受け入れないとやはり違約金を突きつけていたが、おかしなことも起きた」。

おかしなことは、おそらくはゾラニ・テテの離脱。「怪我は最悪ではないが100%でないとドネアとは戦えない」とバンタム級準決勝を離脱。

テテは「本当に怪我をして練習もできない」と語っていますが、周囲は「WBSSによってようやくまともな報酬が手に出来る期待していたのに、約束からは信じられないほど少ない金額が大幅に遅れて振り込まれた。神戸で戦った方が高額だった。WBSSではまともな精神状態で戦えない」と語っていると伝えています。

テテの離脱で可能性が高まったのが、ドネアの決勝進出と「日本で井上尚弥と決勝」。バンタム級は世界的には超のつく不人気階級で大きな試合は期待できません。

しかし、日本では違います。WBSSにとって、ライセンス料がたっぷり見込めるビッグイベントです。

おそらく、WBSSは診断書を精査することもなくテテの欠場を大歓迎したはずです。「不人気のバンタムでも不人気のテテを厄払いできた!」ってとこですね。

DBEは「早急に事態が好転しなければ、ジョシュ・テイラーとの決勝は辞退する」とも発表。

しかし、トーナメント離脱は法外な違約金が発生するといわれており、強気の姿勢だったバランチェクも「世の中は正しい人ではなく、契約を持っている奴が強い」と最終的にはリングにしぶしぶ上がりました。

それでもディベラは「裁判には勝てる。万一負けたら違約金を額面通りでなく何桁も違う少額で、しかも期日を遅れて支払ってやるさ」と怒りが収まりません。

ESPNが独自に入手した訴状では、プログレイスの報酬は「準準決勝で賞金50万ドル+ボーナス50万ドル、準決勝で60万ドル+60万ドル」が約束されていたようです。

ニュース記事にコメントを書き込んだ「ディベラの知人」は「決勝は70万ドル+130万ドル=200万ドルと素晴らしい報酬が約束されているが、奴らは絶対に支払わない。もう誰も信じることはできない」。ディベラが口にしたら高額違約金ですから、賢いやり方です。

自分の口で話せないのはもどかしいでしょうが。腹話術で人形に話させればいいかもしれません。「これは俺じゃないディベラ人形とプログレイス人形が勝手に話してるんだ」と。

世間もボクシングファンもディベラ人形とプログレイス人形の味方です!



▶︎▶︎▶︎今回の裁判沙汰で11月の井上vsドネアへの影響が心配されますが、予定通りに実施されるはずです。

もし、日本でなく米国開催だったなら最悪のケース、興行の差し止めも考えられましたが、ニュージャージーのこのレベルの民事司法判断がさいたまには及ぶわけがありません。何よりもまだ訴訟したばかりです。

最高の結果は「WBSSが詐欺行為によって活動停止」に追い込まれることです。そうなると井上vsドネアは大橋ボクシングジムのプロモートで開催。

WBSSに高額のライセンス料などを支払うことなく、井上とドネアの報酬に反映させることです。もちろん、テイラーvsプグレイスの代役の詐欺トーナメント決勝の抱き合わせなんて拒絶です。

モハメド・アリ杯も要りません。
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メガファイトが決まるとリング誌やESPNなど多くのメディアが両者の戦力比較や専門家予想、戦略(勝利へのカギ)などを特集します。

マニー・パッキャオやカネロ・アルバレスの試合ともなるとリング誌なら40ページを超える大特集を組み、ESPNでは専門コーナーが開設されることもあります。

しかし、軽量級では扱いは全く変わってきます。例えば井上尚弥vsエマヌエル・ロドリゲスは「事実上のバンタム最強決定戦」という見方もされましたが、最近ならホセ・ラミレスvsモーリス・フッカーの方が扱いは遥かに大きく、ノンタイトルのテオフィモ・ロペスvs中谷正義よりもはっきりと下でした。

PFPランキングで急上昇中の井上尚弥は、まさに7年前のドネアと同じ軽量級としては破格に強烈な印象を残していますが、ドネアやロマゴンがそうであったように今回も大きくは扱われないでしょう。

それでも私にとってはラミレスvsフッカーなんかより10倍魅惑的なファイトです。

というわけで勝手にやります!
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「リング誌のカバー」の勝負ではドネアに勝ち目はありません。井上は8ヶ月間で単独カバーを2度。ドネアはその19年に及ぶキャリアで集合カバーを飾ったのがたったの一度。この事実からも軽量級がいかに軽んじられているかを如実に読み取ることができます。

井上を上回るPFP1位のロマゴンも単独カバー経験は一度もありませんでした。井上と2人を隔てているのは経済大国で生まれたかどうか、それだけです。

もちろん、経済大国に生まれなくても年に何度も単独カバーを飾っていた本物の怪物もいますが、それはまた別の話です。=画像真ん中のセピア色の表紙の左上が
ドネア。年間最高選手に輝いた2012年4月号がドネア唯一のカバー登場でした



HEAD TO HEAD 
 
まずはバンタム級、新旧最強ボクサーのスペックです。
        
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 井上尚弥26オーソドックスMonster165㎝171㎝ 
 ノニト・ドネア36オーソドックスThe Filipino Flash171㎝173㎝ 
        
両者とも頭をひっつけて手数と回転力を競う接近戦は好まず、中間距離で距離を探り合う展開から一撃強打の照準をキリキリろ合わせていくタイプです。

その意味では似た者同士です。

ドネアが身長で6㎝、リーチで2㎝上回っています。ドネアが自分よりも小さな相手に圧倒的なパフォーマンスを見せることが心配ですが、井上もまたヨワン・ボワイヨ(171㎝/176㎝)、ジェイミー・マクドネル(176㎝/182㎝)、ファン・カルロス・パヤノ(165㎝/164㎝)、ロドリゲス(168㎝/169㎝)と同じ身長のパヤノを除いて直近5戦中4試合で自分より大きな相手を圧倒してきました。

両者に体格差はあるものの、ドネアがジャバーではないだけに「井上がどうやって懐に入るか?」という戦いにはなりません。

高性能の戦艦が互いの主砲をかざしながら、いつそれをぶっ放すのか。緊張感あふれる立ち上がりになりそうです。



Quality Opponent
そして、過去の対戦相手の質です。
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一発殿堂クラス=両者のキャリアで、このレベルの相手は見つかりません。


殿堂クラス=ドネアはフライ級王者時代のビックダルチニアンから戦慄のKO劇で勝利を収めていますが、ダルチニアンの全盛期はジュニアバンタム。115ポンドでの対決はメディアもファンも熱望しましたが、実現せず。

ドネアのジュニアバンタムは暫定タイトルで、もしダルチニアンに3団体統一王者だったダルチニアンに勝っていれば5階級制覇でしたから残念でした(日本ではなぜか「5階級制覇」と語られていますが世界的には間違いです)。

井上の対戦相手ではこのクラスも1人もいません。


現役のPFPファイター=ドネアはダルチニアンを除くと、フェルナンド・モンティエル(リング誌・ESPNともに8位)に圧勝。ESPNで次点グループで控えていた〝準PFP〟ニコラス・ウォータースとも対戦していますが、階級の壁とアックスマンの身体能力に粉砕されてしまいました。

また、過去のPFPファイターでは2016年の年間最高選手カール・フランプトンと昨年、WBO暫定フェザー級王座を争いましたが、ここも完敗。

「未来のPFP」では自分に勝利してランクインしたギレルモ・リゴンドーがいます。

一方、井上のリストには「過去のPFPファイター」「過去の予備軍」まで広げても1人も見当たりません。



▶︎▶︎▶︎ここまで両者のQuality Opponentに圧倒的な差があると「ドネア有利」と見るのが常識ですが、ドネアは完全に黄昏時を迎えたレジェンドで、井上は今がプライムタイム。

リゴンドーに敗れてからWBSS参戦までの11戦は7勝4敗。リゴンドーは別格にしてもウォータース、ジェシー・マグダレノ、フランプトンときっちり負けています。

そして、ドネアがさいたまスーパーアリーナのリングに上がる11月7日、その9日後にフィリピーノフラッシュは37歳の誕生日を迎えます。



Fight Plan

井上の戦い方は、ロドリゲス戦から大きな変更はないでしょう。第1ラウンドは相手の出方を見ながら慎重に入るはずです。

井上にとって間違いなくはっきりしていることは「ドネアはキャリア最強ではないかもしれないが、キャリア最強のパンチャーである」という一点です。

とにかくドネアの左フックにつなげるコンビーネーション、あるいは展開の中で刺してくる右ストレート。このタイミングと軌道を把握するまでリスクを犯す必要は何もありません。

微妙なラウンドは井上に流れるはずですから(実際にはそうでなくても)拮抗した展開が深まって焦るのはドネアの方です。

井上はドネアの動きをじっくり見極めながら時間が使えます。勝ち急ぐドネアが早い段階でミスを犯すことも十分考えられます。そうなればあっけない結末が訪れるでしょう。

この試合がどういう展開になるかは、8割方ドネアの戦略にかかっています。井上の様子見のクルージングに付き合うのか、それともロドリゲスのように仕掛けるのか。

ドネアは、ロドリゲス戦のリングサイドで井上の圧勝を笑っていました。その笑顔が「強いなあ」という呆れ果てた賞賛なのか「欠点がある」と勝機を見つけた余裕なのかはわかりません。

ただ、1ラウンド途中でロドリゲスの前進に井上がロープに詰まると「あんなので下がっちゃうのか」と口にしました。

そして、リングに呼ばれる前には「短い試合だったけど井上にはいくつか欠点があることがあらためてわかった」と以前から研究していた気づきが正解だったと手応えまで語っていました。

とはいえ、ロドリゲスのように初回から仕掛けるとは考え難く、微妙なラウンドを失う覚悟で試合を中盤から終盤まで引っ張るのではないでしょうか。

ドネアの脅威はパンチ力だけではありません。今の井上が何重にも重ね着している〝魔法のガウン〟はドネアには何の効力もありません。

試合前から、これでもかと散々威圧したキース・サーマンを全く意に介さなかったアジアの伝説と同様に、ドネアも井上に萎縮することは考えられません。

しかし、井上は故障明けのサーマンとは違います。そして、ドネアもまたパッキャオの次元とは程遠いレベルです。

劣化が明らかな36歳のドネアがフェザー級から2階級落としたバンタム、そのトップでどこまで戦えるのか?

WBSSの2試合はバーネットがまさかの負傷、ゾラニ・テテの代役ステフォン・ヤングは保証書付きの雑魚。この疑問に、ドネアはまだ答えていません。

88日後、私たちは「リング誌のカバー対決」と同じ圧勝劇を現実でも見ることができるかもしれません。
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21世紀に入ってからの日本ボクシングで最高峰の戦いが11月7日にセットされました。

WBSSバンタム級トーナメント決勝。IBF王者の井上尚弥とノニト・ドネアがさいたまスーパーアリーナで激突します。

世界的な注目度や試合報酬となるとミドル級の村田諒太の後塵を拝している井上ですが、世界評価となると風向きが変わってきます。

PFPで日本史上最高位の4位。村田をはじめ他の日本人ボクサーを大きく引き離し、ローマン・ゴンザレス以来、軽量級史上2人目のPFP1位も視野に捉えています。

興行規模でも村田と亀田の試合を除いて、21世紀で最大スケールになるのは間違いありません。

ウィリアム・ヒルのオッズは井上1.03倍、ドネア11倍。軽量級への関心度が低い英国のブックメーカーの数字は試合直前までほとんど動きはないでしょう。

しかし、具志堅用高に魅せられて以来「軽量級は絶対に面白い」と確信して40年。私には、あと3カ月も黙って待つことなどできません。

今夜からゴングの鳴る11月7日まで、ドネアの出身地ボホール島タリボンから4000㎞、井上が生まれた座間から15㎞離れた横浜のウサギ小屋から熱い想いを間歇的に沸騰させて参ります。
 

今夜のお題は「軽量級とPFP」。

日本を例外にすると発展途上国でメインストリームの軽量級は、パックメイのような豪華絢爛とは無縁です。

しかし、軽量級ボクサーにとってPFPに代表される世界評価は劣悪な報酬や注目度の低さの鬱憤を晴らす数少ない舞台装置です。

具志堅用高から入り、シュガー・レイ・レナードを見て世界のボクシングに引きずり込まれた私にとってリング誌のPFPランキングは「世界に軽量級が認められている」と実感できる唯一の指標でした。

リング誌の存在を知ったのがいつだったか。はっきり思い出せませんが、大学図書館で初めて実物を手にしたことは今でもよく覚えています。

「これがリング誌か」と意味もなく感動してしまいました。

今年からリストラ的に廃止されたと思われる BEST FIGHTER POLL (「リング誌認定年間PFP」と訳して差し支えありません)が当時は特集的に紹介され、食い入るように読んでいました。
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マイク・タイソンにフリオ・セサール・チャベス、イベンダー・ホリフィールド…日本のボクシングファンの皮膚感覚では仮想現実なビッグネームが刻印される中でジェフ・フェネック(5位)やアズマー・ネルソン(7位)、そして張正九(Jung-Koo Chang=8位)の名前を目にしたときの嬉しさたるや、今でも思い出すことができます。

〝プロフェッサー〟ネルソンは日本人との対戦はないものの、フェザー→ジュニアライトの2階級制覇。日本では中量級と見られるかもしれませんが、世界的には軽量級の誉れです。

そして、当時世界最速の18戦で3階級制覇を果たした〝マリックビルの惨殺者〟フェネックが、最初のタイトル(IBFバンタム)を獲得したのは新垣諭からでした。

さらに張正九については、もはや何かを語る必要はないでしょう。彼は日本のボクシングファンにとっては悪夢でした。

150年に1人の天才、大橋秀行が2度もTKOに散らされたコリアン・ホーク。私たちは「大橋が150年に1人なら張は500年に1人くらいの天才かな」とひねくれるしかありませんでした。

ローマン・ゴンザレスや内山高志、山中慎介、井上尚弥、シーサケット・ソールンビサイ、ドニー・ニエテス…近年、続々とPFP入りするアジアの軽量級(欧米ではジュニアライトは完全に軽量級)の背景について「インターネットの登場で欧米にとって暗黒階級だった軽量級に光が当てられた」というのは、ある意味正しく、ある意味間違いです。

強豪を打ち負かした張正九(最高位:1998年8位)やカオサイ・ギャラクシー(1991年8位)、ユーリ・アルバチャコフ(1996年10位)らはアジアの軽量級でもしっかり評価されてきたのです。


しかし、日本人にとってリング誌の BEST FIGHTER POLL は分厚く重い扉であり続けました。リング誌は電子版で随時、PFP10傑を更新していますがここでも日本人ボクサーは歯牙にもかけられない時代が続きました。

それでも、2010年前後に長谷川穂積と西岡利晃が リング誌ではありませんが、boxing scene.com (井上を現在2位評価しているサイト)で共に最高位8位まで進出したことで潮目が変わり始めます。

年間PFPのBEST FIGHTER POLL ではありませんが、2015年に現在井上が4位にランクされるリング誌の電子版で内山高志と山中慎介が雪崩打って10傑入り。
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日本人スラッガー2人が、ついにその扉をこじ開けたのです。=画像左/リング誌2015年12月号=

しかし…2016年に内山が伏兵ジェスレル・コラレスの速攻にあっけなく崩れてしまいPFPから陥落。

それでも翌2017には井上尚弥が10位にランクイン、リング誌PFPは再び日本人2人体制となります。=画像右/2017年11月号=

この年8月15日山中はルイス・ネリのやはり速攻に為す術もなくストップされ、ここから井上の一人旅が始まりました。

残念ながら、このタイミングで40年近くも続いたBEST FIGHTER POLL はリング誌の経営難とリストラのために今年から消滅してしまいましたが、井上は2017年度で日本ボクシング史上初のランクイン(6位)を果たしています。

一方で、昨年からリング誌のFighter of the Year(年間最高選手)のベルトが復活。昨年はワシル・ロマチェンコ、今年はオレクサンダー・ウシクに贈られました。

Fighter of the Year(年間最高選手)は各メディアが発表する最も名誉があるアウォードです。

中でもリング誌とESPN、そしてBWAA(全米ボクシング記者協会)が3大Fighter of the Year。

もちろん、この3つで最も権威があるのが歴史こそリング誌に負けるものの、BWAAの「シュガー・レイ・ロビンソン賞」で誰も異論はありません。

前述のboxing scene.com は2014年に井上を選出、日本の軽量級選手への溺愛ぶりをあらためて見せてくれました。

もし、井上がファイティング原田もエデル・ジョフレも手に入れることが出来なかったリング誌のFighter of the Yearを獲得すると、とんでもない快挙です。

さらに、シュガー・レイ・ロビンソン賞を獲得するようなことがあれば、これは大偉業です。

今の世界の日本人ボクサーへの評価、潮流を見るとドネアに勝てば、十分にありえます。

世界のボクシングファンからは複雑な視線を集めてしまいそうですが…。 
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「日本かラスベガスで試合をするのが夢だった」(フェルナンド・モンティエル)。

欧米で関心の低い軽量級ボクサーにとって、高額のファイトマネーが期待できるリングはアメリカか日本に限定されています。

しかし「高額」といっても100億円単位の報酬を分け合ったメイウェザーやパッキャオと、報酬という点においては軽量級ボクサーは同じ惑星に住んでいません。 

軽量級ボクサーがまともに1億円のファイトマネーを獲得することは、まずありえません。

21世紀になってからではフェザー級でナジーム・ハメドやマルコ・アントニオ・バレラ、エリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケス、マニー・パッキャオ、レオ・サンタクルス、アブネル・マレス、カール・フランプトン、がまともな100万ドルをマークしていますが、この20年で8人しかいないのです。

このメンバーを見ると、パッキャオを例外にしてメキシカンか英国の人気者であることがわかります。そのパッキャオにしても、最初のステイタスは「メキシカン殺し」で築きました。フランプトンもサンタクルス戦で100万ドルをゲットしたことを考えると、メキシコのスター絡みです。
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井上vsドネア!日本開催ならビッグイベントですが、WBSSが理不尽なまでに高額の〝承認料〟を要求していることが大きな障害になっています。

ノニト・ドネアは、トップランクとゴールデンボーイプロモーションズの綱引きからギレルモ・リゴンドー戦で132万ドルを手にしましたが、この試合はニューヨークの小さなミュージックホールで開催、完全な赤字興行でした。

WBSSの日本開催で、優勝賞金について「当初の1000万ドルから(巷間言われてる)400万ドルにスケールダウンしたのか?」と聞かれたカレ・ザウアラントが「400!そうかもしれない。それがドルか円かはわからないが」とケムに巻ました。

まさか「円」はない、とそのときは誰もが思いましたが 。もしかしたら円ですらなかったのかもしれません。

パッキャオvsサーマンのメガイベントの前座をつとめたファン・カルロス・パヤノの報酬は2万5000ドルでした。井上の拳に70秒で失神したあの試合では1万5000ドルだったと言われています。

1年前に戻れたら、パヤノはWBSSには出ていなかったでしょう。 

絶望的に不人気のエマヌエル・ロドリゲスやゾラニ・テテらに至っては、パヤノ並みかそれ以下の報酬でしょう。

テテは「大した怪我ではないが、偉大なドネアと戦うには100%ではない」とWBSSの主催者に診断書を提出しました。

「テテは怪我なんてしてない」 と当初から言われてましたが、真意は定かではありません。

しかし「WBSSが提示した最初の待遇とはかけ離れてる」ことが受け入れ難くなったのは明らかです。

昨日発表された「内山高志presents KNOCK OUT DYNAMAITE 賞金マッチトーナメント」もWBSSと同じ賞金トーナメントです。

もし、このトーナメントで「優勝賞金50万円」とされた額が支払われなかったら、どうでしょうか?支払われても5万円以下だったら?

そもそも試合が終わっていつまでたってもファイトマネーが振り込まれなかったら?

さらに「来年1月に決勝」と発表してるのに、主催者から何の説明もないまま、その1月も過ぎたら?

内山が関わる以上そんなことはしないと思いますが、それを平然とやっているのがWBSSです。

姑息で周到な契約から詐欺罪こそ成立しないかもしれませんが、十分に詐欺「的」であることはもはや誰の目にも明らかです。
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井上尚弥vsノニト・ドネアのWBSSバンタム級トーナメントの決勝日時がいまだに決まりません。

WBSSの経済的な基盤が破綻していて、運営能力も機能不全寸前なのは誰の目にも明らかです。

もはや「大揺れのWBSS」なんて表現は適当じゃないことに気づきます。

最初は揺れてなかったものが、揺れたんじゃありません。 

最初から揺れまくってたのです。

2017年、クルーザー級とスーパーミドル級のファーストシーズンがスタートした〝階級最強トーナメント〟WBSSは「賞金総額5000万ドル、優勝賞金1000万ドル」と大風呂敷を広げます。

これが事実なら、世界中のボクサーで参戦を見送るのはカネロ・アルバレスとマニー・パッキャオの2人だけです。

ウシクは、それまで10万ドルも獲得したことがない不人気のクルーザー級の実力者でしたから、二つ返事で参戦します。準決勝のマイリス・ブリエディス戦でファイトマネーは80万ドル、ムラト・ガシエフとの決勝では200万ドルと報道されましたが、米国の統括州のコミッションが課税対象として発表されるような信ぴょう性のある数字ではありません。

いずれにせよ「5000万ドルと1000万ドル」はファーストシーズンでついに支払われることがなかったのは間違いありません。

まず最初に「高額賞金トーナメント」と報道が先走ったこともあり、選手への質問も「本当に何百万ドルも受け取ったのか?」という質問が集中しましたが、どの選手も「契約の問題だから」と口を閉ざします。

おそらく契約書には「賞金総額は最高5000万ドル、優勝賞金は最高1000万ドル」と記載されていたのでしょう。そして、報酬については厳格な守秘義務が約束、破った場合のペナルティこそが高額だったのでしょう。

そして、ジュニアライト級とバンタム級、再びのクルーザー級でシーズン2が立ち上がった時点で多くの人が気づきます。

米国で人気のない階級の、低報酬ボクサーを言葉巧みに誘う詐欺商法だったのかと。

報酬の嘘と、トーナメントを離脱させない契約ががんじがらめだったことはジュニアウェルター級のイバン・バランチェックが撤退を宣言したことで明らかになります。

「報酬が約束の金額よりも遥かに低い。そもそも報酬が振り込まれない。こんなトーナメントで戦うのはもう限界だ」。

しかし、主催者サイドのカレ・ザウアーラントは「報酬に不満があるという理由での離脱はありえない」と笑い飛ばします。

離脱したら高額の違約金が発生する契約なのでしょう。

報酬金額の守秘義務を破ったり、離脱した場合の高額ペナルティ。なるほどWBSSは高額ペナルティ トーナメントだったわけです。

悪意のある詐欺と決めつけるのは厳しい見方かもしれませんが、不人気階級でそんなにスポンサーが集まるならHBOは潰れません。

「騙すつもりなんて全くない。想定外にスポンサーが集まらなかった」(ザウアラント)なんて言い訳です。
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井上尚弥と米国のレジス・プログレイスを例外にして、WBSSに参加した貧乏ボクサーにとって年2試合出来るかどうかのスケジュールは生活費に直面します。

「賞金に不満はない。日程をきちんとセットしてくれ」と訴えたドネアにしても「報酬が約束と違うことは珍しいことではない」ともらしています。

井上にしても今がプライムタイムです。もしかしたら、貧乏ボクサーが経済的打撃を受けていることよりも、日本のPFPファイターが無駄に時間を消失していることの方が深刻な事態なのかもしれません。 

そして、不人気階級・貧乏ボクサーの代表格ゾラニ・テテが決断するのです。 
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