ウェルター級の牙城に最も接近した日本人、それは尾崎富士雄です。
尾崎のプロデビューは1980年。
当時の私はまだ日本の新人選手にまで注目するほど、ボクシングに惹きつけられていませんでしたが、尾崎が日本タイトルを獲ったり、獲られたりを繰り返していた80年代中盤には後楽園ホールに観戦に行ったり、深夜に放送される試合を見てボクシングに耽溺していました。
それにしても、尾崎は不思議なボクサーです。
全日本新人王決定戦で赤井英和に3ラウンドKO負け。日本ライト級王座に就くものの、シャイアン山本(判定負け)。再戦で雪辱するも、友成光(7ラウンドKO負け)。
一気にウェルター級に串木野純也を判定で下して日本王座2階級制覇。
1986年2月に田端信之に競り負けて陥落、4ヶ月後の再戦では5ラウンドKOで奪回。
〝和製〟デュランの尾崎と、〝和製ハーンズ〟の田端はノンタイトルの10回戦で戦った初戦(尾崎の4ラウンドKO勝)からラバーマッチまで繰り広げた三部作でした。
尾崎は後楽園ホールのスター、大好きな選手でしたが、どう考えても〝日本〟どまりのボクサーにしか見えませんでした。
同じ帝拳の浜田剛史に期待されていた「世界」は、尾崎には無縁のものに思えませんでした。
しかし、日本タイトルを2連続KO防衛した和製デュランに世界戦のオファーが舞い込みます。
当時のウェルター級シーンは、レナードとハーンズ、デュランが主戦場をミドル級に移した〝真空地帯〟を無敗のまま完全統一を果たしたドナルド・カリーが制圧したはずでしたが、統一王座2度目の防衛戦でロイド・ハニーガンに大番狂わせを食らって陥落、群雄割拠の混乱期を迎えていました。
そんな群雄の1人、悪く言えば〝烏合の衆の1人〟WBA王者マーロン・スターリングが初防衛戦の相手に選んだのが尾崎でした。
1988年2月5日。ニュージャージー州アトランティックシティはコンベンションセンター。当時は西のラスベガス、東のアトランティックシティが〝聖地〟。1月22日には「マイク・タイソンvsラリー・ホムズ」のメガファイトが行われたばかりでした。
この試合は、HBOのハロルド・レダーマンやリング誌、ニューヨークタイムズなど米国の複数のメディアが尾崎の勝利を支持するなど、多くの人の目には26歳の日本人が28歳のマジックマンを押し切ったように見えました。
しかし、オフィシャルは118−110/117−114/117−112の大差判定負け。スコアが読み上げられるとスターリングに激しいブーイングが浴びせられ、尾崎には「お前が勝っていた」と拍手が送られました。
米国で「勝者はオザキ」(ニューヨークタイムズ)と讃えられた大健闘の一戦。
それは、米国の人気階級に斬り込んだサムライの一閃でした。
しかし、日本のボクシングマガジンでは「井岡、劇的KO防衛」「タイソンが老雄粉砕」に隠れたばかりか「神代は不運な敗北」「六車が無念のドロー」よりも下の扱いでした。
何でもかんでも鬼畜米英におもねる必要なんて、あるわけがありません。奴らとは価値観が全く違うわけですから。
お店の方に「申し訳ないけど…」とお願いすると「海外の方には多いですよ」と、ちゃんと「ハインツ」を持ってきてくれました。
私も興味本位で「ケチャップてっさ」を食べましたが…。オーマイガッ!!!でした。
個人的には軽量級のボクシングは、テレビで見るには最高に面白いと確信しています。
しかし、奴らの土俵を〝本場〟〝聖地〟というなら、そこを踏み潰したいと願うなら、奴らが注目している階級、奴らの視界にある階級で、奴らが強いと認めているファイターを打ち負かすしかないのです。
彼らが視界にない階級で、MGMグランドの宴会場や会議室で試合をしても、埒は開かないのです。
西岡利晃や井上尚弥の「〝本場〟〝聖地〟で爪痕を残した」「ファイトマネー100万ドル」とかいう大本営発表のバカ報道は、思考能力ゼロのファンを踊らせるだけ、〝ウソ〟をついてごまかしているだけで、本来の目的からどんどん離れていくだけです。
「このまま防衛戦を重ねていけばファイトマネーは天文学的数字になる」とウソぶいた大橋秀行は〝敗北宣言〟をして、日本のボクシングファンに事実と真実を伝えるべきです。
トップランクとの契約内容はわかりませんが、白紙に戻されているか、更新されていないのではないでしょうか?
井上を「全く無名」と切り捨て、アラン・ディパエン戦を1文字も報道しなかったトップランクの〝広報〟ESPNはには怒りさえ覚えます。
井上レベルの国内人気がある軽量級なら、米国なんかで試合をする必要はまず、ありえません。
もちろん、井上が米国や敵地に引っ張り込まれるほどのスターが相手なら別ですが、そんなのは現在のフェザー級以下のクラスには見当たりません。
日本人が戦う13階級の中で、11番目のウェルター級の世界王者だけがすっぽり抜け落ちているのは、メディアの報道姿勢や、メディアに踊らされる一部のファンにも遠因があります。
「ラスベガスでPPVで20億円」はフライ級やバンタム級ではありえません。フェザー級やライト級でもありえません。
ソフトボールの選手を大谷翔平にたとえたり、ビーチサッカーを欧州トップリーグと同列に見るのと同じ、暗愚の極致です。
人気階級のミドル級でもカザフ人のゲンナディ・ゴロフキンの単体での商品価値は、日本市場での井上以下です。
その井上も「米国ではバンタム級の日本人」。まともに視界に入れてもらえるわけがありません。
〝本物の米国ボクシング〟に風穴を開けるという意味では「村田諒太は全く特別な存在」と大きな神輿を組み上げた電通のプロジェクトチームが目指した方向は全く正しいものです。
井上や井岡の試合の方が、ほとんどのヘビー級やミドル級よりも技術的に優れていて、見応えがあります。
しかし、米国の軽量級は州・国内ランキングをまともに組めないのが現実。無視される、というよりも認知されないのも仕方がありません。
敬虔な井上信者でもクルーザー級のラトビア人が「日本で試合させて」と押し売りに来ても、高額の放映権料とか憧れ料を払ってくれない限り、お断りだという理屈は理解できるでしょう。
日本ではラトビア人は誰も知りません。平均的なボクシングファンでも、クルーザー級の世界王者の名前は1人も挙げられないかもしれません。
それが、広い意味での文化です。 北欧でのバンタム級は、日本のクルーザー級以下の認知です。ボクシングファンでも「バンタムとフライ、ストローを軽い順に並べて」という質問に正答できないかもしれません。
米国や欧州で納豆を大ヒットさせようなんて、絶対不可能なのです。
やるなら、奴らの度肝を抜くようなステーキや、ハンバーガーを喰わせることです。マニー・パッキャオのように。
日本人がウェルター級で世界を獲れない最大の理由は、チャンスが少なすぎるということです。
その次に、軽量級よりも選手層が厚い、報酬も高額、つまりレベルが高いということ。
そして、それ以下の遠因として、日本のメディアの誤解を招く報道や、それを鵜呑みにする一部のファンの存在があります。
「なんだ、井上って米国では無名で、バンタム級なんて見向きもされないんだ。だから井上や軽量級は大したことがない」ということでは、もちろんありません。
大相撲や将棋のように、米国で全く評価されなくても日本人が楽しんでいる超ハイレベルで味わい深い〝納豆〟はいくらでもあります。
大谷翔平のように、明らかに米国を揺るがしている存在は、米国コンプレックスの私たちにとってはこのうえなく痛快なことです。
しかし、それを事実や真実を歪めてまで、ボクシングの軽量級に無理やり押し込むのはもうそろそろ終わりにする時期です。
そして、大谷のように〝それ〟をやるなら、奴らの人気階級で、奴らのお気に入りのファイターを破壊するということでしか、成し遂げることは出来ないのです。
尾崎のプロデビューは1980年。
当時の私はまだ日本の新人選手にまで注目するほど、ボクシングに惹きつけられていませんでしたが、尾崎が日本タイトルを獲ったり、獲られたりを繰り返していた80年代中盤には後楽園ホールに観戦に行ったり、深夜に放送される試合を見てボクシングに耽溺していました。
それにしても、尾崎は不思議なボクサーです。
全日本新人王決定戦で赤井英和に3ラウンドKO負け。日本ライト級王座に就くものの、シャイアン山本(判定負け)。再戦で雪辱するも、友成光(7ラウンドKO負け)。
一気にウェルター級に串木野純也を判定で下して日本王座2階級制覇。
1986年2月に田端信之に競り負けて陥落、4ヶ月後の再戦では5ラウンドKOで奪回。
〝和製〟デュランの尾崎と、〝和製ハーンズ〟の田端はノンタイトルの10回戦で戦った初戦(尾崎の4ラウンドKO勝)からラバーマッチまで繰り広げた三部作でした。
尾崎は後楽園ホールのスター、大好きな選手でしたが、どう考えても〝日本〟どまりのボクサーにしか見えませんでした。
同じ帝拳の浜田剛史に期待されていた「世界」は、尾崎には無縁のものに思えませんでした。
しかし、日本タイトルを2連続KO防衛した和製デュランに世界戦のオファーが舞い込みます。
当時のウェルター級シーンは、レナードとハーンズ、デュランが主戦場をミドル級に移した〝真空地帯〟を無敗のまま完全統一を果たしたドナルド・カリーが制圧したはずでしたが、統一王座2度目の防衛戦でロイド・ハニーガンに大番狂わせを食らって陥落、群雄割拠の混乱期を迎えていました。
そんな群雄の1人、悪く言えば〝烏合の衆の1人〟WBA王者マーロン・スターリングが初防衛戦の相手に選んだのが尾崎でした。
1988年2月5日。ニュージャージー州アトランティックシティはコンベンションセンター。当時は西のラスベガス、東のアトランティックシティが〝聖地〟。1月22日には「マイク・タイソンvsラリー・ホムズ」のメガファイトが行われたばかりでした。
この試合は、HBOのハロルド・レダーマンやリング誌、ニューヨークタイムズなど米国の複数のメディアが尾崎の勝利を支持するなど、多くの人の目には26歳の日本人が28歳のマジックマンを押し切ったように見えました。
しかし、オフィシャルは118−110/117−114/117−112の大差判定負け。スコアが読み上げられるとスターリングに激しいブーイングが浴びせられ、尾崎には「お前が勝っていた」と拍手が送られました。
米国で「勝者はオザキ」(ニューヨークタイムズ)と讃えられた大健闘の一戦。
それは、米国の人気階級に斬り込んだサムライの一閃でした。
しかし、日本のボクシングマガジンでは「井岡、劇的KO防衛」「タイソンが老雄粉砕」に隠れたばかりか「神代は不運な敗北」「六車が無念のドロー」よりも下の扱いでした。
何でもかんでも鬼畜米英におもねる必要なんて、あるわけがありません。奴らとは価値観が全く違うわけですから。
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話は逸れますが、仕事関係で今も仲良しの鬼畜の一匹は、20年近く前に「てっさ」を一口食べて「ケチャップをかけたい」と泣きついてきたのです。お店の方に「申し訳ないけど…」とお願いすると「海外の方には多いですよ」と、ちゃんと「ハインツ」を持ってきてくれました。
私も興味本位で「ケチャップてっさ」を食べましたが…。オーマイガッ!!!でした。
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個人的には軽量級のボクシングは、テレビで見るには最高に面白いと確信しています。
しかし、奴らの土俵を〝本場〟〝聖地〟というなら、そこを踏み潰したいと願うなら、奴らが注目している階級、奴らの視界にある階級で、奴らが強いと認めているファイターを打ち負かすしかないのです。
彼らが視界にない階級で、MGMグランドの宴会場や会議室で試合をしても、埒は開かないのです。
西岡利晃や井上尚弥の「〝本場〟〝聖地〟で爪痕を残した」「ファイトマネー100万ドル」とかいう大本営発表のバカ報道は、思考能力ゼロのファンを踊らせるだけ、〝ウソ〟をついてごまかしているだけで、本来の目的からどんどん離れていくだけです。
「このまま防衛戦を重ねていけばファイトマネーは天文学的数字になる」とウソぶいた大橋秀行は〝敗北宣言〟をして、日本のボクシングファンに事実と真実を伝えるべきです。
トップランクとの契約内容はわかりませんが、白紙に戻されているか、更新されていないのではないでしょうか?
井上を「全く無名」と切り捨て、アラン・ディパエン戦を1文字も報道しなかったトップランクの〝広報〟ESPNはには怒りさえ覚えます。
井上レベルの国内人気がある軽量級なら、米国なんかで試合をする必要はまず、ありえません。
もちろん、井上が米国や敵地に引っ張り込まれるほどのスターが相手なら別ですが、そんなのは現在のフェザー級以下のクラスには見当たりません。
日本人が戦う13階級の中で、11番目のウェルター級の世界王者だけがすっぽり抜け落ちているのは、メディアの報道姿勢や、メディアに踊らされる一部のファンにも遠因があります。
「ラスベガスでPPVで20億円」はフライ級やバンタム級ではありえません。フェザー級やライト級でもありえません。
ソフトボールの選手を大谷翔平にたとえたり、ビーチサッカーを欧州トップリーグと同列に見るのと同じ、暗愚の極致です。
人気階級のミドル級でもカザフ人のゲンナディ・ゴロフキンの単体での商品価値は、日本市場での井上以下です。
その井上も「米国ではバンタム級の日本人」。まともに視界に入れてもらえるわけがありません。
〝本物の米国ボクシング〟に風穴を開けるという意味では「村田諒太は全く特別な存在」と大きな神輿を組み上げた電通のプロジェクトチームが目指した方向は全く正しいものです。
井上や井岡の試合の方が、ほとんどのヘビー級やミドル級よりも技術的に優れていて、見応えがあります。
しかし、米国の軽量級は州・国内ランキングをまともに組めないのが現実。無視される、というよりも認知されないのも仕方がありません。
敬虔な井上信者でもクルーザー級のラトビア人が「日本で試合させて」と押し売りに来ても、高額の放映権料とか憧れ料を払ってくれない限り、お断りだという理屈は理解できるでしょう。
日本ではラトビア人は誰も知りません。平均的なボクシングファンでも、クルーザー級の世界王者の名前は1人も挙げられないかもしれません。
それが、広い意味での文化です。 北欧でのバンタム級は、日本のクルーザー級以下の認知です。ボクシングファンでも「バンタムとフライ、ストローを軽い順に並べて」という質問に正答できないかもしれません。
米国や欧州で納豆を大ヒットさせようなんて、絶対不可能なのです。
やるなら、奴らの度肝を抜くようなステーキや、ハンバーガーを喰わせることです。マニー・パッキャオのように。
日本人がウェルター級で世界を獲れない最大の理由は、チャンスが少なすぎるということです。
その次に、軽量級よりも選手層が厚い、報酬も高額、つまりレベルが高いということ。
そして、それ以下の遠因として、日本のメディアの誤解を招く報道や、それを鵜呑みにする一部のファンの存在があります。
「なんだ、井上って米国では無名で、バンタム級なんて見向きもされないんだ。だから井上や軽量級は大したことがない」ということでは、もちろんありません。
大相撲や将棋のように、米国で全く評価されなくても日本人が楽しんでいる超ハイレベルで味わい深い〝納豆〟はいくらでもあります。
大谷翔平のように、明らかに米国を揺るがしている存在は、米国コンプレックスの私たちにとってはこのうえなく痛快なことです。
しかし、それを事実や真実を歪めてまで、ボクシングの軽量級に無理やり押し込むのはもうそろそろ終わりにする時期です。
そして、大谷のように〝それ〟をやるなら、奴らの人気階級で、奴らのお気に入りのファイターを破壊するということでしか、成し遂げることは出来ないのです。



コメント
コメント一覧 (4)
フシ穴の眼
が
しました
巷で言われる普段のパフォーマンスならいけるだろうし、29にもなる今、何を躊躇してるのか不思議でしょうがないです。こんな稀有な能力を持った選手が中々出ないことは周囲も理解しているだろうに。
無敗でここまできてしまったことが災いしてるのでしょうね。
フシ穴の眼
が
しました