井上尚弥vsノニト・ドネアのWBSSバンタム級トーナメントの決勝日時がいまだに決まりません。

WBSSの経済的な基盤が破綻していて、運営能力も機能不全寸前なのは誰の目にも明らかです。

もはや「大揺れのWBSS」なんて表現は適当じゃないことに気づきます。

最初は揺れてなかったものが、揺れたんじゃありません。 

最初から揺れまくってたのです。

2017年、クルーザー級とスーパーミドル級のファーストシーズンがスタートした〝階級最強トーナメント〟WBSSは「賞金総額5000万ドル、優勝賞金1000万ドル」と大風呂敷を広げます。

これが事実なら、世界中のボクサーで参戦を見送るのはカネロ・アルバレスとマニー・パッキャオの2人だけです。

ウシクは、それまで10万ドルも獲得したことがない不人気のクルーザー級の実力者でしたから、二つ返事で参戦します。準決勝のマイリス・ブリエディス戦でファイトマネーは80万ドル、ムラト・ガシエフとの決勝では200万ドルと報道されましたが、米国の統括州のコミッションが課税対象として発表されるような信ぴょう性のある数字ではありません。

いずれにせよ「5000万ドルと1000万ドル」はファーストシーズンでついに支払われることがなかったのは間違いありません。

まず最初に「高額賞金トーナメント」と報道が先走ったこともあり、選手への質問も「本当に何百万ドルも受け取ったのか?」という質問が集中しましたが、どの選手も「契約の問題だから」と口を閉ざします。

おそらく契約書には「賞金総額は最高5000万ドル、優勝賞金は最高1000万ドル」と記載されていたのでしょう。そして、報酬については厳格な守秘義務が約束、破った場合のペナルティこそが高額だったのでしょう。

そして、ジュニアライト級とバンタム級、再びのクルーザー級でシーズン2が立ち上がった時点で多くの人が気づきます。

米国で人気のない階級の、低報酬ボクサーを言葉巧みに誘う詐欺商法だったのかと。

報酬の嘘と、トーナメントを離脱させない契約ががんじがらめだったことはジュニアウェルター級のイバン・バランチェックが撤退を宣言したことで明らかになります。

「報酬が約束の金額よりも遥かに低い。そもそも報酬が振り込まれない。こんなトーナメントで戦うのはもう限界だ」。

しかし、主催者サイドのカレ・ザウアーラントは「報酬に不満があるという理由での離脱はありえない」と笑い飛ばします。

離脱したら高額の違約金が発生する契約なのでしょう。

報酬金額の守秘義務を破ったり、離脱した場合の高額ペナルティ。なるほどWBSSは高額ペナルティ トーナメントだったわけです。

悪意のある詐欺と決めつけるのは厳しい見方かもしれませんが、不人気階級でそんなにスポンサーが集まるならHBOは潰れません。

「騙すつもりなんて全くない。想定外にスポンサーが集まらなかった」(ザウアラント)なんて言い訳です。
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井上尚弥と米国のレジス・プログレイスを例外にして、WBSSに参加した貧乏ボクサーにとって年2試合出来るかどうかのスケジュールは生活費に直面します。

「賞金に不満はない。日程をきちんとセットしてくれ」と訴えたドネアにしても「報酬が約束と違うことは珍しいことではない」ともらしています。

井上にしても今がプライムタイムです。もしかしたら、貧乏ボクサーが経済的打撃を受けていることよりも、日本のPFPファイターが無駄に時間を消失していることの方が深刻な事態なのかもしれません。 

そして、不人気階級・貧乏ボクサーの代表格ゾラニ・テテが決断するのです。