Breez is Nice!

今朝、アンソニー・ジョシュアはWBO王者ジョセフ・パーカーを大差判定で下し3つ目のベルトをコレクションに加えました。

4団体時代になってから、自力で 4つ全てのベルトを集めたUndisputed Champion=議論する余地のない王者は、ミドル級のバーナード・ホプキンス(2004年)、ジュニアウェルター級のテレンス・クロフォード(2017年)の二人しか達成していません。

ジョシュアは、この偉業に王手をかけたわけです。

同じくUndisputed Championにあと一つと迫っているのが、そう、ミドル級のゲンナディ・ゴロフキンです。リング誌のPFPで1位に君臨するカザフスタン人はWBA(スーパー)、IBF、WBCをすでに獲得。

ビリー・ジョー・サンダースの持つWBOのピースを奪えば、Undisputed Champion完成です。

プロボクシングの世界チャンピオンは主要4団体に、リング誌認定王者を含めて5つのベルトが「メジャー」と見られています。そして多くのケースでリング誌王者と重なるLineal Championという、ときとして見えにくい王者も存在します。

ヘビー級ではアンソニー・ジョシュアが3つもベルトを集めても、Lineal Championにも、リング誌王者にもなれないのです。
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2015年、Lineal Championとリング誌王者だったウラジミール・クリチコから、タイソン・ヒューリーが番狂わせで王位を奪ったことが、この混迷の始まりでした。

達成感にどっぷり浸かったヒューリーは、躁鬱病やコカイン中毒から引退状態に。リング誌は「18ヶ月間試合のスケジュールが組まれなかった」という規定に従って王座を剥奪、空位としました。

しかし、Lineal Championがヒューリーであることは変わりません。

80年代後半に、マイク・タイソンが3団体統一しても、Lineal Championはラリー・ホームズを倒したマイケル・スピンクスのままでした。タイソンはスピンクスを倒すまでLineal Championではなかったのです。

Lineal Championの概念が欠落して、決定戦や暫定王者が横行する日本のボクシング界では想像しにくいことですが、この考え方のもとでは「王者に勝った者しか王者を名乗れない」のです。
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リング誌5月号から。=2年半も活動休止状態のヒューリーが最も高い位置のLineal Champion、その下でジョシュアとワイルダーが対峙、その下にジョセフ・パーカー。ヒューリーが「正統王者」というのはにわかに理解しがたい考え方ですが、それがLineal Championなのです。

ヘビー級同様に、王者の品格を持たないボクサーがその地位についてしまったがために、階級が混乱、ねじれが生じているのはミドル級も同じです。

2014年に満身創痍のLineal Champion、セルヒオ・マルチネスをミゲール・コットがTKOしてこの王座を継承したときから、伝統の階級は混迷の渦に巻き込まれてしまいます。

かつてマニー・パッキャオから突きつけられたキャッチウェイトを「恥さらしの要求」と唾棄したコットでしたが、ダニエル・ギールに158パウンドのキャッチウェイトを強要して初防衛に成功。

そのコットに、やはり“カネロ級”の155パウンドを飲ませたカネロ・アルバレスがLineal Championに就くと、初防衛戦もミドル級(160)よりもジュニアミドル(154)に接近している不条理なカネロ級で、ミドル級では何の実績もないアミール・カーンと防衛戦を行うなど、もうやりたい放題。

これで、昨年9月16日に実際の試合内容通りにジャッジが採点して、ゲンナディ・ゴロフキンがカネロに勝っていれば、Lineal Championもリング誌ベルトも、真正直にこの階級で勝ち続けてきたGGGの手に渡っていたのですが、現実には引き分け。

Lineal Championの見えないベルトは、カネロの腰に巻かれたままなのです。

最も権威があるべきLineal Championですが、ヒューリーのような自堕落なボクサーが大番狂わせで玉座に就いたり、カネロのような傲慢なスーパースターがその地位を手に入れてしまうと、この称号が最強とイコールとは言い難くなってしまいます。

一方で、4団体統一のUndisputed Championが、イコール最強でないケースはまずありません。腐敗し切った承認団体に価値は認めたくありませんが、ヒューリーやカネロのように4団体のいずれのベルトも持っていない場合はLineal Championと認めないなど柔軟な考え方が必要でしょう。

Lineal Champion,The throne, the man who beat the man.「王者に勝った者だけが王者」。その考え方は至極まっとうなのですが、承認団体が王座を乱立させている上に、ボクサーの道徳観念も乱れている現状では、欧米もこの考え方を修正、あるいはもはや時代遅れと廃棄することも考えなくてはならない時代なのです。
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Principality Stadium, Cardiff (Sky Sports Box Office & Showtime)

WBAバンタム級王者:ライアン・バーネットvsヨンフレス・パレホ(ベネズエラ)

バーネットはIBF王座を返上、プエルトリコの俊才エマニュエル・ロドリゲスとの指名試合を回避して臨んだ一戦。

オッズはバーネット勝利が1.05倍、パレホ8倍。

パレホも強豪ですが、階級最強と目されるバーネットは問題にしませんでした。

7ラウンドにバッティングで左目上を切ってからも、パレホも無策でしたが寄せ付けません。

120-108、二人のジャッジがフルマーク、もう一人は116-112。完勝です。

これでバーネットは19戦全勝9KO。パレホは21勝(10KO)9敗1分。

"I think I broke my hand in the beginning of the third round,"  3ラウンドの前半で拳を骨折したようだ。

本当なら心配ですね。井上尚弥がその舞台に上がるまでは、無敗で無傷のバーネットでいて下さい!

バーネットはWBO王者ゾラニ・テテとのビッグファイトも噂されていますが、同じ英国のエディ・ハーンとフランク・ウォーレンがプロモートする二人のマッチアップは一気に具体化しそうです。

バンタム級に舵を切った井上尚弥も階級統一への意欲は強く、ショウタイムからはバンタム級トーナメント構想も持ち上がっています。

かつて、やはりショウタイムが2010年から展開したバンタム級トーナメント(バンタム4)は成功したとは言えませんでした。

アブナル・マレスを除くと、ジョゼフ・アグベコ(ガーナ)、ビック・ダルチニアン(アルメニア・オーストラリア)、ヨニー・ペレス(コロンビア)という「人気のない実力者」の戦いは軽量級への興味が薄い欧米では受け入れられなかったのです。

最強トーナメントにもかかわらずマレス以外の報酬は5万ドルも下回ることが多く、長谷川穂積やノニト・ドネアがその劣悪なファイトマネーを理由に参戦を見送ったことからも、このトーナメントはますます地味になってしまいました。

しかし、今はボクシング大国イギリスがバーネット、リー・ハスキンス、ポール・バトラー、ジェイミー・マクドネルといったバンタム級のタレントを抱え、一階級下ではカリド・ヤファイもスタンバイしています。

今回のバンタム級最強トーナメントは、実現したら報酬が劇的に改善されることが期待されています。井上が前向きに参戦するためには、日本のスポンサーからの持ち出し無しで50万ドルは欲しいところです。是非、盛り上がって欲しいですね。



WBA/IBF世界ヘビー級王者:アンソニー・ジョシュアvsWBO世界ヘビー級王者:ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)

オッズはジョシュア勝利が1.67倍、パーカー5.5倍。王者同士の一戦ですが、オッズと予想は一方的。

WBC王者デオンティ・ワイルダーとジョシュアの最終決戦を先走りするメディアやファンも多く、その雑念も試合に影響するのではないかという懸念もありましたが、全くの杞憂でした。
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計量前にはパーカーの応援でハカが披露されました。手を叩き足を踏み鳴らして相手を威嚇する舞踊は、ニュージーランドのラグビーでお馴染みですが、戦士のダンスはやはりボクシングにも合いますね〜。

試合はジョシュアのスピードと重圧に、パーカーは防戦一方の展開。

ジョシュアの身体能力は凄いですね。それにしても、このジョシュアを追い込んだウラジミール・クリチコは全盛期をとっくに過ぎていたというのに、やはり偉大なヘビー級だったとあらためて思いました。

ジョシュアのパーフェクトレコードは途切れましたが、21勝(20 KO)無敗。初黒星を喫したパーカーは24勝(18KO)1敗。

ジョシュアは、まとまったボクシングをします、強い。118−110が二人、もう一人が119−109。準完封試合でした。
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“Wilder, let’s go baby, let’s go!”

ジョシュアはリング上でWBA、IBF、WBOのベルトを指差して、インタビュアーからマイクを奪うと「ワイルダー。さあ決着をつけようぜ」と絶叫。

そして「米国で戦うことには興味はない」と言い切りました。


"All these years, we've gone to the States, people have spent a lot of money following British boxers over there, [But] we can do it in London, Cardiff. We are staying right here."
ここ何年も英国のボクサーは米国を目指して来た。米国まで追いかけたファンは無駄な金を浪費してしまっていた。しかし、もうそんな時代じゃない。同じことを我々はロンドンでもカーディフでも出来るんだ。私たちは、ここ英国で戦い続ける。

その通りですね。ワイルダーを含めて米国のボクサーで、7万8000人を前売り券でソールドアウトできるボクサーなど一人もいません。2万人でも無理でしょう。

近年でもナジーム・ハメド、リッキー・ハットン、アミール・カーン、ケル・ブルックらは米国での成功を最終目標に戦ってきました。そこで得られる名誉と報酬が、英国よりも高かったからです。

今回のジョシュアはPPVの売り上げで増減はあるものの、最低1600万ポンド(約24億円)、パーカーはキャリアハイの800万ポンド(約12億円)を手に入れました。 

ワイルダーが先月のルイス・オルティス戦で獲得したのは210万ドル、ジョシュアの10分の1にも満たない金額です。

なるほど、米国で戦う意味は微塵も有りません。観客は少ない、報酬は桁違いに安い、そんな外国で戦う価値はありえません。

もはや、英国が米国に追いついたのではなく、追い抜いて大差をつけている、というのが現状です。 

待望のワイルダー戦が実現しても、オッズや予想はジョシュアに傾きそうですが、強打の米国人もスピードがあるだけでなく、意外とボクシングができますから面白い展開になりそうです。

オルティス戦を上回る報酬を提示されながらディリアン・ホワイトとロンドンで戦うことを嫌がったワイルダーが、英国行きを飲むかどうかが、超メガファイト成立の最大の焦点かもしれません。

報酬面でもワイルダーが50:50を要求するようだと、間違いなくこじれますね。5億円を稼いだこともないワイルダーが「ジョシュアと同じ20億円規模」を要求するのは身の程知らずです。飲むしかありません。
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ゲンナディ・ゴロフキンとカネロ・アルバレスの再戦が宙に浮いた現在、“カネロの代打”が誰になるのかが注目されています。

最初に声を上げたのはデメトリアス・アンドラーデ。25戦全勝(16KO)の元ジュニアミドル級王者は「サウスポーが苦手のゴロフキンは俺から逃げているが、それなら右手一本で戦ってやる」とまで挑発しています。

現実問題として、オーソドックスのカネロを想定してキャンプを続けているGGGにとって、代打でサウスポーは鬼門です。陣営が受け入れるはずがありません。

さらに、5月5日のシンコデマヨ、メキシコの独立祭に合わせた試合にカザフスタン人と米国人が戦うというのも興行的には盛り上がりません(同じ時期にメキシコ人をからませずにパッキャオやメイウェザーは戦っていましたが、彼らは例外中の例外です)。

このロジックで考えて3月30日、GGGをプロモートするトム・ロフラーはメキシコのホープ、ジェイミー・マングイアに試合出場のオファーを出しました。

マングイアは21歳ながら28戦全勝24KOと、試合経験は豊富。しかし、ジュニアミドル級のボクサーで、なにより世界的な強豪とは戦っていません。
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リング誌2018年4月号=マングイアは「PROSPECT OF THE YEAR」に輝きました。新人賞みたいなものですね。地元の先輩アントニオ・マルガリートや、先月 IBFスーパーミドル級王者となったホセ・ウスカテギらとのスパーリングで急速に実力を伸ばしてきたとはいえ、GGGに挑戦というのは時期尚早というより、その資格がありません。WBCあたりは真っ先にランキングに入れるでしょうが。

ロフラーは「ネバダ州の決定を待つまでにあらゆるオプションを模索している」とマングイア以外のカードも探っていると明かしていますが、現時点ではマングイアが代打の一番手と考えられています。

我らが村田諒太は4月15日にエマヌエーレ・ブランダムラと横浜で初防衛戦を行いますから、十日後にラスベガスでGGGと対戦するというのは、無傷で勝ったとしても考えられません。

しかし、ブランダムラが負傷で横浜での試合をキャンセルしたらどうでしょう?

もし、ブランダムラが明日にでもドロップアウトを表明したら、100%村田にもオファーが来ますね。しかもWBAの統一戦になります。

ああ、ブランダムラよ、怪我してくれ!(不謹慎ですみません)。
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村田は、サッポロ黒ラベルの人気CMシリーズ「大人ってなんだ?」にも出演。今や日本最高のスポーツセレブの一人です。
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この階級は、悪い意味でカネロ・アルバレス中心で回り続けています。

ミドル級ウォーズの星系は、カネロという太陽をゲンナディ・ゴロフキンという巨大な月と、村田諒太ら小惑星が周回しているのが実態です。

「それを言っちゃあおしまいよ」ですが、カネロが誰かに惨敗した時点で、この階級の輝きは消滅するでしょう。自力で光ることの出来るボクサーがいないのですから。

唯一、例外があるとしたらその「誰か」が、経済大国日本の村田諒太であるケースだけです。


承認団体分裂時代以降でも統一王者への引力が強いミドル級は、現在もまさにこの力学が働いています。

村田がライバルの惑星を吸収して太陽になれば、村田の治世の間だけとはいえ日本がミドル級のメッカになるでしょう。 
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東京メトロではエマヌエーレ・ブランダムラとの防衛戦を告知する中吊り広告を垂らした地下鉄が走っています。これほどまでに一般に露出したボクサーは過去にいなかったかもしれません。

カネロのドーピングによって、5月5日のゴロフキンとの再戦が中止になるかもしれないという暗雲が立ち込めてきました。

ネバダ州体育協会がカネロを召喚して行う聴問会で、メキシコのスーパースターから納得出来る説明がなされなかった場合、最長で1年間のライセンス停止処分が下されるとも言われています。

もちろん、世界的な統轄団体をもたないプロボクシングですから、この処分はネバダ州という米国の一つの州だけの地域限定、他州でライセンスが交付されれば、カリフォルニア州のステイプルズセンターや、ニューヨーク州のマディソン・スクエア・ガーデンのような大会場での試合も明日にでも可能です。

ただ、近年の米国ボクシングのメガファイトはメキシコの独立祭に合わせて西海岸で行われており、カネロが東海岸のMSGのリングに上がるのは現実的ではありません。

一方、 GGGはカネロ戦が中止になっても5月5日に防衛戦を行うと明言しており、対戦相手の候補も複数挙がっていますが、舞台はT-Mobileアリーナです。誰が相手でも、2万人以上の大箱を持て余してしまうのは確実です。

ドーピングによって太陽が汚染されていたことで、ミドル級ウォーズの先行きは一気に不透明になりました。

英国マッチルーム傘下のダニエル・ジェイコブスは4月28日にマチェイ・スレッキと12回戦を戦いますが、WBAはこの試合を「WBA王者への挑戦者決定戦」と認定しました。

ここでの「 WBA王者」は、村田が腰に巻く「WBAレギュラー」ではなく、GGGの「スーパー」を指しています(どうでもいいことですが、本当に愚かでややこしいですね)。

村田が持つWBAのピースがまたしばらく、この島国に閉じ込められてしまう可能性が出てきたのです。

「これで心置きなく雑魚挑戦者を選んで防衛のテープを伸ばせる」なんて、ファンも当の村田も望んでいません。

もし、カネロが長期離脱を余儀なくされた場合、太陽を失ったミドル級の星系がどう運行していくのか?

独断と偏見で、予想、占っていきます。
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1987年8月1日 ラスベガス ヒルトンセンター

マイク・タイソン対トニー・タッカー


WBA/WBC王者のタイソンが30戦全勝27KO、IBF王者タッカーは34戦全勝29KO。

この一戦はドン・キングとHBOが仕掛けた「世界ヘビー級トーナメント」の決勝戦でした。

舞台には当初から無敗のヘビー級王者が激突する“予定”で、それはタイソンvsマイケル・スピンクスであるはずでした。

しかし、スピンクスは低報酬で無名の若手と戦うトーナメントを嫌い、ジェリー・クーニーとのビッグファイトを選択、タイソン戦を引き延ばすことでその商品価値を上げるビジネスに徹します。

招かれざる王者としてリングに上がったのは、トニー・タッカー。実寸175㎝タイソンを約20㎝も上回る195cmのタッカーは、3ヶ月前にスピンクスが返上して空位となったIBFバージョンの王座をバスター・ダグラスをストップして獲得していましたが、その実力は疑問視されていました。

タイソンにも「弱い相手にしか勝っていない」という批判が聞かれましたが、それはヘビー級不毛時代だったからです。トレバー・バービック、ピンクロン・トーマス、ボーンクラッシャー・スミス、タイソンの戦譜にはこの時代の強豪が並んでいました。

一方のタッカーはダグラスに勝ったのが最大の白星。戦績ではタイソンに見劣りしないものの「誰に勝ったのか」という最も大切なモノサシで、タッカーが1−10のオッズでアンダードッグ扱いを受けるのは仕方がありません。
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歴史的に見ても「誰に勝ったか」で物足りないタイソンと、それ以下のタッカーが拳を交えた統一戦は、当然のごとく凡戦に終わります。

体格を生かしたクリンチとホールディングを繰り返すことしか出来ないウドの大木に、決定打を打ち込めないタイソン。

見せ場のない12ラウンドで最も有効な一打は、タッカーが初回に放った左アッパーのカウンター。タイソンがよろめいたそのシーンに色めきだった7600人の観衆は、このあと33分以上にわたって塩分過多の試合を見せられることになります。

結果は3−0でタイソン。116−112(取ったラウンドで8−4)というスコアを書いたジャッジもしましたが、タッカーが明白に取ったのは1ラウンドだけ。

報酬はタイソンが250万ドル(当時のレートで3億7500万円)、タッカー110万ドル(1億6500万円)。

タッカーはその後も1998年まで戦い続けますが、再び世界王者になることはなくそのキャリアを閉じました。ダグラスと争った王座も決定戦、タイソンを迎えての初防衛戦でタイトルを手放したのですから、果たしてタッカーは王者だったのか、となると微妙ですね。

1988年6月27日 アトランティックシティ コンベンションホール

マイク・タイソン対マイケル・スピンクス

34戦全勝30KOまで数字を伸ばしたWBA/WBC/IBF王者タイソンは、ついにリネラルチャンピオンのスピンクスをリングに引っ張り上げました。このときスピンクスは31戦全勝21KO。

「弱い相手にしか勝っていない」と言われ続けたタイソンが初めて迎える、一発殿堂との決戦です。

1981年から5年間にわたってライトヘビー級で傑出した実績を上げたスピンクスは、48戦全勝のラリー・ホームズとのやはり無敗対決に勝って「ヘビー級を制した史上初のライトヘビー級王者」となります。

しかし、スピンクスの古傷の右膝は致命的なまでに悪化、試合の延期も考えましたがタイソン相手ではBサイド、わがままは通りません。そして、ライトヘビーとヘビー級で強豪相手に戦った31戦全勝に、達成感を覚えてしまっていたのです。

試合は91秒で終わりました。

このメガファイトで、タイソンは2200万ドル(当時のレートで約29億円)、スピンクスは1350万ドル(18億円)と共にキャリアハイの報酬を手にしました(タイソンの金額は当時のプロボクサー歴代1位)。

タイソンは圧勝しましたが、歴史的評価は逆転します。

リング誌の1980年代PFPではタイソンは7位、スピンクスの4位を下回るのです。ヘビー級低迷時代の統一王者タイソンと、ライトヘビー級の統一王者でヘビー級まで制したスピンクス。直接対決で圧勝したのは全盛期タイソンと、ボロボロの最晩年スピンクス。

このランキングは仕方ないとは思いますが、無差別級へのリスペクトが欠けているようにも思えます。もちろん、スピンクスはその無差別級を制したのですが…。結果論で意図したものではありませんが、彼は実に器用にキャリアを積み上げたものだと感心します。

ちなみに1位はシュガー・レイ・レナード、2位マービン・ハグラー、3位サルバドール・サンチェス。文句無しです。 
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