𝓔𝓿𝓪𝓬𝓾𝓪𝓽𝓲𝓸𝓷 𝓓𝓪𝔂
シャクール・スティーブンソンが7月9日にサインしたばかりのズッファ・ボクシングとの契約を解消、わずか3ヶ月、1試合もしないという異例の形でサウジアラビア系プロモーションえなうを離脱することになりました。
デビン・ヘイニーとの対戦交渉がキャッチウエイトなどをめぐって不調に終わったことが表向きの原因ですが、マニー・パッキャオの名前もあがって噂されていた12月11日のタイソン・フューリーvsアンソニー・ジョシュアのアンダーカードでの登場も消滅。
シャクールはリオデジャネイロ2016五輪のバンタム級決勝でロベイシ・ラミレスに敗北、トップランクと契約してプロデビューしたエリートアマ。しかし、ラミレス戦でケチのついた消極的な安全運転スタイルは、プロでも相変わらず。
人気のない軽量級という以前に見ていて面白くないシャクールでしたが「(自身の不人気は)トップランクのプロモートに問題がある」と、契約満期の2024年に更新せず、マッチルームと複数試合契約を結びます。
米国市場に触手を伸ばしていたマッチルームにはトップランクから引き抜いたという意識もあったでしょうが、ボブ・アラムは「あいつは自分をパッキャオとでも思ってるのか?貧乏神を放出できて良かった」。
テレンス・クロフォードの弟分のようなポジションで、サウジアラビアの寵愛も受けるようになり、WBCや既存のプロモーターに攻撃的な発言を繰り返し、今年7月に念願のズッファと契約。
ファンが喜ばないスタイルに貧相、いつも言い訳ばかりのシャクールは当たり前に不人気で、アラムが言うまでもなくプロモーターにとってはクロフォードと同じ「貧乏神」。
サウジアラビアとしてはリングの中では強豪を攻略し、リングの外では認定団体や既存のプロモーターを攻撃しズッファを礼賛する代弁者という一石二鳥の手駒でしたが、商売度外視の体制から緊縮に転換、ボクシング市場からの撤退まで視野に入れている現状では〝自分の商品価値を勘違いしている貧乏神〟はまさに〝燃えないゴミ〟です。
ズッファ側がスティーブンソンを契約不履行で訴える立場ですが「1試合も契約をこなさないスティーブンソンの主張が認められた」ことになっています。
内実は、期待していたような報酬が提示されないことに不満を見せたスティーブンソンをズッファ側が「現状ではあなたの商品価値に見合った金額しか用意できない」と納得させたのでしょう。
アラムにもエディ・ハーンにも指摘され続けた「あなたの商品価値」。
2年前には「私の価値をわからないクズどもばかりだ」と引退宣言もしています。
Not mad at anyone.understands this is the business of boxing.
スティーブンソンの「誰も恨んじゃいない。俺でもわかることさ。これがボクシングビジネスってことだ」という言葉が全てです。
既存のプロモーターとの関係がギクシャクしているシャクールは「自分でプロモート会社を立ち上げ、配信会社も見つける。1、2年あれば人気階級のウェルター級にも届くはずだ」とし、多くのメディアでNo.1に評価される井上尚弥を抜いてPFPキングになって「自分の商品価値を上げる」としていますが…。
「面白くないやつ」。その烙印を最初に捺したロベイシもトップランクの不採算選手整理(井上尚弥や中谷潤人もリストラされています)にあっています。
「不人気階級の軽量級は要らない」というよりも「米国市場で商品価値のない選手は要らない」ということでしょう。身の程をわきまえた軽量級のタイトルホルダーなら、これまで通りにビッグイベントの前座の需要があります。
人気階級の中でも頭抜けた人気を誇るカネロ・アルバレスもゲンナジー・ゴロフキン戦をめぐって、かつてWBCを辛辣に非難しましたが、あのときは身勝手な物言いのカネロにWBCが謝罪しました。
しかし、いまや身の置き場の少ない黒人ボクサーで軽量級、しかも試合が面白くないシャクールはサウジの後ろ盾がなくなれば、既存勢力にとっては小物中の小物です。
カネロに勝って身に余る大金を手にして引退したクロフォードのような未来を描いていたかもしれませんが、サウジの時代は足早に去ってしまいました。
「私の才能を認めてくれている人たち、期待は裏切らないぜ」。
For the people that trust and believe in my talent, I will not let y’all down
そもそもファンが少ないシャクール。戦い方を変えない限り、彼が望む未来は永遠に訪れません。
今更それが出来るなら、生涯最高の舞台、星条旗を胸にした五輪決勝であんなヘタレっぷりは見せていないでしょう。

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