カテゴリ: 茶番劇は茶番劇

SATURDAY, JAN. 30
Los Angeles (Fox)
Caleb Plant (No. 2) vs. Caleb Truax (No. 6)
12 rounds – super middleweights (for Plant’s IBF title) 

リング誌/WBA/IBFのカネロ・アルバレスが168ポンド完全統一に残された2つのピースのうちの1つ、IBFのストラップを巻くケイレブ・プラントが3度目の防衛戦に臨みます。

挑戦者はカレブ・トルアックスは2007年プロデビュー、ジャーメイン・テイラーやダニエル・ジェイコブス、アンソニー・ディレル、ジェームズ・デゲイル、ピーター・クイリンらと拳を交えた歴戦の37歳。

オッズは28歳のチャンピオンが1/33(1.03倍)、挑戦者は10倍。

Goldenの渾名を持つトルアックスが、全勝のスイートハンズ相手からカネロ戦の黄金チケットを奪取する可能性は極めて低いという見立て。

確かに、ホセ・ウスカテギを番狂わせで下したプラントは2度の防衛戦をいずれもストップ勝ち、タイミングと回転力のある連打にますます磨きがかかっています。

ここは順当に王者が防衛、メガファイトに歩を進めることになりそう。


*******
 


SATURDAY, FEB. 13
Indio, California (DAZN)
Joseph Diaz (No. 3) vs. Shavkatdzhon Rakhimov
12 rounds – junior lightweights (for Diaz’s IBF title)

ジョセフ・ディアスがホーム・カリフォルニアのリングに迎える初防衛戦の相手は、指名挑戦者シャフカッツ・ラヒモフ。サウスポー対決です。

アマチュアでタジキスタン王者に3年連続で輝いているラヒモフは15戦全勝12KO無敗の26歳。ホームのロシアを離れて戦った経験は無敗のIBFインターコンチネンタル王者アジンガ・フジレを敵地・南のアフリカで8ラウンドTKOに下した直近の1試合だけ。

オッズはオリンピアンでプロでの経験でも勝る28歳の王者が4/9(1.44倍)、26歳の挑戦者は7/4(2.75倍)。

階級最強と目されるミゲール・ベルチェルトと対抗馬ジャメル・ヘリングに、フェザー級からシャクール・スティーブンソン、オスカル・バルデスも参戦。ホットコーナーになりつつある130ポンドは日本人のタレントも最前線で暴れてほしいところ。


Patrick Teixeira (No. 9) vs. Brian Castano (No. 5)
12 rounds – junior middleweights (for Teixeira’s WBO title)

人気者ディアスの前座を務めるのがブラジル人のWBOJr.ミドル級王者パトリック・テシェイラと、アルゼンチン人のブライアン・カスターニョの南米対決。

本来なら昨年4月に行われていたカードでしたが、コロナ禍の影響で、ここまでずれ込んでしまいました。

オッズは、打たれ脆い30歳の王者が3倍。元WBA王者で16戦全勝12KO、32歳の挑戦者が1/4(1.25倍)と政権交代が濃厚と見られていますが、果たして?


*******
 


Las Vegas (ESPN)
Joe Smith Jr. (No. 4) vs. Maxim Vlasov
12 rounds – light heavyweights (for vacant WBO title)

こちらも2月13日に行われる世界戦。舞台はラスベガス、すっかりお馴染みとなってしまったMGMグランド・カンファレンスセンター特設会場、The Bubbleです。

バーナード・ホプキンスに引導を渡し、エレイデス・アルバレスを派手に倒したスミスと、WBOの地域タイトルをコレクションしながらランキングを上げてきたマキスム・ウラソフが空位のWBO王座を争います。

オッズは31歳の王者が2/7(1.29倍)、34歳のロシア人が 13/5(3.6倍)。

このクラスはWBC/IBF王者アルトゥール・ベテルビエフ、WBA王者ドミトリー・ビボルと無敗のロシア人が3つのピースを抑えています。

スミスがロシア独占に待ったをかけるか?

 
*******
 


U.K. location TBA (DAZN)
Josh Warrington (No. 1) vs. Mauricio Lara
12 rounds – featherweights

こちらは英国開催のフェザー級ノンタイトル12回戦。

階級最強を目指すジョシュ・ウォリントンがWBA王者シュー・ツァンかWBC王者ゲイリー・ラッセルJr.との統一戦を計画していることにIBFが反発、無敗の英国人はタイトル返上しました。

現在、リング誌フェザー級王座は空位で、1位がウォリントン。

2位ラッセルと3位ツァン。どちらと戦うにしても、勝者がリング誌のチャンピオンベルトを腰に巻くことになる一戦です。

ウォリントンにとってこの試合は、大勝負への調整試合。

22歳のメキシカン、マウリシオ・ララは戦績こそ21勝14KO1敗と立派ですが、世界基準の相手との対戦は一度もなく、オッズも1/14(1.07倍)と7倍 、大きく開いています。
スクリーンショット 2021-01-24 13.55.49
rsz_img_9019-768x512
rocky-m-title-770x628
1952年10月、THE NEW YORK BOXING WRITER'S ASSOCIATION からリング誌認定チャンピオンベルトを贈られたロッキー・マルシアノ。

アルファベット団体のベルトにこだわらずに、強豪との対戦を優先する。

かつて、マニー・パッキャオが虜になった〝ビッグネーム病〟とは一味違いますが、アルファベット団体のベルトに価値を見出さないという姿勢は共通しています。

ウォリントンにしろ、パッキャオにしろ、この戦い方はThe Undisputed Champion(4団体完全統一)を目指すベルトコレクションとは真逆の最強への道です。

アルファベットのベルトは下手したら1つも残らないかもしれませんが、リング誌ベルトはほぼ確実に手に入れることができるでしょう。


*******
 


SATURDAY, FEB. 20
Las Vegas (ESPN)
Miguel Berchelt (No. 1) vs. Oscar Valdez
12 rounds – junior lightweights (for Berchelt’s WBC title) 

そして、フロイド・メイウェザーvsローガン・ポールと同じ2月20日の夜に組まれたWBC世界ジュニアライト級タイトルマッチ。 

WBC王者ミゲール・ベルチェルトに、2階級制覇をかけて無敗のオスカル・バルデスが挑みます。こちらも、昨年11月から延期された注目のメキシカン対決。

オッズは29歳の王者が2/7(1.71倍)。30歳の挑戦者は13/5(3.6倍)。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2月20日(土)に開催されるPPVイベント、フロイド・メイウェザーvsローガン・ポールのエキシビション。

興行規模という一点だけなら、下手すると今年最大の試合になりかねません。

しかし、それまでの1ヶ月足らずの間でも、見るべき真剣勝負、大勝負が数多くセットされています。

そんなエキシビションではない、大一番をご紹介。
 
i

Saturday 23, January 2021
 Mohegan Sun Casino, Uncasville, Connecticut, USA

USA Showtime 

WBO世界ジュニアフェザー級タイトルマッチ12回戦



王者レオの初防衛戦は、無敗同士の米国人対決。

レオとフルトンは共に26歳。さらには新型コロナで陽性反応を示し、試合を流したことまで共通しています。

オッズは王者が5/4(2.75倍)、挑戦者4/6(1.67倍)で王者交代を支持しています。

対戦相手の質は、IBOやWBOインターコンチネンタルのタイトルをコレクションしてきたフルトンがやや上です。とはいえ、パウルス・アムブンダ(亀田和毅に完敗)やアイザック・アベラル、アーノルド・ケガイと微妙な相手に勝ってきただけ。

世界基準では明らかに決定力に欠ける2人、どちらに転ぶかわからない一戦です。

王者は「アンダードッグは気にしていない。逆に燃えるキッカケになる。リングの上で私が世界王者である理由を証明する」。

挑戦者は「フィラデルフィアから世界を掴むことに人生のすべてを賭けてきた。それでも重圧はない」。

スクリーンショット 2021-01-24 15.30.27

【試合結果】119-111*2 118−110 ユナニマスデジションでフルトンが新王者に。

新型コロナの影響で、2度の延期の末に掴んだ栄光、喜びもひとしおでしょう。

「単にアウトボクシングしたわけじゃない、しっかり戦って世界王者になったことを見てほしい」(フルトン)。12ラウンドで1180発もパンチを放った回転力はさすがでした。

パンチスタッツを見ると、精度は互角かレオが上回りましたが、フルトンが手数で圧倒しました。

アクション豊富の面白い試合でした。しかし、スリリングな場面は一度も訪れず、合わせて1993発のパンチを交換した両者の非力さが浮き彫りになった36分間でもありました。

"I want champions," Fulton said. "I want to be undisputed."

「統一戦をやりたい。議論する余地のない王者になりたい」。技術と回転力、ハートも強いフルトンには完全統一王者の目もありますが、ここまで決定力がないといかに軽量級とはいえ物足りなさを禁じえません。

現在の階級マップはムロジョン・アフマダリエフがWBAとIBF、ルイス・ネリがWBCのストラップを保持。

ダニエル・ローマンとどっこいのアフマダリエフに、1階級上げてまとまりが出てきたものの迫力不足のネリ、そして今日の非力極まるフルトン。

IBF暫定王者、岩佐亮佑から見ても怖い対抗王者は見当たりません。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

Floyd Mayweather v Logan Paul 'postponed to later date' than planned February 20 meet

2月20日に予定されていたフロイド・メイウェザーvsローガン・ポールのexhibitionが延期になると、英国ミラー紙が報じました。
スクリーンショット 2021-01-24 14.34.25
この種の茶番劇は、基本的に〝ゲテモノ〟イベントの域を出ません。

いくら野次馬でも何度も騙まされません。

ゲテモノ興行でも「チャリティー」「ファンサービス」などの看板に隠せばまだしも、今回の茶番劇は試合当日まで期間を区切ってPPV料金を釣り上げてゆく「早く買った方がお得」と商魂丸出しの下劣さからも視聴者から愛想を尽かされたのかもしれません。

24ドル99セントからスタートした視聴料は、現在59ドル99セントまで引き上げられ、2月11日からは79ドル99セントになります。「後になればなるほど買う人はいなくなる」のは当然です。

ミラー紙は「中止ではなく延期」としていますが、仕切り直しでもどれだけ売れるのか微妙です。

那須川天心とのおそらく計量もまともにやらずに済んだ小遣い稼ぎではなく、今回も相手はど素人とはいえ、ある程度の練習と調整が必要な巨体が相手です。

Fanmioもある程度は利益を出さなければやる意味がありません。

普通のボクシングイベント以上の興行収入をあげることは間違いありませんが、マネーとFanmioが目論んでいたのは「普通」じゃありません。

「延期」なんてまどろっこしい表現じゃなく、「茶番劇の行き詰まり」を象徴する「中止」でいいんじゃないでしょうか。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

現在、日本で最も待たれる格闘技のマッチアップは「那須川天心vs武尊」でしょう。

この2人のキックボクサーをメインに添えるイベントが3月14日、東京ドームで開催されるというのです。
IMG_3371

米国のUFCもそうですが、年数回のイベントにスター選手を散りばめるRIZINと、ほぼ看板一枚で興行をいくつも打つボクシングを単純比較することは出来ません。 

とはいえ、村田諒太や井上尚弥のゲート収入や視聴率を上回る可能性も高いとみられています。

そして、米国ボクシングでテオフィモ・ロペスと並ぶ未来のスーパースター候補ライアン・ガルシアの口からも「MMA挑戦」が飛び出しました。

22歳の'King Ry'は「ボクシングは26歳で引退、そこからMMAでもチャンピオンを目指す」というのです。
 
"If they say, 'OK you've beaten everybody in the ring' [and] somebody goes 'this ain't real fighting -- real fighting is legs, choking, submissions, all that,'" Garcia said. "

「ボクシングで王者になっても『それはリアルファイトじゃない』と文句をつけるヤツもいるだろう。キックも締め技も何でもあり、それが本物のファイトだと」。


Ryの言葉は、わかるような、わからないような…。

「ボクシングが最強格闘技」だと思ってる人は、誰もいないでしょう。まさか、そこにこだわるボクサーがいるとは驚きでした。

実際はそれだけでなく、日本とは違い米国では〝市民権〟を得ているMMAの存在感、注目度や報酬はボクサーでも無視できないほどに大きなものです。

ボクシングの〝歴史的アドバンテージ〟がほとんどない女子では、MMAがすでにNo.1格闘技です。最大のスター選手の1人、クラレッサ・シールズは今年からMMAに参戦します。

もちろん、日本のキックや総合格闘技は〝市民権〟を目指していないことは一目瞭然ですが、那須川らトップ選手の報酬はほとんどのボクシング世界王者を凌駕しているでしょう。

ビッグイフですが、明日にでもキックやMMAが日本でもスポーツとしての〝市民権〟を得たら、一般紙や一般ニュースも大特集を組んで「天心vs武尊」を盛り上げ、ファンも急増することは間違いありません。

「日本ではボクシングがNo.1格闘技であり続けて欲しい」。

そう願うボクシングファンはいるかもしれませんが、多くはボクシングだけが好き、ボクシング以外の格闘技には一切興味がない、というわけではないでしょう。

彼らが〝市民権〟を得ることは、ボクシング界にとっては大きな脅威ですが、多くのボクシングファンにとっては楽しみでしかないはずです。

もちろん、その「楽しみ」には両者の健全な交流が含まれていることは言うまでもありません。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

マイク・タイソンvsロイ・ジョーンズJr.。

2分8ラウンドのエキシビションは、見苦しい茶番劇ではありませんでした。

レジェンドがファンを楽しませるため、あるいは世界の沈滞ムードに光を差し込ませるために、舞台に戻って来る。

エキシビションにレジェンドが登場するーーその最も素晴らしい例の一つがテニスでしょう。

ビョルン・ボルグやジョン・マッケンローらが対決、ときには錦織圭ら現役選手ともラリーを繰り広げてファンにかけがえのない時間をプレゼントする。そして、その多くがチャリティマッチです。

そこには「どちらが勝つのか?」は二の次。ましてや「残酷なショーになるかもしれないことをどこか期待する」なんてことはありえません。

「期待以上の予定調和」それがエキシビション本来の醍醐味です。

その意味で「タイソンvsジョーンズ」は、すばらしいチャリティマッチで、ボクシング界も一歩前に進めたのではないでしょうか。

その対極が「フロイド・メイウェザーvsコナー・マクレガー」のような、引退したボクサーとボクシングど素人の総合格闘家がボクシングルールで戦う、世界基準のパフォーマンスから掛け離れた茶番劇です。

最も敬意が払われるべきは、現役選手による世界最高峰のギリギリの戦いです。もっと具体的に言うと、そこにこそ最高の注目と報酬が用意されなければなりません。

ましてや、茶番劇が世界最高峰の戦いに水を差すなんて論外です。

「メイウェザーvsマクレガー」が「ミゲール・コットvs亀海喜寛」を潰したのはもちろん「ゲンナディ・ゴロフキンvsカネロ・アルバレス」の興行にも悪影響を与え、YouTuberの試合が「井上尚弥vsノニト・ドネア」よりも大きな注目を集める…そんなこと他のスポーツでは考えられません。

そんなジレンマを少し慰めてくれたのが「タイソンvsロイ」でした。

あの「判定」も含めて、茶番劇フリークの方々には物足りなかったかもしれませんが。
tyson-jones-belt-5
tyson-jones-belt-4
tyson-jones-belt-2

それにしても、WBCは趣味が悪過ぎます。

引き分けドローが大前提のexhibition、二人に贈るためにベルトをあらかじめ2本用意するのは問題ありません。

「パンデミックの最前線=フロントライン」で戦う人々を勇気づける「フロントライン」ベルトも、WBCとは思えないタイムリーでハイセンスです。

しかし、バックルに大きく刻まれていたのは「ブラック・ライブズ・マター」。

どんな神経してるんでしょうか。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

Badou Jack vs. Blake McKernan
8 rounds – light heavyweights

リング誌などでは「ライトヘビー級」8回戦となっていますが、クルーザー級ですね。

80−72*3。

しかし、バドゥ・ジャックは相変わらず、というかこのレベルの相手でも倒しきれないというのは如何なものか?

だから、こんなのがセミファイナルになるわけです↓。



Jake Paul vs. Nathaniel Robinson
6 rounds – light heavyweights

Why have a California Commission if they allow this??(テディ・アトラス)。その通りです。

危険です。いつか大きな事故が起きなければいいのですが。


Mike Tyson vs. Roy Jones
 

ジミー・レノンJr.からマイケル・バッファーにマイクがリレーされる、豪華なアナウンスでゴング。
IMG_4720
オフィシャルのジャッジは三者三様のドロー。ジス・イズ・エキシビション。良いイベントでした。 


クリスティ・マーティン76-76、ビニー・パチエンザ80-76でジョーンズ、チャド・ドーソンは79-73でタイソン。

このスコアがどういうことなのか?

引き分けは想定内にしても、仕込むなら三者一致の「80−80」で「二人が失ったものは何もなかった」が一番良い着地点だと思ってましたが…。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

前日計量はマイク・タイソンが220.4ポンド(99.97㎏)、ロイ・ジョーンズJr.は210ポンド(95.25㎏)。

二人とも仕上げてきましたが、実物を見てしまうとブランクのある50代の肉体です。

現在のオッズは、タイソン3/7(1.29倍)、ジョーンズ11/6(3.5倍)。エキシビションでオッズが出てることが、そもそもおかしいのですが…それなら大相撲のオッズも解禁すべきです。
Screen-Shot-2020-11-28-at-6.00.31-PM
スクリーンショット 2020-11-29 8.52.26

タイソンの現在の職業は、スタンドアップコメディアン、一人芝居の役者です。

その一環、として2006年(vsコーリー・サンダース)以来のエキシビションを行うという視点で見ると、フロイド・メイウェザーvsコナー・マクレガーの公式戦とはかなり違った展開になりそうです。 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

リング誌 THEN AND NOW: COMPUBOX ANALYZES MIKE TYSON-ROY JONES JR. EXHIBITION から、拙訳と補足です。
IMG_4654 (1)
 桜の紅葉もなかなか味わい深いものです。↑
IMG_1044 2

2003年3月1日、世界中のボクシングメディアが集まった前に、ロイ・ジョーンズJr.が座っていた。

ジョーンズは12ラウンド大差判定でWBA世界ヘビー級王者ジョン・ルイスを下したあとの記者会見。ミドル級の世界王者を経てヘビー級を制したのは、ボブ・フィッツモンズ以来のなんと106年ぶりの出来事だった。

ジョーンズの初防衛戦の相手が誰になるのか?様々な憶測が飛び交っていたが、最初に名前が挙がり、その対戦が熱望されたのがマイク・タイソンだった。

▶︎当時、ジョーンズはPFP1位、歴代でも上位に推すメディアもあるほど、その評価は天井知らずでした。一方で「弱い相手を圧倒するが、強い相手と戦っていない」という指摘も多く〝106年ぶりの快挙〟にしても「階級最弱王者を狙い撃ちにしただけ」「初防衛戦が注目」と冷ややかな目も向けられていました。

当時のタイソンは3年間の服役などでブランクを作り、レノックス・ルイスに予想通りに惨敗するなど化けの皮は剥がれていましたが、まだ36歳の危険なヘビー級ボクサーと見られていました。

タイソン戦は、その実力が報酬に正当に反映されていなかったジョーンズにとって巨額のファイトマネーが保証されるメガファイトになるはずだった。

気の早いラスベガスのオッズメーカーは両者の勢いから2-1で元ミドル級王者有利の数字を立ち上げ、試合を煽った。

しかし、あの記者会見の途中で、ヘビー級挑戦のためにジョーンズが返上したWBCとIBFのライトヘビー級王座に就いていたアントニオ・ターバーが「ジョーンズはライトヘビーですら最強を証明していない」と対戦要求をぶちまけた。

この要求を無視して、タイソン戦を選択することができたジョーンズだったがあまりにも直接的で無礼なターバーの挑発に、ヘビー級の新王者はメディアやファンが望むのとは違う選択をしてしまう。

その意味で、ターバーはボクシングの歴史を変えてしまったと言えるだろう。

ジョーンズはターバー戦に向けて少なくとも18ポンドの減量を強いられ、ライトヘビー級タイトルマッチのリングに上がる。

この試合は大苦戦の末に2-0のマジョリティデジションで、ライトヘビー級王者に返り咲いたが、ジョーンズにとってこの勝利は、長く険しい劣化との戦いの幕開けであった。

一方のタイソンは、ダニー・ウィリアムスとケビン・マクブライトという無名のボクサーに連続KO負け、そのキャリアを閉じた。

あれから17年、二人はついにリングの上で相まみえることになる。

しかし、この試合は彼らのキャリアに記録される公式戦ではなく見世物であること当時実現していたであろう試合とは何もかも様相が違う。

全盛期の彼らは階級こそ違え、圧倒的な強さでリングを支配していた点で、非常によく似ていた。

タイソンは①史上最年少(20歳と150日)で世界ヘビー級のピース(WBC)を獲得、②世界戦は12勝10KO4敗、③リング誌とBWAAの年間最高選手に2度選出(1986年/1988年)、④リング誌の歴代ヘビー級ランキングで14位(1988年)、全階級歴代ランキングで72位(2002年)、⑤2011年に国際ボクシング名誉の殿堂入り(一発殿堂)。

▶︎タイソンの全盛期はまだ高校生、その強さと日本国内メディアの絶対評価に対して、リング誌の14位の理由について「強い相手とは一人も戦っていない」という評価に、日米評価の激しい乖離に少し驚きました。

ジョーンズは①ソウル1988でライトミドル級に出場「史上最悪の判定」に泣いて銀メダル、②アマ戦績は122勝13敗、③プロデビューから17試合連続KO、④世界戦22勝14KO3敗、⑤のべ22人の元・前世界王者と対戦して18勝8KO8敗、⑥リング誌の年間最高選手(2004年)、⑦BWAAの年間最高選手賞は一度も獲得できなかったが、90年代のFIGHTER OF THE DECADE(10年間最高選手賞)には選出。

▶︎BWAAのFIGHTER OF THE DECADEに選出されていたら、常識的には年間最高選手を何度か獲得しているはずですが、これはある意味ありです。「年間でみるとより傑出していたボクサーがいたが、10年間で見るとジョーンズが一番」ということです。

とはいえ〝106年ぶりの快挙〟を「たまたまタイトルを持っていた最弱王者を狙い撃ちしただけ」と評価しないあたりはさすが米国メディアです


Prediction:(勝敗予想)全盛期は格下相手に圧倒的なパフォーマンスを見せながら、強い相手に技術と精神の欠点を暴露された二人。

2018年2月が最終戦のジョーンズは51歳、2005年6月のタイソンは54歳。両者の試合勘には大きな差があるかもしれない。

一方で、この見世物はヘビー級で行われる。もし、この試合が真剣勝負になると、タイソンのTKOを予想する。

ただし、これはexhibition(フロイド・メイウェザーvsコナー・マクレガーとは違う)。

二人はexhibitionの暗黙のルールを知っているはずだから「フリオ・セサール・チャベスvsホルヘ・アルセ」の3連戦のようなプロレス的な展開になるかもしれない。

そして、それが見るファンにとっても、二人にとっても最もハッピーなやり方だろう。



 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

コナー・マクレガーが中東でマニー・パッキャオとボクシングルールで対決する。

BBCまで報じたスポーツ界のトップニュースですが、まだマクレガーだけが一方的に語っているだけです。

それでも世界中のブックメーカーがすぐに反応、ウィリアムヒルではPACMAN勝利1/8(1.125倍)、Notoriousが9/2(5.5倍)でオッズを立ち上げました。
スクリーンショット 2020-09-26 17.08.09
最も人気の掛け率はパック1/4(1.25倍)。

開催場所は中東ということなら、近年の実績(2018年:カラム・スミスvsジョージ・グローブス/2019年:アンディ・ルイスJr.vsアンソニー・ジョシュア)があるサウジアラビアが有力ですが、これはNotorious一流のブラフかもしれません。

もし、マクレガーvsパッキャオが両者合意しているならMGMグループが招致合戦に乗り出すはずです。
スクリーンショット 2020-09-26 17.46.52
https://twitter.com/MannyPacquiao/status/1308660489954631683

国連が定めた International Day of Sign Languages(手話言語の国際デー)9月23日にツイッターで、手話でろう者へのメッセージを送ったパッキャオですが、マクレガー戦についての質問には答えていません。

…と書いたところで、パッキャオの側近ジェイク・ジョースンが「来年のしかるべき時期に中東開催の方向で交渉している」と明らかにしました。

MPプロモーションズのシーン・ギボンズは「交渉はある」と認めながらも「合意にはまだまだ遠い段階」と少しニュアンスが違います。

マニラブレテン紙は「新型コロナに30万人以上が感染し、5000人以上が命を落としている状況で上院議員の仕事は別にある」と、この報道に不快感を示しています。
IMG_0312

2017年のフロイド・メイウェザーvsマクレガーは史上2位のPPV430万セールス、チケット収入5540万ドル、ラスベガスのブッカーだけで6500万ドルを記録しているだけに、招致フィーはとんでもない金額になるはずです。

サウジアラビアが引っ張り込むにはビジネスとしてのメリットがありません。

「政治的なスキャンダルから目をそらせるため」というなら、これはラスベガス相手の招致争いも勝ち取るでしょうが…。

両者の報酬が1億ドルに迫ることが確実のこの試合、パッキャオにとっても断る理由はありません。

マイク・タイソンvsロイ・ジョーンズJr.のような薬物検査やリングでの事故が懸念される〝老人対決〟ではありません。タイソン戦を敬遠したネバダ州アスレティック協会も乗り気でしょう。

「最も偉大なボクサー二人とメガファイトが出来る。しかも彼らにとってもキャリアで最も大きな試合の一つとして。それは私にとって大きな名誉」(マクレガー)とはいえ、なんだかなあ…。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

9月12日、ディグニティ・ヘルス・パークでの開催で決定していたマイク・タイソンvsロイ・ジョーンズJr.のエキシビションが11月28日に延期されました。

両陣営が話し合いの機会を持ち「観客を入れた方がゲート収入が見込める」というタイソン陣営の提案が認められたものです。

そりゃそうです、そりゃそうですが、それって初めからわかってたことでしょう。

PPVで動画配信する Triller は宣伝のためのドキュメンタリーシリーズを10編制作して、視聴者を集める予定でしたが、8月第二週になってもオンエアされないので不穏な空気が流れてはいました。

観客を入れた方が儲かる。そんなことにこのタイミングで気づいたとは、常識では考えられません。
IMG_0148 (1)

However, there has been a myriad of complications since the announcement.

正式発表してからいくつもの複雑な問題が起きてしまった。=意訳すると「有観客にするためというのが延期の本当の理由ではない」ということです。〜延期をスクープしたリングtv.〜

ヘッドギアの問題は「付けない」ことでカリフォルニア州アスレティック協会(CSAC)と両陣営が合意していましたが、エキシビションとはいえ安全面からVADAも乗り出し、試合までのランダムテストを提案していました。

また「7秒KO」で波紋を呼んだセニエサ・エストラーダvsミランダ・アドキンスの一戦を管轄したCSACには「深刻な事故につながる犯罪的ミスマッチ」と厳しい非難が集中しており「このほとぼりが冷めないうちにタイソンvsジョーンズを強行して何かあれば、協会の存続に関わる」という声が内部から上がっていました。

エキシビションが正式発表されたのが7月23日で、翌日に「7秒KO」が起きてしまい、VADAも「基準の緩いCSACのドーピング検査ではやりたい放題になる」と警告、これを受けたCSACが「興行収入が上がる有観客まで待つ」ことを理由に、延期を決めたと考えるのが最も自然です。

「両陣営の話し合い」というのは猿芝居ですね。本当に話し合いの場を持ったのかどうかも怪しい。

それにしても、発表翌日に「7秒KO」はあまりにもタイミングが悪すぎました。

VADAの警告に対して「エキシビションに厳格なドーピング検査は不要」と突っぱねていたCSACでしたが、メディアやファンから「7秒KO」を非難する集中砲火を浴びてしまうと、タイソンvsジョーンズを強行することはできません。

現役時代、強烈な薬物依存にまみれていた二人のコメントはまだキャッチできていませんが「VADAが入ってくるの?じゃあやりたくない。ってか俺ら検査通らないし」というのが本音かもしれません。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ