カテゴリ: 没落するアメリカボクシング

Saturday 19, July 2025
  
MGM Grand, Grand Garden Arena, Las Vegas, Nevada
commission:Nevada Athletic Commission

promoter:Tom Brown (TGB Promotions),
     Sampson Lewkowicz (Sampson Boxing),
     George Rose (No Limit Boxing Promotions),
     Matt Rose (No Limit Boxing Promotions)

matchmaker:Tom Brown, Whitfield Haydon
view on Amazon Prime Video PPV 


マニー・パッキャオは2019年、WBAウエルター級王者キース・サーマンを破って史上最年長40歳での同級王者となりました。

46歳…バーナード・ホプキンスがWBCライトヘビー級王者ジャン・パスカルを下したとき、その年齢でした。ホプキンスは48歳でもIBFライトヘビー級王者トラビス・クラウドに勝利。

あのジョージ・フォアマンがマイケル・モーラーを劇的なKOで沈めたとき〝まだ〟45歳でしたから、もしパッキャオが王者返り咲きを果たすと史上2番目の高齢でのタイトル獲得となります。

近代ボクシング150年の歴史で、2人しか入部を許されていないオーバー45クラブ。

万一、パッキャオがまたまた番狂せを起こしてこのクラブに入部したとしても、先輩2人とは全く違うことを忘れてはなりません。

ホプキンスは、40歳を超えてからも積極的にリングに上がる現役ファイターであり続けました。4年のブランクを経て、気まぐれなカムバックをしたパッキャオとは違い、一貫して高い規律の中に身を置き、アスリートとして心身を律していたのです。

パッキャオ以上に長い10年のブランクからカムバックしたフォアマンでしたが、〝象をも倒す〟史上最強のパンチャーは世界再挑戦(イベンダー・ホリフォールド戦)まで4年24試合を積み重ね、ランキングとコンディションを誠実に引き上げ、さらに3年後のモーラー戦へと繋げました。

ホプキンスとフォアマンが起こした奇跡は、一点の曇りもないオーバー45の偉業でした。

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時計に勝ったホプキンス


もっとわかりやすく言うと、彼らは「スポーツ」の順序を踏んで年齢と戦い、絶対に勝てないはずの時計を相手に勝利を収めたのです。

しかし、パッキャオは?

4年のブランクからカムバック、そしていきなりの世界タイトルマッチ。非難の声を上げるメディアやファンにWBCは「元王者に復帰即挑戦権があることはWBCでルール化されている」と〝合法〟であることを主張しましたが、これは「私たちはデタラメ団体なんです!」と宣言したに等しい戯言です。

アンダーカードに出場する選手たちにとってパッキャオは特別な存在であるのは理解できますが、セバスチャン・フンドラやティム・チュー、ブランドン・フィゲロア、ダビド・ピカソらの〝崇拝〟のコメントと「パッキャオが勝つ」という予想は、聞いていてシラけてしまいました。

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何気に、ピカソvs亀田京之介も楽しみです。この試合は亀田もピカソも全く人気がなく、というか認知度も低いため、PPVには組み入れられていませんからPBCのユーチューブで無料で見ることが出来るはずです…と思ってたらWOWOWも当日の午前6時30分から生配信することがきょう決定したようです。

ピカソはこれが3度目の米国リングですが、ハイメ・ムンギア、カネロ・アルバレス、そして今回のマニー・パッキャオといずれも大物の前座をつとめていますが、ポジションはアンダーもアンダーでカジュアルなボクシングファンはもちろん、コアなファンでも無名。出足の遅いラスベガスではいつもガラガラの会場で試合をしています。

今回もパッキャオのメインが日本時間で昼の12時だとして約5時間後、MGMのシートは関係者以外はほとんど座っていないでしょう。

今回は、パフォーマンスが派手な京之介を倒して少しは目立ちたいという狙いですが…米国で全く認知されていないだけでなく、実力的にも井上尚弥が戦う相手ではありません。

ムロジョン・アフマダリエフから中谷潤人への調整試合という意味合いはあるかもしれませんが、個人的には残り少ないキャリアで、これ以上の雑魚は避けて欲しい。





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マニー・パッキャオ…レガシーの通信簿

【S】全盛期の一発殿堂入りクラス
【A】全盛期の殿堂入りクラス
【B】現役PFPファイター
【C】Lineal (またはリング誌)王者
【D】リング誌(またはESPNなど公正な)トップ10選手


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【C】チャチャイ・ダッチボーイジム

1998年12月4日、タイ・バンコク郊外プタモントン、トンスク大学の構内に設営された屋外リング。

チャチャイは、当時PFP10傑に数えられたユーリ・アルバチャコフを下してWBCフライ級のLineal titleを獲得、PFPには数えられなかったものの、タイ人の評価はさらに高騰していました。

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リング誌のBEST FIGHTER POLL(年間PFP)でベスト10に数えられたユーリ。1980年から始まった年間PFPに日本のジム所属の選手がランキングされたのは史上初。格が下がる月刊PFP(1990年スタート)では最高位6位、インターネット以前という時代背景を考慮すると、まさしく快挙でした。。


3度目の防衛戦、地元に迎えたのは「グラスジョー」「ペーパーストマック」「ディフェンスに大きな欠点がある」というレッテルが貼られた生け贄のフィリピン人、マニー・パッキャオでした。

大方の予想通りに試合は後半戦に入ります。第7ラウンドまでのスコアは1人のジャッジが70-64でフルマーク、残る2人も大差で王者を支持していました。

王者にとって、残りの五つのラウンドを全て失っても、防衛という安全圏に入っていたのですが…。

予想通りでなかったのは、試合をコントロールしているように見えた王者がラウンドの深まりにつれて消耗と疲労の表情を隠せなくなり、フィリピン人のプレッシャーにまっすぐ下がり出したこと。

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そして、第8ラウンド。

一見唐突に見えて、実は当然の帰結だったスペクタクルなフィナーレが訪れるのでした。



世界タイトルマッチとはいえ「東南アジアで行われたアジア人同士の軽量級の試合」。欧米のアンテナでは捉えることが出来るわけもありませんでした。


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1980年代に繰り広げられた個性際立つ4キングスによるラウンドロビン(総当たり戦)を知って米国ボクシングの魅力に惹き込まれた人は多いでしょう。

シュガー・レイ・レナードがAサイドなら何をやっても良いという悪しき前例を作ったことに幻滅、熱が冷めた時期もありました。

再び、米国ボクシングへの熱量が上がったのは社会人になってからのことでした。

社会人になって自由に使えるお金が増えたり、米国出張の帰りにラスベガスのシーザースパレスを初めて訪れたり…そんな体験が活字と画像とビデオテープでしか知らなかった米国ボクシングへの興味を甦らせたわけではありません。


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たった1人のファイターがだった二つの拳だけで、完全Bサイド、しかも欧米人では歯牙にもかけられないアジアの軽量級から人気階級に土足で上がり込み、ついにAサイドまで登り詰めたマニー・パッキャオを見てしまったからでした。

パッキャオは西岡利晃や井上尚弥的な欺瞞から一線を画す、本物の人気と本物の強さだけを証明したのでした。

それまでも、完全Bサイドがボクシング界を揺るがす大番狂せを起こしたことはありましたが、それを繰り返すことは出来ませんでしたが、そもそも番狂せとはそういうものです。

相性も含めた奇跡的な勝利だからこそ、大番狂せであり、対戦相手が別の超強豪に変わったとしても大番狂せををやってのけるなら、もうそれは大番狂せなどではなく、専門家やファンの目がフシ穴だったというだけのことです。

日本時間の次の日曜日。パッキャオは4年ぶりのリングに明白なアンダードッグとして、舞い戻ります。

2008年12月6日のオスカー・デラホーヤ戦で明白に不利と見られて以来、パックマンがアンダードッグと見下されるのは、2015年5月2日のフロイド・メイウェザー戦以来初めて。

*キース・サーマン戦では多くのメディアが「現実的ではない」と驚きながらも、試合当日までにパッキャオがフェイバリットになっていました。


もしかしたら、これが最後の試合、最後のアンダードッグかもしれません。

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私が海外のボクシングに興味を持った1980年代。

それまでのボクシングシーンに「人気階級」という認識はありませんでした。

なぜなら、ヘビー級だけが特別な人気階級だったからです。

もちろん、人気階級と呼べるのはヘビー級だけでも「不人気階級」は存在しました。

欧米での関心が一気に下がるジュニアライト級以下、つまりライト(軽量)級未満のゾーンと、1970年代で定着したジュニアミドル級を最重量とする「水増し階級」です。

私が米国ボクシングに引き寄せられた時期は、モハメド・アリという巨星がリングを去り、米国ボクシングが支柱を見失ったときでした。

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全米地上波で生中継された1976年のモントリオール五輪で一般のスポーツファンにも名前が知られたシュガー・レイ・レナードは「アリの後継者」と期待される声も確かにありましたが、それ以上に「(ヘビー級ではない)レナードは小さすぎる」という否定論の方が根強かった印象があります。

後世から振り返ると、レナードは米国スポーツを代表するアイコンだったアリの領域に踏み込むことが出来なかったという点では、否定論は正しかったと言えます。

しかし、、レナード(たち)が収めた成功は否定論者の想定をはるかに上回るものであったという点で、期待論者の見方が正しかったと言えるでしょう。

絶対正義のヘビー級からいかに注目をそらせるか、その詭弁であり小道具の一つがPFPのランキング化でした。

1980年からリング誌が毎年発表していたBEST FIGHTER POLLではロベルト・デュラン、トーマス・ハーンズ、シュガー・レイ・レナード、マービン・ハグラーが〝ハイレベルな〟タライ回し。

ウエルター級やミドル級がヘビー級に並ぶ、あるいは凌ぐ人気階級になる資格を有していることを世の中に発信しました。


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デュランはもちろん、レナードやハーンズの世界タイトル初戴冠を画像や活字で事後認知した私にとってドナルド〝ローンスター・コブラ〟は、世界戦線に躍り出た頃から日本の専門誌とリング誌、スポーツイラストレイテッド誌の三段構えで知ることが出来た近未来のスーパースターでした。

その物語は、当時の米国ボクシングの中核で、圧倒的な強さを見せていたハグラーを倒すことで完結する、世代交代のドラマになると期待されていましたが…
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エドガー・ベルランガの「1ラウンドKO記録」がどれほど意味のないことなのか、エドウィン・バレロの〝それ〟以下であることは散々指摘されてきました。

バレロのように「顎を引けない(ボクサーとしてあり得ない)」「口は開きっぱなし」「パンチの引きが異様に遅い」という欠陥を、パンチ力と弱い相手でごまかし続けたバレロのような、誰の目にも明らかな穴はないこと、プエルトリカンという血筋が、ベルランガを過大評価のぬるま湯につからせてきました。

カネロ・アルバレスに完敗しても、その商品価値が大きく下がらなかったことには、日本のボクシングファンは、米国ボクシングの病状が取り返しのつかない段階まで進行していることをあらためて実感させたものです。




そして、アマチュア時代からチキンの烙印を捺され、ボクシングファンから軽蔑(無視)され続けてきたシャクール・スティーブンソンが、ファイター相手に逃げ回らずに勝負して見せました。

倒せないのは、もうご愛嬌、不細工な顔面とあわせて許してあげてください。

今回は、相手が未熟すぎただけなのかもしれませんが、試合後にコールしたタンク・デービスとの試合はすぐやるべきでしょう…タンクがもろもろの犯罪係争で実刑判決くらったらおしまいですが。




そして、堤麗斗。

デビュー2戦目ながら、いずれもビッグイベントに出場は素晴らしい。

しかし、このレベルの相手といちゃつくのは、ここで線引きして良いのでは?

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ESPNの毎年恒例のMidyear boxing awards: Best KO, fighter, fight and more(各賞中間発表)を一部紹介。

そういえば、この世界最大のスポーツメディアはトップランクとの長年の業務提携を解消、ボクシング界からどんどん距離をとって離れています。

15年ほど前は、マニー・パッキャオやフロイド・メイウェザーの試合をリアルタイムで採点、解説してくれる充実ぶりで、WOWOWの放送とセットで視聴し「贅沢な時代になった」と感慨に耽っていたものです。

選者はAndreas Hale と Nick Parkinson。


【BEST FIGHT 】

H:クリス・ユーバンクJr. vs コナー・ベン
世代を超えた強烈なライバル関係。これほどの敵対関係は他にない。前宣伝が派手な試合はつまらない展開になりがちだが、この対決は見応え十分だった。

P:ファビオ・ウォードリー vs  ジャスティス・フニ
WBAヘビー級暫定王者決定戦。ウォードリーの劇的な逆転KO。




【BEST FIGHTER】

H:ドミトリー・ビボル
初戦の敗北から学習してアルツール・ベテルビエフにリベンジ。

P:ドミトリー・ビボル
ビボルがベストだということには同意する。すでに今年2試合を戦っている井上も素晴らしい。




【BEST KO】


ここもHとPは一致…

ブライアン・ノーマン vs 佐々木尽

むむむむむ…がんばれ!尽!また世界のリングに戻って来い!



【BEST MOMENT】

ここも一致。
Chris Eubank Jr. arrives at fight with his father.

ユーバンクJr.が父親と一緒に会場に姿を見せた瞬間。
確かに盛り上がってましたけど…日本人にはそこまで思い入れありません。

ーーー12ストーン(168ポンド)のスーパーミドル級は、カネロ・アルバレスの活躍もあって、英国だけでなく、いまや米国でも人気階級。

今年の上半期は「ユーバンクとベンの2世対決」が最大の注目だったということですか…。



【Biggest news story】

最も耳目を集めたニュース!

H:ジェイク・ポールによる女子ボクシングの隆盛。

P:マニー・パッキャオの電撃復帰。

ーーー報道の質量を見ると、そうなりますわな。

日本のBiggest news storyは「井上尚弥vs中谷潤人が来年激突で内定!」ですが、世界的には余程のマニアでないと興味関心は示してくれません…。

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7月4日はアメリカ合衆国の独立記念日でした。Fourth of Julyといえば、あの国ではそれだけで、それを指します。

高校・大学の友人知人や、会社の拠点もあることから、彼らとの交流は日常的にありますが、日米の温度差にはいつも驚かされています。

大谷翔平が米国で何番目に人気があるスポーツ選手なのかは、誰にもわかりません。それほど順位が低いということです。

あのベーブ・ルースをはるかに超える二刀流の記録を更新、タイム誌の表紙を飾り、CNNやニューヨークタイムズで大きな特集が組まれたセンセーションが有名でないなんてあり得ない…そう考える人はアメリカのことを何も知らない人です。

MLBファンやロスアンゼルスの一般的なスポーツファンまで絞り込むと間違いなく有名ですが。

個人的にも累積合算なら2年近く米国に〝住んで〟いますが、それは旅行や出張仕事の寄せ集め。

何度か書いていますが、私はいつか日本に帰る〝ゲスト〟の扱いで、誰からもどこからも差別された印象がありません。

「さすが自由な国だ」なんて思いもしましたが、現地に居を構えている友人知人は1人残らず「自分はマイノリティだ」と痛感しています。

あからさまな差別を受けた体験が何度もある、ということです。

多民族国家とは差別のない国ではなく、幾層にも根深い差別が存在する国のことです。

そして、米国の場合、その底辺にいるのがアジア人です。

野球ファンからですら、イチローに対する軽蔑の言葉は何度も見聞きしました。

大谷翔平にそれが無いは、彼がアジア人のステレオタイプから完全に逸脱しているからです。

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彼の国に遠く太平洋を超えて後乗りでやって来てたアジア人は、小さくて弱くて、勤勉で、人の嫌がる瑣末な仕事でも黙々とこなす。

アジア人に対する差別や憎悪が集中する環境が揃っています。

Bサイドのマニー・パッキャオがメキシコのスーパースター3人が布陣した包囲網を豪快に突破しても、多くのボクシングファンやテレビ局は最大の興味と関心を向けませんでした。

所詮は軽量級。

そういうことです。

一変するのは、オスカー・デラホーヤを撃破してからです。2008年12月8日、MGMグランドガーデン・アリーナの夜、あのときパッキャオはボクシング界の〝大谷翔平〟になったのです。

評価という一点では、パッキャオかライト級以下の軽量級で累積したレガシーの方が絶対的に巨大だというのに…。

名声という点では軽量級で出来ること、軽量級で浴する可能性のある運(軽量級ではあり得ないほど飛び抜けた人気と実力を兼ね備えた強豪との激突)をかき集めても、ボクシング界に与えるインパクトはウエルター級のスター1人に勝つ方がはるかに大きかったのです。



たかだか建国249周年の新米国家。

クイーンズベリー・ルール、近代ボクシングのルールが公布されたとき、まだフロンティアが太平洋に達していなかった、国の形も出来上がっていなかったアメリカ。

小さいものを無視して差別する国。



アメリカ、アメリカ、アメリカ…アーメン。




Fourth of July 〜 アメリカ、アメリカ、アメリカ…アーメン。②へ続く。

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ラモン・カルデナス戦のあと、日刊スポーツに寄せた手記で井上尚弥は「(ボクシングが)スポーツとして認知されてきたのは、先輩たちも含めたボクサーたちがイメージを変える努力をしてきたから。(中略)ボクシングはスポーツという考えを大事にしています。ぼくは高校時代にアマチュアからオリンピックを目指しましたし、スポーツとしてのボクシングの中で育ってきている。興行っていう言い方をしますけれども、ぼくの気持ちとしてはプロボクシングもスポーツなんです」と、ボクシングへの思いを語っています。

そして、「あくまで私見」と断った上で「観ている人が不快になるような煽りをぼくは好まない。(中略)ぼくはリング上のボクシングのパフォーマンスで魅せる、それを観に来てもらうという部分でのエンタメ性を追求してきました。不快になる煽り合いで注目を集めて集客するというやり方は、ぼくは肯定しません」。

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井上がこれまでも語ってきた「ボクシングを(スポーツとして)盛り上げたい」という、一貫した思いです。

「スポーツとして認知されてきたのは、先輩たちも含めたボクサーたちがイメージを変える努力をしてきたから」。日本では長らくスポーツとして認知され、そうではなかった時代はないので「イメージを変える努力」という言葉には違和感があります。

「観ている人が不快になるような煽りをぼくは好まない」というのは、これは誰もがそうでしょう。不快になる・ならないの境界線をどこに引のかは、非常に難しいとは思いますが。

一方で、かつて「辰吉さん(や畑山さん)のような盛り上がりを取り戻したい」とも発言しています。辰吉は、日本ボクシング史上屈指の煽り屋でした。

この違和感、矛盾は簡単に氷解します。

井上の言葉を〝直訳〟すると「薄汚い煽りに終始して、弱い相手につまらない内容で勝って世界王者を名乗る、スポーツであるボクシングを汚した亀田一家を許さない」ということでしょう。

NHKのドキュメンタリーで「井上家では世界チャンピオンなんて、軽々しく言える空気はなかった」と吐き捨てたのは、間違いなくもう一つの一家に対するもの。

ただ…亀田家の行いなど可愛いもので、あの一家ごときでボクシングを貶めるなんてことは出来ません。

亀田を無実の罪に被せようとし、正義の裁判で敗れた腐敗極まるJBC、腐敗とアルファベット団体はセットや!の認定団体、事実を誠実に報道しないメディア…ボクシングのステイタスを堕落させている元凶は亀田ではありません。

井上が恋焦がれた米国リングは日本以上に腐敗し切って、もはやスポーツとはみなされていません。

YouTuberとメキシコの七光の試合が最も大きな注目を集めるなんて、スポーツではありません。

野球ど素人のYouTuberが練習を重ねて、王貞治から三球三振を奪うーーーそんな対決が最も注目されるとしたら…野球はスポーツとして終わっています。




CompuBox Punch Stats

PUNCHESPAULCHAVEZ
Total landed14061
Total thrown482154
Percent29%39.6%
Jabs landed658
Jabs thrown30228
Percent21.5%28.6%
Power landed7553
Power thrown180126
Percent41.7%42.1%

“I want to be world champion. [Titleholder] Zurdo [Ramirez] looked slow tonight. That’s easy work too. Badou Jack Anthony Joshua. And Tommy [Fury the only man to have beaten him] stop running.”

セミファイナルに登場したWBA/WBOクルーザー級王者ヒルベルト・ラミレスについて「トロかったな。あれなら楽勝だ」と語り、バドゥー・ジャックやアンソニー・ジョシュア、唯一の黒星を喫したトミー・フューリーの名前を挙げ「俺から逃げるな」。

リング誌のマイケル・ロゼンタール編集長も it was a clear victory and another step in what he hopes will lead him toward a world title shot. (この明白な勝利で彼が望む世界タイトル挑戦へのステップをもう一段上がった)と意味不明の記事を書いています。

どうやら、変時点のチャベスJr.に勝つと世界挑戦につかづくようです。さすが権威のある雑誌、素人には全くわかりません。

極めて近い将来、ポールがアルファベットのベルトと、WBCの特別ベルトを肩にかけていそうです。

リング誌も王者と認定したりして…UFCメソッドを導入すると息巻いてますから、流石にそれはないか?



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Saturday 28, June 2025
  
Honda Center, Anaheim, California
commission:California State Athletic Commission 
event name:Paul vs. Chavez
promoter:Nakisa Bidarian, Oscar De La Hoya
matchmaker:Alex Camponovo, Mike Leanardi,
Javier Razo
doctor:Tariq Khan, Robert Ruelaz
view on DAZN PPV 





WBA/WBOクルーザー級王者ヒルベルト・ラミレスがユニエル・ドスティコスを迎え撃つタイトルマッチ。

メキシコ史上初のスーパーミドル、クルーザーの重量級2階級制覇を達成した〝スルド〟ラミレスはハンサムなメキシカン、人気者です。

スキップしたライトヘビー級はドミトリー・ビボルに完敗していることが、彼の評価に大きな重しになっているとはいえ、このイベントのタイトルは「Paul vs. Chavez」。

YouTuberのジェイク・ポールと、かつてカネロ・アルバレスとボクシング界の時期スーパースターの座を争ったフリオ・セサール・チャベスJr.。

チャベスJr.はボクサーとしてのキャリアは自滅に終わりましたが、39歳のいま、注目の茶番劇の舞台に上がります。

PFPファイター、WBCミドル級王者セルヒオ・マルチネスを追い詰めた激闘から13年。チャベスJr.はもはやかつてのファイターではありません。

一方、28歳のジェイクは純度100%、生粋の茶番劇ファイター。

直近のマイク・タイソン戦は「八百長ではない」と主張してるものの、手加減して倒しに行かなかったのは明らか。この試合はテキサス州コンバットスポーツ・プログラムが認定した公式戦でしたが、グローブは14オンス、1ラウンド2分のタイソン保護ルール、茶番を極めた一戦でした。

オッズはYouTuberの勝利が1/6(1.67倍)、七光りが9/2(5.5倍)。

YouTuberの茶番劇は、タイソン戦から〝終わったビッグネーム狩り〟路線に入っており、来年にもアルファベットタイトルへの挑戦が予想されています。

認定団体のデタラメランキングならランキング入りは簡単、デタラメランカーとの決定戦なら史上初の茶番劇100%王者が誕生します。

しかし、そのあとジェイクはどうするつもりなんでしょうか?




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リング誌に関しては、サウジアラビア総合娯楽庁に買収されてから批判的な立場を取ってきました。

それは現在も変わりません。

彼らがビジネスとして全く魅力のないボクシング界に乗り出した最大の動機は何なのか?

「長年のボクシングファンとして、ボクシング界が堕落していく姿を見るのが耐えられなかった」というトゥルキ・アル=シャイフ長官の言葉を信じる人はいないでしょう。

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「ロゴがダサくなった」「イラスト調の表紙が嫌い」と、どうでもいいことまで否定してきましたが、この7月号の表紙は過去イチでは?


大きな観点から「サウジの狙いはスポーツ・ウォッシュ」というのは、これまでも指摘してきましたが、「それをどうしたら正せるのか?」と問われると何も答えることができません。

北朝鮮が世界最大の産油国なら同じことをやっていたでしょうし、小さな観点から見るとサウジがやっていることは従来の欧米のプロモーターでは実現できなかった、あるいは大幅に実現が遅れたことが間違いない、ファンが求める試合を次々に提供したことです。

さらに、腐り切ったボクシング界の血を、最もスポーツライクなUFCの血と入れ替え、認定団体のデタラメランキングや金儲け以外に意味のない水増し階級の廃止まで匂わせてます。

もちろん、大きな視点も小さな視点も全く無関係ではなく、トゥルキ・アル=シャイフ長官が標榜する「ボクシングに再び尊厳と人気を取り戻する」目標を達成することは、効果的なスポーツウォッシュに直結します。

サウジはボクシングファンの〝大きな観点〟をはるかに超越するレベルで、ロシアとウクライナの停戦協議の場を作るなど、国際政治の舞台でも存在感を増しています。

ここで書くべきではないことをダラダラと垂れ流してしまいました。


さて、私が80年代から2022年まで愛読していたリング誌と、昨年末に復活したリング誌は全く違う雑誌です。

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1922年の創刊号⬆︎はプロモーターのテックス・リチャードと、英国貴族のロード・ロンズデール。いわゆる「運営側」の人間がオモテ(表紙)に出る形でした。

そして、100年後の2022年の最終号⬇︎はジャック・デンプシー。

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ここに込められたのは、ランキング操作などのスキャンダルに塗れて信頼をどんどん失って没落していったリング誌に欠けていたのは「ファン」目線だったという反省です。

創刊号は山師のリカードや英国貴族などではなく、ベーブ・ルースも凌ぐ大衆のヒーローだったジャック・デンプシーを表紙にすべきだったという、100年越しの思いが詰まった最終号でした。

個人的には私が手に取った40年以上前でも、ボクシングファンが楽しめる記事が多くありました。

認定団体のランキングは狂っている、階級の増設はタイトルの価値を貶める、PFPは弱者の言い訳ーーー現在の私のボクシング観を形作ってくれたのは、間違いなくリング誌でした。

瑣末な話になりますが、高校時代に図書室がリング誌を定期購読していなければ、タイム誌やニューズウイーク誌などにも手を伸ばしたかどうか、わかりません。

スポーツイラストレイテッド誌やリング誌は私にとって偉大な英語教師であり、青春時代の思いが詰まりまくった雑誌です。

感傷に浸っている場合ではありません。



「モンスター上陸」です。

「陣営」が最後の1日まで必死でチケットを自分たちで買いまくった、本来ならラスベガスを訪れる上客にプレゼントされるタダ券が一般客にばらまかれた、T−モバイル・アリーナが閉場するまでの歴史に残る無惨なワースト興行、井上のキャリア最高の報酬はどこから出てきたのか?…そんな興行にまつわる話は一切ありません。

さらに、井上の話は少ないものの、ルディ・エルナンデス(日本では有名な海外トレーナーですが世界的には無名)が語る中谷潤人との頂上決戦はなかなか面白く読めました。


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