21世紀は2001年〜2100年までの100年間。

今年ももう12月、2024年が終わろうとしています。21世紀最初の四半世紀は、来年2025年までですが、少し気の早い今世紀最初のクオーターのPFP10傑。

選考基準は、①誰に勝ったのか? ②PFP1位の在位期間とその内容、③ボクシング界への貢献度…などなど、とします。

この手の長期評価は、直近の選手が有利になります。

つまり、2001年〜2005年に大活躍するよりも、同じインパクトを2019年〜2024年に残した方が有利になりがちです

さて、独断と偏見を撒き散らしましょう。



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【1位】マニー・パッキャオ


「誰に勝ったのか?」を絶対重視するなら、パッキャオが負けているフロイド・メイウェザーよりも上の順位には異論があるかもしれません。

完全に私の好みです。

パッキャオについて多くの人が忘れていますが、米国のスター選手と戦うということは「Bサイド」と「アウエー」の洗礼を受けるということです。

この常識を180度転換させたのは、マルコ・アントニオ・バレラ、エリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケスのPFP上位を回遊するメキシカンの包囲網を劇的なやり方で打ち破ってから。

2008年6月にWBCライト級王者デビッド・ディアスを轟沈させた頃です。

その年の12月6日のオスカー・デラホーヤ戦はBサイドだったとはいえ、会場のムードは「小さなパッキャオ」を狙い撃ちにしたデラホーヤへのブーイングに溢れていました。

2015年5月2日のメイウェザー戦はファンの勝利予想(勝ってほしい方)で、圧倒的なフェイバリット、報酬面で差はあったものの、Bサイドやアウエー感は全く感じられませんでした。

大プロモーターやHBOが仕組んだ台本をズタズタに引き裂き「軽量級」「アジア人」という十字架をぶっ壊して、人気階級ど真ん中のウエルター級でメガファイトを繰り広げた、史上最高の下剋上ファイターです。

まさに私のツボ。

Sugar Ray Robinson Award とリング誌のは2006年/2008年/2009年と3度受賞。

何度か選ばれたPFP1位、最も長期で君臨したのが、2008年〜2011年の3年間。特筆すべきは、満票での1位が多かった点。



【2位】オレクサンデル・ウシク

これは異論があるかもしれません。「いくらなんでも2位はマネーだろう」と。

しかし、階級を無視して選手を評価、順位づけする場合の有力なモノサシとなるPFPの概念を根底から崩壊させたという点は無視することはできません。

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マイク・タイソンと同列で語るのは大間違いで、タイソンは小さくても、けして軽くはなく、むしろ重いファイターでした。勝った相手で〝旬の強豪〟度で最高レベルのトニー・タッカーは当時の大型選手でしたが、体重は全く同じでした。殿堂入りの際も批判されたように、タイソンはそもそも強豪に勝てず、現実の評価と、それを知らない一部の信者の誤解の乖離が非常に大きいファイターです。

先日のラファエル・エスピノサやエマヌエル・ナバレッテの戦いぶりが典型ですが、火力を決定づけるのは体格よりも(当日)体重の格差です。

PFPの重要な考察要素の一つである「階級の中での傑出度」という点では平凡極まるウシクですが、リアルに50ポンド以上も重い相手とリング上で戦う姿は「パウンド・フォー・パウンド(体重同一時=階級を無視して)の妄想を根底から破壊してしまいました。

体重同一どころか遥かに軽いウシクが、遥かに重いアンソニー・ジョシュアやタイソン・フューリーを翻弄するのは、まさに〝PFP殺し〟の蛮行です。

2018年に、Sugar Ray Robinson Awardとリング誌Fighter Of The Year。




【3位】フロイド・メイウェザー

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アンチの多いスターです。

しかし、130〜140ポンドのメイウェザーの試合は掛け値なしに面白かった!

ところが、華やかなウエルター級をクルーズするようになると「旬の強豪との対戦を避けた」と非難され続けました。

つまらないボクサーになっても下劣な言動を繰り返すことで世間を煽り「試合はつまらないのに、ファイトマネーはそれに反比例して爆発的に増えている。セルフマーケティングの天才」(Forbes誌)に昇華?しました。

「この1試合」を選ぶとなると、悪い意味で難しい。ディエゴ・コラレスとのWBCジュニアライト級戦になってしまうのか?

興行的にはパッキャオやカネロ、マクレガーとのメガファイトになるんでしょうが…。

2007年/2013年/2015年で、Sugar Ray Robinson Award、リング誌Fighter Of The Yearは1998年と2007年。

PFP1位はパッキャオ同様に何度もありますが、最長は2012年〜2014年までの3年間。やはり、いまでは考えられない満票1位が多いタッチボクサーでした。




【4位】カネロ・アルバレス

これは異論噴出かもしれません。

しかし、MGMグランドガーデンアリーナやT−モバイル・アリーナ、AT&Tスタジアム(NFL球場)、ミニッツメイドパーク(MLB球場)、マディソン・スクエア・ガーデン…日本人ボクサーでは夢のまた夢の大会場でメインを張ったメガファイトの数は、今世紀でダントツの最多。


先日、ファン・ソトが大谷翔平を抜いて「史上最高金額の契約」を結びましたが、カネロもこの系譜を踏むスポーツセレブです。
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ボクシング界への貢献度」では飛び抜けてNo.1。

さらに、人気だけではありませんSugar Ray Robinson Awardとリング誌Fighter Of The Yearは2019年と2021年に受賞。

ボクサーとして最高名誉のSugar Ray Robinson Awardの最多受賞はモハメド・アリ、マニー・パッキャオ、フロイド・メイウェザーの3人ですが、カネロが4人目になれるか?

満票での1位はありませんが、PFPでも2年も1位に君臨。

PFP1位だったゲンナジー・ゴロフキンとの三部作は、啐啄の機を逃し、ドーピングも絡み、後味が良いものではありませんでしたが、歴史に残るのは勝者です。

4団体17階級時代という不可避の〝ケチ〟がつくとはいえ、ジュニアミドル級からライトヘビー級までの4階級制覇。これは、どうでも良いか?

勝った相手は殿堂クラスのゴロフキン、シェーン・モズリー。リーアム・スミス、ダニエル・ジェイコブス、ケイレブ・プラントら、その階級のキー・ファイターに勝っていますが、現役PFPファイターはゴロフキンだけ。

「対戦相手の質」を考えてしまうと、パッキャオが変態すぎるだけで、カネロはそこまで酷くないのですが。



【第5位】アンドレ・ウォード

アマチュアで115勝5敗、2004アテネ五輪ライトヘビー級の金メダリスト。Super Six World Boxing Classic で優勝を決めた2011年にはSugar Ray Robinson AwardやESPN、リング誌などのFighter Of The Yearを総なめ。

当時、PFP2位で無敗のIBF/WBOライトヘビー級王者セルゲイ・コバレフを破って2階級制覇。

リング誌電子版のPFP1位にも君臨、プロでは32戦全勝16KO。

…それなのに「スタイルが地味」「顔が地味」「トラッシュトークが地味」なS.O.G.(Son of God 神の子)は全く人気が出ず「パックメイの後継者」と呼ばれることは一度もないまま、キャリアを閉じました。

「パックメイのあと」というのも最悪の時代です。「ウォードって面白くない」と余計に思われてしまいました。

まだ、米国ボクシングに人気があった80年代ならそれなりに輝けたかもしれませんが…。米国ですらカール・フロッチの方が人気があると言われるほどの、生まれた時代が悪すぎた、米国最後の金メダリスト。




【第6位】バーナード・ホプキンス

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ミドル級時代は派手なスラッガーでしたが「顔が地味」「セルフプロデュースが下手」なB-HOP。

17歳で懲役18年を喰らって5年間服役。23歳でプロデビューするも、いきなり黒星。

現在、流行している4団体統一の第1号がホプキンスでした。しかし、団体分裂以前は 全ての王者が基本的にUndisputed chanpion 、「史上初」という表現は違和感ありまくりです。

4団体17階級時代、ボクシング人気の没落という時代背景はあっても、IBFミドル級を20連続防衛。さらに、50歳の誕生日まであと2ヶ月を残した2014年11月にセルゲイ・コバレフに敗れるまで世界王者という超長寿チャンピオンの記録も作りました。

2001年にSugar Ray Robinson Awardに加え、ESPNやリング誌などのFighter Of The Yearに輝きました。

PFPでも2004年から1年近く1位をキープ。





【第7位】ロイ・ジョーンズJr.

「不遇のAfricana American」という点ではもしかしたら、ウォードやホプキンス以上かもしれません。

毀誉褒貶の激しいファイターでした。瞬間最大風速と後世の評価のギャップはタイソン以上かもしれません。

Fighter Of The Yearに選ばれたのは1994年のリング誌だけ。

外に思われるかもしれませんが、大きく有利の予想どおりに楽勝でヘビー級タイトルを掠め取ったジョン・ルイス戦は日本の専門誌は高く評価しましたが、世界的には「空き巣」の扱い。

最強階級にとどまらず、逃げるようにライトヘビー級にかけ戻ったのも、多くの専門家やファンの心象を悪くしてしまいました。

しかし、瞬間的な評価が反映されるPFPではリング誌のBEST FIGHTER POLL(年間PFP)に1995年/1996年/1998年/1999年/2002年/2003年と6度も選出。

常に「早く強豪との戦いを!」と期待されていましたが、ヘビー級では勝負せず、出戻りライトヘビーでは無惨なKO負けを重ね、米英決戦のジョー・カルザゲに敗北。

タイソンほどではないものの、ついにまともな強豪に勝てないままキャリアを終えました。


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+++++++このあたりまではスラスラっと出てきたのですが、8位〜10位は迷います。

フェリックス・トリニダードやオスカー・デラホーヤらはPFP1位に長らく君臨、Sugar Ray Robinson Award も受賞していますが、2000年以前のことなので対象外。

PFP1位の在位期間ならローマン・ゴンサレスやゲンナジー・ゴロフキン、シェーンモズリー、ワシル・ロマチェンコ、テレンス・クロフォードら5人が1年以上も君臨しています。

合計1ヶ月程度のPFP1位在位期間の井上尚弥を8位〜10位枠に入れる理由をなんとか探すと、上記7人でモズリーとGGG、チョコラティとはSugar Ray Robinson Awardを獲っていない、ということでしょうか。

そうなると、Sugar Ray Robinson Awardを獲得していて井上尚弥よりもPFP1位在位期間で大きく凌ぐバーノン・フォレストやジェームス・トニーもトップ10候補に浮上してきます。

グレン・ジョンソン、リッキー・ハットン、ノニト・ドネア、セルヒオ・マルチネス、カール・フランプトン、テオフィモ・ロペス、ドミトリー・ビボルの6人は、Sugar Ray Robinson Awardを獲っていますが、PFP1位経験がないので、除外しましょうか…とここまで書いて、井上の「電子版で1ヶ月も持たないPFP1位」「得票も大激戦から抜け出したなんちゃって1位」をどこまで評価すべきかあやふやな気分になりました。

今風にいうと井上の一瞬PFP1位は少数与党ならぬ、1位票が満票は論外、過半数も集まらない少数派1位でした。

パッキャオとメイウェザーの満票コンビに頭を抑えられて3位が長かったマラビージャと、どんぐりの背比べ状態の現在で瞬間1位の井上はどっちが上なのか…?

むむむ。