倒されても立ち上がる人が、好きです。

どんな逆境に追い込まれても諦めない人を、尊敬します。

ホルヘ・リナレスは、米国はもちろん日本よりも遥かにボクシング人気が盛り上がっている英国で、最も畏怖されているボクサーです。

ロンドンきっての人気者ケビン・ミッチェルを粉砕、マンチェスターの“100万$男”アンソニー・クロラに2度も完勝、ロンドン五輪金メダリストのルーク・キャンベルまで振り切ったのです。

しかも、その4戦全てを敵地で!

当たり前ですが、英国ボクシングニュース誌はもちろん、BBCでも大きく取り上げられるリナレスは「英連邦の宿敵」です。

いいですね〜、格好いいですね〜!ボクシング大国から「宿敵」と呼ばれるなんて、賞賛の言葉としてこれ以上はありません。

しかし、こんなに逞しいチャンピオンになるとは、正直、想像できませんでした。
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リング誌4月号から〜「Celebrated His Potential Then Dismissed After Setbacks,JORGE LINARES Has Come Back with a Vengeance(素晴らしい才能は3度にわたる惨敗で終わったと思われたが、ホルヘ・リナレスは倍返しの復活劇を見せてくれている)」。挫折を乗り越えたリナレスを4ページにわたって特集しています。


母国の政情不安、米国との確執から、ベネズエラのジュニア大会を総なめにした天才少年は17歳で“中立国”日本を第二の故郷に選びました。

ファン・カルロス・サルガド、アントニオ・デマルコ、セルヒオ・トンプソン…雑魚ではありませんが強豪とは呼ぶのは憚られる3人に躓いたときのリナレスは、大波に翻弄される粗末な漁船にしか見えませんでした。

しかし、今にも沈みそうだった小さな船は、与えられたチャンスを誠実に掴み取りながら困難な航海を続け、ついにとんでもない大魚を引き当てました。

ゴールデンボーイ・プロモーション&HBOと、トップランク&ESPNの興行権争い、今年最大のボクシングイベント「GGG対カネロ」の再放送(5月5日の生中継はPPV)の裏番組、そんな障害も乗り越えて5月12日、世界最大のスポーツメディアESPNがPFP1位に推すワシル・ロマチェンコとの大一番まで漕ぎ着けたのです。

村田諒太がよく口にする「ボクシングは始まりと終わりが表裏一体」。このホルヘの大勝負は、まさしくそれです。

マディソン・スクエア・ガーデンという大海原で、日本のジムに所属したボクサーの誰もが、今まで当たりを付けたこともない途轍もない大魚を釣り上げようとしているのです。

ウクライナのハイテクに勝てば、さらなるビッグマッチが用意されるでしょう。リング誌の表紙も飾るかもしれません。

しかし、アバウト1−5で圧倒的不利のオッズ通りに敗れ去ると、その負け方によってはエリートファイターとしてのキャリアが終わってしまう危険もあります。

ベネズエラからやって来た好青年が世界を驚かす大番狂わせを起こすことを祈願・祈念して、リング誌のリナレス特集を拙訳、ロマチェンコ戦を展望してゆきます!