1930年代にヘンリー・アームストロング、1980年代にはアレクシス・アルゲリョが 激しくチャージしながらもあと一歩及ばなかった四階級制覇。

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アレクシス・アルゲリョは階級と承認団体の増殖が始まった80年代という軽薄な時代の中で、強い相手を求めて四階級制覇を目指しました。しかし、ダンディな男性でした。


しかし、1987年、トミー・ハーンズが史上初の四階級制覇に成功してから現在まで、わずか30年あまりの時間で18人ものボクサーが4つ目のハードルを飛び越えて行き、マニー・パッキャオに至ってはその数字を「8」にまで伸ばしました。

細かく17にまで切り分けられた階級に、主要団体だけで4つも蠢くプロボクシングは「どうぞ複数階級制覇を好きなだけやって下さい」と言わんばかりです。

「世界王者になりたい選手」と「世界王者をいっぱい承認して承認料を稼ぎたい団体 」は気色悪いほどに相思相愛、90年代以降は世界タイトルの供給過剰状態が決定的になり、世界チャンピオンのバーゲンセールが続いています。

「WBCはそのうち自動販売機でベルトを売り出すだろう」と馬鹿にされるほど、腐敗団体の見境のない王者濫造は醜いものです。

こうした背景から続々誕生している四階級以上を制覇したチャンピオンたち18人は以下の通りです。

👑👑👑👑八階級制覇👑👑👑👑マニー・パッキャオ

👑👑👑六階級制覇👑👑👑オスカー・デラホーヤ

👑👑👑五階級制覇👑👑トーマス・ハーンズ、シュガー・レイ・レナード、フロイド・メイウェザー、ホルヘ・アルセ、ノニト・ドネア

👑👑四階級制覇👑👑ロベルト・デュラン、パーネル・ウィテカ、レオ・ガメス、ロイ・ジョーンズJr.、エリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケス、ロバート・ゲレーロ、ミゲール・コット、エイドリアン・ブローナー、ローマン・ゴンザレス、マイキー・ガルシア


階級制覇の数だけなら、歴代PFP18傑とも呼べるボクサーたちですが、最も重要な評価基準「誰に勝ったのか」をモノサシにすると怪しいボクサーが数多く紛れ込んでいます。

「誰に勝ったのか」は〝見える化〟が難しい指標ですが、名誉の殿堂で測ってみたいと思います。

18人のうち殿堂入りしているのはデラホーヤ、ハーンズ、レナード、デュラン、ウィテカ、モラレスの6人。

引退後5年の殿堂資格を獲得していないものの、一発殿堂が確実視されているのはパッキャオ、メイウェザー、ジョーンズ、マルケス、コット、ロマゴンの6人。

一発殿堂は難しいものの、殿堂入りが期待されるのがアルセ、ドネアの2人。

殿堂入りの実績に満たない現役ボクサーはブローナー、マイキーの2人。昨年引退のゲレーロも、その実績は殿堂ラインには届きません。

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ベネズエラ人のガメスは、カラカスに本部を置いていたWBAの寵愛を追い風に「暫定」「決定戦」をフル活用して四階級制覇を果たしました。しかしどの階級でも最強を証明することが出来ず、殿堂入りはありえません。典型的な数字だけのボクサーです。=写真はガメスの強打に沈められた戸高秀樹。

そして、とっくに引退して殿堂入りの資格を持つもののお呼びがまったくかからないのが、ガメス。というわけで最下位の18位はガメスで異論はないでしょう。

ガメスは何度も来日、わが国でも馴染みが深いボクサーでした。言葉を換えると日本人挑戦者にも十分チャンスがある、凡庸な王者と見られていたのです。ミニマムからジュニアバンタムまでの四階級制覇はロマゴンの軌跡と同じですが、その内容はまったく異なります。

ガメスの初戴冠は1988年、金奉準とのWBAミニマム級王者決定戦。この「決定戦」は「暫定王者」と並んで、王者濫造を引き起こしているキーワードです。

欧米で重視されるLineal Champion(正統王者)の概念から逸脱した決定戦で生まれた王者や、暫定王者はその〝出自〟が卑しいだけでなく、その実力も怪しいケースが多々有ります(フリオ・セサール・チャベスのように決定戦でタイトルを奪い、至上の名王者となった例外的なケースもありますが)。

ガメスの四階級はミニマム、ライトフライも決定戦。「誰に勝ったか」となると、どんなマニアでも言葉に詰まる四階級制覇王者に似つかわしくない貧弱な戦績でした。

この「決定戦」や「暫定」をフル活用した〝ガメス〟型はブローナー、ゲレーロ、ドネア、アルセも挙げられます。

独断で17位ゲレーロ、16位ブローナー、15位アルセ、14位ドネアとランキングします。

複数階級制覇が安易に誕生する背景には、階級と団体の増殖という大枠に「暫定王者」「休養王者」「王者決定戦」だけでなく「キャッチウェイト」という怪しいワードも登場してきます。

このキャッチウェイトでタイトルを獲ったのがコット、パッキャオ、レナードの3人。レナードに至ってはドニー・ラロンデとの168ポンドのキャッチウエイト1試合でスーパーミドル、ライトヘビー級の二階級を掠め取るという、どんな大泥棒もビックリの離れ業をやってのけました。

史上最もエゴの強いスーパースターと「人気選手の飼い犬」と呼ばれる WBCが結託したら、どんな不条理も現実にしてしまうという事件でした(事故?)。

しかし、「誰に勝ったか」のモノサシで大きな爪痕を残しているキャッチウェイト3人衆は13〜11位に嵌め込むことは残念ですが出来ません。

13〜11位は、実績がまだ未熟なマイキー13位、ロマゴン12位、平凡な相手との決定戦で四階級目を獲得したモラレスが11位。モラレスは、覚醒期のパッキャオに勝つなど「誰に勝ったか」で大きな星を挙げているだけに、もっと上にランクしたいところですが階級制覇に焦点を絞ったランキングなので、恐怖の男は10傑入りならず。

TOP10に残ったのはパッキャオ、デラホーヤ、レナード、ハーンズ、メイウェザー、デュラン、ウィテカ、ロイ、マルケス、コット。すごい面子です。10位コット、9位デラホーヤは異論ないでしょう。

これがPFP評価ならデュランを外すのもっと後の段階になるのでしょうが、ここでは最も難易度の高い複数階級制覇を決めていきます。

四階級制覇のマルケスとウィテカ、デュランがそれぞれ8位、7位、6位。

ベスト5です。史上2位の六階級制覇を果たしたとはいえ、ジュニアライト(ジミー・ブレダル)、ライト(ホルヘ・パエス)、ジュニアウェルター(劣化版のフリオ・セサール・チャベス)、ジュニアミドル(ハビエル・カスティリィホ)、ミドル(フェリックス・シュトルム)と六階級中、五階級は階級最強とは到底呼べない王者からタイトルを奪ったデラホーヤの5位は確定です。

残るはレナード、ハーンズ、ロイ、パッキャオの4人です。

数字だけなら八階級制覇のパッキャオ、体重振幅ならロイの圧勝、歴代PFPも考慮に入れるならレナード、ハーンズが真っ先にベスト3から落ちて4位…とは思いません。