Breez is Nice!

軽量級の聖地は日本であって、ラスベガスではありえません。

報酬に焦点を当てると、そのことは明らかです。

防衛戦が生中継される日本人世界王者の1試合当たりのファイトマネー相場は2000〜4000万円です。この金額を明白に上回る報酬を安定的に受け取っている軽量級はレオ・サンタクルス、アブネル・マレスなどほんの一部の人気メキシカンだけです。

ノニト・ドネアのキャリアハイは、フェルナンド・モンティエルとのバンタム級統一戦でしたが、この時の報酬は35万ドル。やはりキャリア最大の大勝負の舞台に上がったモンティエルは25万ドルと東京で長谷川と戦った試合(5000万円以上とも言われています)を大きく下回りました。

この二人の実力・実績が日本人王者をはるかに凌駕していることは誰もが認めるところですが、報酬には全く反映されなかったことになります。

同じメキシカンでもサンタクルスとモンティエル、人気のある無しで(強い相手に勝つ、根性むき出しのエキサイティングな試合を見せる、という実力が人気につながるとはいえ)大きな差がついてしまうのです。


=「マイケル・カルバハルvsウンベルト・ゴンザレス」以来の軽量級ビッグファイトというふれこみだったドネアvsモンティエルでしたが、各100万ドルを超える報酬を手にした前者に対して、寂しいファイトマネーでした。

ドネアは、「パッキャオ2世」の期待がかけられ、ゴールデンボーイプロモーションが強引な引き抜き工作を図ったことで、意地になったトップランクが破格の待遇で引き止めます。ギジェルモ・リゴンドー戦では100万ドルを超える報酬を手にするドネアですが、その金額がドネアの人気(興行規模)と全く釣り合いが取れていないのは明らかで、トップランクにとってドネアは不良債権となります。

リゴンドー戦で一気に評価を落とした不良債権ドネアに、トップランクは咬ませ犬としての試合を求めます。ジャマイカの怪人、ニコラス・ウォータースとの一戦には「私は誰とでも戦う。この試合にサインしたことがその証拠だ」と語りましたが、プロモーターから強要された試合であったことを伺わせました。

パッキャオみたいに勝ってプロモーターを見返せばいいんだ!というのは簡単ですが、誰だって自分のキャリアを大切にしたいものです。

その後もトップランクは傘下のヒスパニックのスター候補の踏み台にドネアの名前を使おうとし続け、ついに昨年11月、ジェシー・マグダレノにタイトルを奪われてしまいます。

トップランクはドネアの血の最後の一滴まで吸い取るつもりです。ウォータースに惨敗して「フェザーは自分には不可能」と階級の壁を嫌という程思い知らされたにもかかわらず、年末からオスカー・バルデスのフェザー級王座への挑戦を執拗に押し付けてきました。

ウォータースを上回る強打のバルデスは危険過ぎる相手な上に、まだ名声を得ていないから、勝てたとしても大きな評価は期待出来ません。

バルデス側から見たら、落ち目で名前のあるドネアは丁度食べ頃の美味しい相手。

高額な契約期間はまだ残されていましたが、ドネアの方から「もうやめてくれ。今はバルデスと戦う準備が出来ない。契約を解除してくれ」と申し出て、トップランクは渡りに船とこれを受け入れ、8年間にわたる蜜月関係が終わりました。

一方で、ドネアは最後の死に場所を探しています。それは皮肉にもフェザー級になるでしょう。バルデスのようなまだ名前はないけど実力十分のホープではなく、サンタクルスやマレスの人気者に、アイルランドの英雄カール・フランプトンといったビッグネームを求めてフェザー級へ。

「126ポンド(フェザー級)で戦うことになる。この階級のベストと戦いたい」と悲壮な決意を語るドネア。

もし彼が、軽量級の本場、日本で戦う日本人だったなら…長谷川穂積がそうだったように、優しいソフトランディングが用意されたことでしょう。ドネアが日本人なら、アメリカで戦う必要など微塵もありませんでした。

ドネアがトップランクから咬ませ犬としての試合を強要されている時期と同じくして、同胞のパッキャオはトップランクが用意した相手(無名のオージー、ジェフ・ホーン)を無視、「UAEでアミール・カーンと戦う」とぶちまけましたが、トップランクは「UAEは信じられないが、パッキャオが選ぶ方を支援する」と追従、リングの外でも弱肉強食のボクシング、残酷なコントラストを見せつけました。

ボクシングの世界は本当に残酷です。リングの中でも、リングの外でも。もしかしたら、リングの外の方がずっと残酷なのかもしれません。リングの中の残酷さだけに集中出来る日本人軽量級ボクサーは本当に幸せだと思います。

日本やメキシコなど、強力なファンベースを持たない国のボクサーにとっては「自分たちは闘鶏の鶏と同じ。強い間は大切にされ、負けたら捨てられるだけ」。パッキャオの言葉が突き刺さります。

「それでも、自分たちと鶏の違いは、奴らが俺たちを利用するように、こっちも奴らを利用するということだ」。

ドネアには是非頑張って欲しいですね。咬ませ犬になったって、ドネアはドネア。温室育ちのメキシカンに最後のひと噛みを浴びせつけて下さい。

聖地に生まれなかった不運をバネにして、ファンだけでなくプロモーターにも一泡ふかせようと歯をくいしばるファイターに幸あれ!

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まだ「地球」が大きく、海外が遠い彼方だった時代、日本人にとってボクシングの世界タイトルマッチとプロレスだけが、世界を体感出来る舞台でした。

白井義男が世界王者になったときのインパクトは、野茂英雄の比ではなかったでしょう。

そして、力道山のプロレス(全盛期はスポーツとして報道されていました)がスポーツでなくなった瞬間から、ボクシングの四角いリングだけが「世界」と触れることが出来る出島となりました。

もちろん、大相撲とプロ野球も人気スポーツではありましたが、土俵や野球のグラウンドからは「世界」の風は感じることは出来ませんでした。

ファイティング原田の試合の視聴率が、それが世界戦でなくとも巨人大鵬を軽く凌駕するのは全く不思議なことではない時代だったのです。

しかし、1964年東京オリンピックで正真正銘の世界を体験してから、ボクシングの〝世界〟の存在感はどんどん希薄になっていきます。


=リング誌電子版(2010年6月25日)から「フライ級のトップは東京を目指す」

昨年11月に旭日小綬章を受章した原田の現役時代に、もし国民栄誉賞があれば間違いなく選ばれていたでしょう。ポスト原田の時代もボクシングは何とかメジャースポーツの一角に踏み止まります。

1976年2月17日に輪島功一が圧倒的不利予想を覆して柳済斗から世界ジュニアミドル級王座を奪還した翌日、新宿の銀行に人質をとって立てこもった強盗犯人に警官が「昨日の輪島を見たか!あの根性を見習って人生をやり直せ!」と説得したエピソードはあまりに有名です。

これは現代では通用しませんね。「昨日の井上尚弥を見たか!」と言われても銀行強盗の方が「誰だ?それは?」と戸惑ってまうでしょう。今では、ボクシングは完全にマニアのスポーツに転落、世界王者は誰もが知っていて当たり前の「共通語」ではなくなりました。

その輪島の時代ですら、ボクシングの地盤沈下が危惧されていました。原田の時代には週に5日!もゴールデンタイムで定期放映されていたプロボクシング番組は激減、日本タイトルマッチですら生中継されないことが珍しくなくなりました。

ボクシングの地位が凋落していく一方で、日本は世界の経済大国としての道を一気に駆け上がります。円の強さは圧倒的で、貧困に喘ぐ国の選手が多い軽量級では世界戦を招致することは以前にも増して難しいことではなくなり、世界中の軽量級選手が「ボクシングの本場・日本」を目指す傾向が決定的になりました。

70〜80年代に世界の軽量級を彩ったアレクシス・アルゲリョ、ウィルフレド・ゴメス、ジェフ・チャンドラー、エウセビオ・ペドロサといったビッグネームも、世界王者として日本のリングに立ちました。彼らですら、強い経済基盤を持つ日本人挑戦者に対してはBサイドに回らざるをえなかったのです。

米国人のチャンドラーは世界王者になっても、アメリカでは無名の存在であることを嘆いていましたが、村田英次郎との2戦は日本のファンの記憶に永遠に刻まれています。

70年代まではフェザー以下の軽量級だけでなく、ジュニアライトやジュニアウエルター、ジュニアミドルといったいわゆる「隙間階級」でも豊かな円を背景に日本のリングは強烈な磁場を放って世界戦を引き寄せ続けました。

80年代になってウエルター級のスーパースター達が続々とジュニアミドルに進出する過程で、この階級は「隙間階級」の性格を急速に失っていき今に至ります。今日、カネロ・アルバレスを後楽園ホールに呼んで日本人と試合させるなんて想像すら出来ませんが、ジュニアミドルの聖地が日本だった時代も間違いなくあったのです。

聖地は巡ります。

70年代までは「フェザー以下と隙間階級」で日本、「ヘビー級を筆頭に人気階級」ではアメリカと玉虫色に分けられていた〝聖地〟は、スター選手が中量級の隙間階級を埋めていく中で、日本が聖地である階級は「フェザー以下の軽量級(メキシコの人気選手は例外)」に集約されていきます。

聖地は巡ります。

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先日、 NHKで放送された「あの負けで私は強くなった『ボクシング・長谷川穂積』」。

ご覧になった方も多いと思います。素晴らしい出来栄えの番組でした。ボクシングファンとしては、ああいう番組をもっと、もっと観たいですね。

番組の中で、長谷川穂積はフェルナンド・モンティエルに負けたことで「〝ボクシングの本場・ラスベガス進出〟の夢が絶たれた」と語りました。その一方で、モンティエルは13歳の時に落書きのように書いた「〝東京〟で世界王者になる」という紙切れを大切に額縁に入れて、自宅に飾っていました。

それは、日本の多くのボクサー(トップ選手でさえ)やファンが「ボクシングの本場はとにかく、何が何でもベガス!だってベガスはかっこいいから!」と倒錯的に誤解していることを表す象徴的な場面でした。

モンティエルはラスベガスなど米国西海岸で戦い続けていましたが、その1試合の報酬は日本のサラリーマンの平均年収にも届かないものでした。3階級制覇した、ファンベースのあるメキシコ人王者ですら、人気選手でなければそれが現実なのです。同胞のエリック・モラレスやアントニオ・マルコ・バレラといったスター選手の報酬とは、桁が二つも違いました。

長谷川vsモンティエルは日本でやったからこそ、あれほどの熱気を孕んだのです。もし、無理やりベガスでやったら興行規模も盛り上がりも半減どころじゃ済まなかったでしょう。MGMグランドアリーナやマジソンスクエアガーデンの大会場でメインイベントなんて絶対にありえません。ドネアvsギジェルモ・リゴンドー戦のような、軽量級の面白さを理解出来る日本のファンが見ると、悲しいほどひっそりした舞台になっていたことでしょう。

同じことが西岡利晃vsノニト・ドネアにも言えます。「スーパーバンタム級で日本のエースがPFP10傑に数えられるドネアに挑む」。日本でやった方が、はるかに注目されます、報酬も膨らみます、その光景は世界に報道されます。でも、ベガスでやると「どこでもある不人気階級の世界戦の一つ」でしかありません。西岡ドネアが日本開催ならどれほど盛り上がっていたことでしょう。この試合より前に「ベガスが本場」に取り憑かれた暗愚な人々が西岡vsラファエル・マルケスを「MGMでメイン」と吹聴して開催してしまいましたが、あれこそまさに喜劇でした。

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=モンティエルは「日本や東京はボクシングを始めた頃から知っていた。日本で開催される(軽量級の)世界タイトルマッチが最も大きな報酬と名誉をもたらしてくれると教えられてきたから」と長谷川戦前に専門誌で語っていましたが、番組ではそこには触れていません。

長谷川は「ほんまや!TOKIO JAPONって書いてある!」と、モンティエルが少年時代に書いた夢の言葉に見入ってましたが、その驚きは「未来を予見していたのか!」という感慨に聞こえましたが、全くの見当違いです。

メキシコは比類なきボクシング大国ですが、決して豊かな国ではありません。特に軽量級の場合は一部の人気選手を例外にして、彼らが目指す憧れの聖地、一攫千金の土地は日本なのです。

どうして、いつから、こんな誤解がまかり通るようになったのでしょうか?

このボクシング界のイビツな海外志向、特に盲目的なラスベガス信仰は、サッカーJリーグの傑出した選手が欧州を目指し、野茂英雄がメジャーリーグに斬り込んだ1990年代以降、より顕著になりました。

その底流にあるのは「世界的なスポーツは欧米のメジャーな国へ進出するのが格好いい」ということでしょう。これはメディアの責任も重大です。

好き勝手なことを書いてしまいますが、ボクシングが大好きだから、誤解している人が多すぎること、大好きなトップ選手まで勘違いしていることが悲しくて仕方がありません。

ヒスパニック出自でエキサイティングな試合を見せる稀有なファイターを例外にすると、フェザー級以下のボクサーがラスベガスで寵愛されることはありえません。「マニー・パッキャオはフェザー級で100万ドル単位のプレーヤーになり、ラスベガスで最も人気のあるボクサーになったじゃないか!」と訝る方もいるでしょうが、パックマンは「ヒスパニック出自の超超超人気選手」を向こうに回し、〝青コーナー〟(相手に有利な条件、契約、報酬、リング外の全てを譲歩させられる)から飛び出し、ビッグネームをことごとく撃ち落とした、とんでもない化け物です。

そう、パッキャオは、リング外ではどんなに酷い譲歩を強いられても黙ってそれを全て飲み込み、リングの中では1ミリの譲歩もしなかったのです。そんな芸当は、まともな人間には出来るわけもありません。

ラスベガスを夢想していた長谷川は「条件さえ整えばいつでもラスベガスへ行く」とその覚悟を語っていましたが、当時無敵の世界王者とはいえバンタム級の日本人では、ベガス需要は皆無です。長谷川の「条件さえ整えば」を翻訳すれば〝青コーナー〟では行けない、ということです。

そりゃそうです。日本でやる方がはるかに報酬が大きいのに、しかも対戦相手に有利な条件で、どうしてわざわざベガスで戦う必要があるでしょうか。

日本でトップを走っているバンタム級やフライ級の選手がベガスにのこのこ出て行く意味は全くありません。「欧米で活躍するサッカーや野球の選手は格好いいなあ」なんて思ってはいけません。そもそも競技が違うんですから、本場も違って当たり前です。

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元PFPキング、フロイド・メイウエザーとUFCライト級王者のコナー・マクレガーの〝異種格闘技戦〟が大きな話題を呼んでいます。

対決はボクシングルールで行うことで両者の意思は一致していますから、正確には「アリ猪木」のような異種格闘技戦ではなく、MMA選手によるボクシングへの〝道場破り〟というのが正しい表現でしょう。

もしこの試合が実現するとなると、メイウエザーが要求している「ファイトマネー1億ドル」も非現実的な金額ではありません。PPVもパッキャオvsメイウエザーには届かなくともそれに次ぐような巨大な数字を売り上げると予想する関係者もいるほどで、興行的には間違いなく成功すると見られています。

そう、ビジネスとしては、間違いなくやるべきイベントなのです。

しかし、パッキャオ戦のように「現代最高のボクサー決定戦」というスポーツとしての意味は、この〝異種格闘技戦〟にはありません。低俗な野次馬根性を刺激してビジネスとしては成功しても「引退して2年経つボクサー」と「MMAの現役王者」がボクシングルールで戦うことには、下劣な見世物を超えた意義は見出せません。

ボブ・アラムは「ボクシング経験のないマクレガーに勝ち目はない。こんな試合に意味はない」と吐き捨て、オスカー・デラホーヤも「メイウエザーのキャリアに無効試合が加わるだけ。万一実現したら、ボクシング界にとっては困ったことだ」と戸惑いを隠せません。63歳のメイウエザー父に至っては「ジャブもまともに打てないマクレガーごときなら今の俺でも勝てる」とこの対決を嘲笑しています。

=創刊95年の老舗・リング誌が2016年1月号でボクシング界とは無縁のMMA選手、しかも女性を表紙にしたことは賛否両論、大きな反響を呼びました。しかし、この号がニューズスタンドに並んだときにはロンダ・ラウジーは大番狂わせに撃沈した直後だったというのは全く皮肉な話でした。

私個人も、異種格闘技戦は公平なルールが成立するわけがないのだから、競技としてはありえないものだと確信しています。もし、やるとしたらお互いのルールで2試合した結果で判定するしかないのです。

しかし、こんな試合を浅ましいショウだと誰もが受けとめていると考えるのは、どうやら大間違いなようです。

全盛期はとうの昔に過ぎ去ったロイ・ジョーンズや、引退同然の目立ちたがり屋ポール・マリナッジ、第一線への再浮上が失敗に終わったデビッド・ヘイらがMMA選手との試合に前向きなのはまだ理解することが出来ます。

効率的に最後の一儲けを目論むだけでなく、薄れゆく世間の関心を、たとえそれが好奇の目だとしても、再び自分に向かせることも彼らにとっては自尊心を満たす大切なことなのかもしれません。

ところが、誰もが認める現代ボクシング界最高級の技術の持ち主までが、MMAとの交流を歓迎しているのです。

それが誰あろう、ウクライナの誇るハイテク、ワシル・ロマチェンコです。

ESPN電子版が、ロマチェンコが元UFCバンタム級王者、TJ・デラショーと4分4ラウンドのスパーリングを行ったと動画を公開しました。異色のスパーリングは公式の試合でも金儲けでもなく、二人が「面白いからやろうじゃないか」と意気投合、「MMAの技術を向上させるために何をすべきかいつも考えている」というデラショーにとっては非常に有意義なものとなったそうです。

デラショーは「ロマチェンコの大ファンの私がこんなチャンスを逃すわけにはいかないよ。コテンパンにやられたって一生の思い出になる」と大喜び。

実際のスパーもロマチェンコには全く歯が立ちませんでした。ジェイソン・ソーサとの試合を目前に控えてキレキレのロマチェンコに対して、7月まで試合の予定がないデラショーは早くも1ラウンドから疲労の色が見えましたが、両者の間に埋めようもない大きな差が横たわっているのは誰の目にも明らかでした。

そして、メイウエザー対マクレガーの試合については二人ともが「ぜひ見たい。ボクシングにとっても MMAにとってもプラスになる」と評価している一方で、その勝敗についてデラショーは「マクレガーが上回るのは体格だけ」とボクシングルールでメイウエザーには勝てないと予想しています。

デラショーの見方は「二つの拳だけを使う戦いは距離が非常に近いから、そのプレッシャーが半端じゃない。キックやテイクダウンを仕掛けてくる相手と戦うMMAとの最大の違いは距離なんだ。ボクシングは至近距離でパンチが交錯する。これにはマクレガーでも対応しきれない」。

ロマチェンコはもっと直截にこの試合を捉えています。
「1000回戦えばマクレガーが1回勝つチャンスはあるか?と聞かれたら、答えはノーだ。マクレガーは1000回やったら1000回とも負ける」。

うーん、試合結果は見えていても、やる意味はあるんでしょうかね?

お互いのスポーツにとって刺激になることは間違いありませんし、そういう意味では悪いことではないのかもしれません。

しかし、もしメイウエザーvsマクレガーが実現、商業的に美味いという理由だけで二匹目のドジョウが続々とわいてきて、純粋なボクシングやUFCの試合よりも注目を集め、大きなイベントになってしまうとなると、それはそれで私には非常に深刻な問題だとしか考えられません。

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リナレス、完勝でした。

早速、WBC正規王者のマイキー・ガルシアがコメントを出しています。
「おめでとう、ホルヘ・リナレス。素晴らしい勝利だった。技術、柔軟性、コンビネーション、そしてパワーも本当に凄かった。すぐに統一戦を戦いたい。どこもカットしていないし、怪我もしてないだろうから、この夏にでもやろうじゃないか」。

いいですね。マイキー、やる気満々です。

トップランクとの契約問題がこじれにこじれて2年半ものブランクを作ってしまいましたが、復帰から鮮烈な2連勝。本物の才能は2年半では錆つかないんですね。流石です。


【「リングで戦うのはボクサーだけだ。プロモーターやマネージャーはリングの上では何も出来ないんだーマイキー・ガルシア」=リング誌2017年1月号から=】

ガルシアの首を狙っているのはリナレスだけではありません。

PFP1位に推す専門家もいる〝ハイテク〟ワシル・ロマチェンコです。WBOスーパーフェザー級のベルトを持つウクライナの精密機械は、4月8日に元王者のジェイソン・ソーサとの防衛戦を控えていますが「135ポンド(ライト級)に上げてガルシアと戦いたい」とビッグネームとの対戦に意欲を見せています。

トップランクのボブ・アラムは「我々の間に遺恨なんてない」と、ガルシアの兄でトレーナーのロベルトと彼が指導しているボクサーの何人かと新しい契約を結んでおり、メディアも「トップランク傘下のワシル・ロマチェンコと近い将来試合を成立させることに問題は無い」と、メガファイト実現の可能性が高いと見ています。

ロマチェンコ戦の前にスピードのあるリナレスと戦うのは、ガルシアにとっても絶好の予行演習になるはずで大歓迎でしょう。

全階級を通じても最高級の技術を持っているロマチェンコは、アラムがパッキャオの対戦相手としてもその名前を挙げました。ロマチェンコも「パッキャオと135ポンド(ライト級)で戦いたい」と意欲を見せ、フレディ・ローチは「135はない。やるなら140ポンド、スーパーライト級だ」と応酬、ロマチェンコは「普段の体重が138ポンドなのに140は大き過ぎる」と返すなど、同じトップランク傘下のファイター同士、根も葉もない対戦話ではありません。

早ければこの夏に組まれるガルシア戦にリナレスが勝てば、次戦がロマチェンコになる可能性もあります。そして、その試合もクリアしたら…生きる伝説を引退させる介錯役を果たす、そんな夢(妄想?)まで広がります。

ようやくスターダムの入り口の前に立ったリナレスですが、グラスジョーを抱えるベネズエラ人の前途は洋々とは言えません。スターダムの階段に立ち塞がるのは、ど根性だけが取り柄の好漢クローラとは次元の違う怪物どもです。

リング誌、 WBCダイアモンド、WBAと腰に巻いたベルトの絢爛豪華さでは負けていませんが、ガルシアと戦うとなれば圧倒的不利予想が立てられますね、間違いなく。リナレス勝利を予想する専門家なんて一人もいないでしょう。

それでも超ハイリスク、超ハイリターンのリングはリナレスがずっと目指し続けてきた場所です。紆余曲折を経てようやく約束の場所に辿り着きました。峻厳にそそり立つ階段を、これから何段上がることが出来るのか。

日本の帝拳で技を磨いたリナレスに思い入れがあるファンは多いでしょう。私もその一人ですが、それでも最初の1段目で大きく躓いて滑落する姿しか予想できません。

とはいっても、何とか這いつくばって、スターダムの門前まで来ました。

さあ、お楽しみはこれからです。

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