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ついに1ヶ月を切りました。

軽量級では稀に見る「世代の対決〜Battle of Age」。古今東西、世代の対決のテーマはたった一つ。

その対決は早すぎたのか?それとも遅すぎたのか?

しかし、今回の戦いではその答えに迷う人は一人もいないでしょう。


ノニト・ドネアは井上尚弥と戦うには遅すぎた。


井上はキャリア18戦のうち15試合がタイトルマッチ、13試合が世界戦です。そして「強豪との対戦がない」という批判も、わずか18試合というキャリアを鑑みれば仕方がないところもあります。

それでも、リング誌とESPNでPFP4位という評価が軽量級やアジアに疎い欧米のファンから「井上って誰に勝ったの?」という声が上がるのは当然です。

欧米、特に米国目線のボクシング産業において軽量級はお荷物です。

リング誌の軽量級の扱いは文字どおり軽微で、英国ボクシングニューズ誌に至ってはフライ、バンタムなんて階級はこの世にないんじゃないかという号もあります。

ESPNの階級ランキングも、ストローとジュニアフライ級については5位までしか発表していません。

それでも、現在ではリング誌はジュニアフェザー以下でも10位まで、ESPNもフライ〜ジュニアフェザーは10位まで発表するようになりました。

そうなのです。欧米目線のボクシング産業にとって軽量級はないがしろにされ続けています。

井上を上回るPFP3位まで登りつめたドネアがリング誌の表紙を飾ることはまずありませんでした。単独カバーなど一度もありません。2年連続でPFPキングになったローマン・ゴンザレスでさえ、表紙に登場したのが2度だけ、単独カバーはありません。

どうして、井上は半年で2度も単独カバーしたのでしょうか?世界的な認知度で井上がドネアやロマゴンを上回っているとは到底思えません。

もちろん、井上には何の責任もありません。ボクシング界で最も権威のある専門誌を単独カバーしたのですから最高の名誉です。

この雑誌の長年の愛読者である私も喜んでいますが、日本で報道されているように「表紙になって井上はすごい」と素直に評価されていない側面があるのも確かです。

おかしな単独カバーを言い出したら、エイドリアン・ブローナーやダニー・ガルシアなどPFPにかすりもしない多くの輩もリング誌を飾りました。

PFPでもノーベル賞でも、それが人間が決める限り様々な有形無形のバイアスがかかるのは当然で、いわんやリング誌の表紙など当然です。

ブローナーのように米国で注目度の高いボクサー、井上のようにジャパンマネーの匂いのするボクサーに擦り寄るのは承認団体だけではありません。


11月7日。井上は絶対に勝たねばなりません。何が何でも。

これは、本当に割の合わない仕事です。チケットは完売状態、日本での注目度も内藤大助vs亀田興毅には及ばないまでも相当な熱度になるはずです。

井上の報酬もキャリア最高になるでしょうが、評価ではハイリスクローリターンです。逆にドネアはローリスクハイリターン。

WBSSトーナメントが立ち上がったとき、優勝確率50倍をつけられたアンダードッグに失うものはありません。失うものがないくせに、ドネアは深い経験と高い矜持を持っているのです。

ドネアのキャリアを振り返る続きを書くはずでしたが、脱線してしまいました。

今年最大級の大番狂わせが起きない限り、WBSSトーナメント優勝で、ドネアの持つWBAファーストタイトルを吸収し二団体王者になると共に、モハメド・アリ杯も贈られます(正確には購入するのでしょうが)。アリ杯、ヘビー級ならわかるのですが、どうも腑に落ちませんが、もらえるものはもらいましょう!ユニークな形状の巨大なトロフィーで、どこかで公開してほしいです。

そして、もう一つもらえるものがあります。正確には、買わされるのですが、間違いなく。
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「WBC特製WBSS優勝ベルト」です。カラム・スミスが持っているのはWBAとWBC特製WBSS、リング誌のベルト。無料で贈られるのはリング誌だけです。この画像はボクシングニューズ誌から。

マウリシオ・スライマンは「WBCが正真正銘の王者にしか贈らないベルト。WBCがラインナップする世界王者ベルトの中で最も価値があるものの一つ」と、「ちょっと何言ってるのかわかんない」ベルトです。
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井上尚弥が「そこから見える風景を見たい」と憧憬するマニー・パッキャオを語るとき、史上唯一無二の8階級制覇や満場一致のPFPキングに何度も輝いたことを真っ先に挙げる人はいません。


オスカー・デラホーヤのメガファイト、その前座でリーロ・レジャバを粉砕して鮮烈な米国デビュー。

誰もが不可能と決めつけたPFP3位マルコ・アントニオ・バレラを、主審まで含めた360度完全敵地のアラモドームで圧倒したテキサスの決闘。

バレラ、エリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケス、どうしてメキシコの歴史的な強豪がここまで同時代に揃いも揃ったのか、神の配剤としか思えない幸運を満喫。

ボクシングファンが試合が成立したことに首を傾け、フィリピン国会では試合中止命令が議決されたデラホーヤ戦では、もはや人間の想像力を超えた理解不能の本物の怪物だったことを世界に告知。

そしてデラホーヤ戦から11年後、40歳を過ぎた今も「テレンス・クロフォードとエロール・スペンスは本当にパッキャオに勝てるか?」とまで囁かれる現在。

 


一方で井上は「世界評価の高さ」「圧倒的な勝ち方」で語られます。対戦相手の質の高さが語られることはありえません。
IMG_3107WBSSへの関心が非常に低い米国ですが、リング誌11月号では「11月7日にバンタム級決勝が日本で行われる」と2行だけ紹介されています。


その世界評価はリング誌とESPNでPFP4位。

かつて長谷川穂積や西岡利晃をランクインさせたBoxing Scene.com ではPFP2位で2014年の年間最高選手(アムナット・ムエンロンらと賞を争ったことからもBoxing Scene.comが特殊な視点を持つサイトだとよくわかります)まで獲得しています。


井上はリング誌の10年PFPで60年代5位のファイティング原田、70年代10位の具志堅用高に遅れは取るものの、特に最近の日本人ボクサーとしては内山高志と山中慎介を上回る屈指の高評価を集めています。

何よりもまだ26歳。強豪と戦う時間は十分残されています。

これまで、日本人にとって高く厚い壁だったリング誌PFPですが、井上に先立ち、内山と山中がリング誌PFP入りをしていることからも世界で2番目に歴史のあるボクシング専門誌の世界評価が日本に擦り寄って来ていることは明白です。

世界評価では現在の井上を凌駕するドネアやロマゴンが一度も単独カバーに採用しなかったリング誌ですが、井上は今年だけで2度も表紙を飾らせています。

これからも低くなる一方のリング誌PFPのハードルを越えていく日本人が、続々生まれることは、容易に想像できるでしょう。

すでに井岡一翔と田中恒成はウェイティングサークルに入っていますし、かつては田口良一も〝王手〟をかけていました。また来年、京口紘人vs拳史朗が実現すると勝者のPFP入りは間違いありません。

ただ、井上を筆頭に「誰に勝ったのか」という命題には、どのボクサーも沈黙してしまうのが悲しい現実です。

アドリアン・エルナンデスやオマール・ナルバエス、エマヌエル・ロドリゲスを完全に破壊した戴冠劇が圧倒的だったことに異論はありませんが、彼らを含めて井上の対戦相手には一発殿堂クラスのグレートはもちろんPFPファイターすらも見当たりません。


もっと条件を緩和してPFP予備軍や元PFPまで広げても、やはり誰も見当たりません。

今回対決するドネアで、ようやく元PFP(7年前)と拳を交えることになります。

ドネアが世界初挑戦でビック・ダルタニアンという軽量級にはあるまじき金鉱を掘り当てたのに対して、井上はいまだに浅い河川で石コロを集めているのが現実なのです。

もちろん、こんなの運です。運でしかありません。

井上が「強い奴と戦いたい」とどんなに希求しても、目の前にいないんですから。メキシカンにしても日本に来るようなショボいのしか、今の軽量級にはいないんですから。 

軽量級にもかかわらず一発殿堂確実のPFPファイターが3人(それも全員メキシコ人!)も雁首揃えて待っていたパッキャオの強運には呆れ果てるしかありません。

しかし、井上もかつて籍を置いていたジュニアバンタムにはシーサケット・ソールンビサイやファン・フランシスコ・エストラーダ、ドニー・ニエテスと小粒とはいえ3人もPFPファイターが揃っています。

井上信者は「彼らが逃げた」というかもしれませんが、現実には「減量が限界だった」ということです。

もし、シーサケットとエストラーダ、ニエテスの3人全員から接戦でも勝利を収めていたら、井上のPFP4位にケチをつける輩は1人もいなかったでしょう。

もちろん「井上は弱い相手にしか勝っていない」という批判には「誰に勝ったわけでもないオレクサンダー・ウシクもPFPなんだから、井上もいいんじゃね?」というロジックはありでしょう。

ただ、井上の評価はハリボテの虎です。「弱い相手を派手に転がしているだけ」のボクサーがのちの時代でも評価されることはありません。

井上と同じように弱い相手に圧倒的勝利を重ねていたゲンナディ・ゴロフキンが今朝、明らかな劣化の綻びを露呈しました。もちろん、相手のデレビャンチェンコはGGGのキャリアで屈指の強豪ですが、世界の目は厳しい限りです。

TRIPLE G LOOKS GOOD ONLY AGAINST TOMATO CANS. Triple Gは弱い雑魚相手ならめっぽう強かったけど…。 

このままだと、いつかTRIPLE Gがモンスターに置き換えらる日もやって来るでしょう。

もし、全盛期にアンドレ・ウォードの挑発に答えてスーパーミドルに上げていたら?「スパーリングで互角以上」と伝えられたセルゲイ・コバレフと戦っていれば?

17連続KO防衛や20連続防衛という上っ面の数字には届かず、こっぴどい惨敗を喫して、今より評価を落としていたかもしれません。

しかし、プロテクトされることのない非メキシカン、非米国人、非プエルトリカンが米国で頂点を極めるにはチャンスを待つだけでは絶対にダメです。

アンダードッグを突きつけられるファイトを勝ち抜かなければならないのです。「そんな不公平な世界だとは知らなかった」なんて言わせません。最初からわかってたはずです。

もちろん、ゴロフキンはカネロを超えるスターにはなれなかったとはいえ今日の試合でも750万ドルのキャッシュとDAZNの運営会社から同額750万ドルの株式が贈られ1500万ドル相当を手にする見込みです。

トップではないものの、十分過ぎるスーパースターです。ミドル級がどんな階級なのかが、よく伝わります。軽量級で同じことをやっても、これほどの報酬が約束されることは絶対にありません。

それでも、やはりゴロフキンにはもっと上に行くチャンスがあったはずです。



井上は37歳のGGGとは違いまだ26歳です。時間は十分残されているように思えますが、残されたプライムタイムは限られています。

ベンガル虎と同じように井上もまた〝絶滅危惧種〟です。

もっと正確に言うと井上のピークが「絶滅危惧」です。2〜3年後にはカラータイマーが鳴り始めてもおかしくありません。

ベンガル虎の最後の一頭が息絶える前に、井上の全盛期は終わることは間違いありません。

このまま穴階級のバンタムやジュニアフェザーで雑魚相手に無双を続けて「そこ」を目指すのか。

それとも、心地良い浅瀬を離れて禁断の沖合に船を漕ぎ出して「そこ」を目指すのか。

どちらの方法でも、現在の低く緩いハードルでは「そこ」つまりPFP1位に辿り着くことが出来るでしょう。

そして、遥かに安全確実なのは前者です。誰に勝ったわけでもないのに4位まで評価されたのですから、これからも誰に勝ったわけでもなくても1位まで登れるでしょう。

ただ、それでPFPキングになっても長谷川穂積や西岡利晃、内山高志、山中慎介らが慣れ親しんだ港湾の全景は目にすることが出来るでしょうが、遥か沖合の大海原、「パッキャオの見た風景」などチラ見すら出来ません。
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2012年、ドネアが最も輝いた年。

セルヒオ・マルチネスやファンマ・ロペス、マルコス・マイダナ、マルコ・フック…7年前にリングの上で極彩色のパンチを振り回していた、懐かしいGUNSLINGERSたちは「ドネア世代」です。

前回までドネアとその同窓生たち10人を紹介してきましたが、7年後の今も世界王者の看板を持っているのはドネアだけになってしまいました。

この特集が掲載された2012年4月号のリング誌のPFPとGUNSLINGERS10傑を並べてみました。

こうしてみるとGUNSLINGERSたちの方が魅惑的に見えるのは私だけでしょうか?

「どっちのグループの試合が見たいか?」と問われたら?

ドネアやセルヒオらどちらのグループにも名前を連ねるグレートも目に付きますが、PFPにはメイウェザーやウォード、ブラッドリーといった退屈すぎて試合中に携帯をいじっちゃいそうな塩ボクサーが振りかけられてしまっています。

こうして見直すと「PFPに入っていないGUNSLINGERSこそが純粋に面白いファイター」、マイダナやファンマ、ジョニゴン、ビュテ、カークランド…奴らこそが真のエンターテイナーではないか?とまで思えてきます。
GUNSLINGERSPFP
1ノニト・ドネア1マニー・パッキャオ
2マルコス・マイダナ2フロイド・メイウェザー
3ファンマ・ロペス3セルヒオ・マルチネス
4ジョニー・ゴンザレス4ノニト・ドネア
5ウラジミル・クリチコ5アンドレ・ウォード
6セルヒオ・マルチネス6ファン・マルケス・マルケス
7ルシアン・ビュテ7ウラジミル・クリチコ
8ローマン・ゴンザレス8ポンサクレック・ウォンジョンカム
9ゲンナディ・ゴロフキン9ティモシー・ブラッドリー
10ジェームス・カークランド10ビタリ・クリチコ
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こんな話をしていたら、どんどん脇道に迷い込んで「ドネアよりカークランドの方が面白い」とか闇な沼にはまり込んでしまうので、正しい世界に引き戻します。

今回のテーマはドネアと井上です。

さて、この7年間でローマン・ゴンザレスが史上初の軽量級でPFPキングに輝き、カネロ・アルバレスがスターダムの頂点を極め、スポーツ史上最大のイベント「メイパック」がついに挙行されました。

7年とはそういう時間です。

GUNSLINGERSの1人に数えられた GGGの2012〜2019年を見ると、不遇のカザフスタン人が稀代のKOアーティストに成長しキャリアハイを迎え、長らく対戦を回避していたカネロと2試合を戦い、緩やかに衰えの下り坂を降りた歳月です。

… GGGクラスの物語の始まりから終章までをすっぽり飲み込むーー7年とはそういう歳月です。

そして、ドネア。

ドネアの咆哮を世界が初めて耳にしたのは2007年のビック・ダルタニアン戦でしたから、そこから数えると何と12年。

強打の軽量級としては信じられない息の長さです。それも細く長くではありません。

太く長く。そのキャリアは何度も断ち切られそうになる危機を乗り越えながら、井上尚弥との一戦に辿り着いたのです。

もし、勝負の世界に人間力などが作用するとしたら、井上尚弥に勝ち目はありません。

しかし、リングの中ではそんなチンケなものは1ミリの足しにもなりません。

そこで働く力学は、単純な強さと速さ、巧妙さだけです。人生の修羅場をいくつ超えていようが、そんなものは回り道でしかありません。

そんな無駄な経験を積む時間があるなら、1メートルでも長く走る、一発でも多くのパンチをサンドバッグに叩き込む方がリングの中では遥かに役に立ちます。

リングの中では人間力などクソの役にも立ちません。

それでも、運はどうでしょうか。

リングの中で作用する力学は実力だけだといっておきながらまだ数行しか書いてないのに、こんなことを書くのは人格が破綻しているからかもしれません。

リングの中では、運も大きな力学として勝敗に影響します。

それはあらゆるスポーツで同じことだという反論があるかもしれませんが、それは大間違いです。

現代のプロボクサーほど運命の力学に翻弄されているアスリートはどこにもいません。

ドネアです。

今回のWBSSトーナメントでドネアの周りに何が起きたかを、今更ここで書き連ねる必要はないでしょう。

2007年に遡ります。どの階級が自分のベストなのか、そんなレベルの迷路に迷い込んでいた無名のドネアに世界挑戦の話が舞い込みます。

しかも相手は〝レイジング・ブル〟を名乗りながら誰も非難しない圧倒的な実力で王座に君臨していたビック・ダルチニアン。

アルメニアをルーツに持つ当時31歳はフライ級、軽量級という枠には収まらずPFPファイターにも数えられていました。

ドネアは世界初挑戦でいきなり金鉱を掘り当てたのです。

翻って井上尚弥はどうでしょう。18戦のキャリアで13試合も世界戦のリングに上がり、3階級制覇を果たした25歳はPFP4位にまで登り詰めましたが、いまだに金鉱にヒットしたことはありません。

「伝説の名王者オマール・ナルバエスや10年無敗の絶対王者ジェイミー・マクドネルを粉砕したじゃないか!」。

そんな怒りに拳を固めた方は、ここで読むのをやめてこれからもレベルの高い黄金のバンタムで戦う井上がラスベガスのPPVイベントでメインを張って何十億円もの報酬を稼ぐ日を夢見続けて下さい。

兎にも角にも。井上が渇望しながら一度も巡り会えていない正真正銘の強豪王者に、ドネアは世界初挑戦であっけなくグローブを合わせたのです。

そして、今また圧倒的不利予想のリングに上がります。

バンタム級団体統一戦。WBSS決勝。そういう但し書きは付くものの、この試合は井上にとってハイリスク・ローリターンです。

勝って当たり前。勝っても井上の評価が上がるわけではありません。負けたらPFP追放もありえますし、勝っても苦戦なら評価は暴落です。

一方のドネアはどんな形であれ、勝てば偉大な物語にもう一つのクライマックスが付け加えられます。

まだ、物語が始まってもいない井上にとってこれほど割に合わない戦いはありません。

しかし、井上はどこまでも冷静でしょう。

彼のファン(信者)と彼の言葉のギャップにはいつも驚かされます。

ロマゴンとに試合を問われて「米国にこだわる必要はないと思う。喜んでくれるファンが一番多いのが日本なら日本でやりたい」。

先月放送された番組内でも「MGMグランドガーデンアリーナで戦うのが夢」と語りながら「メインを張るには最低でもフェザー級でないと難しいですね」と現実をわきまえていました。

「試合が終わった翌日の近所のコンビニでカップヌードルを買って店の前ですするのが幸せ」。

井上の強さの一端が垣間見えたような気がしました。

ああ、今夜も「井上と現代のGUNSLINGERS」に突入することは叶わず!

明日は早いので、もう寝ます、おやすみなさいませ!
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拳銃で撃ち抜いたかのように一撃で相手を倒すGUNSLINGERたち。

今から7年前、2012年時点で世界最強の一打必倒のKOアーティストに選ばれたのは、もちろんノニト・ドネア。

第1位はフィリピーノ・フラッシュ!ノニト・ドネアです!

このときのドネアは27勝1敗。唯一の敗北はデビュー2戦目の5ラウンド判定負け。2012年から振り返ると11年も前のことですから、無敵の状態と言っても差し支えありません(ジュニアフェザーに上げてからは衰えやパワーの欠如が指摘されていましたが)。
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27勝のうちKOは18。KO率は64.29%、軽量級としては高いKO率ですが、GUNSLINGERとしては物足りない数字かもしれません。

しかし、最初にお断りしているようにGUNSLINGERの基準は、たった一つしかありません。

レフェリーやセコンドを煩わせるテクニカル・ノックアウトは必要ありません。止められた相手が口を尖らせて不満を吐くような、そんな言い訳や負け惜しみを一切許さない、問答無用の一撃必殺の拳を持っているかどうか、それだけがGUNSLINGERに求められる資質です。 

ドネアがフェルナンド・モンティエルを仕留めたのは、確かにレフェリーによるTKOでした。

しかし、あの試合で本当に戦慄すべきは、レフェリーが止めたときに、コーナーロープからゆっくりとしかし真っ直ぐにフェルナンドに駆け寄ったモンティエルファミリーの諦観しきった姿でした。

弟を抱きしめたフェルナンドの兄たちは「私たちは大きな過ちを犯した」と下を向きました。

「予告通りに2ラウンドでKOされたのは戦略的にミスがあったのか?」。そう聞くインタビュアーに首を振り「ダウンした瞬間にタオルを投げるべきだった。弟がもがいて必死に立ち上がる姿に、タオルを投げれなかった」と泣きそうな顔で答えました。

物凄い一撃でした。そして、打たれ弱いとも言われていたフェルナンドがのたうちまわって立ち上がる姿には感動もしました。

血の気の多いはずの兄たちが無表情のまま、ロープをくぐって弟にゆっくりと真っ直ぐに歩を進める姿に、戦慄しました。

ドネアの「2ラウンドKO」 宣言に、まさに「弾丸で撃ち抜かれたってフェルナンドはそんな早いラウンドで倒れない」と怒りを隠さなかった兄たちが、リング上を駆け回るフィリピン人に一瞥もくれずに弟を抱きしめ「すまない」と謝ったのです。

マニー・パッキャオの左にリングで戦った時間の倍以上もキャンバスで眠っていたリッキー・ハットンは搬送される救急車の中で「パッキャオのパンチは見えていた」と絞り出しました。 誰が聞いても負け惜しみですが、その言葉があの試合の悲惨さに「おいおい」というちょっとした笑いをもたらしてくれました。

しかし、兄に寄り添われ無言のまま宙空を見つめて立ち尽くすフェルナンドの佇まいは、惨劇の被害者にしか見えませんでした。
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GUNSLINGERの資格は、冷酷に引き金を引ける残忍さを持ち合わせていることです。

自らのパンチに耐え続けて崩れ落ちたデヴィッド・ディアスを「Are you Allright?」と心配そうに両のグローブで助け起こし、眼窩底骨折が明らかであと1発撃ち込めば眼窩底が複雑に砕け散るアントニオ・マルガリートにトドメを刺せず、レフェリーに「マルガリートを見ろ!(骨折してるだろう!?)」と目配せするパッキャオはGUNSLINGERではありません。

残酷な引き金を躊躇なく引けるのがGUNSLINGERです。

だから、パッキャオはこの10傑にはお呼びではありません。パッキャオは素晴らしいボクサーです。引き金を引けないボクサーが世界に一人くらいいても構いませんが、みんながみんなそうなってしまうと、このスポーツは滅亡します。

パッキャオの慈悲、メイウェザーの退屈、どちらもボクシングを滅ぼす猛毒です。慈悲深い強打、退屈な完璧 、よくよく考えたらどっちもこのスポーツではあってはいけない最悪です。

パックメイみたいなのしかいなかったら、ボクシングはもっと没落してて間違いなく滅びています。ドネアみたいなのが溢れたら、ボクシング界はもっともっと活気づくでしょう。

モンティエル一家にとって最も屈辱的な瞬間を演出しながら歓喜にリングを駆け回ったドネアには、パックのくだらない慈悲も、メイの疎ましい退屈とも無縁です。

喜びすぎて、倒れたモンティエルを踏まないように跨ぐドネアの足は、勝者と敗者のコントラストを鮮烈に色分けて踊る2本の絵筆でした。 

ドネアについて、凄まじい数字があります。18のKOのうち10までが3ラウンド以内だったことではありません。

モンティエル戦までの12試合を10KO、その全てが「あの左フック」でフィニッシュしているのです。

その瞬間、ドネアはサウスポーのポジションになることもあります。レコード針のように爪先立って滑らかにリングを旋回し、そのタイミングを計る姿はGUNSLINGERというよりも居合斬りの達人と言った方が的を得た表現かもしれません。

日本びいきのドネアのことです。「GUNSLINGERよりも居合斬りの達人の方がいい」と笑うに決まっています。

それにしても、あの左フック。よく言えば恐るべき信念と必殺の拳。斜めに見ると何というマンネリ、ワンパターン。

ミケランジェロやゴッホ、ピカソ…彼らに共通するのは恐るべき一貫性です。ドネアの左フックのように彼らの絵筆やノミにも魂の一直線が背骨のように通っているのです。

絵画や彫刻、芸術の知識などヒトカケラも持ち合わせない低脳な私でもこれだけはわかります。

ドネアの左フックは芸術です。

最高傑作のビック・ダルチニアンとの初戦を持ち出さなくとも、ドネアの個展はいくらでも開けます。しかも展示されるのは左フックだけです。

ドネアとピカソの最大の違いは、ピカソが91歳まで現役のファイター、芸術家だったことです。 

ピカソを思えばドネアはまだ36歳。「(12年前の)ダルチニアン戦が最高傑作」 と呼ばれることに、本人は忸怩たる思いがあるでしょう。

日本のボクシングファンは夢想もしてはいけないことですが、36歳のドネアがどんなに不細工な内容でも、どんなに幸運な大逆転でも、11月7日に大番狂わせを起こせば、それを最高傑作と呼ぶことを誰が諌めるでしょうか。



ーーさらさらっと電車の中で書こうと思ってたものですが、長くなりました。

そして、しかし、ここまでが前置きです。

本文は「もし、この特集を7年後の今企画していたなら1位のスポットには井上尚弥が選ばれている!」というテーマで、2019年現在のGUNSLINGERS を独断で選びました!という流れです。

まだまだ続きます。
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リング誌がこの特集を掲載した2012年は、ノニト・ドネアの評価が最高潮に達した年でした。

それは畢竟、この2012年からドネアの評価が確実に下り坂を降り始めるということに他なりません。

ドネアは、実力的にはウィルフレド・バスケスJr.のジャブを持て余し、ガチガチに硬直した西岡利晃を仕留めるのに9ラウンドも要したジュニアフェザー級時代に既に衰えが指摘されていました。

2012年にシュガー・レイ・ロビンソン杯(年間最高選手賞)を受賞したドネアの輝きは、すでに消滅して存在しない恒星の光を見ていたようなものだったのかもしれません。


前置きが長くなる前に、話をリング誌の特集「GUNSLINGERS〜THE TOP ONE PUNCH KO ARTISTS AND WHY THEIR CLUB IS SO EXCLUSIVE 現代のワンパンチ・フィニッシャー、なにゆえ彼らの倶楽部は参加資格が厳しいのか」に戻します。



3位からです。ファン・マヌエル・ロペス。このときの戦績は31勝1敗、28KO。

KO率は87.5%。軽量級としては破格のパンチャーでした。

ウィルフレド・ゴメスやフェリックス・トリニダードの系譜を継ぐ、プエルトリコのワンパンチ・フィニッシャー。

左も右もどちらの拳にも1発で試合を終わらせる威力がありました。

この時点での唯一の黒星はオルランド・サリドに大番狂わせで8ラウンドTKOに粉砕された一戦。

翌年、つまりこのリング誌が発行された2012年に再戦しますが10ラウンドで返り討ちにあいます。

ボブ・アラムがユリオルキス・ガンボアとの〝決勝戦〟を企画したフェザー級ウォーズは、人気者ファンマの頓挫であえなく霧散しました。

懐かしい名前に聞こえますが、まだ現役です。今年5月にはアルゼンチンのエミリアーノ・ガルシアとマジョリティ・ドロー。

賞味期限がとっくの昔に切れたガンボアとの〝決勝戦〟は、来年のどこかのタイミングで行われるかもしれません。



2位は最近カムバック宣言したマルコス・マイダナ。

この時点で32勝28KO2敗。KO率は84.85%。

きちんとナックルを当ててるのかよくわからない無茶苦茶な軌道の連打は、コンビネーションと呼ぶにはあまりにも不規則で、それでも1発の威力は破格でした。

パンチの見映え、派手さはフロイド相手に一人のジャッジがドローと採点したことからも窺い知ることができます。

そんなことを差し置いても、マイダナがGUNSLINGERであることは、試合を見るまでもなく疑いようがありません。

なにしろ左脇腹にピストルのタトゥーを、これでもか!と思いっきり彫っているのですから!

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さあ、そしてGUNSLINGERランキングも残すは1位のみ!誰が1位なのか!?
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リング誌がこの特集を掲載した2012年は、ノニト・ドネアの評価が最高潮に達した年でした。

一打必倒のバンチャーへの讃歌と挽歌を声の限りに歌い上げた特集記事で紹介されたGUNSLINGERSトップ10はの顔ぶれは…。

※2012年、7年前ですが懐かしい名前も登場します。ノニト・ドネアはこの時代から生き残っているグレート。まさに恐竜です。


10位ジェームズ・カークランド。30勝27KO1敗、KO率87.1%。27のKOのうち22が3ラウンド以内という速攻のハードパンチャー。

この時点での唯一の敗北は…ぐふふふふ、下品な笑いを抑えられない、カークランド、最高ですね。


9位はゲンナディ・ゴロフキン、2012年ではまだこのポジションでしたか。22勝19KO、もちろん無敗。 KO率86.36%。

WBAミドル級王者で鮮烈なKOを量産していましたが、最も衝撃的だったのはアマチュアシステムにもかかわらず、ルシアン・ビュテを粉砕した残酷な拳でした。


8位はローマン・ゴンザレス。KO率83.33%。30戦全勝25KO。108ポンド(ジュニアフライ級)とは思えない重たく速く鋭いパンチを持つニカラグアのGUNSLINGER。

118ポンド(バンタム級)でも十分通用するでしょう。

※ロマゴンは詰め将棋のようなコンビネーションで相手を追い詰めるスタイルですが、108では早いKOも多くGUNSLINGERと言っても差し支えないかもしれません。


7位はルスラン・ビュテ。30戦全勝24KO。KO率は80%。

奇妙な角度から鉈をカチ上げるようなアッパーで恐怖のKOを積み上げているルーマニアの凶器。

防御に穴があるのを気付いているのかいないのか、とにかくノーガードで鉈を振り回すビュテは、観ていて面白いボクサー。それはもちろん、破壊的に悲惨な敗北を近い未来に内包しているということです。


6位がセルヒオ・マルチネス。

このときの戦績は48勝27KO2敗2分。KO率はなんと、わずか51.92%。

しかし、彼が一撃必殺の拳を持っていることに誰も異論はないでしょう。ポール・ウィリアムスとの再戦、あれ以上の戦慄的なKOを知っていたら誰か教えてくれ!
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5位はウラジミル・クリチコ。

56勝49KO3敗。83.05%。

ウラジミル?どちらかといえばGUNSLINGERに撃たれるタイプじゃないか、そういうあなたはウラジミルのキャリアを部分的にしか見ていません。

エマニュエル・スチュアードに師事してからの鉄拳博士(Dr Steelhammer)は強烈な右の打ち下ろしと、重厚な左ジャブ、二丁拳銃を持つGUNSLINGERでした。


4位はなんと、なんとジョニー・ゴンザレスがランクイン。

日本でも馴染み深い「あと一歩(二歩?三歩?)、残念」なイメージのジョニゴンですが、パワーパンチャーであることは誰もが認めています。

ウラジミル以上に撃たれて倒れるシーンが印象的なジョニゴンはこのとき51勝45KO7敗。77.59%。

軽量級離れしたハードパンチと、プロとは思えない大きな隙を見せるディフェンス、そして極め付けは絵に描いたようなグラスジョー。

撃たれることを厭わず、弾丸込めて引鉄を引くーージョニゴンもまた、真のGUNSLINGERかもしれません。
 

さあ、2012年のリング誌が選んだ一撃必倒のGUNSLINGER、いよいよベスト3です! 
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一撃のKOアーティスト。

GUNSLINGERS。彼らが撃鉄を起こし、引き鉄を引いたとき、対戦相手はカンバスの上で動かなくなっている。

まどろっこしいテクニカル・ノックアウトのようにレフェリーがストップのタイミングに悩まされることはない。レフェリーに出来ることはカウントを10まで数えるか、リングドクターを呼ぶか、その二者択一だ。

GUNSLINGERSは、KO率が高ければいいわけではない。1発の威力、それを電撃のショックで見せつけなければ、このクラブへの入会は許されない。

しかし、残念ながらGUNSLINGERSは絶滅危惧種だ。

より安全を優先させたシステム、防御技術の進歩、安易な階級制覇…。

「特にアマチュア経験者はパンチの打ち方を知らない。ナックルの返し方を教えてもらってないんだ。彼らは速く回転数を上げてパンチをまとめることしか知らない」(ジョー・グーセン)。

もし野球のアマチュアや下部組織がホームランよりも送りバントを重視する戦術に傾いたとしたら、それは野球の危機だ。

それと同じことが、ボクシング界でも進んでいる。

昨今の風潮はどれもこれもGUNSLINGERSが生き残るには厳しい環境でしかない。

グーセンは「60年代から70年代のアマチュアはプロと同じグローブとルールで戦っていた。だからあの時代のボクサーは強打者が多いんだ。それが今となっては…」と嘆く。
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GUNSLINGERS of boxingーーare vanishing more quickly than the Bengal Tiger.
ボクシングにおける一打必倒のKOアーティストはベンガル虎よりも早いペースで絶滅に向かっている。


リング誌の記事「GUNSLINGERS」に、井上尚弥をオーバーラップさせて書き進めていきます。
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WBSSバンタム級トーナメント決勝まで、あと38日。

会場となる、さいたまスーパーアリーナには「ニューヨーク」(マディソン・スクエア・ガーデン:約2万人/バークレイズセンター:約1万9000人)と「ラスベガス」(T-Mobileアリーナ:約2万人/MGMグランドガーデンアリーナ:約1万6000人)の主要会場を凌駕する2万5000を超えるシートがセットアップされる見込みです。

ニューヨークやラスベガスの主要会場で軽量級がメインを張ってフルハウスにする、なんてことはメキシコの超人気者が強敵を迎える試合を例外にありえません。

しかし、日本ではMGMグランドガーデンアリーナと同じキャパの横浜アリーナはもちろん、たまアリでも注目の試合は「満員札止め」になるのです。

米国では、DAZNが生中継で配信します。しかし、現地では水曜日の早朝、よほどのマニアでないと見ることはないでしょう。

しかし、見せつけたいですね〜。

ニューヨークやラスベガスを大きく凌ぐアリーナがフルハウスになっている光景を。世界中の軽量級ボクサーにも見てもらって、ますます日本に憧れて欲しいところです。

オマケ扱いしかされないラスベガスよりも日本の方がずっと貴方たちをリスペクトしてお迎えます!
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前置きが長くなってしまいました。

井上尚弥vsノニト・ドネアです。

鉄板予想のさらに上を行く内容で決勝進出を果たした井上。そして、出場8選手で最も評価が低かったにもかかわらず、神風に乗ってファイナルに辿り着いたドネア。
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井上1.28倍、ロドリゲス7倍、テテ6.5倍に対してドネアは13倍。ベスト4進出時点でもドネアの評価は超大穴扱いでした。

そして決勝のオッズもブックメーカーによってばらつきはあるものの、井上圧倒的有利は揺るぎません。

ウィリアムヒルは井上に1/18(1.06倍)、ドネアに9倍と張っています。井上1/25(1.04倍)、ドネア11倍の掛け率も見られますが 、いずれにしても「10−1レベルのミスマッチ」という予想となっています。

「アジア人」「軽量級」という欧米が無関心になる二つの要素を満たしてしまったマッチアップ、賭けの対象としても人気薄ですが、最も買われているのは井上1/14(1.07倍)、ドネア12倍。少なくともオッズ上は勝敗に関心が向く試合ではありません。


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 2011年10月に逃げ回るオマール・ナルバエスに完勝して以来、8年1カ月ぶりにバンタム級に復帰したドネアは「(フェザーから2階級落とす)減量の不安はない」と言い切っていますが、それを信じるとしても、現在36歳。

井上との決勝戦の1週間後には37歳の誕生日を迎える、否定のしようのないロートルボクサーです。

しかし、バンタム復帰からの2試合はいずれもKO勝ちとはいえ、対戦相手が試合中と試合前に負傷するアクシデントがあり、 今なおドネアがトップレベルの戦力を持ち合わせているのかどうかは不透明です。

ドネアの戦績と世界評価(リング誌PFP)を時系列に沿って辿りながら、現在の戦力を推定してゆきます。


⚫️2001年3月10日:ロセンド・サンチェス=バンタム級5回戦

ドネアはデビュ−2戦目で黒星。このとき18歳。ドネアも経験した「5ラウンド」の試合。引き分けになりにくい、という意図で導入されましたが定着はしませんでした。

当時の戦力はレベルが低すぎて評価不能。


◎2002年9月1日:チャコンサック・ポーソング=WBOアジア太平洋フライ級王者決定戦

前の試合からフライ級に下げたドネアは6戦目で初のタイトルマッチ。2ラウンドKOで戴冠。

ポーソングはこの試合まで4勝5敗。地域タイトルとはいえ、その実力が二人にあるとは認められないタイトルマッチでした。評価不能。


◎2004年6月18日:リカルド・バレラ=ジュニアフェザー級6回戦

フライ級に落としたドネアは「112ポンドは体を削りすぎる、力が出ない」と再びバンタム級に戻し、この試合では122ポンド(ジュニアフェザー)まで上げます。4ラウンドTKO。評価不能。


◎2006年10月7日:オスカー・アンドラーデ=NABFジュニアバンタム級タイトルマッチ

アンドラーデはアレックス・サンチェスのWBOミニマム、ラタナポル・ソーウォラピンのIBFミニマムへの挑戦経験もある古豪。3−0の判定勝利で北米タイトルをゲット。

この試合はホルヘ・カサマヨルとディエゴ・コラレスのWBCライト級タイトルマッチの前座にセットされ、ドネアの〝世界披露宴〟になります。

リング誌編集長ナイジェル・コリンズは「スピードと切れ味のある軽量級らしい選手。すでに世界レベル」と絶賛。

評価は世界のホープ。


◎2007年7月7日:ビック・ダルチニアン=IBF/IBO世界フライ級タイトルマッチ

王者ダルチニアンは28戦全勝22KO。軽量級ながらPFP10位に評価される破壊的な王者でした。

前年にドネアの兄グレンも倒しているレイジング・ブルが「何ラウンドでドネアを沈めるか」だけが焦点と見られた試合でした。

真剣で斬り合うような互角の展開で迎えた第5ラウンド、ドネアの左一閃!軽量級史上に残る大番狂わせとKOシーンが完成されます。

その瞬間までの戦いぶりを見た誰もが、この試合をフロックとは呼びませんでした。

このあと、ダルチニアンがジュニアバンタムでフライ級時代を凌ぐ絶対王政を敷いたこともドネアの評価をコンクリートします。

評価はPFPの切符を手にした世界トップボクサーの一人。全く無名の23歳が一夜にして世界中のボクシングマニアにその名を知らしめたのです。
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WBSSバンタム級トーナメント決勝まであと45日。

WBSSがキックオフで標榜した「高額賞金トーナメント」「階級最強決定戦」「完全統一王者誕生」 のどれ一つにも当てはまりませんが、何はともあれ日本の井上尚弥が軽量級の伝説ノニト・ドネアと拳を交える大舞台です。

ドネアが来日して記者会見、井上も複数のバラエティ番組に登場するなど日本ボクシング史上屈指のビッグファイトに向けて盛り上がっています…と言いたいところですが、なんだか今一つですね。

ラグビーワールドカップにプロ野球ペナントレースが大詰め、今週からは世界陸上と大きなイベントが立て続けに開催されることで絶対的に報道量が落ちているようです。

ただ、10月にはプロ野球日本シリーズも含めて全てのイベントが落ち着きます。11月7日は悪い日程ではありません。

とはいえ、世界的には厳しいです。極めて厳しいです。

11月7日の前後に行われる注目の試合をピックアップすると…。

10月26日のWBSSジュニアウェルター級決勝(WBA/WBCダイアモンド王者レイジス・プログレイスvsIBF王者ジョシュ・テイラー:ロンドンO2アリーナ)は世界的な注目度は井上vsドネアよりは上とはいえ、ドングリの背比べです。後に引くほどインパクトのある試合ではありません。
10月26日WBSSジュニアウェルター級決勝
レイジス・プログレイスvsジョシュ・テイラー
11月2日WBOライトヘビー級
セルゲイ・コバレフvsカネロ・アルバレス
11月7日WBSSバンタム級決勝
井上尚弥vsノニト・ドネア
12月7日3団体統一ヘビー級
アンディ・ルイスJr.vsアンソニー・ジョシュア
問題は11月2日のカネロ・アルバレスの4階級制覇を賭けたメガファイトです。これは、もう前後2週間くらいはこの試合の前夜祭と後夜祭で欧米メディアは一杯一杯でしょう。

というか、もうすでに今週28日激突のIBFウェルター級王者エロール・スペンスJr.vsWBC同級王者ショーン・ポーター(ロスアンゼルス:ステイプルズセンター)が霞んじゃってます。

個人的にはスペンスvsポーターはかなり注目してますから、もっと情報が欲しいところです。ウェルター級の統一戦がここまで軽く扱われるのは、史上初めての〝事件〟でしょう。

 米国ではそもそもが無関心の二重苦「WBSS」「バンタム級」の井上vsドネアよりも、スペンスvsポーターがカネロ戦の影響を最も受けている被害者です。
 
それにしてもカネロ、いつまで英語を話さないつもりでしょうか。

野茂英雄やイチローは「話せるけど公式の場では日本語」でしたが 、彼らには「英語を勉強しにアメリカに来たわけじゃない」という天邪鬼な矜持と「未熟な英語を話して発言の意図が誤解されては困る」という理由がありました。

カネロの場合は、そもそも話す気がない、実際に話せないというのが腹立たしいところです。この辺りもアンチの神経を逆ナデしています。

そして、米国ではカネロほどではないとはいえアンディ・ルイスJr.vsアンソニー・ジョシュアのリマッチ「砂漠の決闘」(12月7日:サウジアラビア)もまだ2ヶ月以上も先だというのに関心は高く、英国における注目度はカネロvsコバレフを大きく凌いでいます。 

リング誌とESPNの瞬間的なPFPで4位の井上とはいえ、その井上を遥かに上回る評価を得ていた年間PFP2年連続1位だったローマン・ゴンザレスですら注目度は高くありませんでした。

現在1位でライト級のワシル・ロマチェンコもルーク・キャンベル相手に敵地に行かねばならないのが現実です。

欧米目線の軽量級(ライト級以下)で注目を集めるのは至難の業です。

軽量級は日本で盛り上げていくしかありません! 
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前回のナゾナゾ。

ドネアが5回経験して、井上が一度も突きつけられたことがないものーーアンダードッグ扱いされたことです。

ドネアは過去にビック・ダルタニアン(2007年)、ギレルモ・リゴンドー、ニコラス・ウォータース、カール・フランプトンの4度、そして井上戦も試合までに逆転するとことは100%ない大差でオッズ上でのリードを許しており、5度目のアンダードッグ扱いを強いられています。

リゴンドーとウォータースの2試合については、プックメーカーによってはドネア有利と見られていたので完全なアンダードッグとは言いがたいものの、多くのメディア敗北を予想していました。

アンダードッグ扱いされた試合での星勘定は1勝3敗。



今日届いたDaily Jabs のBattle of Age をテーマにした記事から、さいたまスーパーアリーナ11.07をオマージュさせて下さい。

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現役PFP4位の井上尚弥と、かつてPFP3位だったドネアの激突。

軽量級にとって歴史に残るBattle of Age です。

Battle of Age の究極は現役PFP1位と昔日のPFP1位ですが、そんな戦いが現実にありました。

今なお多くの歴代PFPリストでワンツーで並ぶシュガー・レイ・ロビンソンとヘンリー・アームストロング。

1943年8月27日。マジソン・スクエア・ガーデン。

ロビンソンvsアームストロングに、井上vsドネアをなぞらえるなんてなんて罰当たりなんだ!とお叱りを受けるでしょうが、極東の島国は萬の神をいただきます。

神様の1人や2人から不興を買うくらい、どうってことありません。
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