4年前の8月に書いたこのお話を、こんな形で繋ぐことができるとは、当時は想像もできませんでした。

ありがとう、中谷正義!

今月、私はもう一度中谷にお礼を言うことになるでしょう。「世界的な強豪を打ち負かしてくれて、ありがとう」と。

Q:いったい誰がロマチェンコに勝てるというのか?

A:中谷正義です。

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ワシル・ロマチェンコは、アマチュア史上最高のボクサーの一人です。

しかし、プロでも史上最高の論議に乗せるとしたら、冗談は負け惜しみだけにしろ、という話になります。

フェザー級では確かに素晴らしかったし、ジュニアライトでもそこそこのパフォーマンスを見せました。 
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フランスのスポーツ専門日刊紙レキップ(L'Équipe)が伝える「リングの中の魔法使い」。中谷の大番狂わせは「魔法を解いたのは日本人!」と報じるのでしょうか?


しかし、ライト級ではどうでしょうか?

ホルヘ・リナレスには綺麗にダウンを奪われ、テオフィモ・ロペスには押し切られました。

ロマチェンコは、現代のライト級シーンでも傑出した存在ではありません。

本人は「肩の故障」を不調の理由にあげていますが、とにかく言い訳の多い見苦しい選手です。

そして、潔癖性でお上品なスタイルは、フェザー級時代からタフなゴリゴリ雑菌ファイターに苦戦する傾向がありました。その苦手意識はライト級でさらに深まっています。

ハイテクの見た目は確かに麗しいのですが、その技術の本質は階級の壁に簡単に跳ね返される見栄えだけが良い薄っぺらいものです。

アマチュアの短い試合専用に完成されたという、性格もあるでしょう。「番狂わせは、起こすものではなく起こされちゃうもの」という、おぼっちゃまスタイルのボクサーです。

プロで、スター選手を求めて上の階級を目指すというのは出来ない、自分の庭から外には怖くて踏み出せない内弁慶なテクニシャンです。

マニー・パッキャオやフロイド・メイウェザーと比べると、プロボクサーとしてはいくつもステージが下のボクサー、それがロマチェンコの正体でしょう。

階級の壁にぶち当たって、このご時世でライト級で頭打ち。ブローナーみたいなB級でもちょっとは沖合に出る4-Belt Eraにもかかわらず、このウクライナのチキンは浅瀬に引きこもりです。

ロマを評価する人でも「じゃあホセ・ラミレスに勝てるか?」と聞かれたら、言葉に詰まるでしょう。

「散歩のついでに(ブローナーでも)4階級制覇」。そんな、階級制覇バーゲンセールの時代に「ジュニアウェルター級は無理」と白旗あげてるのがロマチェンコです。


そこに立ち塞がるのが、鋼鉄製のアゴとライオンハートを持つ、身長182㎝/リーチ180㎝の巨人です。

希代のエリートアであることは間違いありませんが、アマ戦績396勝1敗というのは、笑いどころです。

アマチュアボクシングは神聖で紳士のスポーツだから、戦績は自己申告制だと思い込んでいるのかもしれません。

この33歳のウクライナ人に、プロ戦績も聞いてみると「16戦全勝。負けたことは一度もない」と顔色ひとつ変えずに答えそうです。

先日、ロマ自己申告でテオフィモ・ロペス戦は「引き分け」になったから、15勝無敗1分になっているかもしれませんが、彼は敗北を受け入れることが出来ない特異体質なのです。

いずれにしても、ウクライナのハイテクは「負けた」とは認めない病気です。

それも重症の。

早く治療してあげなくてはならないと思ってたところに、最高のドクターが現れました。

荒療治専門の名医はネチネチとハイテクを削っていくはずです。

そして、ロマチェンコは「不当判定だ。到底受け入れることなど出来ない」と負けたときの決まり文句を、今回は吐くことが出来ません。

なぜなら、主審から「続けられるか?」と聞かれて、首を振り、自ら負けを認めてしまうからです。

ライト級では異形のフレームとタフネスを持つ中谷の目の前に現れるのは、体格差を超えるのが大の苦手のフェザー級がピークのウクライナ人です。

アマチュアルールなら中谷は3ラウンド完封負けかもしれませんが、プロの試合はそこから9ラウンドも残されています。ロマチェンコは27分間もの長い〝アディショナルタイム〟を逃げ切れるでしょうか?