Breez is Nice!

さて、ニューヨーク3月4日、日本では3月5日に迫ったサーマン対ガルシア。両者の戦力比較を「数字」に絞って見ていきましょう。

まずは、年齢。これは二人とも奇しくも28歳で同じです。ボクサーとしてはいい年齢ですね。これからがプライムタイムです。

次に「プロでの戦績」。サーマンが27勝無敗22KO。ガルシアも33勝無敗19KO。ウエルター級の強豪が無敗で世界戦のリングに上がることは何度かありましたが、これが「統一戦」となると歴史上でも過去2度しかありません。1985年のドナルド・カリー対ミルトン・マクローリー、1999年のフェリックス・トリニダード対オスカー・デラホーヤに続く、史上3度目の決戦です。過去2度しかなかったというと希少価値がありそうですが、80年代中盤から増殖を続けた承認団体の乱立がもたらした、仇花と言っても良いでしょう。しかし悲しいかな、毒を食らわば皿までの精神で、仇花でも楽しく酔って花見できちゃうのが病的なボクシングヲタクの性分なのです。統一戦ではなかったものの、ウィルフレド・ベニテス対シュガー・レイ・レナードも無敗対決でしたが、あれは正真正銘、仇花などではなかったですね。

「アマチュア時代の戦績」を振り返るとサーマンが101勝16敗、ガルシアが約120戦をこなしていますが、二人とも五輪や世界選手権といったビッグタイトルとは無縁でした。アマ時代の主戦場は、サーマンがウエルター、ガルシアがライトと、やはりサーマンが上の階級で戦っていました。ちなみにプロのウエルターは約66キロ、ライトは約61キロと5キロ差ですが、アマはウエルター69キロでライト60キロでその差9キロとかなりの開きがあります。プロでの階級差に加えて、こうしたアマ時代の背景も「サーマンが体格で上回る」という見方に偏る大きな理由になっています。

次は、プロでの「世界王者経験者との対戦」ですが、こちらはガルシアが11度で、サーマンの8度を上回ります。その相手もガルシアがメキシコの伝説、エリック・モラレスを2度撃破している他にも、圧倒的スピードを誇るアミール・カーンや、パワーパンチャーのルーカス・マティセといった一芸に秀でたスター選手も蹴散らしてきました。ピークは過ぎたとはいえ、あのザブ・ジュダーも打ちのめしました。一方のサーマンはショーン・ポーターとの激戦を僅差の判定で制したのが最大の勝利でしょう。

そして、前回もふれましたが、リング誌の2016年のパウンド・フォー・パウンドではガルシア16位で、サーマン17位。

数字的には「体格のサーマン」「実績のガルシア」ですが、階級制のボクシングでは古くから「優秀なライトヘビー級は凡庸なヘビー級に駆逐される」と言われるように、今回もサーマンが有利と見られているようですが、果たして?

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3月4日、ニューヨーク、ブルックリンのバークレイズセンターで行われる世界ウエルター級統一戦。キース・サーマンの持つWBAとダニー・ガルシアのWBCのタイトルがかけられます。
この試合が注目される理由は幾つかありますが、①全階級を通じて最もタレントが揃うウエルター級の最強決定戦、②無敗の快進撃を続けるまさに今が旬のファイターの激突、という二点に集約されます。

ウエルター級最強決定戦という視点からは、両者のファイトマネー合計が約360億円という2015年のフロイド・メイウェザー対マニー・パッキャオの一戦と比べると、今回のサーマンとガルシアはそれぞれ約2億円とそれなりに莫大な報酬ですが、比較してしまうと見劣りするとかいうレベルではありません。しかし、メイウェザー対パッキャオが世界中のボクシングファンから熱望されながら8年近くも対戦が実現せず、その間に二人とも全盛期は過ぎ、特にパッキャオはティモシー・ブラッドリー、ファン・マヌエル・マルケスに連敗するなど、焦らしに焦らされた挙句に実現した峠を越えた超ビッグネーム対決という看板だけが過剰に豪華なだけで旬のスーパースターが激突するという最も興奮する構図ではありえませんでした。試合内容も、期待を裏切ったという点では間違いなくボクシング史上最悪の部類に入る凡戦に終わりました。

プロボクシングは単純に技術の高さを競うだけの舞台ではありません。

誤解を招く表現になりますが、野球やサッカーが売る物は高度な技術です。洗練されたプレーには惜しみない拍手が送られ、技術の追求の先に報酬も付いてきます。しかし、プロボクシングは違います。一定レベルの高度な技術は最低条件ですが、それが報酬に正比例するとは限りません。ファイターの売る物は技術と、勇気です。どんなに優れた技術をリング上で披露しても、それに勇気が伴わない場合は容赦ないブーイングが浴びせられます。メイウェザー対パッキャオは技術的にはとんでもなく高度な試合でしたが、二人の戦い方には勇気のカケラも感じられませんでした。既に十分過ぎる名声を得て、ニューヨーク・ヤンキースの全選手の年俸合計をも遥かに上回る報酬が約束されていた二人にとって、危険と同義語である勇気の橋を渡る理由などどこにもないのですから、世紀の凡戦は当然の帰結でした。

さて、サーマンとガルシア。好戦的なスタイルで、何よりも確固たる名声はまだ得ていない二人です。そう、この二人には勇気の橋を渡るらなければいけない理由があるのです。

さて、戦前の予想ですが世界最大のブックメーカー、ウィリアム・ヒルは約3−1でサーマン有利のオッズ、多くの専門家やファンもサーマンの勝利を予想しています。その主な根拠は「下の階級から上がってきたガルシアよりも体格で上回るナチュラルなウエルター級のサーマンが勝つ」というものです。

しかし、米国のリング誌の全階級を通じたランキング(パウンド・フォー・パウンド)ではガルシア16位、サーマン17位と、拮抗はしてるもののガルシアの評価の方が高いんです。もちろん、パウンド・フォー・パウンドは現実の直接対決ではなく、今回の勝敗予想の根拠である「体格差」を無視した評価なのですが。

それでも、身長だけなら174センチのガルシアがサーマンを3センチ上回ってるなど、見た目の体格差は、多くのファンが思っているよりも小さいかもしれません。また、ガルシアはアンダードッグに貶められたオッズをこれまでに何度もひっくり返して来ました。。。。詳細な直前予想は、また次回に。

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